JP3905157B2 - ラジエータファンシステムの故障診断装置 - Google Patents

ラジエータファンシステムの故障診断装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置に関し、詳しくは、ラジエータファンシステムに対する診断精度及び診断結果の信頼性を向上するラジエータファンシステムの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車等の車輌におけるエンジンの水冷式冷却装置では、エンジンを冷却して高温となった冷却水をラジエータに循環して冷却し、再びエンジンに供給するようにしており、ラジエータにおける熱交換を促進するため電動式ラジエータファンを備えている。そして、本出願人による特開平4−41921号公報に開示されているように、電子制御装置によりエンジンの冷却水温度、車速、エアコンの作動状態等の条件に応じてラジエータファンの作動を制御し、エンジンの冷却水温度を適正に保持すると共にエンジンの動力損失を低減し、騒音レベルの低減を図るようにしている。
【0003】
しかし、電動式ラジエータファンのファンモータ自体の故障によるラジエータファンの回転数低下、ファンモータの焼き付き、固着、或いは、ファンモータ制御系の断線、リレーの故障、ラジエータファンのファンブレード(回転羽)の破損等、ラジエータファンシステムに故障が生じると、電子制御装置から正規に制御信号を出力してもラジエータファンが正常に作動せず、冷却水温度の異常上昇を招き、また、ファンブレードの破損時にはラジエータファンが正常に作動しても十分なラジエータへの送風が得られず、同様に冷却水温度の異常上昇を招いてしまう。
【0004】
このため、例えば、特開平7−259562号公報には、ラジエータファンの高回転制御時においては、水温センサで検出されるエンジンの冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間以上継続したとき、ラジェータファンシステムの故障と判定し、また、ラジエータファンの低回転制御時においては、冷却水温度が所定温度(1°C)上昇するに要した時間を計測し、この上昇時間が所定値以上のとき、ラジエータファンシステムの故障と診断することで、実際にラジエータファンの回転駆動による冷却効果が得られているか否かを診断し、ラジエータファンシステムが正常に機能しているか否かを診断可能とした技術が開示されてる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジン冷却水温度の挙動は、ラジエータファンシステムの正常時においては、エンジン冷却水温度の上昇によるラジエータファンの停止から作動への移行直後は、図14に示すように、ラジエータファン作動による冷却効果が直ちに得られず、そのまま上昇を続け、その後、ラジエータファン駆動による冷却効果により冷却水温度の上昇が抑制されて上昇が止まり、やがて冷却水温度が次第に低下する。すなわち、エンジンの冷却水温度の挙動は一様ではなく、上記先行例では、単にラジエータファンの回転制御時に、エンジンの冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間以上継続したとき、或いは、冷却水温度が所定温度上昇するに要した時間が所定値以上のとき、ラジエータファンシステムの故障と診断しているので、ラジエータファンの停止から作動直後において誤診断を生じる虞があり、正確な故障診断を行うことができず、ラジエータファンシステムに対する故障診断結果に十分な信頼性を得られない不都合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、ラジエータファンシステムに対する診断精度を向上し、診断結果の信頼性を向上することが可能なラジエータファンシステムの故障診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、図1(a)の基本構成図に示すように、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する判別手段と、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、図1(b)の基本構成図に示すように、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているとき、診断条件成立と判断する診断条件判別手段と、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する回転制御移行判別手段と、上記診断条件の成立時、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1或いは請求項2記載の発明において、上記診断手段は、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する判別手段と、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているとき、診断条件成立と判断する診断条件判別手段と、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する回転制御移行判別手段と、上記診断条件の成立時、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4或いは請求項5記載の発明において、上記診断手段は、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断することを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項1記載の発明では、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断し、停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0014】
請求項2記載の発明では、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているときに、診断条件成立と判断し、この診断条件の成立下において、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0015】
更に、請求項3記載の発明では、故障診断に際し、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0016】
請求項4記載の発明では、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断し、停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0017】
請求項5記載の発明では、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているときに、診断条件成立と判断し、この診断条件の成立下において、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0018】
更に、請求項6記載の発明では、故障診断に際し、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図2〜図13に基づいて本発明の実施の一形態を説明する。
【0020】
先ず、図12に基づきエンジンの冷却系の概略構成について説明する。同図において符号1は自動車等の車輌用水冷式エンジンであり、本実施の形態においては水平対向エンジンである。このエンジン1のシリンダブロック2及び左右バンクのシリンダヘッド3にウォータジャケット4が形成され、このウォータジャケット4の冷却水入口5にウォータポンプ6の吐出側が接続されている。
【0021】
そして、上記ウォータポンプ6の吸入側通路7にサーモスタット8が配設され、このサーモスタット8の入口側が冷却水通路9を経てラジエータ10に接続されいる。
【0022】
また、エンジン1の上方で各バンクからのウォータジャケット4に合流通路11が連通接続し、この合流通路11に上記ラジエータ10に連通するリターン通路12が接続されている。更に、上記合流通路11にアイドル回転数制御弁(ISC弁)13、スロットルボディ14を経由する吸気予熱用冷却水通路15とヒータ16を経由するヒータ用冷却水通路17とが接続されている。そして、これら冷却水通路15,17が循環通路18に合流して上記ウォータポンプ6の吸入側通路7(サーモスタット8の出口側)に接続されている。
【0023】
なお、各バンクからの冷却水が合流する上記合流通路11には、エンジン1からの冷却水の温度を検出する冷却水温センサ19が配設されている。
【0024】
そして、冷却水温度の低温時にはサーモスタット8の閉弁により通路15,17、循環通路18を介して冷却水が流れ、冷却水温度の上昇に応じてサーモスタット8が開き、上記冷却水の循環に加え、ラジエータ10により冷却された冷却水をウォータポンプ6によってエンジン1の下方から該エンジン1のウォータジャケット4に送出し、ウォータジャケット4で熱交換された冷却水をエンジン1の上方から上記ラジエータ10に戻すダウンフロー方式を採用している。
【0025】
また、上記ラジエータ10に、ラジエータ10からオーバーフローした冷却水を貯溜するリザーブタンク20が接続されている。更に、ラジエータ10の前面にエアコン用のコンデンサ21が配設され、ラジエータ10の裏面に吸引送風によってラジエータ10及びコンデンサ21を冷却する2組のラジエータファン22a,22bが配設されており、これらラジエータファン22a,22bは、それぞれ電動モータ23a,23bによって回転駆動される。
【0026】
上記電動モータ23a,23bには、図13に示すように、ラジエータファン22a,22bの回転数を高(HIGH)・低(LOW)の2段階に制御するためのHIGH入力端子HiとLOW入力端子Lとがそれぞれ設けられており、HIGH入力端子HiにはHIGH用リレーRY2を介してバッテリ24からの電源電圧が印加され、また、LOW入力端子LにはLOW用リレーRY1を介して電源電圧がそれぞれ印加される。
【0027】
上記各LOW用リレーRY1、HIGH用リレーRY2は電子制御装置30によってそれぞれON,OFF制御される。そして、LOW用リレーRY1及びHIGH用リレーRY2が共にOFFの停止モード(OFFモード)のとき、電動モータ23a,23bの両入力端子Hi,Lが共に電源から遮断され、電動モータ23a,23bが停止し、この電動モータ23a,23bの出力軸に取付固定された上記ラジエータファン22a,22bが停止状態となる。一方、LOWモードで、LOW用リレーRY1のみがONされると、電動モータ23a,23bのLOW入力端子Lにのみ電源電圧が印加され、ラジエータファン22a,22bが所定の低回転数で回転駆動され、また、HIGHモードで、両リレーRY1,RY2が共にONされると、電動モータ23a,23bの各入力端子Hi,L共に電源電圧が印加され、ラジエータファン22a,22bが所定の高回転数で回転駆動されるようになっている。
【0028】
上記電子制御装置30は、燃料噴射制御、点火時期制御等のエンジン制御に加え、エンジン1の冷却水温度、車速、エアコンの作動状態等の条件に応じて上記リレーRY1,RY2をON,OFF制御して、ラジエータファン22a,22bの作動状態を最適制御し、エンジンの冷却水温度を適正に保持すると共にエンジンの動力損失を低減し、騒音レベルの低減を図るようにしている。
【0029】
次に、図13に基づいて上記電子制御装置(ECU)30について説明する。
【0030】
上記ECU30は、CPU31、ROM32、RAM33、バックアップRAM34、及びI/Oインターフェイス35がバスライン36を介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に安定化電源を供給する定電圧回路37、上記I/Oインターフェイス35に接続される駆動回路38、及びA/D変換器39等の周辺回路が内蔵されている。
【0031】
上記定電圧回路37は、2回路のリレー接点を有する電源リレー41の第1のリレー接点を介して上記バッテリ24に接続され、バッテリ24に、上記電源リレー41のリレーコイルがイグニッションスイッチ42を介して接続されている。また、上記定電圧回路37は、直接、上記バッテリ24に接続されており、イグニッションスイッチ42がONされて電源リレー41の接点が閉となるとECU30内の各部へ電源を供給する一方、上記イグニッションスイッチ42のON,OFFに拘らず、常時、上記バックアップRAM34にバックアップ用の電源を供給する。更に、上記バッテリ24には、電源リレー41の第2のリレー接点を介して各アクチュエータに電源を供給するための電源線が接続されている。
【0032】
上記I/Oインターフェイス35の入力ポートには、エンジン運転状態等を検出するためのセンサ、スイッチ類としてスロットル弁全閉状態検出のためのアイドルスイッチ43、ノッキング検出のためのノックセンサ44、エンジン回転数検出用のクランク角センサ45、気筒判別用のカム角センサ46、車速を検出するための車速センサ47、エアコンの作動状態を検出するためエアコンスイッチ48が接続されており、更に、上記A/D変換器39を介して上記冷却水温センサ19、吸入空気量センサ49、スロットル開度センサ50、及びO2センサ51が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。
【0033】
一方、上記I/Oインターフェイス35の出力ポートには、上記各LOW,HIGH用リレーRY1,RY2のリレーコイルの一方側端子、上記ISC弁13、インジェクタ52、及び、図示しないインストルメントパネルに配設され各種警報を集中表示する警報ランプ53が上記駆動回路38を介して接続されると共に、イグナイタ54が接続されている。
【0034】
なお、上記各LOW,HIGH用リレーRY1,RY2のリレーコイルの他方側端子はイグニッションスイッチのIG端子に接続されている。
【0035】
また、上記I/Oインターフェイス35には、外部接続用コネクタ55が接続されており、この外部接続用コネクタ55にシリアルモニタ(携帯型故障診断装置)60を接続することで、シリアルモニタ60によってECU30における入出力データ及びECU30の自己診断機能により上記バックアップRAM34にストアされた故障部位、故障内容を表すトラブルデータを読み出して診断可能としている。更に、上記シリアルモニタ60によって、ラジエータファンシステムの故障が生じたことを示す後述するラジエータファンシステム異常フラグFRANGを含むトラブルデータのイニシャルセット(クリア)が行えるようになっている。
【0036】
なお、このシリアルモニタ60によるトラブルデータの診断、及びイニシャルセットについては、本出願人による特公平7−76730号公報に詳述されている。
【0037】
上記CPU31では、ROM32に記憶されている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス35を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号、及びバッテリ電圧VB等を処理し、RAM33に格納される各種データ、バックアップRAM34に格納されている各種学習データ、ROM32に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射量、点火時期、ISC弁13に対する駆動信号のデューティ比等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御等のエンジン制御を行うと共に、冷却水温度、車速、エアコンの作動状態等の条件に応じて上記リレーRY1,RY2をON,OFF制御して、ラジエータファン22a,22bの作動状態を最適制御し、エンジンの冷却水温度を適正に保持するよう制御する。
【0038】
このような制御系において、上記電動モータ23a,23bの故障によるラジエータファン22a,22bの回転数低下、電動モータ23a,23bの焼き付き、固着、或いは、ECU30から上記リレーRY1,RY2を介して電動モータ23a,23bに至る制御系の断線、電源線の断線、コネクタハーネスの接続不良、リレーRY1,RY2の故障、ラジエータファン22a,22bのファンブレード(回転羽)の破損等、ラジエータファンシステムに故障が生じると、ECU30から正規に制御信号を出力してもラジエータファン22a,22bが正常に作動せず、冷却水温度の異常上昇を招く。また、ラジエータファン22a,22bのファンブレードの破損時にはラジエータファン22a,22bが正常に作動しても十分なラジエータへの送風が得られず、同様に冷却水温度の異常上昇を招いてしまう。
【0039】
このため、上記CPU31では、ROM32に記憶された故障診断プログラムに従って、ラジエータファンシステムに対する故障診断を行うようになっており、所定の診断条件が成立しているか否かを判断し、診断条件が成立しているとき、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御への移行を判断し、停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0040】
すなわち、ECU30によって本発明に係る判別手段、診断手段、及び、診断条件判別手段、回転制御移行判別手段の各機能が実現される。
【0041】
以下、上記ECU30によって実行される本発明に係る制御処理及び故障診断処理について、図2〜図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】
先ず、イグニッションスイッチ42がONされ、ECU30に電源が投入されると、システムがイニシャライズされ、バックアップRAM34に格納されている各種学習値及びトラブルデータを除く、各フラグ、各カウンタ類が初期化される。そして、スタータスイッチ(図示せず)がONされてエンジンが起動すると、クランク角センサ45から所定クランク角毎にクランク角信号が入力され、このクランク角信号に基づきエンジン回転数を算出し、カム角センサ46からの信号に基づき気筒判別を行う。なお、この気筒判別結果は、ここでは詳述しないが、燃料噴射制御、点火時期制御等に反映される。
【0043】
そして、所定時間毎に、図2〜図5に示す各ルーチンが実行される。
【0044】
先ず、ラジエータファンシステムに対する故障診断に先立ち、本形態のラジエータファン制御について図2及び図3に示すラジエータファン制御ルーチンに基づいて説明する。
【0045】
このラジエータファン制御ルーチンは、冷却水温度、車速、エアコンの作動状態等の条件に応じて上記各リレーRY1,RY2をON,OFF制御して、ラジエータファン22a,22bの作動状態を最適制御するものであり、先ず、ラジエータファン22a,22bに対する制御モードを決定するための冷却水温条件をステップS1〜S6で判断する。
【0046】
すなわち、ステップS1で、冷却水温度Twが高温判定値RATW以上の高温状態をフラグセット状態で示す水温条件判別フラグFTWを参照し、FTW=0のラジエータファン制御ルーチンの初回実行時、或いは前回のルーチン実行時において冷却水温度Twが低温側のときには、ステップS2へ進み、第1の高温判定値RATWH(例えば、95°C)により高温判定値RATWを設定し、また、FTW=1で前回のルーチン実行時に冷却水温度Twが高温側のときには、ステップS3へ進み、第2の高温判定値RATWL(例えば、89°C)により高温判定値RATWを設定する。
【0047】
続くステップS4で、冷却水温センサ19による冷却水温度Twを高温判定値RATWと比較し、Tw≧RATWの冷却水温度Twが高温側のとき、ステップS5へ進み、水温条件判別フラグFTWをセットし(FTW←1)、Tw<RATWの冷却水温度Twが低温側のとき、ステップS6へ進み、水温条件判別フラグFTWをクリアする(FTW←0)。これにより、図6に示すように、冷却水温判定に基づくラジエータファン22a,22bの作動切換えにヒステリシスを設け、制御ハンチングを防止する。
【0048】
次いで、ステップS7〜S12で車速条件を判断する。ステップS7では、車速VSPが車速判定値RAVSP以上の高速側の状態をフラグセット状態で示す車速条件判別フラグFVSPを参照し、FVSP=0のラジエータファン制御ルーチンの初回実行時、或いは前回のルーチン実行時において車速VSPが低速側のときには、ステップS8へ進み、第1の車速判定値RAVSPH(例えば、20km/h)により車速判定値RAVSPを設定してステップS10へ進む。また、FVSP=1で前回のルーチン実行時に車速VSPが高速側のときには、ステップS9へ進み、第2の車速判定値RAVSPL(例えば、10km/h)により車速判定値RAVSPを設定して、ステップS10へ進む。
【0049】
ステップS10では、車速センサ47による車速VSPを車速判定値RAVSPと比較し、VSP≧RAVSPの車速VSPが高速側のとき、ステップS11へ進み、車速条件判別フラグFVSPをセットし(FVSP←1)、VSP<RAVSPの車速VSPが低速側のとき、ステップS12へ進み、車速条件判別フラグFVSPをクリアする(FVSP←0)。その結果、図7に示すように、車速判定に基づくラジエータファン22a,22bの作動切換えにヒステリシスが設けられ、制御ハンチングが防止される。
【0050】
そして、ステップS13〜S19で、上記各フラグFTW,FVSP、及びエアコンの作動状態に応じて制御モードを決定する。すなわち、ステップS13で、水温条件判別フラグFTWを参照し、FTW=1で冷却水温度TWが高温側のときには、ステップS14へ進み、エアコンスイッチ48がONかOFFかを判断し、エアコンスイッチ48がOFFのエアコン停止時には、ステップS17へジャンプし、エアコンスイッチ48がONのエアコン作動状態のとき、ステップS15へ進んで、制御モードデータMODEを“11”とし(MODE←11)、HIGHモードを選択する。上記制御モードデータMODEは2ビットデータであり、MODE=11のときHIGHモードが、MODE=10のときLOWモードが、MODE=00のとき停止モード(OFFモード)がそれぞれ選択される。
【0051】
すなわち、冷却水温度Twが高温状態であり、且つエアコンの作動時には、車速状態に拘らずHIGHモード(MODE=11)を選択することで、ラジエータファン22a,22bを所定の高回転数で回転作動させ、ラジエータ10による冷却水の冷却効果を向上させると共に、コンデンサ21による冷媒の放熱効果を向上させる。
【0052】
また、上記ステップS13で、FTW=0の冷却水温度Twが低温側のときには、ステップS16へ進み、エアコンスイッチ48によりエアコン作動状態かを判断し、エアコンスイッチ48がONでエアコン作動状態のときには、ステップS17へ進む。
【0053】
そして、上記ステップS14或いはステップS16からステップS17へ進むと、車速条件判別フラグFVSPを参照し、FVSP=1で車速VSPが高速側にある車輌走行時には、上記ステップS15へ進んで、HIGHモードを選択し(MODE←11)、また、FVSP=0で車輌停止或いは車輌低速走行時には、ステップS18へ進み、制御モードデータMODEを“10”とし(MODE←10)、LOWモードを選択する。すなわち、エアコンが停止しているときであっても冷却水温度Twが高温側のとき、或いは、冷却水温度Twが低温側であってもエアコン作動時には、車速が高速側の車輌走行下においては暗騒音が大きくラジエータファン22a,22b作動による騒音が無視でき、且つ図示しないオルタネータの発電によって、ラジエータファン22a,22bを回転駆動する電動モータ23a,23bの電源電圧に対する負荷の影響が小さく、従って、このときには、HIGHモードを選択してラジエータファン22a,22bを高回転で作動させることで、ラジエータ10による冷却水の冷却効果の向上、或いは、コンデンサ21による冷媒の放熱効果の向上を優先する。
【0054】
また、エアコン停止で冷却水温度Twが高温側、或いは冷却水温度Twが低温側でエアコン作動が作動している状態下であって、車輌の停止時、或いは車輌の低速走行時には、LOWモードを選択して(MODE=10)、ラジエータファン22a,22bを所定の低回転数で回転作動させることで、ラジエータ10による冷却水の冷却効果、或いは、コンデンサ21による冷媒の放熱効果を損なわない範囲で、ラジエータファン22a,22bを作動させ、ラジエータファン22a,22bの作動による騒音を低減すると共に、ラジエータファン22a,22bを回転駆動する電動モータ23a,23b作動に伴う負荷を低減する。
【0055】
一方、上記ステップS16で、エアコンスイッチ48がOFFのとき、すなわち、冷却水温度Twが低温側であり、且つエアコンの停止時には、ステップS19へ進み、制御モードデータMODEを“00”とし、停止モード(OFFモード)を選択する。
【0056】
すなわち、冷却水温度Twが低温側で、且つエアコンの停止時には、車速状態に拘らずOFFモード(MODE=00)を選択することで、ラジエータファン22a,22bの回転を停止し、必要以上の冷却水温度Twの低下を防止すると共に、ラジエータファン22a,22b作動による騒音を防止し、且つラジエータファン22a,22bを回転駆動する電動モータ23a,23bの作動による無駄なエネルギの浪費を防止する。
【0057】
そして、ステップS20以降の処理で、上記制御モードデータMODEによる制御モードに応じて前記各リレーRY1,RY2をON、OFF制御すると共に、制御モードの切換わり時には、ディレイ制御(遅延制御)を行い、ラジエータファン22a,22bの回転作動と停止とのハンチングを防止し、制御モード切換えの円滑化を図る。なお、以上の冷却水温度Tw、車速VSP、及びエアコンの作動状態の条件に応じた制御モード、及び、この制御モードに対応する上記各リレーRY1,RY2に対するON,OFF制御を、まとめて図8の図表に示す。
【0058】
ステップS20では、制御モードデータMODEを参照し、MODE=00で停止モードが選択されているときには、ステップS21へ進み、制御モード切換わり後の時間を計時するためのディレイ時間カウント値CDLをクリアし(CDL←0)、続くステップS22,S23で、各LOW用リレーRY1、HIGH用リレーRY2をそれぞれOFFして、ルーチンを抜ける。従って、停止モードが選択されているときには、各LOW用リレーRY1、HIGH用リレーRY2のOFFにより電動モータ23a,23bの両入力端子Hi,Lが共に電源から遮断され、電動モータ23a,23bが停止し、この電動モータ23a,23bの出力軸に取付固定された上記ラジエータファン22a,22bが停止する。
【0059】
また、上記ステップS20で、MODE≠00でLOWモード或いはHIGHモードが選択されているときには、ステップS24へ進み、ディレイ時間カウント値CDLを第1の遅延時間設定値DL1(例えば、2sec相当値)と比較する。そして、CDL<DL1でLOWモード或いはHIGHモード条件成立の継続時間が第1の遅延時間設定値DL1により定まる設定時間に達していないときには、ステップS28へジャンプし、ディレイ時間カウント値CDLをカウントアップして(CDL←CDL+1)、ルーチンを抜ける。
【0060】
一方、上記ステップS24で、CDL≧DL1のときには、ステップS25へ進み、ディレイ時間カウント値CDLを第2の遅延時間設定値DL2(DL2>DL1;例えば、2.7sec相当値)と比較する。そして、CDL<DL2でLOWモード或いはHIGHモード条件成立の継続時間が、上記第1の遅延時間設定値DL1と第2の遅延時間設定値DL2との間にあるときには、ステップS26へ進んで、上記LOW用リレーRY1をOFFすると共に、ステップS27でHIGH用リレーRY2をONし、ステップS28で、上記ディレイ時間カウント値CDLをカウントアップしてルーチンを抜ける。
【0061】
そして、LOWモード或いはHIGHモード条件成立の継続時間が、第2の遅延時間DL2に達すると、CDL≧DL2により上記ステップS25からステップS29へ分岐して、再び制御モードデータMODEを参照し、現在選択されている制御モードはMODE=10のLOWモードかMODE=11のHIGHモードかを判断する。
【0062】
そして、現在選択されている制御モードがLOWモード(MODE=10)のとき、ステップS29からステップS30へ進んで、LOW用リレーRY1をONし、続くステップS31で、HIGH用リレーRY2をOFFしてルーチンを抜ける。
【0063】
従って、両リレーRY1,RY2が共にOFFでラジエータファン22a,22bが停止している停止モードからLOWモードへの切換わり時には、図9に示すように、LOWモード条件成立の継続時間が、第1の遅延時間設定値DL1により定まる第1の設定時間を経過するまでは、両リレーRY1,RY2が共にOFFのまま保持される。そして、第1の設定時間(DL1)に達した時点で、HIGH用リレーRY2のみがONされ、電動モータ23a,23bのHIGH入力端子Hiのみに電源電圧が印加されて電動モータ23a,23bによるラジエータファン22a,22bの回転が開始される。その後、第2の設定時間(DL2)に達すると、HIGH用リレーRY2がOFFされ、LOW用リレーRY1がONし、電動モータ23a,23bのLOW入力端子Lにのみ電源電圧が印加されて、ラジエータファン22a,22bが所定の低回転数で回転駆動される。これにより、停止モードからLOWモードへの切換わり時におけるラジエータファンの回転作動と停止とのハンチングが防止され、且つ、ラジエータファン22a,22bの回転作動を停止する停止モードから所定の低回転数でラジエータファン22a,22bを回転作動させるLOWモードへ円滑に切換えることが可能となる。
【0064】
一方、上記ステップS29において、MODE≠10、すなわちMODE=11でHIGHモードが選択されているときには、ステップS32に分岐し、ディレイ時間カウント値CDLを第3の遅延時間設定値DL3(DL3>DL2;例えば、5sec相当値)と比較する。そして、CDL<DL3でHIGHモード条件成立の継続時間が、上記第2の遅延時間設定値DL2と第3の遅延時間設定値DL3との間にあるときには、上記ステップS28を経てルーチンを抜ける。従って、このときには、LOW用リレーRY1のみONのLOWモードが保持される。
【0065】
やがて、HIGHモード条件成立の継続時間が上記第3の遅延時間設定値DL3に達し、CDL≧DL3となると、ステップS33へ進み、上記LOW用リレーRY1をONすると共に、ステップS34で、HIGH用リレーRY2をONして、ルーチンを抜ける。
【0066】
すなわち、両リレーRY1,RY2が共にOFFでラジエータファン22a,22bが停止している停止モードからHIGHモードへの切換わり時には、図10に示すように、HIGHモード条件成立の継続時間が、第1の遅延時間設定値DL1により定まる第1の設定時間を経過するまでは、両リレーRY1,RY2が共にOFFのまま保持される。そして、第1の設定時間(DL1)に達した時点で、HIGH用リレーRY2のみがONされ、電動モータ23a,23bのHIGH入力端子Hiのみに電源電圧が印加されて電動モータ23a,23bによるラジエータファン22a,22bの回転が開始される。そして、第2の設定時間(DL2)に達すると、HIGH用リレーRY2がOFFされ、LOW用リレーRY1がONし、電動モータ23a,23bのLOW入力端子Lにのみ電源電圧が印加されて、ラジエータファン22a,22bが所定の低回転数で回転駆動される。その後、第3の設定時間(DL3)を経過した時点で、LOW用リレーRY1に加えてHIGH用リレーRY2がONされ、両リレーRY1,RY2のONにより電動モータ23a,23bの各入力端子Hi,L共に電源電圧が印加されて、電動モータ23a,23bの回転駆動によってラジエータファン22a,22bが所定の高回転数で回転作動される。従ってこの場合においても、停止モードからHIGHモードへの切換わり時におけるラジエータファン22a,22bの回転作動と停止とのハンチングが防止され、且つ、ラジエータファン22a,22bの回転作動を停止する停止モードから所定の高回転数でラジエータファン22a,22bを回転作動させるHIGHモードへ円滑に切換えることが可能となる。
【0067】
なお、LOWモードからHIGHモードへの切換わり時には、HIGHモード条件成立の継続時間がDL3−DL2(例えば、5−2.7=2.3sec)を経過した後、両リレーRY1,RY2がONされ、電動モータ23a,23bの各入力端子Hi,L共に電源電圧が印加されて、電動モータ23a,23bの回転駆動によってラジエータファン22a,22bが所定の高回転数で回転作動される。また、LOWモード或いはHIGHモードから停止モードへの切換わり時には、ディレイ制御を行わず、停止モード条件成立時、直ちに両リレーRY1,RY2がOFFされ、ラジエータファン22a,22bの回転が停止される。
【0068】
そして、以上のラジエータファン制御ルーチンに対し、図4及び図5に示すラジエータファンシステム故障診断ルーチンが所定時間毎に実行され、ラジエータファンシステムに対する故障診断を行う。
【0069】
このラジエータファンシステム故障診断ルーチンにおいては、先ず、ステップS51〜S56で診断条件が成立しているか否かを判断する。ステップS51では、故障診断に使用する各パラメータを検出するためのセンサ、スイッチ類が正常であるか否かを判断する。すなわち、故障診断に使用する各パラメータを検出するためのセンサ、スイッチ類が異常の時には、故障診断を行っても適正な診断結果が得られず、ラジエータファンシステムに対する故障診断を行っても誤診断を招く。従って、エンジン回転数NEを検出するためのクランク角センサ45、カム角センサ46、スロットル弁の全閉状態を検出するアイドルスイッチ43、上記冷却水温センサ19、及び車速センサ47の全てが正常か否かを判断し、全てが正常の時のみ、ステップS52へ進み、何れか一つでも異常の時には診断条件不成立と判断し、ステップS57へジャンプする。
【0070】
ステップS52〜S54では、車輌停車中のアイドル状態か否かを判断する。すなわち、ステップS52で、エンジン回転数NEが下限値NL(例えば、500rpm)と上限値(例えば、1500rpm)との間のアイドル回転数にあるかを判断し、ステップS53で、アイドルスイッチ43がONのスロットル弁全閉状態かを判断し、続くステップS54で、車速VSP=0の車輌停車状態かを判断する。そして、NL≦NE≦NHのアイドル回転数、且つアイドルスイッチ43がONのスロットル弁全閉状態、且つVSP=0のとき、車輌停車中のアイドル状態と判断し、ステップS55へ進み、エアコンの作動状態を判断する。また、上記ステップS52で、NE<NL或いはNE>NHのとき、或いはステップS53で、アイドルスイッチ43がOFFの非アイドル時、或いは、ステップS54で、VSP≠0の車輌走行状態の時には、診断条件不成立と判断して該当ステップからステップS57へジャンプする。
【0071】
すなわち、NE<NLのときにはエンストを生じる虞があり、また、NE>NH或いはアイドルスイッチ43がOFFのスロットル弁の開弁時には、エンジン回転数或いはエンジン負荷の変化により冷却水温度Twの挙動が変化し、更に、VSP≠0の車輌走行時には車速VSPによる走行風の変化に起因して冷却水温度Twの挙動が変化するため、冷却水温度Twに基づいてラジエータファンシステムに対する故障診断を行っても適正な故障診断結果が得られず、従って、このときを除外するのである。
【0072】
ステップS55では、エアコンスイッチ48がOFFか否かを判断し、エアコンスイッチ48がOFFのエアコン停止時、ステップS56へ進み、バッテリ電圧VBを判断し、また、エアコンスイッチ48がONのエアコン作動時には、診断条件不成立と判断してステップS57へジャンプする。エアコンスイッチ48がONのエアコン作動時には、上述のように冷却水温度Twの低下を目的としてラジエータファン22a,22bを作動させるのみならず、コンデンサ21による冷媒の放熱効果を得るためラジエータファン22a,22bを回転作動させており、このとき、冷却水温度Twに基づいてラジエータファンシステムに対する故障診断を行っても、同様に、適正な故障診断結果が得られない。従って、このときも故障診断から除外するのである。
【0073】
続くステップS56では、バッテリ電圧VBを下限値VBL(例えば、8V)と比較する。バッテリ電圧VBが下限値VBLよりも低いときには、電動モータにより回転駆動されるラジエータファン22a,22bの回転数が正規の回転数よりも低下し、このため、ラジエータファン22a,22bによるラジエータ10への送風が減少し、ラジエータファンシステムが正常であっても冷却効果が低下し、適正な故障診断結果が得られない。従って、VB<VBLのときには、診断条件不成立と判断してステップS57へ進む。
【0074】
そして、VB≧VBLのとき、すなわち、ラジエータファンシステムの故障診断に使用する各パラメータを検出するためのセンサ、スイッチ類が全て正常であり、且つ、車輌停車中のアイドル状態、且つ、エアコンが停止しており、且つ、バッテリ電圧VBが下限値VBL以上のとき、診断条件成立と判断して、ステップS60へ進み、ステップS60以降の処理で、冷却水温度Twの上昇を条件としてラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御へ移行したかを判断し、回転制御への移行後、ラジエータファンシステムに対する故障診断を行う。
【0075】
一方、上記ステップS51〜S56の何れかで診断条件の不成立時には、該当するステップからステップS57へ進み、ラジエータファンシステムに対する診断条件の成立時にセットされるラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAをクリアし(FRA←0)、ステップS58で、ラジエータファン制御における冷却水温度条件が低温側から高温側に移行したときにセットされる診断開始条件判別フラグFCHをクリアし(FCH←0)、続くステップS59で、冷却水温度Twの挙動異常の継続時間を計時するための冷却水温異常継続時間カウント値CRAをクリアして(CRA←0)、ルーチンを抜ける。
【0076】
診断条件の成立によりステップS60へ進むと、ラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAを参照する。このラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAは、上記ステップS51〜S56による診断条件が全て成立している状態下で、ラジエータファン制御における冷却水温度条件が低温側から高温側に移行して、上記リレーRY1に対しOFF制御からON制御に移行し、ラジエータファン22a,22bの停止状態からラジエータファン22a,22bを作動させる制御信号が出力セットされたとき、セットされる。
【0077】
従って、上記ステップS60においてFRA=0のときには、ステップS61へ進み、ステップS61〜S64で、冷却水温度Twの上昇を条件としてラジエータファン22a,22bの停止状態からラジエータファン22a,22bを作動させる制御信号が出力セットされ、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御へ移行したかを判断する。すなわち、ステップS61で、上記LOW用リレーRY1に対する制御信号出力状態を判断し、LOW用リレーRY1に対しOFF信号出力中であり(RY1=OFF)、ラジエータファン22a,22bが停止状態のとき、ステップS62へ進み、上述のラジエータファン制御ルーチンにおいて設定される水温条件判別フラグFTWを参照し、水温条件判別フラグFTWがクリアからセットに移行したかによって、冷却水温度条件が低温側から高温側に移行したかを判断する。
【0078】
ここで、上述のラジエータファン制御ルーチンにおいては、図8の図表に示すように、エアコン停止(エアコンOFF)且つ車輌停車中(車速条件LOW)の状態下で、冷却水温度条件が低温側(LOW)から高温側(HIGH)に移行したとき、各リレーRY1,RY2をOFFしてラジエータファン22a,22bを停止する停止モードからLOW用リレーRY1をONして電動モータ23a,23bによりラジエータファン22a,22bを回転駆動するLOWモードに切換わり、且つ、このとき上述のようにディレイ制御を採用している。従って、上記LOW用リレーRY1に対する制御信号出力状態と水温条件判別フラグFTWの変化とに基づいて、冷却水温度Twの上昇を条件としてラジエータファン22a,22bの停止状態からラジエータファン22a,22bを作動させる制御信号が出力セットされ、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御へ移行したかを判断するのである。
【0079】
そして、上記ステップS62において、水温条件判別フラグFTWがクリアからセットに移行していないときには、冷却水温度条件が低温側から高温側に移行しておらず、条件不成立のため、そのままルーチンを抜け、一方、前回ルーチン実行時に水温条件判別フラグFTWがクリアされており(FTW=0)、今回のルーチン実行時、水温条件判別フラグFTWがセットされているときは、冷却水温度Twが低温側から高温側に移行したと判断し、ステップS63で、診断開始条件判別フラグFCHをセットして(FCH←1)、ルーチンを抜ける。
【0080】
そして、この状態下で、上述のラジエータファン制御ルーチンによって上記LOW用リレーRY1に対しON信号が出力セットされると、ステップS51〜S60を介しステップS61からステップS64へ進み、診断開始条件判別フラグFCHを参照し、FCH=1のとき、冷却水温度Twの上昇を条件としてラジエータファン22a,22bの停止状態からラジエータファン22a,22bを作動させる制御信号が出力セットされ、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御へ移行したと判断し、ラジエータファンシステム診断実行条件の成立によりステップS65で、ラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAをセットし(FRA←1)、ステップS66で、診断開始条件判別フラグFCHをクリアし(FCH←0)、続くステップS67で、現在の冷却水温度Twを読込み、この冷却水温度Twによって極大値TwMAXを初期設定して(Tw←TwMAX)、ルーチンを抜ける。
【0081】
上記極大値TwMAXは、ラジエータファンシステム診断実行条件成立時、冷却水温度Twの挙動によりラジエータファンシステムに対する故障診断を行うためのもので、このときの冷却水温度Twの極大値を示し、冷却水温度Twの上昇に応じ、該冷却水温度Twにより順次更新される。
【0082】
なお、上記ステップS64で、FCH=0のときには、ステップS51〜S56による診断条件の成立以前からLOW用リレーRY1がONであり、ラジエータファンシステム診断実行条件の不成立により、そのままルーチンを抜ける。
【0083】
そして、冷却水温度Twの上昇を条件とするラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御への移行によりラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAがセットされたことで、次回以降のルーチン実行時には、ステップS51〜S56の条件が成立しステップS60へ進むと、FRA=1によりステップS68へ進み、ステップS68以降で冷却水温度Twに基づいてラジエータファンシステムに対する故障診断を行う。
【0084】
ステップS68では、冷却水温センサ19による現在の冷却水温度Twを読込み、ステップS69で、現在の冷却水温度Twを極大値TwMAXと比較する。そして、冷却水温度Twの低下がなく、冷却水温度Twの上昇によりTwMAX<Twのときには、ステップS70へ進み、極大値TwMAXを現在の冷却水温度Twによって更新し(TwMAX←Tw)、ステップS76へジャンプする。
【0085】
一方、上記ステップS69でTw≦TwMAXのときには、ステップS71へ進み、極大値TwMAXから冷却水温度Twを減算して冷却水温度低下量ΔTwを算出し(ΔTw←TwMAX−Tw)、ステップS72で、この冷却水温度低下量ΔTwを、ラジエータファンシステムの正常時において取り得る予め設定された水温低下判定値Tw1と比較する。
【0086】
そして、ΔTw≧Tw1でラジエータファンシステムが正常であると判断されるだけ冷却水温度Twの低下が認められたとき、ステップS73へ進み、バックアップRAM34の所定アドレスにストアされラジエータファンシステムが異常であることを示すラジエータファン異常フラグFRANGをクリアして、ラジエータファンシステムが正常であると確定し、次回の故障診断に備えステップS74で、ラジエータファンシステム診断条件判別フラグFRAをクリアし、ステップS75で、冷却水温度Twの挙動異常の継続時間を計時するための冷却水温異常継続時間カウント値CRAをクリアして、ルーチンを抜ける。
【0087】
また、上記ステップS72においてΔTw<Tw1のときには、ステップS76へ進む。
【0088】
そして、上記ステップS70或いはステップS72からステップS76へ進むと、現在の冷却水温度Twをラジエータファンシステムが正常であれば到達しない予め設定された異常水温判定値Tw2と比較し、Tw<Tw2のときには、上記ステップS75を経てルーチンを抜ける。
【0089】
一方、Tw≧Tw2のとき、すなわち、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度Twの低下がなく、或いは冷却水温度の低下量ΔTwが水温低下判定値Tw1による所定値未満の状態下で、冷却水温度Twがラジエータファンシステムが正常であれば到達しない予め設定された異常水温判定値Tw2以上のときには、ステップS77へ進み、その冷却水温度Twの異常挙動の継続時間を判断し、所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。
【0090】
すなわち、ステップS77で、冷却水温異常継続時間カウント値CRAを設定値CRAS(例えば、30sec相当値)と比較し、CRA<CRASのときには、ステップS78で、冷却水温異常継続時間カウント値CRAをカウントアップして(CRA←CRA+1)、ルーチンを抜ける。そして、上記ステップS77において、CRA≧CRASで冷却水温度Twの挙動異常が設定値CRASにより定まる所定時間継続したとき、ステップS79へ進み、ラジエータファンシステム異常フラグFRANGをセットし(FRANG←1)、ラジエータファンシステムの異常と確定して、ラジエータファンシステムの故障と診断すると共に、警報ランプ53を点灯して運転者にラジエータファンシステムの故障を報知し、ルーチンを抜ける。
【0091】
ここで、冷却水温度Twの挙動は、ラジエータファンシステムの正常時には、図11のタイムチャートに実線で示すように、冷却水温度Twの上昇により冷却水温度Twが前記高温判定値RATW(=第1の高温判定値RATWH;例えば、95°C)に達した後、Tw≧RATWの継続時間が、第2の遅延時間DL2に達した時点で、停止制御からラジエータファン回転制御に移行し、前記LOW用リレーRY1がONされ、電動モータ23a,23bのLOW入力端子Lに電源電圧が印加され、電動モータ23a,23bによってラジエータファン22a,22bが所定の回転数で回転駆動される。そして、ラジエータファン22a,22bの回転作動直後は、ラジエータファン作動によるラジエータ10を介しての冷却効果が直ちに得られず、冷却水温度Twは、そのまま上昇を続け、このとき、冷却水温度Twの上昇に応じて上記極大値TwMAXが順次更新される。その後、ラジエータファン回転による送風冷却効果により冷却水温度Twの上昇が抑制されて冷却水温度Twの上昇が止まり、やがて冷却水温度Twが次第に低下する。
【0092】
従って、ラジエータファンシステムの正常時には、上記ステップS76において冷却水温度Twが上記異常水温判定値Tw2を越えることがなく、且つ、上記ステップS72において、冷却水温度Twの低下に応じて算出される冷却水温度低下量ΔTwが、ラジエータファンシステムの正常時において取り得る予め設定された水温低下判定値Tw1以上となって、これにより、適正にラジエータファンシステムの正常を診断することができる。
【0093】
一方、上記電動モータ23a,23bの故障によるラジエータファン22a,22bの回転数低下、電動モータ23a,23bの焼き付き、固着、或いは、少なくともECU30から上記リレーRY1を介して電動モータ23a,23bに至る制御系の断線、電源線の断線、コネクタハーネスの接続不良、リレーRY1の故障、ラジエータファン22a,22bのファンブレード(回転羽)の破損等、ラジエータファンシステムに故障が生じると、ECU30から正規に制御信号(ON信号)を出力してもラジエータファン22a,22bが正常に作動せず、ラジエータファン22a,22bによる送風冷却効果が不十分となり、或いは送風冷却効果が得られず、図11に破線で示すように、冷却水温度の異常上昇を生じる。また、ラジエータファン22a,22bのファンブレードの破損時にはラジエータファン22a,22bが正常に作動しても十分なラジエータへの送風が得られず、同様に、冷却水温度の異常上昇を生じる。
【0094】
従って、ラジエータファン22a,22bの停止制御から回転制御への移行後、ECU30から正規に制御信号を出力しているにも関わらず、上記ステップS69においてTwMAX<Twで冷却水温度Twの低下がなく、或いは上記ステップS72において冷却水温度の低下量ΔTwがラジエータファンシステムの正常時において取り得る水温低下判定値Tw1未満となり、且つ上記ステップS76で冷却水温度Twが、ラジエータファンシステムが正常であれば到達しない異常水温判定値Tw2以上となって、この冷却水温度Twの異常状態が上記ステップS77で外乱等を除きラジエータファンシステムの異常と見なし得る上記設定値CRASにより定まる所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの異常と確定するので、正確且つ確実にラジエータファンシステムに対する故障診断を行うことができ、ラジエータファンシステムに対する診断精度を向上し、診断結果の信頼性を向上することが可能となる。
【0095】
そして、ラジエータファンシステムの故障時には警報ランプ53の点灯により報知され、また、上述のように外部接続用コネクタ55にシリアルモニタ(携帯型故障診断装置)60を接続することで、シリアルモニタ60によってECU30におけるラジエータファンシステム異常フラグFRANGによるトラブルデータを読み出してラジエータファンシステムの故障を判断することができる。
【0096】
また、ラジエータファンシステムの故障以外の要因で、図11に二点鎖線で示すように、一時的に冷却水温度Twが異常水温判定値Tw2以上となることがあるが、ラジエータファンシステムが正常であれば、冷却水温度Twが低下し、上記設定値CRASによる設定時間を経過する以前に、冷却水温低下量ΔTwが上記水温低下判定値Tw1以上となるため、これが上記ステップS72で判断され、従って、このときにおいてもラジエータファンシステムに対する誤診断が防止される。
【0097】
なお、本実施の形態においては、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後における冷却水温度Twの異常状態の継続時間によってラジエータファンシステムに対する故障診断を行うようにしているが、本発明は、これに限定されず、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後における冷却水温度Twの異常状態の累積時間によってラジエータファンシステムに対する故障診断を行うようにしてもよく、同様の効果を得ることができ、この場合は、上記冷却水温異常継続時間カウント値CRAを累積時間の計時に使用し、この冷却水温異常継続時間カウント値CRAをクリアするための上記ステップS59、S75を省略し、且つ上記設定値CRASを実験等により最適値を求め適宜変更する。
【0098】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断し、停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断するので、ラジエータファンシステムの正常時には、冷却水温度の上昇により停止制御からラジエータファン回転制御に移行し、ラジエータファンが回転され、ラジエータファンの回転作動直後は、ラジエータファン作動によるラジエータを介しての冷却効果が直ちに得られず、冷却水温度が上昇を続け、その後、ラジエータファン回転による送風冷却効果により冷却水温度の上昇が抑制されて上昇が止まり、やがて冷却水温度が次第に低下するため、従って、ラジエータファンシステムの正常時には、冷却水温度の低下がない状態が継続することはなく、且つ、冷却水温度の低下に応じて算出される冷却水温度低下量が、所定値以上となって、これにより、適正にラジエータファンシステムの正常を診断することができる。
【0099】
また、ラジエータファンシステムの故障時には、回転制御に移行して正規に制御信号を出力してもラジエータファンが正常に作動せず、ラジエータファンによる送風冷却効果が不十分となり、或いは送風冷却効果が得られず、冷却水温度の異常上昇を生じるため、従って、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、正規に制御信号を出力しているにも関わらず、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度低下量が所定値未満となり、この冷却水温度の異常状態が外乱等を除きラジエータファンシステムの異常と見なし得る所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの異常と確定され、正確且つ確実にラジエータファンシステムに対する故障診断を行うことができ、ラジエータファンシステムに対する診断精度を向上し、診断結果の信頼性を向上することができる。
【0100】
請求項2記載の発明では、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているときに、診断条件成立と判断し、この診断条件の成立下において、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断するので、上記請求項1記載の発明の効果に加え、故障診断に使用する各パラメータを検出するためのセンサ、スイッチ類の異常によるラジエータファンシステムに対する誤診断を防止することができ、また、車輌走行時の車速の変化による走行風の影響、及び、エンジン回転数、エンジン負荷の変化の影響を受けることなく一定の条件下で冷却水温度に基づいてラジエータファンシステムに対する故障診断を行うことが可能となり、より正確な故障診断を行うことができる。また、エアコンの作動時、すなわち、冷却水温度の低下を目的せず冷媒の放熱効果を得るためのラジエータファンの回転作動時にも、診断を除外するため、このときの冷却水温度に基づく誤診断を未然に防止することができる。更に、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値を下回る時のバッテリ電圧低下に伴うラジエータファン回転数の低下による冷却効果低下時の誤診断を未然に防止することができる効果を有する。
【0101】
請求項3記載の発明では、故障診断に際し、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する。すなわち、ラジエータファンシステムの故障時には、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、正規に制御信号を出力しているにも関わらず、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度低下量が所定値未満となり、且つ、このとき冷却水温度が、ラジエータファンシステムが正常であれば到達しない所定値以上となる。従って、この冷却水温度の異常状態が外乱等を除きラジエータファンシステムの異常と見なし得る所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの異常と確定するので、より正確且つ確実にラジエータファンシステムに対する故障診断を行うことができ、ラジエータファンシステムに対する診断精度、及び、診断結果の信頼性を更に向上することができる。
【0102】
請求項4記載の発明では、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断し、停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断するので、上記請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0103】
請求項5記載の発明では、ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているときに、診断条件成立と判断し、この診断条件の成立下において、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断するので、上記請求項2記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0104】
請求項6記載の発明では、故障診断に際し、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断するので、上記請求項3記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図
【図2】ラジエータファン制御ルーチンのフローチャート
【図3】ラジエータファン制御ルーチンのフローチャート(続き)
【図4】ラジエータファンシステム故障診断ルーチンのフローチャート
【図5】ラジエータファンシステム故障診断ルーチンのフローチャート(続き)
【図6】冷却水温判定に基づくラジエータファン作動切換えの制御ハンチングを防止するためのヒステリシスを示す説明図
【図7】車速判定に基づくラジエータファン作動切換えの制御ハンチングを防止するためのヒステリシスを示す説明図
【図8】各制御条件に対応する制御モード、及びラジエータファン制御の関係を示す図表
【図9】ラジエータファン制御における停止モードからLOWモードへの切換時の各リレーに対する制御状態を示すタイムチャート
【図10】ラジエータファン制御における停止モードからHIGHモードへの切換時の各リレーに対する制御状態を示すタイムチャート
【図11】ラジエータファンシステムの正常時と異常時との冷却水温度の挙動を示すタイムチャート
【図12】エンジン冷却系の概略構成図
【図13】電子制御系の回路構成図
【図14】従来例に係り、エンジンの冷却水温度の挙動を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 エンジン
10 ラジエータ
19 冷却水温センサ
22a,22b ラジエータファン
23a,23b 電動モータ
30 電子制御装置(判別手段、診断手段、診断条件判別手段、回転制御移行判別手段)
RY1,RY2 リレー
43 アイドルスイッチ
45 クランク角センサ
46 カム角センサ
47 車速センサ
48 エアコンスイッチ
Tw 冷却水温度
ΔTw 冷却水温度低下量
Tw1 水温低下判定値(所定値)
CRAS 設定値(所定時間)
VB バッテリ電圧
VBL 下限値
Tw2 異常水温判定値(所定値)

Claims (6)

  1. ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する判別手段と、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とするラジエータファンシステムの故障診断装置。
  2. ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、
    ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているとき、診断条件成立と判断する診断条件判別手段と、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する回転制御移行判別手段と、
    上記診断条件の成立時、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とするラジエータファンシステムの故障診断装置。
  3. 上記診断手段は、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温度の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態が所定時間継続したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断することを特徴とする請求項1或いは請求項2記載のラジエータファンシステムの故障診断装置。
  4. ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する判別手段と、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とするラジエータファンシステムの故障診断装置。
  5. ラジエータファンの回転制御時におけるエンジンの冷却水温度変化に基づいてラジエータファンシステムの故障診断を行うラジエータファンシステムの故障診断装置において、
    ラジエータファンシステムに対する故障診断に使用する各パラメータを検出するための各センサ,スイッチ類が正常の時、車輌停車中のアイドル時、エアコンの停止時、及び、バッテリ電圧がラジエータファンを回転駆動するための電動モータを正規に作動させることのできる下限値以上の時の全ての条件が成立しているとき、診断条件成立と判断する診断条件判別手段と、
    ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行を判断する回転制御移行判別手段と、
    上記診断条件の成立時、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がない状態、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断する診断手段とを備えたことを特徴とするラジエータファンシステムの故障診断装置。
  6. 上記診断手段は、ラジエータファンの停止制御から回転制御への移行後、冷却水温の低下がなく、或いは冷却水温度の低下量が所定値未満で、且つ冷却水温度が所定値以上の状態の時間を累積し、この累積時間が所定時間に達したとき、ラジエータファンシステムの故障と診断することを特徴とする請求項4或いは請求項5記載のラジエータファンシステムの故障診断装置。
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