JP2701061B2 - 2,4―ジフルオロ―5―クロロ安息香酸の製造方法 - Google Patents

2,4―ジフルオロ―5―クロロ安息香酸の製造方法

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JP2701061B2
JP2701061B2 JP63323265A JP32326588A JP2701061B2 JP 2701061 B2 JP2701061 B2 JP 2701061B2 JP 63323265 A JP63323265 A JP 63323265A JP 32326588 A JP32326588 A JP 32326588A JP 2701061 B2 JP2701061 B2 JP 2701061B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、医薬、農薬、感光材料及び液晶材料等の中
間原料として有用な新規物質である、2,4−ジフルオロ
−5−クロロ安息香酸の製造方法に関する。
〔従来の技術及び問題点〕
本発明の製造方法によって得られる2,4−ジフルオロ
−5−クロロ安息香酸に関しては、Chemical Abstract
等にも記載が見当たらず、また、本発明者らが知る限り
その他の文献類にもその記載が見当らないので、これら
の物質は新規物質と考えられる。
本発明者等は、前記の如く各種物質の中間原料として
極めて有用な上記の化合物を得るべく鋭意研究を行なっ
た結果、2,4,6−トリフルオロ−5−クロロイソフタロ
ニトリルを、弱酸性水溶液中で金属亜鉛とともに加熱す
るだけで脱フッ素還元反応により容易に2,4−ジフルオ
ロ−5−クロロイソフタロニトリルが生成し、この2,4
−ジフルオロ−5−クロロイソフタロニトリルを酸性水
溶液中で加水分解すると2,4−ジフルオロ−5−クロロ
イソフタル酸が得られ、次いでこの2,4−ジフルオロ−
5−クロロイソフタル酸をトリ−n−オクチルアミン等
の有機塩基中で加熱すると脱炭酸反応によって2,4−ジ
フルオロ−5−クロロ安息香酸が得られることを見出
し、更に研究を進めて本発明を完成した。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、2,4,6−トリフルオロ−5−クロロイソフ
タロニトリルを、水性溶媒中で固体金属と反応させて2,
4−ジフルオロ−5−クロロイソフタロニトリルを得、
該2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタロニトリルを
酸性水溶液中で加水分解して2,4−ジフルオロ−5−ク
ロロイソフタル酸を得、次いで該2,4−ジフルオロ−5
−クロロイソフタル酸を溶媒中で加熱して脱炭酸するこ
とを特徴とする2,4−ジフルオロ−5−クロロ安息香酸
の製造方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
説明を容易にするために、本発明方法の反応工程の反
応式を以下に示す。
以下、本発明方法の各工程について順に説明する。
還元工程(A) 本発明方法の脱フッ素還元工程においては、出発原料
である2,4,6−トリフルオロ−5−クロロイソフタロニ
トリル(F3Cl IPNと略称することがある)を、例えば水
性溶媒中で固体金属と反応させることによって、この還
元工程の目的生成物である2,4−ジフルオロ−5−クロ
ロイソフタロニトリル(F2Cl IPN)と略称することがあ
る)を生成する。
上記の固体金属としては、例えば、亜鉛、錫、鉄、ニ
ッケル、クロム、アルミニウム、銅などを挙げることが
できる。これらの中、入手の容易性や反応収率の良さ等
の観点より固体金属を用いるのが好ましく、金属亜鉛を
用いるのが特に好ましい。
上記の金属亜鉛としては、通常市販されている金属亜
鉛粉末等あらゆるものが使用できる。金属亜鉛を使用す
る場合の反応式は以下のとおりである。
金属亜鉛の使用量は、上記反応式に示すごとく、理論
的にはF3Cl IPN 1モルに対し、1モル存在すれば良い
が、通常0.8〜10モル、好ましくは0.9〜5モル、特に好
ましくは1〜2モル存在させるのがよい。金属亜鉛を上
記使用範囲の下限値より少ない量で使用すると反応速度
が遅くなり、また、上限値より多いと、生成したF2Cl I
PNの脱フッ素還元反応が更に進行して副生成物2−フル
オロ−5−クロロイソフタロニトリル(以下、FCl IPN
と略称することがある)の生成を極少量以下に抑えるこ
とができなくなるので、上記使用範囲内の量を用いるの
がよい。
上記の還元反応は水性溶媒中で容易に進行する。但
し、出発原料であるF3Cl IPNおよびこの還元工程での目
的物質であるF2Cl IPNともに非水溶性の物質であるた
め、反応温度によって水性相と二つの固相〔出発物質お
よび目的物質よりなる固体と、固体金属等〕との三相、
または、水性相および油相の二つの液相と固相(固体金
属等)との三相にわたる異相反応であるので、この還元
反応は撹拌によりできるだけ反応系を均一に保ちながら
行なうのが良い。
この還元工程において用いる水性溶媒とは、水、また
は、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒をいい、このよう
な有機溶媒の併用によって、固相および/または油相を
水性相中に溶解させ一液相とさせ得る場合があり、ま
た、後記するように本発明に係る反応を還流温度条件下
で行なう場合には、還流温度を調節することも可能であ
る。
このような水溶性有機溶媒としては、水100重量部に
対して50重量部以上溶解するものならば特に制限なく使
用することができ、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、n−もしくはi−プロピルアルコール等の
炭素数1〜3の脂肪族一価アルコール類;例えば、アリ
ルアルコール、フルフリルアルコール等のその他の一価
アルコール類;例えばエチレングリコール、プロピレン
グリコール(1,2−,1,3−)、グリセリン等の炭素原子
数1〜3の脂肪族多価アルコール類;例えば、室温で液
状のポリエチレングリコール;例えば、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリ
コールと炭素原子数1〜4の脂肪族一価アルコールとの
モノまたはジエーテル化物;例えば、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコー
ルと炭素原子数1〜4の脂肪族一価アルコールとのモノ
またはジエーテル化物;例えば、1−グリセリンモノメ
チルエーテル等のグリセリンと炭素原子数1〜3の脂肪
族一価アルコールとのモノエーテル化物;例えば、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン(1,3−,1,4−)等の環状
エーテル類;並びに、例えば、アセトン、アセトニトリ
ル、ラクトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、ジエチルスルホオキシド等のその
他の水溶性有機溶媒;などを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独でまたは2種以上
混合して用いることができる。これらの有機溶媒の中、
入手の容易性や経済的観点より脂肪族一価アルコール類
が特に好適に使用できる。
還元反応は、一般に20℃以上の温度で行なうことがで
き、反応速度の点から40℃以上で行なうのが好ましい。
この還元反応は密閉耐圧反応槽中で高温、高圧下で反応
させることも可能であるが、反応設備コスト等の観点か
ら、大気圧下、50℃〜還流温度の範囲で反応させるのが
好ましい。さらに、副生成物FCl IPN抑制の観点から、6
0〜100℃の温度範囲で反応させるのが特に好ましい。
反応時間は、特に制限されるものではないが、長時間
に過ぎるとFCl IPN生成の副反応が進行する場合がある
ので、一般に15分〜10時間、好ましくは30分〜6時間程
度の範囲で行なうのが良い。
本発明の脱フッ素還元反応は、その反応系が中性、酸
性およびアルカリ性のいずれの領域にある場合において
も進行するが、例えばpH9以上のアルカリ性領域では、
4−位のフッ素が水酸基で置換された2,6−トリフルオ
ロ−5−クロロ−4−ヒドロキシイソフタロニトリル
や、ニトリル基が加水分解された2,4,6−トリフルオロ
−5−クロロイソフタルアミド等が副生する場合がある
ので、例えば、pH9未満の反応系で反応を行なうのが好
ましく、pH2〜7の範囲の反応系で反応を行なうのが、
特に好ましい。
上記還元反応は、酸の存在下に行なうことができる。
本発明に用いることのできる酸としては、例えば硫酸、
塩酸、硝酸等の無機酸類;および、例えば、酢酸、蓚
酸、安息香酸、無水フタル酸、p−トルエンスルホン酸
等の有機酸類等のように、水溶液中で酸性を示すものな
らばあらゆるものを用いることができる。これらの酸の
うち、入手の容易さ等の理由から硫酸、塩酸、硝酸、酢
酸等の酸類を用いるのが好ましい。
しかしながら、例えば、固体金属等として最も好適な
亜鉛を用いた場合、反応系が強酸領域では、酸と金属亜
鉛との副反応(水素を発生して酸の亜鉛塩を生成する)
が起って金属亜鉛を浪費することがあり、また、副生し
ている水不溶性のフッ化亜鉛と酸とが反応して腐蝕性の
フッ化水素を遊離させる場合がある。さらに、酸の濃度
が過剰に過ぎると、ニトリル基が加水分解を受けて2,4,
6−トリフルオロ−5−クロロイソフタルアミド、2,4−
ジフルオロ−5−クロロイソフタルアミド、2,4,6−ト
リフルオロ−5−クロロイソフタル酸および2,4−ジフ
ルオロ−5−クロロフタル酸等およびこれらの混合物が
副生する場合がある。このような理由から、酸の使用量
は、原料F3Cl IPN 1モルに対して0〜5グラム当量、特
に0.1〜5グラム当量の量で用いるのが好ましく、ま
た、前記金属亜鉛の使用量(モル数)をx、酸の量(グ
ラム当量数)をyとすると1≦2x-y≦3の関係式を満足
する範囲の量で使用するのが好ましい。
さらに、反応の酸濃度は水性溶媒の量1000gに対して1
0当量以下の範囲で用いるのが好ましく、8当量以下の
範囲で用いるのが更に好ましい。酸の添加方法も、反応
初期に一括添加する方法の他、逐次添加などの方法等も
適宜選択できる。
更にまた、本発明方法に係る反応においては、酸を用
いる代りに水可溶性塩を用い、前記のpH範囲、即ち、pH
9未満、さらにはpH2〜7の範囲の反応系中で行なうこと
がてきる。この方法によれば、工業化に際して比較的安
価なSUS304,SUS316等のステンレス鋼を使用することが
できるようになるとともに、酸を用いる場合と同様の高
純度、高収率で目的化合物を得ることができるという優
れた効果を発揮する。
このような水可溶性塩としては、特に限定されるもの
ではなく、水100gに対して0.01g以上、好ましくは1g以
上溶解するものであればいずれも使用できる。このよう
な水可溶性塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫
酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫
酸水素カリウムなどの硫酸塩;例えば、塩化アンモニウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、
塩化マグネシウム、塩化バリウム等の塩酸塩;例えば、
硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝
酸カルシウム、硝酸マグネシウム等の硝酸塩;例えば、
リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン
酸二水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水
素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム等の
リン酸塩;例えば四ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;例
えば、クエン酸アンモニウム、クエン酸水素アンモニウ
ム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、ク
エン酸カリウム、クエン酸水素カリウム等のクエン酸
塩;例えば、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸
カリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩;例えば、酒石酸
ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸カリウム、
酒石酸水素カリウム等の酒石酸塩;例えばシュウ酸カリ
ウム等のシュウ酸塩;例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カ
ルシウム等の乳酸塩;フタル酸アンモニウム、フタル酸
水素アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素
ナトリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム
等のフタル酸塩;等を例示することができる。
これらの水可溶性塩の中、その水溶液が弱酸性を示す
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム等の強酸弱塩基塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カ
リウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸−水素カリウム、リン酸二水素カリウム等
の無機酸の強塩基水素塩;クエン酸水素アンモニウム、
クエン酸水素ナトリウム、クエン酸水素カリウム、酒石
酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、フタル酸水素
ナトリウム、フタル酸水素カリウム等の有機酸の強塩基
水素塩;等の使用が好ましい。これらの塩はそれぞれ単
独で、又は、二種以上混合して用いることができ、ま
た、必要に応じて、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、アンモニア等の塩基を併用して、水性溶媒の
pHを前記好適なpH範囲になるように調節することもでき
る。
さらに、前記の塩類は適宜の酸と組合せて用いること
により反応系の水性溶媒のpHを前記好適なpH範囲とする
こともできる。このような塩類としては、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、硝酸
ナトリウム、硝酸カリウム等のその水溶液がほぼ中性の
強酸強塩基正塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、
四ホウ酸ナトリウム等のその水溶液がアルカリ性の無機
酸強塩基正塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、
酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、乳酸ナトリウム、
乳酸カルシウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウ
ム等のその水溶液がアルカリ正の有機酸強塩基正塩等を
例示することができる。
上記の如き塩類と組合せるに好適な酸としては、例え
ば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸;
例えば、クエン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、シュウ
酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、p−トルエンスルホン
酸等の有機酸を挙げることができる。
前記の水可溶性塩の使用量は特に制限されるものでは
ないが、反応系のpHが前記範囲となるような量を用いる
のが好ましく、出発原料F3Cl IPN 1モルに対して、合計
量で例えば、0.01〜1モル、特には0.03〜0.5モル用い
るのが好ましい。また、該水可溶性塩の反応系の水性溶
媒中における濃度は、合計量で例えば0.01〜2モル/
、特には、0.02〜1モル/であるのがよい。
還元工程(A)の終了後、熱時濾過して固形分を濾別
するか、または反応系を冷却し、中間生成物F2Cl IPNを
溶解する非水溶性の抽出溶媒を加えて混合してから固形
分を濾別し、続いて濾液から分液によって水層を除い
て、中間生成物F2Cl IPNを含有する抽出混合物を得る。
次に、この抽出混合物中に無機酸水溶液を加え、加熱
して加水分解工程(B)を実施する。
なお、この還元工程(A)において副正することのあ
るFCl IPNは、次の加水分解工程(B)において2−フ
ルオロ−5−クロロフタル酸(以下、FCl IPAと略称す
ることがある)に加水分解されるが、後記する脱炭酸工
程(C)における条件ではほとんど脱炭酸されずFCl IP
Aとして残るため、本発明の前記目的物であるF2Cl BAと
は比較的容易に分離することが可能である。そのため、
本発明方法においては、還元工程(A)終了後、FCl IP
N等を特に取り除くことなく、次の加水分解工程(B)
を行なうことができる。
加水分解工程(B) 本発明方法における加水分解反応は無機酸(例えば硫
酸、塩酸または臭化水素酸、好ましくは硫酸)水溶液中
で容易に進行する。例えば、還元反応によって得られた
2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタロニトリル(F2C
l IPN)を50〜90重量%の硫酸水溶液中で、例えば100〜
180℃の温度で加熱することにより、2,4−トリフルオロ
−5−クロロイソフタル酸(以下、F2Cl IPAと略称する
ことがある)を得る方法が好適に採用しうる。
加水分解工程(B)終了後、後記の脱炭酸工程(C)
において述べるようなN−H結合を有しない含窒素有機
塩基(以下、非プロトン性有機塩基と称することがあ
る)のうち非水溶性のもの、或いは、非プロトン性極性
有機溶媒または非極性有機溶媒のうち非水溶性のものを
用いて、上記加水分解工程(B)で得られた中間生成物
F2Cl IPAの抽出を行なう。得られた抽出液はそのまま、
または、必要に応じて例えば、水酸化ナトリウム水溶液
等のアルカリ性水溶液を加え、よく混合して抽出液を洗
浄した後、その溶媒および/または後記する触媒を加え
て、引き続き脱炭酸工程(C)を実施して2,4−ジフル
オロ−5−クロロ安息香酸(F2Cl BA)を製造すること
ができる。このような非水溶性非プロトン性有機塩基と
しては、例えば、トリアルキルアミン(各アルキル基の
炭素原子数が2以上のもの)、ジアルキルアリールアミ
ン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンま
たはジアルキルシクロアルキルアミン等の第3アミン;
例えば、N,N′−テトラアルキルアリーレンジアミン等
のジアミンを挙げることができ、非水溶性非プロトン性
極性有機溶媒としては、例えば、ベンゾニトリル、ニト
ロベンゼン等を、また、非水溶性非極性有機溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレ
ン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ブチ
ルベンゼン、シメン等の芳香族炭化水素類;パラジクロ
ロベンゼン、パラジフルオロベンゼン等のハロゲン置換
芳香族炭化水素類;プロピルエーテル、ブチルエーテル
類のジアルキルエーテル類等を挙げることができる。
脱炭酸工程(C) 本発明方法における脱炭酸反応は、前記の加水分解工
程で得られた中間生成物F2Cl IPAを溶媒中で80〜250℃
の温度範囲で加熱することにより容易に進行する。
この脱炭酸工程の溶媒は、出発原料F2Cl IPA、反応生
成物F2Cl BAおよび場合により使用する触媒との間で、
この脱炭酸工程にとって不都合な副反応を起こすことの
ないものであればよい。
このような触媒としては、水、非プロトン性極性有機
溶媒、非プロトン性有機塩基、および、これらの混合物
が好適に使用できる。
なお、本明細書において“極性有機溶媒”とは、分子
内に2D(デバイ)以上の永久双極子モーメントをもつ中
性の有機化合物をいう。
前記の非プロトン性極性有機溶媒としては、例えばジ
メチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ジメチルス
ルホン、テトラメチルスルホン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ア
セトニトリル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ベンゾ
ニトリル、ニトロベンゼン、グリコール類のジアルキル
エーテル、または、キノリンなどがあり、そのうち、水
溶性非プロトン性極性容器溶媒としては例えばジメチル
スルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン、
アセトニトリル、グリコール類のジアルキルエーテル
〔例えばジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグ
ライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル
(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチル
エーテル(テトラグライム)〕などがある。また非水溶
性非プロトン性極性有機溶媒としては例えばベンゾニト
リル、ニトロベンゼンなどがある。
また、本発明の脱炭酸工程で使用できる前記のN−H
結合を有しない含窒素有機塩基の例としては、一般式 〔式中、R1とR2とR3とは、各々独立に、C1〜C18の直鎖
状または分枝状のアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、
ノニル基、ドデシル基、またはステアリル基)、アルケ
ニル基(例えばオレイル基)、アリール基(例えばフェ
ニル基またはナフチル基)またはC5〜C8のシクロアルキ
ル基(例えばシクロヘキシル基);R1とR2とは一緒にな
ってC5〜C8のアルキレン基を形成し且つR3は前記C1〜C
18の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、アルケニル
基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル基;ある
いはR1とR2とは一緒になってC5〜C8のアルキレン基を形
成し且つR3はそのR1とR2とが一緒になって形成するアル
キレン基中の炭素原子と窒素原子とを結合するC2〜C4
アルキレン基;である〕で表される第3アミンを挙げる
ことができる。
好ましい第3アミンは、トリアルキルアミン(例えば
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラ
ウリルアミン、トリステアリルアミン、ジメチルエチル
アミン、メチルジエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン)、トリアルケニルアミン、ジアルキルアリール
アミン(例えばジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ン)、アルキルジアリールアミン(例えばジフェニルメ
チルアミン、ジフェニルエチルアミン)、トリアリール
アミン(例えばトリフェニルアミン)、ジアルキルシク
ロアルキルアミン(例えばジメチルシクロヘキシルアミ
ン)、N−アルキル置換飽和窒素複素還式化合物(例え
ばN−メチル−ピロリジン、N−メチル−モルホリン、
N−メチル−ピペリジン)またはキヌクリジンである。
脱炭酸工程で使用することのできる別の非プロトン性
有機塩基の例としては、一般式 〔式中、Aはアルキレン基(炭素原子数1〜8個)また
はアリーレン基であり、R4とR5とR6とR7とは各々独立に
C1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキル基もしくはア
ルケニル基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル
基;あるいはR4とR5もしくはR6とR7またはR4とR6もしく
はR5とR7とが各々C2〜C8のアルキレン基を形成するもの
である〕 で表されるジアミンを挙げることができる。
前記のジアミンは、例えばN,N′−テトラアルキル−
アルキレンジアミン(例えばN,N′−テトラメチルメチ
レンジアミン、N,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ン、N,N′−テトラメチルトリメチレンジアミン)、N,
N′−テトラアルキル−アリーレンジアミン(例えばN,
N′−テトラメチルフェニレンジアミン)、あるいは環
状ジアミン(例えばトリエチレンジアミン、N,N′−ジ
メチルピペリジン)である。前記のジアミン以外にも、
同様のトリアミン等のポリアミンも使用することができ
る。
脱炭酸工程で使用することのできる更に別の非プロト
ン性有機塩基の例としては一般式 (式中、R8とR9とR10とは、各々独立にC1〜C18の直鎖状
または分枝状のアルキル基もしくはアルケニル基、アリ
ール基またはC5〜C8のシクロアルキル基であり且つRは
水素、C1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキル基もし
くはアルケニル基、アリール基またはC5〜C8のシクロア
ルキル基;R8とR9とがC3〜C8のアルキレン基を形成し、R
10はC1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキル基もしく
はアルケニル基、アリール基またはC5〜C8のシクロアル
キル基であり且つRは水素原子、C1〜C18の直鎖状また
は分枝状のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール
基またはC5〜C8のシクロアルキル基;R8とR10とがC2〜C8
のアルキレン基を形成し、R9はC1〜C18の直鎖状または
分枝状のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基
またはC5〜C8のシクロアルキル基であり且つRは水素、
C1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキル基もしくはア
ルケニル基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル
基;あるいは、R8とR10とがC2〜C8のアルキレン基を形
成し且つR9とRとがC3〜C8のアルキレン基を形成するも
のである。) で表されるアミジンを挙げることができる。
N−の炭素原子と結合することができるものとする) で表されるアミジンを挙げることができる。
上記アミジンは、例えばトリアルキルアミジンまたは
二還式アミジン(例えばジアザビシクロウンデセン、ジ
アザビシクロノネン)である。
前記の各種の溶媒を組合せて使用することもできる。
例えば、前記の非プロトン性有機塩基と水、前記非プロ
トン性有機塩基と非プロトン性極性有機溶媒、あるい
は、水と非プロトン性極性有機溶媒である。
また、脱炭酸工程で用いる溶媒としては、必要に応じ
前記以外の有機溶媒を併用することができる。
このような有機溶媒の中で好適なものとしては、例え
ば、非極性有機溶媒を挙げることができる。なお、ここ
でいう“非極性有機溶媒”とは、分子内の永久双極子モ
ーメントが2D末端の中性の有機化合物をいうものとす
る。
前記の非極性有機溶媒としては、好ましくは沸点80〜
300℃の有機溶媒であって、ブタノール、ペンタノー
ル、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の炭素原子4
個以上の脂肪族アルコール類;プロピルエーテル、ブチ
ルエーテル等の、少なくとも一方のアルキル基が炭素原
子3個以上をもつジアルキルエーテル類;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロ
ピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、シメン等の芳
香族炭化水素類;パラジクロロベンゼン、パラジフルオ
ロベンゼン等のハロゲン置換芳香族炭化水素類;ヘプタ
ン、オクタン等の炭素原子7個以上の脂肪族炭化水素
類;1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン等のハロゲン置換脂肪族炭化水素類を挙げることがで
きる。これらの中では、芳香族炭化水素類、ハロゲン置
換芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、およびハロゲ
ン置換脂肪族炭化水素類等の炭化水素系溶媒を用いるの
が更に好ましく、ハロゲン原子で置換されていない芳香
族炭化水素類を用いるのが特に好ましい。
脱炭酸工程は、場合により触媒の存在下で実施するこ
とができる。触媒としては、この種の脱炭酸反応におい
て公知の触媒を使用する。使用する溶媒の種類に応じて
触媒を選択するのが好ましい。水性溶媒中で使用する触
媒としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸
塩、有機酸塩またはフッ化物、あるいはアルカリ土類金
属の酸化物、更に有機塩基の硫酸塩、フッ化物または有
機酸塩を挙げることができる。アンモニア、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の硫酸塩としては、例えば、
硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫
酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸マグネシウム、硫酸
カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウムであ
る。有機塩基の硫酸塩としては、例えば、ピリジン硫酸
塩、キノリン硫酸塩、または前述の非プロトン性有機塩
基の硫酸塩を例示できる。また、アンモニアの水酸化
物、炭酸塩、有機酸塩またはフッ化物としては、例え
ば、アンモニア水、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニ
ウムまたは、出発原料もしくは生成物とアンモニアとの
塩、すなわち2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタル
酸アンモニウム、2,4−ジフルオロ−5−クロロ安息香
酸アンモニウムである。
アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機
酸塩またはフッ化物としては、例えば、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、フッ化マ
グネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、フッ化カルシウム、酸化ストロンチウム、
水酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化バリウ
ム、炭酸バリウムまたは出発原料(2,4−ジフルオロ−
5−クロロイソフタル酸)もしくは生成物(2,4−ジフ
ルオロ−5−クロロ安息香酸)とアルカリ土類金属(例
えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまた
はバリウム)の水酸化物との塩も触媒として作用する。
また、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、有機酸塩ま
たはフッ化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸カリウム、フッ化カリウムまたは出発原料もしくは生
成物とアルカリ金属水酸化物との塩も触媒となる。
また、有機塩基のフッ化物または有機酸塩としては、
例えば、前述の非プロトン性有機塩基のフッ化物または
該非プロトン性有機塩基と出発原料もしくは生成物との
塩を例示できる。
次に非プロトン性極性有機溶媒を含有してなる溶媒中
で使用する触媒としては、無機塩基、例えば重炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等を挙げるこ
とができる。
更に、非プロトン性有機塩基を含有してなる溶媒中で
は、該非プロトン性有機塩基自体が触媒作用を有し、ま
た、該非プロトン性有機塩基と、出発原料溶液中に場合
により含まれていることのある硫酸または出発原料もし
くは生成物である有機酸との塩も触媒作用を有するの
で、必ずしも別途、触媒の添加を要しない。
本発明方法の脱炭酸工程においては、使用する溶媒お
よび場合により使用する触媒の種類に応じて、加熱条件
や出発原料と溶媒との量比等を簡単に設定することがで
きる。
例えば、非プロトン性極性有機溶媒中で脱炭酸を実施
する場合には、反応温度80〜200℃好ましくは90〜180
℃、特に好ましくは105〜140℃で0.5〜3時間好ましく
は約1時間、大気圧下で加熱処理する。触媒は、出発原
料1モルに対して0.05〜0.75モル好ましくは0.2〜0.5モ
ルの量で使用する。
更に、有機塩基溶媒中で脱炭酸を実施する場合には、
反応温度100〜200℃好ましくは120〜180℃で0.5〜50時
間好ましくは約0.5〜5時間、大気圧下で加熱処理す
る。
非極性有機溶媒の共存下で実施する場合には、出発原
料1モルに対して、一般に有機塩基0.1〜3モル(反応
速度の観点から好ましくは0.3〜2モル、更に好ましく
は0.75超〜1.5モル)および非極性有機溶媒0〜10モル
(好ましくは0.5〜5モル)を使用する。
非極性有機溶媒を使用しない場合には、出発原料1モ
ルに対して好ましくは0.5〜10モル更に好ましくは0.5〜
5モルの量で有機塩基を使用する。
水性溶媒中で脱炭酸を実施する場合には、反応温度80
〜250℃好ましくは100〜220℃、特に好ましくは130〜18
0℃で2〜40時間好ましくは約5〜30時間、pH0.7〜2.2
好ましくは1.2〜2で真空ないし約15気圧好ましくは1
〜10気圧の下で加熱処理する。水性溶媒の使用量は、出
発原料1モルに対し、0.1〜2モル好ましくは0.2〜1モ
ルである。触媒の使用量は触媒の種類によって差があ
り、各々、出発原料1モルに対して、アンモニア、アル
カリ金属、アルカリ土類金属および有機塩基の硫酸塩お
よびフッ化物では0.01〜3モル好ましくは0.05〜1モ
ル、有機塩基では0.01〜1.2モル好ましくは0.1〜0.9モ
ル、アンモニアの水酸化物、炭酸塩および有機酸塩並び
にアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および
有機酸塩では0.01〜0.4モル好ましくは0.05〜0.25モ
ル、そしてアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩及び有機酸
塩では0.002〜0.1モル好ましくは0.005〜0.05モルであ
る。
得られた生成物2,4−ジフルオロ−5−クロロ安息香
酸(F2Cl BA)は任意の公知の方法で単離し、そして精
製することができる。例えば、溶媒として非水溶性非プ
ロトン性有機塩基、非水溶性非プロトン性極性有機溶
媒、非水溶性非極性有機溶媒等の非水溶性溶媒を使用す
る場合は、反応終了後、冷却してから反応液中に水酸化
ナトリウム水溶液等のアルカリ性化合物の水溶液を加え
て撹拌し、水層を分液により単離する。次いで、この水
層中に塩酸水溶液等の無機酸の水溶液を加え、析出した
結晶を濾過して乾燥するなどの方法が採用できる。
また、上記結晶中には生成物F2Cl BAの他に還元工程
(A)で副生することのあるFCl IPNに由来する副生成
物が混入している場合があり、該FCl IPNは加水分解工
程(B)で2−フルオロ−5−クロロイソフタル酸(FC
l IPA)になるが、次の前記の脱炭酸工程(C)におけ
る条件ではほとんど脱炭酸しないため、F2Cl BA中に混
入している可能性のある副生成物は、これよりはるかに
水に対する溶解度の高いFCl IPAである。従って、得ら
れた上記の結晶を熱水から再結晶することにより容易に
高純度のF2Cl BAを得ることができる。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、これは本発明を限定するものではない。
実施例1 冷却還流管と温度計を備えた20mlフラスコに、2,4,6
−トリフルオロ−5−クロロイソフタロニトリル(F3Cl
IPN)(純度98重量%)0.29g(約1.3ミリモル)亜鉛粉
末(純度96重量%)91mg(約1.3ミリモル)、氷酢酸80m
g(約1.3ミリモル)及び水3mlを加熱還流下2時間反応
させた。この間、反応系のpHは2〜5であった。冷却
後、反応液をエチルエーテルにて抽出し、このエーテル
層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去するこ
とにより純度86重量%の2,4−ジフルオロ−5−クロロ
イソフタロニトリル(F2Cl IPN)0.22g(収率、73%)
を得た。
得られたF2Cl IPNの物性値は次の通りであった。
19F−NMR(溶媒:アセトン−d6、内部標準物質:CF3CO
OH、1H−デカップリング) δ=−20.5ppm(1F,d,J=3.7Hz) δ=−24.9ppm(1F,d,J=3.7Hz) 尚、F2Cl IPN中に含まれている不純物は2−フルオロ
−5−クロロイソフタロニトリル(FCl IPN)であり、
このものの物性値は次の通りであった。
19F−NMR(溶媒:アセトン−d6、内部標準物質:CF3CO
OH、1H−デカップリング) δ=−29.6ppm(1F,S) 19F−NMR(溶媒:アセトン−d6、内部標準物質:CF3CO
OH) δ=−29.6ppm(1F,t,J=4.9Hz) 1H−NME(溶媒:アセトン−d6、内部標準物質:TMS) δ=7.36ppm(2H,d,J=4.9Hz) 実施例2 冷却還流管と温度計を備えた100mlフラスコに2,4,6−
トリフルオロ−5−クロロイソフタロニトリル(F3Cl I
PN)(純度98重量%)4.4g(約20ミリモル)、亜鉛粉末
(純度96重量%)1.9g(約28ミリモル)、氷酢酸1.8g
(約3030ミリモル)及び水48mlを60℃で5時間撹拌下加
熱する。以下、実施例1と同様に処理し、純度74重量%
の2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタロニトリル(F
2Cl IPN)3.6g(収率67%)を得た。
実施例3 冷却還流管と温度計を備えた50mlフラスコに、実施例
2で得られた純度74重量%の2,4−ジフルオロ−5−ク
ロロイソフタロニトリル2.7g約10ミリモル)及び70重量
%の硫酸20gを150℃にて3時間反応を行う。放冷後エチ
ルエーテルにて抽出を行い、得られたエーテル層を無水
塩化カルシウムにて乾燥後溶媒を減圧下留去し目的物を
含む混合物2.8gを得た。
19F−NMRによる分析より2,4−ジフルオロ−5−クロ
ロイソフタル酸(F2Cl IPA)約8.4ミリモル(収率84
%)を又不純物として2−フルオロ−5−クロロイソフ
タル酸(FCl IPA)約3.6ミリモルを確認した。
得られたF2Cl IPAの物性値は次の通りであった。
19F−NMR(溶媒:アセトン−d6、内部標準物質:CF3CO
OH、1H−デカップリング) δ=−29.9ppm(1F,d,J=8.5Hz) δ=−32.0ppm(1F,d,J=8.5Hz) 又、不純物FCl IPAの物性値は次の通りであった。
19F−NMR(溶媒:アセトン−d6) δ=−34.2ppm(F,s) 実施例4 冷却還流管と温度計を備えた30mlフラスコに実施例3
で得られた2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタル(F
2Cl IPA)酸1.0g、(2,4−ジフルオロ−5−クロロイソ
フタル酸約3.0ミリモル、及び2−フルオロ−5−クロ
ロイソフタル酸約1.3ミリモルを含有している)、トリ
−n−オクチルアミン1.8g(約5.1ミリモル)及びキシ
レン5mlを150℃にて3時間加熱還流を行った。反応の終
了を液体クロマトグラフィーで確認した後反応系にエー
テル、水及び水酸化カリウム水溶液を入れ反応生成物を
水層へ抽出する。この水層をエーテルにて洗浄した後、
硫酸にてpH1としエーテル抽出を行う。このエーテル層
を塩化カルシウムにて乾燥後、エーテルを減圧下留去し
結晶0.77gを得た。19F−NMRによる分析より2,4−ジフル
オロ−5−クロロ安息香酸(F2Cl BA)2.7ミリモル(収
率90%)を確認した。又、この結晶を熱水より再結晶を
行うことにより容易にF2Cl BAの純品を得ることができ
た。
得られたF2Cl BAの物性値は次の通りであった。
質量スペクトル(EI)M/Z=194(M+2),192
(M+),177,175,149,147 19F−NMR(溶媒:アセトン−d6,内部標準物質:CF3COO
H,1H−デカップリング) δ=−29.1ppm(1F,d,J=12.2Hz) δ=−29.8ppm(1F,d,J=12.2Hz) 1H−NMR(溶媒:アセトン−d6,内部標準物質:TMS) δ=−7.40ppm(1H,d−d,J=9.8Hz,10.5Hz) δ=−8.08ppm(1H,d−d,J=7.6Hz,8.3Hz) 融点:120.0〜120.5℃

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2,4,6−トリフルオロ−5−クロロイソフ
    タロニトリル1モルに対して、金属亜鉛0.8〜2.0モルを
    水性溶媒中で反応させて2,4−ジフルオロ−5−クロロ
    イソフタロニトリルを得、該2,4−ジフルオロ−5−ク
    ロロイソフタロニトリルを酸性水溶液中で加水分解して
    2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタル酸を得、次い
    で該2,4−ジフルオロ−5−クロロイソフタル酸を溶媒
    中で加熱して脱炭酸することを特徴とする2,4−ジフル
    オロ−5−クロロ安息香酸の製造方法。
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