JP4022992B2 - エンジン温度センサの故障診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ等のエンジン温度センサの故障診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ等の温度センサの故障には、ショートや断線故障のほか、センサ出力が一定値に固着してしまうスタック故障がある。そして、温度センサのスタック故障を判定する手段として、例えば特公平3−56417号公報に記載されているように、エンジン始動から所定時間経過した後のセンサ出力を所定判定値と比較して、センサ出力が判定値に対して一方の側に張り付いたときに温度センサの異常と判定するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、温度センサのスタック故障には、センサ出力が例えば20℃以下の低温(low)側で固着するロウ・スタックと、20℃を越える高温(high)側で固着するハイ・スタックとがあり、このうち、上記ロウ・スタックについては、エンジン始動から所定時間経過した後の出力値が判定値に対して一方の側に張り付いたときに温度センサの異常と判定する上記従来の故障判定手段によって故障判定が可能である。例えば水温センサに適用する場合に、エンジン始動から所定時間が経過してもセンサ出力が例えば10℃から上がらないというときはロウ側スタックと判定できるのである。しかしながら、センサ出力が例えば20℃を越える高温側で固着する上記ハイ・スタックの場合、上記従来の故障判定手段によっては必ずしも確実にスタック故障を判定できない。
【0004】
ハイ・スタックは上述のようにセンサ出力が例えば20℃を越える高温側で固着する故障であるが、エンジンが停止して短時間で再始動することにより水温が最初から70℃とか80℃とかの高温で推移するような温間始動時には、この温間始動時の水温に近い温度でセンサ出力が固着したときに正常と異常との判別が難しい。
【0005】
したがって、水温センサ等のエンジン温度センサのスタック故障、特に高温側のハイ・スタック故障を確実に判定できるようにすることが課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるエンジン温度センサの故障診断装置は、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサの故障を該水温センサの出力値の変化状態に基づいて診断するものにおいて、エンジンの負荷が所定状態か否かを判定する負荷状態判定手段と、エンジン始動時の水温が所定温度未満の冷間始動時に、エンジン始動後、エンジン始動から所定時間が経過するのを待って、それまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合に基づき該温度センサが異常であるかどうかを判定する第1異常判定手段と、エンジン始動時の水温が所定温度以上の温間始動時に、エンジン始動後、上記負荷状態判定手段によりエンジンの負荷が上記所定状態であるとする判定と上記所定状態でないとする判定が少なくとも1回以上実行されるのを待ってそれまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合を所定度合と比較し、上記出力値の変化度合が上記所定度合以内のときは該水温センサが異常であると判定する第2異常判定手段とを設けたことを特徴とする。
【0007】
エンジン温度はエンジンの発熱量に依存し、発熱量はエンジンの吸入空気量すなわち負荷に略比例する。そのため、エンジンの負荷が変化すればエンジン温度が変化するわけで、温度センサに故障がない限り、センサ出力は負荷の変化に応じて変化する。そして、例えば車両を駆動するエンジンの場合に、通常の走行モードからして、エンジンの負荷が所定状態の時と所定状態でない時が少なくとも1回以上生じた期間における温度センサの出力値の変化度合から、センサ出力が高温側で固着するハイ・スタック故障を確実に判定できるような、そういう特定の負荷の状態(所定状態)が存在する。そして、エンジン始動後、エンジンの負荷がそういった所定状態の時とそうでない時を少なくとも1回以上経た時に、それまでの期間における温度センサの出力値の変化度合が所定度合以内なら温度センサの異常と判定することができるのである。
【0008】
上記故障診断装置において、第2異常判定手段はエンジン始動時の水温が所定温度以上のときに判定を実行する。この場合、上記所定温度を高温再始動すなわち温間始動時のエンジン温度近傍に設定することにより、エンジン温度が高温で推移する温間始動時においても、その温間始動時の水温に近い温度でセンサ出力が固着する高温側のハイ・スタックを確実に判定できる。
【0009】
また、第2異常判定手段は、エンジン始動時の外気温度が所定温度以下のときに判定を実行するものとするのがよい。上記所定温度は例えば35℃である。外気温度が例えば35℃より高いときにエンジンを再始動すると、エンジン水温は負荷の状態に関係無く100℃に近い高温側に張り付いた状態となり、高温側のハイ・スタックを判定できない。そのため、エンジン始動時の外気温度が所定温度以下のときに判定を実行するのである。
【0010】
ところで、車両の通常の走行モードにおいては、エンジンの負荷が所定状態の時と所定状態でない時が少なくとも1回以上生じた期間における温度センサの出力値の変化度合からハイ・スタック故障を確実に判定できるような、そういう負荷の状態(所定状態)が存在し、エンジン始動後、エンジンの負荷がそういった所定状態の時とそうでない時を少なくとも1回以上経た時に、それまでの期間における温度センサの出力値の変化度合が所定度合以内であれば、温度センサの異常と判定することができることは上述のとおりであり、その場合の上記所定状態は、例えばエンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の所定負荷域である。
【0011】
通常の走行モードにおいては、低負荷と中負荷以上の負荷域との間で運転が頻繁に切り替わることは少なく、それら負荷域の間の切り替わりはエンジン温度に変化が現れる程度の時間をおいて実行されるのが普通である。また、吸入空気量が少ない領域間の切り替わりでは、発熱量が絶対量としても少ないため温度変化が現れにくい。したがって、上記所定状態をエンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の所定負荷域とすることにより、温度センサの異常判定の精度を高めることができるのである。そして、そのエンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の所定負荷域すなわち所定状態は、車両を駆動するエンジンの場合に、車速で判定してよいものである。すなわち、エンジンにより駆動される車両の速度が所定速度以上であることをもって上記所定状態と判定し、エンジン始動後、車速が所定速度以上である時とそうでない時が少なくとも1回以上あった後で、それまでの期間における上記温度センサの出力値の変化度合が所定度合以内のときは温度センサが異常と判定することができる。上記所定速度とは例えば30km/hである。車速が例えば30km/h以上というのは、通常、上記エンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の負荷域に相当する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本発明が適用される故障診断装置を備えた自動車用エンジンの全体構造を示している。
【0014】
図1において、1はエンジン本体、2はその燃焼室である。燃焼室2には吸気ポート3および排気ポート4が開口し、それら吸気ポート3および排気ポート4の燃焼室2への開口部に吸気弁5および排気弁6が配設されている。また、吸気ポート3の入口には吸気通路7が接続され、排気ポート4の出口には排気通路8が接続されている。そして、吸気通路7には、上流側から順に、エアークリーナ9,エアーフローセンサ10,スロットル弁11,サージタンク12および燃料噴射弁13が配設され、また、スロットル弁11をバイパスするバイパス通路14が設けられ、該通路14の途中にアイドル回転数制御用のバイパス弁(ISC弁)15が配設されている。そして、エンジン本体1の所定位置にはクランク角信号を検出するクランク角センサ16が設けられ、また、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ17が設けられている。そして、排気通路8の途中に排気ガス浄化用の触媒装置18が設けられ、その上流に酸素センサ19が設置されている。
【0015】
燃焼室2の頂部には点火プラグ20が設置されている。また、自動車にはエンジンを制御するECU(エンジンコントロールユニット)21が配設されるとともに、警告灯22が設置され、また、車速センサ23が設置されている。
【0016】
図2は、上記エンジンの冷却系を示している。このエンジンは、例えば直列4気筒ガソリンエンジンであって、エンジン本体1にはシリンダブロック及びシリンダヘッドに冷却水を循環させるウォータジャケット30が形成されている。そして、図示しないクランクシャフトによりベルト等を介して駆動されるウォータポンプ31によって図の左側から右側へ向けて冷却水が圧送され、その冷却水がウォータジャケット30内を流れる間にエンジン本体1からの熱により暖められ、水温がサーモスタット弁32の設定温度よりも低い間はサーモスタット弁32が閉じることによって、ウォータジャケット30からバイパス通路33を経て冷却水が循環し、一方、冷却水温が設定温度よりも高くなればサーモスタット弁32が開き、冷却水はサーモスタット弁32を通りアッパホース34内を流れてラジエータ35に至り、ラジエータ35を通る間に冷却されて、ロアホース36内を流れ、ウォータポンプ31に戻るよう冷却系が構成されている。上記水温センサ17はウォータジャケット30に臨む位置に配設されている。また、図において、37は冷却水温が所定以上に高くなると図示しないフロントグリル側(同図の左端側)から空気を吸引してラジエータ35を強制的に冷却する電動ファンであり、38は車内暖房用のヒータコアである。ヒータコア38は、エンジン側のウォータジャケット30から温水が循環するよう上流側冷却水通路39及び下流側冷却水通路40によってウォータジャケット30に接続されている。そして、上流側の冷却水通路39に設けられた温水弁(図示せず)により温水流量が調整される。
【0017】
上記エアーフローセンサ10,クランク角センサ16,水温センサ17,酸素センサ19及び車速センサ23の各検出信号は制御情報としてECU21に入力される。そして、それらの制御情報に基づいてECU21で点火時期制御の処理,燃料噴射制御の処理,ISC制御の処理等が行われ、また、水温センサ17の故障診断の処理が行われる。
【0018】
上記故障診断の処理は、水温センサ17の出力値が20℃を越える高温(high)側で固着するハイ・スタック故障を検出するものであって、エンジン始動後、エンジンの負荷が、エンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の所定負荷域にある状態(所定状態)とそうでない状態を少なくとも1回以上経た時に、それまでの期間における水温センサ17の出力値の変化度合が所定度合以内であれば水温センサ17の異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定する。そして、具体的には、エンジンの負荷の状態を車速で見て、車速が30km/h以上のときを上記所定状態に見立てて、エンジン始動後、車速が30km/h以上の状態と車速が30km/hより低い状態を少なくとも1回以上(好ましくは5〜10回)経た時に、それまでの期間における水温センサ17の出力値の変化度合を見る。そして、上記期間における水温センサ17の出力値thwが例えば図3に実線で示すように変化し、かつ、その出力値thwの最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値より大きければ正常と判定し、所定値以下であれば異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定する。
【0019】
但し、エンジン始動後、車速が30km/h以上の状態とそれより低い状態を少なくとも1回以上経た期間におけるセンサ出力値の変化度合で正常・異常を判定する上記故障診断の処理は、高温側のハイ・スタックの判定にのみ適用するのであり、そのため、エンジン始動時の水温(センサ出力)が所定温度(例えば70℃)以上の温間始動時に上記処理を実行する。また、この処理は、外気温度が高くて再始動時の水温が100℃近くに張り付いた状態では誤判定が生じるため、始動時の外気温度が所定温度(例えば35℃)より高い時には実行しないようにする。一方、エンジン始動時の水温が上記所定値より低い冷間始動時には、単にエンジン始動から所定時間が経過するのを待って、それまでの期間における水温センサ17の出力値の変化度合(最大値thwmaxと最小値thwminとの差)が所定値より大きいかどうかによって正常・異常(高温側のハイ・スタック故障)を判定する。
【0020】
上記故障診断処理の具体的手順は図4及び図5のフローチャートに示すとおりで、始動後スタートし、ステップS101で各種情報を入力する。そして、ステップS102で、現在の水温(センサ出力値)thwがそれまでの最大値thwmaxより高いかどうかを見て、現在値thwが最大値thwmaxより高いときはステップS103で最大値thwmaxを更新して次のステップS104に進み、現在値thwが最大値thwmax以下のときはステップS103をスキップしてステップS104へ進む。そして、スキップS104で現在の水温(センサ出力値)thwがそれまでの最小値thwminより低いかどうかを見て、現在値thwが最小値thwminより低いときはステップS105で最小値thwminを更新して次のステップS106に進み、現在値thwが最小値thwmin以上のときはステップS105をスキップしてステップS106へ進む。
【0021】
ステップS106では始動時水温(センサ出力値)thsが所定温度thso(例えば70℃)以下かどうかを見る。そして、始動時水温thsが所定温度thsoより低いときは(冷間始動時)、S107へ進んでタイマー値Tを加算し、次いでステップS108でタイマー値Tが所定値To(例えば300sec)に達したかどうかを見て、所定時間Toに達していなければステップS101へ戻ってステップS101〜108を繰り返し、所定値Toに達したところでステップS109へ進む。そして、ステップS109でセンサ出力値の最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1(例えば2℃)より大きいかどうかを見て、最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1より大きいときは、ステップS110で正常と判定してそれを記憶し、所定値K1以下のときは、ステップS111で異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定してそれを記憶するとともに、警告灯22を点灯する。
【0022】
一方、ステップ106で始動時水温thsが所定温度thso以上のときは(温間始動時)、ステップS112へ進み、始動時外気温度thasが所定温度thaso(例えば、35℃)以下かどうかを見て、始動時外気温度thasが所定温度thaso以下でなければ、そのまま何もせずに処理を終了し、始動時外気温度thasが所定温度thaso以下であれば、ステップS113へ進む。そして、ステップS113へ進むと、車速Vが所定車速Vo(例えば30km/h)以上かどうかを見て、車速Vが所定車速Vo以上でないときは、ステップS114でフラグFを立て(F=1)、そのまま後述のステップS118へ進む。また、ステップS113で車速Vが所定車速Vo以上のときは、ステップS115でF=1かどうかを見る。そして、F=1であれば、所定車速Vo以上でない領域から所定車速Vo以上の領域に今回移行したということで、ステップS116でカウンタ値Cを加算し、次いで、ステップS117でフラグFを下げ(F=0)、ステップS118へ進む。また、ステップS115でF=1でないときは、前回以前から所定車速Vo以上の領域にあるということで、ステップS116をスキップし、ステップS117でフラグFを下げてステップS118へ進む。そして、ステップS118で、カウンタ値Cが所定値(例えば10)に達したかどうかを見て、所定値に達していなければステップS101へ戻ってステップS101〜118を繰り返す。そして、カウンタ値Cが所定値に達すると、ステップS109でセンサ出力値の最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1(例えば2℃)より大きいかどうかを見て、最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1より大きいときは、ステップS110で正常と判定してそれを記憶し、所定値K1以下のときは、ステップS111で異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定してそれを記憶するとともに、警告灯22を点灯する。
【0023】
この例は、温間始動時には、車速が30km/h以上の状態と車速が30km/hより低い状態を少なくとも1回以上経た時に、それまでの期間における水温センサ17の出力値の変化度合を見て高温側のハイ・スタック故障を診断し、冷間始動時に始動後所定時間が経過した時にそれまで期間における水温センサ17の出力値の変化度合を見てやはり高温側のハイ・スタック故障を診断するのであって、通常の走行モードにおいてはこれで始動時水温の高低に関係なく高温側のハイ・スタック故障を確実に診断できるものである。しかし、運転の仕方によっては、車速が30km/h前後で頻繁に上下するようなことも考えられる。そして、そういった車速変動時には水温変化が伴わないため、車速が30km/h以上の時とそうでない時の回数が所定回数に達したというだけの条件設定でスタック判定をするのでは、誤判定の恐れがある。そこで、このような場合にも誤判定を生じないようにするよう、故障診断の処理は次のように変更してもよいものである。
【0024】
一例として、図4および図5に示すフローチャートのステップS113〜118の部分を図6のように変更する。
【0025】
この場合、ステップS112で始動時外気温度thasが所定温度thaso(例えば、35℃)以下のときに、ステップS213へ進み、車速Vが第1の所定車速V1以上(V1<Vo)かどうかを見て、車速Vが第1の所定車速V1以上でないときは、ステップS214で第2フラグF2を下げ、次いでステップS215で第1フラグF1を立て、ステップS101へ戻る。
【0026】
また、ステップS213で車速Vが第1の所定車速V1以上のときは、ステップS216でF1=0(V≧V1となった後、Vの微分値が負となったことがない)かどうかを見て、F1=0でなければステップS215へ進み、F1=0であればステップS217でVの微分値が正かどうかを見る。そして、Vの微分値が負のときは、車速が第1の所定車速V1を越えて例えば30km/hあたりで上下しているということで、ステップS215へ進み、第1フラグF1を立てる。
【0027】
また、ステップS217でVの微分値が正というときは、車速が第1の所定車速V1を越えた後上下することなく上昇しているということで、ステップS218へ進み、車速Vが第2の所定車速V2以上(Vo<V2)となったかどうかを見る。そして、ステップS218で車速Vが第2の所定車速V2以上であれば、車速Vが第1の所定車速V1以上となった後、Vの微分値が正のままで車速Vが第2の所定車速V2以上となったということで、この場合は、ステップS219へ進み、そうでないときはステップS101へ戻る。
【0028】
ステップS219ではF2=0かどうかを見る。そして、F2=0であれば、車速Vが第1の所定車速V1以上となり、Vの微分値が正のままで車速Vが今回第2の所定車速V2以上となったということで、ステップS220でカウンタ値Cを加算し、次いで、ステップS221で第2フラグF2を下げ(F2=0)、ステップS222へ進む。また、ステップS219でF2=0でないというときは、前回以前に第2の所定車速V2以上となったということで、ステップS220およびステップS221をスキップし、ステップS222へ進む。
【0029】
そして、ステップS222で、カウンタ値Cが所定値(例えば10)に達したかどうかを見て、所定値に達していなければステップS101へ戻ってステップS101〜222を繰り返す。そして、カウンタ値Cが所定値に達したところで、ステップS109へ進み、センサ出力値の最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1(例えば2℃)より大きいかどうかを見て、最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1より大きいときは、ステップS110で正常と判定してそれを記憶し、所定値K1以下のときは、ステップS111で異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定してそれを記憶するとともに、警告灯22を点灯する。
【0030】
また、車速が30km/h以上の状態とそうでない状態という条件設定ではなく、水温変化に結び付くような負荷の変動を車速の変動幅で見るようにすることもできる。そのため、上記故障診断の処理を次のように変更してもよい。
【0031】
一例として、図4および図5に示すフローチャートのステップS113〜118の部分を図7のように変更する。
【0032】
この場合、ステップS112で始動時外気温度thasが所定温度thaso(例えば、35℃)以下のときに、ステップS313へ進み、現在の車速Vがそれまでの最大値Vmaxより高いかどうかを見て、現在値Vが最大値Vmaxより高いときはステップS314で最大値Vmaxを更新して次のステップS315へ進み、現在値Vが最大値Vmax以下のときはステップS314をスキップしてステップS315へ進む。そして、スキップS315で現在の車速Vがそれまでの最小値Vminより低いかどうかを見て、現在値Vが最小値Vminより低いときはステップS316で最小値Vminを更新して次のステップS317へ進み、現在値Vが最小値Vmin以上のときはステップS316をスキップしてステップS317へ進む。
【0033】
次に、ステップS317で車速の最大値Vmaxと最小値Vminとの差の微分値が0(ゼロ)になったかどうかを見る。そして、車速の最大値Vmaxと最小値Vminとの差の微分値が0でなければステップS318でフラグF1を下げ、次いで、ステップS319でVmax及びVminを0(ゼロ)に戻し、ステップS101へ戻る。
【0034】
そして、ステップS317で車速の最大値Vmaxと最小値Vminとの差の微分値が0(ゼロ)になったら、ステップS320でVmaxとVminの差が所定値ΔVo以上かどうかを見る。そして、VmaxとVminの差がΔVoより小さいければ、ステップS101へ戻り、VmaxとVminの差がΔVo以上であれば、ステップS321へ進む。
【0035】
そして、ステップS321へ進むと、F1=0かどうかを見て、F1=0であれば、今回車速の変動幅が所定値以上となったということで、ステップS322でカウンタ値Cを加算し、次いで、ステップS323でフラグF1を立て(F1=1)、ステップS324へ進む。また、ステップS321でF1=0でないというときは、前回以前に車速の変動幅が所定値以上となったということで、ステップS322をスキップしてステップS323へ進む。
【0036】
そして、ステップS324で、カウンタ値Cが所定値(例えば10)に達したかどうかを見て、所定値に達していなければステップS101へ戻ってステップS101〜324を繰り返す。そして、カウンタ値Cが所定値に達すると、ステップS109へ進み、センサ出力値の最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1(例えば2℃)より大きいかどうかを見て、最大値thwmaxと最小値thwminとの差が所定値K1より大きいときは、ステップS110で正常と判定してそれを記憶し、所定値K1以下のときは、ステップS111で異常(高温側のハイ・スタック故障)と判定してそれを記憶するとともに、警告灯22を点灯する。
【0037】
なお、上記各例では故障判定の条件設定を車速によって行っているが、車速に代えて吸気充填量その他のパラメータにより同様の条件設定を行うようにすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、水温センサ等のエンジン温度センサのスタック故障、特に高温側のハイ・スタック故障を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンジンの全体構造図である。
【図2】エンジンの冷却系の構成を示す模式図である。
【図3】水温センサの故障診断の処理のタイムチャートである。
【図4】実施の形態の一例に係る水温センサの故障診断の処理を実行するフローチャート(その1)である。
【図5】同水温センサの故障診断の処理を実行するフローチャート(その2)である。
【図6】他の例に係る水温センサの故障診断の処理を実行するフローチャートの一部である。
【図7】更に他の例に係る水温センサの故障診断の処理を実行するフローチャートの一部である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
17 水温センサ
21 ECU(エンジンコントロールユニット)
22 警告灯
23 車速センサ
Claims (5)
- エンジン冷却水の水温を検出する水温センサの故障を該水温センサの出力値の変化状態に基づいて診断するエンジン温度センサの故障診断装置において、
エンジンの負荷が所定状態か否かを判定する負荷状態判定手段と、
エンジン始動時の水温が所定温度未満の冷間始動時に、エンジン始動後、エンジン始動から所定時間が経過するのを待って、それまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合に基づき該温度センサが異常であるかどうかを判定する第1異常判定手段と、
エンジン始動時の水温が所定温度以上の温間始動時に、エンジン始動後、上記負荷状態判定手段によりエンジンの負荷が上記所定状態であるとする判定と上記所定状態でないとする判定が少なくとも1回以上実行されるのを待ってそれまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合を所定度合と比較し、上記出力値の変化度合が上記所定度合以内のときは該水温センサが異常であると判定する第2異常判定手段とを設けたことを特徴とするエンジン温度センサの故障診断装置。 - 上記第2異常判定手段は、エンジン始動時の外気温度が所定温度以下のときに判定を実行するものである請求項1記載のエンジン温度センサの故障診断装置。
- 上記所定状態は、エンジンの吸入空気量が所定値以上となる中負荷以上の所定負荷域である請求項1又は2記載のエンジン温度センサの故障診断装置。
- 上記所定負荷域は、エンジンにより駆動される車両の速度が所定速度以上の負荷域である請求項3記載のエンジン温度センサの故障診断装置。
- エンジン冷却水の水温を検出する水温センサの故障を該水温センサの出力値の変化状態に基づいて診断するエンジン温度センサの故障診断装置において、
エンジンにより駆動される車両の速度が所定速度以上か否かを判定する車速状態判定手段と、
エンジン始動時の水温が所定温度未満の冷間始動時に、エンジン始動後、エンジン始動から所定時間が経過するのを待って、それまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合に基づき該温度センサが異常であるかどうかを判定する第1異常判定手段と、
エンジン始動時の水温が所定温度以上の温間始動時に、エンジン始動後、上記車速状態判定手段により車速が上記所定速度以上であるとする判定と上記所定速度以上でないとする判定が少なくとも1回以上実行されるのを待ってそれまでの期間における上記水温センサの出力値の変化度合を所定度合と比較し、上記出力値の変化度合が上記所定度合以内のときは該水温センサが異常であると判定する第2異常判定手段とを設けたことを特徴とするエンジン温度センサの故障診断装置。
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