JP2683472B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッドに関する。更
に詳述すると、本発明は、分割した磁気コアの半体をホ
ルダに保持させてから突き合せてシールドケース内に組
込む構造の磁気ヘッドの位置決め構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の磁気ヘッドは、図６に示
すように、突き合せた状態で１つの磁気コアを構成する
ように分割されたコア半体１０１，１０１を同じように
分割されたコアホルダ１０３，１０３に保持させてブロ
ック化し、それらの間にコイルボビン１０２を挿入して
から突き合せてシールドケース１０４内に組込むように
している。磁気コア半体１０１，１０１、コアホルダ１
０３，１０３及びコイルボビン１０２は突き合せられた
状態のままシールドケース１０４に充填される樹脂で固
められる。樹脂及び磁気コア１０１，１０１の先端はシ
ールドケース１０４の窓１０５からテープ摺接面１０６
側に飛び出している。そこで、テープ摺接面１０６を研
磨し、窓１０５より飛び出した樹脂を除去すると共にテ
ープ摺動面１０６を所定の曲率に研磨し、磁気ヘッドを
完成するようにしている。

【０００３】通常、このような磁気ヘッドにおいては、
シールドケース１０４とホルダ１０３，１０３との間に
はコアホルダ１０３，１０３の挿入を容易にするため僅
かのクリアランスがトラック幅方向並びにギャップ幅方
向に設定されているため、樹脂で固めるまではコアホル
ダ１０３，１０３が僅かにがたつき動く。コアホルダ１
０３，１０３に支持された磁気コア半体１０１，１０１
の先端が整列されかつシールドケース１０４の窓１０５
に対し一定の位置関係を以って設置されなければ、磁気
ヘッド毎にトラック幅やトラック位置をばらつかせるこ
ととなり好ましくない。

【０００４】そこで、従来は、例えば図７に示すよう
に、コアホルダ１０３，１０３の底面とシールドケース
１０４との間にコ字状の板ばね１１０を介在させ、この
板ばね１１０によってコアホルダ１０３，１０３をシー
ルドケース１０４の天井の面に押しつけてトラック幅方
向（図上Ｙ方向）の位置決めをする一方、シールドケー
ス１０４の側方にシールドケース１０４を貫通するビス
１１１を設けてこのビス１１１によってコアホルダ１０
３，１０３をシールドケース１０４の他方の側面に押し
つけギャップ幅方向（図上Ｘ方向）の位置決めを行うよ
うにしている（実公昭59-39306号）。

【０００５】また、コアホルダの側方への位置決め即ち
ギャップ幅方向への位置決めを、上述のビスによる締付
けに代えて板ばねで行うものもある。例えば、実開昭61
-203407 号、実開昭51-11023号に開示されているもので
は、図８に示すようにほぼヘ形の板ばね１２０によって
コアホルダの側方のみを付勢するように設けられてい
る。更に、特開平1-184608号には、図９に示すように、
コアホルダ１０３，１０３の上方の面と側方とを同じ挿
入方向位置でく形状の板ばね１３０で同時に付勢するよ
うに設けられている。この板ばね１３０には形状記憶合
金が採用されて、シールドケース１０４とコアホルダ１
０３，１０３との隙間Ｓに平坦な状態で挿入され、所定
位置に配置されてから加熱され、く形に形状を変化させ
てばね力を得るように設けられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小径の
ビス１１１による側方締付け方式によると、磁気ヘッド
の組立て作業の自動化が困難である。しかも、ビス１１
１を必要とする上にビス１１１を螺合するねじ穴をシー
ルドケース１０４に設けなければならないことから、コ
スト高となるし作業性の面でも劣る。即ち、ビス１１１
による締付けの場合、コスト的にも自動化の面でも改善
の余地があった。

【０００７】また、図８や図９に示すように、ビス締め
に代えてばねで側方から押しつける場合、ホルダの挿入
作業性並びに押えの安定性に劣る問題がある。即ち、従
来の板ばね１２０による付勢の場合、シールドケース１
０４の底面及び側面において板ばね１２０の途中の湾曲
面または屈曲点でシールドケース１０４あるいはコアホ
ルダ１０３を押えており、かつ底面及び側方での屈曲位
置が同じ位置なので、同じ挿入方向位置で側方と下方か
ら同時にコアホルダ１０３がシールドケース１０４に押
しつけられることによって急激にシールドケース１０４
との間の摩擦力が増大し、挿入しずらくなったり、位置
決め精度が得られない場合がある。また、形状記憶合金
製の板ばね１３０を用いる場合、コスト高となる上に、
必ずしも同じばね力が同時に１つの面に平行に付与され
るとは限らないため、磁気コア半体１０１，１０１の突
合せ面がずれたりコアホルダ１０３，１０３が全体に傾
いたりする虞がある。しかも、これら板ばね１２０，１
３０による付勢はコアの先端のギャップ位置から遠いと
ころを押えることとなるので、ギャップ付近の位置決め
精度が不安定になる問題がある。即ち、ギャップ付近で
傾きやずれが生じる可能性がある。

【０００８】本発明は、シールドケースへのコアホルダ
等の挿入作業を容易にし、かつ正確な位置決めを安定し
て実現し得る磁気ヘッドを提供することを目的とする。
また、本発明は、組立て作業時間の大幅な短縮と組立て
の自動化を容易なものとする磁気ヘッドを提供すること
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明は、分割した磁気コアの半体をコアホルダに
保持させた状態でそれらの間にコイルボビンを挿入して
から互いに突き合せ、シールドケースに対し位置決めし
てから組込む磁気ヘッドにおいて、突合せられた前記コ
アホルダを独立に押圧するコ字状若しくはＣ字状の第１
の板ばねと、一方のコアホルダの側方を押圧する第２の
板ばねとを前記シールドケース内に固定し、前記第１及
び第２の板ばねの奥側をケース内方に折曲し、この折曲
部を第１の板ばねが手前側としている。

【００１０】また、本発明の磁気ヘッドにおいて、第１
及び第２の板ばねはその奥側先端を自由端としてコアホ
ルダを押圧するように設けられている。

【００１１】

【作用】したがって、コアホルダに所望組数の磁気コア
の半体とコイルボビン及び必要な磁気シールド板を組込
んで突き合せた状態でシールドケースに挿入すれば、ま
ず第１の板ばねによって分割状態のコアホルダ同士が突
合されたままシールドケースの対向する他方の面に向け
てそれぞれ独立して押しつけられる。このとき、コアホ
ルダに対しては他に規制がないので容易に移動しシール
ドケースの内面に完全に押しつけられて整列され、シー
ルドケースとの間でトラック幅方向に挾持され一体化さ
れる。その後、側方の第２の板ばねからの付勢力を受け
てコアホルダが突合せ状態で一体化されたままシールド
ケースの他方の側面に押しつけられ、ギャップ幅方向の
位置決めが行なわれる。これによって、磁気コア等を支
持するホルダを一定位置に仮位置決めする。

【００１２】このとき、第１及び第２の板ばねの先端が
内側に向けて折り曲げられた自由端とされていると、コ
アホルダは先端部分即ち前ギャップ近傍でシールドケー
スに押しつけられ挾持されるため、ギャップ近傍での位
置決めが安定して行われる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す実施例に基
づいて詳細に説明する。

【００１４】図５に本発明の磁気ヘッドの一実施例を示
す。この磁気ヘッドは、一般にミニステレオ用と呼ばれ
る２チャンネル磁気ヘッドであり、分割された２組の磁
気コア半体６，６，７，７を同様に分割された１組の磁
気シールド板８，８を介在させて１組の分割コアホルダ
５，５にそれぞれ保持させ、これらを突き合せて１つの
ブロック状態にしてからシールドケース３内に収容して
成る。

【００１５】各磁気コア半体６，６，７，７の先端はシ
ールドケース３の窓４からテープ摺接面９側へ露出して
磁極面１０を形成している。この各磁極面１０はシール
ドケース３の表面と共に磁気テープが摺接する磁気テー
プ摺接面９を構成している。また、各磁気コア半体６，
６，７，７にはそれぞれコイルが巻回されたコイルボビ
ン１１，１２が嵌め込まれている。シールド板８はその
一端が磁気テープ摺接面９の一部を構成し、かつ他端側
がコイルボビン１１，１２よりも更に外側に突出するよ
うに配置され、隣り同士の２組の磁気コア６，７及びコ
イルボビン１１，１２の間を磁気的にシールドしてい
る。

【００１６】これら磁気コア６，７及びシールド板８
は、各々２分割され半体にして同じく２分割されたコア
ホルダ５，５にそれぞれ保持されてシールドケース３に
組込まれている。コアホルダ５，５は磁気コア６，７及
びシールド板８の半体を保持するためのもので、これら
を差し込む溝が設けられている。このコアホルダ５，５
は２組の磁気コア６，７と同様に分割され、突き合され
た際にそれらの間にコイルボビン１１，１２を収容する
空間を構成するように形成されている。

【００１７】シールドケース３は、例えば深絞り加工な
どによって、先端側（奥側）に曲面を有しかつ後端側
（手前側）が開口されたほぼ矩形断面の磁気シールド材
で形成された函体に形成されている。このシールドケー
ス３の底面３ａと側面３ｂには板ばね１，２が例えば手
前側の１箇所においてスポット溶接することによって固
着してある。

【００１８】シールドケース３の底面３ａに固着される
第１の板ばね２は、図３の（Ａ），（Ｂ）に示すよう
に、突合せた状態のコアホルダ５，５の平面形状に対応
するほぼＣ字状の平面形状を成し、シールドケース３の
奥側に位置する部分がケース内方に向けて折曲げられて
シールドケース３の底面３ａから浮き上がるように構成
されている。したがって、この第１の板ばね２の奥側の
先端２ａは、自由端となって分割されたコアホルダ５，
５の夫々の先端側（シールドケースの奥側）をトラック
幅方向に独立して押圧する。また、シールドケース３の
側面３ｂに固着される第２の板ばね１は、図４の
（Ａ），（Ｂ）に示すように、平面形状がほぼ矩形状に
形成され、シールドケース３の奥側に位置する部分がケ
ース内方に向けて折曲げられてシールドケース３の側面
３ｂから浮き上がるように構成されている。したがっ
て、この第２の板ばね１の奥側の先端１ａは、自由端と
なって一方のコアホルダ５の側面をギャップ幅方向に均
一に押圧するように設けられている。第１の板ばね２の
折曲部２ｂと第２の板ばね１との折曲部１ｂとはシール
ドケース３のコアホルダ挿入方向において異なる位置に
設定され、第１の板ばね２の折曲部２ｂが第２の板ばね
１の折曲部１ｂよりも手前側に設定されている。これに
よって、第１の板ばね２の方が第２の板ばね１よりも先
にコアホルダ５，５に押しつけ力を与える。

【００１９】次に、この磁気ヘッドの組立てについて説
明する。

【００２０】まず、各コアホルダ５，５の溝部分に２分
割された磁気コア６，６，７，７と磁気シールド板８，
８を挿入する。このとき、コアホルダ５，５の溝部分に
は接着剤が必要に応じてあらかじめ塗布されている。次
いで、磁気コア６，６，７，７及び磁気シールド板８，
８の上から接着剤を塗布してコアホルダ５，５に固定し
てマウント組を構成する。上述のマウント組を２組向い
合せ、それらの各磁気コア６，６，７，７の間にコイル
ボビン１１，１２を嵌め込んでから突合せる。この挿入
時には、まず第１の板ばね２によって分割状態のコアホ
ルダ５，５同士が突合されたままシールドケース３の対
向する他方の面（例えば天井面）に向けてそれぞれ独立
して押しつけられる。このとき、コアホルダ５，５に対
しては他に規制がないのでコアホルダ５，５は容易に移
動しシールドケース３の内面に完全に押しつけられて整
列され、シールドケースとの間でトラック幅方向に挾持
され一体化される。その後、側方の第２の板ばね１から
の付勢力を受けてコアホルダ５，５が突合せ状態で一体
化されたままシールドケース３の他方の側面に押しつけ
られ、ギャップ幅方向の位置決めが行なわれる。したが
って、第１の板ばね２と第２の板ばね１とがコアホルダ
５，５を押しつける作用にずれがあり、挿入し易くて位
置決めが確実である。また、本実施例では第１の板ばね
２及び第２の板ばね１は、シールドケース奥側の先端の
自由端でコアホルダ５，５を押すので、シールドケース
３に挿入する力が軽くて済み、かつ押す位置が従来の磁
気ヘッドに比しギャップに接近して肝心のギャップ部分
での位置決めが安定する。これによって、磁気コア６，
６，７，７等を支持するコアホルダ５，５をシールドケ
ース３内の一定位置に仮位置決めする。そして、この状
態のまま、シールドケース３内に合成樹脂例えばエポキ
シ系樹脂を充填して固める。このようにして得られたヘ
ッド組はテープ摺動面１１が研磨されて仕上げられる。

【００２１】尚、上述の実施例は本発明の好適な実施の
一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であ
る。例えば、本実施例では２チャンネルの磁気ヘッドに
ついて主に説明したが、特にこれに限定されるものでは
なく、４チャンネルの磁気ヘッドに実施することも可能
であるし、モノラルの磁気ヘッドに適用することも可能
である。また、第１のばね２の形状は上述のＣ字形に特
に限定されるものではなく、例えばコの字形のように独
立して各コアホルダ５，５を押圧することができる形状
であれば実施可能である。また、第１の板ばね２の取付
け位置はシールドケースの底面３ａに特に限定されず、
天井面側に配置しても良いし、更にその形状は例えば図
７に示す板ばね１１０のようにその先端部分がシールド
ケースの底面側に向けて折り曲げられ、先端よりも手前
側の折り曲げ部分でコアホルダ５，５を押しつけるよう
にしても良い。また、第２の板ばね１は、図９に示すよ
うなケース内方に湾曲して突出する板ばね１２０のよう
な形状であっても実施可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の磁気ヘッドは、突合せられたコアホルダを独立に押圧
するコ字状若しくはＣ字状の第１の板ばねと、一方のコ
アホルダの側方を押圧する第２の板ばねとをシールドケ
ース内に固定し、第１及び第２の板ばねの奥側をケース
内方に折曲し、この折曲部を第１の板ばねが手前側とし
ているので、コアホルダのトラック幅方向位置を規制す
る第１の板ばねとギャップ幅方向位置を規制する第２の
板ばねとが同時にコアホルダを押しつけることがないの
で、コアホルダの挿入に要する力が軽くて済み、挿入し
易い。しかも、分割状態のコアブロックをトラック幅方
向に押しつけてシールドケースとの間で挾み一体化して
から全体にギャップ幅方向（側方）へ移動させてギャッ
プ長さ方向の位置決めを行なうので、確実にコアホルダ
の位置決めができる。

【００２３】依って、コアホルダを突合せた状態でシー
ルドケース内に挿入するだけでコアホルダ・磁気コアの
シールドケースに対する正確な位置決めを完了すること
ができ、磁気ヘッドの組立て作業の自動化が可能とな
り、作業時間の短縮、コスト低減を可能とする。

【００２４】特に、第１及び第２の板ばねの奥側先端を
自由端としてコアホルダを押圧した場合、コアホルダを
自由端で押すから比較的軽い力で挿入でき、かつ押す位
置が磁気ヘッドのギャップに接近するので位置決めが安
定する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の磁気ヘッドに使用されるシールドケー
スの一実施例を一部切欠いて示す斜視図である。

【図２】図１の横線断面図である。

【図３】第１の板ばねの一例を示す図で、（Ａ）は平面
図、（Ｂ）は側面図である。

【図４】第２の板ばねの一例を示す図で、（Ａ）は平面
図、（Ｂ）は側面図である。

【図５】本発明の磁気ヘッドの一実施例を示す図で、
（Ａ）は横断面図、（Ｂ）は縦断面図である。

【図６】シールドケースとそれに組込まれる前のコアホ
ルダ等を示す平面図である。

【図７】従来の磁気ヘッドを示す斜視図である。

【図８】他の従来の磁気ヘッドを示す横断面図である。

【図９】他の従来の磁気ヘッドを示す図で、（Ａ）はシ
ールドケースの一部を切欠いて示す斜視図、（Ｂ）は中
央縦断面図である。

【符号の説明】

１ 第２の板ばね １ａ 奥側先端 １ｂ 折曲部 ２ 第１の板ばね ２ａ 奥側先端 ２ｂ 折曲部 ３ シールドケース ３ａ 底面 ３ｂ 側面 ４ 窓 ５ コアホルダ ６，７ 磁気コア ９ テープ摺接面 １１，１２ コイルボビン

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 分割した磁気コアの半体をコアホルダに
   保持させた状態でそれらの間にコイルボビンを挿入して
   から互いに突き合せ、シールドケースに対し位置決めし
   てから組込む磁気ヘッドにおいて、突合せられた前記コ
   アホルダを独立に押圧するコ字状若しくはＣ字状の第１
   の板ばねと、一方のコアホルダの側方を押圧する第２の
   板ばねとを前記シールドケース内に固定し、前記第１及
   び第２の板ばねの奥側をケース内方に折曲し、この折曲
   部を第１の板ばねが手前側としたことを特徴とする磁気
   ヘッド。
2. 【請求項２】 前記第１及び第２の板ばねの奥側先端を
   自由端としてコアホルダを押圧したことを特徴とする請
   求項１記載の磁気ヘッド。