JP3697865B2 - エンジン冷却系の異常診断装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン冷却系の異常を診断する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン冷却系に起こる異常として、例えば冷却水温センサの故障や、あるいはサーモスタットバルブの故障がある。サーモスタットバルブに洩れがあったり開弁したままとなって閉弁できなくなる故障を起こすと、暖機時に冷却水がラジエータを循環してエンジンの暖機が遅れる。
【0003】
従来、この種のエンジン冷却系の異常を診断する装置として、例えば特開平4−187854号公報、特開平7−34943号公報に開示されているように、始動時に検出される冷却水温度Twに応じて診断待ち時間Bを設定し、設定された診断待ち時間Bに達する運転時における冷却水温度Twを検出し、検出された冷却水温度Twが基準温度Tw1以上に上昇した場合に冷却系が正常であると診断し、基準温度Tw1より低い場合に冷却系に異常が生じていると診断するものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のエンジン冷却系の異常診断装置にあっては、寒冷地においてエンジン運転停止中にエンジンを加熱するブロックヒータ(電熱ヒータ)により冷却水が部分的に暖められている場合、始動後に冷却水がウォータポンプによって撹拌されるのに伴って冷却水温度Twが一旦下がるので暖機時間が長くなるが、診断待ち時間Bは始動時に検出される冷却水温度Twに応じて短く設定されるため、診断待ち時間Bに達する運転時における冷却水温度Twが所定値Tw1より低くなってしまい、冷却装置の作動に異常を来しているものと誤って診断する可能性があった。
【0005】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、エンジン冷却系の異常診断装置において、診断精度を高めることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載のエンジン冷却系の異常診断装置は、冷却液温度Twを検出する冷却液温センサと、始動後に冷却液温度Twが下降しない場合には始動直後の冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが下降する場合には下降中の最も低い冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが最低温度Twminに達する時である冷却液温度上昇開始時を判定する手段と、最低温度Twminが低下するに応じて診断待ち時間Bを長く設定する手段と、冷却液温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw1以上まで上昇する暖機時間Aが診断待ち時間B以上となった場合に冷却系に異常が発生したものと診断する手段とを備えるものとした。
【0009】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載のエンジン冷却系の異常診断装置において、例えばエンジン停止中にブロックヒータにより冷却液が部分的に暖められた状態で始動された場合、冷却液温度Twが最低温度Twminからエンジンの発生熱を吸収して上昇する暖機時に診断が行われる。始動後に冷却液温度Twが最低温度Twminから上昇する速度が基準範囲にある場合に冷却系が正常であると診断し、冷却液温度Twが最低温度Twminから上昇する速度が基準範囲外にある場合に冷却系に異常が発生したものと診断する。
【0010】
したがって、エンジン停止中にブロックヒータにより冷却液が部分的に暖められた状態で始動された場合、従来装置のように冷却液がウォータポンプによって撹拌されるのに伴って冷却液温度Twが一旦下がる間に診断が行われることがなく、サーモスタットバルブや冷却液温センサ等に異常を来したかどうかを的確に診断することができる。
【0014】
また、始動後に冷却液温度Twが下降しない場合には始動直後の冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが下降する場合には下降中の最も低い冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが最低温度Twminとなる冷却液温度上昇開始時を判定し、最低温度Twminが低下するのに応じて診断待ち時間Bを長く設定する。
【0015】
冷却液温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw1以上まで上昇する暖機時間Aが診断待ち時間Bより短いと判定された場合、冷却系が正常であると診断し、暖機時間Aが診断待ち時間B以上に長いと判定された場合、冷却系に異常が生じているものと診断する。
【0016】
例えばエンジン停止中にブロックヒータにより冷却液が部分的に暖められている状態で始動された場合、最低温度Twminが低い程診断待ち時間Bが長くなるように修正されるため、冷却液温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw1以上まで上昇する暖機時間Aを診断待ち時間Bと比較することにより、サーモスタットバルブや冷却液温センサ等に異常を来したかどうかを的確に診断することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、V型6気筒エンジンに備えられる冷却装置は、シリンダブロックに形成されたウォータジャケット34と、シリンダヘッドに形成されたウォータジャケット35とを備える。ブロック側ウォータジャケット34はピストンを収装する各シリンダの周囲に冷却水(冷却液)を循環させる一方、ヘッド側ウォータジャケット35は燃焼室壁の周囲に冷却水を循環させるようになっている。
【0019】
各ウォータジャケット34,35に冷却水を送り込むウォータポンプ33が設けられる。ウォータポンプ33は図示しないベルトおよびプーリを介してクランクシャフトの回転が伝えられる。ウォータポンプ33から吐出する冷却水は、図中矢印で示すようにブロック側ウォータジャケット34を循環した後にヘッド側ウォータジャケット35に流入する流れと、ブロック側ウォータジャケット34からヘッド側ウォータジャケット35に流入する流れがある。
【0020】
ヘッド側ウォータジャケット35の出口から流出する冷却水をラジエータ44を介してウォータポンプ33の吸込口に導く冷却通路40が配設される。ラジエータ44はこれを循環する冷却水から外気への放熱を促す熱交換器の働きをする。ヘッド側ウォータジャケット35の出口から流出する冷却水をラジエータ44を迂回してウォータポンプ33の吸込口に導くバイパス通路41が配設される。バイパス通路41の通水抵抗が冷却通路40の通水抵抗より所定の比率で大きく形成される。ヘッド側ウォータジャケット35の出口から流出する冷却水をラジエータ44を迂回してウォータポンプ33の吸込口に導くヒータ通路42が配設される。ヒータ通路42の途中には車室内の暖房用ヒータコアが介装される。
【0021】
冷却通路40を冷却水温度に応じて開閉するサーモスタットバルブ43がラジエータ44とウォータポンプ33の間に位置してバイパス通路41の合流部より上流側に介装され、サーモスタットバルブ43の感温部がバイパス通路41とヒータ通路42の合流部より下流側に臨んで設けられる。
【0022】
冷却水温度が所定値より低い冷間時に、サーモスタットバルブ43が閉弁し、ウォータポンプ33から吐出する冷却水の全量はバイパス通路41を通りラジエータ44を迂回して流れる。これにより暖機が促され、未燃焼HC排出量が低減する。
【0023】
冷却水温度が所定値以上に上昇した温間時に、サーモスタットバルブ43が開弁し、ウォータポンプ33から吐出する冷却水はヘッド側とブロック側の各ウォータジャケット34,35を循環した後にラジエータ44を循環して放熱する。これにより、冷却水の温度が所定の範囲に維持される。
【0024】
図2に示すように、エンジン1は吸気弁が開かれるのに伴って吸気通路2からシリンダに吸気(混合気)を吸入し、この吸気をピストンで圧縮して、点火プラグ6で着火燃焼させ、排気弁が開かれるのに伴って排気が排気通路3に排出され、これらの各行程が連続して繰り返されるようになっている。
【0025】
吸気通路2の途中には吸気ポートに燃料を噴射するインジェクタ7と、アクセルペダルに連動して吸気を絞るスロットルバルブ8がそれぞれ設けられ、その上流側には吸気量を検出するエアフロメータ9が設けられる。
【0026】
排気通路3の途中には三元触媒10が設置され、排気中の未燃焼HC、COを酸化するとともに、NOxを還元する。
【0027】
コントロールユニット12には、エアフロメータ9で検出される吸気量Qaと、アイドルスイッチ信号SWと、エンジン回転数センサ13で検出されるエンジン回転数Neと、冷却水温センサ14で検出される冷却水温度Tw等を入力して、基本燃料噴射量Tpを運転状態に応じて演算するとともに、点火時期を演算する。
【0028】
コントロールユニット12は、冷却水温センサ14で検出される冷却水温度Twが所定値Tw1以上に上昇する暖機後に、O2センサ15で検出される排気中の酸素濃度に応じた出力を入力して、混合気が理論空燃比となるようにインジェクタ7からの燃料噴射量をフィードバック制御して、三元触媒10での転化効率を最大限に維持するようになっている。
【0029】
ところで、例えばサーモスタットバルブ43が開弁したままとなって閉弁できなくなる開故障が生じると、暖機時に冷却水がラジエータ14を循環してエンジン1の暖機が遅れるという問題点がある。
【0030】
従来からこれに対処して、始動時に検出される冷却水温度Twに応じて診断待ち時間Bを設定し、設定された診断待ち時間Bに達する運転時における冷却水温度Twを検出し、検出された冷却水温度Twが基準温度Tw1以上に上昇した場合に冷却系が正常であると診断し、基準温度Tw1より低い場合に冷却系に異常が生じていると診断するものがあった。
【0031】
しかしながら、このような従来装置では、寒冷地においてエンジン運転停止中にエンジンを加熱するブロックヒータ(電熱ヒータ)により冷却水が部分的に暖められている場合、始動後に冷却水がウォータポンプによって撹拌されるのに伴って冷却水温度Twが一旦下がるので暖機時間が長くなるが、診断待ち時間Bは始動時に検出される冷却水温度Twに応じて短く設定されるため、診断待ち時間Bに達する運転時における冷却水温度Twが所定値Tw1より低くなってしまい、冷却装置の作動に異常を来しているものと誤って診断する可能性があった。
【0032】
本発明はこれに対処して、暖機時に冷却水温センサ14で検出される冷却水温度Twに基づき、冷却水温度Twが始動後に達する最低温度Twminを検出し、冷却水温度Twが最低温度Twminから上昇する速度に応じて冷却系が正常かどうかを診断する。
【0033】
本実施の形態において、コントロールユニット12は冷却水温度Twが始動後に最低温度Twminとなる冷却水温度上昇開始時を判定し、冷却水温度上昇開始時からの暖機時間Aが診断待ち時間Bに達する運転時における冷却水温度Twを検出し、この運転時における冷却水温度Twが基準温度Tw1以上の場合に冷却系が正常であると診断し、基準温度Tw1より低い場合に冷却系に異常が生じたものと診断する。そして、診断待ち時間Bを図4に示すテーブルに基づき最低温度Twminに応じて検索する。図4のテーブルには、最低温度Twminの温度が低下する程、診断待ち時間Bが長くなるように設定されている。
【0034】
図3のフローチャートは、コントロールユニット12において実行される冷却装置の異常を診断する制御プログラムを示しており、これはエンジン1の始動後に1回実行される。
【0035】
まず、ステップS1で最低温度Twminを所定値Tw2とする。この所定値Tw2は暖機後の冷却水温度より高い値として例えば150°Cに設定する。
【0036】
続いてステップS2に進んで、検出される冷却水温度Twが所定値Twminより低いかどうかを判定する。
【0037】
検出される冷却水温度Twが最低温度Twminより低い場合、ステップS3に進んで最低温度Twminを検出される冷却水温度Twとし、ステップS4で診断待ち時間Bを図4に示すテーブルに基づき最低温度Twminに応じて検索する。続いて、ステップS5で暖機時間Aをクリアし、ステップS6で暖機時間Aのカウントを開始する
【0038】
一方、検出される冷却水温度Twが最低温度Twmin以上に高い場合、ステップS6に進んで暖機時間Aをカウントする。これにより、冷却水温度Twが最低温度Twminに達してから経過した暖機時間Aをカウントする
【0039】
ステップS7でカウントされた暖機時間Aが診断待ち時間B以上と判定される。ここで暖機時間Aが診断待ち時間B以上と判定された場合、ステップS8に進んで検出される冷却水温度Twが基準温度Tw1以上かどうかを判定する。ここで冷却水温度Twが基準温度Tw1以上に上昇していると判定された場合、ステップS9に進んで冷却系が正常であると診断し、冷却水温度Twが基準温度Tw1より低いと判定された場合、ステップS10に進んで冷却系に異常が生じているものと診断し、警告灯24を点灯して運転者にこれを知らせる
【0040】
例えばエンジン停止中にブロックヒータにより冷却水が部分的に暖められている場合、始動後に冷却水温センサ14に検出される冷却水温度Twが下降するのに伴って診断待ち時間Bが長くなるように修正されるため、暖機運転が十分に行われた後に冷却水温度Twに応じて診断が行われる。したがって、従来装置のように暖機が十分に行われないうちに冷却水温度Twに応じて診断が行われることがなく、サーモスタットバルブ43や冷却水温センサ14等に異常を来したかどうかを的確に診断することができる。
【0041】
他の実施の形態として、コントロールユニット12は、冷却水温度Twが始動後に最低温度Twminとなる冷却水温度上昇開始時を判定し、冷却水温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw1以上まで上昇する暖機時間Aが診断待ち時間Bより短い場合に冷却系が正常であると診断し、暖機時間Aが診断待ち時間B以上となった場合に冷却系に異常が生じたものと診断してもよい。そして、診断待ち時間Bを図4に示すテーブルに基づき最低温度Twminに応じて検索する。図4のテーブルには、最低温度Twminの温度が低下する程、診断待ち時間Bが長くなるように設定されている。
【0042】
図5のフローチャートは、コントロールユニット12において実行される冷却装置の異常を診断する制御プログラムを示しており、これはエンジン1の始動後に1回実行される。
【0043】
まず、ステップS11で最低温度Twminを所定値Tw2とする。この所定値Tw2は暖機後の冷却水温度より高い値として例えば150°Cに設定する。
【0044】
続いてステップS12に進んで、検出される冷却水温度Twが所定値Twminより低いかどうかを判定する。
【0045】
検出される冷却水温度Twが最低温度Twminより低い場合、ステップS13に進んで最低温度Twminを検出される冷却水温度Twとし、ステップS14で診断待ち時間Bを図4に示すテーブルに基づき最低温度Twminに応じて検索する。続いて、ステップS15で暖機時間Aをクリアし、ステップS16で暖機時間Aのカウントを開始する。なお、ステップS14で行われる処理が、請求項に記載の発明において、診断待ち時間Bを設定する手段に相当し、ステップS11〜S14で行われる処理が、冷却液温度上昇開始時を判定する手段に相当する。
【0046】
一方、検出される冷却水温度Twが最低温度Twmin以上に高い場合、ステップS16に進んで暖機時間Aをカウントする。これにより、冷却水温度Twが最低温度Twminに達してから経過した暖機時間Aをカウントする。
【0047】
ステップS17で検出される冷却水温度Twが基準温度Tw1以上に上昇したかどうかを判定する。冷却水温度Twが基準温度Tw1以上に上昇した場合、ステップS18に進み、カウントされた暖機時間Aが診断待ち時間Bより短いかどうかを判定する。暖機時間Aが診断待ち時間Bより短いと判定された場合、ステップS19に進んで冷却系が正常であると診断する。一方、暖機時間Aが診断待ち時間B以上に長いと判定された場合、ステップS19に進んで冷却系に異常が生じているものと診断し、警告灯24を点灯して運転者にこれを知らせる。なお、ステップS17〜S20で行われる処理が、請求項に記載の発明において冷却系の異常を診断する手段に相当する。
【0048】
例えばエンジン停止中にブロックヒータにより冷却水が部分的に暖められている状態で始動された場合、最低温度Twminが下降するのに伴って診断待ち時間Bが長くなるように修正されるため、冷却水温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw1以上まで上昇する暖機時間Aを診断待ち時間Bと比較することにより、サーモスタットバルブ43や冷却水温センサ14等に異常を来したかどうかを的確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す冷却装置の構成図。
【図2】同じくエンジンの制御系を示すシステム図。
【図3】同じく冷却装置の異常を診断する制御内容を示すフローチャート。
【図4】同じく診断待ち時間Bを設定したテーブル。
【図5】他の実施の形態を示す冷却装置の異常を診断する制御内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
12 コントロールユニット
14 冷却水温センサ
34 ブロック側ウォータジャケット
35 ヘッド側ウォータジャケット
40 冷却通路
41 バイパス通路
43 サーモスタットバルブ
44 ラジエータ

Claims (1)

  1. 冷却液温度Twを検出する冷却液温センサと、
    始動後に冷却液温度Twが下降しない場合には始動直後の冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが下降する場合には下降中の最も低い冷却液温度Twを最低温度Twminとし、始動後に冷却液温度Twが最低温度Twminに達する時である冷却液温度上昇開始時を判定する手段と、
    最低温度Twminが低下するに応じて診断待ち時間Bを長く設定する手段と、
    冷却液温度Twが最低温度Twminから基準温度Tw 1 以上まで上昇する暖機時間Aが診断待ち時間B以上となった場合に冷却系に異常が発生したものと診断する手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジン冷却系の異常診断装置。
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