JP2704108B2 - 磁気ヘッド駆動装置の磁気回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド駆動装置の
磁気回路に関し、特に、ボイスコイル型モータの磁気回
路の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、磁気ディスク装置において、磁
気ヘッドを磁気ディスクの所定のシリンダ上に位置決め
するための磁気ヘッド駆動装置のうち、特に、ボイスコ
イル型モータ（ＶＣＭ）を駆動源とするものは、磁気ヘ
ッドを保持する保持部材に取り付けられて磁気ヘッドと
一体となって運動するコイルと、このコイルに対応して
設けられた永久磁石とを備えており、コイルに電流を流
すことによって生ずる磁束と、永久磁石によって生ずる
磁束との間の吸引力または反発力によって、磁気ヘッド
の位置決め動作を行う運動を与える構成となっている。

【０００３】次に、従来の磁気ディスク装置の磁気ヘッ
ド駆動装置の磁気回路について図面を参照して説明す
る。図２および図３は、従来のボイスコイル型モータを
駆動源とする磁気ヘッド駆動装置の一例を示す図であっ
て、図２は平面図であり、図３は図２の矢印Ａ方向から
見た正面図である。従来の磁気ヘッド駆動装置の磁気回
路は、図２および図３に示すように、磁気ディスク１０
と、磁気ヘッド１１と、アーム１２と、回転機構部１３
と、ヨーク１４と、コイル１５と、永久磁石１６とから
なる磁気ヘッド駆動装置とから構成されている。

【０００４】ヨーク１４は“口”字状の外形をなし、こ
の内側の片側もしくは両側に永久磁石１６が固着してお
り、コイル１５の上面および下面と対向している。磁性
材料からなるヨーク１４の表面、もしくは永久磁石１６
の表面は、通常、一定の空隙を保つために平滑な研磨面
となっている。さらに、コイル電流に起因する反磁場の
影響を小さくするため、銅板１７がヨーク１４もしくは
永久磁石１６の表面に固着されている。

【０００５】ここで、コイル１５に電流を流すことによ
り、永久磁石１６との間に吸引力または反発力が生じて
コイル１５に回転運動が与えられ、磁気ヘッド１１を所
定のシリンダ上に位置決めするように駆動される。この
回転運動の制御は、磁気ディスク１０に書き込まれた信
号を磁気ヘッド１１で読み取ることによって行われ、磁
気ヘッド１１が磁気ディスク１０の使用領域１８を移動
できるように、コイル１５が図中の矢印で示す方向に回
転する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の磁気ヘ
ッド駆動装置の磁気回路は、コイルに電流を流すと、ヨ
ークおよび永久磁石の表面にうず電流が流れる。このう
ず電流は、外部磁界に反抗するする向きに流れるため、
コイルおよび永久磁石により発生する力を低減させると
いう問題がある。

【０００７】そのため、うず電流の影響を小さくするた
めに、ヨークおよび永久磁石のコイルと相対する面に銅
板を固着し、うず電流を低減させていた。また、銅板内
に発するうず電流の浸透深さは、０．４ｍｍ程度あるた
め、少なくとも０．４ｍｍ厚以上の銅板が必要であり、
磁気回路の空隙距離を大きくする必要があるが、コイル
と永久磁石とで発生する力が低下し、磁気ヘッドを所定
のシリンダ移動させるための時間が長くなるという欠点
がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、軟磁性材料か
らなるヨークと、このヨークに固着する永久磁石と、一
端に磁気ヘッドを担持し他端に前記永久磁石と係合して
駆動力を発生するコイルを有するアームとを備える磁気
ヘッド駆動装置の磁気回路において、前記コイルと相対
する前記ヨーク面および永久磁石面に少なくとも深さ
０．１ｍｍの複数の溝を設け、かつこれらの溝に電気的
絶縁物が充填されていることを特徴とする。また、前記
複数の溝が複数の穴であってもよく、さらに、前記電気
的絶縁物が合成樹脂であってもよい。

【０００９】

【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図１は、本発明の一実施例を示す側面図である。本
実施例の磁気ヘッド駆動装置の磁気回路は、図１に示す
ように、ヨーク４と、コイル５と、永久磁石６とから構
成されており、基本的な構成は図２および図３に示す従
来例のボイスコイル型モータと同様である。

【００１０】そして、磁気ヘッド駆動装置の回転機構部
（図２参照）を中心とする磁気ヘッドと相対する方向に
配置されている磁気回路のヨーク４の内側の片側もしく
は両側に永久磁石６が固着されており、永久磁石６およ
びヨーク４の表面に深さ０．１ｍｍ以上の無数の溝４ａ
が設けられており、この溝４ａには電気的な絶縁物（例
えば、合成樹脂など）７が充填された構成となってい
る。また、図中の矢印はコイル６が移動する方向を示し
ている。

【００１１】このように構成された磁気回路は、コイル
５に電流を流すと永久磁石６およびヨーク４の表面に外
部磁界に反抗する向きに流れようとするうず電流を、永
久磁石６およびヨーク４の表面に絶縁物７を充填した溝
４ａを設けることにより抑制している。

【００１２】また、本実施例においては、うず電流が浸
透する深さは、銅の場合、０．４ｍｍ程度であり、従っ
て、少なくとも０．４ｍｍ厚以上の銅板が必要である
が、鉄系の永久磁石６およびヨーク４の場合、うず電流
の浸透する深さは、０．１ｍｍ程度であることから、磁
気回路の空隙距離を縮めることなく、うず電流の発生を
低減することができ、コイル５および永久磁石６から発
生する力を有効に利用するすることができる。

【００１３】なお、本実施例では、永久磁石６およびヨ
ーク４の表面に複数の溝４ａを設けているが、これらの
溝４ａを複数の穴に代えるとともに、絶縁物７をそれぞ
れ充填しても同様な効果を得ることができる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気ヘッ
ド駆動装置の磁気回路は、永久磁石およびヨーク表面に
発生するうず電流を、永久磁石およびヨーク表面に形成
してある絶縁物が埋め込まれた無数の溝もしくは穴によ
り、磁気回路の空隙距離を縮めることなく、うず電流の
発生を低減することが可能となり、コイルおよび永久磁
石により発生する力の低下を防止し、常に安定した速度
で磁気ヘッドの位置決め動作ができるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図２】従来例を示す平面図である。

【図３】図２の矢印Ａ方向から見た正面図である。

【符号の説明】

１０ 磁気ディスク １１ 磁気ヘッド １２ アーム １３ 回転機構部 ４，１４ ヨーク ４ａ 溝 ５，１５ コイル ６，１６ 永久磁石 ７ 絶縁物 １７ 銅板 １８ 使用領域

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軟磁性材料からなるヨークと、このヨー
   クに固着する永久磁石と、一端に磁気ヘッドを担持し他
   端に前記永久磁石と係合して駆動力を発生するコイルを
   有するアームとを備える磁気ヘッド駆動装置の磁気回路
   において、前記コイルと相対する前記ヨーク面および永
   久磁石面に少なくとも深さ０．１ｍｍの複数の溝を設
   け、かつこれらの溝に電気的絶縁物が充填されているこ
   とを特徴とする磁気ヘッド駆動装置の磁気回路。
2. 【請求項２】 前記複数の溝が複数の穴であることを特
   徴とする請求項１記載の磁気ヘッド駆動装置の磁気回
   路。
3. 【請求項３】 前記電気的絶縁物が合成樹脂からなるこ
   とを特徴とする請求項１または２記載の磁気ヘッド駆動
   装置の磁気回路。