JP2699739B2 - 四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置 - Google Patents

四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置

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JP2699739B2
JP2699739B2 JP3341925A JP34192591A JP2699739B2 JP 2699739 B2 JP2699739 B2 JP 2699739B2 JP 3341925 A JP3341925 A JP 3341925A JP 34192591 A JP34192591 A JP 34192591A JP 2699739 B2 JP2699739 B2 JP 2699739B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動式自動車(四
輪駆動車)における前後の駆動輪への駆動力配分に用い
る、四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、四輪駆動式自動車(以下、四輪駆
動車という)の開発が盛んに行なわれているが、所謂フ
ルタイム四輪駆動車では、前後輪間のトルク配分(駆動
力配分)を調整できるようにした、前後駆動力配分調整
装置が開発されている。かかる前後駆動力配分調整装置
としては、例えばビスカスカップリングユニット(VC
U)やハイドロリックカップリングユニット(HCU)
などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の従来
の前後駆動力配分調整装置では、一般に、前後輪に差動
状態が生じるとこれを抑制するように高速回転側から低
速回転側へと駆動力が伝達され前後輪間のトルク配分調
整が行なわれる。しかし、このトルク配分調整は予め設
定された装置の特性にしたがって差動状態に対応して行
なわれ、他の制御要素に対応させてトルク配分調整を行
なうなど、トルク配分調整を積極的に調整するようには
なっていない。そこで、前後輪間でのトルク配分を積極
的に自由に調整することができるようにしたい。しかし
ながら、この場合、装置全体の大型化を招いては、車両
への搭載性が悪化して好ましくない。特に、回転軸回り
の径方向への大型化は車両への搭載性を悪化させ易いの
で、このような大型化を招かないようにする必要があ
る。
【0004】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、装置の径方向への大型化を抑制して車両への
搭載性を良好にしつつ、前後輪間でのトルク配分を積極
的に自由に調整することができるようにした、四輪駆動
車用前後駆動力配分調整装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1にか
かる本発明の四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置は、
前輪側回転軸と、後輪側回転軸と、上記前輪側回転軸と
上記後輪側回転軸とのいずれか一方の回転速度を変速し
て上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか他
方に選択的に伝達すると共に上記の両回転軸と同軸に配
置された駆動力伝達制御機構と、を備えていることを特
徴としている。
【0006】請求項2にかかる本発明の四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置は、請求項1記載の装置におい
て、エンジンの動力が伝達される入力部と、上記入力部
の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側回転軸に分
配する差動機構と、を備え、上記駆動力伝達制御機構
が、上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか
一方の回転速度を変速して上記入力部に選択的に伝達す
ることで間接的に上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸
とのいずれか他方に選択的に伝達するように構成された
ことを特徴としている。
【0007】請求項3にかかる本発明の四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置は、請求項1記載の装置におい
て、エンジンの動力が伝達される入力部と、上記入力部
の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側回転軸に分
配する差動機構と、を備え、上記駆動力伝達制御機構
が、上記入力部の回転速度を変速して上記前輪側回転軸
と上記後輪側回転軸との少なくともいずれか一方の回転
軸に選択的に伝達するように構成されたことを特徴とし
ている。
【0008】請求項4にかかる本発明の四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置は、請求項1記載の装置におい
て、エンジンの動力が伝達される入力部と、上記入力部
の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側回転軸に分
配する差動機構と、を備え、上記駆動力伝達制御機構
が、上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか
一方の回転速度を変速して上記前輪側回転軸と上記後輪
側回転軸とのいずれか他方に選択的に伝達するように構
成されたことを特徴としている。そして、請求項にか
かる本発明の四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置は、
四輪駆動車における前輪側回転軸と後輪側回転軸との間
に、エンジンからの駆動力を入力される入力部と、上記
の前後の回転軸間の差動を許容しつつ上記の入力部から
入力された駆動力を上記の前後の各回転軸に伝達する差
動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御して上記の前
後輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構と
をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の前後の各
回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されてこの一方の
回転軸側の回転速度を加速又は減速して出力しうる変速
機構と、上記変速機構に付設されて該変速機構を加速側
又は減速側に切り替えうる切替機構と、上記の前後の各
回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機構の出力部
側との間に介装されて係合時に上記の前後の各回転軸間
で駆動力の伝達を行ないうる動力伝達手段とから構成さ
れていることを特徴としている。
【0009】
【作用】上述の請求項1にかかる本発明の四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置では、駆動力伝達制御機構が、
前輪側回転軸と後輪側回転軸とのいずれか一方の回転速
度を変速していずれか他方に選択的に伝達する。このと
き、前輪側回転軸と後輪側回転軸との間で回転速度の速
い方から遅い方へと駆動力の伝達が行なわれるが、前輪
側回転軸と後輪側回転軸との一方の回転速度を変速して
他方に伝達するので、前輪側回転軸と後輪側回転軸とが
等速で回転する場合にも駆動力伝達(トルク移動)を行
なえるとともに、前輪側回転軸と後輪側回転軸とのうち
高速回転側から低速回転側への駆動力伝達(トルク移
動)も可能になる。しかも、駆動力伝達制御機構は、上
記の両回転軸と同軸に配置されているので、装置の構成
を小型化しうるようになる。
【0010】また、請求項2にかかる本発明の四輪駆動
車用前後駆動力配分調整装置では、入力部に伝達された
エンジンの動力は、差動機構を介して前輪側回転軸およ
び後輪側回転軸に分配されるが、駆動力伝達制御機構で
は、前輪側回転軸と後輪側回転軸とのいずれか一方の回
転速度を変速して、上記入力部に選択的に伝達しこの入
力部を介して間接的に前輪側回転軸と後輪側回転軸との
いずれか他方に選択的に伝達する。この駆動力の伝達時
に、回転速度が変速されることで、前輪側回転軸と後輪
側回転軸との間での自由な駆動力伝達(トルク移動)が
可能になる。
【0011】さらに、請求項3にかかる本発明の四輪駆
動車用前後駆動力配分調整装置では、入力部に伝達され
たエンジンの動力は、差動機構を介して前輪側回転軸お
よび後輪側回転軸に分配されるが、駆動力伝達制御機構
では、上記入力部の回転速度を変速して上記前輪側回転
軸と上記後輪側回転軸との少なくともいずれか一方の回
転軸に選択的に伝達する。この駆動力の伝達時に、回転
速度が変速されることで、前輪側回転軸と後輪側回転軸
との間での自由な駆動力伝達(トルク移動)が可能にな
る。
【0012】また、請求項4にかかる本発明の四輪駆動
車用前後駆動力配分調整装置では、入力部に伝達された
エンジンの動力は、差動機構を介して前輪側回転軸およ
び後輪側回転軸に分配されるが、駆動力伝達制御機構で
は、上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか
一方の回転速度を変速して上記前輪側回転軸と上記後輪
側回転軸とのいずれか他方に上記入力部の回転速度を変
速して上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸との少なく
ともいずれか一方の回転軸に選択的に伝達する。この駆
動力の伝達時に、回転速度が変速されることで、前輪側
回転軸と後輪側回転軸との間での自由な駆動力伝達(ト
ルク移動)が可能になる。そして、請求項にかかる本
発明の四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置では、エン
ジンからの駆動力が、入力部から入力されて、差動機構
で、上記の前後の回転軸間の差動を許容されつつこの前
後の各回転軸に伝達される。このとき、駆動力伝達制御
機構により、前後の各回転軸の間で駆動力の伝達が行な
われる。つまり、前後の各回転軸のうちの一方の回転軸
側の回転速度が変速機構により変速され、この変速機構
の出力部側と前後の各回転軸のうちの他方の回転軸側と
の間に速度差が生じて、動力伝達手段を係合させること
で上記の前後の各回転軸間で駆動力の伝達が行なわれ
る。即ち、変速機構に付設された切替機構を加速側に切
り替えて動力伝達手段を係合させると、変速機構の出力
部側が前後の各回転軸のうちの他方の回転軸側よりも高
速になり、この高速側である変速機構の出力部側即ち一
方の回転軸側から、低速側である他方の回転軸側に駆動
力が伝達されて、高速側である一方の回転軸側では駆動
力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側である
他方の回転軸側では駆動力が増加する。これにより、前
後の駆動力が調整される。また、切替機構を減速側に切
り替えて動力伝達手段を係合させると、変速機構の出力
部側が前後の各回転軸のうちの他方の回転軸側よりも低
速になり、高速側である他方の回転軸側から、低速側で
ある変速機構の出力部側即ち一方の回転軸側に駆動力が
伝達されて、高速側である他方の回転軸側では駆動力が
減少し、この駆動力の減少に対応して低速側である一方
の回転軸側では駆動力が増加する。これにより、前後の
駆動力が調整される。
【0013】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜4は本発明の第1実施例としての四
輪駆動車用前後駆動力配分調整装置を示すもので、図1
はその装置をそなえた自動車の駆動系を示す模式的な構
成図、図2はその模式的な要部構成図、図3はそのトル
ク伝達を説明する速度線図、図4はそのトルク伝達の一
例を説明する速度線図であり、図5〜7は本発明の第2
実施例としての四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置を
示すもので、図5はその模式的な要部構成図、図6はそ
のトルク伝達を説明する速度線図、図7はそのトルク伝
達の一例を説明する速度線図であり、図8〜10は本発
明の第3実施例としての四輪駆動車用前後駆動力配分調
整装置を示すもので、図8はその模式的な要部構成図、
図9はそのトルク伝達を説明する速度線図、図10はそ
のトルク伝達の一例を説明する速度線図であり、図11
〜13は本発明の第4実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置を示すもので、図11はその模式的
な要部構成図、図12はそのトルク伝達を説明する速度
線図、図13はそのトルク伝達の一例を説明する速度線
図であり、図14は本発明の第5実施例としての四輪駆
動車用前後駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動
系を示す模式的な構成図であり、図15は本発明の第6
実施例としての四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置を
示す模式的な要部構成図であり、図16は本発明の第7
実施例としての四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置を
示す模式的な要部構成図であり、図17は本発明の第8
実施例としての四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置を
そなえた自動車の駆動系を示す模式的な構成図であり、
図18は本発明の第9実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す模
式的な構成図である。なお、図中、同符号は同様なもの
を示し、また、図3,4,6,7,9,10,12,1
3の縦軸は回転速度を示す。
【0014】まず、第1実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系は、図1に示すよう
に、エンジン1からの駆動力(以下、駆動トルク又はト
ルクともいう)をトランスミッション2を介して差動機
構としてのセンタディファレンシャル(以下、センタデ
フと略す)3で受けて、センタデフ3から、前輪側回転
軸6A及び後輪側回転軸6Bを通じて前輪側と後輪側と
に伝達されるようになっている。なお、センタデフ3で
は、トランスミッション2からの駆動力をギヤ2Aを介
してデフケース(入力部)3Aに設けられたギヤ(入力
部)3Eで受けて、ピニオン3B,3Bからピニオン3
C,3Dを通じて、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸
6Bへこれらの差動を許容しながら伝達するようになっ
ている。
【0015】特に、このセンタデフ3部分には、変速機
構10と動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機構1
2とからなる駆動力伝達制御機構5A(以下、駆動力伝
達制御機構を広義に示す場合は符号5とする)が設けら
れ、この駆動力伝達制御機構5Aとセンタデフ3とから
四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置が構成される。な
お、この湿式多板クラッチ機構12は油圧駆動式のもの
で、油圧を調整されることで圧接力を調整されて、その
圧接状態に応じて前後輪への駆動力配分を制御しうるよ
うになっている。なお、駆動力伝達制御機構5A及び動
力伝達手段としての湿式多板クラッチ機構12は、前輪
側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されて
いる。
【0016】このようにして、センタデフ3から配分さ
れた駆動力の一方は、フロントデフ4を通じて左右の前
輪25,26に伝達されるようになっている。一方、セ
ンタデフ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシ
ャフト6を介してリヤディファレンシャル(以下、リヤ
デフと略す)8に伝達され、このリヤデフ8を通じて左
右の後輪15,16に伝達されるようになっている。な
お、符号7はドライブピニオン及びリングギヤからなる
ベベルギヤ機構である。
【0017】リヤデフ8部分にも、図示しないが、変速
機構と動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機構とか
らなる駆動力伝達制御機構が設けられ、多板クラッチ機
構12の油圧を調整してその圧接力を調整することで、
左右輪への駆動力配分を制御できるようになっている。
【0018】上述の駆動力伝達制御機構5Aの湿式多板
クラッチ機構12の油圧系は、前述のリヤデフ8の左右
駆動力配分調整装置の多板クラッチ機構の油圧系ととも
に、コントロールユニット18によって制御されるよう
になっている。
【0019】つまり、多板クラッチ機構12,12の油
圧系は、各クラッチ機構にそれぞれ付設された図示しな
い油圧室と、油圧源を構成する電動ポンプ24及びアキ
ュムレータ23と、この油圧を上記の油圧室に所要量だ
け供給させるクラッチ油圧制御バルブ17とからなって
いる。そして、クラッチ油圧制御バルブ17の開度をコ
ントロールユニット18によって制御されるようになっ
ている。
【0020】なお、コントロールユニット18では、車
輪速センサ19,ハンドル角センサ20,ヨーレイトセ
ンサ21,加速度センサ(又は加速度演算手段)22な
どからの情報に基づいて、クラッチ油圧制御バルブ17
の開度を制御する。
【0021】ここで、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置の要部を説明すると、図2に示すように、この
装置の駆動力伝達制御機構5Aは、前輪側回転軸6Aと
後輪側回転軸6Bとの差動を許容しながら、前輪側回転
軸6Aと後輪側回転軸6Bとに伝達される駆動力を所要
の比率に配分できるようになっている。
【0022】すなわち、前輪側回転軸6Aと入力軸6A
との間及び後輪側回転軸6Bと入力軸6Aとの間に、そ
れぞれ変速機構10と多板クラッチ機構12とが介装さ
れており、前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bの回
転速度が、変速機構10により増速されて駆動力伝達補
助部材としての中空軸11に伝えられる。
【0023】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力部3E側のデファレンシャルケース(以
下、デフケースと略す)3Aとの間に介装されており、
この多板クラッチ機構12を係合させることで、高速側
のデフケース3Aから低速側の中空軸11へ駆動力が送
給されるようになっている。これは、対向して配設され
たクラッチ板における一般的な特性として、トルクの伝
達が、速度の速い方から遅い方へ行なわれるためであ
る。
【0024】したがって、例えば、後輪側回転軸6Bと
入力部3Eとの間の多板クラッチ機構12が係合される
と、後輪側回転軸6Bへ配分される駆動力は入力部3E
側からのルートで増加又は減少されて、この分だけ、前
輪側回転軸6Aへ配分される駆動力が減少又は増加す
る。
【0025】上述の変速機構10は、2つのプラネタリ
ギヤ機構を直列的に結合してなるいわゆるダブルプラネ
タリギヤ機構で構成されており、後輪側回転軸6Bに設
けられた変速機構10を例に説明すると次のようにな
る。
【0026】すなわち、後輪側回転軸6Bには第1のサ
ンギヤ10Aが固着されており、この第1のサンギヤ1
0Aは、その外周において第1のプラネタリギヤ(プラ
ネタリピニオン)10Bに噛合している。また、第1の
プラネタリギヤ10Bは、第2のプラネタリギヤ10D
と一体に固着され、共にキャリヤに設けられたピニオン
シャフト10Cを通じて、ケーシング(固定部)に固着
されて回転しないキャリア10Fに枢支されている。こ
れにより、第1のプラネタリギヤ10Bと第2のプラネ
タリギヤ10Dとが、ピニオンシャフト10Cを中心と
して同一の回転を行なうようになっている。
【0027】さらに、第2のプラネタリギヤ10Dは、
後輪側回転軸6Bに枢支された第2のサンギヤ10Eに
噛合しており、第2のサンギヤ10Eは、中空軸11を
介して湿式多板クラッチ機構12のクラッチ板12Aに
連結されている。また、多板クラッチ機構12の他方の
クラッチ板12Bは、入力部3Eにより駆動されるデフ
ケース3Aに連結されている。
【0028】そして、この実施例の構造では、第1のサ
ンギヤ10Aが第2のサンギヤ10Eよりも小さい径に
形成されているので、第2のサンギヤ10Eの回転速度
は第1のサンギヤ10Aよりも小さくなり、この変速機
構10は減速機構としてはたらくようになっている。し
たがって、クラッチ板12Aの回転速度がクラッチ板1
2Bよりも小さく、多板クラッチ機構12を係合させた
場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、入力部
3E側から後輪側回転軸6B側へ送給されるようになっ
ている。
【0029】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構10及び多板クラッチ機構12も、同様に構成さ
れており、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸
6Aにより多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて前輪側回転軸6A側の多板クラッ
チ機構12を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多
く配分したい場合には、その配分比に応じて後輪側回転
軸6B側の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0030】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力部3Eから
前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bへの駆動力の送
給量(つまりは駆動力の前後配分比)を適当な精度で調
整することができるようになっている。
【0031】なお、前後の多板クラッチ機構12が共に
完全係合することのないように設定されており、前後の
多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになってい
る。
【0032】本発明の第1実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配
分を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方に
転送することによりトルク配分が調整されるため、大き
なトルクロスやエネルギロスを招来することなく、所望
のトルク配分を得ることができる。しかも、駆動力伝達
制御機構5A及び動力伝達手段としての湿式多板クラッ
チ機構12は、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6B
と同軸に配置されているので、特に、回転軸回りの径方
向への大型化が抑制され、装置全体の大型化を招かない
ようにすることができるので、装置の車両への搭載性が
良好になり、設置自由度が大幅に向上する利点がある。
【0033】ここで、図3,4を参照して、この四輪駆
動車用前後駆動力配分調整装置のクラッチ容量及びエネ
ルギロスについて考察する。
【0034】図3,4において、fを付した符号は前輪
に関し、rを付した符号は後輪に関している。そして、
Cf,Crはキャリア10Fの回転速度でここではキャ
リア10Fは回転しないので0になっている。S1f,
S1rは第2のサンギヤ10Eの回転速度で、S2f,
S2rは第1のサンギヤ10Aの回転速度であり、第1
のサンギヤ10Aは第2のサンギヤ10Eよりも小径な
ので、回転速度S2f,S2rは回転速度S1f,S1
rよりも大きい。そして、DCはデフケース3Aの回転
速度である。
【0035】また、Z1 は第2のサンギヤ10Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ10Aの歯数、Z 3 は第2の
ピニオン10Dの歯数、Z 4 は第1のピニオン10Bの
歯数であり、Ti はデフケース3Aへの入力トルク、T
f,Trはそれぞれ前輪側及び後輪側への配分トルク、
Tc1は後輪側の駆動力伝達制御機構9Aの多板クラッ
チ機構12を係合したときの後輪側への増分トルク、T
c2は前輪側の駆動力伝達制御機構5Aの多板クラッチ
機構12を係合したときの前輪側への増分トルクであ
る。
【0036】さらに、図3は前後輪が等速で回転してい
る状態を示し、図4は後輪側の駆動力伝達制御機構5A
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、後輪側の回
転速度が増速されている一方で、これに応じて、前輪側
の回転速度が減速されている状態を示している。
【0037】まず、Smax (制御可能な前後回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導く
と、このSmax の状態は、図3に示され、多板クラッチ
機構12が完全係合されると、デフケース3Aの回転速
度DCと第2のサンギヤ10Eの回転速度S1rとが等
しくなる。
【0038】したがって、図3より、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1:1+Smax ∴ 2 3 /Z 1 4 =1/(1+Smax ) ・・・・(2.1)
【0039】次に、ΔT(後輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギヤ部の
トルクの釣り合い式[後輪のカップリング(多板クラッ
チ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti−Tc=Tf+[Tr−( 2 3 /Z 1 4 )Tc] ∴Tf=Tr−( 2 3 /Z 1 4 )Tc ・・・・(2.2) 式(2.1),(2.2)より、前後輪の駆動トルクは、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2(1+Smax )]Tc Tf=(1/2)Ti−(1/2)Tc ・・・・(2.3) よって、 ΔT=|Tr−Tf|=[1/(1+Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1+Smax )ΔT ・・・・(2.4)
【0040】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =x:1+S ∴x=( 2 3 /Z 1 4 )・(1+S) =(1+S)/(1+Smax ) ・・・・(2.5) よって、 Sc=1−(1+S)/(1+Smax ) =(Smax −S)/(1+Smax ) ・・・・(2.6)
【0041】これより、単位時間当たりのエネルギロス
ΔE′(=dΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC (kgfm/s ) ・・・・(2.7) ただし、ωDC:デフケースの回転数(rad /s ) 例えば、ωDC=(1000×V×2π)/(3600×2π×r) V:車速(km/) r:タイヤ径(m) ∴ΔE′=(1+Smax )ΔT・[(Smax −S)/(1+Smax )]・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.8)
【0042】以上の式(2.3),(2.8)から、例
えば0<S<Smaxのとき、即ち、後輪主体の駆動力配
分を行なうときには、後側のクラッチ12を接続すれば
よく、このとき生じるエネルギロスΔE′は比較的少な
くて済む。
【0043】なお、この実施例では、動力伝達手段とし
て油圧式の多板クラッチ機構12が設けられているが、
動力伝達手段としては、多板クラッチ機構の他に、摩擦
クラッチや、VCU(ビスカスカップリングユニット)
や、HCU(ハイドーリックカップリングユニット)等
の他のカップリングを用いることもできる。
【0044】摩擦クラッチの場合、多板クラッチ機構と
同様に油圧等で係合力を調整するものが考えられ、特
に、この摩擦クラッチでは、トルク伝達方向が一方向の
ものを所要の方向(それぞれのトルク伝達方向)向けて
設置することが考えられる。
【0045】また、このVCUやHCUには、従来型の
動力伝達特性が一定のものも考えられるが、動力伝達特
性を調整できるようにしたものが適している。そして、
これらの係合力調整や動力伝達特性の調整は、油圧によ
る他に、電磁力等の他の駆動系を用いることも考えられ
る。
【0046】次に、第2実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略し、図5を参照してその駆動
力伝達制御機構5Bについて説明する。なお、図5中に
は後輪側の駆動力伝達制御機構5Bのみを示し、前輪側
の駆動力伝達制御機構5Bを省略しているが、前輪側に
も後輪側と同様な機構5Bが対称的に設けられている。
【0047】つまり、この駆動力伝達制御機構5Bで
は、図5に示すように、変速機構30が第1実施例のも
のと異なっており、第1のサンギヤ30Aが第2のサン
ギヤ30Eよりも大きい径に形成されているので、第2
のサンギヤ30Eの回転速度は第1のサンギヤ30Aよ
りも大きくなり、この変速機構30は増速機構としては
たらくようになっている。したがって、クラッチ板12
Aの回転速度がクラッチ板12Bよりも大きく、多板ク
ラッチ機構12を係合させた場合には、この係合状態に
応じた量のトルクが、後輪側回転軸6B側から入力部3
E側へ送給(返送)されるようになっている。なお、駆
動力伝達制御機構5B及び動力伝達手段としての湿式多
板クラッチ機構12も、前輪側回転軸6A及び後輪側回
転軸6Bと同軸に配置されている。
【0048】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構30及び多板クラッチ機構12も、同様に構成さ
れており、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸
6Aにより多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて後輪側回転軸6B側の多板クラッ
チ機構12を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多
く配分したい場合には、その配分比に応じて前輪側回転
軸6A側の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0049】このとき、第1実施例と同様に、多板クラ
ッチ機構12が油圧駆動式であるから、油圧の大きさを
調整することで多板クラッチ機構12の係合状態を制御
でき、入力部3Eから前輪側回転軸6A又は後輪側回転
軸6Bへの駆動力の送給量(つまりは駆動力の前後配分
比)を適当な精度で調整することができるようになって
いる。
【0050】また、第1実施例と同様に、前後の多板ク
ラッチ機構12が共に完全係合することのないように設
定されており、前後の多板クラッチ機構12のうち一方
が完全係合したら他方の多板クラッチ機構12は滑りを
生じるようになっている。
【0051】本発明の第2実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギー
ロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のト
ルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分が
調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招
来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。しかも、駆動力伝達制御機構5B及び動力伝達手段
としての湿式多板クラッチ機構12は、前輪側回転軸6
A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているので、
特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、装置
全体の大型化を招かないようにすることができるので、
装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が大幅
に向上する利点がある。
【0052】ここで、図6,7を参照して、この四輪駆
動車用前後駆動力配分調整装置のクラッチ容量及びエネ
ルギロスについて考察する。図6,7において、fを付
した符号は前輪に関し、rを付した符号は後輪に関して
いる。そして、Cf,Crはキャリア30Fの回転速度
でここではキャリア30Fは回転しないので0になって
いる。S1f,S1rは第1のサンギヤ30Aの回転速
度で、S2f,S2rは第2のサンギヤ30Eの回転速
度であり、第1のサンギヤ30Aは第2のサンギヤ30
Eよりも大径なので、回転速度S1f,S1rは回転速
度S2f,S2rよりも大きい。そして、DCはデフケ
ース3Aの回転速度である。
【0053】また、Z1 は第1のサンギヤ30Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ30Eの歯数、Z 3 は第1の
ピニオン30Bの歯数、Z 4 は第2のピニオン30Dの
歯数であり、Ti はデフケース3Aへの入力トルク、T
f,Trはそれぞれ前輪側及び後輪側への配分トルク、
Tc1は後輪側の駆動力伝達制御機構5Bの多板クラッ
チ機構12を係合したときの後輪側からの減少トルク、
Tc2は前輪側の駆動力伝達制御機構5Bの多板クラッ
チ機構12を係合したときの前輪側からの減少トルクで
ある。
【0054】さらに、図6は前後輪が等速で回転してい
る状態を示し、図7は後輪側の駆動力伝達制御機構5B
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、後輪側の回
転速度が減速されている一方で、これに応じて、前輪側
の回転速度が増速されている状態を示している。
【0055】まず、Smax (制御可能な前後回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。このSmax の状態は、図7に示され、多板クラッチ
機構12が完全係合されると、デフケース3Aの回転速
度DCと第2のサンギヤ30Eの回転速度S2rとが等
しくなる。したがって、図7より、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1−Smax :1 ∴ 2 3 /Z 1 4 =1−Smax ・・・・(2.9)
【0056】次に、ΔT(後輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[後輪のカップリング(多板
クラッチ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti+Tc=Tf+[Tr+( 1 4 /Z 2 3 )Tc] ∴Tf=Tr+( 1 4 /Z 2 3 )Tc ・・・・(2.10) 式(2.9),(2.10)より、前後輪の駆動トルクは、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2(1−Smax )]Tc Tf=(1/2)Ti+(1/2)Tc ・・・・(2.11) よって、 ΔT=|Tr−Tf|=[1/(1−Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1−Smax )ΔT ・・・・(2.12)
【0057】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1+S:x ∴x=( 1 4 /Z 2 3 )・(1+S) =(1+S)/(1−Smax ) ・・・・(2.13) よって、 Sc=(1+S)/(1−Smax )−1 =(S+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.14) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=dΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.15)
【0058】以上の結果から、この四輪駆動車用前後駆
動力配分調整装置は、式(2.4)(2.13)を対比
させると、クラッチ容量的には第1実施例のもの(図3
参照)よりも有利である。
【0059】一方、式(2.3),(2.8),(2.
11),(2.15)から、Smaxの方向性を考慮する
と、第1実施例で説明した場合と同一の走行状態で且つ
同一の制御状態でのエネルギロスΔE′は、第1実施例
の場合と等しくなり、この場合に生じるエネルギロスΔ
E′は比較的少なくて済むことになる。
【0060】なお、式(2.3),(2.11)より、
第1実施例(図3参照)及び第2実施例(図6参照)の
場合とも、非制御時(つまり、Tr=Tf)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0061】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0062】次に、第3実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略し、図8を参照してその駆動
力伝達制御機構5Bについて説明する。なお、図8中に
は後輪側の駆動力伝達制御機構5Cのみを示し、前輪側
の駆動力伝達制御機構5Cを省略しているが、前輪側に
も後輪側と同様な機構5Cが対称的に設けられている。
そして、駆動力伝達制御機構5C及び動力伝達手段とし
ての湿式多板クラッチ機構42も、前輪側回転軸6A及
び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されている。
【0063】この駆動力伝達制御機構5Cでは、図8に
示すように、変速機構31及び多板クラッチ機構42が
第1及び第2実施例のものと異なっている。ここでも、
右側の装置について説明する。
【0064】変速機構31は、入力部3E側のデフケー
ス3Aの前部及び後部にそれぞれ設けられ、2組の直列
な遊星歯車機構からなり、第1のサンギヤ31Aと第2
のサンギヤ31Eと第1のプラネタリギヤ31Bと第2
のプラネタリギヤ31Dとピニオンシャフト31Cとプ
ラネタリキャリア31Fとからなり、第1のサンギヤ3
1Aのプレート部分は駆動力伝達補助部材41になって
いる。
【0065】そして、この駆動力伝達補助部材41と後
輪側回転軸6Bとの間に、多板クラッチ機構42が介設
される。この多板クラッチ機構42は、回転軸6B側の
クラッチ板42Bと駆動力伝達補助部材41側のクラッ
チ板42Bとが交互に重合してなり、図示しない油圧系
から供給される油圧に応じて、その係合状態を調整され
る。
【0066】このため、多板クラッチ機構42が係合す
ると、回転軸6B側から、多板クラッチ機構42,第1
のサンギヤ31A,第1のプラネタリギヤ31B,第2
のプラネタリギヤ31D,第2のサンギヤ31Eを経
て、入力部3E側のデフケース3Aへ至る駆動力の伝達
路が形成される。
【0067】ここでは、第1のサンギヤ31Aが第2の
サンギヤ31Eよりも大きい径に形成されているので、
第2のサンギヤ31Eの回転速度は第1のサンギヤ31
Aより大きくなり、この変速機構31は駆動力伝達補助
部材41を入力部3E側よりも減速する減速機構として
はたらくようになっている。
【0068】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも大きく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、後輪側回転軸6B側から入力部3E側へ送給
(返送)されるようになっている。
【0069】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構31及び多板クラッチ機構42も、同様に構成さ
れており、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸
6Aにより多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて後輪側回転軸6B側の多板クラッ
チ機構42を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多
く配分したい場合には、その配分比に応じて前輪側回転
軸6A側の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0070】このとき、多板クラッチ機構42が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構42の係合状態を制御でき、入力部3Eから
前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bへの駆動力の送
給量(つまりは駆動力の前後配分比)を適当な精度で調
整することができるようになっている。
【0071】また、前後の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、前後の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0072】本発明の第3実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1,2実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5C及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構42は、前輪側回転軸
6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているの
で、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、
装置全体の大型化を招かないようにすることができるの
で、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が
大幅に向上する利点がある。
【0073】ここで、図9,10を参照して、この四輪
駆動車用前後駆動力配分調整装置のクラッチ容量及びエ
ネルギロスについて考察する。図9,10において、f
を付した符号は前輪に関し、rを付した符号は後輪に関
している。そして、Cf,Crはキャリア31Fの回転
速度でここではキャリア31Fは回転しないので0にな
っている。S1f,S1rは第1のサンギヤ31Aの回
転速度で、S2f,S2rは第2のサンギヤ31Eの回
転速度であり、第1のサンギヤ31Aは第2のサンギヤ
31Eよりも大径なので、回転速度S1f,S1rは回
転速度S2f,S2rよりも小さい。
【0074】また、Z1 は第1のサンギヤ31Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ31Eの歯数、Z 3 は第1の
ピニオン31Bの歯数、Z 4 は第2のピニオン31Dの
歯数であり、Ti はデフケース3Aへの入力トルク、T
f,Trはそれぞれ前輪側及び後輪側への配分トルク
(等配分トルク)、Tc1は後輪側の駆動力伝達制御機
構5Cの多板クラッチ機構42を係合したときの後輪側
からの減少トルク、Tc2は前輪側の駆動力伝達制御機
構5Cの多板クラッチ機構42を係合したときの前輪側
からの減少トルクである。
【0075】さらに、図9は前後輪が等速で回転してい
る状態を示し、図10は後輪側の駆動力伝達制御機構5
Cの多板クラッチ機構42が完全係合されて、後輪側の
回転速度が減速されている一方で、これに応じて、前
側の回転速度が増速されている状態を示している。
【0076】まず、Smax (制御可能な前後回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。このSmax の状態は、図10に示され、多板クラッ
チ機構42が完全係合されると、デフケース3Aの回転
速度DCと第2のサンギヤ31Eの回転速度S2rとが
等しくなる。したがって、図10より、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1−Smax :1 ∴ 2 3 /Z 1 4 =1−Smax ・・・・(2.16)
【0077】次に、ΔT(後輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[後輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+( 2 3 /Z 1 4 )Tc=Tf+[Tr+Tc] ∴Tf=Tr+Tc ・・・・(2.17) 式(2.16),(2.17)より、前後輪の駆動トルクは、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc Tf=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc・・・・(2.18) よって、 ΔT=|Tr−Tf|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.19)
【0078】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =x:1 ∴x=( 2 3 /Z 1 4 )=1−Smax ・・・・(2.20) よって、 Sc=(1+S)−(1−Smax )=S+Smax ・・・・(2.21) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=dΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.22)
【0079】以上の結果から、この四輪駆動車用前後駆
動力配分調整装置は、クラッチ容量的には、第1実施例
のもの(図3参照)よりは有利で、第2実施例のもの
(図7参照)よりは不利となる。
【0080】また、エネルギロスΔE′は、第1,2実
施例の場合と等しくなり、この場合に生じるエネルギロ
スΔE′は比較的少なくて済むことになる。
【0081】さらに、第1実施例(図3参照)及び第2
実施例(図6参照)の場合と同様に、非制御時(つま
り、Tr=Tf)に対するトルクの変化量については、
(減少側のトルク変化量)>(増加側のトルク変化量)
となっている。
【0082】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0083】次に、第4実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略し、図11を参照してその駆
動力伝達制御機構5Dについて説明する。なお、図11
中には後輪側の駆動力伝達制御機構5Dのみを示し、前
輪側の駆動力伝達制御機構5Dを省略しているが、前輪
側にも後輪側と同様な機構5Bが対称的に設けられてい
る。そして、駆動力伝達制御機構5D及び動力伝達手段
としての湿式多板クラッチ機構42も、前輪側回転軸6
A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されている。
【0084】この駆動力伝達制御機構5Dでは、図11
に示すように、第3実施例とほぼ同様に変速機構32及
び多板クラッチ機構42を配置しているが、ここでは、
第1のサンギヤ32Aが第2のサンギヤ32Eよりも小
さい径に形成されている。このため、第2のサンギヤ
Eの回転速度は第1のサンギヤ32Aよりも小さくな
り、この変速機構32は駆動力伝達補助部材41を入力
部3E側よりも増速する増速機構としてはたらくように
なっている。
【0085】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも小さく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、入力部3E側から後輪側回転軸6B側へ送給さ
れるようになっている。
【0086】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構32及び多板クラッチ機構42も、同様に構成さ
れており、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸
6Aにより多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて前輪側回転軸6A側の多板クラッ
チ機構42を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多
く配分したい場合には、その配分比に応じて後輪側回転
軸6B側の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0087】なお、多板クラッチ機構42が油圧駆動式
であるから、油圧の大きさを調整することで多板クラッ
チ機構42の係合状態を制御でき、入力部3Eから前輪
側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bへの駆動力の送給量
(つまりは駆動力の前後配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0088】また、前後の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、前後の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0089】本発明の第4実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜3実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5D及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構42は、前輪側回転軸
6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているの
で、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、
装置全体の大型化を招かないようにすることができるの
で、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が
大幅に向上する利点がある。
【0090】ここで、図12,13を参照して、この四
輪駆動車用前後駆動力配分調整装置のクラッチ容量及び
エネルギロスについて考察する。図12,13におい
て、fを付した符号は前輪に関し、rを付した符号は後
輪に関している。そして、Cf,Crはキャリア32
の回転速度でここではキャリア32Fは回転しないので
0になっている。S1f,S1rは第2のサンギヤ32
Eの回転速度で、S2f,S2rは第1のサンギヤ32
Aの回転速度であり、第1のサンギヤ32Aは第2のサ
ンギヤ32Eよりも小径なので、回転速度S2f,S2
rは回転速度S1f,S1rよりも大きい。
【0091】また、Z1 は第2のサンギヤ32Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ32Aの歯数、Z 3 は第2の
ピニオン32Dの歯数、Z 4 は第2のサンギヤ32Bの
歯数であり、Ti はデフケース3Aへの入力トルク、T
f,Trはそれぞれ前輪側及び後輪側への配分トルク
(等配分トルク)、Tc1は後輪側の駆動力伝達制御機
構5Dの多板クラッチ機構42を係合したときの後輪側
からの減少トルク、Tc2は前輪側の駆動力伝達制御機
構5Dの多板クラッチ機構42を係合したときの前輪側
からの減少トルクである。
【0092】さらに、図12は前後輪が等速で回転して
いる状態を示し、図13は後輪側の駆動力伝達制御機構
5Dの多板クラッチ機構42が完全係合されて、後輪側
の回転速度が減速されている一方で、これに応じて、前
輪側の回転速度が増速されている状態を示している。
【0093】まず、Smax (制御可能な前後回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。このSmax の状態は、図13に示され、多板クラッ
チ機構42が完全係合されると、デフケース3Aの回転
速度DCと第2のサンギヤ31Eの回転速度S2rとが
等しくなる。したがって、図13より、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1:1+Smax ∴ 2 3 /Z 1 4 =1/1+Smax ・・・・(2.23)
【0094】次に、ΔT(後輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[後輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+( 1 4 /Z 2 3 )Tc=Tf+[Tr−Tc] ∴Tf=Tr−Tc ・・・・(2.24) 式(2.23),(2.24)より、前後輪の駆動トルクは、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc Tf=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc・・・・(2.25) よって、 ΔT=|Tr−Tf|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.26)
【0095】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z 1 : Z 4 /Z 2 =1:x ∴x=( 1 4 /Z 2 3 )=1Smax ・・・・(2.27) よって、 Sc=1+Smax −(1+S)=Smax −S ・・・・(2.28) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=dΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.29)
【0096】以上の結果から、この四輪駆動車用前後駆
動力配分調整装置は、クラッチ容量的には、第3実施例
(図10参照)と同様で、第1実施例のもの(図3参
照)よりは有利で、第2実施例のもの(図7参照)より
は不利となる。
【0097】また、エネルギロスΔE′は、第1〜3実
施例の場合と等しくなり、この場合に生じるエネルギロ
スΔE′は比較的少なくて済むことになる。
【0098】さらに、第1実施例(図3参照),第2実
施例(図6参照)及び第3実施例(図10参照)の場合
と同様に、非制御時(つまり、Tr=Tf)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0099】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0100】次に、第5実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略する。また、駆動力伝達制御
機構5E及び動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機
構54,55も、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6
Bと同軸に配置されている。
【0101】この四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置
にそなえられる駆動力伝達制御機構5Eでは、図14に
示すように、回転軸6A,6Bと並行に軸(カウンタシ
ャフト)51Cが設けられ、この軸51Cには、中径の
歯車51Bと大径の歯車51Dと小径の歯車51Eとが
そなえられ、一方の回転軸6Aには、中径の歯車51B
と噛合する中径の歯車51Aがそなえられ、他方の回転
軸6Bには、大径の歯車51Dと噛合する小径の歯車5
1Fと小径の歯車51Eと噛合する大径の歯車51Gと
が設けられる。
【0102】そして、回転軸6Bと小径の歯車51Fと
の間及び回転軸6Bと大径の歯車51Gとの間には、そ
れぞれ、油圧式の湿式多板クラッチ機構54,55が介
装されている。なお、多板クラッチ機構54,55を軸
51C上に設けてもよい。
【0103】このため、軸51Cは回転軸6Aと等速で
回転するが、回転軸6Bの小径の歯車51Fは、これら
の軸51Cや回転軸6Aよりも高速で回転し、回転軸6
Bの大径の歯車51Gは、これらの軸51Cや回転軸6
Aよりも低速で回転する。したがって、多板クラッチ機
構54を係合すると、回転軸6Bよりも高速の小径の歯
車51F側から回転軸6B側へトルクが伝達され、この
分だけ回転軸6A側へのトルクが減少する。また、多板
クラッチ機構55を係合すると、回転軸6B側から回転
軸6Bよりも低速の大径の歯車51G側へトルクが返送
され、この分だけ回転軸6A側へのトルクが増加する。
【0104】そして、多板クラッチ機構54,55が油
圧駆動式であるから、油圧の大きさを調整することで多
板クラッチ機構54,55の係合状態を制御でき、入力
部3Eから前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bへの
駆動力の送給量(つまりは駆動力の前後配分比)を適当
な精度で調整することができるようになっている。
【0105】また、2つの多板クラッチ機構54,55
が共に完全係合することのないように設定されており、
2つの多板クラッチ機構54,55のうち一方が完全係
合したら他方は滑りを生じるようになっている。
【0106】本発明の第5実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜4実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5E及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構54,55は、前輪側
回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されてい
るので、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制さ
れ、装置全体の大型化を招かないようにすることができ
るので、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由
度が大幅に向上する利点がある。
【0107】ここで、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置のクラッチ容量及びエネルギロスについて考察
する。まず、簡単のために、ギヤ51Dの歯数Z1 と、
ギヤ51Fの歯数Z2 と、ギヤ51Gの歯数Z3 と、ギ
ヤ51Eの歯数Z4 と、ギヤ51B及び51Aの歯数Z
5 との間に、下式が成立するものとする。 Z1 >Z2 ,Z3 >Z4 ギヤ比の設定は、Smax の条件
から、 (1−Smax )(Z1 /Z2 )=1+Smax ∴Z1 /Z2 =(1+Smax )/(1−Smax ) (1+Smax )(Z4 /Z3 )=1−Smax ∴Z4 /Z3 =(1−Smax )/(1+Smax ) ∴Z1 /Z2 =Z3 /Z4 =(1+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.30)
【0108】次に、ΔT(後輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、多板クラッ
チ機構54のカップリングC1を伝達状態とし、多板ク
ラッチ機構54のカップリングトルクをTc1とする
と、 Tr=(1/2)Ti+Tc1 Tf=(1/2)Ti−(Z1 /Z2 )Tc1 ・・・・(2.31) 式(2.30),(2.31)より、前後輪の駆動トル
クは、 ΔT=|Tr−Tf|=[2/(1−Smax )]Tc1 よって、 Tcf=[(1−Smax )/2]ΔT ・・・・(2.32) 多板クラッチ機構55のカップリングC2を伝達状態
とし、多板クラッチ機構55のカップリングトルクをT
c2とすると、 Tr=(1/2)Ti−Tc2 Tf=(1/2)Ti+(Z4 /Z3 )Tc2 ・・・・(2.33) よって、 Tc2=[(1+Smax )/2]ΔT ・・・・(2.34)
【0109】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE1′,ΔE2′を
求める。ここで、|S|<Smaxとすると、各カップリ
ング部C1,C2のスリップ速度比Sc1,Sc2は、 Sc1=(Z1 /Z2 )(1−S)−(1+S) =2(Smax −S)/(1−Smax ) ・・・・(2.35) Sc2=(Z4 /Z3 )(1−S)−(1+S) =2(Smax +S)/(1+Smax ) ・・・・(2.36) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE1′(=
dΔE1/dt)および ΔE2′(=dΔE2/dt)は、 ΔE1′=Tc1・Sc1・ωDC (kgfm/s ) =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.37) ΔE2′=Tc2・Sc2・ωDC (kgfm/s ) =(Smax +S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.38)
【0110】以上の結果から、この四輪駆動車用前後駆
動力配分調整装置は、クラッチ容量的には第1〜4実施
例のプラネタリギヤ式のものの半分で済み、エネルギロ
スΔE′は、第1〜4実施例の場合と等しくなり、この
場合に生じるエネルギロスΔE′は比較的少なくて済む
ことになる。また、クラッチサイズはプラネタリギヤ式
と同サイズのものが必要である。
【0111】なお、トルクの変化量についても、プラネ
タリギヤ式と同様であり、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。また、この装
置では、前後用でクラッチの必要容量が異なることに
なる。
【0112】また、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0113】次に、第6実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略する。また、駆動力伝達制御
機構5F及び動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機
構12も、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同
軸に配置されている。
【0114】この実施例では、図15に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力部3Eと、入力部3Eから入力された駆動力を出
力する前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bとが設け
られており、これらの回転軸6A,6Bと入力部3Eと
の間に四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置が介装され
ている。
【0115】そして、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置の駆動力伝達制御機構5Fは、次のような構成
により、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6Bとの差動
を許容しながら、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6B
とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できるように
なっている。
【0116】すなわち、前輪側回転軸6Aと入力部3E
との間及び後輪側回転軸6Bと入力部3Eとの間に、そ
れぞれ変速機構60と多板クラッチ機構12とが介装さ
れており、前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bの回
転速度が、変速機構60により減速されて変速機構の出
力部(駆動力伝達補助部材)としての中空軸11に出力
されるようになっている。
【0117】多板クラッチ機構12は、この中空軸11
と入力部3E側のデファレンシャルケース(以下、デフ
ケースと略す)3Aとの間に介装されており、この多板
クラッチ機構12を係合させることで、高速側のデフケ
ース3Aから低速側の中空軸11へ駆動力が送給される
ようになっている。これは、対向して配設されたクラッ
チ板における一般的な特性として、トルクの伝達が、速
度の速い方から遅い方へ行なわれるためである。
【0118】したがって、例えば、後輪側回転軸6Bと
入力部3Eとの間の多板クラッチ機構12が係合される
と、後輪側回転軸6Bへ配分される駆動力は、多板クラ
ッチ機構12を介して入力部3E側からの直接ルートで
増加されて、この分だけ、前輪側回転軸6Aへ配分され
る駆動力が増加する。
【0119】上述の変速機構60は、1つのプラネタリ
ギヤ機構で構成されており、後輪側回転軸6Bに設けら
れた変速機構60を例に説明すると次のようになる。す
なわち、後輪側回転軸6Bにはサンギヤ60Aが固着さ
れており、このサンギヤ60Aは、その外周においてプ
ラネタリギヤ(プラネタリピニオン)60Bに噛合して
いる。プラネタリギヤ60Bを枢支するピニオンシャフ
ト60Cは中空軸11に軸支され、中空軸11がプラネ
タリギヤ機構のキャリヤとして機能するようになってい
る。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動力伝達制御機
構5Fのケース等に回転しないように固定されたリング
ギヤ60Dに噛合している。
【0120】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、中空軸(つまり、変速機構60
の出力部)11は、後輪側回転軸6Bよりも低速で回転
する。したがって、変速機構60は、減速機構として機
能するようになっている。
【0121】このため、クラッチ板12Aの回転速度が
クラッチ板12Bよりも小さく、多板クラッチ機構12
を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のトル
クが、入力部3E側から後輪側回転軸6B側へ送給され
るようになっている。
【0122】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構60及び多板クラッチ機構12も、同様に構成さ
れており、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸
6Aにより多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて前輪側回転軸6A側の多板クラッ
チ機構12を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多
く配分したい場合には、その配分比に応じて後輪側回転
軸6B側の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0123】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力部3Eから
前輪側回転軸6A又は後輪側回転軸6Bへの駆動力の送
給量(つまりは駆動力の前後配分比)を適当な精度で調
整することができるようになっている。
【0124】なお、前後の多板クラッチ機構12が同時
に完全係合することのないように設定されており、前後
の多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他
方の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになって
いる。
【0125】本発明の第6実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜5実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5F及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構12は、前輪側回転軸
6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているの
で、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、
装置全体の大型化を招かないようにすることができるの
で、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が
大幅に向上する利点がある。
【0126】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0127】次に、第7実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここで
は、全体構成の説明を省略する。また、駆動力伝達制御
機構5G及び動力伝達手段としてのカップリング61
も、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配
置されている。
【0128】この実施例では、図16に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、入力部3Eと前輪側回
転軸6A及び後輪側回転軸6Bとが設けられており、前
輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6Bと入力部3Eとの間
に四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置が介装されてい
る。
【0129】そして、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置の駆動力伝達制御機構5Gは、第6実施例(図
15参照)と同様の変速機構60をそなえているが、こ
の変速機構60は入力部3E側に連結されており、入力
部3E側の回転を増速して回転軸6A,6Bの側に出力
するようになっている。
【0130】そして、第6実施例における多板クラッチ
機構12に代えて、例えば摩擦クラッチ等のカップリン
グ61が、変速機構60の出力部60Aと回転軸6A,
6Bとの間に介装されている。摩擦クラッチの場合に
は、トルク伝達方向が一方向のものを所要の方向(それ
ぞれのトルク伝達方向)向けて設置する。
【0131】変速機構60は、1つのプラネタリギヤ機
構で構成されており、後輪側回転軸6Bに設けられた変
速機構60を例に説明すると、カップリング61の一方
(入力側)にサンギヤ60Aが固着され、サンギヤ60
Aは、その外周においてプラネタリギヤ(プラネタリピ
ニオン)60Bに噛合している。そして、プラネタリギ
ヤ60Bを枢支するピニオンシャフト60Cはデフケー
ス3Aから延設されたキャリヤ60Eに軸支されてい
る。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動力伝達制御機
構5Gのケース等に回転しないように固定されたリング
ギヤ60Dに噛合している。
【0132】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、サンギヤ60A側(つまり、変
速機構60の出力部)は、中空軸11よりも高速で回転
する。したがって、変速機構60は、増速機構として機
能するようになっている。このため、カップリング61
を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のトル
クが、入力部3E側から後輪側回転軸6B側へ送給され
るようになっている。
【0133】一方、前輪側回転軸6Aにそなえられる変
速機構60及びカップリング61も同様に構成されてお
り、入力部3Eからの駆動トルクを前輪側回転軸6Aに
より多く配分したい場合には、その配分したい程度(配
分比)に応じて輪側回転軸6側のカップリング61
を適当に係合し、後輪側回転軸6Bにより多く配分した
い場合には、その配分比に応じて輪側回転軸6側の
カップリング61を適当に係合する。
【0134】このとき、カップリング61の係合状態を
制御することで、入力部3Eから前輪側回転軸6A又は
後輪側回転軸6Bへの駆動力の送給量(つまりは駆動力
の前後配分比)を適当な精度で調整することができるよ
うになっている。
【0135】なお、ここでも、前後のカップリング61
が同時に完全係合することのないように設定されてお
り、前後のカップリング61のうち一方が完全係合した
ら他方は滑りを生じるようになっている。
【0136】本発明の第7実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜6実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5G及び動力伝達手
段としてのカップリング61は、前輪側回転軸6A及び
後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているので、特に、
回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、装置全体の
大型化を招かないようにすることができるので、装置の
車両への搭載性が良好になり、設置自由度が大幅に向上
する利点がある。
【0137】なお、この実施例でも、動力伝達手段とし
て、摩擦クラッチの他に、多板クラッチ機構やVCUや
HCU等の他のカップリングを用いることもでき、これ
らの駆動系も、油圧駆動の他に、電磁力駆動等を用いる
ことも考えられる。
【0138】次に、第8実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
全体構成の説明を省略する。また、駆動力伝達制御機構
5H及び動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機構5
7も、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に
配置されている。
【0139】この実施例では、図17に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力部3Eと、入力部3Eから入力された駆動力を出
力する前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bとが設け
られており、回転軸6A,6Bと入力部3Eとの間に四
輪駆動車用前後駆動力配分調整装置が介装されている。
【0140】そして、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置の駆動力伝達制御機構5Hは、次のような構成
により、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6Bとの差動
を許容しながら、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6B
とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できるように
なっている。
【0141】すなわち、駆動力伝達制御機構5Hは、変
速機構53と油圧式の湿式多板クラッチ機構57とから
なり、後輪側回転軸6Bと入力部3Eとの間に介装され
ているが、このうち変速機構53は、回転速度を出力部
で増速して出力することと減速して出力することがで
き、増速して出力する状態(増速出力状態)と減速して
出力する状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構
59が付設されている。このため、変速機構53及び多
板クラッチ機構57は一方の出力軸側(ここでは、前輪
側回転軸6Aの側)にそれぞれ1つだけ設けられてい
る。
【0142】上述の変速機構53は、互いに直列に結合
された3組のプラネタリギヤ機構で構成されている。す
なわち、後輪側回転軸6Bの側には、大径のサンギヤ5
3Aと小径のサンギヤ53Eとがそなえられ、これらの
サンギヤ53A,53Eは、それぞれその外周において
プラネタリギヤ(プラネタリピニオン)53B,53D
に噛合している。
【0143】これらのプラネタリギヤ53B,53Dは
共通のキャリヤ(固定部)に軸支されたピニオンシャフ
ト53Cに一体回転するように装備されており、サンギ
ヤ53A,53Eの径の関係とは逆に、プラネタリギヤ
53Bは、プラネタリギヤ53Dよりも小径に設定され
ている。
【0144】さらに、このピニオンシャフト53Cに
は、もう1つのプラネタリギヤ53Fが一体回転するよ
うに装備され、このプラネタリギヤ53Fに、中空軸1
1に固着されているもう1つのサンギヤ53Gが噛合し
ている。なお、サンギヤ53Gの径はサンギヤ53Aの
径よりも小さく且つサンギヤ53Eの径よりも大きく設
定され、プラネタリギヤ53Fの径はプラネタリギヤ5
3Bの径よりも大きくプラネタリギヤ53Dの径よりも
小さく設定されている。
【0145】そして、サンギヤ53A,53Eと後輪側
回転軸6Bとの間に、切替機構59が設けられている。
この切替機構59は、電磁式アクチュエータ(ソレノイ
ド)59Aと、このアクチュエータ59Aで駆動される
スライドレバー59Bと、このスライドレバー59Bで
駆動される連結部材59Cと、後輪側回転軸6Bに設け
られたハブ59Dと、サンギヤ53Aの内周に設けられ
たハブ59Eと、サンギヤ53Eの内周に設けられたハ
ブ59Fとから構成される。なお、電磁式アクチュエー
タ59Aは、コントロールユニット18によって作動を
制御されるようになっている。
【0146】連結部材59Cは、その内周でハブ59D
とセレーション結合してこのハブ59Dと常時一体に回
転するようになっており、連結部材59Cの軸方向位置
に対応して、その内周でハブ59E又はハブ59Fとセ
レーション結合して一体に回転しうるようになってい
る。
【0147】つまり、連結部材59Cが、スライドレバ
ー59Bで後進状態(図17中、右方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ59Eとセレーション
結合してこのハブ59Eと一体に回転し、スライドレバ
ー59Bで前進状態(図17中、左方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ59Fとセレーション
結合してこのハブ59Fと一体に回転するようになって
いる。
【0148】したがって、連結部材59Cが後進状態の
ときには、後輪側回転軸6Bがハブ59D,連結部材5
9C,ハブ59Eを介してサンギヤ53Aと連結して、
後輪側回転軸6Bの回転は、サンギヤ53A,プラネタ
リギヤ53B,ピニオンシャフト53Cからプラネタリ
ギヤ53F,サンギヤ53Gを通じて中空軸11に出力
される。そして、サンギヤ53Gの径がサンギヤ53A
の径よりも小さく且つプラネタリギヤ53Fの径がプラ
ネタリギヤ53Bの径よりも大きいので、サンギヤ53
Gはサンギヤ53Aよりも高速で回転する。即ち、中空
軸11は後輪側回転軸6Bよりも高速で回転することに
なり、変速機構53は増速機構として機能するようにな
っている。
【0149】また、連結部材59Cが前進状態のときに
は、後輪側回転軸6Bがハブ59D,連結部材59C,
ハブ59Fを介してサンギヤ53Eと連結して、後輪側
回転軸6Bの回転は、サンギヤ53E,プラネタリギヤ
53D,ピニオンシャフト53Cからプラネタリギヤ5
3F,サンギヤ53Gを通じて中空軸11に出力され
る。そして、サンギヤ53Gの径がサンギヤ53Eの径
よりも大きく且つプラネタリギヤ53Fの径がプラネタ
リギヤ53Dの径よりも小さいので、サンギヤ53Gは
サンギヤ53Eよりも低速で回転する。即ち、中空軸1
1は後輪側回転軸6Bよりも低速で回転することにな
り、変速機構53は減速機構として機能するようになっ
ている。
【0150】そして、多板クラッチ機構57は、この中
空軸11と入力部3E側のデフケース3Aとの間に介装
されており、この多板クラッチ機構57を係合させるこ
とで、デフケース3Aと中空軸11との間で駆動力の授
受が行なわれるようになっている。
【0151】したがって、例えば、連結部材59Cを後
進状態とすると、変速機構53の出力部としての中空軸
11は後輪側回転軸6Bよりも高速で回転して、比較的
高速の中空軸11側からデフケース3A側へと駆動力が
返送され、この分だけ、後輪側回転軸6B側へ配分され
る駆動力が減少して、逆に、前輪側回転軸6A側へ配分
される駆動力は、この分だけ増加する。
【0152】また、例えば、連結部材59Cを前進状態
とすると、変速機構53の出力部としての中空軸11は
後輪側回転軸6Bよりも低速で回転して、比較的高速の
デフケース3A側から中空軸11側へと駆動力が返送さ
れ、この分だけ、後輪側回転軸6B側へ配分される駆動
力が増加して、逆に、前輪側回転軸6A側へ配分される
駆動力は、この分だけ減少する。
【0153】本発明の第8実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜7実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5H及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構57は、前輪側回転軸
6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているの
で、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、
装置全体の大型化を招かないようにすることができるの
で、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が
大幅に向上する利点がある。さらに、変速機構53及び
多板クラッチ機構57はそれぞれ1つだけ設ければよい
ので、スペース上やコスト上で有利になる。
【0154】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0155】次に、第9実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図1に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
全体構成の説明を省略する。また、駆動力伝達制御機構
5I及び動力伝達手段としての湿式多板クラッチ機構5
6も、前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に
配置されている。
【0156】この実施例では、図18に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力部3Eと、入力部3Eから入力された駆動力を出
力する前輪側回転軸6A及び後輪側回転軸6Bとが設け
られており、回転軸6A,6Bとの間に四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置が介装されている。
【0157】そして、この四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置の駆動力伝達制御機構5Iは、次のような構成
により、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6Bとの差動
を許容しながら、前輪側回転軸6Aと後輪側回転軸6B
とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できるように
なっている。
【0158】すなわち、前輪側回転軸6Aと後輪側回転
軸6Bとの間に、それぞれ変速機構52と油圧式の湿式
多板クラッチ機構56とが介装されており、この変速機
構52は、後輪側回転軸6Bの回転速度を増速して出力
することと減速して出力することができ、増速して出力
する状態(増速出力状態)と減速して出力する状態(減
速出力状態)とを切り替える切替機構58が付設されて
いる。このため、変速機構52及び多板クラッチ機構5
6はそれぞれ1つだけ設けられている。
【0159】上述の変速機構52は、前輪側回転軸6A
とこれと平行な軸(カウンタシャフト)52Cとの間に
それぞれ設けられた3組のギヤ機構で構成されている。
すなわち、カウンタシャフト52Cの側には、小径のギ
ヤ52Bと大径のギヤ52Eとがそなえられ、前輪側回
転軸6Aには、大径のギヤ52Aと小径のギヤ52Dと
がそなえられ、ギヤ52Bとギヤ52Aとが噛合し、ギ
ヤ52Eとギヤ52Dとが噛合している。ただし、ギヤ
52B,52Eは、カウンタシャフト52Cと切替機構
58を介して接続され、切替機構58の状態に応じて、
カウンタシャフト52Cに対して相対回転したり、一体
回転しうるようになっている。
【0160】さらに、カウンタシャフト52Cの前輪側
端部には中径のギヤ52Fがそなえられ、前輪側回転軸
6Aの側には中径のギヤ52Gがそなえられ、これらの
ギヤ52F,52Gが噛合している。そして、ギヤ52
Gと後輪側回転軸6Bとの間に多板クラッチ機構56が
介装されている。
【0161】また、上述の切替機構58は、電磁式アク
チュエータ(ソレノイド)58Aと、このアクチュエー
タ58Aで駆動されるスライドレバー58Bと、このス
ライドレバー58Bで駆動される連結部材58Cと、カ
ウンタシャフト52Cに設けられたハブ58Dと、ギヤ
52Bに結合されたハブ58Fと、ギヤ52Eに結合さ
れたハブ58Eとから構成される。なお、電磁式アクチ
ュエータ58Aは、コントロールユニット18によって
作動を制御されるようになっている。
【0162】連結部材58Cは、ハブ58Dとハブ58
Fとにセレーション結合してこのハブ58Dとハブ58
Fとを一体に回転する態位と、ハブ58Dとハブ58E
とにセレーション結合してこのハブ58Dとハブ58E
とを一体に回転する態位とをとりうるようになってい
る。
【0163】つまり、連結部材58Cが、スライドレバ
ー58Bで後進状態(図18中、左方に移動した状態)
に駆動されると、連結部材58Cを通じてハブ58Dと
ハブ58Fとが一体に回転するようになり、スライドレ
バー58Bで前進状態(図17中、右方に移動した状
態)に駆動されると、連結部材58Cを通じてハブ58
Dとハブ58Eとが一体に回転するようになっている。
【0164】したがって、連結部材58Cが後進状態の
ときには、後輪側回転軸6Bの回転が、ギヤ52A,5
2B,ハブ58D,連結部材58C,ハブ58Fを介し
てカウンタシャフト52Cに伝達され、さらに、ギヤ5
2E,52Gを介して多板クラッチ機構56に伝達され
るようになっている。このときには、ギヤ52A,52
B,52E,52Gの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ5
2Gは後輪側回転軸6Bよりも高速で回転する。つま
り、後輪側回転軸6Bの回転は増速されてギヤ52Gに
出力される。
【0165】また、連結部材58Cが前進状態のときに
は、後輪側回転軸6Bの回転が、ギヤ52D,52E,
ハブ58D,連結部材58C,ハブ58Eを介してカウ
ンタシャフト52Cに伝達され、さらに、ギヤ52E,
52Gを介して多板クラッチ機構56に伝達されるよう
になっている。このときには、ギヤ52D,52E,5
2E,52Gの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ52Gは
後輪側回転軸6Bよりも低速で回転する。つまり、後輪
側回転軸6Bの回転は減速されてギヤ52Gに出力され
る。
【0166】つまり、連結部材58Cが後進状態のとき
に多板クラッチ機構56を係合させると、増速されたギ
ヤ52Gの側のクラッチプレートの方が、後輪側回転軸
6Bの側のクラッチプレートよりも高速回転するので、
前輪側回転軸6A側から後輪側回転軸6B側にトルクが
伝達される。
【0167】また、連結部材58Cが前進状態のときに
多板クラッチ機構56を係合させると、減速されたギヤ
52Gの側のクラッチプレートの方が、後輪側回転軸6
Bの側のクラッチプレートよりも低速回転するので、後
輪側回転軸6B側から前輪側回転軸6A側にトルクが伝
達される。
【0168】本発明の第9実施例としての四輪駆動車用
前後駆動力配分調整装置は、上述のように構成されてい
るので、第1〜8実施例と同様に、ブレーキ等のエネル
ギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方
のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配
分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロス
を招来することなく、所望のトルク配分を得ることがで
きる。しかも、駆動力伝達制御機構5I及び動力伝達手
段としての湿式多板クラッチ機構56は、前輪側回転軸
6A及び後輪側回転軸6Bと同軸に配置されているの
で、特に、回転軸回りの径方向への大型化が抑制され、
装置全体の大型化を招かないようにすることができるの
で、装置の車両への搭載性が良好になり、設置自由度が
大幅に向上する利点がある。さらに、変速機構52及び
多板クラッチ機構56はそれぞれ1つだけ設ければよい
ので、スペース上やコスト上で有利になる。
【0169】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0170】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5にそ
れぞれ記載された本発明の四輪駆動車用前後駆動力配分
調整装置によれば、ブレーキ等のエネルギーロスを用い
てトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要
量を他方に転送することによりトルク配分が調整される
ため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来すること
なく、所望のトルク配分に自在に調整できるようにな
り、オーバステアやアンダステアをニュートラルステア
に制御するなどのステア特性の制御や、発進特性の改善
や、加減速時における走行性能の向上や、低μ路上の走
行性能の向上など、四輪駆動車の性能向上に大きく寄与
しうる利点がある。また、請求項1〜4にそれぞれ記載
された本発明の四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置に
よれば、駆動力伝達制御機構は、上記の両回転軸と同軸
に配置されているので、特に、回転軸回りの径方向への
大型化を抑制することができ、装置の構成を小型化しう
るようになり、車両への搭載性を良好にして、設置自由
度を大幅に向上させる利点がある。 また、請求項5に記
載された本発明の車両用左右駆動力調整装置によれば、
切替機構により、変速機構及び動力伝達手段をそれぞれ
1つだけ設けながら、前後間で回転速度の変速を増速及
び減速のいずれについても行なえるようになり、所望の
トルク配分への自在な調整を、低コストで装置設置にか
かるスペースも抑制しながら、行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す模
式的な構成図である。
【図2】本発明の第1実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図3】本発明の第1実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置のトルク伝達を説明する速度線図で
ある。
【図4】本発明の第1実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度
線図である。
【図5】本発明の第2実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図6】本発明の第2実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置のトルク伝達を説明する速度線図で
ある。
【図7】本発明の第2実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度
線図である。
【図8】本発明の第3実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図9】本発明の第3実施例としての四輪駆動車用前後
駆動力配分調整装置のトルク伝達を説明する速度線図で
ある。
【図10】本発明の第3実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置のトルク伝達の一例を説明する速
度線図である。
【図11】本発明の第4実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図であ
る。
【図12】本発明の第4実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置のトルク伝達を説明する速度線図
である。
【図13】本発明の第4実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置のトルク伝達の一例を説明する速
度線図である。
【図14】本発明の第5実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す
模式的な構成図である。
【図15】本発明の第6実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図であ
る。
【図16】本発明の第7実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置を示す模式的な要部構成図であ
る。
【図17】本発明の第8実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す
模式的な構成図である。
【図18】本発明の第9実施例としての四輪駆動車用前
後駆動力配分調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す
模式的な構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスミッション 3 差動機構としてのセンタディファレンシャル(セン
タデフ) 3A デファレンシャルケース(デフケース) 3B〜3D ピニオン 3E 入力部としてのギヤ 4 フロントデフ 5 センタデフ差動制限機構 6A 前輪側回転軸 6B 後輪側回転軸 7 ベベルギヤ機構 8 リヤデフ 5,5A〜5I 駆動力伝達制御機構 10 変速機構 10A 第1のサンギヤ 10B 第1のプラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 10D 第2のプラネタリギヤ 10C ピニオンシャフト 10F プラネタリキャリア 10E 第2のサンギヤ 11 駆動力伝達補助部材としての中空軸 12 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 12A,12B クラッチ板 15 左後輪 16 右後輪 17 クラッチ油圧制御バルブ 18 コントロールユニット 19 車輪速センサ 20 ハンドル角センサ 21 ヨーレイトセンサ 22 加速度センサ(又は加速度演算手段) 23 アキュムレータ 24 電動ポンプ 25 左前輪 26 右前輪 30,31,32 変速機構 30A,31A,32A 第1のサンギヤ 30B,31B,32B 第1のプラネタリギヤ(プラ
ネタリピニオン) 30D,31D,32D 第2のプラネタリギヤ 30C,31C,32C ピニオンシャフト 30F,31F,32F プラネタリキャリア 30E,31E,32E 第2のサンギヤ 41 駆動力伝達補助部材 42 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 42A,42B クラッチ板 51 軸(カウンタシャフト) 52,53 変速機構 52C 軸(カウンタシャフト) 52A,52B,52D,52E,52F,52G ギ
ヤ 53A,53E サンギヤ 53B,53D プラネタリギヤ(プラネタリピニオ
ン) 53C ピニオンシャフト 54,55,56,57 動力伝達手段としての湿式多
板クラッチ機構 58,59 切替機構 58A,59A 電磁式アクチュエータ(ソレノイド) 58B,59B スライドレバー 58C,59C 連結部材 58D,58F,58E,59D,59E,59F ハ
ブ 60 変速機構 60A サンギヤ 60B プラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 60C ピニオンシャフト 60D リングギヤ 61 摩擦クラッチ等のカップリング

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪側回転軸と、 後輪側回転軸と、 上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか一方
    の回転速度を変速して上記前輪側回転軸と上記後輪側回
    転軸とのいずれか他方に選択的に伝達すると共に上記の
    両回転軸と同軸に配置された駆動力伝達制御機構と、 を備えている ことを特徴とする、四輪駆動車用前後駆動
    力配分調整装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの動力が伝達される入力部と、 上記入力部の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側
    回転軸に分配する差動機構と、を備え、 上記駆動力伝達制御機構が、上記前輪側回転軸と上記後
    輪側回転軸とのいずれか一方の回転速度を変速して上記
    入力部に選択的に伝達することで間接的に上記前輪側回
    転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか他方に選択的に伝
    達するように構成されたことを特徴とする、請求項1記
    載の 四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの動力が伝達される入力部と、 上記入力部の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側
    回転軸に分配する差動機構と、を備え、 上記駆動力伝達制御機構が、上記入力部の回転速度を変
    速して上記前輪側回転軸と上記後輪側回転軸との少なく
    ともいずれか一方の回転軸に選択的に伝達するように構
    成されたことを特徴とする、請求項1記載の 四輪駆動車
    用前後駆動力配分調整装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの動力が伝達される入力部と、 上記入力部の動力を上記前輪側回転軸および上記後輪側
    回転軸に分配する差動機構と、を備え、 上記駆動力伝達制御機構が、上記前輪側回転軸と上記後
    輪側回転軸とのいずれか一方の回転速度を変速して上記
    前輪側回転軸と上記後輪側回転軸とのいずれか他方に選
    択的に伝達するように構成されたことを特徴とする、請
    求項1記載の四輪駆動車用前後駆動力配分調整装置。
  5. 【請求項5】 四輪駆動車における前輪側回転軸と後輪
    側回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される
    入力部と、上記の前後の回転軸間の差動を許容しつつ上
    記の入力部から入力された駆動力を上記の前後の各回転
    軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制
    御して上記の前後輪への駆動力配分を調整しうる駆動力
    伝達制御機構とをそなえ、 上記駆動力伝達制御機構が、上記の前後の各回転軸のう
    ちの一方の回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の
    回転速度を加速又は減速して出力しうる変速機構と、上
    記変速機構に付設されて該変速機構を加速側又は減速側
    に切り替えうる切替機構と、上記の前後の各回転軸のう
    ちの他方の回転軸側と上記変速機構の出力部側との間に
    介装されて係合時に上記の前後の各回転軸間で駆動力の
    伝達を行ないうる動力伝達手段とから構成されているこ
    とを特徴とする、四輪駆動車用前後駆動力配分調整装
    置。
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