JP3633806B2 - エピタキシャルウエハ及び、これを用いて製造される発光ダイオード - Google Patents

エピタキシャルウエハ及び、これを用いて製造される発光ダイオード Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燐化砒化ガリウム等からなるエピタキシャルウエハ及び、これを用いて製造される発光ダイオード(LED)に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体結晶を構成材料とする発光ダイオードは、表示用素子として現在幅広く用いられている。特に、III−V族化合物半導体は、ほとんどの発光ダイオードの材料として用いられている。
【0003】
すなわち、III−V族化合物半導体は、可視光、赤外光の波長に相当するバンドギャップを有するため、発光素子への応用がなされてきた。その中でも燐化砒化ガリウム(GaAsP)は、発光ダイオード用材料として需要は大きい。
【0004】
発光ダイオードの特性は、発光出力が最も重要である。したがって、燐化砒化ガリウム(GaAsP)に対する発光特性の向上が要求されてきた。燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)0.45<x<1を発光層とする発光ダイオードは、発光効率を上げるためにアイソエレクトロニック・トラップとして窒素(N)をドープして光出力を10倍程度向上させている。
【0005】
一般には石英製のリアクタを用いた気相成長法により、単結晶基板にn型のエピタキシャル層を成長した後に、発光層表面に亜鉛(Zn)を拡散してp型の層を形成してpn接合が形成されるエピタキシャルウエハを用い、安定な発光ダイオードを得るようにしている。
【0006】
図4に発光ダイオードの製造に用いられる燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハの一般的な層構造を示す。かかる層構造は、例えば、特開平9−186361号公報に記載されているものと同様である。
【0007】
なお、特開平9−186361号公報に記載されている技術は、n型キャリア濃度の膜厚方向プロファイルと、n型キャリア濃度と窒素濃度の組み合わせの一提案である。
【0008】
図4において、例として、単結晶基板20が燐化ガリウム(GaP)である場合を説明する。n型の燐化ガリウム(GaP)の単結晶基板20上に、当該基板20と同一組成のホモ層24がエピタキシャル成長されている。
【0009】
さらに、ホモ層24上に、単結晶基板20と最上層の格子定数の差を緩和するための混晶比xが層厚方向に連続的に1.0〜x0まで変化された燐化砒化ガリウム(GaAs1−xx)グレード組成層21、混晶比を一定とする燐化砒化ガリウム(GaAs1−x0x0)一定組成層22、更にこの燐化砒化ガリウム(GaAs1−x0x0)一定組成層22の上に窒素(N)がドープされた燐化砒化ガリウム(GaAs1−x0x0)低キャリア濃度一定組成層23が順次エピタキシャル成長により形成されている。
【0010】
エピタキシャルウエハの最上層である低キャリア濃度一定組成層23が発光層となり、発光ダイオードの発光波長を得るための一定組成x0を持ち、窒素Nと、n型のドーパントであるテルル(Te)又は、硫黄(S)を所定のキャリア濃度になるようにドープしている。
【0011】
通常は赤色発光(波長640nm)用としては、x0=約0.60である。窒素(N)は燐化砒化ガリウム(GaAsP)中にドープされると発光センターとなるアイソエレクトロニック・トラップとなる。
【0012】
アイソエレクトロニック・トラップは電気的には不活性でキャリア濃度には寄与しない。発光層23に窒素(N)をドープすることで発光効率を約10倍高めている。
【0013】
この様に、n型の単結晶基板20上にn型のエピタキシャル層16を形成してなる燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハを発光ダイオードとするためには、pn接合を形成することが必要である。
【0014】
通常、n型のエピタキシャル層表面に亜鉛Znを熱拡散してpn接合を形成するが、p型のドーパントを導入しながら、p型の燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャル層を表面に新たに形成することも可能である。
【0015】
ここで、発光層の結晶の完全性が破壊されるのを最小限にとどめ、注入されたキャリアの寿命を長くして高光出力の発光ダイオードを得るためには、キャリア濃度を3.5〜8.8×1015cm−3の範囲に収めれば良いことが開示されている(特公昭58−1539号公報)。
【0016】
さらにキャリア濃度を3×1015cm−3以下にすれば、光出力の向上と長寿命化が同時に実現できる(特開平6−196756号公報)。ただし、その後の検討の結果、0.5×1015cm−3以下となると、発光ダイオードの順方向電圧が増加し、不良を生じる場合があることが判明しており、これ以上のキャリア濃度であることが好ましい。
【0017】
発光層23以外のエピタキシャル層は発光ダイオード化したときの抵抗を低減するために、0.5〜5×1017cm−3程度のキャリア濃度とすることが一般的である。これ以下では発光ダイオードの順方向電圧の増加を招き、これ以上であれば、キャリア濃度の増加に従い結晶欠陥が増加して発光した光が吸収され、発光ダイオードの光出力の低下を招く。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
これまでは概ね上記図4の層構造において、発光層23のキャリア濃度を最適化することで高光出力化を実現してきた。しかし、需要の多様化により、さらに一層の高光出力化が要求されている。すなわち、これまでの技術の進歩により高光出力が得られているが、更なる発光ダイオードの光出力の向上が必要となった。
【0019】
したがって、本発明の目的は、一層の高光出力を実現し得る発光ダイオード及びその材料となる燐化砒化ガリウムエピタキシャルウエハ及び、これを用いて製造される発光ダイオードを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討の結果、発光ダイオードの光出力を向上させるには、通電電流がpn接合部分に効率的に拡がることで、発熱を効果的に押さえながら、pn接合全体で効率よく発光させ、かつエピタキシャル層による光吸収を抑えれば良いと考えた。そして、そのためのキャリア濃度プロファイルをより理想的な形に求めることを考えた。
【0021】
すなわち、図4の例で考えれば、pn接合17での電流拡がりを良くして発熱を抑制するためには、発光ダイオードの直列抵抗分による発熱を抑えることである。
【0022】
発光ダイオード化するためにp型ドーパントであるZnを発光層である低キャリア濃度一定組成層23内に拡散したとき、キャリア濃度が1×1019cm−3以上となるようにドープされるので、p型の層の比抵抗は問題にならない。
【0023】
発光層は前述の通り、高い光出力を得るためには9×1015cm−3以下の範囲以外の濃度にドープすることは困難である。本発明者の検討の結果、燐化砒化ガリウム(GaAsP)結晶は混晶であるため、同じキャリア濃度であれば、燐化ガリウム(GaP)や砒化ガリウム(GaAs)の単結晶基板よりも数倍比抵抗が高いことが明らかになった。特にグレード組成層21は結晶欠陥密度が高くなるため、比抵抗がさらに高くなる。
【0024】
pn接合17の発熱による温度上昇を効率的に抑え、直列抵抗を低下させるためには、発光層以外の層のキャリア濃度を高めれば良いが、キャリア濃度が高いと発光した光を吸収しやすくなるという問題があった。
【0025】
したがって、同じキャリア濃度では比抵抗が高くなるグレード組成層21内でキャリア濃度を効果的に高めて、さらにキャリア濃度が高い領域はできるだけpn接合から離すようにすれば良いとの考えに至った。
【0026】
すなわち、本発明に従うエピタキシャルウエハの要旨は、n型の単結晶基板20上に、n型の燐化砒素ガリウム(GaAs1−x)エピタキシャル層を有してなる燐化砒素ガリウムエピタキシャルウエハにおいて、当該エピタキシャル層16は、少なくともグレード組成層21及び一定組成層22及び23からなる。
【0027】
グレード組成層21のキャリア濃度20は、グレード組成層内の終点から2μm以上離れたグレード組成層内(始点を含む)で最大値を有するキャリア濃度プロファイルを有することを特徴とする。なお、本願明細書において、グレード組成層等のエピタキシャル層の始点と終点とは、それぞれ層の成長開始点及び成長終了点を意味する。
【0028】
一の態様として、前記n型のキャリア濃度の最大値は、2〜30×1017cm−3であり、かつ前記一定組成層内には、キャリア濃度が少なくとも9×1015cm−3以下の低キャリア濃度領域を有することを特徴とする。
また別の態様として、前記一定組成層内に有する低キャリア濃度領域は2μm以上を有することを特徴とする。
【0029】
さらに、好ましい態様として、前記n型のキャリア濃度が最大値をとる位置は、前記低キャリア濃度領域より5μm以上離れていることを特徴とする。
また、好ましい態様として、前記グレード組成層の層厚が5〜120μmであり、前記低キャリア濃度領域は層厚が2〜60μmであることを特徴とする。
【0030】
また、前記低キャリア濃度領域はGaAs1−x(0.45<x<1)からなり、少なくとも窒素がドープされていること特徴とすることがこのましい。
【0031】
さらに、好ましくは、前記エピタキシャル層はGaAs1−x(0<x<1)であることを特徴とする。
【0032】
一の態様として、前記単結晶基板が、GaAs基板又は、GaP基板からなることを特徴とする。
【0033】
さらに、発光ダイオード材料として、前記n型の化合物半導体エピタキシャル層上に、更にp型の化合物半導体エピタキシャル層を形成してpn接合を有してなることを特徴とする。
【0034】
好ましくは、前記p型の化合物半導体エピタキシャル層は、n型の化合物半導体エピタキシャル層にZnを拡散して形成されることを特徴とする。
【0035】
さらに、本発明に従う発光ダイオードは、前記特徴を有するエピタキシャルウエハであって、前記単結晶基板の裏面及び、前記p型の化合物半導体エピタキシャル層表面に電極を形成してなるエピタキシャルウエハから切り出され、作成されることを特徴とする。
【0036】
本発明の更なる特徴は、以下の本発明の実施の形態の説明から明らかになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従うエピタキシャルウエハ及び、これを用いた発光ダイオードの実施の態様を説明する。
【0038】
図1は、本発明のエピタキシャルウエハの燐化砒化ガリウムエピタキシャルウェハの層構成の断面説明図である。図1において、単結晶基板10として、燐化ガリウムGaP又は、砒化ガリウムGaAsの何れかが選択される。
【0039】
但し、発光層となる低キャリア濃度領域13が燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)0.45<x<1からなる場合は、単結晶基板10は燐化(GaP)であることが、発光ダイオードの発光色に対して透明であり、発光ダイオードとして高い光出力を得るために好ましい。
【0040】
単結晶基板10上に、エピタキシャル層が成長される。このエピタキシャル層は、構成元素としてガリウム(Ga)、砒素(As)及び、燐(P)を構成元素とする化合物半導体から選択される。燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)0<x<1が、発光ダイオード用途としてもっとも一般的である。
【0041】
前記エピタキシャル層は、少なくともグレード組成層11及び、一定組成層12からなる。本発明において、グレード組成層11は、基板10または、基板10と同じ組成のエピタキシャル成長で形成したホモ層14上に形成され、直下の基板10又は、ホモ層14の組成から、一定組成層12の開始点の組成まで、連続的或いは段階的に組成が変化していく層のことである。
【0042】
グレード組成層11は、基板10と一定組成層12の格子定数の差によって一定組成層内に生じるミスフィット転位を抑制して、結晶欠陥が少ない良質の一定組成層を得ようとするものである。
【0043】
一方、一定組成層12は組成が一定である層のことで、組成はできる限り一定であることが好ましい。
【0044】
一定組成層12の燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)に関して、連続的或いは階段上であっても、その変化は一定組成層12の平均に対し±0.05以内の変化であることが、ミスフィット転位等の結晶欠陥を抑制出来るので好ましい。±0.02以内の変化であれば、高光出力の発光ダイオードが安定に得られるので、更に好ましい。
【0045】
一方、燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)0<x<1エピタキシャル層を、キャリア濃度でなく、組成の観点から見た場合、図1において、グレード組成層11及び一定組成層12を有する。
【0046】
単結晶基板10と同じ結晶であるホモ層14は特に形成しなくとも可能である。しかし、ミスフィット転位の発生を抑制するためにホモ層14を0.1〜100μm、好ましくは0.5〜15μm形成した方が、安定に高輝度が得られ好ましい。ホモ層14のキャリア濃度は、概ねグレード組成層11の成長開始点のキャリア濃度と概ね同じかまたはそれ以上であることが好ましく、その範囲は2〜50×1017cm−3である。
【0047】
グレード組成層11の層厚は、好ましくは5〜120μmであるが、高出力を安定に得るためにはより好ましくは10〜70μmである。グレード組成層11のキャリア濃度は、前記のように、終点から2μm以上離れたグレード組成層内のいずれかの位置で最大となって、次にグレード組成層11の終点に向かって減少する。
【0048】
本発明の特徴として、前記グレード組成層11のキャリア濃度は、グレード組成層内のいずれかの位置で最大となって、次にグレード組成層の終点に向かって減少する。キャリア濃度が最大となる点は、グレード組成層の始点から厚み方向に80%以内の地点が好ましく、高光出力を得るためには60%以内の地点であれば更に好ましい。なお、最大キャリア濃度を示す位置は必ずしも一定である必要はなく、厚みにして1〜10μm程度、最大のキャリア濃度が保持されていてもよい。そして、隣接する一定組成層12の任意の位置におけるキャリア濃度は、グレード組成層内のキャリア濃度の最大値より低くなるキャリア濃度プロファイルである。
【0049】
隣接する一定組成層12の任意の位置におけるキャリア濃度はグレード組成層内のキャリア濃度の最大値より低くなるキャリア濃度プロファイルとする。
【0050】
前記グレード組成層11のキャリア濃度は、概ね0.5×1017cm−3以上、好ましくは1×1017cm−3以上であり、最大値は2〜30×1017cm−3であることが好ましい。そして、グレード組成層11のキャリア濃度の最大値は、グレード組成層11の始点から概ねグレード組成層中央であることが最も好ましい。
【0051】
発光ダイオードを形成したときの順方向電圧を低く、均一にするためには上記グレード組成層11のキャリア濃度の最大値を5〜20×1017cm−3であれば、更に好ましい。しかし、キャリア濃度の最大値が、30×1017cm−3以上であると、結晶性が悪化してエピタキシャル層表面に結晶欠陥が発生したり、発光ダイオードの光出力の低下を生じる等の問題が生じ、好ましくない。
【0052】
pn接合との距離は、上記キャリア濃度の最大となる位置から5μm以上あれば良いが12μm以上離れていることが、光出力を高くでき好ましい。
【0053】
さらに、図1において、高キャリア濃度領域15と低キャリア濃度領域13からエピタキシャル層が形成されると見た場合、低キャリア濃度領域13とグレード組成層11の間の一定組成層12内のキャリア濃度は、グレード組成層11の最大値よりも低く、好ましくはグレード組成層11の終点でのキャリア濃度とほぼ同じか、それ以下であり、低キャリア濃度領域13以上であることが好ましい。
【0054】
グレード組成層11内で発生したミスフィット転位等の結晶欠陥の影響を少なくするためには、図1の様に、高キャリア濃度領域15と低キャリア濃度領域13の境界が一定組成層12内にあることが好ましく、特に、高キャリア濃度領域15の表面側2〜40μm程度が一定組成であることが好ましい。
【0055】
ここで、任意の位置でのキャリア濃度は、少なくともグレード組成層11内のキャリア濃度の最大値より低いことが好ましい。そうでないと、pn接合が形成される低キャリア濃度領域13の近くに光吸収が大きい領域を設けることになり、光出力が低下しやすいためである。
【0056】
低キャリア濃度領域13は、平均キャリア濃度が9×1015cm−3以下が好ましいが、0.5×1015cm−3以下になるとキャリア濃度の制御が困難となったり、比抵抗が高くなって発光ダイオードの順方向電圧の増加を招くことがある。したがって、好ましい平均キャリア濃度は0.5〜9×1015cm−3である。
【0057】
また、層厚は2μm以上である。ただし、この層厚は、その上にp型のエピタキシャル層を更に成長して形成する場合、或いは既にかかるp型層が形成されている場合における必要最小限の厚さであって、p型ドーパントの拡散によりpn接合を低キャリア濃度領域13内に形成する場合は、拡散深さが通常4〜15μmなので、低キャリア濃度領域13の層厚は5μm以上必要で、好ましくは8〜60μmである。
【0058】
60μmを超えると高キャリア濃度領域15から離れすぎるので好ましくない。即ち、pn接合は、低キャリア濃度領域13を2〜45μm程度残す様に形成するのが好ましい。
【0059】
低キャリア農度領域13を有する一定組成層12の組成が燐化砒化ガリウム(GaAs1−x)0.45<x<1の場合、間接遷移型バンド構造を持つので、発光効率を高めるため、例えば、特開平9−186361号公報に記載されるように、少なくとも低キャリア濃度の一定組成層内には、窒素をドープすることが一般的である。
【0060】
低キャリア濃度領域13内の一定組成層はエピタキシャル層表面に隣接させてエピタキシャル成長した後、前記表面からp型の導電型のドーパント、通常はZnを低キャリア濃度領域13内の一定組成層に拡散させることにより、pn接合を形成する。
【0061】
燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハは、通常は気相成長法により製造されるが、前述した様に、低キャリア濃度の一定組成層13を成長して、その成長途中から、成長ガス中にp型ドーピングガスとしての有機金属ガス、例えばZnをジエチル亜鉛((CZn)を導入することで、Znをドープしてpn接合を形成してもよい。
【0062】
グレード組成層11は、連続的な組成変化を有する場合だけではなく、複数の階段状の組成変化を有する場合であっても、エピタキシャル層の比抵抗は、主にキャリア濃度で決定されるため効果は同じである。
【0063】
エピタキシャル層内のキャリア濃度プロファイルの測定方法は、エピタキシャル層を斜めに研磨した後、ショットキーバリアダイオードをその表面に作製し、C−V法によって測定できる。
【0064】
また日本バイオ・ラッドラボラトリーズ社のセミコンダクタ・プロファイル・プロッタPN4300の様に、直接エピタキシャル層を電解液でエッチングしながら測定する方法でも同様に測定できる。
【0065】
製造手法はハイドライド法が量産性、実用化の面で最も有効である。クロライド法や有機金属気相法(MOCVD)でも効果は同じである。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。
(実施例1及び比較例1、2)
本発明の実施例1を説明すると、先ず燐化ガリウム(GaP)基板及び、高純度ガリウム(Ga)を、Ga溜め用石英ボ−ト付きのエピタキシャル・リアクタ−内の所定の場所に、それぞれ設置した。
【0067】
燐化ガリウム(GaP)基板として、硫黄(S)が2〜10×1017原子個/cm添加され、直径約50mmの円形で、(100)面から[001]方向に10゜偏位した面を有するものを用いた。
【0068】
これらを、同時に回転するホルダー上に配置した。次に窒素(N)ガスを該リアクタ−内に15分間導入し、空気を充分置換除去した後、キャリヤ・ガスとして高純度水素(H)を毎分9600cc導入し、窒素(N)の流れを止め、昇温工程に入った。
【0069】
上記ガリウム(Ga)入り石英ボ−ト設置部分及び、燐化ガリウム(GaP)単結晶基板設置部分の温度が、それぞれ800℃及び850℃に一定に保持されていることを確認した後、ピーク発光波長588±3nm(黄色)のGaAs1−xエピタキシャル膜の気相成長を開始した。
【0070】
まず、水素ガスで100ppmに希釈したn型不純物であるジエチルテルル((CTe)を毎分30cc導入し、周期律表第III族元素成分としての塩化ガリウム(GaCl)を、毎分369cc生成させるため高純度塩化水素ガス(HCl)を上記石英ボ−ト中のGa溜に吹き込み、Ga溜上表面より吹き出させた。
【0071】
他方、周期律表第V族元素成分として、Hで濃度10%に希釈した燐化水素(PH)を毎分1120cc導入しつつ、20分間にわたり、第1の層(図1におけるホモ層14)であるGaPエピタキシャル層をGaP単結晶基板上に成長させた。
【0072】
次に、HCl、PHの各ガスの導入量を変えることなく、90分間にわたり、H2で濃度10%に希釈した砒化水素(AsH)の導入量を毎分0ccから毎分110ccまで徐々に増加させて、同時に(CTeの最初の20分で一旦75ccに徐々に増加させた後で、30毎分30ccまで徐々に減少させて、図1のグレード層11に対応する第2のGaAs1−xエピタキシャル層を第1のGaPエピタキシャル層上に成長させた。
【0073】
次の20分間は、(CTe、HCl、PH、AsHの導入量を変えることなく、保持しつつ、図1の一定組成層12に対応する第3のGaAs0.40.6エピタキシャル層を、第2のGaAs1−xエピタキシャル層上に成長させた。
【0074】
最終の50分間は(CTeを毎分0.5cc導入することで、第4の層(図1におけるGaAs1−x0Px0Nドープ一定組成層13)である低ドープ層のキャリア濃度になるようにして、HCl、PH、AsHの導入量を変えることなく導入しながら、これに窒素アイソエレクトロニック・トラップ添加用として従来用いられている高純度アンモニア・ガス(NH)を毎分420cc導入することで添加した。これにより、第4のGaAs1−xエピタキシャル層を第3のGaAs1−xエピタキシャル層上に成長させ、成長を終了した。
【0075】
エピタキシャル膜の上記第1、第2、第3、第4のエピタキシャル層の膜厚はおおよそ、それぞれ5μm、28μm、7μm、20μmであった。
【0076】
第4のエピタキシャル層のキャリア濃度は、拡散前のエピタキシャルウエハ表面にショットキーバリアダイオードを作製して、C−V法によって測定し、キャリア濃度は3×1015cm−3であった。
【0077】
高ドープ層である第1、第2、第3のエピタキシャル層のキャリア濃度はエピタキシャル層をラッピングとエッチングによって約1゜の角度で斜めに除去したあとショットキー・バリアダイオードをその表面に作製し、C−V法によって測定した。
【0078】
図2は、本発明と後に説明する比較例のキャリア濃度プロファイルである。横軸に基板とエピタキシャル層境界からの距離を示し、縦軸にキャリア濃度を示している。図2において、◆は実施例1、□は比較例1、△は比較例2を示す。
【0079】
上記実施例1を測定したところ、図2に示す通り、第2、第3の層はキャリア濃度は第1の層から6μmの、第2の層内のところで最大値のキャリア濃度4×1017cm−3となり、徐々に減少して第3の層で1.5×1017cm−3で概ね一定になっていた。
【0080】
成長したエピタキシャルウエハを拡散源であるZnAsとともに何もコーティングしないで石英アンプル内に真空封入させて、760℃の温度でp型不純物であるZnを表面から4μmの深さまで拡散した。光出力は図3に示す形態の発光ダイオード化して測定し、光出力は24であった。
【0081】
比較例1は従来の方法、比較例2は発光層の近くでキャリア濃度を高めた場合の例として示す。比較例1、2において、第2の層から第3の層のエピタキシャル成長における(CTeの導入量を、毎分30cc一定とした(比較例1)。さらに、第2の層の成長の間に毎分30ccから75ccに徐々に増加させ、第3の層では毎分90cc一定とした(比較例2)。これ以外の処理は、実施例1と同様にして、更に追加して合計2回エピタキシャル成長を繰り返した。
【0082】
すべてエピタキシャル層の膜厚および第4の層のキャリア濃度は実施例1とほぼ同じであった。測定の結果、比較例1では、第2の層と第3の層でキャリア濃度は1.5×1017cm−3で概ね一定になっていた。
【0083】
また、比較例2では、図2に示す通り、第2の層内でキャリア濃度は1.5×1017cm−3からで8×1017cm−3まで徐々に増加して第3の層でも8×1017cm−3で概ね一定になっていた。
【0084】
これら比較例1,2を発光ダイオード化して光出力を測定したところ、比較例1で20、比較例2では17あった。この比較により本発明では、従来の手法の比較例1に対して20%光出力が高くなった。また、比較例2のように発光層の近くのキャリア濃度を高めた場合は、従来手法より逆に15%輝度が低下した。したがって、実施例1は比較例2の40%も光出力が高くなる。
【0085】
図4は、上記のように製造された燐化砒化エピタキシャルウエハの実施例を用いて作製された発光ダイオードの断面形状である。図4に示す様に、基板10上に形成されたエピタキシャル層16中にpn接合17を形成したエピタキシャル層表面Aと、燐化ガリウム(GaP)基板10裏面Bにそれぞれオーミック電極18、19が形成される。さらに、これを素子分離して発光ダイオードが製造される。
【0086】
【発明の効果】
上記に詳細に説明した様に、本発明によれば、燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハが作製され、特に高い光出力をもつ発光ダイオードを実現できる。本発明は、単結晶基板として、燐化ガリウム(GaP)を例にとったが、砒化ガリウム(GaAs)でも効果は同じである。
【0087】
これにより、燐化砒化ガリウム(GaAsP)の発光ダイオード需要の増加が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燐化砒化ガリウムエピタキシャルウェハの層構成の断面説明図である。
【図2】本発明の実施例と比較例のエピタキシャル層のキャリア濃度プロファイルである。
【図3】燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハから作製される発光ダイオードの構成の断面説明図である。
【図4】発光ダイオードの製造に用いられる燐化砒化ガリウム(GaAsP)エピタキシャルウエハの一般的な層構造を示す図である。
【符号の説明】
10:単結晶基板、11:グレード組成層、12:一定組成層、13:低キャリア濃度領域、14:ホモ層、15:高キャリア濃度領域、16:エピタキシャル層、17:pn接合、18、19:電極、20:GaP単結晶基板、21:GaAs1−xグレード組成層、22:GaAs1−x0x0一定組成層、23:窒素ドープGaAs1−x0x0低キャリア濃度一定組成層、24:GaPホモ層

Claims (13)

  1. n型の単結晶基板上に、Ga、As及び、Pを構成元素とするn型化合物半導体エピタキシャル層を有してなるエピタキシャルウエハにおいて、
    該n型化合物半導体エピタキシャル層は、少なくともグレード組成層及び、一定組成層からなり、該エピタキシャル層のn型のキャリア濃度は、該グレード組成層内で最大値となり、該グレード組成層の終点に向かって減少するプロファイルであることを特徴とするエピタキシャルウエハ。
  2. 前記n型のキャリア濃度の最大値は、前記グレード組成層内の終点から2μm以上離れたグレード組成層内に存在することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウエハ。
  3. 前記n型のキャリア濃度の最大値は、2〜30×1017cm−3であり、かつ前記一定組成層内には、キャリア濃度が少なくとも9×1015cm−3以下の低キャリア濃度領域を有することを特徴とする請求項1又は、2に記載のエピタキシャルウエハ。
  4. 前記一定組成層内に有する低キャリア濃度領域は2μm以上を有することを特徴とする請求項3に記載のエピタキシャルウエハ。
  5. 前記n型のキャリア濃度が最大値をとる位置は、前記低キャリア濃度領域より5μm以上離れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  6. 前記グレード組成層の層厚が5〜120μmであり、前記低キャリア濃度領域は層厚が2〜60μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  7. 前記低キャリア濃度領域はGaAs1−x(0.45<x<1)からなり、少なくとも窒素がドープされていること特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  8. 前記エピタキシャル層はGaAs1−x(0<x<1)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  9. 前記単結晶基板が、GaAs基板又は、GaP基板からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  10. 前記n型の化合物半導体エピタキシャル層上に、更にp型の化合物半導体エピタキシャル層を形成してpn接合を有してなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  11. 前記p型の化合物半導体エピタキシャル層は、気相成長によって形成してなるものであることを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャルウエハ。
  12. 前記p型の化合物半導体エピタキシャル層は、n型の化合物半導体エピタキシャル層に亜鉛を拡散して形成されることを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャルウエハ。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載のエピタキシャルウエハであって、前記単結晶基板の裏面及び、前記p型の化合物半導体エピタキシャル層表面に電極を形成してなるエピタキシャルウエハから切り出され、作成されることを特徴とする発光ダイオード。
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