JP2000164923A - エピタキシャルウエハおよび発光ダイオード - Google Patents

エピタキシャルウエハおよび発光ダイオード

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JP2000164923A
JP2000164923A JP36628298A JP36628298A JP2000164923A JP 2000164923 A JP2000164923 A JP 2000164923A JP 36628298 A JP36628298 A JP 36628298A JP 36628298 A JP36628298 A JP 36628298A JP 2000164923 A JP2000164923 A JP 2000164923A
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epitaxial
carrier concentration
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epitaxial layer
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Tadashige Sato
忠重 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力で超長寿命のLEDを実現し得るエピ
タキシャルウエハを提供すること。 【解決手段】 基板上に、Ga、AsおよびPを構成元
素として含む厚さ80μm以上の化合物半導体エピタキ
シャル層を有し、該エピタキシャル層中に窒素がドープ
されかつキャリア濃度が0.5〜9×1015cm-3の低
キャリア濃度領域が形成されていることを特徴とするエ
ピタキシャルウエハ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、りん化ひ化ガリウ
ムエピタキシャルウエハおよびそれを用いた発光ダイオ
ード(以下「LED」という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体結晶を構成材料とするLEDは、
表示用素子として現在幅広く用いられている。中でもII
I−V族化合物半導体は、ほとんどのLEDに構成材料
として用いられている。III−V族化合物半導体は可視
光や赤外光の波長に相当するバンドギャップを有するた
め、特に発光素子へ応用されてきた。その中でもGaA
sPは、LED用として需要が大きい。LEDにとっ
て、発光出力と寿命は最も重要な特性であり、これらの
特性をさらに向上させることが要求されている。
【0003】発光効率を上げるために、これまでGaA
1-xx(0.45<x<1)にアイソエレクトロニッ
クトラップとして窒素をドープすることによって、LE
Dの光出力を10倍程度向上させてきた。一般には石英
製のリアクタを用いた気相成長法により、N型の層だけ
成長した後に、発光層表面に亜鉛を拡散してP型の層を
形成してPN接合を形成し、これにより安定にLEDを
得る方法が用いられている。
【0004】図1はGaAsPエピタキシャルウエハの
一般的な構造を示すものである。図1のエピタキシャル
ウエハは、GaP基板1上に、基板と同一組成のホモ層
2、基板と最上層の格子定数の差を緩和するために組成
を1.0〜x0まで連続的に変化させたGaAs1-xx
グレード組成層3、GaAs1-x0x0一定組成層4、窒
素をドープしたGaAs1-x0x0Nドープ層5を順次形
成した構造を有している。エピタキシャルウエハの最上
層は発光層となり、LEDの発光波長を得るために一定
のx0値を有し、窒素とテルル(Te)または硫黄
(S)を所定のキャリア濃度になるようにドープしてい
る。x0の値は、通常は赤色発光(波長630nm)用
で約0.65である。窒素は発光センターとなるアイソ
エレクトロニックトラップとなるが、電気的には不活性
でキャリア濃度には寄与しない。
【0005】LEDとして実用化するためには、電気特
性を改善する必要がある。特開昭53−64488号公
報には、発光層となる部分のみをキャリア濃度1〜20
×1016cm-3にして、他のエピタキシャル層のキャリ
ア濃度を10×1016cm-3以上で発光層より高い値に
設定することにより、キャリア濃度に濃淡をつける構造
が開示されている。この公報の図面には、GaAsPエ
ピタキシャル層の厚さが、ウエハの一端で100μm、
他端で230μmである例が記載されている。
【0006】一方、発光層表面に亜鉛を拡散してPN接
合を形成する時に、発光層の結晶の完全性が破壊される
のを最小限にとどめ、注入されたキャリアの寿命を長く
して高光出力のLEDを得るためには、キャリア濃度を
3.5〜8.8×1015cm -3とすべきことが知られて
いる(特開昭55−9467号公報)。また、発光層の
キャリア濃度を一層低くして3×1015cm-3以下にす
ると、光出力の向上と長寿命化が同時に実現でき、更に
LED化したときの電気抵抗を少なくするために、発光
層以外の層のキャリア濃度が0.5〜5×1017cm-3
の高濃度になるようにTeやSをドープすることも知ら
れている(特開平6−196756号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年になってLEDの
用途が多様化してきたことに伴い、信頼性が極めて高い
LEDが特に要求されるようになっている。エピタキシ
ャル層のキャリア濃度プロファイルを最適化することに
よって長寿命化が図れることがこれまでの研究で明らか
になってきたが、更に長寿命化を図ろうとするとキャリ
ア濃度の最適化だけでは限界がある。
【0008】即ち、特開昭53−64488号公報に記
載されているようにキャリア濃度を濃淡2段階とする構
造は、LEDの電気的特性の改善には有効だが、発光層
となる低キャリア濃度層のキャリア濃度が1〜20×1
16cm-3であるために、現在要求される程度の長寿命
化と高輝度化を実現することはできない。また、特開平
6−196756号公報に記載されている様に、キャリ
ア濃度を濃淡2段とした上で、キャリア濃度の高い層の
キャリア濃度を0.5〜5×1017cm-3の高濃度とし
た場合も、寿命と光出力の改善はみられるが、現在要求
される様な水準には至らない。
【0009】本発明はこれらの従来技術の問題点を解決
することを課題とした。すなわち本発明は、高出力で超
長寿命のLEDを実現し得るエピタキシャルウエハを提
供することを解決すべき課題とした。また本発明は、高
出力で超長寿命のLEDを提供することも解決すべき課
題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、Ga、AsおよびPを
構成元素として含む化合物半導体エピタキシャル層内の
特定領域のキャリア濃度を最適化するとともに、該エピ
タキシャル層全体の厚さを80μm以上にすることによ
り、PN接合部分に加わる内部応力に好ましい影響が及
び、発光ダイオードの寿命が飛躍的に向上することを見
出して、本発明に到達した。
【0011】即ち、本発明は、基板上に、Ga、Asお
よびPを構成元素として含む厚さ80μm以上の化合物
半導体エピタキシャル層を有し、該エピタキシャル層中
に窒素がドープされかつキャリア濃度が0.5〜9×1
15cm-3の低キャリア濃度領域が形成されていること
を特徴とするエピタキシャルウエハを提供するものであ
る。
【0012】本発明のエピタキシャルウエハの化合物半
導体エピタキシャル層の厚さは200μm以下であり、
低キャリア濃度領域の厚さは2〜80μmであるのが好
ましい。また、化合物半導体エピタキシャル層の、ウエ
ハ面内における厚さの最大値と最小値の差は120μm
以下であるのが好ましい。低キャリア濃度領域以外の部
分の平均キャリア濃度は0.5〜5×1017cm-3であ
るのが好ましい。
【0013】また、化合物半導体エピタキシャル層はグ
レード組成層および一定組成層を含んでおり、低キャリ
ア濃度領域が該一定組成層内に存しているのが好まし
い。化合物半導体エピタキシャル層はGaAs1-x
x(0<x<1)エピタキシャル層であるのが好まし
く、xの範囲は0.45<x<1であるのがより好まし
い。また、一定組成層におけるxの値は0.45<x≦
0.95であるのが好ましい。特にグレード組成層にお
けるxが1.0からx0(0.45<x0≦0.95)ま
で連続的に変化しており、一定組成層のxがx0である
場合が好ましい。
【0014】本発明のエピタキシャルウエハの基板は単
結晶であるのが好ましく、特にGaAs単結晶またはG
aP単結晶であるのが好ましい。化合物半導体エピタキ
シャル層と基板との間には、該基板と同一組成のエピタ
キシャル層であるホモ層を有するのが好ましい。また、
低キャリア濃度領域内にはPN接合を有するのが好まし
い。化合物半導体エピタキシャル層の導電型はN型であ
るのが好ましく、その場合に、かかるエピタキシャルウ
エハであって、低キャリア濃度領域の厚さが10μm以
上であるエピタキシャルウエハに、エピタキシャル層表
面から該低キャリア濃度領域までP型ドーパントを拡散
し、該低キャリア濃度領域内にPN接合を形成するこ
と、または前記低キャリア濃度領域上に、更に導電型が
P型の一定組成層を気相成長することが好ましい。本発
明は、上記エピタキシャルウエハから製造されることを
特徴とする発光ダイオードも提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその具体的層構成
を説明する図2に沿って、詳細に説明する。基板10と
しては、その上にGa、AsおよびPを構成元素として
含む化合物半導体エピタキシャル層、即ち、通常はこれ
ら以外の元素をドーパント量を越えて含まないGaAs
1-xx(0<x<1)エピタキシャル層15を成長可能
なものであればその種類は特に制限されない。通常は単
結晶、中でもGaPまたはGaAsの何れかの単結晶基
板を選択するのが好ましいが、格子整合およびその上に
成長させる層の結晶性を考慮するとGaP単結晶基板を
選択するのがより好ましい。GaP単結晶基板は、Ga
As1-x0x0一定組成層12からの発色光に対して透明
であり、LEDとして高い光出力を得るためにも好まし
い。キャリア濃度は、一般に0.5〜30×1017cm
-3、好ましくは2〜10×1017cm-3である。
【0016】基板10とGaAsPエピタキシャル層1
5との間に形成され、基板10と同じ組成の結晶である
ホモ層14は、必ずしも形成する必要はない。ただし、
ミスフィット転位の発生を抑制するために、通常は0.
1〜100μm、より好ましくは0.5〜20μm形成
した方が、安定に高輝度が得られるので明らかに好まし
い。なお、ホモ層の組成は基板と同じであるため、後述
する内部応力の問題に対する影響は殆どない。キャリア
濃度は、おおむねグレード組成層11の成長開始時と同
じであることが好ましい。
【0017】GaAs1-xxエピタキシャル層15は、
通常、GaAs1-xxグレード組成層11とGaAs
1-x0x0一定組成層12を含む。これらの層のxの範囲
は0<x<1であり、0.45<x<1であるのが好ま
しい。また、x0の範囲は0.45<x0≦0.95であ
るのが好ましい。
【0018】グレード組成層11は、基板10または基
板10と同じ組成のホモ層14上に形成され、直下の基
板10またはホモ層14の組成から、一定組成層12の
開始点の組成まで、連続的或いは段階的に組成が変化す
る層である。グレード組成層11は、基板10と一定組
成層12の格子定数の差によって一定組成層内に生じる
ミスフィット転位を抑制して、結晶欠陥が少ない良質の
一定組成層の形成を可能にするものである。グレード組
成層11の厚さは、通常15〜150μm、好ましくは
20〜90μmである。グレード組成層11は、連続的
な組成変化だけでなく、複数の段階状の組成変化であっ
ても、エピタキシャル層の比抵抗は主にキャリア濃度で
決定されるため効果は同じである。
【0019】一定組成層12は、層内の組成がほぼ一定
である層のことであり、組成はできる限り一定であるこ
とが好ましい。一定組成層GaAs1-xoxoのGaP混
晶比xoは、連続的変化であるか段階状変化であるかを
問わず、その変化は一定組成層12全体のxoの平均値
から±0.05以内であることが、ミスフィット転位等
の結晶欠陥を抑制できるので好ましい。±0.02以内
の変化であれば、高光出力のLEDが安定に得られるの
で更に好ましい。
【0020】通常、一定組成層12の混晶比x0は、所
望の発光波長に対応する組成(例えば、波長590nm
の黄色発光ならx0=約0.9、波長630nmの赤色
発光ならx0=0.65、更に長波長の650nmの赤
色発光ならx0=0.55)とする。また、グレード組
成層11は、GaP基板10またはGaPホモ層14と
の界面から、GaAs1-x0xo一定組成層12との界面
にかけて混晶比xが1からx0まで一定割合で小さくな
るような組成とするのが好ましいが、これに限定される
ものではない。
【0021】一定組成層12の厚さは、グレード組成層
11内で発生したミスフィット転位等の結晶欠陥の影響
を少なくして、より結晶性の良い低キャリア濃度領域1
3を得るために、通常10〜120μm、好ましくは2
0〜90μmである。
【0022】グレード組成層11と一定組成層12を含
むGaAs1-xxエピタキシャル層の厚さは、80μm
以上、好ましくは100μm以上である。実際には、G
aAsP層の比抵抗は基板より高いため、厚さが厚いと
LEDの順方向電圧が増加してしまう。その点を考慮す
れば、GaAs1-xxエピタキシャル層の厚さは、20
0μm以下であるのが好ましく、150μm以下である
のがより好ましい。
【0023】低キャリア濃度領域13は、通常、一定組
成層内に形成され、キャリア濃度は0.5〜9×1015
cm-3である。0.5〜3×1015cm-3とすれば更に
長寿命・高輝度が得られるため好ましい。一方、0.5
×1015cm-3以下になるとキャリア濃度の制御が困難
になったり、比抵抗が高くなってLEDの順方向電圧の
増加を招くため好ましくない。
【0024】発光ダイオード用として用いる場合、Ga
As1-xxエピタキシャル層15は、殆どの場合導電型
をN型として成長させた後、亜鉛等のP型ドーパントを
表面から拡散させることにより低キャリア濃度領域内に
PN接合を形成するか、または低キャリア濃度領域の上
に更に導電型がP型の一定組成層を気相成長させること
によりPN接合を形成する。前者の場合、亜鉛等P型ド
ーパントを4〜15μm拡散させる必要があるため、低
キャリア濃度領域13の厚さは10μm以上であるのが
好ましい。後者の場合は、低キャリア濃度領域の厚さが
2μm以上あればよい。低キャリア濃度領域13が厚す
ぎるとLEDの順方向電圧の増加が生じるので80μm
以下、より好ましくは50μm以下であることが好まし
い。
【0025】なお、p型の層を気相成長した場合、p型
の層の混晶比は一定組成層12とおおむね同じであるこ
とが一般的である。GaAs1-xxエピタキシャル層1
5中の、発光層である低キャリア濃度領域13以外の部
分のキャリア濃度は、LED化したときの抵抗を低減す
るために0.5×1017cm-3以上、好ましくは1×1
17cm-3以上で、30×1017cm-3以下、好ましく
は5×1017cm-3以下とすることが一般的である。
0.5×1017cm-3未満ではLEDの順方向電圧の増
加を招き、30×1017cm-3を越えるとキャリア濃度
の増加に従い結晶欠陥が増加してエピタキシャルウエハ
の品質不良とともに、光の吸収によるLEDの光出力の
低下を招くことがある。
【0026】エピタキシャル層内のキャリア濃度分布
は、エピタキシャル層を斜めに研磨した後、ショットキ
ーバリアダイオードをその表面に作製してC−V法によ
って測定することができる。また、英国ポーラロン社の
シミコンダクタ・プロファイル・プロッタの様に、直接
エピタキシャル層を電解液でエッチングしながら測定す
る方法でも同様に測定することができる。
【0027】製造方法は有機金属気相成長法(MOCV
D)でも効果は同様であるが、ハロゲン輸送法、特にハ
イドライド法が量産性、実用性の面で最も有効である。
本発明では、GaAs1-xxエピタキシャル層15の層
厚を80μm以上とすることにより寿命向上の効果が得
られる。いかなる理論にも拘泥するものではないが、そ
のメカニズムは以下の通りであると推定される。
【0028】GaAsPはGaP単結晶基板上にエピタ
キシャル成長するが、これらは熱膨張係数が違ってい
る。エピタキシャル成長は通常高温で行われるため、冷
却過程でエピタキシャルウエハは湾曲してしまう。エピ
タキシャル層内には当然内部応力が発生する。内部応力
は結晶を歪ませ、結晶欠陥を発生させたり、デバイス性
能に様々な悪影響を与える。特に、PN接合部の応力が
大きいとLEDの劣化を生じさせる。内部応力を軽減す
るため、成長温度を室温まで下げることは不可能であ
る。また、同じ熱膨張係数になるGaAsP基板を得る
ことは、事実上不可能といって良い。
【0029】そこで本発明者は、エピタキシャル層の内
部応力による劣化の抑制を、理論計算から想定し、エピ
タキシャル層の厚さを最適化することで実現できること
を発見した。さらに、この発見にエピタキシャル層のキ
ャリア濃度を最適化することを組み合わせることによ
り、LEDの長寿命化を効率的に実現できることを見出
した。PN接合部分の内部応力が小さいことは重要なこ
とである。内部応力が発生した場合でも、エピタキシャ
ル層全体にわたって同じ応力が発生するのではなく、分
布が生じる。したがって、応力の分布を考慮して、エピ
タキシャルウエハの構造設計ができれば、PN接合部分
の内部応力を低減できると考えられる。
【0030】下記実施例の表1に示す測定点3につき、
各エピタキシャル層の組成と厚さから、熱膨張係数、ヤ
ング率及びポアソン比を求め、これらのパラメータから
内部応力を計算した。梁の理論からエピタキシャル層が
熱膨張係数の違う複数円形の板の張り合わせと仮定した
とき、成長温度と室温の温度差と引っ張り応力と圧縮応
力のモーメントの総和が0になるとして計算される。計
算に当たっては、混晶の熱膨張係数はGaAsとGaP
の熱膨張係数から混晶比によって線形補間した。同様
に、層3〜5の厚さ合計が30μmである場合と120
μmである場合のそれぞれについて内部応力を計算し
た。各エピタキシャル層の厚さとしては、その相対比が
表1に示す測定点3の場合と同様であるとして算出した
値を用いた。
【0031】図3に層厚の違いによる内部応力の分布を
示す。エピタキシャル層の厚さが厚ければ、普通に考え
ればエピタキシャルウエハのそりが大きくなり、内部応
力が大きくなると予想される。しかし内部応力の分布は
図3に示すとおり、エピタキシャル層内で大きくなるも
のの、逆にPN接合が形成されるエピタキシャル層表面
部分ではむしろ小さくなってくる。これはグレード組成
層と一定組成層の組成分布によるためであり、これらの
層の組み合わせ構造はエピタキシャル層表面部分の応力
低減に本質的な役割を果たしている。ホモ層はGaP基
板と同じになり、余り大きな効果は得られない。これに
よればむしろグレード組成層と一定組成層の合計の層厚
(GaAs1-xxエピタキシャル層の厚さ)は約80〜
150μm程度が良いことが予想される。なお、本発明
においては、Ga、AsおよびPを構成元素として含む
化合物半導体層の厚さが80μm以上あることが必要で
あるが、GaAs、GaP等のホモ層は、この厚さには
算入されない。
【0032】理論値に対して、実際にエピタキシャルウ
エハを用いてGaAs1-xxエピタキシャル層の厚さと
寿命の関係を調べたところ、GaAs1-xxエピタキシ
ャル層の厚さが約80μm以上で寿命の大きな向上が得
られた。GaAs1-xxエピタキシャル層の通電による
発熱は80μm以上あれば大きくなるが、層厚が厚くな
ることでGaP基板からの伝播転位の軽減ができ、発光
層の転位密度が低くなることによる効果が大きく、寿命
の劣化への影響は少なくなる。
【0033】なお、GaAs1-xxエピタキシャル層の
厚さは、ウエハ面内のどこかで80μm以上あればよい
が、ウエハ面内の全体で80μm以上であることがより
好ましい。GaAs1-xxエピタキシャル層の厚さの上
限は200μmであるのが好ましく、150μmである
のがより好ましい。これらの上限値の条件もウエハ面内
のどこかで達成されていればよいが、ウエハ面内の全体
で達成されていることが好ましい。また、ウエハ面内に
おけるGaAs1-xxエピタキシャル層の厚さの最大値
と最小値の差は120μm以下であるのが好ましく、1
00μm以下であるのがより好ましい。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、割合、操作等
は、本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更すること
ができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。
【0035】(実施例および比較例)GaP基板1上
に、GaPホモ層2、GaAs1-xx(x=1→0.3
5)グレード組成層3、GaAs0.350.65一定組成層
4、GaAs0.350.65窒素ドープ層5を有するエピタ
キシャルウエハを、以下の方法により製造した(図1参
照)。エピタキシャル成長用ガス組成はAsH3−PH3
−HCl−Ga−H2系、いわゆる、ハイドライド輸送
法を用いた。GaP単結晶基板および高純度ガリウム
(Ga)を、Ga溜め用石英ボ−ト付きのエピタキシャ
ル・リアクタ−内の所定の場所にそれぞれ設置した。G
aP基板として、硫黄(S)が3〜10×1017原子個
/cm3(キャリア濃度2〜10×1017cm-3)添加
され、直径約50mmの円形で、(100)面から[0
1−1]方向に6゜偏位した面をもつGaP基板を用い
た。ピーク発光波長630±3nm(赤色)のGaAs
1-xxエピタキシャル膜の気相成長を開始した。
【0036】石英製リアクタを用いて発光ピーク波長6
30nmの赤色発光ダイオード用りん化ひ化ガリウム
(GaAs1-xx(x=0.65))エピタキシャルウ
エハの気相成長を開始した。層2から層4までキャリア
濃度が1〜5×1017cm-3になるようにn型ドーパン
トガス(ジエチルテルル(C252Te))を供給
し、層5はキャリア濃度が1〜4×1015cm-3になる
ようにアンモニア(NH3)を供給して窒素をドープし
た。
【0037】エピタキシャル成長工程は、リアクタ内に
GaとGaPを配置したあと、昇温工程に入り、キャリ
アガスとして水素(H2)を導入しながらエピタキシャ
ル成長させることにより行った。ドーパントとして、n
型不純物であるジエチルテルル((C252Te)と
窒素ドープ用としてアンモニア(NH3)を用いた。G
aは塩酸(HCl)ガスと反応させGaClとして供給
した。ジエチルテルルはキャリア濃度が1〜3×1017
cm-3以上になり、平均で5×1017cm-3になるよう
に導入した。最初はGaClガスとフォスフィン(PH
3)ガスを導入し、次いでアルシン(AsH3)ガスの導
入量を徐々に増加させてPH3とAsH3の導入量比を変
化させ、エピタキシャル層の構造を決定しながらエピタ
キシャル工程を行った。最終の50分はキャリア濃度が
3〜5×1015cm-3になるように導入し、同時にアン
モニアを導入して、層5に窒素をドープした。基板温度
は、ホモ層の成長開始には940℃とし、グレード組成
層成長時に徐々に850℃まで下げ、一定組成層成長時
にはそのまま850℃を保持した。
【0038】発光層である窒素ドープ層5のキャリア濃
度を、拡散前のエピタキシャルウエハ表面にショットキ
ー・バリアダイオードを作製してC−V法によって測定
した。測定したキャリア濃度は3〜5×1015cm-3
あった。窒素ドープ層5以外の層はGaAsP層をラッ
ピングとエッチングで約1゜の角度で斜めに除去したあ
とショットキー・バリアダイオードをその表面に作製し
てC−V法によって測定した。測定したグレード組成層
3と一定組成層4のキャリア濃度は、3〜4x1017
-1であった。
【0039】次に、成長したエピタキシャルウエハをZ
nP2を拡散源としてP型不純物であるZnと共に何も
コーティングしないで石英アンプル内に真空封入させ、
760℃で表面から4μmの深さまで拡散した。光出力
をグルービング法によって測定した。続いて、真空蒸着
による電極形成等を行って直径220μm×180μm
(厚さ)のメサ型の発光ダイオードを形成して、寿命試
験を行った。寿命試験の通電条件は、TO−18ヘッダ
ーにLEDチップをマウントし、室温で240A/cm
2で有効通電時間率=1/2の50Hzのパルス駆動で
168時間行った。
【0040】9つの測定点を選択して寿命試験通電後の
光出力残存率を測定した。表1に、各測定点におけるグ
レード組成層3、一定組成層4、窒素ドープ層5の厚
さ、層3〜5の厚さの合計(GaAs1-xxエピタキシ
ャル層の厚さ)、窒素ドープ層5のキャリア濃度、寿命
試験通電後の光出力残存率をまとめて示す。また、図4
に、各測定点のGaAs1-xxエピタキシャル層の厚さ
と光出力残存率との関係を示す。厚さが80μm以上で
急激な寿命の向上が見られ、厚さが100μm以上にな
ると光出力残存率は95%程度に落ちついている。ま
た、エピタキシャルウエハ面内でのGaAs1-xxエピ
タキシャル層の厚さの最大値と最小値の差は70μm以
内であった。
【0041】
【表1】
【0042】なお、LEDの順方向電圧は、GaAs
1-xxエピタキシャル層の厚さが112μmでも実用上
問題はなく、良好であった。経験的には150μmを越
えると順方向電圧が高くなりすぎ、一般的なLEDの仕
様にはずれて使用できなくなる傾向にある。また、本実
施例では赤色発光LED(発光波長630nm、x=
0.65)用のみを示したが、黄色発光LED(発光波
長590nm、x=0.9)から、更に長波長の赤色発
光LED(発光波長650nm、x=0.55)用で
も、効果は同じである。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、表示用の素子として高
出力で超長寿命のLEDと、このような優れた特徴を有
するLEDを実現し得るエピタキシャルウエハを安定的
に供給することができる。また、本発明によってLED
の信頼性が非常に高まることから、LEDの用途がさら
に拡大することが期待される。したがって、本発明は多
大な工業的利益を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なりん化ひ化ガリウムエピタキシャル
ウエハの断面図
【図2】 本発明のエピタキシャルウエハの断面図
【図3】 GaAs1-xxエピタキシャル層の厚さと理
論計算によるPN接合部分の内部応力との関係を示すグ
ラフ
【図4】 LEDの寿命試験通電後の光出力残存率とG
aAs1-xxエピタキシャル層の厚さとの関係を示すグ
ラフ
【符号の説明】
1:GaP単結晶基板 2:GaPホモ層 3:GaA
1-xxグレード組成層4:GaAs1-xoxo一定組成
層 5:GaAs1-xoxoNドープ層 10:基板 1
1:GaAs1-xxグレード組成層 12:GaAs
1-xoxo一定組成層 13:低キャリア濃度領域 1
4:ホモ層 15:GaAs1-xxエピタキシャル層

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、Ga、AsおよびPを構成元
    素として含む厚さ80μm以上の化合物半導体エピタキ
    シャル層を有し、該エピタキシャル層中に窒素がドープ
    されかつキャリア濃度が0.5〜9×1015cm-3の低
    キャリア濃度領域が形成されていることを特徴とするエ
    ピタキシャルウエハ。
  2. 【請求項2】 前記化合物半導体エピタキシャル層の厚
    さが200μm以下であることを特徴とする請求項1記
    載のエピタキシャルウエハ。
  3. 【請求項3】 前記低キャリア濃度領域の厚さが2μm
    以上であることを特徴とする請求項1または2記載のエ
    ピタキシャルウエハ。
  4. 【請求項4】 前記低キャリア濃度領域の厚さが80μ
    m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のエピタキシャルウエハ。
  5. 【請求項5】 前記化合物半導体エピタキシャル層のウ
    エハ面内における厚さの最大値と最小値の差が120μ
    m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のエピタキシャルウエハ。
  6. 【請求項6】 前記化合物半導体エピタキシャル層にお
    ける低キャリア濃度領域以外の部分の平均キャリア濃度
    が0.5〜5×1017cm-3であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  7. 【請求項7】 前記化合物半導体エピタキシャル層がグ
    レード組成層および一定組成層を含み、前記低キャリア
    濃度領域が該一定組成層内に存することを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  8. 【請求項8】 前記化合物半導体エピタキシャル層がG
    aAs1-xx(0<x<1)エピタキシャル層であるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエピタ
    キシャルウエハ。
  9. 【請求項9】 前記xの範囲が0.45<x<1である
    ことを特徴とする請求項8記載のエピタキシャルウエ
    ハ。
  10. 【請求項10】 前記化合物半導体エピタキシャル層内
    の一定組成層におけるxの値が0.45<x≦0.95
    であることを特徴とする請求項9記載のエピタキシャル
    ウエハ。
  11. 【請求項11】 前記化合物半導体エピタキシャル層内
    のグレード組成層におけるxが1.0からx0(0.4
    5<x0≦0.95)まで連続的に変化しており、一定
    組成層のxがx0であることを特徴とする請求項10記
    載のエピタキシャルウエハ。
  12. 【請求項12】 前記基板が単結晶であることを特徴と
    する請求項1〜11のいずれかに記載のエピタキシャル
    ウエハ。
  13. 【請求項13】 前記基板がGaAs単結晶またはGa
    P単結晶であることを特徴とする請求項12記載のエピ
    タキシャルウエハ。
  14. 【請求項14】 前記化合物半導体エピタキシャル層と
    基板との間に、該基板と同一組成のエピタキシャル層で
    あるホモ層を有することを特徴とする請求項12または
    13記載のエピタキシャルウエハ。
  15. 【請求項15】 前記低キャリア濃度領域内にPN接合
    を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに
    記載のエピタキシャルウエハ。
  16. 【請求項16】 前記化合物半導体エピタキシャル層の
    導電型がN型であることを特徴とする請求項1〜15の
    いずれかに記載のエピタキシャルウエハ。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載のエピタキシャルウ
    エハであって、低キャリア濃度領域の厚さが10μm以
    上であるエピタキシャルウエハに、エピタキシャル層表
    面から該低キャリア濃度領域までP型ドーパントを拡散
    し、該低キャリア濃度領域内にPN接合を形成してなる
    ことを特徴とするエピタキシャルウエハ。
  18. 【請求項18】 前記低キャリア濃度領域上に、更に導
    電型がP型の一定組成層を気相成長してなることを特徴
    とする請求項16記載のエピタキシャルウエハ。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載のエ
    ピタキシャルウエハから製造されることを特徴とする発
    光ダイオード。
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JP2021141104A (ja) * 2020-03-02 2021-09-16 信越半導体株式会社 化合物半導体エピタキシャルウェーハ及びその製造方法

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