JP3270596B2 - アリルブロミド類の製造方法 - Google Patents

アリルブロミド類の製造方法

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    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
    • C07C17/20Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms
    • C07C17/202Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of halogen atoms by other halogen atoms two or more compounds being involved in the reaction
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広く有機合成化学の分
野において、とりわけ農医薬、染料等のファインケミカ
ル製品製造時の中間体として有用なアリルブロミド類の
製造法に関する。更に詳しくはアリルクロリド類を原料
とするハロゲン交換反応によるアリルブロミド類の製造
法における改良された製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】式(2)(化3)
【0003】
【化3】
【0004】(式中、R、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される
アリルブロミド類の製造方法については種々の方法が開
示されている。式(2)の基本的化合物であるアリルブ
ロミド{式(2)中、R=R1=R2=H}について公
知の製造法をみると、一般的にはアリルアルコールを硫
酸存在下に臭化水素酸と反応させることで製造される。
【0005】例えば、オーガニック・シンセシス{Or
ganic Synthesis,Coll.,1巻、
27頁(1976年)}によれば5.9モルの48%臭
化水素酸と4モルのアリルアルコールを混合し、この水
溶液中に攪拌下、300gの農硫酸を徐々に添加し、そ
の後蒸留することによりアリルブロミドを得ることがで
きる。この方法によれば、目的のアリルブロミドは92
〜96%と定量的に近い収率で製造することができる
が、多量の硫酸を使用する関係で工業的には多量の酸廃
水を生じ、その中和処理等の操作が必要となり費用が嵩
むなどの欠点を有する。
【0006】また、プロピレンを原料としてパーライト
触媒下に高温(350〜450 ℃)で臭化水素で臭素
化することによりアリルブロミドを製造する方法{ソ連
特許753,841号(1980年)}も知られている
が、この方法は1−ブロモプロペンが副生しアリルブロ
ミドへの選択率が低いばかりでなく副生物との分離にも
難点がある。
【0007】一方、アリルクロリド類のハロゲン交換反
応によるアリルブロミド類の製造方法も公知である。ジ
ャーナル・オブ・ザ・オーガニック・ケミストリー{J
o−urnal of the Organic Ce
mistry USSR 10巻、1122頁(197
4年)}によれば、アリルクロリドまたはメタリルクロ
リドを塩化第一銅の存在下に過剰の臭化水素酸でハロゲ
ン交換反応を行ってアリルブロミドまたはメタリルブロ
ミドを製造している。
【0008】また、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン
・ケミカル・ソサエティー{Jo−urnal of
the American Chemical Soc
e−ity,72巻、4316頁(1950年)}には
メタリルクロリドをメタノール中臭化ナトリウムでハロ
ゲン交換反応を行って、メタリルブロミドとする方法、
ならびに、アセトン中臭化リチウムでメタリルブロミド
とする方法が開示されている。
【0009】しかしながら、前者の方法はメタリルクロ
リドの転化率が70%以下と低いばかりでなく、産業上
規制の対象となる重金属化合物を触媒として使用する為
に廃水対策にも特別の注意を必要としなければならな
い。また後者の方法にしてもメタリルブロミドの収率は
たかだか54%にしかすぎない。
【0010】従来、相間移動触媒および水を用いた、金
属臭化物によるアルキルクロリドのアルキルブロミドへ
のハロゲン交換反応に関しては、シンセシス{SYNT
H−ESIS 1巻 34−5頁(1984年)}およ
び ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティー・
ケミカル・コミュニケ−ションズ{Journalof
the Chemical Soceity Che
mical Co−mmunications,125
0頁(1986年)}において公知となっているが、本
発明の方法であるアリルハライド類に関して、アリルク
ロリド類と金属臭化物との反応を少量の水と相間移動触
媒存在下にて実施するアリルブロミド類の製造法は知ら
れていない。
【0011】アリルブロミド類を製造する方法として前
述の方法以外にもいくつかの方法が知られているが原料
面または収率面等で満足し得る方法は無い。本出願人ら
は、非プロトン性の極性溶媒中においてアリルクロリド
類と金属臭化物を反応させて相当するアリルブロミド類
を収率良く製造する方法を先に提案した(特開平3−1
69830号)。しかしながら、本出願人らが提案した
当該方法についても工業的観点に立つと必ずしも十分な
方法とは言いがたく、以下に述べるような問題点を内包
している。
【0012】すなわち、反応溶媒として非プロトン性の
極性溶媒の使用が必要であり、工業的にはこの反応溶媒
を回収して再使用する必要があること。また、非プロト
ン性の極性反応溶媒と同じ程度の沸点をもつアリルブロ
ミド類の製造には適用が困難であること等の問題点があ
る。従ってこれらの問題点の改善が要請されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の技術の持つ問題点を解決する為になされたものであ
って、有機合成化学の分野、とりわけ農医薬や染料等の
製造時の中間体として有用な式(2)(化4)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または低級アルキル基を示す。)のアリルブ
ロミド類の改良された、より工業的な製造法を提供する
ことを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は従来の技術
の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発
明者等の知見に基づけば、アリルハライド類、とりわけ
アリルブロミド類は水存在下、加熱すると加水分解を受
け易く、容易にアリルアルコール類等に変換し易い性質
を有する化合物類であるにもかかわらず、驚くべきこと
にアリルクロリド類と金属臭化物とのハロゲン交換反応
を、少量の水と相間移動触媒存在下に行うことによっ
て、高転化率、高収率で目的とするアリルブロミド類を
製造し得ること、および、金属臭化物はアリルクロリド
類に不溶であって、水および相間移動触媒が存在しない
反応系においては、ハロゲン交換反応は全く進行しな
い。
【0017】一方、水を添加した反応系においても、相
間移動触媒が存在しない場合は、微量の当該アリルブロ
ミド類は生成するものの、当該アリルクロリド類の転化
率が低い。また、相間移動触媒存在下、水が存在しない
反応系においても同様に転化率が低く、十分な転化率を
得るためには適正な範囲の水分量が必要であること等を
発見して、検討を重ねた結果、先にアリルブロミド類の
製造方法(特願平5−111326)として提案した。
しかしながらその後の検討において、原料の装入方法如
何によっては、反応容器内で金属臭化物が固結して、充
分な転化率を得ることができず、結果として目的のアリ
ルブロミド類の収率が低下するという問題が発生するこ
とがわかった。鋭意検討を重ねた結果、この固結は、反
応容器内で金属臭化物と水の不均一な接触によって生じ
る、ということが分かった。したがって金属臭化物の固
結を避けるために、原料の装入にあたっては、水、また
は金属臭化物のどちらかの一方を、アリルクロライド類
と充分に混合攪拌した中に、他の一方を徐々に装入する
必要があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は式(1)(化5)
【0018】
【化5】
【0019】(式中、R、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される
アリルクロリド類を、水及び、相間移動触媒と充分に混
合攪拌しながら、その中に金属臭化物を徐々に装入して
反応させるか、又は、アリルクロリド類と金属臭化物あ
るいは相間移動触媒を加えた混合物を充分に混合攪拌し
ながら、その中に水と相間移動触媒の混合物、又は、水
を滴下して反応させることを特徴とする式(2)(化
6)
【0020】
【化6】
【0021】(式中、R、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または低級アルキル基を示す。)で表される
アリルブロミド類の製造方法である。
【0022】本発明の方法は、工業的に利用可能な優れ
た製造方法であって、本発明の方法によれば、比較的温
和な条件下、高い容積効率でアリルクロリド類を反応さ
せることが可能であり、高転化率かつ高収率でアリルブ
ロミド類を製造することができる。また、反応後の目的
物の単離も、反応終了後反応混合物に水を加えて無機塩
を溶解した後、分液操作のみで比較的高純度のアリルブ
ロミド類を得ることができ、更に必要に応じて蒸留精製
を行うことでアリルブロミド類の高純度品を得ることが
できる。
【0023】本発明により得られた当該アリルブロミド
類は、有機合成化学の分野、とりわけ農医薬や染料等有
用な製造中間体として十分使用可能な高品質を有する。
以下本発明の方法を説明する。
【0024】本発明においては式(1)のアリルクロリ
ド類を原料として使用する。具体的にはアリルクロリ
ド、メタリルクロリド、γ−メチルアリルクロリド、
γ,γ−ジメチルアリルクロリド、β−メチル−γ,γ
−ジメチルアリルクロリド、γ−エチルアリルクロリ
ド、γ−n−プロピルアリルクロリド、γ−イソプロピ
ルアリルクロリド、γ−n−ブチルアリルクロリド、γ
−sec−ブチルアリルクロリド、γ−イソ−ブチルア
リルクロリド、γ−第三級ブチルアリルクロリド等を挙
げることができる。
【0025】式(1)のアリルクロリド類のハロゲン交
換剤として用いられる金属臭化物は、金属臭化物であれ
ば特に制限はなく、具体的には臭化リチウム、臭化ナト
リウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシ
ウム、臭化バリウム、臭化第一鉄、臭化第二鉄、臭化第
二銅、臭化ルビジュウム等を挙げることができるが、工
業的な観点からは臭化ナトリウムが好ましい。
【0026】金属臭化物の使用量は理論量より少ない量
でも勿論反応するが、原料のアリルクロリド類の転化率
並びに目的生成物であるアリルブロミド類の収率を考慮
して通常は理論量以上使用するのが適当である。使用量
の上限については攪拌の効率ならびに経済的見地より原
料のアリルクロリド類に対して2倍モル以下が好まし
い。
【0027】本発明の方法は、アリルクロリド類と金属
臭化物の反応を少量の水と相間移動触媒存在下にて実施
することを特徴とするものである。反応系に添加する水
の量は、あまり少なすぎると反応の進行は著しく遅く、
また多すぎると収率の低下をきたす。水の使用量は原料
のアリルクロリド類に対して0.1〜30重量%の範
囲、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは2
〜15重量%の範囲である。
【0028】また使用する相間移動触媒の種類は、四級
アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、大環状ポリエー
テル類、鎖状ポリエーテル類等、ブロムアニオンを有機
相に移行させる性質を有する化合物であればいずれの化
合物であっても特に制限されるものではないが、経済的
見地から、四級アンモニウム塩類が好ましい。四級アン
モニウム塩類の例としては、テトラブチルアンモニウム
ブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラ
ヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモ
ニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロ
ミド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド等が挙
げられるが、勿論これらの化合物に限定されるものでは
ない。また、相間移動触媒の使用量の上限については特
に制限はないが、経済的見地から使用量は少ない方が好
ましく、アリルクロリド類に対して0.1〜20重量%
の範囲が適当であり、0.5〜10重量%の範囲がより
好ましい。
【0029】本発明における具体的実施態様を示せば以
下の通りである。1モルのアリルクロリド類に所定量の
相間移動触媒と所定量の水を装入した後、充分に混合攪
拌しながら、その中に所定量の金属臭化物を徐々に装入
するか、又は、アリルクロリド類と金属臭化物を充分に
混合攪拌しながら、その中に、水と相間移動触媒の混合
物を滴下する。攪拌を続けながらこの後、所定の温度ま
で昇温して反応させる。反応温度は、アリルクロリド類
もしくはアリルブロミド類が変質しない範囲であれば特
に制限されるものではないが、好ましくは20〜100
℃の範囲が適当である。また、反応の方法にしても、原
料、相間移動触媒および水を全量装入して反応する方
法、金属臭化物を分割装入して反応させる方法、または
アリルクロリド類を滴下しながら反応させる方法等、種
々の方法が利用できる。
【0030】本発明において反応の進行状態はガスクロ
マトグラフィー等の手段を用いて知ることができる。上
記のハロゲン交換反応により生成したアリルブロミド類
の単離方法としては、反応後、必要に応じて反応混合物
を冷却し、副生した金属塩化物、残存金属臭化物および
相間移動触媒を溶解する量の水を加え、分液操作により
生成したアリルブロミド類を単離するという極めて簡単
な方法で単離する。より高純度のアリルブロミド類を得
る場合は、分液後、残存メタリルクロリドに相当する量
の金属臭化物、相間移動触媒および水を加えて再度ハロ
ゲン交換反応に付すか、または上記の単離方法で得られ
たアリルブロミド類を蒸留により精製するか、又は、蒸
留で未反応のアリルクロリド類のみを留去してアリルブ
ロミド類を蒸留釜に残す等の方法で精製することができ
る。蒸留の方法としては、常圧下での蒸留または減圧蒸
留のいずれの方法も可能である。なお、初留として回収
される未反応のアリルクロリド類は、必要に応じて、再
びハロゲン交換反応に供することができる。
【0031】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。
【0032】実施例1 冷却コンデンサーを取りつけた500mlの丸底フラス
コにアリルクロリド76.5g(1.0モル)、テトラ
ブチルアンモニウムブロミド3.2g(10ミリモル)
および水3gを装入した。水が均一に分散するように充
分に攪拌を行った後、攪拌を続けながら臭化ナトリウム
122.4g(1.2モル)を徐々に加えた。その後昇
温し65℃において6時間反応を行った。反応液を16
℃まで冷却した後、反応液に水300gを加え、無機塩
を溶解して、分液し、油状物として117.1gの粗ア
リルブロミドを得た。この粗アリルブロミドをガスクロ
マトグラフィーにて分析した結果、アリルブロミドの生
成率は93.3%(対アリルクロリド)であり、原料の
アリルクロリドは6.4%(対仕込みのアリルクロリ
ド)の残存であった。アリルブロミド以外に副生物はほ
とんどなく、選択的にアリルブロミドが生成していた。
得られた粗アリルブロミドについて精留塔を装填した蒸
留装置にて蒸留し、沸点70〜71℃のアリルブロミド
105.5g(純度98%以上)を得た。収率87.2
%(対アリルクロリド)であった。また、初留として、
10.3gのアリルクロリドとアリルブロミドの混合物
を得た。
【0033】実施例2 冷却コンデンサーを取りつけた500mlの丸底フラス
コにメタリルクロリド90.6g(1モル)、テトラブ
チルアンモニウムブロミドの3.2g(10ミリモル)
および水5gを装入した。水が均一に分散するように充
分に攪拌した後、攪拌を続けながら臭化ナトリウム12
2.4g(1.2モル)を徐々に加えた。この後昇温し
65℃において6時間反応を行った。反応液を冷却した
後、反応液に水300gを加え、無機塩を溶解して、分
液し、油状物として131.4gの粗メタリルブロミド
を得た。この粗メタリルブロミドをガスクロマトグラフ
ィーによって分析を行ったところメタリルブロミドの生
成率は94.1%(対メタリルクロリド)であり、原料
のメタリルクロリドは5.5%(対仕込みのメタリルク
ロリド)の残存であった。メタリルブロミド以外に副生
物はほとんどなく、選択的にメタリルブロミドが生成し
ていた。得られた粗メタリルブロミドについて精留塔を
装填した蒸留装置にて200mmHg減圧下に蒸留し、
沸点52.0〜53.0℃のメタリルブロミド118.
9g(純度98%以上)を得た。収率88.1%(対メ
タリルクロリド)。
【0034】実施例3 冷却コンデンサーを取りつけた500mlの丸底フラス
コにメタリルクロリド90.6g(1モル)、テトラブ
チルアンモニウムブロミドの3.2g(10ミリモル)
および臭化ナトリウム122.4g(1.2モル)を装
入して、均質になるように充分に混合攪拌しながら、そ
の中に、水5gをゆっくりと滴下した。その後昇温し6
5℃において6時間反応を行った。反応液を冷却した
後、反応液に水300gを加え、無機塩を溶解した後、
分液し、油状物として131.0gの粗メタリルブロミ
ドを得た。この粗メタリルブロミドをガスクロマトグラ
フィーによって分析を行ったところメタリルブロミドの
生成率は94.0%(対メタリルクロリド)であり、原
料のメタリルクロリドは5.6%(対仕込みのメタリル
クロリド)の残存であった。
【0035】比較例1(水を加えない条件での反応) 冷却コンデンサーを取りつけた100mlの丸底フラス
コに臭化ナトリウム24.5g(0.24モル)、メタ
リルクロリド18.0g(0.2モル)、テトラブチル
アンモニウムブロミド0.6g(1.9ミリモル)を装
入した後、攪拌しながら65℃において6時間反応を行
った。反応液を冷却した後、反応液に水60gを加え、
無機塩を溶解した後、分液して得られた油状物をガスク
ロマトグラフィーにより分析したところメタリルブロミ
ドの生成率は6.4%(対メタリルクロリド)であっ
た。
【0036】比較例2(相間移動触媒を加えない条件で
の反応) 冷却コンデンサーを取りつけた100mlの丸底フラス
コに臭化ナトリウム24.5g(0.24モル)、メタ
リルクロリド18.0g(0.2モル)および水1.0
gを装入した後、攪拌しながら65℃において6時間反
応を行った。反応液を冷却した後、反応液に水60gを
加え、無機塩を溶解した後、分液して得られた油状物を
ガスクロマトグラフィーにより分析したところメタリル
ブロミドの生成率は0.68%(対メタリルクロリド)
であった。
【0037】比較例3 冷却コンデンサーを取りつけた500mlの丸底フラス
コに臭化ナトリウム122.4g(1.2モル)、メタ
リルクロリド90.6g(1モル)、テトラブチルアン
モニウムブロミドの3.2g(10ミリモル)を装入し
た後、ゆるやかに攪拌しながら水5gを装入した。水の
裝入が終了した時点で、臭化ナトリウムの一部が固結し
ているのが観察された。この後、攪拌を続けながら昇温
して65℃において6時間反応を行った。固結した臭化
ナトリウムは反応中もそのままの状態であった。反応液
を冷却した後、反応液に水300gを加え、分液し、油
状物として106.5gの粗メタリルブロミドを得た。
この粗メタリルブロミドをガスクロマトグラフィーによ
って分析を行ったところメタリルブロミドの生成率は5
1.7%(対メタリルクロリド)であり、原料のメタリ
ルクロリドは47.1%(対仕込みのメタリルクロリ
ド)の残存であった。
【0038】実施例4〜6 実施例4〜6で反応に加える水の量について検討を行っ
た。その他の反応条件は実施例2と同じにした。結果を
第1表(表1)に示す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例7〜8 実施例7〜8で反応に加える金属臭化物の種類について
検討を行った。その他の反応条件は実施例2と同じにし
た。結果を第2表(表2)に示す。
【0041】
【表2】
【0042】実施例9〜10 実施例9〜10で反応に用いるアリルクロリドの種類に
ついて検討を行った。その他の反応条件は実施例2と同
じにした。結果を第3表(表3)に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明の方法によれば、アリルクロリド
類を原料とし、特に溶媒を用いることなく、高い容積効
率において温和な条件下に効率よく、かつ高収率で目的
とするアリルブロミド類に変換することができる。しか
も、反応選択率が高いため、その単離方法は、室温下、
水との分液操作のみで十分である。より高純度のアリル
ブロミド類を得る場合も、温和な条件下での蒸留による
残存アリルクロリド類の除去のみでよく、単離精製が容
易である。さらに、蒸留によって得られた残存アリルク
ロリドとアリルブロミドの混合物はそのままハロゲン交
換反応の原料に使用できる利点がある。したがって、本
発明は有機合成化学の分野、とりわけ農医薬や染料等の
有用な合成中間体であるアリルブロミド類の工業的に価
値の高い製造方法である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−169830(JP,A) 特開 平2−207037(JP,A) 特開 平2−107336(JP,A) 特開 昭64−45321(JP,A) 特開 昭60−94919(JP,A) 特公 昭41−19683(JP,B1) 田伏岩夫他訳「相間移動触媒」、株式 会社化学同人、1978年9月5日発行、第 139〜146頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 21/14 C07C 17/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)(化1) 【化1】 (式中、R、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子ま
    たは低級アルキル基を示す。)で表されるアリルクロリ
    ド類を、該アリルクロリド類に対して2〜15重量%の
    水及び相間移動触媒とを十分に混合しながら、その中に
    金属臭化物を徐々に装入して反応させるか、又は、アリ
    ルクロリド類と金属臭化物あるいは相間移動触媒を加え
    た混合物を十分に混合攪拌しながら、その中に該アリル
    クロリド類に対して2〜15重量%の水と相間移動触媒
    の混合物、又は、該アリルクロリド類に対して2〜15
    重量%の水を滴下して反応させることを特徴とする式
    (2)(化2) 【化2】 (式中、、R、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子
    または低級アルキル基を示す。)で表されるアリルブロ
    ミド類の製造方法。
  2. 【請求項2】アリルクロリド類がメタリルクロリドであ
    り、アリルブロミド類がメタリルブロミドであり、金属
    臭化物が臭化ナトリウムである請求項1に記載の製造方
    法。
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田伏岩夫他訳「相間移動触媒」、株式会社化学同人、1978年9月5日発行、第139〜146頁

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