JP2696550B2 - 整経機等の張力制御装置 - Google Patents
整経機等の張力制御装置Info
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- JP2696550B2 JP2696550B2 JP1022386A JP2238689A JP2696550B2 JP 2696550 B2 JP2696550 B2 JP 2696550B2 JP 1022386 A JP1022386 A JP 1022386A JP 2238689 A JP2238689 A JP 2238689A JP 2696550 B2 JP2696550 B2 JP 2696550B2
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- slip
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、繊維工業における整経機等において、テ
ンションローラ装置の異常状態、特にテンションローラ
と糸シートとのスリップを適確に検出することができる
整経機等の張力制御装置に関する。
ンションローラ装置の異常状態、特にテンションローラ
と糸シートとのスリップを適確に検出することができる
整経機等の張力制御装置に関する。
従来技術 整経機・糊付機等の準備機械(以下、整経機等とい
う)は、一般に、クリールKに装着する多数の給糸体Y
1、Y1…から糸Y、Y…を引き出し、これをテンション
ローラTR、TR上において合体して糸シートYSを形成し、
測長ローラMRを介して織機ビーム(荒巻ビームを含む、
以下同じ)WB上に巻き取るようになっている(第4
図)。ただし、糊付機においては、テンションローラT
R、TRと測長ローラMRとの間に図示しない糊付装置や乾
燥装置等を配設し、走行する糸シートYSに対し、連続的
に糊付け・乾燥処理を行なうことができる。
う)は、一般に、クリールKに装着する多数の給糸体Y
1、Y1…から糸Y、Y…を引き出し、これをテンション
ローラTR、TR上において合体して糸シートYSを形成し、
測長ローラMRを介して織機ビーム(荒巻ビームを含む、
以下同じ)WB上に巻き取るようになっている(第4
図)。ただし、糊付機においては、テンションローラT
R、TRと測長ローラMRとの間に図示しない糊付装置や乾
燥装置等を配設し、走行する糸シートYSに対し、連続的
に糊付け・乾燥処理を行なうことができる。
テンションローラTR、TRは、糸シートYSの走行経路を
屈曲させるとともに、摩擦により糸シートYSに所定の張
力を付与するものである。テンションローラTR、TRは、
図示しないギヤ機構を介して連結する同径の一対のロー
ラであり、糸シートYSの走行方向にのみ回転を許容する
一方向クラッチCLを介し、直流モータM1に連結されてい
る。直流モータM1は、張力設定器TS、張力制御器TCaと
ともに、テンションローラTR、TRに対して所定の保持ト
ルクTHを与えるためのトルク制御装置TCを形成してい
る。
屈曲させるとともに、摩擦により糸シートYSに所定の張
力を付与するものである。テンションローラTR、TRは、
図示しないギヤ機構を介して連結する同径の一対のロー
ラであり、糸シートYSの走行方向にのみ回転を許容する
一方向クラッチCLを介し、直流モータM1に連結されてい
る。直流モータM1は、張力設定器TS、張力制御器TCaと
ともに、テンションローラTR、TRに対して所定の保持ト
ルクTHを与えるためのトルク制御装置TCを形成してい
る。
織機ビームWBは、速度制御系SCを介して制御される別
の直流モータDCMによって駆動されている。速度制御系S
Cは、測長ローラMRに連結する速度発電機TGの出力をフ
ィードバックし、速度設定器SSの出力と突き合わせた
上、制御増幅器SAを介して直流モータDCMを速度制御す
るようになっている。
の直流モータDCMによって駆動されている。速度制御系S
Cは、測長ローラMRに連結する速度発電機TGの出力をフ
ィードバックし、速度設定器SSの出力と突き合わせた
上、制御増幅器SAを介して直流モータDCMを速度制御す
るようになっている。
テンションローラTR、TR、一方向クラッチCL、トルク
制御装置TCは、糸シートYSに所定の張力を付与するため
のテンションローラ装置を形成している。すなわち、糸
シートYSとテンションローラTR、TRとの間にスリップが
生じない限り、前者の走行速度VSと後者の周速VRとが
一致しており、しかも、後者には、直流モータM1の発生
トルクによって決まる保持トルクTHが作用している。
よって、保持トルクTHの方向をテンションローラTR、T
Rの回転方向と逆方向にとれば、テンションローラTR、T
Rから引き出される糸シートYSの張力は、保持トルクTH
に対応する所定量だけ増加する。また、保持トルクTH
の方向をテンションローラTR、TRの回転に一致させる
と、糸シートYSの張力は、保持トルクTHに対応して減
少する。したがって、張力設定器TSを介して保持トルク
THの方向と大きさとを調節すれば、糸シートYSの張力
を任意に設定することができる。
制御装置TCは、糸シートYSに所定の張力を付与するため
のテンションローラ装置を形成している。すなわち、糸
シートYSとテンションローラTR、TRとの間にスリップが
生じない限り、前者の走行速度VSと後者の周速VRとが
一致しており、しかも、後者には、直流モータM1の発生
トルクによって決まる保持トルクTHが作用している。
よって、保持トルクTHの方向をテンションローラTR、T
Rの回転方向と逆方向にとれば、テンションローラTR、T
Rから引き出される糸シートYSの張力は、保持トルクTH
に対応する所定量だけ増加する。また、保持トルクTH
の方向をテンションローラTR、TRの回転に一致させる
と、糸シートYSの張力は、保持トルクTHに対応して減
少する。したがって、張力設定器TSを介して保持トルク
THの方向と大きさとを調節すれば、糸シートYSの張力
を任意に設定することができる。
発明が解決しようとする課題 かかる従来技術によるときは、テンションローラと糸
シートとの間にスリップが生じない限り、糸シートに所
定の張力を付与することができるが、両者間にスリップ
が生じると、糸シートを形成する糸に致命的な損傷を与
えるおそれがある。すなわち、糸シートに所定の張力を
付与するためには、機械の低速運転中において、適当な
テンションメータによって糸シートの張力を測定しなが
ら張力設定器を調節し、所定の張力に定されたことを確
認して、機械を所定の定常運転速度に増速するのが一般
的である。このとき、糸シートがテンションローラに作
用する摩擦トルクTFと、テンションローラの保持トル
クTHとの大小関係がTF<THとなった場合に、糸シー
トとテンションローラとの間にスリップが生じ、これを
検出することができないまま定常運転に移行すると、大
量の糸を損傷させてしまう結果となる。
シートとの間にスリップが生じない限り、糸シートに所
定の張力を付与することができるが、両者間にスリップ
が生じると、糸シートを形成する糸に致命的な損傷を与
えるおそれがある。すなわち、糸シートに所定の張力を
付与するためには、機械の低速運転中において、適当な
テンションメータによって糸シートの張力を測定しなが
ら張力設定器を調節し、所定の張力に定されたことを確
認して、機械を所定の定常運転速度に増速するのが一般
的である。このとき、糸シートがテンションローラに作
用する摩擦トルクTFと、テンションローラの保持トル
クTHとの大小関係がTF<THとなった場合に、糸シー
トとテンションローラとの間にスリップが生じ、これを
検出することができないまま定常運転に移行すると、大
量の糸を損傷させてしまう結果となる。
なお、糸シートとテンションローラとの間のスリップ
は、定常運転中においても発生するので、そのときも糸
を損傷させる可能性がある。
は、定常運転中においても発生するので、そのときも糸
を損傷させる可能性がある。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に
鑑み、スリップ検出手段を設けることによって、テンシ
ョンローラと糸シートとの間に発生するスリップを適確
に検出し、糸の損失を最少に抑えることができる整経機
等の張力制御装置を提供することにある。
鑑み、スリップ検出手段を設けることによって、テンシ
ョンローラと糸シートとの間に発生するスリップを適確
に検出し、糸の損失を最少に抑えることができる整経機
等の張力制御装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、糸シ
ートが接触走行するテンションローラと、テンションロ
ーラに所定の保持トルクを与えるトルク制御装置とを備
えてなるテンションローラ装置に対し、テンションロー
ラと糸シートとの間のスリップを検出して異常信号を出
力するスリップ検出手段を設けることをその要旨とす
る。
ートが接触走行するテンションローラと、テンションロ
ーラに所定の保持トルクを与えるトルク制御装置とを備
えてなるテンションローラ装置に対し、テンションロー
ラと糸シートとの間のスリップを検出して異常信号を出
力するスリップ検出手段を設けることをその要旨とす
る。
なお、スリップ検出手段は、テンションローラの周速
と、テンションローラから引き出される糸シートの走行
速度との差、または糸シートの張力変動から、スリップ
を検出することができる。
と、テンションローラから引き出される糸シートの走行
速度との差、または糸シートの張力変動から、スリップ
を検出することができる。
作 用 かかる発明の構成によるときは、スリップ検出手段
は、糸シートとテンションローラとの間にスリップが発
生すると、これを検出して異常信号を出力することがで
き、そのまま機械を定常運転に移行して大量の糸を損傷
させてしまう事態を有効に防止することができる。異常
信号が発生したときは、糸シートとテンションローラと
の接触角を増大して摩擦トルクを大きくしたり、テンシ
ョンローラの保持トルクを減少させたりするなどの適切
な是正手段をとることができるからである。
は、糸シートとテンションローラとの間にスリップが発
生すると、これを検出して異常信号を出力することがで
き、そのまま機械を定常運転に移行して大量の糸を損傷
させてしまう事態を有効に防止することができる。異常
信号が発生したときは、糸シートとテンションローラと
の接触角を増大して摩擦トルクを大きくしたり、テンシ
ョンローラの保持トルクを減少させたりするなどの適切
な是正手段をとることができるからである。
なお、スリップ検出手段は、テンションローラの周速
と、テンションローラから引き出される糸シートの走行
速度との差を利用することによって、スリップの発生を
極めて精度よく検出することができる。スリップがない
とき、両者は正確に一致しており、スリップが発生する
と、両者の差が生じるからである。
と、テンションローラから引き出される糸シートの走行
速度との差を利用することによって、スリップの発生を
極めて精度よく検出することができる。スリップがない
とき、両者は正確に一致しており、スリップが発生する
と、両者の差が生じるからである。
また、スリップが発生すると、テンションローラの前
後における糸シートの張力が不安定となる傾向があるか
ら、スリップ検出手段は、糸シートの張力変動を検出す
ることによってもスリップを検出することができる。た
だし、ここでいう張力変動とは、適当な時間間隔ごとに
サンプルする糸シートの張力の時系列的な変動幅であ
る。
後における糸シートの張力が不安定となる傾向があるか
ら、スリップ検出手段は、糸シートの張力変動を検出す
ることによってもスリップを検出することができる。た
だし、ここでいう張力変動とは、適当な時間間隔ごとに
サンプルする糸シートの張力の時系列的な変動幅であ
る。
実施例 以下、図面を以って実施例を説明する。
整経機等の張力制御装置は、テンションローラTR、TR
とトルク制御装置TCとを備えるテンションローラ装置に
対し、スリップ検出手段10を付設してなる(第1図)。
とトルク制御装置TCとを備えるテンションローラ装置に
対し、スリップ検出手段10を付設してなる(第1図)。
整経機等は、第4図の従来例と全く同一の構成からな
るものとする。すなわち、図示しないクリールから引き
出される糸Y、Y…は、テンションローラTR、TRにおい
て合体されて糸シートYSを形成し、測長ローラMRを経
て、図示しない織機ビームに巻き取られている。テンシ
ョンローラTR、TRは、図示しないギヤ機構を介して連結
され、一方向クラッチCLを介し、トルク制御装置TCに含
まれる直流モータM1に連結されている。また、測長ロー
ラMRには、速度発電機TGが連結され、速度発電機TGの出
力は、速度制御系SCと、スリップ検出手段10の演算器11
とに分岐接続されている。ただし、トルク制御装置TC、
速度制御系SCは、それぞれ第4図に図示したとおりの構
成からなるものとする。
るものとする。すなわち、図示しないクリールから引き
出される糸Y、Y…は、テンションローラTR、TRにおい
て合体されて糸シートYSを形成し、測長ローラMRを経
て、図示しない織機ビームに巻き取られている。テンシ
ョンローラTR、TRは、図示しないギヤ機構を介して連結
され、一方向クラッチCLを介し、トルク制御装置TCに含
まれる直流モータM1に連結されている。また、測長ロー
ラMRには、速度発電機TGが連結され、速度発電機TGの出
力は、速度制御系SCと、スリップ検出手段10の演算器11
とに分岐接続されている。ただし、トルク制御装置TC、
速度制御系SCは、それぞれ第4図に図示したとおりの構
成からなるものとする。
スリップ検出手段10は、演算器11の他、設定器12、比
較器13、表示器14を備えている。
較器13、表示器14を備えている。
テンションローラTRには、別の速度発電機TG1が連結
され、速度発電機TG1の出力は、演算器11に入力されて
いる。演算器11の出力は、比較器13を介して表示器14に
接続されており、比較器13の別の出力は、異常信号S10
として外部に引き出されている。また、比較器13には設
定器12が付設されている。
され、速度発電機TG1の出力は、演算器11に入力されて
いる。演算器11の出力は、比較器13を介して表示器14に
接続されており、比較器13の別の出力は、異常信号S10
として外部に引き出されている。また、比較器13には設
定器12が付設されている。
速度発電機TG1、TGは、それぞれテンションローラT
R、TRの周速VR、テンションローラTR、TRはから引き出
される糸シートYSの走行速度VSを検出する。そこで、
演算器11は、両者の差ΔV=VS−VRを算出することが
できる。したがって、比較器13は、差ΔVと、設定器12
に設定される許容値ΔVoとを比較し、|ΔV|>ΔVoのと
き、異常信号S10を出力するとともに、表示器14にその
旨を表示することができる。
R、TRの周速VR、テンションローラTR、TRはから引き出
される糸シートYSの走行速度VSを検出する。そこで、
演算器11は、両者の差ΔV=VS−VRを算出することが
できる。したがって、比較器13は、差ΔVと、設定器12
に設定される許容値ΔVoとを比較し、|ΔV|>ΔVoのと
き、異常信号S10を出力するとともに、表示器14にその
旨を表示することができる。
一般に、テンションローラTR、TRと糸シートYSとの間
にスリップが生じていないときは、差ΔV=VS−VR=
0である。よって、トルク制御装置TC内の張力設定器TS
を調節して糸シートYSを張力を設定するとき、または、
機械の定常運転中において、異常信号S10が発生せず、
表示器14に何らの表示もなされないことにより、スリッ
プの発生がないことを確認することができる。異常信号
S10は、たとえば、機械が低速運転中のときはアラーム
表示に使用し、機械が定常運転速度に移行した後は、機
械の自動停止信号として使用することができる。
にスリップが生じていないときは、差ΔV=VS−VR=
0である。よって、トルク制御装置TC内の張力設定器TS
を調節して糸シートYSを張力を設定するとき、または、
機械の定常運転中において、異常信号S10が発生せず、
表示器14に何らの表示もなされないことにより、スリッ
プの発生がないことを確認することができる。異常信号
S10は、たとえば、機械が低速運転中のときはアラーム
表示に使用し、機械が定常運転速度に移行した後は、機
械の自動停止信号として使用することができる。
なお、設定器12に設定する許容値ΔVoは、たとえば糸
シートYSの走行速度VSの1%程度に定めるのがよい。
ただし、糸シートYSが特に伸長し易い糸Y、Y…からな
るとき、許容値ΔVoは、糸Y、Y…の伸びによる走行速
度VSの増加分を考慮し、これより適宜大きく設定して
もよい。
シートYSの走行速度VSの1%程度に定めるのがよい。
ただし、糸シートYSが特に伸長し易い糸Y、Y…からな
るとき、許容値ΔVoは、糸Y、Y…の伸びによる走行速
度VSの増加分を考慮し、これより適宜大きく設定して
もよい。
他の実施例 スリップ検出手段10は、記憶器15と、設定器12、比較
器13、表示器14とから形成することができる(第2
図)。ただし、記憶部15には、張力センサSKの出力が接
続されており、張力センサSKは、ガイドローラGRを介
し、テンションローラTR、TRから引き出される糸シート
YSの張力Sを検出するものとする。
器13、表示器14とから形成することができる(第2
図)。ただし、記憶部15には、張力センサSKの出力が接
続されており、張力センサSKは、ガイドローラGRを介
し、テンションローラTR、TRから引き出される糸シート
YSの張力Sを検出するものとする。
いま、記憶器15は、張力センサSKからの張力Sを適当
な時間間隔ごとにサンプルし、その前回サンプル時と今
回サンプル時とにおける張力Sの差ΔSを出力するもの
とすれば、差ΔSは、糸シートYSの時系列的な張力の変
動幅、すなわち張力変動を表わす。そこで、比較器13
は、張力変動ΔSと、設定器12に設定される許容値ΔSo
とを比較することにより、張力変動ΔSが許容値ΔSoを
超えたとき、異常信号S10を出力するとともに、表示器1
4にその旨を表示することができる。
な時間間隔ごとにサンプルし、その前回サンプル時と今
回サンプル時とにおける張力Sの差ΔSを出力するもの
とすれば、差ΔSは、糸シートYSの時系列的な張力の変
動幅、すなわち張力変動を表わす。そこで、比較器13
は、張力変動ΔSと、設定器12に設定される許容値ΔSo
とを比較することにより、張力変動ΔSが許容値ΔSoを
超えたとき、異常信号S10を出力するとともに、表示器1
4にその旨を表示することができる。
テンションローラTR、TRと糸シートYSとの間にスリッ
プが発生すると、張力Sは不安定となり、大きく変動す
る傾向があるから、糸シートYSの張力変動ΔSを検出す
ることにより、スリップの発生を検出することができ
る。
プが発生すると、張力Sは不安定となり、大きく変動す
る傾向があるから、糸シートYSの張力変動ΔSを検出す
ることにより、スリップの発生を検出することができ
る。
いま、1個のテンションローラTRに着目し、その入口
側と出口側とにおける糸シートYSの張力S1、S2を考える
と(第3図)、一般に、S2=S1+ΔS1であり、糸シート
YSとテンションローラTRとの間にスリップがなく、した
がって、前者の走行速度VSと後者の周速VRとがVS=
VRである限り、張力増加分ΔS1は、直流モータM1の発
生トルクに対応するテンションローラTRの保持トルクT
Hによって決まる。ただし、保持トルクTHの方向をテン
ションローラTRの回転方向と一致させるときはΔS1<0
であり、また、前者の方向を後者の方向と逆にするとき
はΔS1>0である。
側と出口側とにおける糸シートYSの張力S1、S2を考える
と(第3図)、一般に、S2=S1+ΔS1であり、糸シート
YSとテンションローラTRとの間にスリップがなく、した
がって、前者の走行速度VSと後者の周速VRとがVS=
VRである限り、張力増加分ΔS1は、直流モータM1の発
生トルクに対応するテンションローラTRの保持トルクT
Hによって決まる。ただし、保持トルクTHの方向をテン
ションローラTRの回転方向と一致させるときはΔS1<0
であり、また、前者の方向を後者の方向と逆にするとき
はΔS1>0である。
なお、テンションローラTRにおけるスリップは、糸シ
ートYSがテンションローラTRに作用する摩擦トルクTF
と保持トルクTHとの関係がTF<THとなった場合に発
生する。また、摩擦トルクTFは、テンションローラTR
の表面状態や、糸シートYSの物性の他、張力S1、S2、糸
シートYSとテンションローラTRとの接触角θによっても
大きく左右される。
ートYSがテンションローラTRに作用する摩擦トルクTF
と保持トルクTHとの関係がTF<THとなった場合に発
生する。また、摩擦トルクTFは、テンションローラTR
の表面状態や、糸シートYSの物性の他、張力S1、S2、糸
シートYSとテンションローラTRとの接触角θによっても
大きく左右される。
そこで、テンションローラTR、TRから引き出される糸
シートYSの張力をさほど重視せず、スリップによる糸の
損傷防止を第一義とする場合は、異常信号S10の出力に
より、積極的に摩擦トルクTFを増大し、または、保持
トルクTHを減少させ、あるいは、これらの双方を自動
的に実行することができる。摩擦トルクTFの増大は、
たとえばテンションローラTR、TRの相対位置を変更して
接触角θを増大させることにより実現することができ
る。具体的には、たとえば、アクチュエータを介してテ
ンションローラTR、TRの軸の両端を支持し、検出された
スリップの量に対応して接触角θを増大させる方向にア
クチュエータを動作させればよい。また、保持トルクT
Hの減少は、張力設定器TSの設定値を減少させて直流モ
ータM1の発生トルクを低下させることにより実現するこ
とができる。
シートYSの張力をさほど重視せず、スリップによる糸の
損傷防止を第一義とする場合は、異常信号S10の出力に
より、積極的に摩擦トルクTFを増大し、または、保持
トルクTHを減少させ、あるいは、これらの双方を自動
的に実行することができる。摩擦トルクTFの増大は、
たとえばテンションローラTR、TRの相対位置を変更して
接触角θを増大させることにより実現することができ
る。具体的には、たとえば、アクチュエータを介してテ
ンションローラTR、TRの軸の両端を支持し、検出された
スリップの量に対応して接触角θを増大させる方向にア
クチュエータを動作させればよい。また、保持トルクT
Hの減少は、張力設定器TSの設定値を減少させて直流モ
ータM1の発生トルクを低下させることにより実現するこ
とができる。
また、一般的に、糸Y、Y…をクリールから引き出す
場合には、機械の運転速度が増大するに従って糸Y、Y
…の解舒抵抗が増大し、テンションローラTRの入口側の
張力S1が大きくなる傾向があり、結果的に、摩擦トルク
TFが増大してスリップが発生し難くなる。したがっ
て、機械の運転速度、たとえば糸シートYSの走行速度V
Sによって張力設定器TSを可変制御し、保持トルクTHを
変更することにより、一層適確な制御を実現することが
できる。たとえば、機械の運転速度の上昇に従って糸シ
ートYSの走行方向の保持トルクTHを増大させ、また
は、糸シートYSの走行方向と逆方向の保持トルクTHを
減少させれば、入口側の張力S1の増大の影響を消去し
て、糸シートYSの一定張力巻取り制御を簡単に実現する
ことができる。また、機械の走行速度に比例して保持ト
ルクTHを増大させ、定常運転時に設定の保持トルクTH
になるようにするか、または、機械の低速運転時に保持
トルクTHを小さく設定しておき、定常運転になったと
きに設定の保持トルクTHに切り換えるようにすれば、
テンションローラTR、TRと糸シートYSとのスリップを未
然に防止することができる。
場合には、機械の運転速度が増大するに従って糸Y、Y
…の解舒抵抗が増大し、テンションローラTRの入口側の
張力S1が大きくなる傾向があり、結果的に、摩擦トルク
TFが増大してスリップが発生し難くなる。したがっ
て、機械の運転速度、たとえば糸シートYSの走行速度V
Sによって張力設定器TSを可変制御し、保持トルクTHを
変更することにより、一層適確な制御を実現することが
できる。たとえば、機械の運転速度の上昇に従って糸シ
ートYSの走行方向の保持トルクTHを増大させ、また
は、糸シートYSの走行方向と逆方向の保持トルクTHを
減少させれば、入口側の張力S1の増大の影響を消去し
て、糸シートYSの一定張力巻取り制御を簡単に実現する
ことができる。また、機械の走行速度に比例して保持ト
ルクTHを増大させ、定常運転時に設定の保持トルクTH
になるようにするか、または、機械の低速運転時に保持
トルクTHを小さく設定しておき、定常運転になったと
きに設定の保持トルクTHに切り換えるようにすれば、
テンションローラTR、TRと糸シートYSとのスリップを未
然に防止することができる。
発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、テンション
ローラと糸シートとのスリップを検出して異常信号を出
力するスリップ検出手段を設けることによって、糸シー
トとテンションローラとの間におけるスリップの発生を
適確に検出することができるから、スリップが生じるよ
うな誤った条件設定のまま機械を定常運転し、大量の糸
を損傷させてしまうような不測の事態の発生を有効に防
止することができ、糸の損失を最少に抑えることができ
るという優れた効果がある。
ローラと糸シートとのスリップを検出して異常信号を出
力するスリップ検出手段を設けることによって、糸シー
トとテンションローラとの間におけるスリップの発生を
適確に検出することができるから、スリップが生じるよ
うな誤った条件設定のまま機械を定常運転し、大量の糸
を損傷させてしまうような不測の事態の発生を有効に防
止することができ、糸の損失を最少に抑えることができ
るという優れた効果がある。
第1図は、実施例を示す要部構成説明図である。 第2図は、他の実施例を示す第1図相当図である。 第3図は、テンションローラの作動説明図である。 第4図は、従来例を示す全体構成説明図である。 YS……糸シート TR……テンションローラ TC……トルク制御装置 TH……保持トルク VR……周速 VS……走行速度 ΔV……差 ΔS……張力変動 S10……異常信号 10……スリップ検出手段
Claims (3)
- 【請求項1】糸シートが接触走行するテンションローラ
と、該テンションローラに所定の保持トルクを与えるト
ルク制御装置とを備えてなるテンションローラ装置に対
し、前記テンションローラと糸シートとのスリップを検
出して異常信号を出力するスリップ検出手段を設けるこ
とを特徴とする整経機等の張力制御装置。 - 【請求項2】前記スリップ検出手段は、前記テンション
ローラの周速と、前記テンションローラから引き出され
る糸シートの走行速度との差からスリップを検出するこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の整経機等の
張力制御装置。 - 【請求項3】前記スリップ検出手段は、糸シートの張力
変動からスリップを検出することを特徴とする特許請求
の範囲第1項記載の整経機等の張力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1022386A JP2696550B2 (ja) | 1989-01-31 | 1989-01-31 | 整経機等の張力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1022386A JP2696550B2 (ja) | 1989-01-31 | 1989-01-31 | 整経機等の張力制御装置 |
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