JP2001317354A - ラジエータファンの制御装置 - Google Patents

ラジエータファンの制御装置

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JP2001317354A
JP2001317354A JP2000136206A JP2000136206A JP2001317354A JP 2001317354 A JP2001317354 A JP 2001317354A JP 2000136206 A JP2000136206 A JP 2000136206A JP 2000136206 A JP2000136206 A JP 2000136206A JP 2001317354 A JP2001317354 A JP 2001317354A
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engine room
temperature
radiator fan
scavenging
engine
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Hiroshi Oishi
広士 大石
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンルーム内が掃気を要する高温状態の
とき、確実にエンジンルーム内を掃気してエンジンルー
ム内の温度を低下させる。 【解決手段】 冷却水温度Twを高水温判定閾値TWS
と比較し(S2)、Tw<TWSの場合、車速VSPを
低速判定閾値VSPSと比較する(S4)。そして、V
SP<VSPの場合、更に、吸気温度Taを吸気温判定
閾値TASと比較し(S5)、VSP<VSPS且つT
a≧TASの場合には、エンジンルーム内が高温状態に
も拘わらず走行風による掃気によってエンジンルーム内
の温度を低下させることができないと判断し、ラジエー
タファンをONさせる(S8)。これにより、エンジン
ルーム内が掃気を要する高温状態のとき、ラジエータフ
ァンからの送風によってエンジンルーム内を強制的に掃
気し、エンジンルーム内の温度が過剰に上昇して各構成
品に熱害が及ぶことを未然に防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンルーム内
を掃気して過剰な温度上昇を防止するラジエータファン
の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車等の車両におけるエン
ジンの水冷式冷却装置では、エンジンを冷却して高温と
なった冷却水をラジエータに循環して冷却し、再びエン
ジンに供給するようにしており、ラジエータにおける熱
交換を促進するため、電動式のラジエータファンを備え
ている。通常、この電動式のラジエータファンは、特開
平5−98963号公報に開示されているように、冷却
水の温度を主たる条件として、車速、エアコンの作動状
態等の条件を組合せて制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ラジエータファン制御では、副次的にエアコンのコンデ
ンサを冷却することはあっても、基本的にはエンジンの
冷却水温度を適正に保持する目的でラジエータファンの
作動を制御している。従って、レジャー用ボートや故障
車両といった重量物を牽引しての走行や登坂走行等によ
る高負荷運転直後のアイドル時、或いは渋滞による低速
走行時等に、エンジンルーム内が高温となっても、冷却
水が所定温度以上の高水温状態にならない限り、ラジエ
ータファンは作動しない。
【0004】このような状況下では、エンジンの冷却水
温度が適正に保持されているにも拘わらずエンジンルー
ム内の雰囲気温度が過剰に高温となる場合があり、ゴム
や樹脂等の材料で形成されるエンジンルーム内に配設さ
れた各種構成品が熱的な影響を受け、耐久性が低下する
虞がある。このため、従来では、エンジンルーム内の温
度を適正に維持するには、強制的にエンジンルーム内を
掃気するための新たな装置を追加する等の措置が必要で
あった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、エンジンルーム内が掃気を要する高温状態のとき、
確実にエンジンルーム内を掃気してエンジンルーム内の
温度を低下させることのできるラジエータファンの制御
装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、車速が設定値より低い低速
走行状態或いは停車状態であって、且つエンジンルーム
内の温度が設定値以上のとき、エンジンルーム内が掃気
を要する高温状態と判断するエンジンルーム内温度状態
判断手段と、エンジンルーム内が掃気を要する高温状態
と判断されたとき、ラジエータファンを作動させてエン
ジンルーム内を掃気するエンジンルーム内掃気手段とを
備えたことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、エンジンの冷却水
温度が所定値以上の条件下でラジエータファンを作動さ
せるラジエータファンの制御装置において、車速が設定
値より低い低速走行状態或いは停車状態であって、且つ
エンジンルーム内の温度が設定値以上のとき、エンジン
ルーム内が掃気を要する高温状態と判断するエンジンル
ーム内温度状態判断手段と、エンジンルーム内が掃気を
要する高温状態と判断されたとき、設定時間の間、冷却
水温度、車速、エンジンルーム内の温度に拘わらずラジ
エータファンを作動させてエンジンルーム内を掃気する
エンジンルーム内掃気手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0008】すなわち、請求項1記載の発明は、車速が
設定値より低い低速走行状態或いは停車状態であって、
且つエンジンルーム内の温度が設定値以上のとき、ラジ
エータファンを作動させてエンジンルーム内を掃気する
ことで、エンジンルーム内に配設された各種構成品に対
する熱害を的確に防止する。
【0009】請求項2記載の発明は、エンジンの冷却水
温度が所定値以上の条件下でラジエータファンを作動さ
せると共に、車速が設定値より低い低速走行状態或いは
停車状態であって、且つエンジンルーム内の温度が設定
値以上のとき、設定時間の間、冷却水温度、車速、エン
ジンルーム内の温度に拘わらずラジエータファンを作動
させてエンジンルーム内を掃気することで、冷却水温度
を適正に維持すると共に、エンジンルーム内の温度を低
下させてエンジンルーム内に配設された各種構成品に対
する熱害を的確に防止する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図3は本発明の実施の一形
態に係わり、図1はエンジン冷却系の概略構成図、図2
は電子制御系の回路構成図、図3はラジエータファン制
御ルーチンを示すフローチャートである。
【0011】先ず、図1に基づきエンジンの冷却系の概
略構成について説明する。同図において符号1は自動車
等の車両用水冷式エンジンであり、本実施の形態におい
ては水平対向エンジンである。このエンジン1のシリン
ダブロック2及び左右バンクのシリンダヘッド3にウォ
ータジャケット4が形成され、このウォータジャケット
4の冷却水入口5にウォータポンプ6の吐出側が接続さ
れている。そして、ウォータポンプ6の吸入側通路7に
サーモスタット8が配設され、このサーモスタット8の
入口側が冷却水通路9を経てラジエータ10に接続され
ている。
【0012】また、エンジン1の上方で各バンクからの
ウォータジャケット4に合流通路11が連通接続し、こ
の合流通路11にラジエータ10に連通するリターン通
路12が接続されている。更に、合流通路11にアイド
ル回転数制御弁(ISC弁)13、スロットルボディ1
4を経由する吸気予熱用冷却水通路15とヒータ16を
経由するヒータ用冷却水通路17とが接続されている。
そして、これら冷却水通路15,17が循環通路18に
合流してウォータポンプ6の吸入側通路7(サーモスタ
ット8の出口側)に接続されている。尚、各バンクから
の冷却水が合流する合流通路11には、エンジン1から
の冷却水の温度を検出する冷却水温センサ19が配設さ
れている。
【0013】そして、冷却水温度の低温時にはサーモス
タット8の閉弁により通路15,17、循環通路18を
介して冷却水が流れ、冷却水温度の上昇に応じてサーモ
スタット8が開き、冷却水の循環に加え、ラジエータ1
0により冷却された冷却水をウォータポンプ6によって
エンジン1の下方からエンジン1のウォータジャケット
4に送出し、ウォータジャケット4で熱交換された冷却
水をエンジン1の上方からラジエータ10に戻すダウン
フロー方式を採用している。
【0014】また、ラジエータ10に、ラジエータ10
からオーバーフローした冷却水を貯溜するリザーブタン
ク20が接続されている。更に、ラジエータ10の前面
にエアコン用のコンデンサ21が配設され、ラジエータ
10の裏面に吸引送風によってラジエータ10及びコン
デンサ21を冷却する2組のラジエータファン22a,
22bが配設されている。これらラジエータファン22
a,22bは、それぞれ電動モータ23a,23bによ
って回転駆動される。
【0015】電動モータ23a,23bには、図2に示
すように、ラジエータファン22a,22bの回転数を
高(HIGH)・低(LOW)の2段階に制御するため
のHIGH入力端子HiとLOW入力端子Lとがそれぞ
れ設けられており、HIGH入力端子HiにはHIGH
用リレーRY2を介してバッテリ24からの電源電圧が
印加され、また、LOW入力端子LにはLOW用リレー
RY1を介して電源電圧がそれぞれ印加される。
【0016】各LOW用リレーRY1、HIGH用リレ
ーRY2は電子制御装置30によってそれぞれON,O
FF制御される。そして、LOW用リレーRY1及びH
IGH用リレーRY2が共にOFFの停止のとき、電動
モータ23a,23bの両入力端子Hi,Lが共に電源
から遮断され、電動モータ23a,23bが停止し、こ
の電動モータ23a,23bの出力軸に取付固定された
ラジエータファン22a,22bが停止状態となる。
【0017】一方、LOW用リレーRY1のみがONさ
れると、電動モータ23a,23bのLOW入力端子L
にのみ電源電圧が印加され、ラジエータファン22a,
22bが所定の低回転数で回転駆動される。また、両リ
レーRY1,RY2が共にONされると、電動モータ2
3a,23bの各入力端子Hi,L共に電源電圧が印加
され、ラジエータファン22a,22bが所定の高回転
数で回転駆動される。
【0018】次に、図2に基づいて電子制御装置(EC
U)30について説明する。ECU30は、CPU3
1、ROM32、RAM33、バックアップRAM3
4、及びI/Oインターフェイス35がバスライン36
を介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心
として構成され、各部に安定化電源を供給する定電圧回
路37、I/Oインターフェイス35に接続される駆動
回路38、及びA/D変換器39等の周辺回路が内蔵さ
れている。
【0019】定電圧回路37は、2回路のリレー接点を
有する電源リレー41の第1のリレー接点を介してバッ
テリ24に接続され、バッテリ24に、電源リレー41
のリレーコイルがイグニッションスイッチ42を介して
接続されている。また、定電圧回路37は、直接、バッ
テリ24に接続されており、イグニッションスイッチ4
2がONされて電源リレー41の接点が閉となるとEC
U30内の各部へ電源を供給する一方、イグニッション
スイッチ42のON,OFFに拘らず、常時、バックア
ップRAM34にバックアップ用の電源を供給する。更
に、バッテリ24には、電源リレー41の第2のリレー
接点を介して各アクチュエータに電源を供給するための
電源線が接続されている。
【0020】I/Oインターフェイス35の入力ポート
には、エンジン運転状態等を検出するためのセンサ、ス
イッチ類として、スロットル弁全閉状態検出のためのア
イドルスイッチ43、ノッキング検出のためのノックセ
ンサ44、エンジン回転数検出用のクランク角センサ4
5、気筒判別用のカム角センサ46、車速を検出するた
めの車速センサ47、エアコンの作動状態を検出するた
めエアコンスイッチ48が接続されている。更に、I/
Oインターフェイス35の入力ポートには、A/D変換
器39を介して、前述の冷却水温センサ19、吸入空気
量を検出するための吸入空気量センサ49、スロットル
弁開度を検出するためのスロットル開度センサ50、排
気ガス中の酸素濃度を検出するためのO2センサ51、
及び吸気温度を検出するための吸気温センサ52が接続
されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタさ
れる。尚、吸気温センサ52は、後述するラジエータフ
ァン制御においてエンジンルーム内の温度状態を判断す
るために用いられ、エアクリーナからインテークマニホ
ルド間の吸気系のいずれかの部位に配設される。
【0021】一方、I/Oインターフェイス35の出力
ポートには、各LOW,HIGH用リレーRY1,RY
2のリレーコイルの一方側端子、ISC弁13、インジ
ェクタ53が駆動回路38を介して接続されると共に、
イグナイタ54が接続されている。尚、各LOW,HI
GH用リレーRY1,RY2のリレーコイルの他方側端
子はイグニッションスイッチのIG端子に接続されてい
る。
【0022】ECU30においては、ROM32に記憶
されている制御プログラムをCPU31で実行し、I/
Oインターフェイス35を介して入力されるセンサ・ス
イッチ類からの検出信号、及びバッテリ電圧VB等を処
理し、RAM33に格納される各種データ、バックアッ
プRAM34に格納されている各種学習データ、ROM
32に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射
量、点火時期、ISC弁13に対する駆動信号のデュー
ティ比等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、アイ
ドル回転数制御等のエンジン制御を行う。
【0023】また、ECU30では、燃料噴射制御、点
火時期制御等のエンジン制御に加え、エンジン1の冷却
水温度、車速、エアコンの作動状態等の条件に応じてリ
レーRY1,RY2をON,OFF制御することで、ラ
ジエータファン22a,22bの作動状態を制御し、エ
ンジンの冷却水温度を適正に保持する。
【0024】このラジエータファン制御においては、冷
却水温度を適正に保持するのみならず、エンジンルーム
内の温度が過剰に上昇することを防止するようにしてい
る。すなわち、ラジエータファン22a,22bが作動
していない状態で、且つ走行風によるエンジンルーム内
の掃気が期待できない状況では、ラジエータファン22
a,22bを強制的に作動させてエンジンルーム内を掃
気し、エンジンルーム内のゴムや樹脂等の材料で形成さ
れる各種構成品に対する熱的な悪影響を未然に回避す
る。
【0025】具体的には、ECU30は、現在、ラジエ
ータファン22a,22bが作動しているか否かを調
べ、ラジエータファンが作動していない場合、車速を設
定値と比較し、また、エンジンルーム内の温度を吸気温
度で代表し、この吸気温度を設定値と比較する。そし
て、車速が設定値より低く、且つ吸気温度が設定値以上
の場合、すなわち、ラジエータファン22a,22bに
よるエンジンルーム内への送風が無く、且つ走行風によ
るエンジンルーム内の掃気も期待できない状況下で、吸
気温度が設定値以上の高温状態にある場合には、エンジ
ンルーム内が掃気を要する高温状態と判断してリレーR
Y1,RY2をONさせ、ラジエータファン22a,2
2bを作動させてエンジンルーム内を確実に掃気するこ
とで、エンジンルーム内の過剰な温度上昇を防止する。
【0026】すなわち、ECU30は、本発明に係るエ
ンジンルーム内温度状態判断手段、エンジンルーム内掃
気手段の機能を有し、具体的には、図3に示すルーチン
によって各手段の機能を実現する。
【0027】以下、ECU30によって実行されるラジ
エータファンの制御処理について、図3に示すラジエー
タファン制御ルーチンのフローチャートを用いて説明す
る。このラジエータファン制御ルーチンは、ECU30
に電源が投入されてシステムがイニシャライズ(バック
アップRAM34の各種学習値及びトラブルデータを除
く、各フラグ、各カウンタ類のクリア)され、エンジン
が始動された後、所定時間毎(例えば、10msec
毎)に実行されるルーチンである。
【0028】ラジエータファン制御ルーチンが実行さる
と、先ず、ステップS1で、ラジエータファン作動フラ
グFLAGの値を参照する。ラジエータファン作動フラ
グFLAGは、ラジエータファン22a,22bをエン
ジンルーム内の掃気のために作動させているか否かを示
すものであり、FLAG=0のフラグクリアでラジエー
タファンOFF(非作動)を示し、FLAG=1のフラ
グセットでラジエータファンON(作動)を示す。
【0029】そして、FLAG=0であり、現在、ラジ
エータファン22a,22bが非作動の場合、ステップ
S2で、冷却水温センサ19による冷却水温度Twを高
水温判定閾値TWS(例えば、90°C)と比較する。
その結果、Tw≧TWSで冷却水温度が高温側のときに
は、ステップS3へ進んでラジエータファン22a,2
2bをON(作動)させてラジエータ10による冷却水
の冷却効果を向上させ、ルーチンを抜ける。
【0030】尚、ステップS3でラジエータファンをO
Nする場合、ラジエータファン22a,22bの作動状
態を最適制御してエンジンの冷却水温度を適正に保持す
ると共にエンジンの動力損失を低減し、騒音レベルの低
減を図ることが望ましい。例えば、車速センサ47によ
る車速VSP、エアコンスイッチ48のON,OFFに
よるエアコン作動状態等の条件に応じて、リレーRY1
のみをONさせてラジエータファン22a,22bを低
速で作動させるか、或いはリレーRY1,RY2を共に
ONしてラジエータファン22a,22bを高速で作動
させるかを決定する。
【0031】以上のステップS2,S3で冷却水温度T
wが高水温判定閾値TWS以上の高水温状態でラジエー
タファン22a,22bを作動させる場合、すなわち、
冷却水温度を適正温度に保持する通常のラジエータファ
ン制御の場合には、ラジエータファン作動フラグFLA
Gはセットされず、次回ルーチン実行時にFLAG=0
でステップS1からステップS2へ進んで、再度、冷却
水温度Twと高水温判定閾値TWSとを比較する。そし
て、Tw≧TWSの高水温条件が成立する限り、ラジエ
ータファン22a,22bの作動を継続する。
【0032】また、ステップS2において、Tw<TW
Sで冷却水温度Twが高水温状態でない場合には、ステ
ップS4,S5で、車速VSPと吸気温度Taとに基づ
き、エンジンルーム内が強制的な掃気を要する高温状態
か否かを判断する。すなわち、ステップS4で車速セン
サ47による車速VSPを低速判定閾値VSPSと比較
し、VSP<VSPSの場合、更に、ステップS5で、
吸気温センサ52による吸気温度Taを吸気温判定閾値
TASと比較する。
【0033】低速判定閾値VSPS、吸気温判定閾値T
ASは、低車速走行或いは停車時のアイドル状態下で走
行風によるエンジンルーム内の掃気が期待できない状況
にあり、エンジンルーム内の温度がエンジンルーム内に
配設された各種構成品に熱害を与える虞のある高温状態
にあるか否かを判断するための設定値である。そして、
両判定閾値VSPS,TASによる条件成立時に、ラジ
エータファン22a,22bを作動させて強制的にエン
ジンルーム内を掃気する。ここで、各判定閾値VSP
S,TASは、エンジン形式、過給機の有無、エンジン
ルーム内の各構成品のレイアウト等を考慮し、予めシミ
ュレーション或いは実験等により求めた適正な設定値が
ROM32に固定データとして記憶されており、例え
ば、VSPS=10Km/h、TAS=130°Cであ
る。
【0034】そして、ステップS4においてVSP≧V
SPSであり、車速が設定値以上で送風の風量が多くエ
ンジンルーム内を十分に掃気可能な場合、或いはステッ
プS5においてTa<TASであり、吸気温度が設定値
より低くエンジンルーム内が高温状態でない場合には、
エンジンルーム内の強制的な掃気は必要ないと判断し、
該当ステップからステップS6へ進む。ステップS6で
は、リレーRY1,RY2をOFFしてラジエータファ
ン22a,22bをOFF(非作動)させ、ルーチンを
抜ける。
【0035】一方、ステップS4においてVSP<VS
PS且つステップS5においてTa≧TASの場合、す
なわち車速が設定車速より低く十分な走行風を得られ
ず、且つ吸気温度が設定値以上の場合には、エンジンル
ーム内が高温状態にも拘わらず走行風による掃気によっ
てエンジンルーム内の温度を低下させることができない
と判断する。そして、ステップS7へ進んでラジエータ
ファン作動フラグFLAGを1にセットし(FLAG←
1)、ステップS8でリレーRY1,RY2をONして
ラジエータファン22a,22bを強制的にON(作
動)させ、ルーチンを抜ける。
【0036】これにより、ラジエータファン22a,2
2bからの送風によってエンジンルーム内が強制的に掃
気され、エンジンルーム内の温度が過剰に上昇して各構
成品に熱害が及ぶことを未然に防止することができる。
この場合、ターボ過給機付きエンジンでは、自然吸気式
エンジンに比較してエンジンルーム内が高温になりがち
であり、特に有効である。
【0037】以上により、エンジンルーム内の掃気のた
めにラジエータファン22a,22bを作動させた後
は、次回ルーチン実行時にFLAG=1でステップS1
からステップS9へ分岐し、ラジエータファン作動後の
経過時間を計時するためのタイマ値TMが設定値TMS
(例えば、600sec)に達したか否かを調べる。そ
して、TM<TMSの場合、ステップS10でタイマ値
TMをカウントアップし(TM←TM+1)、ステップ
S8で、冷却水温度、車速、吸気温度の条件に拘わらず
リレーRY1,RY2をONに保持してラジエータファ
ン22a,22bのON(作動)を継続し、ルーチンを
抜ける。
【0038】その後、時間が経過してTM≧TMSにな
ると、ステップS9からステップS11へ進んでタイマ
値TMをクリア(TM←0)し、ステップS12でラジ
エータファン作動フラグFLAGをクリアして(FLA
G←0)ルーチンを抜ける。このラジエータファン作動
フラグFLAGのクリアにより、次回ルーチン実行時に
FLAG=0でステップS1からステップS2へ進み、
Tw≧TWSの場合にはステップS3でラジエータファ
ンがONされ、Tw<TWSの場合、ステップS4,S
5での判定結果に応じてラジエータファンがON,OF
Fされる。
【0039】すなわち、冷却水温度に基づく通常のラジ
エータファン制御でラジエータファンが非作動の状態で
あっても、車速と吸気温度とに基づいてエンジンルーム
内が掃気を要する高温状態か否かを判断し、掃気を要す
る高温状態である場合には、強制的にラジエータファン
を作動させてエンジンルーム内を掃気するため、冷却水
温度のみならずエンジンルーム内の温度も常に適正に維
持することができる。しかも、エンジンルーム内の掃気
のための新たな装置を追加する等の措置を必要とせず、
従来のラジエータ制御のソフトウエア処理を変更するだ
けであるため、安価なシステム構成で大きな効果を得る
ことが可能である。
【0040】尚、本実施の形態では、ラジエータファン
に、高速回転と低速回転との2段階で切換可能な複相モ
ータを採用しているが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、単相モータを採用した単なる作動・停止のラ
ジエータファンでも良いことは勿論である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エ
ンジンルーム内が掃気を要する高温状態のとき、確実に
エンジンルーム内を掃気してエンジンルーム内の温度を
低下させ、エンジンルーム内に配設された各種構成品の
熱害をより的確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン冷却系の概略構成図
【図2】電子制御系の回路構成図
【図3】ラジエータファン制御ルーチンのフローチャー
【符号の説明】
1 …エンジン 22a,22b…ラジエータファン 30…電子制御装置(エンジンルーム内温度状態判断手
段、エンジンルーム内掃気手段) Tw…冷却水温度 VSP…車速 Ta…吸気温度(エンジンルーム内の温度) VSPS,TAS…判定閾値(設定値)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速が設定値より低い低速走行状態或い
    は停車状態であって、且つエンジンルーム内の温度が設
    定値以上のとき、エンジンルーム内が掃気を要する高温
    状態と判断するエンジンルーム内温度状態判断手段と、 エンジンルーム内が掃気を要する高温状態と判断された
    とき、ラジエータファンを作動させてエンジンルーム内
    を掃気するエンジンルーム内掃気手段とを備えたことを
    特徴とするラジエータファンの制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの冷却水温度が所定値以上の条
    件下でラジエータファンを作動させるラジエータファン
    の制御装置において、 車速が設定値より低い低速走行状態或いは停車状態であ
    って、且つエンジンルーム内の温度が設定値以上のと
    き、エンジンルーム内が掃気を要する高温状態と判断す
    るエンジンルーム内温度状態判断手段と、 エンジンルーム内が掃気を要する高温状態と判断された
    とき、設定時間の間、冷却水温度、車速、エンジンルー
    ム内の温度に拘わらずラジエータファンを作動させてエ
    ンジンルーム内を掃気するエンジンルーム内掃気手段と
    を備えたことを特徴とするラジエータファンの制御装
    置。
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