JP2666546B2 - 車両用電動ファンの制御装置 - Google Patents

車両用電動ファンの制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、車両用電動ファンの稼働を制御する制御装
置に関する。
B.従来の技術 エンジンの冷却水の熱交換器（以下、ラジエータと呼
ぶ）と、車両用空調装置の冷媒の熱交換器（以下、コン
デンサと呼ぶ）とに同時に送風してエンジン冷却水およ
び車両用空調装置の冷媒を冷却する車両用電動ファンの
稼働を制御する制御装置が知られている（例えば、日産
新型車解説書平成元年10月第U12−２号参照）。
第５図はこの従来の車両用電動ファンの制御装置のブ
ロック図、第６図はその制御装置により稼働制御される
電動ファンの稼働状態を示す図である。
この制御装置は、車両用空調装置をオン・オフするエ
アコンスイッチSW1、車両の走行速度を検出する車速セ
ンサ１、およびエンジン冷却水温度を検出する水温セン
サ２からの信号に基づいて、マイクロコンピュータおよ
びその周辺部品から構成される制御回路３によってリレ
ーRy1,Ry2をオン・オフし、第６図に示すように電動フ
ァンM1,M2の稼働を制御する。
電動ファンM1,M2は、リレーRy1がオンされるとバッテ
リBATから電源が供給されて低速（LOW）で回転する。さ
らに、リレーRy2がオンされるとモータのブラシ電極が
切り換わり高速（HIGH）で回転する。
通常、車両の走行にともなってラジエータおよびコン
デンサには自然な風の流れが発生するので、冷却水温度
が低ければ電動ファンを運転する必要がない。従って、
従来の制御装置は、第６図に示すように、エアコンスイ
ッチSW1がオフされていると、車速が時速80km未満で且
つエンジン冷却水温が95℃より低いとき、また、車速が
時速80km以上で且つ水温が105℃より低いときは電動フ
ァンM1,M2を停止する。
一方、エアコンスイッチSW1がオンされると、空調装
置のコンプレッサのクラッチが投入され、コンプレッサ
が作動して冷房運転を開始するので、車速およびエンジ
ン冷却水温に関わらず電動ファンM1,M2を運転する。
C.発明が解決しようとする課題 ところで、車両用空調装置のコンプレッサは、エアコ
ンサイクル内の冷媒ガスを循環させる働きをしており、
コンプレッサの吸入側は低圧に、吐出側は高圧になる。
この吐出側圧力は、コンプレッサの回転数（エンジン回
転数）が高いほど、またエバポレータを通過する空気温
度が高いほど、さらにブロアファン風量が多いほど高く
なる。換言すれば、吐出側圧力は、車室内熱負荷容量に
比例し、熱負荷容量が大きければ吐出側圧力が高くな
り、熱負荷容量が小さければ吐出側圧力が低くなる。そ
して、車室内熱負荷容量が低い状態が続くと、吐出側圧
力は最小となる。このとき、冷房能力は最小限でよく、
電動ファンを運転してコンデンサで冷媒を冷却する必要
はない。
しかしながら、従来の車両用電動ファンの制御装置で
は、車速が中速以下でエンジン冷却水温が低いときにエ
アコンスイッチをオンすると、空調装置のコンプレッサ
の吐出側圧力が所定値より低くコンデンサで冷媒の冷却
を必要としないときでも電動ファンも運転するので、電
動ファンの音振性能および耐久性能が低下するという問
題がある。
本発明の目的は、車速が中速以下でエンジン冷却水温
が低いときにエアコンスイッチをオンしても、車両用空
調装置のコンプレッサの吐出側圧力に基づいて電動ファ
ンの稼働を制御し、稼動率を低減して電動ファンの音振
性能および耐久性能を向上させる車両用電動ファンの制
御装置を提供することにある。
D.課題を解決するための手段 クレーム対応図である第１図に対応づけて本発明を説
明すると、本発明は、エンジンを冷却する冷却媒体の熱
交換器と車両用空調装置の冷却媒体の熱交換器とに送風
する電動ファンM1,M2と、車速を検出する車速検出手段
１と、エンジン冷却媒体の冷却能力を検出するエンジン
冷却能力検出手段２と、コンプレッサを有する車両用空
調装置をオン・オフするスイッチ手段SW1と、車速検出
手段１によって検出される車速、エンジン冷却能力検出
手段２によって検出される冷却能力およびスイッチ手段
SW1のオン・オフ信号に基づいて電動ファンM1,M2をオン
・オフする制御手段３とを備えた車両用電動ファンの制
御装置に適用される。
そして、コンプレッサの冷媒吐出圧力を検出する吐出
圧力検出手段SW2を備え、制御手段３は、所定車速以下
のときに、エンジン冷却能力検出手段２によってエンジ
ン冷却能力が所定値以上であることが検出され、且つ吐
出圧力検出手段SW2によって冷媒吐出圧力が所定値以下
であることが検出されると、スイッチ手段SW1がオン状
態にあっても電動ファンM1,M2を停止するとともに、車
速が所定車速を超え、且つエンジン冷却能力検出手段２
によってエンジン冷却能力が所定値以上であることが検
出されたときには、吐出圧力検出手段SW2によって冷媒
吐出圧力が所定値を超えることが検出されても電動ファ
ンM1,M2を停止することにより、上記目的が達成され
る。
E.作用 制御手段３は、車両が所定の速度以下のときに、エン
ジン冷却能力検出手段２によってエンジン冷却能力が所
定値以上であることが検出され、且つ吐出圧力検出手段
SW2によって冷媒吐出圧力が所定値以下であることが検
出されると、スイッチ手段SW1がオン状態にあっても電
動ファンM1,M2を停止する。また、制御手段３は、車速
が所定車速を超え、且つエンジン冷却能力検出手段２に
よってエンジン冷却能力が所定値以上であることが検出
されたときには、吐出圧力検出手段SW2によって冷媒吐
出圧力が所定値を超えることが検出されても電動ファン
M1,M2を停止する。
なお、本発明の構成を説明する上記Ｄ項およびＥ項で
は、本発明を分かり易くするために各手段の符号に対応
する実施例の要素と同一の符号も用いたが、これにより
本発明が実施例に限定されるものではない。
F.実施例 第２図は一実施例を示すブロック図である。なお、従
来装置を示す第５図と同様な機器に対しては同符号を付
して説明を省略する。
SW2は、空調装置のコンプレッサの吐出側出口に設け
られる圧力スイッチであり、冷媒吐出圧力Pdが所定値Ｋ
以下のときにオフし、所定値Ｋを越えるとオンする。前
述したように、Pd≦Ｋで圧力スイッチSW2がオフしてい
るときは、コンプレッサの冷媒吐出容量は最小であり冷
媒温度も低いので、コンデンサで冷媒を冷却するために
電動ファンM1,M2を運転する必要がない。
制御回路３は、この圧力スイッチSW2からの吐出圧力
検出信号と、前述した従来装置と同様のエアコンスイッ
チSW1,車速センサ１および水温センサ２からの信号とに
基づいて後述する制御プログラムを実行し、リレーRy1,
Ry2を介して電動ファンM1,M2の稼働を制御する。
第３図（ａ），（ｂ）は、電動ファン制御プログラム
例を示すフローチャートである。同図により動作を説明
する。
ステップS1において、車速センサ１からの車速信号に
よって車速が20km/hより低いかどうかを判別し、車速＜
20km/hであればステップS2へ進み、そうでなければステ
ップS9へ進む。ステップS2では、水温センサ２からのエ
ンジン冷却水温信号によって水温が95℃より低いかどう
かを判別し、水温＜95℃であればステップS3へ進み、そ
うでなければステップS6へ進む。ステップS3で、エアコ
ンスイッチSW1がオンしているかどうかを判別し、オン
であればステップS4へ進み、そうでなければステップS5
へ進む。
ステップS4において、圧力スイッチSW2によって冷媒
吐出圧力Pdが所定値Ｋ以下であるかどうかを判別し、所
定値Ｋ以下であればステップS5へ進んでリレーRy1をオ
フし、電動ファンM1,M2を停止する。
なお、ステップS2またはステップS4が否定されたとき
は、ステップS6において水温が105℃より低いかどうか
を判別し、低ければステップS7へ進んでリレーRy1をオ
ンし、電動ファンM1,M2を低速で運転する。水温が105℃
以上のときは、ステップS8へ進んでリレーRy1,Ry2をオ
ンし、電動ファンM1,M2を高速で運転する。
次に、ステップS1において車速が20以上あると判別さ
れたときは、ステップS9で車速が80km/hより低いかどう
かを判別し、低いときはステップS10へ進み、そうでな
ければステップS17へ進む。ステップS10では、水温が95
℃より低いかどうかを判別し、低ければステップS11へ
進み、そうでなければステップS14へ進む。ステップS11
において、エアコンスイッチSW1がオンされているかど
うかを判別し、オンであればステップS12へ進み、そう
でなければステップS13へ進む。
ステップS12では、圧力スイッチSW2によって冷媒吐出
圧力Pdが所定値Ｋ以下かどうかを判別し、所定値Ｋ以下
であればステップS13へ進んで電動ファンM1,M2を停止
し、そうでなければステップS14へ進む。
ステップS10またはステップS12が否定されたときは、
ステップS14で水温が100℃より低いかどうかを判別し、
100℃より低ければステップS15へ進んで電動ファンM1,M
2を低速で運転し、100℃以上であればステップS16へ進
んで電動ファンM1,M2を高速で運転する。
さらに、ステップS9で車速が80km/h以上あると判別さ
れたときは、ステップS17において水温が105℃より低い
かどうかを判別し、105℃より低ければステップS18へ進
んで電動ファンM1,M2を停止し、105℃以上であればステ
ップS19へ進んで電動ファンM1,M2を高速で運転する。
以上の処理を終えると再びステップS1へ戻る。
第４図は、上述した制御プログラムにより制御される
電動ファンM1,M2の稼働状態をまとめたものである。
このように、車速が中速以下でエンジン冷却水温が低
いときに、エアコンスイッチSW1をオンしてもコンプレ
ッサの冷媒吐出圧力Pdが所定値Ｋ以下であれば電動ファ
ンM1,M2を停止するので、電動ファンM1,M2の稼働率が低
くなって音振性能および耐久性能を向上させることがで
きる。
なお、上記実施例では、電動ファンの速度を停止−低
速−高速に切り換えて制御したが、停止−高速の切り換
えだけで制御してもよい。
また、上記実施例では、水冷式エンジンを例にあげて
説明したが、エンジン冷却用冷媒は水に限定されず、例
えばアルコールのような気化潜熱でエンジンを冷却する
方式でもよい。さらに、空調装置のコンプレッサは、固
定容量型や可変容量型など、どのような形式のものでも
よい。
以上の実施例の構成において、車速センサ１が車速検
出手段を、水温センサ２がエンジン冷却能力検出手段
を、エアコンスイッチSW1がスイッチ手段を、制御回路
３が制御手段を、圧力スイッチSW2が吐出圧力検出手段
をそれぞれ構成する。
G.発明の効果 以上説明したように本発明によれば、所定車速以下で
エンジン冷却水温が低いときに、エアコンスイッチをオ
ンしても空調装置のコンプレッサの冷媒吐出圧力が所定
値以下であれば電動ファンを停止するとともに、所定車
速を超え且つエンジン冷却水温が低いときには、空調装
置のコンプレッサの冷媒吐出圧力が所定値を超えても電
動ファンを停止するので、電動ファンの駆動電力を節約
でき、電動ファンの稼働率が低下して音振性能および耐
久性能が向上する。
【図面の簡単な説明】 第１図はクレーム対応図である。 第２図は本発明の一実施例を示すブロック図、第３図は
電動ファンの制御プログラム例を示すフローチャート、
第４図はその稼働状態を示す図、第５図は従来装置を示
すブロック図、第６図はその稼働状態を示す図である。 1:車速センサ、2:水温センサ 3:制御回路、SW1:エアコンスイッチ SW2:圧力スイッチ Ry1,Ry2:リレー M1,M2:電動ファン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】エンジンを冷却する冷却媒体の熱交換器と
    車両用空調装置の冷却媒体の熱交換器とに送風する電動
    ファンと、 車速を検出する車速検出手段と、 前記エンジン冷却媒体の冷却能力を検出するエンジン冷
    却能力検出手段と、 コンプレッサを有する車両用空調装置をオン・オフする
    スイッチ手段と、 前記車速検出手段によって検出される車速、前記エンジ
    ン冷却能力検出手段によって検出される冷却能力および
    前記スイッチ手段のオン・オフ信号に基づいて前記電動
    ファンをオン・オフする制御手段とを備えた車両用電動
    ファンの制御装置において、 前記コンプレッサの冷媒吐出圧力を検出する吐出圧力検
    出手段を備え、 前記制御手段は、前記車速が所定車速以下のときに、前
    記エンジン冷却能力検出手段によって前記エンジン冷却
    能力が所定値以上であることが検出され、且つ前記吐出
    圧力検出手段によって前記冷媒吐出圧力が所定値以下で
    あることが検出されると、前記スイッチ手段がオン状態
    にあっても前記電動ファンを停止するとともに、車速が
    前記所定車速を超え、且つ前記エンジン冷却能力検出手
    段によって前記エンジン冷却能力が所定値以上であるこ
    とが検出されたときには、前記吐出圧力検出手段によっ
    て前記冷媒吐出圧力が前記所定値を超えることが検出さ
    れても前記電動ファンを停止することを特徴とする車両
    用電動ファンの制御装置。
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