JP2009126079A - 熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法 Download PDF

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宏 池田
Ryoko Hasegawa
良子 長谷川
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Abstract

【課題】シートの場所による不活性ガスのシートへの浸透ムラの発生を抑制することにより、微細な気泡を含有し、機械的強度が高く、しかも表面が美麗な熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを安定にかつ経済的に量産できる方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロール10を形成し、このロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程において、ロールを回転させながら熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、保温材、断熱材、包装材、梱包材、電子機器部品などの材料として好適な熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法に関する。
従来、微細な気泡を含有する発泡体を製造する方法として、特許文献1に記載された方法が知られている。この方法は、例えばポリエチレンテレフタレートのシートに加圧下で不活性ガスを含有させ、そのシートに加わっている圧力を開放してガスの過飽和状態にして気泡の核を多数発生させた後、シートをガラス転移点以上に加熱することにより気泡を成長させ、その後冷却することにより気泡を固定するものである。
特許第2713556号公報
しかし、前述した方法では、微細気泡を含有する発泡体を製造することができるものの、シートの場所によって不活性ガスのシートへの浸透ムラが発生し、微細気泡を含有する発泡シートを安定に量産することができなかった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、シートの場所による不活性ガスのシートへの浸透ムラの発生を抑制することにより、微細な気泡を含有し、機械的強度が高く、しかも表面が美麗な熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを安定にかつ経済的に量産できる方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するため、熱可塑性ポリエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、前記ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程と、不活性ガスを浸透させた熱可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程とを具備する熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法であって、前記熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程において、前記ロールを回転させながら熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法を提供する。
本発明によれば、ロールを回転させながら熱可塑性ポリエステル樹脂シートに加圧不活性ガスを浸透させることで、熱可塑性ポリエステル樹脂シート全体に均一にムラ無くガスを浸透させることができ、これにより微細な気泡を含有し、機械的強度が高く、しかも表面が美麗な熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを安定にかつ経済的に量産することができる。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法は、熱可塑性ポリエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、該ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程(以下、第1工程という)と、不活性ガスを浸透させた熱可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程(以下、第2工程という)とを具備する。
本発明の第1工程では、まず、熱可塑性ポリエステル樹脂とセパレータとを重ね合わせて巻くことによりロールを形成する。
本発明において用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートからなるもの、またはこれらの樹脂をベースとして例えばポリカーボネートなどをブレンドした各種のポリマーアロイからなるものなどが挙げられる。これらのうちでもポリエチレンテレフタレートからなるものが好ましい。
本発明においては、熱可塑性ポリエステル樹脂シートに、樹脂本来の特性を損なわない範囲で、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、抗酸化剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、顔料、染料、滑剤などの各種添加剤を配合してもよい。
本発明の第1工程においては、以上のようにして形成されたロールを圧力容器に入れ、加圧不活性ガス雰囲気中に保持して、熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを含有させる。
本発明において発泡剤として用いられる不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリエステル樹脂シートへの浸透量が多くなる二酸化炭素が好ましい。不活性ガスの浸透条件は、圧力が30kg/cm以上、好ましくは50kg/cm以上で、浸透時間が1時間以上であることが好ましい。
本発明では、第1工程において、熱可塑性ポリエステル樹脂シートのロールを回転させながらシートに加圧不活性ガスを浸透させることにより、熱可塑性ポリエステル樹脂シート全体に均一にガスを浸透させ、これによって不活性ガスの浸透ムラを解消する。
ロールを回転させる態様として、より具体的には、ロールの中心軸を略水平に保持し、この中心軸を中心としてロールを回転させる態様(後記図1参照)や、ロールの中心軸を通り、かつこの中心軸に直交する任意の軸を略水平に保持し、上記任意の軸を中心としてロールを回転させる態様(後記図2参照)などが挙げられるが、ロールを回転させる態様はこれらに限定されるものではない。
本発明の第2工程においては、第1工程において不活性ガスを浸透させた熱可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下でその樹脂の軟化温度以上に加熱することにより発泡させる。第2工程における加熱手段としては、熱風循環式発泡炉、オイルバス、溶融塩バスなどが挙げられる。
第2工程において、より具体的には、例えば、圧力容器から取り出したロールを樹脂シートとセパレータとに分離させながら、樹脂シートだけを熱風循環式発泡炉中を通過させる方法が用いられる。発泡条件は、例えば発泡温度を240℃程度、発泡時間を1〜5分程度に設定する。その後、炉から出た発泡シートを直ちに成形ロールで平らに成形する。このときの成形ロール温度は150℃以上であることが好ましい。さらに、これを冷却することにより所望の発泡シートを得る。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
550mm幅×60m長さ×0.4mm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)シートのロール(ユニチカ(株)製)と、セパレータとして550mm幅×60m長さ×160μm厚、目付量55g/mのオレフィン系不織布のロール(FT300グレード、日本バイリーン(株)製)とを用意した。両者を重ねて、PETシートの表面同士が接触する部分がないように巻いて新たにロールを作製した。
次に、図1に示すように、上記ロール10の中心軸部分に鉄パイプ12を挿入し、ロール10と鉄パイプ12を共に圧力容器に入れるとともに、鉄パイプ12を圧力容器内に水平に取り付け、ロール10を圧力容器内で中心軸である鉄パイプ12を中心として回転させながら、60kg/cmの炭酸ガスを40時間浸透させた後、ロール10を圧力容器から取り出した。このとき、PETシート中のガス含有量は6.3重量%であった。また、ガスを含有するPETシートの結晶化度を示差走査型熱量分析計(DSC)による測定から求めたところ33%であった。
次に、ロールからセパレータを取り除きながらPETシートだけを240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連続的に供給して発泡させた。得られた発泡シートは、表面にごくわずかな不織布の模様が認められるものの、気泡サイズは10μm以下で均一に発泡しており、発泡倍率が3.5倍であり、表面光沢のある良好なものであった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、PETシートとセパレータとを重ねて巻いたロールを作製した。次に、図2に示すように、上記ロール10の中心軸部分に鉄パイプ12を挿入し、ロール10と鉄パイプ12を共に圧力容器に入れるとともに、鉄パイプ12を圧力容器内に垂直に取り付け、鉄パイプ12のロール10から突出した両端部分に回転機構14を固定し、ロール10を圧力容器内で上記回転機構14の水平軸16を中心として回転させながら、60kg/cmの炭酸ガスを40時間浸透させた後、ロール10を圧力容器から取り出した。このとき、PETシート中のガス含有量は6.6重量%であった。また、ガスを含有するPETシートの結晶化度を示差走査型熱量分析計(DSC)による測定から求めたところ32%であった。
次に、ロールからセパレータを取り除きながらPETシートだけを240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連続的に供給して発泡させた。得られた発泡シートは、表面にごくわずかな不織布の模様が認められるものの、気泡サイズは10μm以下で均一に発泡しており、発泡倍率が3.7倍であり、表面光沢のある良好なものであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、PETシートとセパレータとを重ねて巻いたロールを作製した。次に、図3に示すように、上記ロール10の中心軸部分に鉄パイプ12を挿入し、ロール10と鉄パイプ12を共に圧力容器に入れるとともに、鉄パイプ12を圧力容器内に垂直に取り付け、ロール10を圧力容器内で回転させることなく静置して、60kg/cmの炭酸ガスを40時間浸透させた後、ロール10を圧力容器から取り出した。このとき、PETシート中のガス含有量は4.6重量%であった。また、ガスを含有するPETシートの結晶化度を示差走査型熱量分析計(DSC)による測定から求めたところ15%であった。
次に、ロールからセパレータを取り除きながらPETシートだけを240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連続的に供給して発泡させた。得られた発泡シートは、気泡径が20μm以上の部分と10μm以下の部分とが混在して不均一に発泡しており、発泡倍率は平均で3.2倍であり、外観上ムラのあるものであった。
以上の結果から、本発明によれば、ロールを回転させながらシートに加圧不活性ガスを浸透させることで、シート全体に均一にムラ無くガスを浸透させることができ、これにより良好な発泡シートを安定にかつ経済的に量産できることがわかる。これに対し、ロールを回転させない場合は、シートの場所によって不活性ガスのシートへの浸透ムラが発生し、良好な発泡シートを安定に量産できないものであった。
圧力容器内に配置したロールを示す概略図である。 圧力容器内に配置したロールを示す概略図である。 圧力容器内に配置したロールを示す概略図である。
符号の説明
10 ロール
12 鉄パイプ
14 回転機構
16 水平軸

Claims (3)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、前記ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程と、不活性ガスを浸透させた熱可塑性ポリエステル樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程とを具備する熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法であって、前記熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させる工程において、前記ロールを回転させながら熱可塑性ポリエステル樹脂シートに不活性ガスを浸透させることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法。
  2. 前記ロールの中心軸を略水平に保持し、前記中心軸を中心としてロールを回転させることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法。
  3. 前記ロールの中心軸を通り、かつ前記中心軸に直交する任意の軸を略水平に保持し、前記任意の軸を中心としてロールを回転させることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの製造方法。
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