JP2991656B2 - テトラクロロオルソフタロニトリルの製造方法 - Google Patents

テトラクロロオルソフタロニトリルの製造方法

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JP2991656B2 JP7062796A JP7062796A JP2991656B2 JP 2991656 B2 JP2991656 B2 JP 2991656B2 JP 7062796 A JP7062796 A JP 7062796A JP 7062796 A JP7062796 A JP 7062796A JP 2991656 B2 JP2991656 B2 JP 2991656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オルソフタロニト
リルを用いるテトラクロロオルソフタロニトリルの製造
方法に関する。なお、テトラクロロオルソフタロニトリ
ルは、医薬、農薬、機能性色素および機能性ポリマーな
どの中間原料として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】テトラクロロオルソフタロニトリルの製
造方法は、すでに知られている。
【0003】例えば、斎藤らは、有機合成化学、第22
巻、834頁(1964年)に、気相で活性炭触媒下オ
ルソフタロニトリルと塩素ガスとを反応させてテトラク
ロロフタロニトリルを製造する方法を開示している。し
かしながら、ここでは工業化の際に生じる問題点は明確
にされておらず、よってその解決策は明らかになってい
ない。また、特公昭50−38089号公報、特公昭6
3−65065号公報などにも同様な方法が開示されて
いる。しかし、いずれも具体的に開示されている方法
は、テトラクロロイソフタロニトリルの製造方法であ
り、これらにおいてもテトラクロロオルソフタロニトリ
ルの工業化の際に生じる問題点は明確にされておらず、
よってその解決策は明らかになっていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、テトラクロ
ロオルソフタロニトリルの工業化の際に生じる問題点に
関する解決策を提供するものである。
【0005】すなわち、本発明は、オルソフタロニトリ
ル蒸気と塩素ガスとを触媒存在下に気相で反応させてテ
トラクロロオルソフタロニトリルを製造する際に、固体
のオルソフタロニトリルを蒸気化する必要があるが、蒸
気化の前後でオルソフタロニトリルから各種のオルソフ
タロニトリルの自己縮合体が生成し、これらの自己縮合
体が配管の閉塞、触媒上へ沈着して触媒同志の癒着、活
性の低下あるいは製品の品質の低下など種々の問題を引
き起こすことが判明し、よってその解決策を提供するも
のである。
【0006】さらに本発明では、新規な合成物であるオ
ルソフタロニトリルの鎖状三量体化合物を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記
(1)〜(12)により達成される。
【0008】(1) オルソフタロニトリル蒸気と塩素
ガスを触媒存在下に気相で反応させて、テトラクロロオ
ルソフタロニトリルを製造する方法において、オルソフ
タロニトリルの供給系内でのオルソフタロニトリルの自
己縮合体の生成を抑制することを特徴とするテトラクロ
ロオルソフタロニトリルの製造方法。
【0009】(2) オルソフタロニトリルの供給系内
液相中のFe分、Ni分、Cr分、Zn分、Mn分、A
l分、Cu分およびCo分の総量を、オルソフタロニト
リルに対して1000ppm以下にすることを特徴とす
る前記(1)に記載の製造方法。
【0010】(3) オルソフタロニトリルの供給系内
において、オルソフタロニトリルと接触する面の材質を
非金属性物質にすることを特徴とする前記(1)または
(2)に記載の製造方法。
【0011】(4) オルソフタロニトリルの供給系内
において、水分をオルソフタロニトリルに対して500
ppm以下にすることを特徴とする前記(1)ないし
(3)のいずれか1つに記載の製造方法。
【0012】(5) オルソフタロニトリルの供給系
が、オルソフタロニトリルを融解するのに用いる融解槽
からなる前記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載
の製造方法。
【0013】(6) オルソフタロニトリルの供給系
が、オルソフタロニトリルを蒸気化するのに用いる蒸発
器からなる前記(1)ないし(4)のいずれか1つに記
載の製造方法。
【0014】(7) 非金属性物質が、グラスである前
記(3)に記載の製造方法。
【0015】(8) Fe分、Ni分、Cr分、Zn
分、Mn分、Al分、Cu分およびCo分が、それぞれ
Feイオン、Niイオン、Crイオン、Znイオン、M
nイオン、Alイオン、CuイオンおよびCoイオンで
あり、Feイオン、Niイオン、Crイオン、Znイオ
ン、Mnイオン、Alイオン、CuイオンおよびCoイ
オンの総量がオルソフタロニトリルに対して100pp
m以下である前記(2)に記載の製造方法。
【0016】(9) オルソフタロニトリルの自己縮合
体が、フタロシアニン化合物である前記(1)に記載の
製造方法。
【0017】(10) オルソフタロニトリルの自己縮
合体が、一般式(1):
【0018】
【化3】
【0019】(式中、nは2〜8の整数である。)で表
されるオルソフタロニトリルの鎖状多量体である前記
(1)に記載の製造方法。
【0020】(11) オルソフタロニトリルの自己縮
合体が、2,4,6−トリ(o−シアノフェニル)−
1,3,5−トリアジンである前記(1)に記載の製造
方法。
【0021】(12) 一般式(2):
【0022】
【化4】
【0023】で表されるオルソフタロニトリルの鎖状三
量体化合物。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明につき詳しく説明する。
【0025】本発明のテトラクロロオルソフタロニトリ
ルの製造方法は、オルソフタロニトリルの供給系内での
オルソフタロニトリルの自己縮合体の生成を抑制し、オ
ルソフタロニトリルの自己縮合体の含有量が少ないオル
ソフタロニトリル蒸気と塩素ガスを不活性希釈剤と共に
またはかかる不活性希釈剤を用いることなく触媒存在下
に気相で反応させるものである。
【0026】オルソフタロニトリルの供給系内でのこれ
らのオルソフタロニトリルの自己縮合体の生成を抑制す
る手段としては、下記の2つの手段を単独あるいは組み
合わせて用いるのが好ましい。
【0027】第1の手段としては、オルソフタロニトリ
ルの供給系内の液相中のFe分、Ni分、Cr分、Zn
分、Mn分、Al分、Cu分およびCo分の総量をオル
ソフタロニトリルに対して100ppm以下、好ましく
はオルソフタロニトリルの供給系内の液相中のFeイオ
ン、Niイオン、Crイオン、Znイオン、Mnイオ
ン、Alイオン、CuイオンおよびCoイオンの総量を
オルソフタロニトリルに対して100ppm以下にす
る。これは、実験段階から工業化を図る際に製造装置や
配管等を含めた製造設備のスケールアップが成される
が、その場合ガラス器材やゴム管等から多くはSUS製
等の装置に置換される。こうした供給系内の合金を含む
金属材料の一部は融解オルソフタロニトリルとの接触に
よりイオン化して溶出し金属塩などの金属分を形成す
る。そのために融解オルソフタロニトリル中の金属分、
特に金属イオンが縮合反応に関与し、主にオルソフタロ
ニトリルの融解時に生成されるフタロシアニン化合物の
生成率を高めてしまうほか、金属分、特に金属イオンが
縮合反応に触媒として関与するなどして、主にオルソフ
タロニトリルの蒸気化の際に生成される上記一般式
(1)で表されるオルソフタロニトリルの鎖状多量体
(具体的には、オルソフタロニトリル鎖状二量体、オル
ソフタロニトリル鎖状三量体、オルソフタロニトリル鎖
状四量体、オルソフタロニトリル鎖状五量体、オルソフ
タロニトリル鎖状六量体、オルソフタロニトリル鎖状七
量体およびオルソフタロニトリル鎖状八量体)、中でも
多く生成されるオルソフタロニトリルの鎖状三量体、お
よびオルソフタロニトリルの環状多量体、中でも多く
生成される2,4,6−トリ(o−シアノフェニル)−
1,3,5−トリアジンの生成率を高めてしまうことが
わかったためである。例えば、オルソフタロニトリルの
粉末原料の入ったガラス封管中にオルソフタロニトリル
に対して鉄分2000ppmを添加して融解した場合に
は、自己縮合体の生成率は鉄分未添加の約2倍に増加す
る。さらに自己縮合体の生成率は金属イオンの含有率の
増加に応じて高くなるためである。したがって、オルソ
フタロニトリルの供給系内において、オルソフタロニト
リルと接触する面の材質を非金属性物質、例えば、グラ
ス、フッ素樹脂、陶器などにするのが好ましく、より好
ましくはグラスである。なお、金属分は、具体的には、
金属、金属酸化物、金属有機酸塩、金属ハロゲン化塩な
どとして形成されているものを挙げることができる。こ
れらは一部は金属イオンとして作用する。これらの金属
分全体の総量を1000ppm以下に制限するものであ
る。特に金属イオンの総量を100ppm以下に制限す
るものである。なお金属分の金属種としては、供給系で
用いられる合金材料に含まれる各種金属が該当するもの
であり、具体的には、Fe、Ni、Cr、Zn、Mn、
Al、CuおよびCoなどが挙げられる。また、融解時
に生成されるフタロシアニン化合物(固体状)には、無
金属フタロシアニンの他に、金属イオンの直接的な関与
により鉄フタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、ク
ロムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、銅フタロシ
アニン、マンガンフタロシアニンおよびコバルトフタロ
シアニンなども含まれる。
【0028】第2の手段としては、オルソフタロニトリ
ルの供給系内において、水分をオルソフタロニトリルに
対して500ppm以下、好ましくは100pppm以
下にする。これは、主に原料のオルソフタロニトリル
中、さらには不活性ガス、塩素ガスおよび大気中に含ま
れる水分が、融解オルソフタロニトリルおよび蒸気化オ
ルソフタロニトリルと縮合反応に共に関与し、(A)主
にオルソフタロニトリルの融解時に生成されるフタロシ
アニン化合物の生成率、並びに(B)主にオルソフタロ
ニトリルの蒸気化の際に生成される上記一般式(1)
で表されるオルソフタロニトリルの鎖状多量体(具体的
には、オルソフタロニトリル鎖状二量体、オルソフタロ
ニトリル鎖状三量体、オルソフタロニトリル鎖状四量
体、オルソフタロニトリル鎖状五量体、オルソフタロニ
トリル鎖状六量体、オルソフタロニトリル鎖状七量体お
よびオルソフタロニトリル鎖状八量体)、中でも多く生
成されるオルソフタロニトリルの鎖状三量体、および
オルソフタロニトリルの環状多量体、中でも多く生成さ
れる2,4,6−トリ(o−シアノフェニル)−1,
3,5−トリアジンの生成率を高めてしまうことがわか
ったためである。例えば、オルソフタロニトリルの粉末
原料にオルソフタロニトリルに対して水分100ppm
を添加して融解し、さらに蒸気化した場合には、自己縮
合体の生成率は水分未添加の約5倍に増加する。したが
って、使用する原料(オルソフタロニトリル、不活性ガ
ス、塩素ガス)の水分量の管理および供給系内への系外
からの水分の侵入のないクローズドシステムの設計によ
り、極めて簡便に自己縮合体の生成を抑制することがで
きるのである。水分が多い場合、オルソフタロニトリル
が加水分解され、オルソフタル酸などの有機酸類が生成
する。生成した有機酸類は金属塩などを形成する。該し
て生成した有機酸類も自己縮合体の発生に関与してお
り、よって有機酸類の発生を抑制することも本発明では
好ましい。
【0029】上述のように供給系内でのオルソフタロニ
トリルの自己縮合体の生成を抑制してオルソフタロニト
リルを蒸気化し、さらに蒸気オルソフタロニトリルと塩
素ガスとの混合ガスを得、これを反応系内に導入して反
応させることが好ましい。
【0030】本発明においては、供給系側のオルソフタ
ロニトリルは、最終的に反応系に供給する時点で蒸気化
されていればよく、蒸気化する手段としては、特に制限
されるものでなく、例えば、予め融解させたものを用い
ても良いし、または場合によっては固体状のものを添加
させても良い。このうち融解させて用いる場合には、好
ましくは予め融解槽を設け融解させておき、そこから必
要量だけ供給させる方式を用いても良いし、または供給
速度にあわせた量を融解させて供給させる方式をとって
も良い。
【0031】本発明では、蒸気化させるために必要な蒸
発器は、オルソフタロニトリルと接触する蒸発器内面の
材質が非金属性物質、より好ましくはグラスライニング
されたものが良く、例えば、上部から予め融解したオル
ソフタロニトリルを添加し、下部から窒素ガスなどの不
活性ガスを供給させて蒸発させる方式のものを用いても
良いし、あるいは予め蒸発器中に固体状のオルソフタロ
ニトリルを仕込み、その後融解させた液中に窒素ガスな
どの不活性ガスを供給させて、オルソフタロニトリルを
蒸発させる方式のものを用いても良い。なお、蒸発器の
温度は、オルソフタロニトリルの露点以上であればいず
れの温度でもよいが、好ましくは139〜300℃、特
に好ましくは150〜230℃である。
【0032】また、予め融解させるのに必要な融解槽
も、オルソフタロニトリルと接触する蒸発器内面の材質
が非金属性物質、より好ましくはグラスライニングされ
たものがよい。例えば、予め融解槽中に固体状のオルソ
フタロニトリルを仕込み、その後加熱・融解させた後、
蒸発器に移し変えるバッチ方式や、オルソフタロニトリ
ル粉末を加熱保持された融解槽の上部より随時供給して
融解させ、融解したオルソフタロニトリルを融解槽の下
部より抜き出し、内面の材質が非金属性物質でつくられ
た配管を通じて融解オルソフタロニトリルを蒸発器の上
部より連続的に添加する連続方式などをとることができ
る。なお、融解槽の温度は、オルソフタロニトリルの融
点以上でかつ沸点未満であればいずれの温度でもよい
が、好ましくは139〜300℃、特に好ましくは15
0〜200℃である。
【0033】かくなる手段によってオルソフタロニトリ
ルの自己縮合体の生成が抑制されたオルソフタロニトリ
ル蒸気は、塩素ガスとともに触媒存在下、気相で反応さ
せ、テトラクロロオルソフタロニトリルを製造すること
ができる。この際のオルソフタロニトリル蒸気中のオル
ソフタロニトリルの自己縮合体は、オルソフタロニトリ
ル蒸気に対して3モル%以下、特に1モル%以下にまで
その生成が抑制されていることが好ましい。オルソフタ
ロニトリルの自己縮合体の生成の抑制が不十分である場
合、融解オルソフタロニトリル中の固体状フタロシア
ニン化合物の堆積による配管の閉塞、オルソフタロニト
リル蒸気中の鎖状多量体や環状多量体が反応系内の触媒
上へ沈着して触媒同志の癒着を引き起こしたりして触媒
の活性を低下させ、製品の品質の低下を招くほか、活性
低下した触媒を反応器から抜き取る作業が困難になるな
ど種々の問題を引き起こすため好ましくない。
【0034】なお、オルソフタロニトリル蒸気は、不活
性ガスで希釈されているのが好ましい。不活性ガスとし
ては、例えば、窒素ガス、塩化水素ガスおよび四塩化炭
素ガスなどが挙げられる。特に本発明では、窒素ガスを
用いるのが望ましい。反応系内の触媒としては、気相塩
素化に効果のあるものならばすべてのものを使用できる
が、特に活性炭あるいは金属塩を担持した活性炭を用い
るのが好ましい。反応温度としては、280〜450℃
の範囲で行うのがよい。塩素ガスの使用量は、理論量の
1〜2倍が最適であるが、さらに数倍以上の塩素ガスを
用いて空間速度を大きくして、未反応塩素ガスを循環使
用することもできる。反応は、通常、常圧付近で行われ
るが、減圧下または加圧下においても行うことができ
る。また反応は、いわゆる固定床で行うこともできる
し、また流動床で行うこともできる。
【0035】図1は、本発明に係るテトラクロロオルソ
フタロニトリルの製造方法の代表的な実施の形態を表し
たフローシートのうち、予めオルソフタロニトリルを融
解した後に、蒸気化を行う場合の製造プロセスを模式的
に表したフローシートである。以下、図1に基づいて本
発明の代表的な実施の一態様につき簡単に説明する。
【0036】図1より、本発明に係るテトラクロロオル
ソフタロニトリルの製造方法では、加熱手段、例えば、
加熱ジャケット7を備えた融解槽1に固体状、例えば、
粉末状のオルソフタロニトリルを供給口8より随時仕込
み、融点以上に加温してオルソフタロニトリルを融解さ
せる。融解したオルソフタロニトリルをポンプ2で受槽
9を経て蒸発器3に導入する。ついで、融解オルソフタ
ロニトリルを蒸発器3の上部に、不活性ガスタンク4よ
り不活性ガス、例えば、窒素ガスを蒸発器3の下部より
それぞれ連続的に供給し、オルソフタロニトリルの露点
温度以上でオルソフタロニトリルおよび不活性物質の混
合物を蒸発させる。蒸発したオルソフタロニトリル蒸気
および不活性ガスの混合物中に塩素ガスタンク5より塩
素ガスを連続的に供給し混合する。このガス混合物を活
性炭が充填された反応器6に導入し、所定の反応温度で
所定の反応時間連続して反応させ、ついで、導管10よ
り反応生成ガスを排出させた後、塩素化生成物を冷却す
ることによって結晶粉末状のテトラクロロオルソフタロ
ニトリルを得ることができるものである。結晶除去後の
ガスは、必要によりアルカリ洗浄に供することにより未
反応塩素および副生塩化水素が除去される。ここで、オ
ルソフタロニトリルと接触する供給系内の装置(融解槽
1および蒸発器3など)並びにこれらを連結する配管の
内面はグラスライニング処理されている。しかして、融
解オルソフタロニトリルの一部は導管11を経て融解槽
1に循環することにより蒸発器3への融解オルソフタロ
ニトリルの供給量が調節される。また、蒸発器3として
は薄膜蒸発器を用いても良い。
【0037】なお、本発明の製造方法は、上記実施の態
様に制限されるものでなく、上述した他の実施の形態を
適当に組み合わせて行うことができる事はいうまでもな
い。
【0038】次に、上述した本発明方法によるテトラク
ロロオルソフタロニトリルの製造工程で副生するオルソ
フタロニトリルの鎖状三量体は、新規な化合物であり、
有機導電体、有機半導体、エレクトロクロミック、エレ
クトロルミネッセンスなどの有機電子材料として有用で
ある。この鎖状三量体は、前記のように、一般式(2)
で表されるものであり、例えば、本発明方法によるテト
ラクロロオルソフタロニトリルの製造工程で融解オルソ
フタロニトリルを260〜280℃の温度範囲に保たれ
た蒸発器の上部に、また窒素ガスを蒸発器の下部にそれ
ぞれ連続的に供給し、温度260℃にてオルソフタロニ
トリルおよび窒素の混合物の蒸発化の際に、蒸発器の下
部に凝縮槽を設置しておくことで、該凝縮槽にオルソフ
タロニトリルの鎖状三量体を含む液状性のオルソフタロ
ニトリルの自己縮合体が凝縮される。この凝縮物を抜き
出し、室温に冷却後、アセトンを加え、アセトン不溶性
の物質を濾別することにより、あるいは、後述(実施例
1)するように反応後残存した蒸発器中のオルソフタロ
ニトリルを同じようにアセトンを加えた後、アセトン不
溶解物を濾別する。ついで蒸留操作によって分留するな
どによって新規な化合物であるオルソフタロニトリルの
鎖状三量体が単離されるものである。
【0039】
【実施例】本発明を以下、実施例で説明する。しかし、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】実施例1 バブリング方式のグラス製蒸発器(容量5リットル)に
4.0kgのオルソフタロニトリルを仕込み、180℃
になるようにし加温してオルソフタロニトリルを融解さ
せた。蒸発器に窒素ガスを474.7g/時で連続的に
供給し、オルソフタロニトリル70g/時で同伴させ
た。蒸発したオルソフタロニトリル蒸気および窒素ガス
の混合物中に塩素ガス310.4g/時を連続的に供給
し、混合させた。なお、塩素対オルソフタロニトリルの
モル比を8とした。
【0041】これらのガス混合物を1400ミリリット
ルの活性炭(武田薬品工業株式会社製:シラサギーC2
X4)が充填された内径27.8cmのニッケル製U字
型反応管に導入し、反応温度330℃で25時間連続し
て反応させ、ついで塩素化生成物を冷却によって結晶粉
末状にした。その結果、純度99.3%のテトラクロロ
オルソフタロニトリル3.6kgが得られた。
【0042】なお、供給したオルソフタロニトリル中に
は、水分110ppmおよび蛍光X線で分析した結果、
金属分総量として20pppm以下の鉄分、ニッケル分
亜鉛分、マンガン分、アルミニウム分、銅分、コバルト
分およびクロム分が確認された。
【0043】また、反応後残存した蒸発器中のオルソフ
タロニトリル2.1kgにつき、 サンプルをアセトン可溶分と不溶分とに分別し、アセ
トンを蒸発乾固した残りの固形分の各々の重量を測定す
る。 アセトン可溶分の一部を採取し、ガスクロマトグラフ
ィーでオルソフタロニトリルを定量する 。
【0044】アセトン可溶分中に含まれるオルソフタ
ロニトリル鎖状三量体は、可視部(670〜680n
m)に吸収を持っているので、そのモル吸光係数を測定
して分光光度計(UV〜IR)にて定量する。 アセトン不溶分中のフタロシアニン化合物およびトリ
アジン化合物も上記と同じようにして分光光度計(U
V〜IR)にて定量する。
【0045】上記〜によって分析した結果、未反応
のオルソフタロニトリル1940g、オルソフタロニト
リルの鎖状三量体(融点125℃、M+ :385)40
g、フタロシアニン化合物25g、オルソフタロニトリ
ル環状三量体(融点290℃、沸点310℃、M+ :3
84)40gの組成であった。よって、オルソフタロニ
トリルの自己縮合体は、供給オルソフタロニトリル4k
gに対して2.6%であることが確認された。
【0046】比較例1 実施例1において、SUS304製の蒸発器を用いた以
外は、実施例1と同様の装置を用いて同様に操業し同じ
ように35時間連続して反応させた。その結果、純度8
9.7%のテトラクロロオルソフタロニトリル3.5k
gが得られた。
【0047】なお、反応後残存した蒸発器中のオルソフ
タロニトリル2.2kgを実施例1と同様に分析した結
果、未反応のオルソフタロニトリル1710g、オルソ
フタロニトリルの鎖状三量体155g、フタロシアニン
化合物180g、オルソフタロニトリル環状三量体12
5gの組成であった。よって、オルソフタロニトリルの
自己縮合体は、供給オルソフタロニトリル4kgに対し
て11.5gであことが確認された。
【0048】なお、反応後の蒸発器中のオルソフタロニ
トリル中には、約1000ppmの鉄分、約500pp
mのニッケル分、約500ppmのクロム分、約100
ppmの亜鉛分、約100ppmの銅分、約20ppm
のアルミニウム分、約30ppmのコバルト分および約
100ppmのマンガン分が蛍光X線より確認された。
【0049】比較例2 比較例1において、水分を600ppm含有しているオ
ルソフタロニトリルを用いた以外は比較例1と同じ装置
を用いて同じように反応した。その結果、反応後の蒸発
器中には、未反応のオルソフタロニトリル1155g、
オルソフタロニトリルの鎖状三量体220g、フタロシ
アニン化合物255g、オルソフタロニトリル環状三量
体370gの組成であった。よって、オルソフタロニト
リルの自己縮合体は、供給オルソフタロニトリル4kg
に対して21.1%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るテトラクロロオルソフタロニト
リルの製造方法の代表的な実施の形態を表した製造フロ
ーシートのうち、予めオルソフタロニトリルを融解した
後に、蒸気化を行う場合の製造プロセスを模式的に表し
たフローシートである。
【符号の説明】
1…融解槽、 2…ポンプ、3…
蒸発器、 4…不活性ガスタン
ク、5…塩素ガスタンク、 6…反応器、
7…加熱ジャケット、 8…供給口、9…
受槽、 10、11…導管。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−69060(JP,A) 特開 昭59−21658(JP,A) 特開 昭49−72234(JP,A) 特公 昭37−7961(JP,B1) 特公 昭36−5716(JP,B1) 特公 昭36−23330(JP,B1) 特公 昭42−10856(JP,B1) 特公 昭43−22298(JP,B1) 特公 昭45−19890(JP,B1) 特公 昭37−7962(JP,B1) 米国特許3060179(US,A) 米国特許2153620(US,A) 有機合成化学,Vol.22,No.9 (1964)p.743−p.748 J.Amer.Chem.Soc.V ol.72(1950)p.3302−p.3304 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 253/30 C07C 255/51

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルソフタロニトリル蒸気と塩素ガスを
    触媒存在下に気相で反応させて、テトラクロロオルソフ
    タロニトリルを製造する方法において、(1)オルソフタロニトリルの供給系内液相中のFe
    分、Ni分、Cr分、Zn分、Mn分、Al分、Cu分
    およびCo分が、それぞれFeイオン、Niイオン、C
    rイオン、Znイオン、Mnイオン、Alイオン、Cu
    イオンおよびCoイオンであり、該Feイオン、Niイ
    オン、Crイオン、Znイオン、Mnイオン、Alイオ
    ン、CuイオンおよびCoイオンの総量をオルソフタロ
    ニトリルに対して100ppm以下にし、かつ (2)オルソフタロニトリルの供給系内において、水分
    をオルソフタロニトリルに対して500ppm以下にし
    て、 オルソフタロニトリルの自己縮合体の発生を抑制するこ
    とを特徴とするテトラクロロオルソフタロニトリルの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 オルソフタロニトリルの供給系内におい
    て、オルソフタロニトリルと接触する面の材質を非金属
    性物質にすることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 オルソフタロニトリルの供給系が、オル
    ソフタロニトリルを融解するのに用いる融解槽からなる
    請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 オルソフタロニトリルの供給系が、オル
    ソフタロニトリルを蒸気化するのに用いる蒸発器からな
    る請求項1ないしのいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 非金属性物質が、グラスである請求項
    に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 オルソフタロニトリルの自己縮合体が、
    フタロシアニン化合物である請求項1に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 オルソフタロニトリルの自己縮合体が、
    一般式(1): 【化1】 (式中、nは2〜8の整数である。)で表されるオルソ
    フタロニトリルの鎖状多量体である請求項1に記載の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 オルソフタロニトリルの自己縮合体が、
    2,4,6−トリ(o−シアノフェニル)−1,3,5
    −トリアジンである請求項1に記載の製造方法。
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