JP2713556B2 - 熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法

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JP2713556B2
JP2713556B2 JP7143551A JP14355195A JP2713556B2 JP 2713556 B2 JP2713556 B2 JP 2713556B2 JP 7143551 A JP7143551 A JP 7143551A JP 14355195 A JP14355195 A JP 14355195A JP 2713556 B2 JP2713556 B2 JP 2713556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保温材、断熱材、包装
材、梱包材、電子機器部品などの材料として好適な熱可
塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレン、ポリスチレン、ポ
リプロピレンなどの発泡体は、軽量性や断熱性などの特
徴を生かして、建材、包装材などに広く用いられてい
る。しかし、これらの樹脂からなる発泡体は機械的強度
や耐熱性などの点で劣る。
【0003】これに対して、熱可塑性ポリエステル樹脂
はこれらの特性の点で優れている。しかし、一般的な発
泡剤を用いて加熱発泡させる方法により得られた熱可塑
性ポリエステル樹脂発泡体は、径の大きい気泡が不均一
に形成されるため機械的強度などの性能が不十分であ
り、所期の用途に使用できない。
【0004】一方、微細な気泡を含有する発泡体を製造
する方法として、米国特許第4,473,665号に記
載された方法が知られている。この方法は、例えばポリ
スチレンのシートに加圧下で不活性ガスを含有させ、そ
のシートにかかっている圧力を下げてガスの過飽和状態
にして気泡の核を多数発生させた後、ガラス転移点以上
に加熱することにより気泡を成長させ、その後冷却する
ことにより気泡を固定するものである。この方法では、
微細気泡を含有する発泡体を製造することができる。し
かし、この方法は小さな試験片を対象とするバッチ法で
あり、量産性の点で劣っている。
【0005】そこで、量産性を高めるために種々の連続
法による発泡体の製造も検討されている。しかし、従来
知られている連続法では、ガスの浸透に長時間がかか
る、加圧部と常圧部との間のシールが困難である、など
の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微細
な気泡を含有し機械的強度が高く、しかも表面が美麗な
熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを経済的に量産で
きる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の熱可塑性
ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法は、熱可塑性ポ
リエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くこと
によりロールを形成し、該ロールを加圧不活性ガス雰囲
気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活
性ガスを含有させて結晶化度を30%以上にする工程
(以下、第1工程という)と、不活性ガスを含有させた
熱可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発
泡させる工程(以下、第2工程という)とを具備したこ
とを特徴とするものである。
【0008】本発明においては、熱可塑性ポリエステル
樹脂シートとセパレータとからなるロールを加圧不活性
ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シー
トに不活性ガスを含有させる前に、ロールを有機溶剤に
浸漬してもよい。
【0009】以下、本発明の方法をより詳細に説明す
る。本発明の第1工程ではまず、熱可塑性ポリエステル
樹脂とセパレータとを重ね合わせて巻くことによりロー
ルを形成する。セパレータのサイズに関しては、長さは
熱可塑性ポリエステル樹脂シートとほぼ同じか多少長め
である必要があるが、幅については必ずしも同等である
必要はなく、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの幅の少
なくとも70%以上、セパレータのない部分がシート両
端より50mm以下であれば問題ない。
【0010】本発明において用いられる熱可塑性ポリエ
ステル樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレー
トやポリブチレンテレフタレートからなるもの、または
これらの樹脂をベースとして例えばポリカーボネートな
どをブレンドした各種のポリマーアロイからなるものな
どが挙げられる。これらのうちでもポリエチレンテレフ
タレートからなるものが好ましい。
【0011】本発明においては、熱可塑性ポリエステル
樹脂シートに、樹脂本来の特性を損なわない範囲で、結
晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、抗酸化剤、帯電
防止剤、紫外線防止剤、顔料、染料、滑剤などの各種添
加剤を配合してもよい。
【0012】なお、量産性を向上するために長尺の熱可
塑性ポリエステル樹脂シートのみを巻いてロールを形成
し、得られたロール状の熱可塑性ポリエステル樹脂シー
トに不活性ガスを含有させた後、加熱発泡させる方法が
考えられる。しかし、この場合には必ず巻かれたシート
の表面同士が接触する部分が生じる。このため、加圧下
で不活性ガスを含有させると、接触状態にあるシート部
分でガス含有量が少なくなり、シート全面におけるガス
含有量の分布が不均一になる。さらに、こうして得られ
た不活性ガスを含有する熱可塑性ポリエステル樹脂シー
トを発泡させると、ガス含有量の多い部分は発泡倍率が
高く、少ない部分は発泡倍率が低くなり、不均一な発泡
シートが製造される。したがって、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂シートの全面に均一に不活性ガスが含有できる方
法を見出すことが重要課題である。
【0013】そこで、本発明においては、上述したよう
に熱可塑性ポリエステル樹脂シートとともにセパレータ
を重ね合わせて巻くことによりロールを形成する。本発
明において用いられるセパレータは、不活性ガスや必要
に応じて用いられる有機溶剤が自由に出入りする空隙を
有し、かつそれ自身への不活性ガスの浸透が無視できる
ものであればいかなるものでもよい。特に、樹脂製不織
布または金属製の網が好適である。樹脂製不織布として
はポリオレフィン系樹脂またはナイロン系樹脂からなる
ものが好適である。また、ポリエステル系樹脂からなる
不織布でも、繊維が延伸されており不活性ガスが浸透し
にくくなっているものであれば、好適に使用できる。金
属製の網としては、一般的にワイヤークロスと呼ばれ、
平織、綾織、平畳織、綾畳織などの織り方で縦線と横線
とが直角方向に編まれているものが好ましい。材質は
鉄、銅、アルミ、チタンまたはこれらの合金などが適用
可能であるが、価格、寿命を考慮するとステンレス鋼が
より好適である。
【0014】本発明においては、熱可塑性ポリエステル
樹脂シートとセパレータとを重ねて巻き、ロールを形成
したときに、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの表面同
士が互いに離間すること、およびセパレータを通して熱
可塑性ポリエステル樹脂シートへの不活性ガスの浸透が
十分になされることが必要となる。これらの条件は、樹
脂製不織布の場合には不織布の目付量(単位面積当たり
の重量)と厚さ、金属製の網の場合にはメッシュサイズ
とメッシュを構成する線径により決まる。
【0015】本発明において用いられる樹脂製不織布の
目付量は20〜100g/m2 であることが好ましい。
すなわち、目付量が小さすぎると、不織布の強度が弱い
ため、ロールを形成する際にしわが発生したり破れたり
して、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの表面同士が接
触し、その部分でガス含有量にむらが生じるおそれがあ
る。一方、目付量が大きすぎると、空隙が小さいため不
活性ガスが自由に出入りできず、熱可塑性ポリエステル
樹脂シートに発泡に必要な量のガスを含有させることが
できなくなるおそれがある。
【0016】また、樹脂製不織布の厚さは50〜300
μmであることが好ましい。すなわち、不織布の厚さが
薄すぎるとセパレータとしての効果が得られず、熱可塑
性ポリエステル樹脂シートのみを巻いてロールを形成し
た場合とほとんど変わらなくなる。一方、不織布の厚さ
が厚すぎると、ガスを含有させる容器のサイズに制限が
あるため、巻き込むことができる熱可塑性ポリエステル
樹脂シートの長さが短くなり、生産コストのアップにつ
ながる。
【0017】本発明において用いられる金属製の網のメ
ッシュサイズは10〜500メッシュ、さらには50〜
200メッシュであることが好ましい。すなわち、メッ
シュサイズが10メッシュ未満であると、目開き(細線
と細線との隙間)が大きくなるため、その部分の熱可塑
性ポリエステル樹脂シートが両側より圧着されて細線の
跡が熱可塑性ポリエステル樹脂シート上に凹凸として残
ったり、その部分がガス浸透むらになるおそれがある。
これは、金属が樹脂製不織布に比べて硬いためである。
一方、メッシュサイズが500メッシュを超えると、目
開きが非常に小さいためガス浸透を阻害し、ガス浸透に
むらが生じるうえに、ガス含有にかかる時間が増大し、
生産コストのアップにつながる。
【0018】本発明の第1工程においては、以上のよう
にして形成されたロールを圧力容器に入れ加圧不活性ガ
ス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シート
に不活性ガスを含有させる。なお、不活性ガスを含有さ
せる処理を行う前に、必要に応じてロールを有機溶剤に
浸漬させてもよい。
【0019】本発明において発泡剤として用いられる不
活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アル
ゴンなどが挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂シートでの含有量が多くなる二酸化炭素が好
ましい。不活性ガスの浸透条件は、圧力が30kg/c
2 以上、好ましくは50kg/cm2 以上で、浸透時
間が1時間以上であることが好ましい。
【0020】本発明においては、第2工程で加熱発泡さ
せる前に、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの結晶化度
が30%以上になっていることが好ましい。これは、結
晶化度が30%未満である場合、樹脂の剛性が低いため
第2工程で加熱発泡させたときに大きな気泡が成長し、
表面凹凸のない美麗でしかも機械的強度の大きい発泡シ
ートを得ることが困難となるためである(この結晶化度
の値に関しては、本発明者らはすでに特開平4−367
01号公報において開示している)。
【0021】なお、以上のようにロールを形成した後直
ちに不活性ガスを含有させる処理を行なっても、樹脂シ
ートに不活性ガスを均一に含有させかつその結晶化度を
30%以上にするという目的を十分に達成できる。ただ
し、この方法では、ガス浸透時に樹脂シートの剛性が不
十分である場合、用いるセパレータの種類によってはガ
ス浸透後に樹脂シートにセパレータの凹凸の跡が若干残
ることがある。
【0022】このような問題を避けるために、不活性ガ
スの浸透処理の前にロールを有機溶剤に浸漬して樹脂シ
ートの結晶化度を予め30%以上にして剛性を増大させ
てもよい。この目的で樹脂シートの結晶化度を上げるた
めに用いられる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエ
ン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトン、酢
酸、ジオキサン、m−クレゾール、アニリン、アクリロ
ニトリル、フタル酸ジメチル、ニトロエタン、ニトロメ
タン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらの
うち、アセトンがより好ましい。
【0023】本発明の第2工程においては、第1工程に
おいて不活性ガスが含有された熱可塑性ポリエステル樹
脂シートを常圧下でその樹脂の軟化温度以上に加熱する
ことにより発泡させる。第2工程における加熱手段とし
ては、熱風循環式発泡炉、オイルバス、溶融塩バスなど
が挙げられる。
【0024】より具体的には、例えば圧力容器から取り
出したロールを樹脂シートとセパレータとを分離させな
がら、樹脂シートだけを熱風循環式発泡炉中を通過させ
る方法が用いられる。発泡条件は、例えば発泡温度24
0℃程度、発泡時間1〜5分に設定する。その後、炉か
ら出た発泡シートを直ちに成形ロールで平らに成形す
る。このときの成形ロール温度は150℃以上であるこ
とが好ましい。さらに、これを冷却することにより所望
の発泡シートを得る。
【0025】以上のように本発明の方法では、熱可塑性
ポリエステル樹脂シートにセパレータとして樹脂製不織
布または金属製の網を配してロールにした状態で熱可塑
性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを含有させるた
め、樹脂シートが長尺であってもその全面に不活性ガス
を均一に含有させることができ、これを加熱発泡させる
ことにより微細な気泡を含有し均一な発泡倍率を有する
発泡シートを得ることができる。したがって、ガス浸透
工程をバッチ法で行うにもかかわらず、機械的強度が高
く表面の美麗な発泡シートを量産することができる。さ
らに、ロールを構成する樹脂シートに不活性ガスを含有
させる処理を行う前に、ロールを有機溶剤に浸漬して結
晶化度を上げて剛性を増大しておけば、どのようなセパ
レータを用いてもセパレータの跡が残らないので、表面
がより一層美麗な発泡シートが得られる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のポリエチレ
ンテレフタレート(PET)シートのロール(C−03
12グレード、ユニチカ(株)製)と、セパレータとし
て300mm幅×60m長さ×160μm厚、目付量5
5g/m2 のオレフィン系不織布のロール(FT300
グレード、日本バイリーン(株)製)とを用意した。両
者を重ねて、PETシートの表面同士が接触する部分が
ないように巻いて新たにロールを作製した。このロール
を圧力容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを24
時間浸透させた。
【0027】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.3重量%であった。なお、10mm幅×50mm長
さ×0.9mm厚さのPET試験片を圧力容器に入れて
上記と同一の条件で炭酸ガスを浸透させたときのガス含
有量は6.5重量%であった。このように本発明の方法
では不織布を配したロールに炭酸ガスを浸透させている
ので、60mという長尺のPETシートでも、小さな試
験片に炭酸ガスを含有させた場合と同程度のガス含有量
を示す。
【0028】また、ガスを含有するPETシートの結晶
化度を示差走査型熱量分析計(DSC)による測定から
求めたところ33%であった。次に、圧力容器からロー
ルを取り出し、オレフィン系不織布を取り除きながらP
ETシートだけを240℃に設定した熱風循環式発泡炉
に発泡時間が1分になるように連続的に供給して発泡さ
せた。
【0029】得られた発泡シートは表面にごくわずかな
不織布の模様が認められるものの、気泡サイズは20μ
m以下で均一に発泡しており、発泡倍率が3.5倍であ
り、表面光沢のある良好なものであった。
【0030】実施例2 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
トのロール(C−0312グレード、ユニチカ(株)
製)と、セパレータとして300mm幅×60m長さ×
150μm厚、目付量65g/m2 のナイロン系不織布
のロール(FT765グレード、日本バイリーン(株)
製)とを用意した。両者を重ねて、PETシートの表面
同士が接触する部分がないように巻いて新たにロールを
作製した。このロールを圧力容器に入れ、60kg/c
2 の炭酸ガスを24時間浸透させた。
【0031】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.4重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ32%であった。
次に、圧力容器からロールを取り出し、ナイロン系不織
布を取り除きながらPETシートだけを240℃に設定
した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連
続的に供給して発泡させた。
【0032】得られた発泡シートは表面にごくわずかな
不織布の模様が認められるものの、気泡サイズは20μ
m以下で均一に発泡しており、発泡倍率が3.8倍であ
り、表面光沢のある良好なものであった。
【0033】実施例3 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
トのロール(C−0312グレード、ユニチカ(株)
製)と、セパレータとして300mm幅×60m長さ、
100メッシュ、線径0.1mmφのステンレス製メッ
シュのロール(太陽金網(株)製)とを用意した。両者
を重ねて、PETシートの表面同士が接触する部分がな
いように巻いて新たにロールを作製した。このロールを
圧力容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを24時
間浸透させた。
【0034】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.2重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ33%であった。
次に、圧力容器からロールを取り出し、ステンレス製メ
ッシュを取り除きながらPETシートだけを240℃に
設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるよう
に連続的に供給して発泡させた。
【0035】得られた発泡シートは表面にごくわずかな
ステンレス製メッシュの模様が認められるものの、気泡
サイズは20μm以下で均一に発泡しており、発泡倍率
が4.0倍であり、表面光沢のある良好なものであっ
た。
【0036】実施例4 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
トのロール(C−0312グレード、ユニチカ(株)
製)と、セパレータとして300mm幅×60m長さ、
50メッシュ、線径0.14mmφのステンレス製メッ
シュのロール(太陽金網(株)製)とを用意した。両者
を重ねて、PETシートの表面同士が接触する部分がな
いように巻いて新たにロールを作製した。このロールを
圧力容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを24時
間浸透させた。
【0037】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.1重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ31%であった。
次に、圧力容器からロールを取り出し、ステンレス製メ
ッシュを取り除きながらPETシートだけを240℃に
設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるよう
に連続的に供給して発泡させた。
【0038】得られた発泡シートは表面にごくわずかな
ステンレス製メッシュの模様が認められるものの、気泡
サイズは20μm以下で均一に発泡しており、発泡倍率
が3.9倍であり、表面光沢のある良好なものであっ
た。
【0039】実施例5 実施例1と同一のPETシートのロールとオレフィン系
不織布のロールとを用い、両者を重ねて巻いて新たにロ
ールを作製した。このロールを室温にてアセトン中に2
4時間浸漬した。次いで、ロールをアセトン中から取り
出して、オレフィン系不織布を取り除いてPETシート
表面に残存するアセトンを軽く拭き取った後、再度乾燥
した不織布とともに巻いてロールを作製した。この時点
でPETシートの結晶化度をDSC測定から求めたとこ
ろ30%であった。このロールを圧力容器に入れ、60
kg/cm2 の炭酸ガスを2時間浸透させた。アセトン
浸漬処理を施したPETシートは結晶化度がすでに30
%以上であるため、ガス浸透時間は2時間程度で十分で
ある。なお、アセトン浸漬処理を施したサンプルにはア
セトンが約10重量%含まれ、PETシートからアセト
ンがしみ出してくるため、ガス含有量を正確に測定する
ことはできない。
【0040】次に、圧力容器からロールを取り出し、オ
レフィン系不織布を取り除きながらPETシートだけを
240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分
になるように連続的に供給して発泡させた。
【0041】得られた発泡シートは表面が非常に平滑で
あり、気泡サイズは20μm以下で均一に発泡してお
り、発泡倍率が5.0倍であり、表面光沢のある良好な
ものであった。
【0042】実施例6 実施例3と同一のPETシートのロールとステンレス製
メッシュのロールとを用い、両者を重ねて巻いて新たに
ロールを作製した。このロールを室温にてアセトン中に
24時間浸漬した。次いで、ロールをアセトン中から取
り出して、ステンレス製メッシュを取り除いてPETシ
ート表面に残存するアセトンを軽く拭き取った後、再度
乾燥したステンレス製メッシュとともに巻いてロールを
作製した。この時点でPETシートの結晶化度をDSC
測定から求めたところ31%であった。このロールを圧
力容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを2時間浸
透させた。
【0043】次に、圧力容器からロールを取り出し、ス
テンレス製メッシュを取り除きながらPETシートだけ
を240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1
分になるように連続的に供給して発泡させた。
【0044】得られた発泡シートは表面が非常に平滑で
あり、気泡サイズは20μm以下で均一に発泡してお
り、発泡倍率が5.3倍であり、表面光沢のある良好な
ものであった。
【0045】比較例1 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
ト(C−0312グレード、ユニチカ(株)製)を外径
100mmの紙管に巻き付け、紙管を抜き取った後に圧
力容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを24時間
浸透させた。
【0046】このとき、PETシート中のガス含有量は
5.3重量%であった。PETシートの結晶化度をDS
Cによる測定から求めたところ、接触部分では17%、
非接触部分では31%とシート面内で大きくばらついて
いた。
【0047】次に、圧力容器からロールを取り出し、2
40℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分に
なるように連続的に供給して発泡させた。得られた発泡
シートは、発泡倍率が高い部分で3倍、低い部分で2倍
と倍率の異なる部分が混在しているばかりでなく、気泡
の変形が大きく不均一なものであった。
【0048】比較例2 実施例1と同一のPETシートのロールとオレフィン系
不織布のロールとを用い、両者を重ねて巻いて新たにロ
ールを作製した。このロールを圧力容器に入れ、60k
g/cm2 の炭酸ガスを4時間浸透させた。
【0049】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.0重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ15%であった。
次に、圧力容器からロールを取り出し、オレフィン系不
織布を取り除きながらPETシートだけを240℃に設
定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように
連続的に供給して発泡させた。
【0050】得られた発泡シートは均一に発泡しており
発泡倍率は5.8倍であったが、気泡径が80μm以上
と大きいため表面光沢はなく、機械的強度も実施例1〜
6のサンプルと比較すると小さかった。
【0051】比較例3 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
トのロール(C−0312グレード、ユニチカ(株)
製)と、セパレータとして300mm幅×60m長さ×
360μm厚、目付量108g/m2 のナイロン系不織
布のロール(FT214グレード、日本バイリーン
(株)製)とを用意した。両者を重ねて、PETシート
の表面同士が接触する部分がないように巻いて新たにロ
ールを作製した。このロールを圧力容器に入れ、60k
g/cm2 の炭酸ガスを24時間浸透させた。
【0052】このとき、PETシート中のガス含有量は
5.0重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ20%であった。
次に、圧力容器からロールを取り出し、ナイロン系不織
布を取り除きながらPETシートだけを240℃に設定
した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連
続的に供給して発泡させた。
【0053】得られた発泡シートは均一に発泡していた
が、ガス含有量が少なく結晶化度が低いため気泡径が1
00μm以上と大きく、それに伴って表面に凹凸が生じ
て光沢のないものであった。
【0054】比較例4 300mm幅×60m長さ×0.9mm厚のPETシー
トのロール(C−0312グレード、ユニチカ(株)
製)と、セパレータとして300mm幅×60m長さ、
4メッシュ、線径1.6mmφのステンレス製メッシュ
のロール(太陽金網(株)製)とを用意した。両者を重
ねて、PETシートの表面同士が接触する部分がないよ
うに巻いて新たにロールを作製した。このロールを圧力
容器に入れ、60kg/cm2 の炭酸ガスを24時間浸
透させた。
【0055】このとき、PETシート中のガス含有量は
6.0重量%であった。また、PETシートの結晶化度
をDSCによる測定から求めたところ、線の接触部分で
は20%、非接触部分では33%とシート面内で大きく
ばらついていた。
【0056】次に、圧力容器からロールを取り出し、ス
テンレス製メッシュを取り除きながらPETシートだけ
を240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1
分になるように連続的に供給して発泡させた。
【0057】得られた発泡シートは、発泡倍率の高い部
分で4.2倍、低い部分で2.5倍と倍率の異なる部分
が混在しているばかりでなく、格子状の線の模様がシー
トに残存し、気泡の変形も大きく不均一なものであっ
た。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の方法を用い
れば、微細な気泡を含有し機械的強度が高く、しかも表
面が美麗な熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを経済
的に量産できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 光範 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 米国特許4473665(US,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂シートとセパ
    レータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、該ロ
    ールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリ
    エステル樹脂シートに不活性ガスを含有させて結晶化度
    を30%以上にする工程と、不活性ガスを含有させた熱
    可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発泡
    させる工程とを具備したことを特徴とする熱可塑性ポリ
    エステル樹脂発泡シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に
    保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガス
    を含有させる前に、前記ロールを有機溶剤に浸漬するこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリエステル樹
    脂発泡シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セパレータがポリオレフィン系、ナ
    イロン系またはポリエステル系の樹脂製不織布からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリエステル
    樹脂発泡シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂製不織布からなるセパレータの
    目付量が20〜100g/m2 、厚さが50〜300μ
    mであることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性ポリ
    エステル樹脂発泡シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記有機溶剤がアセトンであることを特
    徴とする請求項2記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡
    シートの製造方法。
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