JP4395704B2 - 成形装置 - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形型ユニットの調整方法及び成形装置に関し、例えば光学素子などの成形用の成形型ユニットを精度良く調整できる成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形によって、例えば高精度な光学素子などの成形品を創成する成形装置において、素材を成形する複数の成形型について、偏心することなく互いに精度良く組み合わせて成形キャビティを構成することは、高精度な形状の成形品を得る上で極めて重要なことである。この成形型の偏心精度を小さくする手法として、成形キャビティを構成する型部品の機械加工精度などを向上することは常套的に行われており、従来から、この手法により成形品の高精度成形を実現することが試みられている。
【0003】
しかし、機械加工精度を向上させるにしても、通常は成形型部品の加工誤差を数μm以内に収めるのが限界であり、これに手作業による擦り合わせ等の手間がかかる労力や特殊な技能を費やしても、1μm程度の部品加工精度を達成するのが限界であった。なぜなら、成形型部品を組み込んで成形キャビティを構成したときに、互いの成形型の偏心精度が、その加工精度のバラツキに応じたシフト(光軸直交方向のズレ)やティルト(軸線の傾き)を発生し得るからである。特に、シフト偏心の場合は、共通の突き当て部品により複数の成形型部品を突き当てることで、前述したように時間と労力をかければ1μm程度まで抑えることが可能であるが、ティルト偏心では1分角以下の組み上げ精度を確保することは非常に難しかった。
【0004】
これに対し、以下の特許文献1においては、上型のマウントを球形状とし、ベースの受け面を球面として、かかるマウントを嵌め込み、クランプ部材を介してボルトで固定した構成が開示されている。かかる技術によれば、マウントを受け面に対して回転させることで、上型の下型に対するティルト調整を行うことができる。
【特許文献1】
特開平8−259245号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来技術によれば、ティルト調整後にマウントを保持するクランプ部材をボルトで締め上げると、複数のボルト間の不均一な力によってマウントが移動し、せっかく調整されたティルト角度が変わってしまうおそれがある。
【0006】
一方、部品精度を高くすることによってティルト精度を向上するのではなく、球面で受けられる成形型又はその保持部品を、成形時の押圧により自動調心する構造が、既に本発明者らによって提案されている(特願2001‐239010)。しかるに、押圧により成形型またはその保持部品が自動調心されるためには、球面受けでの摺動摩擦力を極めて小さくすることが望ましいが、当接したままの状態では摺動摩擦力を低減することは難しく、従って成形型部品同士のティルト偏心を高精度に達成することは困難であったといえる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、成形型ユニットを高精度に調整できる成形装置を提供することを目的とする。
【0052】
尚、本明細書中「変位」には、回転、シフトが含まれる。又、圧力伝達媒体とは、液体又は気体を指し、それぞれ水や油であっても良いし、空気やアルゴン等のガスであっても良く、その種類は問わない。ちなみに、ガスの場合は、空気や窒素ガスを使用すれば、安価で取り扱いも容易であるので好ましい。更に、前記球面部の表面は、球面の一部であって良く、例えば球面部自体がドーナツ状であっても良い。
本発明者は上述した問題点に鑑み、鋭意研究の結果、以下の事柄を見いだしたのである。すなわち、圧力伝達媒体を用いて前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを浮上(密着した状態から若干離隔する方向に移動した状態を示し、必ずしも完全に離隔している必要はない)支持することで、極めて小さな(或いはゼロの)球面摺動摩擦力を実現でき、それにより軽い力で、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させることができるため、例えば上型と下型との軸線を合わせるようなティルト調整も容易にでき、さらには前述した自動調心も、より高精度に実現できるのである。
さらに本発明者は、ティルト偏心を高精度に抑えるよう調整するには、次のような条件を満たすとよく、それにより押圧による自動調心よりもさらに偏心精度を向上させ得ることを見出した。それは、
[1] 設定した成形型ユニットのティルト量が成形において高精度に再現されること、
[2] ティルト量の設定を高精度に変更できること、の2点である。
つまり、ある任意のティルト量で最初に成形を行い、その成形品の形状を測定してそこに存在するティルト量を求め、そのティルト量を修正するのに必要な成形型ユニットのティルト修正量を高精度に設定し直すことができれば、ティルト量を低減できる。つまり、成形におけるティルト偏心について、(1)バラツキ誤差が充分小さければ、(2)高精度の調整機構により偏り誤差は補正できる、と言い換えることが出来る。
この手法によれば、成形の最初から高精度にティルト偏心を合わせこむ必要はなく、前述したような大変な労力や特殊な技能を駆使して高精度な型部品を製作する必要もなくなり、また、成形品から直接ティルト量を求めるので一連の工程が製品品位を向上させることに直接的に寄与するという、非常に優れた特徴を有するものである。
本発明者は、従来のように単に成形型ユニットの加工精度を高めたり、絶対的な基準を衝にした成形型ユニットの合わせ込み等を行わずに、異なる視点から、如何に高精度に[1]と[2]の条件を満たすティルト機構を実現できるかを鋭意研究することによって、本発明を成したのである。
【0053】
【課題を解決する手段】
請求項に記載の成形装置は、球面部を備えた成形型ユニットと、前記成形型ユニットの球面部を保持する球面形状の受け面を備えた型保持部材と、前記受け面と前記球面部の少なくとも一方からその他方に対して圧力伝達媒体を吐出する吐出手段とを有し、前記吐出された圧力伝達媒体により、前記受け面より前記球面部が離隔(両者を接近させる付勢力に対向する力を前記圧力媒体が発揮しているにもかかわらず両者がいまだ接している状態を含む)させる方向に力が付与されようになっており、前記成形型ユニットは、上型及び下型の少なくとも一方と、前記球面部を有する揺動部材と、被駆動部材とを有し、前記被駆動部材は、その内側に前記一方の型を嵌合させ且つその外側に前記揺動部材を嵌合させた円管状部材であり、前記一方の型と前記被駆動部材及び/又は前記被駆動部材と前記揺動部材は、60度以下のテーパ角でテーパ嵌合しているので、圧力伝達媒体を用いて前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを支持することで、極めて小さな(或いはゼロの)球面摺動摩擦力を実現でき、それにより軽い力で、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させることができるため、例えば一対の成形型ユニットの軸線を合わせるようなティルト調整も容易にでき、さらには前述した自動調心も、より高精度に実現できることが見出されたのである。
【0054】
請求項に記載の成形装置は、請求項に記載の発明において、前記成形型ユニットとともに移動する被駆動部材と、前記被駆動部材に対し、前記受け面の曲率中心に対してその曲率半径より外側で変位力を付与する付与部材とを有することを特徴とする。
前記受け面の曲率半径より内側において、前記成形型ユニットに変位力を付与することはもちろん可能である。しかしながら、前記受け面の曲率中心に対してその曲率半径より外側において、前記成形型ユニットに変位力を付与すれば、例えば調整部材を動かしながら前記成形型ユニットのティルト角を調整する際に、前記成形型ユニットに付与すべき変位力が少なくてすみ、またティルト角に対応する調整部材の移動量が大きく拡大されるので、容易に且つ高精度に成形型ユニットのティルト角度調整ができる。本発明によれば、このように簡素で確実な機構に相まって、吐出する圧力伝達媒体によって前記受け面と前記球面部との摩擦力を低減するので、前記成形型ユニットの滑らかな動きが実現できる。更に、前記受け面の曲率半径より内側において、前記成形型ユニットに変位力を付与する場合に比べると、例えば変位力を付与する調整部材が前記成形型ユニットから離れて位置するので熱の影響を受けにくく、調整を高精度に行える。また、成形時に大きなプレス力が付与されても、前記受け面の曲率半径より調整部材が外側にあれば、それに応じた小さな力でティルトが変動するのを抑えられるので、成形中も安定して成形型ユニットを保持でき、同一ティルト角度を維持できる。
従来技術によれば、例えば調整部材を微小送りする際にも、成形型ユニットと型保持部材との摩擦力が大きいためスティックスリップが発生して、前記成形型ユニットが全く動かなかったり、突然大きく動いたりして、微小な角度調整は困難であった。本発明は、前記成形型ユニットと前記型保持部材との間の摩擦力を低減し、調整を容易にしている。
例えば次世代の光情報記録再生装置である光ピックアップ装置においては、光源波長が405nmと短くしかもNA0.85という極めて高い集光力を有する対物レンズが必要とされている。このような対物レンズを上型と下型とによるプレス成形で創成する場合には、精度誤差に応じてその表裏光学面の偏心が生じうるが、かかる偏心は対物レンズの光学性能に大きな影響を与える。例えば、対物レンズにおける表裏光学面の偏心(シフトという)が0.5μmあると、そのレンズは15mλrms程度のコマ収差を発生してしまう。同様に、ティルトが15秒角あるとコマ収差が15mλrms程度発生する。このように、極めて敏感に偏心やティルトの影響を受ける成形レンズを高精度に且つ効率よく生産するためには、その成形装置が次の2条件を満たすと好ましい。
(a) 成形時における成形型ユニットの光学転写面のシフト、ティルトを、上述した値に維持できること。
(b) 成形型ユニットの光学転写面のシフト、ティルトを、上述した値以下で調整できること。
(a)の条件は、いわゆるバラツキ誤差が小さく精密な成形を実現するためのものであり、特にティルトが成形中に繰り返し再現するためには、成形型ユニットが熱による膨縮などが発生しない固定部材にしっかりと固定されていることが望ましい。(b)の条件については、成形装置に偏り誤差を正確に修正できる機能を持たせるものであり、例えば成形された光学素子の性能評価から求められる光学転写面の換算ティルトやシフト量に対して、成形型ユニットの光学転写面のティルトやシフトを補正するように調整することが望ましい。本発明によれば、以上の条件を満たすことが可能となる。
特に、成形時には圧力伝達媒体の吐出をやめることで、前記受け面の摩擦力を増して前記成形型ユニットを強固に固定することができる。かかる場合、プレス力によってティルト角度が変動しないようにするための前記受け面と前記球面部との間に作用させる押圧力は、スプリングや圧力伝達媒体による静圧力など、公知手法により容易に発生させることができる。
尚、圧力伝達媒体により型保持部材と成形型ユニットを離隔させることもできるが、完全に離隔させなくとも押圧力を低減させることで両者の界面に働く摩擦力を低減でき、ティルト調整力よりも摩擦力を小さくすることで、成形型ユニットの微小なティルト調整ができる。また、完全に離隔させなければ、離隔するときに発生するティルト角度の変動や、完全離隔状態から密着状態にするときに発生するティルト角度の揺らぎなどを抑制できる。
ここで、本発明においては、成形型ユニットとは、上型(或いは下型)単体であってもよく、上型(或いは下型)を固定し一体的に動きうる部材(後述する揺動部材等)がある場合、上型(或いは下型)とその部材とで構成してもよい。
【0055】
更に、前記成形型ユニットは、上型及び下型の少なくとも一方と、前記球面部を有する揺動部材と、前記被駆動部材とを有し、前記被駆動部材は、その内側に前記一方の型を嵌合させ且つその外側に前記揺動部材を嵌合させた円管状部材であり、前記一方の型と前記被駆動部材及び/又は前記被駆動部材と前記揺動部材は、60度以下のテーパ角でテーパ嵌合していることを特徴とするので、前記一方の型を前記被駆動部材にガタつきなくしっかり取り付けることができ、及び/又は前記被駆動部材を前記揺動部材にガタつきなくしっかり取り付けることができる。尚、前記被駆動部材は、前記揺動部材から、前記一方の型の軸線方向(例えば垂直方向)に沿って延在していても良いし、前記一方の型の軸線方向に交差する方向(例えば水平方向)に沿って延在していても良い。
【0056】
請求項に記載の成形装置は、請求項に記載の発明において、前記付与部材はマイクロメータであることを特徴とするので、より高精度な調整が可能である。
【0057】
請求項に記載の成形装置は、請求項2又は3に記載の発明において、前記付与部材と前記被駆動部材との間の変位力の伝達は、平行弾性バネを介して行われることを特徴とするので、位置方向の変位が他方向の変位に伝達されないので、より高精度な調整を容易に行える。
【0058】
請求項に記載の成形装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記受け面の曲率中心が、前記成形型ユニットの成形面上もしくはその近傍に位置しており、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させた後、前記受け面に着地したときに、前記型保持部材に対する前記成形型ユニットの回転角1度当たりの、前記成形型ユニットの中心軸に直交する方向における前記成形面の変位量が100μm以下となることを特徴とする。特に、特許文献1のようなティルト(角度)調整機構では、ティルトを調整するとシフトが同時に発生してしまうため、シフトも調整しなおさなげればならないという、極めて煩雑で再現性の乏しい角度調整を行わなければならなかった。
これに対し本発明では、前記成形型ユニットの球面部を、その外周面と略同一の曲率半径を有すると好ましい球面形状の受け面により接触保持する前記型保持部材を設けている。この保持態様を「球面受け」と称する。かかる球面受けによれば、摺動摩擦を無視する限り、前記受け面の曲率中心周りに前記成形型ユニットを回転調整できることとなる。特に、前記受け面の曲率中心が、前記成形型ユニットの成形面上もしくはその近傍に位置する構成となっていれば、かかる球面受けに沿って、前記成形型ユニットを前記型保持部材に対して回転変位させることで、その傾角を調整した際に、それに伴い成形面中心のシフト偏心が殆ど生じない(100μm以下)ので、シフト偏心とは独立して、ティルト偏心を高精度に調整可能となる。ここでティルト偏心とは、前記成形型ユニットの成形面の本来あるべき成形品に対する傾き角(傾角)を指し、その成形面の基準点周りの回転のみによって表される偏心量を意味する。例えば前記成形型ユニットから成形される成形品が光学素子であり、成形面が光学転写面を含む場合は、成形面基準点を光学転写面の中心としたり、光軸上の点としたりできる。
いずれにしても、ティルト偏心だけでは基準点の平行移動(シフト)は発生しない。また、ここでいうシフト偏心は、前述基準点の平行移動によるズレを指し、特に成形品が光学素子の場合は、光軸上の点を基準点とした場合、光軸に対して直交方向の平行移動(横ズレ)をシフト偏心と呼ぶ。ティルト偏心とシフト偏心の組み合わせにより、任意の偏心を表現できる。
この偏心の定義からもわかる通り、球面受けを構成する前記型保持部材の受け面の曲率中心を、前記成形型ユニットの成形面の基準点に一致もしくは充分近くなるように成形型ユニットを配置すると、前述したようにティルト調整により、球面受けに沿って成形型ユニットを摺動させても、それに伴うシフト偏心はほとんど生じないか、生じても非常に小さく抑えることができる。
例えば、前記受け面の曲率中心が前記成形型ユニットの成形面中心から1mmずれていたとしても、角度調整を1分角行ったときに光学面が振られて発生するシフト量は0.3μmであり、前述したような高精度な対物レンズであってもほぼ無視できる値である。すなわち、前記受け面の曲率中心が前記成形型ユニットの成形面中心になくても、その近傍に存在すればよいのである。本発明のティルト調整方法では、極めて高精度かつ再現性よくティルトを調整できるので、決められた方向に3分角程度ティルトを行うことによって、成形レンズに発生したコマ収差から、球面受けの曲率中心と光学転写面中心の離れ量dを割り出すことができる。ひとたびこの離れ量dを割り出すと、ティルト調整角度θに伴い発生するシフト量Δが以下の式(1)により事前に正確に求められるので、ティルト調整を行うと同時に発生するシフトも調整してしまい、極めて効率の良い成形型ユニットの偏心調整作業が実現できる。
d=Δ/tanθ・・・(1)
上述の(a)や(b)の条件を満たす精密な成形型ユニットのシフト調整については、本発明者により既に特開平2001−341134、特願2002−055241などで明らかにされている技術を使用すれば、容易に実現できる。このように、従来技術では達成不能な高精度且つ容易な成形型ユニットの偏心調整が、本発明によって実現でき、高精度な成形レンズを高効率に生産することができる。
【0059】
請求項に記載の成形装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットは静圧により支持されることを特徴とする。例えば非接触状態で、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを支持できるため、ティルト調整に必要な力は小さくて済む。尚、前記型保持部材に対して、前記成形型ユニットは完全に非接触状態に維持されなくても、その間に働く摩擦力が、ティルト調整する力にうち勝てば足りる。
前記型保持部材と前記成形型ユニットの少なくとも一方より、その他方に向かって圧力伝達媒体を吐出させた際に、そこに隙間が生じその隙間が100μm以下の場合は、押圧力と前記成形型ユニットと前記型保持部材の隙間内にある圧力伝達媒体の圧力とが釣りあって、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットが浮上し静止して安定する状態が得られる。このとき、隙間内の圧力伝達媒体の流れは層流となっており、つまり静圧により前記成形型ユニットが型保持部材に対して浮上支持された状態となっている。この状態は、圧力伝達媒体の供給圧力が極めて効率よく前記成形型ユニットを浮上支持する力に変換されているので、圧力伝達媒体の消費量が少なくてすみ、振動などを発生せず、浮上しているので摩擦はほとんどゼロとなり、微小な角度調整を行うには容易である。従って、低コスト、高精度に成形型ユニットのティルト調整が実現できる。
あまり隙間が大きく前記成形型ユニットの浮上量が大きいと、ティルト角度調整後に、前記成形型ユニットが前記型保持部材に着座する際に前記成形型ユニットがわずかに転動したりして、調整したティルト角度が変動してしまうなどのおそれがある。また、圧力伝達媒体を供給して浮上させる際にも、設定されているティルト角度が変動する可能性があるので、隙間は小さい方が良い。隙間量が例え1μmと非常に小さくても、ティルト調整における浮上効果は変わらないからである。
【0060】
請求項に記載の成形装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記型保持部材の受け面又は前記成形型ユニットの球面部の立体角がπ/5以上3π以下であることを特徴とする。球面受けは、前記型保持部材の受け面の曲率半径を大きくするか、前記受け面の立体角を、例えばπ/5以上と大きく取ることにより、前記成形型ユニットもしくは前記型保持部材を受ける面積を大きくすることが容易なため、前記成形型ユニットが成形時に成形材料や相手部品から射出力やプレス力を受ける場合でも、充分面圧を小さくして受けることができるので、機械構造としての信頼性を高くできる。つまり、前述した(a)の要件を、機械的に接触した状態の球面受けは満たすことができる。尚、前記受け面の立体角が3π以下であれば、前記成形型ユニットとの組み合わせの自由度を確保できる。
更に、(b)の要件として、高精度にティルト偏心を調整するためには、(i)球面受けがティルト調整に際してバックラッシュやスティックスリップ等を発生せずに極めて滑らかに摺動することが必要であり、又(ii)高精度の微小回転角調整機構が必要である。本発明者は、この(i)の条件を満たすために、球面受けを静圧により非接触で摺動させることを思い立った。球面受けの凸側を構成する前記成形型ユニットの球面部からでも良いし、凹側を構成する前記型保持部材の受け面からでも良いが、圧力伝達媒体を供給し、前記球面部と前記受け面との間に吐出することで圧力伝達媒体による静圧で、その間に隙間を生じさせることができる。
このとき、前記成形型ユニットには、前記型保持部材に向かって付勢するバネが設けられていると好ましく、圧力伝達媒体から付与される力が、前記バネの付勢力にうち勝って前記受け面より前記成形型ユニットを浮上(離隔)させれば、非接触であるから摩擦量を生ずることなく、前記成形型ユニットを前記型保持部材に対して容易に回転変位させティルト調整を行うことができる。尚、前記型保持部材に対して、前記成形型ユニットは完全に浮上して非接触状態に維持されなくても、その間に働く摩擦力が、ティルト調整力にうち勝てば足りる。
成形時のプレス力に抗して、前記成形型ユニットを高い剛性で固定保持するには、前記受け面は大きいほうが好ましい。その方が、プレス力を大面積で支えることにより、前記受け面の弾性変形を小さくし、摩擦力を大きくできるので、前記成形型ユニットを安定して保持でき、その結果、高精度の光学素子などを成形することができる。また、ティルト角度調整の際に押圧力に抗する力は、圧力伝達媒体の供結圧力とそれを受ける面積の積で決まるから、前記受け面の面積が大きいということは、より少ない供給圧力で支持できることになり、また、局部的な吐出圧力の偏りも大面積で平均化されるので、安定した摩擦力の低減が図れる。
具体的にどれくらいの面積が妥当か考察すると、前記球面部側が球より大きな立体角では前記受け面に嵌合不能となるので、最大でも立体角4π以下となり、光学素子を成形物とするとその大きさから曲率半径も50〜100mm程度となる。そこで、球面受けの曲率中心が前記成形型ユニットの光学転写面などの成形面中心に位置させることを考えると、前記成形型ユニットの余裕を取って最大で立体角3π程度であると好ましい。また最小角度を考察するに、成形時のプレス力が最大1000Nとして、その力を球面受けで圧力10N/cm 2 以下で受けようとすると、立体角でπ/5程度以上であることが望ましいこととなる。
【0061】
請求項に記載の成形装置は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明において、前記受け面と前記球面部の少なくとも一方より、その他方に向かって第1の圧力で圧力伝達媒体を吐出させ、その後、前記型保持部材の受け面と前記成形型ユニットの球面部の前記少なくとも一方から吐出される圧力伝達媒体の圧力を第2の圧力に変更する圧力調整手段を有することを特徴とする。
【0062】
請求項に記載の成形装置は、請求項に記載の発明において、圧力伝達媒体の圧力を第2の圧力に変更することにより、前記型保持部材の受け面に前記成形型ユニットの球面部を当接させることを特徴とする。上述したようにしてティルト調整後に、圧力伝達媒体の圧力を例えば低めるように(所定の圧力になるように)変化させれば、例えばバネの付勢力に従い、自動的に前記成形型ユニットが前記型保持部材に密着し保持されることとなる。前記成形型ユニットを浮上させるための圧力伝達媒体の供給圧力は、一般的な静圧スライダ等の場合と異なり剛性は必要としないので、0.1気圧から2気圧程度の比較的低い圧力で良い。また、前記球面部と前記受け面との隙間は小さい方が、圧力伝達媒体の圧力を下げて機械接触を発生させて前記成形型ユニットを前記型保持部材に着地させたときの曲率中心位置の差(=最大隙間)が小さくなり、また接触と非接触の過渡的な動きにおけるティルト偏心の変動も少なくなるので好ましい。
ティルト調整に必要な前記球面部と前記受け面との隙間としては、それらの面の表面粗さと同等のほとんど浮上していない状態でかつ球面受けに接触圧がほとんどかからない状態(一般的には10〜50nm程度)から10μm程度の間が理想的である。このようにして、非接触変位が可能な状態にして、例えば回転角調整機構によりティルト量を調整し、その後、圧力伝達媒体の圧力を低下させて前記成形型ユニットを前記型保持部材に着地させることができる。
【0063】
請求項10に記載の成形装置は、請求項に記載の発明において、前記第2の圧力とは、大気圧以下の圧力であることを特徴とする。圧力伝達媒体の供給圧力は、前述成形型ユニットを付勢するバネが設けられている場合、その付勢力に抗しえなくなるまで低減させることとなるが、前記球面部と前記受け面との密着性を向上させるために負圧としても良い。すなわち、ティルト調整後に圧力伝達媒体の供給通路内を真空引きして、前記球面部と前記受け面との間にバネの力だけでなく大気圧に基づく力を作用させ、より大きな力で前記成形型ユニットを前記型保持部材に向かって固定保持することができる。尚、前記成形型ユニットを付勢するバネは、必ずしも一般的なスプリング形状である必要はない。その種類は問わず、機能として圧力伝達媒体を供給しないときに前記成形型ユニットを前記型保持部材に向かって付勢することができ、且つ圧力伝達媒体を供給したときは、前記型保持部材から前記成形型ユニットが浮上することを許容して適切な隙間を形成して静圧分布を安定させる部材であれば何でも良い。
ちなみに、前記受け面の曲率半径を80mmとし、前記受け面の立体角をπとすると、その受け面面積は約200cm 2 となり、圧力伝達媒体の供給圧力を1気圧として、平均実効静圧が半分としても1000Nという浮上力が発生する。従って、後述するように機械部品による一般的に剛性の高い押さえ部材でも、球面受けからの大きな浮上力に対してμmオーダーのたわみを生じさせる弾性変形可能な部品であれば、他の機能と兼ねてバネとして用いることが出来る。
【0064】
請求項11に記載の成形装置は、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明において、前記吐出手段は、前記少なくとも一方に配置された多孔質材料を有することを特徴とする。オリフィス絞り等のごとく、機械加工により形成した吐出口から圧力伝達媒体を吐出させることによって球面受けの静圧を均一化させることもできるが、多孔質材料を吐出面に用いることができる。かかる場合、多孔質材料に特有な微細連続気孔を介して圧力伝達媒体を吐出させることで、全面にわたって均一な静圧を確保することが出来る。この手法によれば、球面上に表面絞りなどの精密加工を必要とせず、またオリフィス絞りなども不要のため、より低いコストで球面受けを実現できる。多孔質材料としては、セラミックやグラファイト等がある。
【0065】
請求項12に記載の成形装置は、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明において、前記吐出手段は、前記型保持部材と前記成形型ユニットの少なくとも一方に形成された表面絞り又はオリフィス絞りを有することを特徴とする。多孔質材料を設ける代わりに、球面受けを構成する前記型保持部材の受け面には、全面に均一な静圧が働くように表面絞りを設けても良く、また圧力伝達媒体の吐出口にはオリフィス絞りや毛細管絞りなどを設けても良い。これらにより、前記球面部と前記受け面との隙間内の静圧が均一分布化されるので支持剛性を高めることができ、また隙間量を軸対称性の良い状態に保てるので、前記成形型ユニットを安定して浮上させることができる。そのため、浮上に伴うティルトの発生やティルト調整時の非線形な回転摺動等を避けることができ、結果としてティルト調整精度を高めることができる。
【0066】
請求項13に記載の成形装置は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、前記吐出手段は、前記成形型ユニットの前記球面部以外の面から、又は前記面に対して、圧力伝達媒体を吐出することで、前記成形型ユニットの球面部を前記型保持部材の受け面に向かって付勢することを特徴とする。これにより前記成形型ユニットを前記型保持部材に確実に取り付けることができる。
【0067】
請求項14に記載の成形装置は、請求項13に記載の発明において、前記成形型ユニットの前記球面部以外の面、及び/又は前記面に対向する面は、異なる方向に延在する複数の分割面を有し、前記複数の分割面に向かって吐出される圧力伝達媒体の圧力及び/又は流量を異ならせることにより、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させることを特徴とする。例えば前記分割面に向かって圧力伝達媒体を吐出する面を含む仮想平面が、前記型保持部材の受け面の曲率半径の中心を通るようにすることで、圧力伝達媒体の圧力差及び/又は流量差を用いて、前記成形型ユニットを前記型保持部材に対して回転させる力を最も効率よく付与することができる。尚、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させる圧力伝達媒体は、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを離隔させる方向に力を付与する圧力伝達媒体と同じ媒体源から供給されても良く、別な媒体源から供給されても良い。
【0068】
請求項15に記載の成形装置は、請求項14に記載の発明において、前記複数の分割面に向かって吐出される圧力伝達媒体の吐出面は、多孔質材料から形成されていることを特徴とする。これにより各分割面における全面にわたって略均一の力を付与できる。
但し、前記成形型ユニットを前記型保持部材に対して回転させる構成は、圧力伝達媒体の圧力差等を用いるものでなく、機械的な力を前記成形型ユニットに直接付与するものであっても良い。圧力伝達媒体の圧力差等を用いて前記成形型ユニットを回転させる例は、図3を参照して後述し、機械的に前記成形型ユニットを回転させる例は、図1,2を参照して後述する。
請求項16に記載の成形装置は、請求項1に記載の発明において、前記被駆動部材の上端外周には平面状の支持面が形成され、前記支持面に対して外周面が線接触する形で当該支持面と、前記被駆動部材に変位力を付与する付与部材との間に挟みこまれるように配置された円柱部材を有し、前記付与部材による前記被駆動部材に対する変位力の付与は、当該円柱部材の線接触を介して行われる事を特徴とする。
【0081】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる成形装置について説明する。図1は、本実施の形態にかかる成形装置の断面図である。かかる成形装置は、熱間プレス成形機構に適用されたものである。図1において、ハウジング1の上部には、上型固定支持部材2が固定配置されている。中空の上型固定支持部材2内には、グラファイト又はセラミックなどの多孔質材料からなる型保持部材(第1型保持部材)3が配置されている。尚、型保持部材3の上端外周が縮径しており、上型固定支持部材2との間に、圧力伝達媒体供給用のリング溝空間3Aを形成している。型保持部材3が吐出手段(第1吐出手段)及び吸引手段を構成する。
【0082】
型保持部材3の図1で下面は球面状の受け面3aとなっており、ここに対向する上面が球面部4bとなったキノコ状の揺動部材4を設置している。揺動部材4の下端面には、成形型を構成する上型5が、テーパー面嵌合により取り付けられ、上型抑え24により揺動部材4に対して固定されている。揺動部材4と上型5とで、成形型ユニット(固定成形型ユニット)を構成する。上型5の内部には、ヒータ6と熱電対7とが上方より挿入されている。上型固定支持部材2の上方は、カバー30により覆われている。上型抑え24を揺動部材4に対して固定するボルト31は、揺動部材4を貫通してカバー30内まで延在し、その端部が上型固定支持部材2に対し、スプリング32を介して取り付けられている。従って、揺動部材4は、スプリング32の付勢力によって、図1で上方に付勢されていることとなる。
【0083】
揺動部材4の下面外周近傍には、90度ずつ4つに分割された分割面であるテーパ面4b(図1では二つのみ図示)が形成されている。平面である各テーパ面4bには、ハウジング1に配置されたマイクロメータ33のプランジャー33aが当接している。良く知られているように、マイクロメータ33は、端部のツマミ33bを回転させることで、その回転量に応じた量(指標で示される)だけプランジャー33aを進退させる機能を有する。
【0084】
ハウジング1は、水平方向に開放した一対の開口1aを有している。開口1aは、それぞれ搬送路34に連結されており、各搬送路34の端部にはシャッタ21(一方のみ図示)を設けている。シャッタ21は、不図示のエアシリンダに連結され、その駆動により搬送路34を開放する開放位置と閉止する閉止位置との間で移動可能となっている。
【0085】
ハウジング1の下部において、四角いシリンダー状の下型嵌合支持部材8が取り付けられている。尚、下型嵌合支持部材(第2型保持部材)8の内部には、冷却水が通過する冷却配管8aが設けられている。
【0086】
下型嵌合支持部材8の内部には、スライダ10が配置されている。ピストン状スライダ10は四角柱状であって、下型嵌合支持部材8の内側に嵌合しており、それらの間の隙間は、約10μmである。スライダ10の内側にはスリーブ29が配置され、スライダ10の上端には、下型固定支持体11が取り付けられ、下型固定支持体11の上部に、成形型を構成する下型12がテーパー面嵌合により下型抑え13を介して取り付けられている。下型12の内部にはヒーター23と熱電対25とが下方より挿入されており、下型固定支持体11はスライダ10及びスリーブ29に結合され、一体となって上下可動する。尚、下型12と、下型固定支持部材11と、スライダ10と、スリーブ29が移動成形型ユニットを構成し、スライダ10が第2吐出手段を構成する。
【0087】
ハウジング2と、下型固定支持体11との間には、スライダ10の移動に関わらず、成形雰囲気からスライダ10及び下型嵌合支持部材8を熱的に隔離するための金属ベローズ16が伸縮自在に配置されている。又、下型12の周囲には、下方12と一緒に上下することで、成形時に成形雰囲気を維持する遮蔽体35が配置されている。
【0088】
スライダ10は、セラミック又はグラファイトなどの多孔質材料から形成されており、周面10b(吐出面になる)近い位置で、その下方から上端近傍まで、袋孔10aが複数本、全周に沿って形成されている。かかる袋孔10aは、不図示の圧縮エアの供給源に接続される供給口10fに接続されている。尚、スライダ10の内側のヒーター23と熱電対25が通過する空間は、スリーブ29により封止されているため、圧力伝達媒体である空気が内周面側に漏れ出ることはない。シリンダ10の下部は、プレス力検出用のロードセンサと軸線ズレ調整用の静圧カップリング(いずれも不図示)を介して、不図示の駆動源に連結されている。
【0089】
尚、本実施の形態では、外部のエア供給源より、圧力伝達媒体として常温の空気(空気圧3atm)がシリンダ10に供給され、エアの供給路である袋孔10aから多孔を通って、周(側)面10bよりプレス方向に対し略直交する方向に吐出されており、それにより下型嵌合支持部材8に対してスライダ10を非接触状態で支持している。成形時には、エアシリンダ(不図示)を駆動制御してシャッタ21を開放することで、外部より開口1aを介して、上型5と下型12との間に、プリフォームと呼ばれる加熱軟化させたガラス又は樹脂などの光学素材を搬送する。更にシャッタ21を閉止した後、不図示の駆動源により下方からプレス力を付与し、ロードセンサの検出に基づく所定のプレス力で、スライダ10と下型固定支持体11とを上方に移動させ、上型5と下型12とを近接させることで、それらにより構成される成形キャビティ内で光学素材をプレスし、型に応じた形状の光学素子を得ることができる。その後、スライダ10を下降させ、シャッタ21を開放することで、開口1aを介して、成形した光学素子を外部に搬送することができる。また、下型嵌合支持部材8及びスライダ10とそれらの嵌合面は、本例では、可動軸まわりの回転を自己規制するために四角柱状にしたが、円筒状等であってもかまわない。
【0090】
本実施の形態によれば、移動部材10の周面すなわち吐出面10bと、エア供給路10aとを連通する多孔質材料の個々の微小な孔が、オリフィス絞りの役目を果たして支持剛性を高くできるだけでなく、吐出面全体にわたって均一な圧力の圧力伝達媒体が吐出するので、周辺まで高圧で空気を送るための通路となる表面絞り等の高精度な溝も不要となり、下方嵌合支持部材8に対するスライダ10の高精度な支持を可能としながらも、より低コストな構成を提供することができる。
【0091】
ところで、上型5と下型12との間に、ティルト偏心やシフト偏心が存在すると、成形された光学素子において、コマ収差や非点収差などの収差量が増大し、その光学特性を劣化させめることとなる。そこで、成形装置においては、成形型ユニットのティルト偏心やシフト偏心を調整することが本来的に必要となる。
【0092】
以下に、成形型ユニットの調整方法について説明する。シフト偏心(光軸に直交する方向の上型5と下型12の軸線のズレ)に関しては、下方嵌合支持部材8に対してスライダ10を、シフト方向に変位させることで行う。より具体的には、上型5と下型12の軸線のズレが大きい側のスライダ10の吐出面10bにおける、エア供給路10aへの供給圧力を減少させる(或いは反対側の吐出面10bのエア供給路10aへの供給圧力を増大させる)ことで、差圧を形成し、それによりシフト偏心をキャンセルするように、下方嵌合支持部材8に対してスライダ10を変位させればよい。
【0093】
尚、3気圧の空気を供給した120mm×160mmの下方嵌合支持部材8で、10μmの静圧隙間を有するスライダ10により極めて滑らかに摺動して、上型5に下型12を定圧力で突き当てることができるため、1μm以下の動作再現性を達成できる。又、このプレス動作によって、新たに上下型の偏心は発生しない。更に、対向する空気吐出面に差圧を設けることで、0.1μm単位のシフト調整がティルト偏心と全く独立してできる。この内容については、本発明者を発明者とする特願2001−341134及び特願2002−55241ですでに詳しく述べられているので、ここでは説明しない。
【0094】
これに対し、ティルト偏心(下型12の軸線に対する上型5の軸線の傾き)については、型保持部材3に対する揺動部材4の傾きを変更することで、成形型ユニットのティルト調整を行う。より具体的には、外部の窒素ガス供給源より、2atmの圧力で、上型固定支持部材2内部の供給通路3Aに、圧力伝達媒体としての窒素ガスを供給すると、型保持部材3の下面より均一にガスが吐出され、それにより揺動部材4の球面部4aに対して均一な力を付与する(それにより静圧が形成される)ことで、スプリング32の力に抗して揺動部材4を下方に変位(離隔)させる。
【0095】
受け面3aから吐出された窒素ガス圧に基づく揺動部材4を変位させる力は、受け面3a及び球面部4aの立体角がπ/5〜3πと球表面積が大きいことから膨大な力になり、マイクロメーター33のプランジャー33aが、揺動部材4の面4bに当接していても、双方の弾性変形を生じさせ、それにより受け面3aと球面部4aとの間に数μmの隙間が生じ、すなわち型保持部材3に対して揺動部材4は非接触状態で支持される。型保持部材3と揺動部材4との間には摩擦力が生じないため、いずれかのマイクロメーター33のツマミ33bを回すことで、プランジャー33aを縮め、且つ反対側のプランジャー33aをのばすことで、一方の分割面4bの押圧力が低下し、反対側の分割面4bの押圧力が増大することから、型保持部材3に対して揺動部材4が容易に回転変位し、それによりティルト調整を容易に行うことができる。尚、ロックネジ33dは、プランジャー33aの進退後に、それを固定するために用いられる。
【0096】
ティルト調整後に、上型固定支持部材2内部の供給通路3Aにおける空気の圧力を正圧(第1の圧力)から負圧(大気圧未満である第2の圧力)に変更することで、型保持部材3の受け面3aから、揺動部材4の球面部4aとの隙間のガスを吸引し、大気圧との差圧を利用して、球面部4aを受け面3aに密着保持することが可能となる。
【0097】
以上のように、固定側(上型)にティルト調整機構を設け、スライド可動側(下型)にシフト調整機構を設けた構成のプレス成形装置において、光学樹脂材料のプリフォームをプレス成形し、その成形レンズの波面収差を干渉計によって収差分類してコマ成分や非点収差成分を求め、その収差値に相当する光学面の偏心量を光学設計により求めて、上下型の2回の偏心調整を行ったところ、以下の結果を得た。
WFErms 3次球面収差 3次コマ収差 3次非点収差 残留成分
当初 45mλ 50mλ 32mλ 18mλ
偏心調整後 32mλ 3mλ 8mλ 10mλ
【0098】
以上の結果を考察するに、当初の波面収差に高次収差成分(残留成分)があまりなく3次収差成分がほとんどであったため、相当する型光学面のティルト量やシフト量の調整で比較的線形に近く修正できたこともあり、2回の上下型の偏心調整でほぼ究極まで成形レンズのコマ収差と非点収差を低減できた。尚、見かけ上、球面収差も低減しているように見えるのは、コマ収差や非点収差が大きいときは、収差分類において球面収差成分にも影響を与えるためで、これ以上改善するためには、上下型のティルト偏心やシフト偏心とは無関係なので、更に成形条件や型形状、光学面間隔などを変更する必要がある。ここで、測定波長λは655nmである。
【0099】
この実験結果から、成形レンズの収差のうち、成形によるバラツキ誤差と偏心誤差に分けて、成形条件をバラツキ誤差が出来る限り少なくなる条件に設定し、偏心誤差については球面収差は光学面間隔の調整で低減し、コマ収差と非点収差は成形型ユニットのティルト及びシフトの偏心調整で低減することにして、3次収差成分をほとんどゼロとしたところ、それまで86%であった成形良品率が95%まで向上した。
【0100】
図2は、第2の実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。第2の実施の形態に関しては、上述した実施の形態と基本的には同様の機能を有するものであるため、異なる点を主として説明する。
【0101】
本実施の形態においては、型保持部材103は多孔質材料からできておらず、90度の間隔をおいて配置された4つのオリフィス絞り103c(図2では2つのみ図示)を、受け面103aに開口するようにして形成している。オリフィス絞り103cは、外部の窒素ガス供給源に接続されている。尚、型保持部材103の受け面103aには、対向するオリフィス絞り103cの中間点を通過するようにして、周溝103dが形成されている。周溝103dは、オリフィス絞り103cから吐出された窒素ガスの逃げ部となっている。
【0102】
上型105は、ボルト124を介して、揺動部材4の下面に直接取り付けられており、揺動部材4はスプリング131により、ハウジング101に対して上方に付勢されている。又、4つのマイクロメーター133のプランジャー133aが、揺動部材104の4つのテーパ面104bにそれぞれ当接している。
【0103】
図2において、型保持部材103の受け面103aの曲率中心Xが、成形型ユニットを構成する上型105の成形面105a上もしくはその近傍に位置しており、型保持部材103に対して揺動部材104を変位させた後、受け面103aに当接したときに、型保持部材103に対する上型105の回転角1度当たりの、上型105の中心軸に直交する方向における成形面105aの変位量が100μm以下であると好ましい。
【0104】
図1及び図2の実施の形態では、型保持部材3,103に対して成形型ユニットを構成する揺動部材4,104を回転変位させる機械的回転変位機構として、マイクロメーター33,133を設けている。ここで、型保持部材3,103の受け面3a、103aの曲率中心X(図2)からプランジャー33a、133aの押圧点までの距離Δを70mmとし、この押圧点でプランジャー33a,133aで曲率中心X周りの回転方向に押圧すると、10μmの繰り出し量で29.5秒角の調整ができることとなり、目標としているティルト調整量が10〜20秒角であるから、このような機械調整機構でも概ねティルト調整ができるといえる。
【0105】
一方、このような機械的な調整機構では、成形時に発生する熱によりプランジャー33a、133a等がμmオーダーで容易に膨縮し、そのためにプランジャー33a、133aと揺動部材4,104との間に隙間が出来たり過剰な回転力を発生させたりする恐れがあるため、高精度な調整を行うには熱膨張の管理を厳密に行う必要がある。つまり、設定したティルト量に再現性を与えるためには、例えばプランジャー33a、133aにインバーなどの低線膨張材料を使うなどの工夫が必要である。機械的なティルト調整は原理的には単純ではあるが、実際の成形装置に適用するに当たっては、このような種々の課題をクリアする必要がある。
【0106】
これに対し、本発明者は微小回転機構を機械的手法によらず、静圧的な差動により行うことを思い至った。かかる構成について説明する。図3は、第3の実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。第3の実施の形態に関しても、上述した実施の形態と基本的には同様の機能を有するものであるため、異なる点を主として説明する。
【0107】
本実施の形態においても、型保持部材203は多孔質材料からできておらず、90度の間隔をおいて配置された4つのオリフィス絞り203c(図2では2つのみ図示)を、受け面203aに開口するようにして形成している。尚、受け面203aには、オリフィス絞り203cから周面に沿って縦横に延在する浅溝状の表面絞り203eが形成されており、揺動部材204の球面部204aと受け面203aとの間の圧力分布の均等化に寄与している。但し、オリフィス絞り203cを設ける代わりに、型保持部材203を多孔質材料から形成しても良い。
【0108】
成形型ユニットを構成する揺動部材204は、その下面に90度毎に4つのテーパ面204bを形成しており、ハウジング201には、テーパ面204bに対向して、4つの多孔質パッド233が接着固定されている。多孔質材料から形成された多孔質パッド233の背面には、ハウジング201内の供給路201aを介して、外部の窒素ガス供給源より窒素ガスが供給されている。尚、供給路201aに供給される窒素ガスの圧力Pは、型保持部材203のオリフィス絞り203cに供給される窒素ガスの圧力P、Pと別個に調整できると好ましい。多孔質パッド233が吐出調整手段を構成する。
【0109】
ティルト調整時には、外部の窒素ガス供給源より、オリフィス絞り203cに圧力伝達媒体としての窒素ガスを供給すると、表面絞り203eの作用により揺動部材4の球面部4aに対して均一な力を付与する(それにより静圧が形成される)ことで、テーパ面204bが多孔質パッド233の対向面より吐出される窒素ガスの圧力に基づく力に抗して、揺動部材204を下方に変位(離隔)させることができる。
【0110】
かかる状態で、図3において、外部の窒素ガス供給源より、オリフィス絞り203cに圧力伝達媒体としての窒素ガスをPの圧力で供給し、多孔質パッド233の吐出面面から吐出される窒素ガスの圧力に抗して受け面203aと球面部204aとの間に静圧隙間を創成し、型保持部材203から成形型ユニットを構成する揺動部材204を離隔させ、非接触で変位できる状態にする。このとき、テーパ面204aと多孔質パッド233の吐出面との間でも、静圧隙間が維持されて非接触状態を保っており、従って揺動部材204は、どの部品とも接触しない浮上状態となっている。
【0111】
ここで、軸対称配置に配置された2つの多孔質パッド233の吐出面に注目する。図3において右側の多孔質パッド233には、圧力Pで窒素ガスが供給され、左側の多孔質パッド233には圧力Pで窒素ガスが供給されているとすると、P=Pのときは、型保持部材203に対して揺動部材204には、曲率中心X回りの回転力は働かず、ティルト偏心調整は行われない。しかし、不図示のレギュレーターの調整により、P>Pとすることで差圧が生じ、それによって右側のテーパ面204bの受ける力が、左側のテーパ面204bの受ける力より大きくなり、揺動部材204は曲率中心Xを中心として反時計回りに回そうとする力が働く。所定の角度だけ回転したところで、右側の静圧隙間(テーパ面204bと多孔質パッド233の吐出面との間の隙間)が広くなるので隙間内の静圧が下がり、一方、左側の静圧隙間は狭くなるので隙間内の静圧が上昇して、回そうとする力が消滅しそこで回転が静止する。このとき、差圧の変化により静圧面に働く静圧の変化は、供給圧力にほぼ比例するのに対して、隙間変化により静圧面に働く静圧の変化は隙間量の3乗に反比例することが知られているから、大きな供給圧力の変化に対して微小の静圧隙間量変化、言い換えれば回転角、つまりティルト量を制御することができる。
【0112】
ティルト量を調整後、オリフィス絞り203cへの窒素ガスの供給を止めれば、そのままの状態で揺動部材204は型保持部材203に着地し接触保持される。更に本実施の形態においては、揺動部材204における球面部204a以外の面であるテーパ面204bを、多孔質パッド233から吐出された窒素ガスの圧力の合力が球面部204aを受け面203aに向かって押すように、傾けているので、多孔質パッド233から吐出された窒素ガスの圧力に基づく力のみで、型保持部材103に対して揺動部材204を密着保持させることができ、よって上述の実施の形態のごとく、揺動部材を支持するスプリングを不要とすることもできる。尚、このときは、P=Pとしてよい。
【0113】
但し、多孔質パッド233から吐出された窒素ガスの圧力が弱い場合、オリフィス絞り203c内を負圧にして真空吸引することで、大気圧による大きな押さえ力を得ることができる。テーパ面204bと多孔質パッド233の吐出面の間の静圧隙間は、最大でも30μm以下であれば、隙間静圧を安定して維持できるので好ましいが、最小では接触状態になることから、この方式での静圧隙間の調整範囲は±15μm程度である。すなわち、成形型ユニットの半径方向における多孔質パッド233の中点と、受け面204aの曲率中心Xとの距離Δを50mmとすると、±60秒角がティルト調整範囲となる。これは、前述したように機械部品の加工精度に基づくティルト限界値1分にほぼ―致するので、各部品を精度良く作った結果、残っているティルト偏心量が、丁度この調整範囲に入ることから、極めて正確にその残留ティルト偏心を補正できることとなる。
【0114】
以上のティルト調整方法によれば、機械的な調整を全く必要とせず、例えば圧力伝達媒体の供給経路にレギュレーターを挿入するだけで簡単にかつ高精度に成形面のティルト量を調整できるので、コスト、操作性、信頼性、確実性などの点で、前述した機械的なティルト調整機構よりも優れるといえる。
【0115】
尚、テーパ面204b、多孔質パッド233の吐出面は、平面であっても円錐面であっても良い。これらが平面の場合は、その軸対称配置により多角錐形状が形成されるので、型保持部材203に対する揺動部材204の回り止めの役目も担うことが出来る。また、円錐面である場合は、旋盤加工により容易にテーパ面204bも多孔質パッド233の吐出面を創成できるというメリットがある。更に、多孔質パッド233の吐出面以外からの圧力伝達媒体の漏れは、エポキシ樹脂系の塗料または接着剤を含浸・固化させることによりその連続気孔を塞ぎ、防止することができる。
【0116】
更に、テーパ面204bに窒素ガスを吐出する構成は、多孔質材料を必ずしも用いる必要はなく、前述した球面受けの場合と同様に、オリフィス絞りや毛細管絞りの吐出口と表面絞りとを組み合わせても良い。具体的な形態によらず、静圧を用いて調整を行うという点が本発明の特徴となる。さらに、圧力伝達媒体は、ハウジングに限らず成形型ユニットや揺動部材側から吐出させても良いことは言うまでもない。
【0117】
図3の実施形態にかかる成形装置を用いて、曲率半径80mmの受け面を有する型保持部材におけるオリフィス絞りに、1.5気圧の窒素ガスを供給し、軸対称配置に4分割された吐出面が平面である多孔質パッド(気孔率16%、厚み5mm)の背面に、それぞれ独立に3気圧を供給した。このとき、静圧隙間(受け面と球面部との隙間)は5μmであり、軸対称配置の静圧隙間(テーパ面と吐出面との隙間)は4面ともほぼ10μmであった。4つの多孔質パッドの吐出面のうち、対向する2面における一方の窒素ガスの供給圧力をレギュレーターにより3.2気圧とし、他方を2.8気圧として、0.4気圧の差圧を設けた。このとき、オートコリメーターを用いて型保持部品の傾角変化を測定したところ、15秒角傾いて安定した。差圧分解能としては、レギュレーターにつけた大型の圧力ゲージの目盛り分解能が0.05気圧であったので、リニアな特性ではないが、その目盛り1/8に相当する2秒角前後まで傾角調整できることがわかった。
【0118】
図4は、更に別な本実施の形態にかかる成形装置の一部断面図である。図4に示す構成は、図1の成形装置における上型側部分とそっくり置き換えることができる。従って、下型側の構成については説明を省略する。図4において、ハウジング1の成形室天板に、略円筒状の上型固定支持部材302が固定配置されている。型保持部材である上型固定支持部材302は、その下端に球面状の受け面302aを形成している。本実施の形態においては型保持部材を兼ねる上型固定支持部材302は、下端近傍外周において、不図示のコネクタが接続される供給口302bを有している。供給口302bと受け面302aとの間には、吐出手段である細管状のオリフィス絞り302cが形成されている。
【0119】
上型固定支持部材302の受け面302aに対向するようにして、上面が球面部304bとなった略半球状の揺動部材304が設置されている。揺動部材304の中央には、下端がテーパ状となった開口304aが図に示す状態で上下方向に延在するように形成されている。開口304a内には、被駆動部材である円管状のアーム350が挿通されている。アーム350は、下端外周にテーパ角40度の外側テーパ面350aを有している。外側テーパ面350aを、開口204aのテーパ部にテーパ嵌合させることで、アーム350の下端が揺動部材304にしっかりと連結されるようになっている。アーム350は揺動部材304と一体的に形成されても良いが、揺動部材304の外周面を精度良く球面研磨加工するためには、このように別体として加工し、その後結合させるのが望ましい。
【0120】
更にアーム350は、下端内周にテーパ角40度の内側テーパ面350bを有している。内側テーパ面350bに、成形キャビティを構成する上型5が、テーパー面嵌合により取り付けられている。揺動部材304の球面部304bの曲率半径中心は、取り付けた上型5の成形面の光軸位置に略一致すると好ましい。アーム350は、その外周に配置されたコイルバネ350Aにより上方に付勢力されており、それにより揺動部材304との分離が抑止されている。
【0121】
上型5は、上型抑え324及び突き当てリング351を介して揺動部材304に対して、上型固定支持部材302内を延在する4本(図では2本のみ示す)保持ピン352により固定されている。保持ピン352は、上型固定支持部材302に対して、コイルバネ353により上方に向かって付勢されており、かかる付勢力によって、上型5を揺動部材304に対して保持すると共に、揺動部材304を上型固定支持部材302に対して保持することができる。かかる付勢力は、コイルバネ353の圧縮量を調整することで変更可能である。本実施の形態では、揺動部材304と上型5とで、成形型ユニット(固定成形型ユニット)を構成する。
【0122】
アーム350の内部には、ヒータ6と熱電対7とが上方より挿入され、上型5まで至る。上型固定支持部材302の下方は成形室Aとなっており、一方、上型固定支持部材302の上方には調整室Bが設けられている。調整室Bの上部はカバー330により覆われている。成形室Aと揺動部材304との間には、アルミナ又は窒化珪素などの断熱材236が配置されている。
【0123】
図5は、図4の構成をカバー330を外して調整室Bを上方から見た図である。図5においては、理解しやすいにように構成を簡略化して示している。図5で、ステンレスやインコネルから形成されると好ましい上型固定支持部材302の内方には、四角い枠状であるX方向伝達部材361が配置され、その内方には、同様に四角い板状であるY方向伝達部材362が配置されている。Y方向伝達部材362はアーム350を嵌合し一体的に移動するようになっている。上型固定支持部材302とX方向伝達部材361とは、平行に並んだ4枚の薄い板部361aにより連結されている。更に、X方向伝達部材361とY方向伝達部材362とは、板部361aに直交する方向に平行に並んだ4枚の薄い板部362aにより連結されている。尚、ワイヤカットなどの加工により、上型固定支持部材302、X方向伝達部材361、板部361a、Y方向伝達部材362、板部362a(これらにより平行弾性バネが構成される)は一体で形成しうる。
【0124】
上型固定支持部材302に取り付けられた付与部材であるX方向マイクロメータ363は、板部361aと直交する方向に移動するプランジャー363aの先端をX方向伝達部材361の側面に当接させている。又、上型固定支持部材302に取り付けられたロックボルト364の先端が、プランジャー363aの当接部と反対側でX方向伝達部材361に当接している。一方、X方向伝達部材361に取り付けられた付与部材であるY方向マイクロメータ365は、板部362aと直交する方向に移動するプランジャー365aの先端をY方向伝達部材362の側面に当接させている。又、上型固定支持部材302に取り付けられたロックボルト366は、X方向伝達部材361に触れない位置を通って、その先端がプランジャー365aの当接部と反対側でY方向伝達部材362に当接している。尚、上述したように、マイクロメータ363、365は、端部のツマミを回転させることで、その回転量に応じた量(指標で示される)だけプランジャー363a、365aを進退させる機能を有する。図4から明らかであるが、プランジャー363a、365aは、揺動部材304の球面部304bより外側で、アーム350に変位力を付与できるようになっている。板部361a、362aが平行弾性バネを構成する。
【0125】
本実施の形態によるティルト角度調整方法について説明する。本成形装置で実際に光学素子を成形し、それの光学特性を測定することで、X方向・Y方向それぞれにおける両光学面のティルト角度を求める。次に図4において、不図示の配管を介して、上型固定支持部材302の供給口302bから圧力伝達媒体としての窒素ガス(例えば0.5気圧)を供給する。供給された窒素ガスは、オリフィス絞り302cを介して受け面302aから揺動部材304の球面部304bに向かって吐出されるが、このとき窒素ガスは、オリフィス絞り302cによる絞り効果によって、高い静圧を安定して発生し、それによりコイルバネ353の付勢力に抗する力(受け面302aから球面部304bを離隔させる方向の力)を発生し、両者間の摩擦力を低減させる。
【0126】
尚、例えば窒素ガスの供縮圧力を、コイルバネ353の付勢力に比較して大きくすることで、受け面302aと球面部304bとの密着力を小さくすることができ、結果として両者間の摩擦力を大幅に低減することもできるし、場合によっては両者間に数μmの隙間を発生させて、摩擦力をほぼゼロとすることもできる。
【0127】
受け面302aと球面部304bとの摩擦力を低減し或いはゼロとした状態で、上述のごとく求めたティルト角度をゼロとするように、受け面302aに対して揺動部材302を揺動させる。より具体的には、ロックボルト364,366を十分ゆるめた状態で、図5においてX方向マイクロメータ363のプランジャー363aを微小送りさせると、板部361aが弾性変形するので上型固定支持部材302に対してX方向伝達部材361がX方向に微小移動する。X方向伝達部材361が微小移動すると、X方向には剛的である板部362aを介してY方向伝達部材362が同じ量移動する。それにより、アーム350及び揺動部材304を、プランジャー363aの微小送り量だけ揺動させることができ、この場合Y方向には移動することがなく、また上述の理由によりシフト(上下型の芯ズレ)も生じない。同様に、Y方向マイクロメータ365のプランジャー365aを微小送りさせると、板部362aがY方向に弾性変形するので、Y方向伝達部材362がY方向に微小移動するが、Y方向には板部361aが剛的であるため、上型固定支持部材302に対してX方向伝達部材361は変位しない。また上述の理由によりシフト(上下型の芯ズレ)も生じない。以上より、アーム350及び揺動部材304を、プランジャー363a、365aの微小送り量に応じて、それぞれ独立してX方向・Y方向に移動させることができ、従って高精度なティルト角度調整を行うことができる。
【0128】
尚、以上の平行弾性バネは、水平面のXY方向の他に、アーム350の軸線方向であるZ軸にも設けてあり、窒化珪素製のアーム350と金属製の上型固定支持部材との熱膨張率の差による温度膨張の差を吸収し、成形時の高温条件でもアーム350に不用意な力が働かないようにしてある。
【0129】
本実施の形態によれば、オリフィス絞り302cを用いたことによって、受け面302aは金属などの剛体材料から形成できるので、プレス成形などで上型5に大きな軸線方向の力がかかった場合でも、それらがほとんど弾性変形することなく、プレス力を受け止めることができる。さらに、受け面302aは、上型固定支持部材302の一部とすることができ、製作コストや納期の点で非常に有利である。受け面302bを金属材料で製作すると、上型5や成形室Aの熱が容易に伝播してヒーターなどの消費電力が大きくなったり温度の制御精度が低下したするおそれがあるが、本実施の形態では、アーム350や揺動部材304を窒化珪素としたりして、ヒーター6によって上型5の温度が600℃になったような状態でも、十分なる耐熱性や耐酸化性を備えるようにし、同時に高断熱を実現して、上型5の熱が揺動部材304に伝わりにくくしてある。また、熱が外方に容易に伝播することの無いように、アルミナ製等の断熱材326で成形室Aを覆うことで、熱の伝播を抑制し、受け面302aを金属製とすることができた。このことにより、受け面302aの製作は通常の汎用旋盤で容易に加工できる簡素なものとなり、製作コストと納期の点で極めて有利となった。ただし、受け面302aを上型固定支持部材302とは別個に、多孔質状の部品から形成しても良い。
【0130】
球面受けから伸びたアームを微調整する機構について、図5に示した弾性バネを用いない別の実施例を、図6を参照して説明する。図6は、例えば図4の構成に適用可能なアームの上端近傍に配置されたティルト角調整機構の斜視図である。図6において、アーム350の上端外周には、4つの支持面350c(2つのみ図示)が、隣接する支持面350cに対し直交するように形成されている。マイクロメーター463は、支持面350cに、回転しながら伸縮するマイクロメーターヘッド463aが向かうように配置され、更にマイクロメーターヘッド463aの平面状端面と、アーム350の支持面350cとの間に、円柱部材460が挟まれるようにして、図示しない保持部品でマイクロメーターヘッド463a及び支持面350cに対して独立して支持されており、軸線周りに回転自在となっている。ここでは図示していないが、この構造が、各支持面350cに設けられている。尚、図から明らかなように、固定状態においては、マイクロメーターヘッド463aの平面状端面と、円柱部材460の外周面とは線接触し、且つ円柱部材460とアーム350の支持面350cとも線接触し、その間で伝達される押圧力のみでアーム350のティルト角が保持され且つ中心軸周りの回転が禁止されている。
【0131】
本実施の形態において、アーム350の角度を微調整する場合には、一方の側のマイクロメータ463のマイクロメーターヘッド463aを後退させ、それに対向する側のマイクロメーターヘッド463aを前進させる。ここで、マイクロメーターヘッド463aが前進し、円柱部材460を押圧したときにも、マイクロメーターヘッド463aと、円柱部材460の外周面との線接触は維持され、且つ円柱部材460とアーム350の支持面350cとの線接触も維持される。従って、マイクロメーターヘッド463aの軸線が、アーム350aの軸線と厳密に交差しない場合でも、挟持した円柱部材460を介した力の伝達により、アーム350を軸線周りに回転させるトルクが生じないため、アーム350は回転することなく安定したティルト角微調整が可能となる。尚、前述した弾性バネ、或いはマイクロメーターヘッド端面を球面にすることでも、アーム350の保持剛性が極端に小さい点接触になることを防止はできるが、アーム350の中心軸周りの回転方向に対しては、保持剛性があまり大きくできない。しかし、本実施の形態では、アーム350とマイクロメーターヘッド463aの端面と円柱部材460、及び円柱部材460と支持面350cが常に線接触となるため、アーム350の中心軸周りの回転についても、高剛性で規制できる。さらに、ティルト角の微調整機構には剛性の低い構造が一切無いので、ティルト角保持剛性も、図4の場合よりもさらに高めることができる。つまり本実施の形態によって、型保持部材のティルト角について精密に微調整ができること、及び型保持部材を固定したときにそのティルト角の変動を抑制することを、高いレベルで両立することができる。尚、円柱部材460は、完全円柱である必要はなく、マイクロメーターヘッド463aと支持面350cに接触する面のみを円柱面とすれば足りる。
【0132】
更に、別な実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。図1〜3に示す受け面3a、103a、203aは球面であるが、受け面としての機能を発揮するには必ずしも球面である必要はない。図7に示すように、揺動部材4を、その球心Xを上型5の成形面5aの中心(例えば成形面5aが光学面の場合はその光軸上の点)に位置できるのであれば、揺動部材4の球面部4aを支持する型保持部材503の受け面503aは、円錐面であっても良い。円錐面と球面は必ず円で接するから、成形時に上型5にかかるプレス力はこの接円により受け面503aで支持されることができ、極めて簡単な構造で且つ部品精度を厳格に管理しなくても、本発明の効果を実現できる。ただし、この場合、線接触となるため接円部の受け面面積は、図1〜3の実施の形態の球面受けの場合と比較して遥かに小さいので、プレス力などが大きな圧力となって接円部にかかることになるので、この部分の受け面503aや球面4aに弾性変形や塑性変形を発生しやすくなるため、プレス圧力が比較的軽い用途に有効である。
【0133】
図7において、供給口503cから、受け面503aと球面部4aとの間の空間に圧力伝達媒体を吐出すると、図には省略してある型保持部材503aを受け面503aに押さえつけるバネ力に抗して、離隔させる方向に静圧力が働き、揺動部材4の球面部4aを受け面503aから離すことができる。これにより両者間に摩擦がほとんどない状態を創出できるので、既に記述したマイクロメーターなどの微調整機構により揺動部材4のティルト角を調整すると、非常になめらかに微小ティルト量を調整できる。上型5のティルト角調整が終わった後、受け面503aと球面部4a間の圧力伝達媒体の圧力を下げることにより、バネ力で両者が接触し摩擦力が働いて、揺動部材4が型保持部材503に接地し固定される。以上のように、本実施の形態によれば、非常に簡素で容易な構造により高精度なティルト角調整機構が実現できる。
【0134】
(実施例1)
一実施例として、アーム350が揺動部材304の球面部304bの曲率中心、すなわち上型5の成形転写面の中心(光軸)から206mm離れたところで、読み取り分解能1μmのマイクロメーター363,365により微小に変位を行うことができるようにした。この距離は、丁度マイクロメーターを1μm送ると、上型5の成形転写面の真ん中を中心としてアーム350が1秒角ティル卜する値である。従って、マイクロメーター363,365のμm単位の送り量がそのまま上型のティルト調整の秒角となるようにしてある。
【0135】
圧力伝達媒体は、この場合は窒素ガスを用いたが、受け面の面積が約140cmもあるので、わずか0.5気圧の圧力供給で、揺動部材304は5μm浮上(図5では下方へ移動)して、マイクロメーター363,365により極めて滑らかにティルト調整が行えた。アーム350の先端に平面鏡を取り付け、オートコリメーターで実際のティルト角度を測定したところ、1分角以下の調整範囲ではマイクロメーター363,365の読み値に対して10%以下の誤差で一致した。これは、マイクロメーター363,365の読み値だけで10秒角でティルトさせても、1秒角以内の誤差で追従するということであり、極めて高精度かつ容易にティルト調整が行えることが確認された。
【0136】
また、窒素ガスの供給を停止すると、浮上していた揺動部材304は受け面302aに当接したが、このとき、2秒角ほどティルト量が変動した。これに対し、窒素ガスの供給圧力を0.05気圧にすると、揺動部材304は浮上せず受け面302aに当接した状態となった。この状態でも両者の摩擦力は低減され、マイクロメーター363,365によりティルト角度調整を行ったところ、ややスティックスリップはあるが、1分角以内の調整範囲であれば、15%程度の誤差で、実際のティルト角度がマイクロメーター363,365の読み取り値と一致する事が確認された。この場合、窒素ガスの供給を止めても、アーム350のティルト角度は変化しなかった。以上から、本実施例によれば、成形型ユニットのきわめて高精度なティルト角度調整を容易に実現でき、前述した次世代光ディスク用の対物レンズを成形する成形型ユニットにおいても、十分な余裕を持ってティルト調整できることがわかった。
【0137】
(実施例2)
マイクロメーター363,365を上型固定支持部材302に取り付けて、窒素ガスの供給圧力を0.05気圧とし、揺動部材304と受け面302bとが接触状態で、実施例1のようにオートコリメーターを使用してマイクロメーター363,365の読み値と実際のティルト量を比較した。
【0138】
その結果、マイクロメーター363,365のフルストロークである±1.25mmまで、誤差10%以下でほぼリニアにティルト角度調整が行えた。これは、角度にして±20分角に相当する。従って、本実施例によれば、数秒角という極めて微小な角度で正確にティルト角度調整を行うことができるにも関わらず、その1000倍近くの調整範囲を有することがわかった。
【0139】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、成形型ユニット側から型保持部材に向かって圧力伝達媒体を吐出させても良く、下型嵌合支持部材側からスライダに向かって圧力伝達媒体を吐出させても良い。
【0140】
【発明の効果】
本発明によれば、低コストであるにもかかわらず、成形型ユニットを高精度に調整できる成形型ユニットの調整方法及び成形装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる成形装置の断面図である。
【図2】第2の実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。
【図3】第3の実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。
【図4】更に別な本実施の形態にかかる成形装置の一部断面図である。
【図5】図4の構成をカバー330を外して調整室Bを上方から見た図である。
【図6】例えば図4の構成に適用可能なアームの上端近傍に配置されたティルト角調整機構の斜視図である。
【図7】別の実施の形態にかかる成形装置の成形型ユニットと型保持部材の周辺を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
2,302 上型固定支持部材
3、103,203、503 型保持部材
4、104,204、304 揺動部材
5 上型
8 下型嵌合保持部材
10 スライダ
12 下型

Claims (16)

  1. 球面部を備えた成形型ユニットと、
    前記成形型ユニットの球面部を保持する球面形状の受け面を備えた型保持部材と、
    前記受け面と前記球面部の少なくとも一方からその他方に対して圧力伝達媒体を吐出する吐出手段とを有し、
    前記吐出された圧力伝達媒体により、前記受け面より前記球面部が離隔する方向に力が付与されるようになっており、
    前記成形型ユニットは、上型及び下型の少なくとも一方と、前記球面部を有する揺動部材と、被駆動部材とを有し、前記被駆動部材は、その内側に前記一方の型を嵌合させ且つその外側に前記揺動部材を嵌合させた円管状部材であり、前記一方の型と前記被駆動部材及び/又は前記被駆動部材と前記揺動部材は、60度以下のテーパ角でテーパ嵌合していることを特徴とすることを特徴とする成形装置。
  2. 前記成形型ユニットとともに移動する被駆動部材と、
    前記被駆動部材に対し、前記受け面の曲率中心に対してその曲率半径より外側で変位力を付与する付与部材とを有することを特徴とする請求項に記載の成形装置。
  3. 前記付与部材はマイクロメータであることを特徴とする請求項に記載の成形装置。
  4. 前記付与部材と前記被駆動部材との間の変位力の伝達は、平行弾性バネを介して行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の成形装置。
  5. 前記受け面の曲率中心が、前記成形型ユニットの成形面上もしくはその近傍に位置しており、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させた後、前記受け面に着地したときに、前記型保持部材に対する前記成形型ユニットの回転角1度当たりの、前記成形型ユニットの中心軸に直交する方向における前記成形面の変位量が100μm以下となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の成形装置。
  6. 前記型保持部材に対して前記成形型ユニットは静圧により支持されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の成形装置。
  7. 前記型保持部材の受け面又は前記成形型ユニットの球面部の立体角がπ/5以上3π以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の成形装置。
  8. 前記受け面と前記球面部の少なくとも一方より、その他方に向かって第1の圧力で圧力伝達媒体を吐出させ、
    その後、前記型保持部材の受け面と前記成形型ユニットの球面部の前記少なくとも一方から吐出される圧力伝達媒体の圧力を第2の圧力に変更する圧力調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成形装置。
  9. 圧力伝達媒体の圧力を第2の圧力に変更することにより、前記型保持部材の受け面に前記成形型ユニットの球面部を当接させることを特徴とする請求項に記載の成形装置。
  10. 前記第2の圧力とは、大気圧以下の圧力であることを特徴とする請求項に記載の成形装置。
  11. 前記吐出手段は、前記少なくとも一方に配置された多孔質材料を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の成形装置。
  12. 前記吐出手段は、前記型保持部材と前記成形型ユニットの少なくとも一方に形成された表面絞り又はオリフィス絞りを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の成形装置。
  13. 前記吐出手段は、前記成形型ユニットの前記球面部以外の面から、又は前記面に対して、圧力伝達媒体を吐出することで、前記成形型ユニットの球面部を前記型保持部材の受け面に向かって付勢することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の成形装置。
  14. 前記成形型ユニットの前記球面部以外の面、及び/又は前記面に対向する面は、異なる方向に延在する複数の分割面を有し、前記複数の分割面に向かって吐出される圧力伝達媒体の圧力及び/又は流量を異ならせることにより、前記型保持部材に対して前記成形型ユニットを変位させることを特徴とする請求項13に記載の成形装置。
  15. 前記複数の分割面に向かって吐出される圧力伝達媒体の吐出面は、多孔質材料から形成されていることを特徴とする請求項14に記載の成形装置。
  16. 前記被駆動部材の上端外周には平面状の支持面が形成され、前記支持面に対して外周面が線接触する形で当該支持面と、前記被駆動部材に変位力を付与する付与部材との間に挟みこまれるように配置された円柱部材を有し、前記付与部材による前記被駆動部材に対する変位力の付与は、当該円柱部材の線接触を介して行われる事を特徴とする請求項1記載の成形装置。
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