JP3700899B2 - リール制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスライン及び冷間圧延設備における鋼板の巻取りまたは巻戻しを行うリールの張力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロセスライン及び冷間圧延設備のリール制御は従来よりドライブ装置に対しトルク指令を与えトルク制御を行う方式がとられている。
図3に従来の張力制御方式を示す。同図において、1はリール、2はリール1を駆動する電動機、3はインバータ、4はベクトル制御ドライブ装置、6は電動機取り付け速度検出器、11はテンションロール、12はテンションロールの回転速度から板速度を検出する板速度検出器、13はコイル径演算器、14は関数発生器、15は張力設定器、16は慣性補償量、17はメカニカルロス補償量である。
この従来方式のリールのトルク制御においては、トルク電流指令(交流駆動の場合には2次電流指令、直流駆動の場合には主回路電流指令)と界磁指令を個別に与え制御を行う。トルク電流指令は張力設定器15に慣性補償量16、メカニカルロス補償量17を加算し、指令を生成する。一方、界磁指令はコイル径と比例した界磁電流指令を与えることにより、リール1の径が変化しても張力を一定に保つよう制御を行う。コイル径については、速度基準となるパルスジェネレータなどの板速度検出器12とリール駆動電動機取り付け速度検出器6の速度検出比により、コイル径演算器13による演算を行う。リール用電動機2の界磁指令はコイル径と比例した指令を演算する関数発生器14により生成される。
【0003】
次に電動機からのトルクリップル及び機械との共振により、リールの微小速度変動が発生し、結果として板の張力変動が発生した場合のリール張力制御方式について、図4に基づいて説明する。電動機2からのトルクリップル及び機械との共振により、リール1の速度が変動し張力変動に至った場合には、その速度変動を積極的に除去する必要がある。このため、図4に示す回路構成による速度制御により張力変動を押さえる。張力検出器10の張力フィードバックと張力設定値の偏差を張力制御器9を介してリール1の速度指令に加える。ドライブ装置4では、高速応答を有した速度制御を行いリールの制御を行う。この場合は、リール自身は速度制御が実行されるが外部の張力制御器9により、張力値は一定に保たれた制御となる。
一方、特開昭58−20327号公報には、テンションリール前段の圧延機の電動機駆動装置の検出トルクより圧延機の入側張力発生に要するトルクと圧延に要するトルクを取り除き、巻き取りに要しているトルクのみを抽出し、そのトルクより圧延機出側張力を演算し、張力制御回路を介してテンションリールを速度制御で制御し、板の張力を一定に保つ巻取機の速度制御方法が開示されている。
【0004】
さらに、特開平8−57536号公報には、テンションリール駆動のトルク検出値より、トップピンチロールとボトムピンチロールのトルク補正値を演算し、トップピンチロールとボトムピンチロールの速度を補正することにより張力を制御する巻取材の張力制御装置が開示されている。
また、図5に示すように、リール1の外径Dをリール1を駆動する電動機2に取り付けられた回転数検出器6と鋼板に対して滑らないロール11に取り付けられた回転数検出器12の二つの出力信号の比較により、リール1が1回転する毎にリール直径演算検出器13で演算検出し、乗算器26でリール1の外径Dと鋼板の張力設定値Tとの積を演算し、電動機トルク指令τとして可変速制御装置3に与える方法をとっていた。可変速度制御装置3では、リール直径演算検出器13で演算されたリール外径Dに基づいて磁束演算器24で演算された界磁指令φとトルク指令τとに基づいて電流指令を電動機2に出力する。図中27は張力入り信号をオンにするための電磁開閉器である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
トルク制御方式を採用した図3の制御方式の場合には、電動機からのトルクリツプル及び機械との共振により、速度変動が発生し板張力の変動に至った場合にはそれを除去することができない。また、図4に示した制御方式で張力検出器10によるフィードバックを行う場合には、張力検出器10を設置する必要があり、設備費が高価となる問題がある。
また、特開昭58−20327号公報に開示された巻取機の速度制御方法では、テンションリールの巻き取り張力を前段設備のトルクより演算しているため、自己完結形の制御ができず、トルク演算が複雑になるという問題がある。
さらに、特開平8−57536号公報に開示された巻取材の張力制御装置では、テンションリール駆動のトルク検出値より、トップピンチロールとボトムピンチロールのトルク補正値を演算し、トップピンチロールとボトムピンチロールの速度を補正することにより張力を制御し、またリールは電流制御が適用されているため、電動機からのトルクリップル及び機械との共振により速度変動が発生し、板張力の変動に至った場合にはそれを除去できないという問題がある。
【0006】
また、図5に示した従来技術ではリール外径演算値は1回転での平均値となるため、実際の外径とリール外径演算値との間に偏差がある場合の補償がなされておらず、張力変動発生の要因となっていた。この偏差はリールの芯が4〜6個のセグメントに分かれているために真円とならないことや、機械に偏芯が存在することにより発生する。この張力変動により鋼板にばたつきが発生したり、次工程のロールと鋼板にスリップが発生し鋼板に傷を付ける要因となることがあった。
そこで、本発明が解決しようとする第1の課題は、張力検出器を設置することなく自己完結形の制御により電動機からのトルクリップル及び機械との共振による張力変動を除去することである。
また、本発明の第2の課題は、張力制御にリアルタイムで用いるリール外径演算値と実際の外径との偏差による張力変動を補正することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決するための第1の手段は、プロセスラインや冷間圧延設備における鋼板の巻取りまたは巻戻しを行うリールの張力制御方法において、ドライブ制御装置からのトルクフィードバック値より張力実績値を演算し、フィルタを介して求めた張力フィードバック値と張力設定値との偏差を、張力制御器を介してリールの速度指令に加算し、その結果を速度指令として速度制御器により速度制御を行い、張力を一定に制御するものである。
上記手段により安価で、電動機からのトルクリップル及び機械との共振による張力変動を除去できる張力制御装置を提供できる。
上記第2の課題を解決するための第2の手段は、プロセスラインや冷間圧延設備における鋼板の巻取りまたは巻戻しを行うリールの張力制御方法において、リールの外径を高精度に検出するリール外径検出器と、リールの速度検出器と、鋼板の速度検出器を有し、前記リールの速度検出器及び鋼板の速度検出器の検出値により演算されたリール外径演算値と前記リール外径検出器測定値との外径偏差を記憶しておき、リールの角度基準でのトラッキングによりリールのトルク制御遅れを補正する時間分早く前記記憶しておいた外径偏差を出力し、その外径偏差とリール外径演算値及び張力設定値よりトルク指令を生成するものである。
上記手段により、リール外径演算値と実際のリール外径との偏差が補正されるので、リールへのトルク指令が実際のリール外径に合致したものとなり、リール張力変動が押さえられる。この補正は界磁制御の応答は遅いため、トルク指令に対して行う。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の手段の実施例を示すものである。図1において、1はリール、2はリール1を駆動する電動機、3はインバータ、4はベクトル制御ドライブ装置、5は速度制御器、6は電動機取り付け速度検出器、7は張力演算器、8はフィルタ、9は張力制御器である。
前記リール1を制御しているドライブ装置4より、トルク実績を入力する。このトルク実績は、交流電動機の場合は、べクトル制御の結果で2次電流と界磁電流の積で演算される値である。また、直流電動機制御の場合は、主回路電流値と界磁電流値の積で求められる値となる。
このトルク実績より張力演算器7にて張力値に変換を行う。張力演算式は下記の通りである。
張力={2(τ−τ’)/D}×定格トルク
ここで、τ;トルク実績(P.U.)
τ’;メカニカルロス・慣性補償(P.U.)
D:リールの外径
張力演算器7で演算された張力実績の結果にはリップル分を含むためローパスフィルタ8にて安定した張力実績の演算結果を生成する。張力設定と張力実績演算結果の偏差を張力制御器9を介してリール1の速度指令に加算し、リール用速度制御指令値を生成する。その速度指令値をドライブ装置4の速度指令として与え、電動機取り付け速度検出器6の速度フィードバック信号との偏差を演算し、速度制御器5により、リール駆動電動機2の速度制御を実施する。
【0009】
図2は本発明の第2の手段の実施例を示す機能ブロック図である。
ブロック13はリール1を駆動する電動機2に取り付けられた回転数検出器6と鋼板に対して滑らないロール11に取り付けられた回転数検出器12の二つの出力信号を入力し、リール1が1回転する毎にリール外径計算値Dを演算出力する。
ブロック22は回転数検出器6の検出信号とリール外径検出器21で検出されたリール外径検出値Drとリール外径計算値Dを入力し、Dとの偏差ΔD’をリールの角度に対応して記憶しておく。
ブロック23は前回のΔD’と回転検出器6の検出信号を入力し、リール角度基準でのトラッキングによりリール1の実際の角度とリール用可変速制御装置3での制御遅れ時間分を考慮した角度に対応した値ΔDとして取り出す。
トルク指令値τは張力設定値Tとリール外径補正演算部25で演算された(D+ΔD)/2との積として与えられる。ここで、ΔD×Tの項が補正項である。この補正項により従来発生していたリールの張力変動が補正される。
【0010】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明の第1の手段によれば、下記の効果を奏する。
(1)トルクフィードバックによる張力フィードバック値を演算し、リールの速度制御指令に加えてリールの速度指令を生成し、リールを速度制御で制御することにより、安価で電動機からのトルクリップル及び機械との共振による張力変動を除去できる。
(2)特開昭58−20327号公報に開示された方法に比べて、リール設備のみでトルクを演算でき、かつトルク演算が容易である。
(3)特開平8−57536号公報に開示された方法に比べて、電動機からのトルクリップル及び機械との共振による張力変動を除去することができる。
また、第2の手段によれば、リール外径演算値と実際の外径に偏差がある場合でもその偏差に応じて電動機トルクが補正されることにより、リールの張力変動が抑えられ、鋼板にばたつきが発生しなくなり、次工程のロールと鋼板とのスリップによる鋼板の傷がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【図3】 従来のトルク制御方式のリール制御装置を示すブロック図である。
【図4】 従来の張力検出値フードバック付のリール制御装置を示すブロック図である。
【図5】 従来のリール制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 リール、2 電動機、3 インバータ、4 ベクトル制御ドライブ装置、5速度制御器、6 電動機取り付け速度検出器、7 張力演算器、8 フィルタ、9 張力制御器、10 張力検出器、11 テンションロール、12 板速度検出器、13 コイル径演算器、14 関数発生器、15 張力設定器、16 慣性補償量、17 メカニカルロス補償量、21 リール外径検出器、22 ΔD’測定記憶部、23 ΔD演算部、24 磁束演算部、25 リール外径補正演算部、26 乗算器、27 電磁開閉器
Claims (2)
- プロセスラインや冷間圧延設備における鋼板の巻取りまたは巻戻しを行うリールの張力制御方法において、
ドライブ制御装置からのトルクフィードバック値より張力実績値を演算し、フィルタを介して求めた張力フィードバック値と張力設定値との偏差を、張力制御器を介してリールの速度指令に加算し、その結果を速度指令として速度制御器により速度制御を行い、張力を一定に制御することを特徴とするリール制御方法。 - プロセスラインや冷間圧延設備における鋼板の巻取りまたは巻戻しを行うリールの張力制御方法において、
リールの外径を高精度に検出するリール外径検出器と、リールの速度検出器と、鋼板の速度検出器を有し、
前記リールの速度検出器及び鋼板の速度検出器の検出値により演算されたリール外径演算値と前記リール外径検出器測定値との外径偏差を記憶しておき、リールの角度基準でのトラッキングによりリールのトルク制御遅れを補正する時間分早く前記記憶しておいた外径偏差を出力し、その外径偏差とリール外径演算値及び張力設定値よりトルク指令を生成することを特徴とするリール制御方法。
Priority Applications (1)
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JP35581497A JP3700899B2 (ja) | 1997-03-07 | 1997-12-24 | リール制御方法 |
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JP35581497A JP3700899B2 (ja) | 1997-03-07 | 1997-12-24 | リール制御方法 |
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JPH10305313A JPH10305313A (ja) | 1998-11-17 |
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1997
- 1997-12-24 JP JP35581497A patent/JP3700899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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