JP2824773B2 - 3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸及びその製造方法 - Google Patents

3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸及びその製造方法

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JP2824773B2 JP31207188A JP31207188A JP2824773B2 JP 2824773 B2 JP2824773 B2 JP 2824773B2 JP 31207188 A JP31207188 A JP 31207188A JP 31207188 A JP31207188 A JP 31207188A JP 2824773 B2 JP2824773 B2 JP 2824773B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、文献未載の新規な化合物である3−置換ア
ミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸及びその製法に関
する。本発明による上記の化合物は、含フッ素医薬ある
いは農薬の重要な中間体である、たとえば、下記一般式
に示す新規なフルオロキノリン系抗菌剤の重要な出発原
料となるものであり、 また、アミノ基を、通常の化学的方法でニトロ基、クロ
ル基、ブロム基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキ
シル基、などに変換することにより、含フッ素、医薬ま
たは農薬の有用な合成中間体となり得るものである。
〔従来の技術〕 従来、本発明の3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオ
ロ安息香酸に関しては、Chemical Abstract等の文献に
記載がなく、従ってこの化合物は新規である。
〔発明が解決すべき問題点〕
本発明者等は、医薬または農薬の重要な中間体である
3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸を得る
べく鋭意研究を行なってきた。この化合物は、4−置換
アミノ−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルを加水分
解して得られる4−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロ
フタル酸の脱炭酸により合成できるが、一般には2つの
カルボキシ基のいずれか一つが脱炭酸し構造異性体混合
物になることが予想できる、そのうちの一方のみを得よ
うとする場合の単離の点で困難であると考えられた。し
かしながら、本発明者等の詳細な研究の結果、意外にも
アミノ基に対してパラ位のカルボキシル基のみが選択的
に脱炭酸することを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、下記一般式 で表わされる3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安
息香酸を提供することを目的とするものであり、また、
下記一般式 〔但し、R1とR2とは一般式の場合と同じ〕で表わされ
る4−置換アミノ−3,5,6−トルフルオロフタロニトリ
ルを、加水分解することにより下記一般式 〔但し、R1とR2とは一般式の場合と同じ〕で表わされ
る4−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロフタル酸を
得、次いで、該フタル酸を溶媒中で加熱して脱炭酸する
ことを特徴とする3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオ
ロ安息香酸の製造方法の提供を目的とするものである。
以下、詳細に説明する。
本発明の一般式で表わされる目的化合物、3−置換
アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸において、R1
びR2は、それぞれ同一であっても、相異っていてもよ
く、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチ
ル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシ
ル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、n−ドデシ
ル、i−ドデシル等のC1〜C18のアルキル基、好ましく
は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−
ヘキシル等のC1〜C6の直鎖状アルキル基;C1〜C18のアル
キル基の炭素原子鎖の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄
原子のいずれかで置換された基;C1〜C18のアルキル基の
水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子、ヒドロキ
シ基および/またはニトロ基で置換された基;等を表わ
し、また、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメ
チレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、等のR1とR2
とが一緒になって形成するC2〜C8のアルキレン基;R1とR
2とが一緒になって形成するC2〜C8のアルキレン基の炭
素原子鎖の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子のいず
れかで置換された基;R1とR2とが一緒になって形成するC
2〜C8アルキレン基の水素原子の一部もしくは全部がハ
ロゲン原子、ヒドロキシ基および/またはニトロ基で置
換された基;等を表わす。
このような一般式における置換アミノ基として代表
的なものは、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、エチルメチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ
基等である。
本発明の3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息
香酸は、下記の反応式に従い、前記一般式の4−置
換アミノ−3,5,6−トリフルオロフタロニトリルを、加
水分解することにより前記一般式の4−置換アミノ−
3,5,6−トリフルオロフタル酸とし(加水分解工程)、
次いで、下記反応式に従い、該フタル酸を溶媒中で加
熱して脱炭酸する(脱炭酸工程)ことによって製造する
ことができる。
加水分解工程 上記反応式の加水分解は、水性溶媒中、酸の存在下
において進行する。上記の水性溶媒とは、水、又は、水
と水に可溶な有機溶媒との混合溶媒をいい、このような
有機溶媒としては、水100重量部に対して50重量部以上
溶解するものなら特に制限なく使用することができ、例
えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル
アルコール(n,−,i−)等の炭素原子数1〜3の脂肪族
一価アルコール類;例えば、アリルアルコール、フルフ
リルアルコール等のその他の一価アルコール類;例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−,1,
3−)、グリセリン等の炭素原子数1〜3の脂肪族多価
アルコール類;例えば、室温で液状のポリエチレングリ
コール;例えばエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジ
メチルエーテル等のエチレングリコールと炭素原子数1
〜4の脂肪族一価アルコールとのモノまたはジエーテル
化物;例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル等のジエチレングリコールと炭素原子数1〜4
の脂肪族一価アルコールとのモノまたはジエーテル化
物;例えば、1−グリセリンモノメチルエーテル等のグ
リセリンと炭素原子数1〜3の脂肪族一価アルコールと
のモノエーテル化物;例えば、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン(1,3−,1,4−);並びに、例えば、アセト
ン、アセトニトリル、ラクトニトリル、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホ
オキシド等のその他の水溶性有機溶媒;などを挙げるこ
とができる。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上混
合して用いることができる。これらの有機溶媒の中、入
手の容易性や経済的観点より脂肪族一価アルコール類が
特に好適に使用できる。
前記水溶性媒の使用量は、前記反応式から明らかな
ように、出発原料である4−置換アミノ−3,5,6−トリ
フルオロフタロニトリル1モルに対して、水として4モ
ル以上存在すればよいが、好ましくは、5〜20モル程度
存在するのがよい。
この加水分解工程において用いられる前記の酸として
は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、パラトルエンスルホ
ン酸などを例示でき、特に限定されるものではないが、
反応性、操作性、経済性等の観点から硫酸の使用が好ま
しい。
上記の酸の使用量としては、前記反応式から明らか
なように出発原料である前記フタロニトリル1モルに対
して2当量以上存在すればよいが、反応性、操作性、経
済性等の観点から4〜20当量存在させるのが好ましい。
反応条件は、置換基の種類により異なるためそれぞれ
実験を行い最適な温度条件、時間等を決めるのが好まし
いが、反応温度は通常100℃〜250℃の範囲が使用され
る。反応温度が100度以上では、加水分解及び脱炭酸の
反応速度が大きく、また、250℃以下では、得られる4
−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロフタル酸のそれ以
上の分解の進行が抑制され、該安息香酸が高収率で得ら
れるので、上記反応温度範囲で反応を行なうのが好まし
い。
反応速度は、温度、酸濃度により変化するので高速液
体クロマトグラフィ分析で反応の進行を確かめながら反
応を行なうのが良く、反応時間としては、通常2〜8時
間程度である。
反応終了後、公知の方法、例えば、エチルエーテル、
プロピルエーテル、イソプロピルエーテル類のジアルキ
ルエーテル類;例えばクロロホルム等のハロゲン化脂肪
族炭化水素類等の非水溶性有機溶媒による抽出等の方法
により、中間生成物4−置換アミノ−3,5,6−トリフル
オロフタル酸を単離することができる。
また、続いて連続的に脱炭酸工程を行なうには、該脱
炭酸工程に関連して後記するようなN−H結合を有しな
い含窒素有機塩基のうち非水溶性のもの、或いは、非プ
ロトン性極性有機溶媒または非極性有機溶媒のうち非水
溶性のものを用いて、前記加水分解工程で得られた上記
中間生成物の抽出を行なうのがよい。得られた抽出液は
そのまま、または、必要に応じてその他の溶媒および/
または後記する触媒を加えて、引き続き脱炭酸工程を実
施して本発明の目的生成物3−置換アミノ−2,4,5−ト
リフルオロ安息香酸を製造することができる。
脱炭酸工程 本発明方法における脱炭酸反応は、前記の加水分解工
程で得られた中間生成物4−置換アミノ−3,5,6−トリ
フルオロフタル酸を溶媒中で、例えば、80〜250℃の温
度範囲で加熱することにより容易に進行する。
この脱炭酸工程の溶媒は、出発原料4−置換アミノ−
3,5,6−トリフルオロフタル酸、反応生成物3−置換ア
ミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸および場合により
使用する触媒との間で、この脱炭酸工程にとって不都合
な副反応を起こすことのないものであればよい。
このような溶媒としては、水、非プロトン性極性有機
溶媒、N−H結合を有しない含窒素有機塩基、および、
これらの混合物が好適に使用できる。
なお、本明細書において“極性有機溶媒”とは、分子
内に2D(デバイ)以上の永久双極子モーメントをもつ中
性の有機化合物をいう。
前記の非プロトン性極性有機溶媒としては、例えばジ
メチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ジメチルス
ルホン、テトラメチルスルホン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ア
セトニトリル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ベンゾ
ニトリル、ニトロベンゼン、グリコール類のジアルキル
エーテル、または、キノリンなどがあり、そのうち、水
溶性非プロトン性極性有機溶媒としては例えばジメチル
スルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン、
アセトニトリル、グリコール類のジアルキルエーテル
〔例えばジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグ
ライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル
(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチル
エーテル(テトラグライム)〕などがある。また非水溶
性非プロトン性極性有機溶媒としては例えばベンゾニト
リル、ニトロベンゼンなどがある。
また、本発明の脱炭酸工程で使用できる前記のN−H
結合を有しない含窒素有機塩基(以下、非プロトン性有
機塩基と略称することがある)の例としては、一般式 〔式中、R11とR12とR13とは、各々独立に、C1〜C18の直
鎖状または分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、ドデシル基、またはステアリル基)、ア
ルケニル基(例えばオレイル基)、アリール基(例えば
フェニル基またはナフチル基)またはC5〜C8のシクロア
ルキル基(例えばシクロヘキシル基);R11とR12とは一
緒になってC5〜C8のアルキレン基を形成し且つR13は前
記同様C1〜C18の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、
アルケニル基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキ
ル基;あるいは、R11とR12とは一緒になってC5〜C8のア
ルキレン基を形成し且つR13はそのR11とR12とが一緒に
なって形成するアルキレン基中の炭素原子と窒素原子と
を結合するC2〜C4のアルキレン基;である〕 で表される第3アミンを挙げることができる。
好ましい第3アミンは、トリアルキルアミン(例えば
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラ
ウリルアミン、トリステアリルアミン、ジメチルエチル
アミン、メチルジエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン)、トリアルケニルアミン、ジアルキルアリール
アミン(例えばジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ン)、アルキルジアリールアミン(例えばジフェニルメ
チルアミン、ジフェニルエチルアミン)、トリアリール
アミン(例えばトリフェニルアミン)、ジアルキルシク
ロアルキルアミン(例えばジメチルシクロヘキシルアミ
ン)、N−アルキル置換飽和窒素複素環式化合物(例え
ばN−メチル−ピロリジン、N−メチル−モルホリン、
N−メチル−ピペリジン)またはキヌクリジンである。
脱炭酸工程で使用することのできる別の非ピロトン性
有機塩基の例としては、一般式 〔式中、Aはアルキレン基(炭素原子数1〜8個)また
はアリーレン基であり、R14とR15とR16とR17とは各々独
立にC1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキル基もしく
はアルケニル基、アリール基、またはC5〜C8のシクロア
ルキル基;あるいは、R14とR15もしくはR16とR17または
R14とR16もしくはR15とR17とが各々C2〜C8のアルキレン
基を形成するものである〕 で表されるジアミンを挙げることができる。
前記のジアミンは、例えばN,N′−テトラアルキル−
アルキレンジアミン(例えばN,N′−テトラメチルメチ
レンジアミン、N,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ン、N,N′−テトラメチルトリメチレンジアミン)、N,
N′−テトラアルキル−アリーレンジアミン(例えばN,
N′−テトラメチルフェニレンジアミン)、あるいは環
状ジアミン(例えばトリエチレンジアミン、N,N′−ジ
メチルピペリジン)である。前記のジアミン以外にも、
同様のトリアミン等のポリアミンも使用することができ
る。
脱炭酸工程で使用することのできる更に別の非プロト
ン性有機塩基の例としては一般式 〔式中、R18とR19とR20とは、各々独立に、C1〜C18の直
鎖状または分枝状のアルキル基もしくはアルケニル基、
アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル基であり且つ
Rは水素原子、C1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキ
ル基もしくはアルケニル基、アリール基またはC5〜C8
シクロアルキル基;R18とR19とがC3〜C8のアルキレン基
を形成し、R20はC1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキ
ル基もしくはアルケニル基、アリール基またはC5〜C8
シクロアルキル基であり且つRは水素原子、C1〜C18
直鎖状または分岐状のアルキル基もしくはアルケニル
基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル基;R18
R20とがC2〜C8のアルキレン基を形成し、R9はC1〜C18
直鎖状または分枝状のアルキル基もしくはアルケニル
基、アリール基またはC5〜C8のシクロアルキル基であり
且つRは水素、C1〜C18の直鎖状または分枝状のアルキ
ル基もしくはアルケニル基、アリール基またはC5〜C8
シクロアルキル基;あるいは、R18とR20とがC2〜C8のア
ルキレン基を形成し、且つR19とRとがC3〜C8のアルキ
レン基を形成するものである) で表されるアミジンを挙げることができる。
上記アミジンは、例えばトリアルキルアミジンまたは
二環式アミジン(例えばジアザビシクロウンデセン、ジ
アザビシクロノネン)である。
前記の各種の溶媒を組合せて使用することもできる。
例えば、前記の非プロトン性有機塩基と水、前記非プロ
トン性有機塩基と非プロトン性極性有機溶媒、あるい
は、水と非プロトン性極性有機溶媒である。
また、脱炭酸工程で用いる溶媒としては、必要に応じ
前記以外の有機溶媒を併用することができる。
このような有機溶媒の中で好適なものとしては、例え
ば、非極性有機溶媒を挙げることができる。なお、ここ
でいう“非極性有機溶媒”とは、分子内の永久双極子モ
ーメントが2D未満の中性の有機化合物をいうものとす
る。
前記の非極性有機溶媒としては、好ましくは沸点80〜
300℃の有機溶媒であって、ブタノール、ペンタノー
ル、ヘキサーノール、シクロヘキサノール等の炭素原子
4個以上の脂肪族アルコール類;プロピルエーテル、ブ
チルエーテル等の、少なくとも一方のアルキル基が炭素
原子3個以上をもつジアルキルエーテル類;ベンゼン、
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プ
ロピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、シメン等の
芳香族炭化水素類;パラジクロロベンゼン、パラジフル
オロベンゼン等のハロゲン置換芳香族炭化水素類;ヘプ
タン、オクタン等の炭素原子7個以上の脂肪族炭化水素
類;1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン等のハロゲン置換脂肪族炭化水素類を挙げることがで
きる。これらの中では、芳香族炭化水素類、ハロゲン置
換芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、およびハロゲ
ン置換脂肪族炭化水素類等の炭化水素系溶媒を用いるの
が更に好ましく、ハロゲン原子で置換されていない芳香
族炭化水素類を用いるのが特に好ましい。
脱炭酸工程は、場合により触媒の存在下で実施するこ
とができる。溶媒としては、この種の脱炭酸反応におい
て公知の触媒を使用する。使用する溶媒の種類に応じて
触媒を選択するのが好ましい。水性溶媒中で使用する触
媒としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸
塩、有機酸塩またはフッ化物、あるいはアルカリ土類金
属の酸化物、更に有機塩基の硫酸塩、フッ化物または有
機酸塩を挙げることができる。アンモニア、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の硫酸塩としては、例えば、
硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫
酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸マグネシウム、硫酸
カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウムであ
る。有機塩基の硫酸塩としては、例えば、ピリジン硫酸
塩、キノリン硫酸塩、または前述の非プロトン性有機塩
基の硫酸塩を例示できる。また、アンモニアの水酸化
物、炭酸塩、有機酸塩またはフッ化物としては、例え
ば、アンモニア水、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニ
ウムまたは、出発原料もしくは生成物とアンモニアとの
塩、すなわち4−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロフ
タル酸アンモニウム、3−置換アミノ−2,4,5−トリフ
ルオロ安息香酸アンモニウムである。
アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機
酸塩またはフッ化物としては、例えば、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、フッ化マ
グネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、フッ化カルシウム、酸化ストロンチウム、
水酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化バリウ
ム、炭酸バリウムまたは出発原料(4−置換アミノ−3,
5,6−トルフルオロフタル酸)もしくは生成物(3−置
換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸)とアルカリ
土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウムまたはバリウム)の水酸化物との塩も触媒とし
て作用する。
また、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、有機酸塩ま
たはフッ化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸カリウム、フッ化カリウムまたは出発原料もしくは生
成物とアルカリ金属水酸化物との塩も触媒となる。
また、有機塩基のフッ化物または有機酸塩としては、
例えば、前述の非プロトン性有機塩基のフッ化物または
該非プロトン性有機塩基と出発原料もしくは生成物との
塩を例示できる。
次に非プロトン性極性有機溶媒を含有してなる溶媒中
で使用する触媒としては、無機塩基、例えば重炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等を挙げるこ
とができる。
更に、非プロトン性有機塩基を含有してなる溶媒中で
は、該非プロトン性有機塩基自体が触媒作用を有し、ま
た、該非プロトン性有機塩基と、出発原料溶液中に場合
により含まれていることのある硫酸または出発原料もし
くは生成物である有機酸との塩も触媒作用を有するの
で、必ずしも別途、触媒の添加を要しない。
本発明方法の脱炭酸工程においては、使用する溶媒お
よび場合により使用する触媒の種類に応じて、加熱条件
や出発原料と溶媒の量比等を簡単に設定することができ
る。
例えば、非プロトン性極性有機溶媒中で脱炭酸を実施
する場合には、反応温度80〜200℃好ましくは90〜180
℃、特に好ましくは105〜140℃で0.5〜3時間好ましく
は約1時間、大気圧下で加熱処理する。触媒は、出発原
料1モルに対して0.05〜0.75モル好ましくは0.2〜0.5モ
ルの量で使用する。
更に、有機塩基溶媒中で脱炭酸を実施する場合には、
反応温度100〜200℃好ましくは120〜180℃で0.5〜50時
間好ましくは約0.5〜5時間、大気圧下で加熱処理す
る。
非極性有機溶媒の共存下で実施する場合には、出発原
料1モルに対して、一般に有機塩基0.1〜3.0モル(反応
速度の観点から好ましくは0.3〜2.0モル、更に好ましく
は0.75超〜1.5モル)および非極性有機溶媒0〜10モル
(好ましくは0.5〜5.0モル)を使用する。
非極性有機溶媒を使用しない場合には、出発原料1モ
ルに対して好ましくは0.5〜10モル更に好ましくは0.5〜
5モルの量で有機塩基を使用する。
水性溶媒中で脱炭酸を実施する場合には、反応温度80
〜250℃好ましくは100〜220℃、特に好ましくは130〜18
0℃で2〜40時間好ましくは約5〜30時間、pH0.7〜2.2
好ましくは1.2〜2.0で真空ないし約15気圧好ましくは1
〜10気圧の下で加熱処理する。水性溶媒の使用量は、出
発原料1モルに対し、0.1〜2.0モル好ましくは0.2〜1.0
モルである。触媒の使用量は触媒の種類によって差があ
り、各々、出発原料1モルに対して、アンモニア、アル
カリ金属、アルカリ土類金属および有機塩基の硫酸塩お
よびフッ化物では0.01〜3.0モル好ましくは0.05〜1.0モ
ル、有機塩基では0.01〜1.2モル好ましくは0.1〜0.9モ
ル、アンモニアの水酸化物、炭酸塩および有機酸塩並び
にアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および
有機酸塩では0.01〜0.4モル好ましくは0.05〜0.25モ
ル、そしてアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩および有機
酸塩では0.002〜0.1モル好ましくは0.005〜0.05モルで
ある。
得られた目的生成物3−置換アミノ−2,4,5−トリフ
ルオロ安息香酸は任意の公知の方法で単離し、そして精
製することができる。例えば、溶媒として非水溶性非プ
ロトン性有機塩基、非水溶性非プロトン性極性有機溶
媒、非水溶性非極性有機溶媒等の非水溶性溶媒を使用す
る場合は、反応終了後、冷却してから反応液中に水酸化
ナトリウム水溶液等のアルカリ性化合物の水溶液を加え
て撹拌し、水層を分液により単離する。次いで、この水
層中に塩酸水溶液等の無機酸の水溶液を加え、析出した
結晶を濾過して乾燥するなどの方法が採用できる。
なお、前記したとおり加水分解工程における中間生成
物4−置換−3,5,6−トリフルオロフタル酸を単離する
ことなく、前記の非プロトン性有機塩基のうち非水溶性
のもの、或いは、前記非プロトン性極性有機溶媒または
非極性有機溶媒のうち非水溶性のものを用いて該4−置
換−3,5,6−トリフルオロフタル酸を抽出し、この抽出
液に必要に応じて更に、非水溶性もしくは水溶性の非プ
ロトン性有機塩基、非水溶性もしくは水溶性の非プロト
ン性極性有機溶媒、非水溶性もしくは水溶性の非極性有
機溶媒、及び/又は、前記の触媒を加えて連続的に脱炭
酸工程を行なうことができる。
このような非水溶性非プロトン性有機塩基としては、
例えば、トリアルキルアミン(各アルキル基の炭素原子
数が2以上のもの)、ジアルキルアリールアミン、アル
キルジアリールアミン、トリアリールアミンまたはジア
ルキルシクロアルキルアミン等の第3アミン;例えば、
N,N′−テトラアルキルアリーレンジアミン等のジアミ
ンを挙げることができ、非水溶性非プロトン性極性有機
溶媒としては、例えば、ベンゾニトリル、ニトロベンゼ
ン等を、また、非水溶性非極性有機溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチ
ルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼ
ン、シメン等の芳香族炭化水素類;パラジクロロベンゼ
ン、パラジフルオロベンゼン等のハロゲン置換芳香族炭
化水素類;プロピルエーテル、ブチルエーテル類のジア
ルキルエーテル類等を挙げることができる。
本発明における出発原料である4−置換アミノ−3,5,
6−トリフルオロフタロニトリル、例えば、有機合成協
会誌、29巻8号792〜795頁(1971年石川延男等)に記載
の方法で、あるいはJ.Chem.Soc,C,(3),456〜462頁
(1970年J.M.Birchall,et)記載の方法で、下記一般式
の如く種々合成することができる。
〔但し、R1とR2とは各々独立にC1〜C18のアルキル基、R
1とR2とが一緒になって形成するC2〜C8のアルキレン基
または該アルキル基もしくは該アルキレン基の炭素原子
鎖の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子のいずれかで
置換された基、あるいは、これらの基の水素原子の一部
もしくは全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基および/ま
たはニトロ基で置換された基である。〕 〔実施例〕 以下、実施例により本願発明を一層詳細に説明する。
実施例1 4−ジメチルアミノ−3,5,6−トリフルオロフタロニ
トリル(純度84重量%)5.36g(約20ミリモル)を80重
量%硫酸42g(約0.69当量)を155℃にて1時間撹拌下反
応させる。冷却後、水80mlを加えてからエーテル抽出を
行う。得られたエーテル層を無水塩化カルシウムにて脱
水した後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣を50℃で乾
燥することにより4−ジメチルアミノ−3,5,6−トリフ
ルオロフタル酸の結晶4.44g(純度96重量%、収率81
%)を得た。
ここで得られた4−ジメチルアミノ−3,5,6−トリフ
ルオロフタル酸の物性値は以下の通りである。
融点:179〜181℃ 質量スペクトル(EI):m/Z=263(M+),245(M−H
2O),2181 H−NMR:(CDCl3,TMS内部標準) δ=3.08ppm(6H,s),5.59ppm(2H,s)19 F−NMR:CDCl31H−デカップリング、CF3COOH内部標
準) δ=−68.6ppm(1F,d−d,J=18.3Hz,11.0Hz) δ=−64.4ppm(1F,d−d,J=18.3Hz,11.0Hz) δ=−52.3ppm(1F,d−d,J=11.0Hz,11.0Hz) 実施例2 4−ジメチルアミノ−3,5,6−トリフルオロフタル酸
(純度96重量%)1.37g(約5ミリモル)をトリ−n−
オクチルアミン3.54g(約10ミリモル)に溶解し、これ
を160℃にて1時間撹拌下反応させる。冷却後、反応液
にエーテル20ml5重量%水酸化ナトリウム水溶液30mlを
加え分液し、水層を取り出す。この水層をエーテルで洗
浄した後、硫酸を加えpH1とし、これをエーテルにて抽
出する。得られたエーテル層を塩化カルシウムにて乾燥
し、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣を50℃で乾燥す
ることにより3−ジメチルアミノ−2,4,5−トリフルオ
ロ安息香酸の結晶1.02g(純度97重量%、収率90%)を
得た。
ここで得られた3−ジメチルアミノ−2,4,5−トリフ
ルオロ安息香酸の物性値は以下の通りである。
融点:102〜104℃ 質量スペクトル(EI):m/Z=219(M+),218(M−1)1 H−NMR:(CDCl3,TMS 内部標準) δ=2.95ppm(6H,t,J=2.1Hz) δ=7.37〜7.51ppm(1H,m) δ=10.93ppm(1H,s)19 F−HMR:(CDCl31H−デカップリング、CF3COOH内部
標準) δ=−64.5ppm(1F,d−d,J=19.8Hz,13.7Hz) δ=−58.8ppm(1F,d−d,J=21.4Hz,13.7Hz) δ=−43.4ppm(1F,d−d,J=21.4Hz,19.8Hz)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式 で表わされる3−置換アミノ−2,4,5−トリフルオロ安
    息香酸。
  2. 【請求項2】下記一般式 で表わされる4−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロフ
    タロニトリルを、加水分解することにより下記一般式 (但し、R1及びR2は一般式の場合と同じ) で表わされる4−置換アミノ−3,5,6−トリフルオロフ
    タル酸を得、次いで、該フタル酸を溶媒中で加熱して脱
    炭酸することを特徴とする3−置換アミノ−2,4,5−ト
    リフルオロ安息香酸の製造方法。
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