JP2712451B2 - 光記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents

光記録媒体用ポリエステルフィルム

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、光記録媒体用ポリエステルフィルムに関す
るものである。特に本発明は、熱的特性、機械的特性及
び光学的特性に優れた光記録媒体用ポリエステルフィル
ムに関するものである。
ここで、本願においては、特に断りのない限り、「フ
ィルム」には、一般にシートと呼ばれる厚物も含むもの
とする。
[従来の技術] 光記録媒体用の支持体層としては、従来まで、ポリメ
チルメタクリレートフィルムや、ポリカーボネートフィ
ルムが用いられていた。ところが、ポリメチルメタクリ
レートフィルムは、光学的特性に優れているものの、湿
度による寸法変化を起こし易く加工性が悪いといった問
題がある。そこで、吸水性を抑えるために、疎水性を有
するモノマーを共重合しているが(例えば特開昭58-127
754、特開昭58-11515)、機械的強度や耐熱性が低下し
好ましくない。
ポリカーボネートフィルムは、逆に、湿度の影響をう
けにくく成形しやすい反面、光学的歪みが生じやすいと
いう問題がある。そのため、一般に分子量を下げたり、
共重合やブレンドによるもの(例えば特開昭60-21505
1)や、特定のビスフェノール誘導体を用いるもの(特
開昭63-35619)があるが、必ずしも良好な低複屈折性は
得られていない。
そこで、ポリエステルフィルムを支持体層として用い
ればよいという提案がなされていた(例えば特開昭57-2
08645)。ポリエステルフィルムは、耐湿性は、ポリカ
ーボネートフィルムには劣らず、また、成形性に優れ、
透明性を有するフィルムである。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記ポリエステルフィルムを支持体層とした
光記録媒体においても、耐熱性が不十分であり、機械的
な変形によって発生する光学的歪みが大きいという欠点
を有している。
すなわち、光記録媒体を利用するとき、該媒体に、曲
げ或いは伸縮、圧縮といった外力が加わることにより、
該媒体に機械的な変形が生じる。また、光ディスクのよ
うに記録媒体が高速に回転している場合にも遠心力によ
って同様な変形が生じる。こういった変形が、光学的歪
み、つまり複屈折を生じさせる。この現象を光弾性とい
う。通常、記録信号の読取りには偏光したレーザ光を用
いているため、光弾性効果は、記録信号の読取りエラー
を発生させる大きな要因となる。
また、耐熱性が悪化すると、光記録媒体の加工時、或
いは、記録信号の書込みや読取り時に受ける熱によっ
て、該媒体が変形し、光弾性効果が大きくなり、記録信
号の書込みが不十分になったり、読取りエラーが発生す
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、かかる欠点を解消するために次の構成を有
する。すなわち、フェニルインダンジカルボン酸及び/
又はその誘導体が5モル%以上含まれる二官能性カルボ
ン酸及び/又はそのエステル形成誘導体と、ジヒドロキ
シ化合物及び/又はそのエステル形成誘導体とを反応せ
しめて導かれたポリエステルフィルムであり、光弾性係
数が1.2×10-3(mm2/kgf)以下であることを特徴とする
ものである。
本発明でいうフェニルインダンジカルボン酸とは、以
下の構造式で示される。(但し、式中R1〜R3は水素、フ
ッ素、臭素もしくは炭素数4以下のアルキル基から選ば
れる基である。) その中で特に好ましいものは、1,1,3−トリメチル−3
−フェニルインダン−4′,5−ジカルボン酸であるが、
もちろん、六員環及びインダン環の任意の位置にアルキ
ル基などのあまり極性の大きくない置換基が導入された
ものでもよい。この化合物のようにカルボキシル基の位
置が非対称であると共重合したポリエステルの主鎖が屈
曲した構造を取り易く、非晶性や光学特性が向上する。
また、剛直な環構造を有するため、共重合したポリエス
テルのガラス転移温度が上昇し耐熱性が向上する。
フェニルインダンジカルボン酸の添加量は5モル%以
上であり、好ましくは15モル%〜80モル%であり、より
好ましくは30モル%〜60モル%である。添加量が5モル
%より低下すると添加効果が見られない。なお、添加量
が多すぎるとフィルムが脆くなり、フィルムの加工性が
低下する傾向にある。
フェニルインダンジカルボン酸以外の酸成分としては
例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバチン酸、スチルベンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル
ジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、更には
p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げ
ることができ、これらのうち、本発明の場合、特にテレ
フタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、ナフタレンジカルボン酸、シフェニルジカルボン酸
が好ましい。
また、ジヒドロキシ化合物成分としては、エチレング
リコール、トリメチレングリコール、テトラメチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノ
ン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができ、
これらのうち、本発明の場合、特にシクロヘキサンジメ
タノール、エチレングリコール、テトラメチレングリコ
ールが好ましい。
更に本ポリエステルに実質的に線状である範囲内で、
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、グリ
セリン、ペンタエリスリトールなどの3官能基以上の多
官能性化合物を共重合させても、更には、本ポリエステ
ル主鎖に分子量300〜70000程度のポリマー、例えばポリ
アクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニト
リル、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリメチルメタ
クリレート、ポリブチルアクリレート及びそれらの誘導
体などを側鎖にグラフト共重合させておいてもよい。
本発明の特に好ましい化合物としては、ジカルボン酸
として1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン−
4′,5−ジカルボン酸、ジフェニル−2,2−ジカルボン
酸(ジフェン酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、又は
ナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシ化合物としてシ
クロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、テト
ラメチレングリコールからなるポリエステルである。
本光記録媒体用ポリエステルフィルムの光弾性係数
は、1.2×10-3(mm2/kgf)以下であり、好ましくは、0.
7×10-3(mm2/kgf)以下であり、更に好ましくは0.4×1
0-3(mm2/kgf)以下である。光弾性係数が1.2×10-3(m
m2/kg)を越えると、曲げ或いは伸縮、圧縮といった外
力がフィルムに加わることによる機械的変形がもたらす
光学的な歪み、即ち、複屈折が大きくなり、記録信号の
読取りエラーを発生させる大きな要因となる。
本光記録媒体用ポリエステルフィルムの光弾性係数
が、1.2×10-3(mm2/kgf)以下になるためには、例えば
ポリエステル主鎖に側鎖をつけることが好ましい。側鎖
をつけることにより、ポリエステルの分子鎖軸方向の分
極率とそれに垂直な方向の分極率の下が小さくなり、ポ
リマーの固有複屈折が低下するため、光学的歪みが起き
にくい。側鎖をつける方法としては例えばマクロモノマ
ーと言われる末端に重合可能な官能基としてジヒドロキ
シル基やジカルボキシル基をもつ高分子量のモノマーを
使う方法がある。その構造は、 などがあり、ここで、Rには、スチレン、スチレンアク
リロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレ
ートなどがある。マクロモノマーの分子量は300〜6000
が好ましい。これらのマクロモノマーを他のジカルボン
酸及びジヒドロキシ化合物と共重合すれば容易に側鎖を
もうけることができる。
また、光弾性係数を、1.2×10-3(mm2/kgf)以下にす
るためには、製膜におけるポリマー分子量の低下及びポ
リマーの配向を抑えなければならない。即ち、分子量の
低下によってフィルムの機械的強度が低下し、外力が加
わると容易に複屈折が生じる。また、ポリマーの配向に
よる方向性があると、外力の方向によって光弾性が変わ
ってくるわけである。
そこで、ポリマーの押し出し温度は、ポリマーの融点
より10℃〜50℃高温であることが好ましいが、酸化分解
や熱分解が急激には進行しない温度範囲において、でき
るだけ高いほうがより好ましい。更に、製膜速度は、0.
5m/分〜15m/分であり、好ましくは1.5m/分〜8m/分であ
る。
こうして得られるフィルムの複屈折は1.8×10-4以下
であり、好ましくは、0.7×10-4以下であり、更に好ま
しくは0.3×10-4以下である。これにより、光弾性の方
向性を抑えることができ、しかも光弾性係数を1.2×10
-3(mm2/kgf)以下にすることができる。
また、該光記録媒体用ポリエステルフィルムの最大粗
さRtは0.1μm以下、好ましくは0.03μm以下で、しか
も、ピークの平均間隔Smが20μm以上、好ましくは100
μm以上でなければならない。以上の条件が満たされな
いと、光が散乱したり、干渉して得られる光の強度が低
下し、記録読取り時のエラーの原因となる。
また、該光記録媒体用ポリエステルフィルムのガラス
転移温度Tgは、80℃以上であり、好ましくは、85℃以上
であり、更に好ましくは90℃以上である。Tgが80℃未満
であると、耐熱性が悪化し、光記録媒体の加工時、或い
は、記録信号の書込みや読取り時に受ける熱によって、
該媒体が変形し、記録信号の書込みが不十分になった
り、読取りエラーが発生する。また、剛直性が低下し、
機械的強度が下がり、変形を越こし易くなる。
本ポリエステルの極限複屈折値Δn0は、0.10以下、好
ましくは0.07以下、更に好ましくは0.05以下である。Δ
n0が、0.10を越えると、分子鎖のわずかな配向に伴う光
学的異方性が大きくなる傾向があるためである。
また、本ポリエステルの相対粘度ηrは14〜70であ
り、好ましくは20〜60である。ηrが18より低下するフ
ィルムの機械的強度が下がり、荷重に対して歪み易くな
り、更に、14より低下すると製膜が困難になる。また、
ηrが70を越えるとフィルム成形時に、分子鎖が容易に
配向し複屈折を生じ易くなる。
また、本発明の光記録媒体用ポリエステルフィルムの
厚さとしては特に限定はしないが、延伸シートの場合、
6〜360μm、無延伸シートの場合、250〜2000μm程度
のものが好んで用いられる。
次に、本発明光記録媒体用ポリエステルフィルムを製
造する方法について述べる。しかし、必ずしもこの方法
に、限定されるものではない。
ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体と、ジヒド
ロキシ化合物とを常法により混合して反応させて、主鎖
にエステル結合を有する、好ましくは相対粘度ηr14〜7
0のポリエステル組成物を得る。
一旦エステル交換が必要な場合には、重合触媒以外に
エステル交換触媒を用いる。もちろん実用上、着色防止
剤、酸化防止剤、熱安定剤、結晶核剤、すべり剤、ブロ
ッキング防止剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤などを
添加させてもよい。
このようにして得られたフェニルインダンジカルボン
酸を5モル%以上含むポリエステルを前述のような押し
出し温度及び製膜速度で溶融押し出しし、製膜すること
により、光弾性係数が1.2×10-3(mm2/kgf)以下の光記
録媒体用ポリエステルフィルムが得られる。
また、キャストフィルムは、必要に応じて延伸配向さ
せても、また熱処理してもよい。
キャストフィルムはそのまま用いてもよいが、特に光
記録媒体として利用する場合は、フィルム表面の平滑
性、つまり表面の最大粗さRtが100nm以下、ピークの平
均間隔Smが20μm以上の平滑性が求められる。そこで、
押し出された溶融状態のフィルムのキャストドラムと付
設の冷却ロール、或いはキャストドラムと金属製のエン
ドレスベルトで圧着して冷却するのがよい。その際にキ
ャストドラム、付設の冷却ロール、或いは、金属製のエ
ンドレスベルトの表面は平滑であることすなわち、冷却
体表面の最大粗さは0.1S以下と平滑であることが求めら
れ、また十分に冷却することによって、フィルムの両面
を急冷してその結晶化を防止し、透明性と平滑性に優れ
たフィルムが得られる。
また、別の手法として、0.1S以下の平滑なドラムにキ
ャストしたフィルムの非ドラム面がガラス転移温度以上
に加熱した付設のロールで圧着し、冷却ロールで急冷し
てもよい。
更に、押し出された溶融状態のポリマーを0.1S以下の
表面の平滑な2本のロールの間にバンクとして留め、ロ
ールの間から押し出して、カレンダリングしてもよい。
また、押し出された溶融状態のポリマーを0.1S以下の
平滑な金属製のエンドレスベルト上にキャストし、その
エンドレスベルトと別の平滑な金属製のエンドレスベル
トで加熱、圧着し、急冷してもよい。
このようにして得られた表面の最大粗さRtが100nm以
下、ピークの平均間隔Smが20μm以上のフィルム表面に
傷が発生しないように、ポリマーの押し出し時或いはキ
ャスト直後に、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコ
ポリマー、ポリメチルペンテンポリマー、エチレン酢酸
ビニルポリマーなどのオレフィンポリマーをラミネート
したり、或いは耐スクラッチ層をコーティングするのが
よい。
該光記録媒体用ポリエステルフィルムとしては、光デ
ィスクや光カード、光テープといったものが考えられる
が、光ディスクにおいては、例えば該光記録媒体用ポリ
エステルフィルムの片面に無機質或いは有機質の光記録
媒体を真空蒸着、スパッタリング或いはスピンコートす
ることによって光記録媒体を形成させることができ、ま
た光カードにおいては、例えば片側に塩化ビニル基盤を
貼りつけたポリエチレンフィルム上にゼラチンと銀粒子
の混合体を塗布、処理して光記録層とし、この記録層の
上に保護層として該光記録媒体用ポリエステルフィルム
を貼りつけて光記録媒体を形成させることができる。
[物性の測定方法] (1)ガラス転移温度Tg 光記録媒体用ポリエステルフィルム10mgを、走査型熱
量計にセットし、窒素気流下で20℃/minの速度で昇温し
ていき、ベースラインが偏奇し始める温度と、新たなベ
ースラインに戻る温度との平均値を用いる。サンプルに
よっては、ベースラインが偏奇せず、吸熱ピークとなっ
てあらわれる場合は、その頂上温度を用いる。
(2)相対粘度ηr ポリエステルをドライアイスで冷却した後、粉砕機で
100メッシュ以下に粉砕する。その8gを150℃の熱o−ク
ロロフェノール100cc中に入れ1〜2分で溶解させる。
このポリマー溶液の粘度ηと、o−クロロフェノールの
粘度ηとを25℃で測定しその比をもって相対粘度とす
る。
ηr=η/η (3)光弾性係数 光弾性係数は、巾10mmの試料に1kgfの荷重を加えたと
きの複屈折の変化Δnを求め、Δn/Sをもって光弾性係
数とした。ここでSは試料にかかる応力である。その
際、弾性微小変形時の厚み変化は無視できるものとす
る。
フィルム面内の複屈折の測定はナトリウムD線(589n
m)を光源として直交ニコルを備えた偏光顕微鏡に試料
フィルム面が光軸と垂直となるように置き、試料の複屈
折によって生じた光路差Γをコンペンセーターの補償値
から求め、Γ/dをもって複屈折とした。ここでdは試料
フィルムの厚さである。
(4)記録読取りエラー率 このフィルムの片面をアルミニウム蒸着し、非蒸着面
に垂直にレーザ光を照射する。レーザ光は、発信波長が
780〜820nmで直線偏光の半導体レーザであり、ビーム・
スリッタ・プリズムを透過後、1/4波長板を通過して円
偏光となり、該光記録媒体用ポリエステルフィルムに垂
直に入射する。反射光は1/4波長板を再通過し直線偏光
となり、ビーム・スリッタ・プリズムに再入射する。ビ
ーム・スリッタ・プリズムでは、入射光の直線偏光のみ
通過し、偏波面が入射光と90度異なる再入射光は反射
し、光信号検出器に到達して、その強度が測定される。
平面状のフィルムにレーザ光を照射したときに検出され
る強度をI0とし、曲率半径100mmだけ湾曲させたフィル
ムにレーザ光を照射したときに検出される強度をIとす
ると、記録の読取りエラー率は で表される。
(5)極限複屈折値Δn0 極限複屈折値は、そのポリマーの理論的に取り得る最
大の一軸配向に基ずく屈折率の異方性である。本発明の
場合、簡易法として、直径250μmのモノフィラメント
を各延伸温度で、その破断に至るまでの複屈折値の延伸
倍率の外挿値の最大のものを採用する。
(6)最大粗さRt、ピークの平均間隔Sm小坂研究所製の
高精度薄膜段差測定器ET-10を用いて測定した。Rtは粗
さ曲線の最大の山と最深の谷の距離で表わされ、Smは粗
さ曲線お中心線と交わる一組の山と谷の平均間隔で表わ
される。測定条件は、下記のとおりであり、20回の測定
の平均値をもって値とした。
◇触針先端半径 :0.5μm ◇触 針 荷 重:5mg ◇測 定 長:1mm ◇カットオフ値 :0.08mm なお、パラメータの定義の詳細は、たとえば奈良二郎
著「表面粗さの測定・評価法」(総合技術センター、19
83)に示されている。
[実施例] 次に本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
これに限定されるものではない。
実施例1 ジカルボン酸として、テレフタル酸(85モル%)、1,
1,3−トリメチル−3−フェニルインダン−4′,5−ジ
カルボン酸(15モル%AMOCO製)を用い、ジヒドロキ
シ化合物としてエチレングリコールからなるポリエステ
ルを、常法により押出機内で290℃に加熱し、Tダイ口
金から鏡面ドラム上にキャストし、厚さ400μmの無配
向フィルムを得た。
実施例2 ジカルボン酸として、テレフタル酸(50モル%)、1,
1,3−トリメチル−3−フェニルインダン−4′,5−ジ
カルボン酸(50モル%)を用い、ジヒドロキシ化合物と
してエチレングリコールからなるポリエステルを、実施
例1と同様の方法でキャストし、厚さ400μmの無配向
フィルムを得た。
比較例1 ジカルボン酸として、テレフタル酸(97モル%)、1,
1,3−トリメチル−3−フェニルインダン−4′,5−ジ
カルボン酸(3モル%)を用い、ジヒドロキシ化合物と
してエチレグリコールからなるポリエステルを、実施例
1と同様の方法でキャストし、厚さ400μmの無配向フ
ィルムを得た。
比較例2 ジカルボン酸として、テレフタル酸を用い、ジヒドロ
キシ化合物としてエチレングリコールからなるポリエス
テルを、実施例1と同様の方法でキャストし、厚さ400
μmの無配向フィルムを得た。
比較例3 ジカルボン酸として、テレフタル酸(80モル%)、イ
ソフタル酸(20モル%)を用い、ジヒドロキシ化合物と
してシクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル
を、実施例1と同様の方法でキャストし、厚さ400μm
の無配向フィルムを得た。
実施例1、実施例2、比較例1〜3で得たフィルムの
特性を評価したところ表のような結果となった。
[発明の効果] 光記録媒体を利用するとき、該媒体に、曲げ或いは伸
縮、圧縮といった外力が加わることにより、該媒体に機
械的な変形が生じる。こういった変形が、光学的歪み、
つまり複屈折を生じさせる。この光弾性を抑えることに
より、記録信号の読取りエラーを防止できる。
また、光記録媒体の製造あるいは保存・記録・再生な
どの時に加わる熱、溶剤、外力、更には湿気、光線とい
った外的環境に対しても安定であり、信頼性の高い光記
録媒体となる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式で示されるフェニルインダンジカルボ
    ン酸 (但し、式中R1〜R3は水素、フッ素、臭素もしくは炭素
    数4以下のアルキル基から選ばれる基である。) 及び/又はその誘導体が5モル%以上含まれる二官能性
    カルボン酸及び/又はそのエステル形成誘導体と、ジヒ
    ドロキシ化合物及び/又はそのエステル形成誘導体とを
    反応せしめて導かれたポリエステルフィルムであり、光
    弾性係数が1.2×10-3(mm2/kgf)以下であることを特徴
    とする光記録媒体用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】フェニルインダンジカルボン酸及びその誘
    導体が、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン−
    4′,5−ジカルボン酸及びその誘導体であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の光記録媒体用ポリエ
    ステルフィルム。
  3. 【請求項3】表面の最大粗さRtが100nm以下、ピークの
    平均間隔Smが20μm以上であることを特徴とする特許請
    求範囲第1項または第2項記載の光記録媒体用ポリエス
    テルフィルム。
  4. 【請求項4】ガラス転移温度Tgが80℃以上であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の光
    記録媒体用ポリエステルフィルム。
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