JP2719870B2 - GaP系発光素子基板及びその製造方法 - Google Patents
GaP系発光素子基板及びその製造方法Info
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Description
びその製造方法に関し、さらに詳しくは緑色発光するG
aP系発光ダイオードを製造する際に用いる基板で複数
のGaP層が積層されたGaP系発光素子基板及びその
製造する方法に関する。
常、半導体基板上に更に複数の半導体層を積層してpn
接合を有する多層半導体基板を作製し、これを素子化す
ることにより得られる。このうち、緑色発光する発光ダ
イオードは、n型GaP単結晶基板上に、n型及びp型
GaP層を各々一層以上順次形成することにより作製し
た発光素子基板を用いて得ることができる。
り、pn接合を形成してもそのままでは輝度が極めて低
いため、発光中心となる窒素(N)をpn接合近傍のn
型GaP層に添加して発光出力を高めている。
層を有するGaP系発光素子基板から作製した発光ダイ
オードは、ピーク波長が567nm前後の黄緑色の発光
が得られる。
板の断面構造の一例を示す。この発光素子基板は、n型
GaP単結晶基板10上にn型GaPバッファ層11、
n型GaP層12、窒素ドープn型GaP層13、及び
p型GaP層14が順次形成されている。
に各GaP層を形成する方法としては、例えば液相エピ
タキシャル成長法がある。この液相エピタキシャル成長
法として、通常、積上げ法又はメルトバック法が採用さ
れる。
例えば1060℃でGa融液にGaP多結晶を溶解させ
たGa溶液をGaP基板上に配置し、これらを徐々に降
温させ、Ga溶液中のGaPを基板上に析出させること
によってGaP層を成長させる。
成長法では、GaP基板上にGa融液を配置し、その
後、例えば1060℃まで昇温し、GaP基板の上部を
Ga融液中に溶解させてGa溶液とし、次に徐々に降温
し、Ga溶液中のGaPをGaP基板上に析出させるこ
とによってGaP層を成長させる。
ドの進歩はめざましく、年々発光出力の高いものが開発
されている。そして、そのような高発光出力化に伴い、
GaP系発光ダイオードの応用範囲は極めて広範囲にわ
たるに至ったが、その応用範囲の一層の拡大を図るため
には、さらなる高発光出力の発光ダイオードの開発が望
まれている。
素子基板を得るため、例えば特公平2−18319号公
報に記載されているように、上記メルトバック法により
GaP層を成長させる場合に多層GaP基板を作製して
これを用いる方法が通例となっている。この方法では、
予めn型GaPバッファ層11をn型GaP単結晶基板
10上に形成してなる多層GaP基板を作製し、次のス
テップにおいてメルトバック法を用い、前記多層GaP
基板上のn型GaPバッファ層11の上部を溶解した後
に再びGaPを析出させ、n型GaP層12、窒素ドー
プn型GaP層13及びp型GaP層14を順次形成さ
せる。
いた場合、n型ドーパントとして一般に使用されている
硫黄(S)が関与すると、Sの影響により発光素子の高
発光出力化が達成できないという問題点があった。
時にn型GaPバッファ層11中のS濃度が5×1016
[atoms/cc]を超えると、この発光素子基板か
ら作製された発光ダイオードの発光出力が急激に低下し
てしまう。
硫黄濃度が十分低い窒素ドープn型GaP層を含み、高
発光出力を得ることができるGaP系発光素子基板及び
その製造方法を提供することを目的とする。
子基板は、n型GaP単結晶基板上にn型GaPバッフ
ァ層を形成してなる多層GaP基板上にさらにn型Ga
P層、窒素ドープn型GaP層及びp型GaP層をメル
トバック法により順次積層してなるGaP系発光素子基
板において、前記n型GaPバッファ層中にドープされ
た硫黄(S)濃度が5×1016[atoms/cc]
以下としたものである。また、窒素ドープn型GaP層
中の硫黄(S)濃度はn型GaPバッファ層中にドープ
された硫黄(S)濃度の約半分であることが望ましい。
ードの使用時の順方向電圧の規格(通常は20mAで
2.30V以下)を満足するためには、前記n型GaP
バッファ層11のn型ドーパント濃度を5×10
16[atoms/cc]以上にする必要がある。この
ため、前記n型GaPバッファ層には、n型ドーパント
としてS以外に他のn型ドーパントを同時にドープし、
n型GaPバッファ層中のn型ドーパント濃度を5×1
016〜3×1017[atoms/cc]とするのが
望ましい。また、Sとともにドープする他のn型ドーパ
ントとしては、例えばテルル(Te)が挙げられる。よ
り具体的には、n型GaPバッファ層中のn型ドーパン
ト濃度が5×10 16 〜3×10 17 [atoms/c
c]であり、窒素ドープn型GaP層中の実効ドナー濃
度が2×10 16 [atoms/cc]以下であること
が望ましい。
ドープしない場合でも、環境下及び原材料に含まれる硫
黄又は硫黄化合物がドーパント源となってSが自然にn
型GaPバッファ層中にドープされている。その濃度
は、上記ドープ源(汚染源)を可能な限り遮断した状態
で、約5×1016[atoms/cc]以下である。
造方法は、n型GaP単結晶基板上にn型GaPバッフ
ァ層を形成してなる多層GaP基板を作製し、次に前記
多層GaP基板上にn型GaP層、窒素ドープn型Ga
P層及びp型GaP層をメルトバック法により順次積層
してGaP系発光素子基板を製造する方法において、前
記n型GaPバッファ層中にドープされる硫黄(S)濃
度を5×1016[atoms/cc]以下になるよう
に多層GaP基板を作製するものである。
力を高くするためには、窒素ドープn型GaP層(すな
わち発光領域)の実効ドナー濃度[(ドナー濃度
(ND))−(アクセプター濃度(NA))]を低く(2
×1016[atoms/cc]以下に)する必要があ
る。通常、上記NAは1×1016[atoms/cc]
程度であるので、NDは3×1016[atoms/c
c]以下に相当する。
板上にn型GaPバッファ層を形成してなる多層GaP
基板上にメルトバック法で複数のGaP層を積層して発
光素子基板を製造する方法において、n型GaPバッフ
ァ層が含有するn型ドーパントとしてのSは、その濃度
を大きく減少することなく(約1/2に減少する程
度)、メルトバック法で成長した窒素ドープn型GaP
層に持ち越されることを見出したものである。それに対
し、他のn型ドーパント、例えばTeの場合、上記工程
を行うことにより、窒素ドープn型GaP層中のTe濃
度はn型GaPバッファ層中のTe濃度の約1/50に
減少する。
P層の実効ドナー濃度[ND−NA]を2×1016[at
oms/cc]以下(NDは3×1016[atoms/
cc]以下)にして高発光出力用の発光素子基板を製造
するには、n型GaPバッファ層中のS濃度を5×10
16[atoms/cc]以下にして、n型ドーパントの
総濃度を5×1016〜3×1017[atoms/cc]
にすることが必要であることも見出したものである。
方法の実施例について、図2に示す工程図を参照して説
明する。
℃でGaP多結晶及びn型ドーパントとなるTeを溶解
させたGa溶液16をn型GaP単結晶基板10上に配
置する。このGa溶液16は、後述するn型GaPバッ
ファ層11のn型ドーパントの総濃度が5×1016〜3
×1017[atoms/cc]となるようにTeが添加
されている1060℃におけるGaPの飽和溶液であ
る。
2S)をキャリアガスの水素(H2)とともに流しなが
ら、前記Ga溶液16を含む系の温度を徐々に降温さ
せ、Ga溶液16に溶解しているGaPをn型GaP単
結晶基板10上に析出させる。このようにして、Te及
びSがドープされたn型GaPバッファ層11がn型G
aP単結晶基板10上に形成された多層GaP基板15
が作製される(図2(b))。
GaP基板15上にn型ドーパントを添加しないGa融
液17を配置する。この時の温度は600℃に設定す
る。
1000℃まで昇温させる。すると、n型GaPバッフ
ァ層11の上部は徐々にGa融液17に溶解して、この
Ga融液17は1000℃におけるGaPの飽和溶液
(Ga溶液17a)となる。なお、この時、n型GaP
バッファ層11中に含まれるTe及びSも前記Ga溶液
17aに溶解する(図2(d))。
(Te、S)がドープされたn型GaP層12を成長さ
せた後(図2(e))、NH3をキャリアガスのH2とと
もに前記系内に流しながら、さらに温度を降温させてn
型GaP層12上に窒素(N)及びn型ドーパント(T
e、S)がドープされた窒素ドープn型GaP層13が
形成される(図2(f))。
トした系の温度を700℃程度に昇温させ、引き続き降
温を行う。これにより、ZnがキャリアガスのH2とと
もに流れ、Znがドープされたp型GaP層14が窒素
ドープn型GaP層13上に形成される(図2
(g))。
10上に、n型GaPバッファ層11、n型GaP層1
2、窒素ドープn型GaP層13及びp型GaP層14
が順次積層された発光素子基板が作製され、この発光素
子基板を素子化することにより緑色発光する発光ダイオ
ードが得られる。
光領域)の実効ドナー濃度[ND−NA]を種々の値にし
てGaP系発光素子基板を製造した場合の、これらから
作製した発光ダイオードの発光出力(相対値)と実効ド
ナー濃度との関係を示したものである。図から分かるよ
うに、高発光出力の緑色発光GaP系発光ダイオード
(発光出力(相対値)10以上)を得るには、前記窒素
ドープn型GaP層中の実効ドナー濃度を2×10
16[atoms/cc]以下(NDが3×1016[at
oms/cc]以下に相当)にする必要がある。
濃度を種々の値にした前記多層GaP基板15を用いて
メルトバック法にて発光素子基板を製造した場合の、窒
素ドープn型GaP層13中のS濃度とn型GaPバッ
ファ層11中のS濃度との関係を示したものである。な
お、比較のためTeの場合も同図に示した。
層11中に含有するSは、その濃度を大きく減少するこ
となく(約1/2に減少する程度)窒素ドープn型Ga
P層13(発光領域)に持ち越される。それに対し、T
eの場合、窒素ドープn型GaP層13中のTe濃度は
n型GaPバッファ層11中のTe濃度の約1/50に
減少する。(例えば、n型GaPバッファ層11中のT
e濃度が2.5×10 17[atoms/cc]の場合、
窒素ドープn型GaP層13中のTe濃度は約5×10
15[atoms/cc]となる)。そして、窒素ドープ
n型GaP層13中のn型ドーパントの総濃度、すなわ
ちNDを3×1016[atoms/cc]以下にするに
は、上記n型GaPバッファ層11中のS濃度を5×1
016[atoms/cc]以下にして、n型ドーパント
の総濃度(例えば、S濃度とTe濃度の総和)を5×1
016〜3×1017[atoms/cc]にする必要があ
る。
濃度を種々の値にした前記多層GaP基板を用いてメル
トバック法にてGaP系発光素子基板を製造した場合
の、これらから作製した発光ダイオードの発光出力(相
対値)とn型GaPバッファ層11中のS濃度との関係
を示す。図から分かるように、高発光出力の緑色発光す
るGaP系発光ダイオード(発光出力(相対値)10以
上)は、前記n型GaPバッファ層11中のS濃度を5
×1016[atoms/cc]以下にすることにより達
成できる。
n型ドーパント濃度の十分低い窒素ドープn型GaP層
を含むGaP系発光素子基板を得ることができるので、
この基板を用いて製造した緑色発光GaP系発光ダイオ
ードは十分高い発光出力が得られるという効果がある。
断面図である。
けるGaP層の成長方法の一実施例を示す工程図であ
る。
ナー濃度[ND−NA]を種々の値にしてGaP系発光素
子基板を製造した場合の、これらから作製した発光ダイ
オードの発光出力(相対値)と実効ドナー濃度との関係
を示す図である。
した多層GaP基板を用いてメルトバック法にて発光素
子基板を製造した場合の、窒素ドープn型層中のS濃度
とn型GaPバッファ層中のS濃度との関係を示す図で
ある。
した多層GaP基板を用いてメルトバック法にてGaP
系発光素子基板を製造した場合の、これらから作製した
発光ダイオードの発光出力(相対値)とn型GaPバッ
ファ層中のS濃度との関係を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 n型GaP単結晶基板上にn型GaPバ
ッファ層を形成してなる多層GaP基板上にさらにn型
GaP層、窒素ドープn型GaP層及びp型GaP層を
メルトバック法により順次積層してなるGaP系発光素
子基板において、前記n型GaPバッファ層中にドープ
された硫黄(S)濃度が5×1016[atoms/c
c]以下であることを特徴とするGaP系発光素子基
板。 - 【請求項2】 前記窒素ドープn型GaP層中の硫黄
(S)濃度が前記n型GaPバッファ層中にドープされ
た硫黄(S)濃度の約半分である請求項1に記載QaP
系発光素子基板。 - 【請求項3】 前記n型GaPバッファ層は前記硫黄
(S)以外に他のn型ドーパントがドープされており、
前記n型GaPバッファ層中のn型ドーパント濃度が5
×10 16 〜3×10 17 [atoms/cc]である
請求項1に記載のGaP系発光素子基板。 - 【請求項4】 前記n型GaPバッファ層中のn型ドー
パント濃度が5×10 16 〜3×10 17 [atoms
/cc]であり、前記窒素ドープn型GaP層中の実効
ドナー濃度が2×10 16 [atoms/cc]以下で
あることを特徴とする請求項1に記載のGaP系発光素
子基板。 - 【請求項5】 n型GaP単結晶基板上にn型GaPバ
ッファ層を形成してなる多層GaP基板を作製し、次に
前記多層GaP基板上にn型GaP層、窒素ドープn型
GaP層及びp型GaP層をメルトバック法により順次
積層してGaP系発光素子基板を製造する方法におい
て、前記n型GaPバッファ層中にドープされる硫黄
(S)濃度を5×10 16 [atoms/cc]以下と
することを特徴とするGaP系発光素子基板の製造方
法。 - 【請求項6】 前記n型GaPバッファ層に硫黄(S)
以外に他のn型ドーパントを同時にドープし、前記n型
GaPバッファ層中のn型ドーパント濃度を5×10
16 〜3×10 17 [atoms/cc]とするもので
ある請求項3に記載のGaP系発光素子基板の製造方
法。
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