JP2686109B2 - 芯出し機構付き光学素子成形装置 - Google Patents

芯出し機構付き光学素子成形装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ガラス等素材を加熱軟化し、成形型により
光学素子を加圧成形する芯出し機構付き光学素子成形装
置に関する。
〔従来の技術〕
従来、ガラス素材を加熱軟化した後、ガラス素材を所
望の光学素子に加圧成形する一対の成形型の芯出し機構
を有する光学素子成形装置が、例えば特開昭61−21926
号公報及び昭和62年度精密工学会春季大会学術講演会論
文集の707頁に記載されている。
特開昭61−21926号公報のガラス成形装置は、上型を
保持し、先端部にテーパー形状の案内面を有する上型支
持体と、下型を保持し、先端部に上記案内面と嵌合する
テーパー形状の案内面を有する案内筒の内側に摺動自在
に嵌装された下型支持体とが設けられ、上型支持体の案
内面と案内筒の案内面とを嵌合することにより、上型と
下型の芯合わせを行うことができるように構成されてい
る。
一方、講演会論文集に記載された光学素子成形装置
は、金型を3本の支柱で支持し、2本の支柱に伸縮用の
電歪素子を組み込み、この電歪素子の伸縮により金型の
チルト調整を行なうことができるように構成されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、特開昭61−21926号の光学素子成形装
置にあっては、テーパー形状の案内面の嵌合して芯出し
を行っているため型温度が約500℃の高温となるガラス
光学素子を成形する場合、嵌合部位の劣化(酸化)が急
速に進み、芯出し精度を維持することが困難となるとと
もにゴミ等が飛散し、高精度,高品質な光学素子を成形
できなくなるという問題点があった。更に、嵌合部のテ
ーパ角度が深いと焼ばめ状態となる場合があり、逆にテ
ーパ角度が浅いと芯出し精度が悪化するという不具合が
あった。
一方、講演会論文集に記載された光学素子成形装置に
あっては、金型を支持する支柱の2本を上下方向に移動
させて金型を傾けることによりチルト調整を行っている
ため、チルト調整時に金型が水平方向にも移動し、高精
度な芯出しができないという問題点があった。更に、ア
クリル樹脂の加圧成形を対象としかつ非軸対称に構成さ
れているため、高温,高圧を要するガラス成形等にあっ
ては、剛性,熱変形の点で所望の精度を維持することが
困難であった。
本発明は、上記従来の光学素子成形装置の問題点に鑑
みなされたものであって、成形型のシフト方向(水平方
向)及びチルト調整を高精度に行うことができる熱的に
安定かつ高剛性な芯出し機構付き光学素子成形装置を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記問題点を解決するために、本発明の芯出し機構付
き光学素子成形装置は、金型の基端部に固着しかつ背面
を平面状に形成するとともにその背面中心部にマウント
軸を設けたマウントと、このマウントの平面状背面を摺
動自在に接触せしめかつマウント軸を間隙をもって挿通
した固定板またはスライド板と、マウント軸を貫通せし
めそのマウント軸を径方向に移動可能な移動ユニットと
からなるシフト機構を備えた金型と、金型の基端部に固
着しかつ背面を球面状に形成するとともにその背面中心
部にマウント軸を設けたマウントと、このマウントの球
面状背面を摺動自在に接触せしめかつマウント軸を間隙
をもって挿通した固定板またはスライド板と、マウント
軸を貫通せしめそのマウント軸を金型成形面中心を揺動
中心としてチルト機構を備えた金型とから構成し、一方
の金型のシフト調整と他の金型のチルト調整を同時に行
い得るものである。
〔実施例〕
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明す
る。
(第1実施例) 第1図から第3図は、本発明に係る芯出し機構付き光
学素子成形装置の第1実施例を示し、第1図は光学素子
成形装置を概略的に示す縦断面図、第2図及び第3図は
光学素子成形装置の要部を示す縦断面図,平面図であ
る。
本実施例の芯出し機構付き光学素子成形装置1は、対
向配置された一対の上型2,下型3と、上型2のシフト方
向(水平方向)の調整を行うシフト調整機構部4と、下
型3のチルト調整を行うチルト調整機構部5と、下型3
を上型2に対して接近,離反する方向(図において上下
方向)に移動するための下型駆動部6とより概略構成さ
れている。
上型2は、シフト調整機構部4の上型マウント7に固
着され、上型2には上型2の温度を測定するための熱電
対8と、図示を省略した温度コントローラにより上型2
を成形されるガラス素材9の転移点温度に加熱保持する
ための上型ヒーター10が設けられている。即ち、熱電対
8により測定された上型2の温度に応じて温度コントロ
ーラで上型ヒーター10の電流を制御し、上型2が所定の
温度に保持されるようになっている。
シフト調整機構部4は、基台13に立設した支柱14(互
いに平行に4本立設してある)の上端部に固着された固
定板15と固定板15の下面に当接かつ摺動自在に設けられ
た上記上型マウント7と固定板15の上面に摺動自在に設
けられた上押え板16と上押え板16及び上型マウント7を
介して上型2のシフト方向の移動を行う上型移動ユニッ
ト17とより構成されている。
上型マウント7には、固定板15との当接面側中央部に
上型軸(マウント軸)7aが突設され、上型軸7aは、固定
板15及び円形の上押え板16に貫設した孔15a,16aを貫通
して上押え板16上に突出されている。更に、上型軸7aの
突出部分にはネジ溝18が螺設され、ナット19が螺合され
ている。そして、ナット19と上押え板16間にコイルバネ
の如き弾性体20が装着され、ナット19の回動調整により
弾性体20の反力による上型マウント7と固定板15との圧
着力が調整され、この圧着力により上型マウント7は固
定板15と固定され、あるいは摺動可能に設けられてい
る。更に、上型マウント7と上押え板16とは相対的に回
軸しないように一体化されかつ軸方向に相対的に移動し
得るように、上押え板16の孔16a内で上押え板16と上型
軸7aとがキー21を介して連設されている。なお、上型マ
ウント7は、固着した上型2の温度が固定板15にほとん
ど伝達されないようにセラミックス等の断熱性の良い材
料にて形成されている。
固定板15に貫設された孔15aは、上型軸7aの径より大
径に形成され、上型軸7aが孔15a内で上型2の必要とす
るシフト量を移動し得るようになっている。
固定板15の上面には、上型移動ユニット17が設けら
れ、この上型移動ユニット17には、固定板15上面に突設
された輪帯状の溝15bに回動自在に嵌合されかつ所望の
位置で固定板15に固定自在な微調リング22が設けられて
いる。微調リング22上には、180度の位置に微調ネジ用
ホルダー23と測定用ホルダー24が配置固定されている。
微調ネジ用ホルダー23には、上押え板16の外周部をその
端部で押圧して上押え板16とともに上型2をシフト調整
したい方向に移動させる微調ネジ25が螺合され、測定用
ホルダー24には、上記シフト量を測定するスタイラス26
が設けられている。なお、図中27で示すのは、上型2を
シフトしたい方向に微調リング22を回動して微調ネジ25
(微調ネジ用ホルダー23)とスタイラス26(測定用ホル
ダー24)の位置設定した時の微調リング22を固定板15に
固定するための固定用ネジで、16bは固定用ネジ27の螺
着用のネジ穴、22aは固定用ネジ27挿通用の長孔であ
る。
下型3は、チルト調整機構部5の下型マウント29に固
着され、上記上型2と同様に、熱電対30と下型ヒーター
31が設けられて下型3を所定の温度に加熱制御し得るよ
うに構成されている。
チルト調整機構部5は、支柱14に上下動自在に保持さ
れたスライド板32と、スライド板32上面に当接かつ摺動
自在に設けられた上記上型マウント29と、スライト板32
の下面に摺動自在にもうけられた下押え板33と、下押え
板33及び下型マウント29を介して下型3のチルト調整を
行う下型移動ユニット34とより構成されている。
下型マウント29とスライド板32との摺動面29a,32aは
それぞれ下型3の成形面3aの中心Oを曲率中心とした球
面に形成され、下型3のチルト調整時に成形面3aの中心
が下型3の軸線とずれないように構成されている。
下型マウント29の摺動面29a中央部には下型動(マウ
ント軸)29bが突設され、下型軸29bは、スライド板32及
び円形の下押え板33に貫設した孔32b,33bを貫通して下
押え板33下方に突設されている。更に、下型軸29bの突
出部分にはネジ溝35が螺設され、ナット36が螺合されて
いる。そして、ナット36と下押え板33間にコイルバネの
如き弾性体37が装着され、ナット36の回動調整により弾
性体37の反力による下型マウント29とスライド板32との
圧着力が調整され、この圧着力により下型マウント29は
スライド板32と固定されあるいは摺動可能に設けられて
いる。なお、下型マウント29は、固着した下型3の温度
がスライド板32にほとんど伝達されないようにセラミッ
クス等の断熱性の良い材料にて形成されている。
また、スライド板32と下押え板33との摺動面32c,33c
は、それぞれ下型3の成形面3aの中心Oを曲率中心とし
た球面に形成されている。
スライド板32に貫設された孔32bは、下型軸29bの径よ
り大径に形成され、下型軸29bが孔32b内で下型3の必要
とするチルト量を傾斜し得るようになっている。
更に、スライド板32の下面には、下型移動ユニット34
が設けられている。この下型移動ユニット34は、上記上
型移動ユニット17と同一に構成されているので、同一部
材には同一番号を付してその説明を省略する。
下型駆動部6には、スライド板32下方で図示を省略し
た本体に固定されたエアシリンダ40が設けられ、エアシ
リンダ40の作動によりスライド板32とともに下型3を上
昇せしめ、上型2の協働によって上下型2,3間に配置さ
れたガラス素材9を所定圧力を加圧成形し得るように構
成されている。エアシリンダ40の昇降ロッド41の先端に
は成形加圧力を測定する圧縮引張り型のロードセル42が
設けられ、ロードセル42を介在させて昇降ロッド41に受
け板43が設けられている。そして、受け板43とスライド
板32は4本の支柱44を介して連結されている。
なお、図中、45,46で示すのは、固定板15,スライド板
32にそれぞれ取付けられ、その端部を互いに嵌合してN2
ガス雰囲気の成形室47を構成する石英製の外カバー,内
カバーで、外カバー45に形成したN2ガス供給口48を介し
て図示を省略したN2ガス供給装置により成形室47内にN2
ガスを供給し、上型2,下型3等の高温部分の酸化を防止
し得るように構成されている。
次に、上記構成からなる芯出し機構付き光学素子成形
装置の作用について説明する。
まず、上型2のシフト調整と下型3のチルト調整を行
う。
上型のシフト調整は、上型軸7aに螺着したナット19を
上方に回動移動させて弾性体20の反力を弱め、固定板15
と上型マウント7,上押え板17の圧着力を減少させる。次
に、微調リング22を回動させ、シフト調整を行う方向、
例えば成形型の有効径外に予め設けた罫書線と一致する
ように回動して微調ネジ25を配置し、固定用ネジ27を締
め付けて微調リング22を固定板15に固定する。そして、
微調ネジ25を回動して上押え板16を押すことにより上型
マウント7とともに上型2を固定板15に沿って移動させ
る。かかる移動量は、微調ネジ25と180度の対面に設置
されスタイラス26により測定し、このスタイラス26によ
り量を検出することができる。なお、固定板15と上型マ
ウント7,上押え板16の接触面は、すり合わせ加工が施さ
れ、どの方向にもスムーズに摺動可能になっており、上
型マウント7と固定板15の移動方向は、案内面等を設け
なくとも、微調ネジ25の押し出し方向と一致することが
実験的に確認されている。そして、微調ネジ25により所
定の方向に所定量上型2を移動してシフト調整が完了し
た後、ナット19を締め付け、固定板15と上型マウント7,
上押え板16との密着力を増加させ固定する。なお、下型
3のチルト調整はチルト調整機構部5によりシフト調整
機構部4と同様な手順により行うことができるので、そ
の説明を省略する。
次に、図示を省略した手段により加熱軟化したガラス
素材9を下型3に載置させ、直ちにエアシリンダ40を作
動させるとともに、昇降ロッド41を所定量だけ上昇,停
止させる。そして、昇降ロッド41の上昇にともない下型
3が上昇し、上型2とによりガラス素材9を押圧し、光
学素子を成形する。
なお、上記実施例の他の実施例として、上型2にチル
ト調整機構部5,下型3にシフト調整機構部4を設けて構
成することができる。
更に、第4図に示すように、上型2(下型3)の芯出
し調整中に弾性体20(37)の反力により上型マウント7
(下型マウント29)を摺動可能に保持し、調整後に、ナ
ット19に設けた固定ネジ50により上型マウント7(下型
マウント29)と固定板15(スライド板32)とを強固に固
定し得るように、下型マウント29(上型マウント7)の
軸29b(7a)を油圧シリンダ又は空圧シリンダ51と連結
されていることにより、下型マウント29(上型マウント
7)の固定及び芯出し調整時のマウント固定解除を自動
化することができる。
本発明によれば、金型のシフト調整が、シフト調整し
たい方向に微調リングを回動させスタイラスにより迅速
かつ的確に実施でき高精度の光学素子を成形し得る。ま
た、ヒーターに対して軸対称の構造に構成されているた
め加熱時にも偏った変形をせず、又、弾性体を介してマ
ウントが圧着されているため、加熱時の伸び量が違って
も、部分的な歪みが発生することが無い。
更に、金型上面の中心がチルト調整時の回転中心とな
っているため、チルト調整時に金型がシフト方向に位置
ズレを起こすことがない。更に、ヒーターとチルト,シ
フト調整機構部が離れているため、熱間(成形中)にチ
ルト,シフト調整することができる。
(第2実施例) 第6図は、本発明に係る芯出し機構付き光学素子成形
装置の第2実施例を示している。なお、本実施例の光学
素子成形装置は、上記第1実施例における調整機構部の
構成のみが異なり他の構成は同一であるので図示ととも
にその説明を省略する。
本実施例のシフト,チルト調整機構部は、上記第1実
施例の微調ネジ25に換えて、ピエゾ素子60により行うよ
うに構成されている。
即ち、ピエゾ素子60を複数個、上固定板61(スライド
板)に当接して設けるとともに、ピエゾ素子60に対向し
て移動量の測定子62を設けて構成されている。
本実施例にあっては、ピエゾ素子60に電流を流すこと
により上固定板61(スライド板)を介して上型,下型マ
ウントのシフト,チルト調整を行うもので、他の動作に
ついては上記第1実施例と同様であるので、その説明を
省略する。
本実施例によれば、上記第1実施例と同様な効果を奏
することができる。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、金型のシフト調整及
びチルト調整が摺動面当たりで調整できるので成形圧力
の影響を受けることなく成形できるとともに、チルト調
整時の回転中心が金型の成形面の中心としてあるので、
シフト方向に位置ずれを起こすことがなく、高精度な光
学素子を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図から第3図は、本発明に係る芯出し機構付き光学
素子成形装置の第1実施例を示し、第1図は光学素子成
形装置を概略的に示す縦断面図、第2図及び第3図は光
学素子成形装置の要部を示す縦断面図,平面図、第4図
及び第5図は他の実施例を示す縦断面図、第6図は、本
発明に係る芯出し機構付き光学素子成形装置の要部を示
す平面図である。 1……芯出し機構付き光学素子成形装置 2……上型 3……下型 4……シフト調整機構部 5……チルト調整機構部 7……上型マウント 7a……マウント軸 15……固定板 16……上押え板 17……上型移動ユニット 29……下型マウント 29b……マウント軸 32……スライド板 33……下押え板 34……下型移動ユニット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型の基端部に固着しかつ背面を平面状に
    形成するとともにその背面中心部にマウント軸を設けた
    マウントと、このマウントの平面状背面を摺動自在に接
    触せしめかつマウント軸を間隙をもって挿通した固定板
    またはスライド板と、マウント軸を貫通せしめそのマウ
    ント軸を径方向に移動可能な移動ユニットとからなるシ
    フト機構を備えた金型と、 金型の基端部に固着しかつ背面を球面状に形成するとと
    もにその背面中心部にマウント軸を設けたマウントと、
    このマウントの球面状背面を摺動自在に接触せしめかつ
    マウント軸を間隙をもって挿通した固定板またはスライ
    ド板と、マウント軸を貫通せしめそのマウント軸を金型
    成形面中心を揺動中心としてチルト機構を備えた金型と
    からなる芯出し機構付き光学素子成形置。
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