JP2664586B2 - ポリフェノール配糖体合成能を有する酵素 - Google Patents

ポリフェノール配糖体合成能を有する酵素

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JP2664586B2 JP4027926A JP2792692A JP2664586B2 JP 2664586 B2 JP2664586 B2 JP 2664586B2 JP 4027926 A JP4027926 A JP 4027926A JP 2792692 A JP2792692 A JP 2792692A JP 2664586 B2 JP2664586 B2 JP 2664586B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリフェノール配糖
体合成能を有する新規な酵素、酵素の製造法およびこの
酵素を用いるポリフェノール配糖体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェノール配糖体は、従来から、例
えば、甘味料、鎮痛剤、下剤、抗マラリヤ剤および強壮
剤等として利用されているが、本件出願人は先に、肝斑
や雀斑等の原因となるメラニン色素の生成に関与するチ
ロシナーゼの酵素作用を阻害して優れた美白効果を発揮
するポリフェノール配糖体を提供した(特願平3−34
151号)。この場合、該ポリフェノール配糖体の合成
用酵素として、バシルス・マセランス(Bacillus mace
rans)IFO3490株から分泌されるシクロマルトデ
キストリン−グルカノトランスフェラーゼ(CGTアー
ゼ)(「大阪市立工業研究所報告第56回(1978年)」、
第19頁〜第24頁参照)を使用した。しかしながら、
CGTアーゼには、配糖体合成効率が一般に低いだけで
なく(0.5〜1%)、活性を糖基質やポリフェノール受
容体の種類が非常に制限されるという難点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、ポリフェ
ノール配糖体の合成効率が高く、広範囲の糖基質やポリ
フェノール受容体に対して活性を示すポリフェノール配
糖体合成能を有する新規な酵素を提供するためになされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明は、(i)サ
イクロデキストリン合成能およびマルトース分解能を有
さず、(ii)糖基質を加水分解して生成するグルコースを
ポリフェノール受容体に転移させてポリフェノール配糖
体を合成する特性を有し、至適pHが6〜8であり、安
定pHが6〜9であり、至適温度が40〜50℃であ
り、安定温度が0〜50℃であり、分子量が29500
であり、等電点が5.1である酵素に関する。本発明に
よる酵素は、サイクロデキストリン合成能およびマルト
ース分解能を有さないが、ポリフェノール配糖体合成能
を有する新規な酵素である。本発明による酵素は、サイ
クロデキストリン合成能を有さないという点で、CGT
アーゼとは基本的に相違し、また、マルトース分解能を
有さないという点で、細菌糖化型α−アミラーゼ(BS
A)(「ハンドブック・オブ・アミラーゼ・アンド・リレ
イテッド・エンザイムズ(Handbook of Amylase and
Related Enzymse)」、パーガモン・プレス(Pergamon
Press)発行、第43頁(1988年)参照)とは本質的に
相違する。
【0005】本発明による酵素は、例えば、バシルス属
(Bacillus)の細菌から生産される。好適なバシルス属
の細菌としては、バシルス・ズブチリス(Bacillus sub
til-is)K−531−1(微工研菌寄第12668号)、
バシルス・スブチリスK−531−86(微工研菌寄第
12669号)、バシルス・スリンジエンシス(Bac-ill
us thuringiensis)(IFO 3951)、バシルス・リ
ケニホルミス(Bacilluslicheniformis)(ATCC25
972)およびバシルス・アミロリケファシエンス(Bac
illus amyloliquefaciens)(IFO14141)等が例示
される。
【0006】従って、本発明による酵素の特に好適な製
法は、バシルス属の細菌、就中、バシルス・ズブチリス
K−531−1等の上記の細菌を培養して得られる培養
物を精製処理に付す方法である。培地成分としては、各
種の炭素源(例えば、可溶性澱粉、コーンスチープリカ
ー、脱脂大豆、デキストリン、グリセロールおよびグル
コース等)、窒素源(例えば、ポリペプトン、脱脂大豆、
硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミノ酸、酵母
エキス、カゼイン、肉エキス、コラーゲンおよびゼラチ
ン等)、無機塩類(例えば、カリウム、ナトリウム、マグ
ネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、カルシ
ウム、酸化モリブデンなどの硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、
酢酸塩等)およびビタミン類(例えば、ビオチン、ビタミ
ンB1、リボフラビン、パントテン酸、ピリドキシン、
ビリドキサール、ピリドキサミン、ニコチン酸p−アミ
ノ安息香酸および葉酸等)を適宜使用すればよい。好適
な培地は、可溶性澱粉、ポリペプトンおよび塩化ナトリ
ウムを主成分とし、さらに無機酸の金属塩、例えば、燐
酸二カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸亜
鉛、硫酸銅および硫酸マンガン等を適宜含有する水性培
地である。この種の金属塩を添加することによって、該
酵素の生産量はほぼ倍増する。
【0007】培地のpHは燐酸緩衝液や酸およびアルカ
リ水溶液を用いて5〜9に調整する。培地のpHがこの
範囲外になると、酵素失活を招き、収量が大きく低下す
る。培養温度は通常25〜50℃である。培養効率の観
点からは、培養は、種培養と本培養の二段階に分けてお
こなうのが好ましい。通常、種培養は液体振盪培養でお
こない(振盪数:80〜200rpm、培養時間:16〜30
時間)、本培養は通気撹拌培養でおこなう(撹拌数:10
0〜300rpm、通気量:2〜5l/min、培養時間:20
〜120時間)。但し、撹拌数、通気量、培養時間は培
養装置の形状、大きさによって大きく変化する。
【0008】上記の培養法によって得られる培養物の精
製処理法は特に限定的ではなく、従来から酵素の精製法
として知られている方法を適宜採用すればよいが、好適
な精製法としては下記の工程(i)〜(ix)から成る方法が
例示される: (i)培養液を遠心分離処理あるいは濾過に付すことによ
って培養上清を採取する。 (ii)培養上清をカチオンカラム(例えば、アンバーライ
トCG50、CM−トヨパール、CM−セファロース、
CM−セルロース、5P−セファロースおよびCM−セ
ルロファイン等)を用いるクロマトグラフィー処理に付
す。 (iii)溶出液を限外濾過、塩析または有機溶媒沈殿によ
る濃縮処理に付す。 (iv)濃縮液を透析処理に付す。 (v)透析内液をアニオンカラム(例えば、DEAE−セフ
ァロースCL−6B、デュオライトA−7、QAE−セ
ファロース、DEAE−セルロース、DEAE−セルロ
ファインおよびDEAE−トヨパール等)を用いるクロ
マトグラフィー処理に付す。 (vi)溶出液を限外濾過膜等を用いる濃縮処理に付す。 (vii)濃縮液を高速液体クロマトグラフィー(例えば、T
sk−ゲルDEAE−5PWカラム)またはアフィニティ
ークロマトグラフィー処理に付す。 (viii)溶出液を限外濾過膜等を用いる濃縮処理に付す。 (ix)濃縮液をカラム(例えば、セファデックスG−7
5、セファロース6BおよびトヨパールHW−55等)
を用いるゲル濾過処理に付す。 場合によっては、澱粉吸着処理等も有効である。上記の
精製処理によって、酵素の精製倍率は約1000〜30
00となる。勿論、上記精製のステップの順序を変えた
り、一部を省略することも可能であり、酵素の使用目的
によっては精製倍率を必要最小限にすることも可能であ
る。
【0009】上記の特性を有する本発明による酵素は、
広範囲の糖基質を加水分解し、種々のポリフェノール類
にグルコースを転移させ、これによって多種多様なポリ
フェノール配糖体が得られる。この種の糖基質およびポ
リフェノール受容体としては下記のものが例示される:糖基質 : 澱粉、アミロペクチン、マルトオリゴ糖(G3
〜G7)。ポリフェノール受容体 : カテキン、カフェー酸、コウ
ジ酸、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、
プロトカテキュー酸、α−レゾルシル酸、フロログルシ
ノール、没食子酸。
【0010】本発明に包含されるポリフェノール配糖体
の新規な製造法は、澱粉等の糖基質およびカテキン等の
ポリフェノール受容体を、上述の酵素の存在下で反応さ
せる方法である。この反応は、通常、燐酸緩衝液等の緩
衝液を用いて反応系のpHを約4〜9に調整し、約10
〜60℃で約3〜70時間おこなう。反応溶媒として
は、水,メタノール/水(5〜50体積%),エタノール/
水(5〜50体積%),酢酸エチル/水(10〜80体積
%)等が例示される。又、使用する酵素を不倍性担体に
固定化することにより製造したポリフェノール配糖体か
ら酵素を除くステップを省略することもできる。以下、
本発明を実施例によって説明する。
【0011】
【実施例】実施例1 可溶性澱粉2w/v%、ポリペプトン0.5w/v%、塩化
ナトリウム0.05w/v%、燐酸二カリウム0.1w/v
%、硫酸マグネシウム0.05w/v%、硫酸第一鉄0.
001w/v%、硫酸亜鉛0.0001w/v%、硫酸銅
0.0001w/v%および硫酸マンガン0.0001w
/v%含有する水溶液(pH6.5)を121℃で15分間
加圧滅菌することによって培地を調製した。坂口フラス
コ(500ml)内へ該培地を100ml入れ、次いでバシル
ス・ズブチリスK−531−86を1白金耳量植菌し、
120rpmの条件下、30℃で24時間振盪培養した(種
培養)。上記のようにして新たに調製した培地3lに、該
培養液を混入させ、該混合物をミニジャー(5l)内にお
いて、撹拌数200rpmおよび通気量3l/minの条件下
において、30℃で72時間にわたって通気撹拌培養し
た(本培養)。
【0012】培養液2.7lを遠心分離処理(9000rp
m:15分間)に付すことによって得られた培養上清2.
65lを、1M酢酸を用いてpHを5.0に調整した後、
50mM酢酸緩衝液(pH5.0)を用いて平衡化したアン
バーライトCG50カラム(15.9cm2×27cm)に注
入し、該酢酸緩衝液7.5lを用いて洗浄した。次い
で、0.5M燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)を用い、
流速1.6l/hrで溶出をおこない、溶出量1l〜3lに
かけての溶出液2040mlを、分画分子量3000の限
外濾過膜(旭化成工業株式会社製ペンシル型モジュール
SEP−0013)を用いて150mlまで濃縮し、該濃
縮液を、0.5M燐酸二カリウム水溶液を用いてpHを
7.0に調整した後、10倍量の水に対し、4℃で16
時間透析をおこなった。
【0013】透析内液を、50mM燐酸カリウム緩衝液
(pH7.0)を用いて平衡化したDEAEセファロース
CL6Bカラム(11.9cm2×16cm)に注入し、該緩
衝液を用いて洗浄した(400ml/hr)。洗浄液量250
〜550mlにかけて溶出した溶出液300mlを、前記の
限外濾過膜を用いて5mlまで濃縮し、該濃縮液を、0.
2MNaClを含む20mM燐酸カリウム緩衝液(pH
7.0)を用いて平均化したセファデックスG−150カ
ラム(5.3cm2×93cm)を用いるゲル濾過処理に付
した。該緩衝液を用いて溶出をおこない、溶出液量26
0〜300mlにかけての溶出液40mlを得た。該酵
素液は電気泳動的に単一であった。上述の一連の精製過
程の結果を以下の表1にまとめて示す。
【0014】
【表1】
【0015】表−1中の活性量(単位)およびタンパク量
(mg)は下記の方法によって算出した値である。活性量 可溶性澱粉を50mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)
に0.5w/v%の濃度で溶解した溶液0.45mlに酵素
液0.05mlを加え、40℃で10分間反応をおこなっ
た後、0.5N塩酸1.0mlを添加することによって反
応を停止させ、次いで、ヨウ素5mgとヨウ化カリウム5
0mgを水100mlに溶解させた溶液2.5mlを加え、室
温で20分間放置後、660nmにおける吸光度を測定
し、該吸光度を1分間に1%低下させる酵素量を1単位
とした(ブランクテストは、酵素の替りに上記緩衝液を
用いる以外は上記と同様の操作によっておこなった)。タンパク量 次式によって算出した: タンパク量(mg)=(280nmにおける吸光度)×試料の容
量(ml)
【0016】酵素の分子量 上で得た酵素の分子量を、ゲル濾過法で測定した。酵素
液を、pH7.0の20mMの燐酸カリウム緩衝液
(0.2Mの食塩を含む)で平衡化したセファデックス
G−75のカラム(1.66cm2×50cm)に加え、
該緩衝液で溶出した。分子量マーカーとして牛血清アル
ブミン(分子量67000)、卵白アルブミン(分子量、
43000)、キモトリプシノーゲン(分子量、2500
0)、リボヌクレアーゼA(分子量、13700)を用い
た。その結果、酵素の分子量は29500であった。
【0017】酵素の等電点 上で得た酵素の等電点を、ショ糖密度勾配等電点電気泳
動法(蛋白質・酵素の基礎実験法、堀尾武一、山下仁平
編(南江堂発行)、第250頁〜第269頁(1981年)
参照)によって測定した。実施例1で調製した酵素液
を、pH3.5〜10.0のキャリア−アンフォライト
(LKB社製)および110ml容泳動カラム(LKB社
製)を用い、400〜600Vで40時間泳動した。そ
の結果、酵素の等電点は、5.1であった。
【0018】pHと酵素活性 上で得た酵素の活性におよぼすpHの影響(作用最適p
H)、該活性におよぼす温度の影響、該活性におよぼす
pHの影響(pH安定範囲)および該酵素の熟安定性を常
法によって調べ、結果をそれぞれ図1、図2、図3およ
び図4に示す。酵素の活性試験は下記実施例2に準拠し
ておこなった。図1および図3において、符号1、2お
よび3はそれぞれ緩衝液として酢酸塩緩衝液を用いた場
合、燐酸ナトリウム緩衝液を用いた場合および硼酸緩衝
液を用いた場合を示す。なお、図3においては、緩衝液
として0.1M燐酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を使
用し、熱処理は40℃で30分間おこなった。また、図
4においては、緩衝液として0.1M燐酸ナトリウム緩
衝液を使用し、熱処理は各温度において30分間おこな
った。
【0019】実施例2 ハイドロキノンの酢酸エチル溶液(0.5M)0.5mlお
よび可溶性澱粉5w/v%、燐酸ナトリウム緩衝液(pH
7.0)50mMおよび実施例1で製造した酵素10単位
/mlを含有する水溶液0.5mlを蓋付試験管(5ml)内へ
入れ、該試験管を回転数280rpmの条件下において、
40℃で18時間振盪させた。静置後、水性層を下記の
条件下での薄層クロマトグラフィー分析に付し、酵素の
ポリフェノール配糖体合成活性を確認した。 薄層: メルク社製シリカゲル60F254ガラスプレ
ート 展開溶媒: 酢酸エチル/酢酸/水=3/2/2(体積
比) 検出: 33v/v%硫酸/メタノール混合液を薄層に噴
霧後、該薄層を120℃で10分間加熱する。 Rf値: 0.61〜0.86(澱粉の分解物のRf値は
0.58以下である)
【0020】実施例3および4 澱粉の代わりに、アミロペクチンまたはマルトオリゴ糖
を使用する以外は、実施例2の手順に準拠して、本発明
による酵素のポリフェノール配糖体合成活性を確認し
た。
【0021】実施例5〜13 ハイドロキノンの代わりに、カテキン、カフェー酸、コ
ウジ酸、カテコール、レゾルシノール、プロトカテキュ
ー酸、α−レゾルシル酸、フロログルシノールまたは没
食子酸を使用する以外は、実施例2の手順に準拠して、
本発明による酵素のポリフェノール配糖体合成活性を確
認した。
【0022】実施例14 実施例1で用いた培地と同じ培地100mlを用いてバ
シルス・スリンジエンシス(IFO3951)を30℃で
120rpmの条件下において3日間液体振盪培養し
た。培養物を分画分子量3000の前記限外濾過膜(S
EP−0013)を用いて濃縮した(10ml;1.0単
位/ml)。該濃縮液10v/v%、ハイドロキノン
2.5w/v%、澱粉2w/v%および燐酸緩衝液(p
H7.0)10mMから成る混合液100mlを三角フ
ラスコ(200ml)内に入れ、40℃で90時間反応を
おこなうことによってハイドロキノン配糖体を合成し
た。反応混合物を下記の条件でのHPLC分析に付した
ところ、ハイドロキノン−α−D−グルコース(保持時
間:12.2分)が0.64g/mlの濃度で得られ
た。 カラム:コスモシール5C18−ARパックドカラム
(内径20mm;長さ250mm) 溶離液:メタノール/0.1w/v%トリフルオロ酢酸
水(体積比18/82) 流速:5ml/分 検出:279nmの紫外部吸収 温度:40℃
【0023】実施例15 他の細菌からの酵素の調製法 実施例1で用いた培養法でバシルス・スリンジエンシス
IFO3951、バシルス・リケニホルミスATCC2
5972およびバシルス・アミロリケファシエンスIF
O14141をそれぞれ培養し、同様に培養上清250
0−2700mlを得た。これら培養上清に硫酸アンモ
ニウムを80%飽和となるように加え、生じた沈殿物を
遠心分離処理(9000rpm、15分間)で集め、50
mM酢酸緩衝液(pH4.0)100mlに溶解し、該緩
衝液1リットルに対し透析した。該透析内液を該緩衝液
で平衡化したアンバライトCG50カラム(15.9c
2×27cm)に注入し、該緩衝液7.5リットルを用
いて、洗浄した。次いで0.5M燐酸二カリウム水溶液
を用い、流速1.6リットル/hrで溶出をおこない、
溶出量1リットル〜3リットルにかけての溶出液2リッ
トルを実施例1で用いた限外濾過膜を用いて10mlま
で濃縮した。以上の操作でいずれの細菌からの酵素にお
いても活性回収率は60〜80%、比活性は8〜15倍
上昇した。これらの酵素液を用い後で述べるサイクロデ
キストリン合成能、マルトース分解能および配糖体合成
効率を調べた。尚、これら酵素液の活性量、タンパク量
は実施例1に述べた方法によって算出した。又、これら
酵素の作用最適pHはいずれも6〜8にあり、pH安定
範囲はいずれも6〜8に含まれていた。
【0024】実施例16 実施例1および実施例15で調製した酵素液20μl
(60単位/ml)と可溶性でんぷん3w/v%の液(5
0mM燐酸ナトリウム緩衝液pH7.0の溶液)180
μlと40℃で10分間反応させ、その反応液にトリク
ロルエチレン100μlを加えた後、よく撹拌し30分
間放置し、サイクロデキストリン−トリクロルエチレン
複合体による白濁の程度を肉眼により判定した。その結
果、白濁は生じなかった。
【0025】実施例17 実施例1および実施例15で調製した酵素液(5単位/
ml)0.05mlを0.5w/v%マルトース溶液(溶
媒:50mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0))に加
え、40℃で18時間反応させた後、その反応液1μl
を下記条件下の薄層クロマトグラフィー分析に付し、酵
素のマルトース分解能の有無を調べた。 薄層:メルク社製シリカゲル60F254ガラスプレー
ト 展開溶媒:酢酸エチル/酢酸/水=3/2/2(体積比) 検出:33v/v%硫酸/メタノール混合液を薄層に噴
霧後、該薄層を120℃で10分間加熱する。その結
果、マルトース(Rf値=0.46)は検出されたが、グ
ルコース(Rf値:0.56)は検出されなかった。
【0026】実施例18 ハイドロキノン5w/v%、可溶性澱粉10w/v%の
濃度で50mM燐酸ナトリウム緩衝液pH7.0に溶解
した200μlに、実施例1および実施例15で調製し
た酵素液および市販のCGTアーゼ(天野製薬株式会社
の市販品「コンチザイム」)(4〜5単位/ml)をそれぞ
れ100μl加え、40℃で18時間反応させた。その
反応液25μlを下記条件下の薄層クロマトグラフィー
に付した後、Rf値0.6〜0.9相当の薄層部分(シ
リカゲル)を削り取り配糖体をメタノール5mlで2回
(計10ml)抽出した。この抽出液を減圧濃縮乾固後、
水1mlを用いて配糖体を溶解させ、配糖体水溶液中の
グリコースをフェノール・硫酸法によって、定量し、配
糖体合成効率(酵素1単位当たりの転移したグルコース
量)を比較した。その結果を表2に示す。
【0027】
【表2】 薄層:メルク社製シリカゲル60Fガラスプレート 展開溶媒:酢酸エチル/酢酸/水=3/2/2(体積比)
【0028】実施例19「 アグリカルチャル・バイオロジカル・ケミストリー」、
第41巻、第2221頁〜第2228頁(1977ねん)
に記載された方法に従って調製したアミロスタチンを、
50mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を用いて、
濃度が1.0μg/mlまたは3.5μg/mlになる
ように溶解したアミロスタチン溶液0.025mlを、
実施例1で調製した酵素液(該緩衝液で希釈した試料;
5単位/ml)0.025mlと混合し、該混合液を4
0℃で10分間インキュベートした後、該緩衝液を溶媒
とする0.5w/v%可溶性澱粉溶液0.45mlを加
え、40℃で10分間反応させた。0.5N塩酸1.0
mlを添加することにより反応を停止させ、次いで、ヨ
ウ素5mgとヨウ化カリウム50mgを水100mlに
溶解させた溶液2.5mlを加え、室温で20分間放置
後、660nmにおける吸光度を測定した。ブランクテ
ストは、酵素液の替りに該緩衝液を、又コントロールテ
ストは、アミロスタチンの替りに、該緩衝液を用いる以
外は上記と同様の操作によっておこなった。阻害率(%)
は下記の式に従い算出した。 阻害率(%)={(Ab−Ao)−(Ab−Ai)}/(Ab−
Ao)×100 式中、Ai、AbおよびAoはそれぞれ阻害テスト後測
定値、ブランクテストの測定値およびコントロールテス
トの測定値を示す。濃度が1.0μ/mlおよび3.5
μg/mlのアミロスタチン溶液による阻害率はそれぞ
れ50%および98%であった。
【0029】
【発明の効果】本発明による酵素を利用することによ
り、広範囲の糖基質とポリフェノール受容体を原料とし
て種々のポリフェノール配糖体を効率よく合成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による酵素の活性におよぼすpHの影
響(作用最適pH)を示すグラフである。
【図2】 本発明による酵素の活性におよぼす温度の影
響を示すグラフである。
【図3】 本発明による酵素の活性におよぼすpHの影
響(pH安定範囲)を示すグラフである。40℃、30
分間それぞれのpH下においてた。
【図4】 本発明による酵素の熱安定性を示すグラフで
ある。pH8で30分間それそれの温度下においた。
【符号の説明】
1 酢酸塩緩衝液を用いた場合 2 燐酸ナトリウム緩衝液を用いた場合 3 硼酸緩衝液を用いた場合
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:10) (C12N 9/10 C12R 1:125) (72)発明者 西野 豊和 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷 紡績株式会社技術研究所内 (72)発明者 村尾 澤夫 大阪府堺市堀上緑町2−8−12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)サイクロデキストリン合成能および
    マルトース分解能を有さず、(ii)糖基質を加水分解して
    生成するグルコースをポリフェノール受容体に転移させ
    てポリフェノール配糖体を合成する特性を有し、至適p
    Hが6〜8であり、安定pHが6〜9であり、至適温度
    が40〜50℃であり、安定温度が0〜50℃であり、
    分子量が29500であり、等電点が5.1である酵
    素。
  2. 【請求項2】 糖基質が澱粉、アミロペクチンまたはマ
    ルトオリゴ糖(G3〜G7)である請求項1記載の酵素。
  3. 【請求項3】 ポリフェノール受容体がカテキン、カフ
    ェ−酸、コウジ酸、ハイドロキノン、カテコール、レゾ
    ルシノール、プロトカテキュー酸、α−レゾルシル酸、
    フロログルシノールまたは没食子酸である請求項1記載
    の酵素。
  4. 【請求項4】 バシルス属の細菌が生産する請求項1〜
    3いずれかに記載の酵素。
  5. 【請求項5】 バシルス属の細菌が、バシルス・ズブチ
    リス、バシルス・スリンジエンシス、バシルス・リケニ
    ホルミスおよびバシルス・アミロリケファシエンスから
    成る群から選択される細菌である請求項4記載の酵素。
  6. 【請求項6】 バシルス属の細菌を培養して得られる培
    養物を精製処理に付すことを特徴とする、請求項1〜5
    いずれかに記載の酵素の製造方法。
  7. 【請求項7】 バシルス属の細菌が、バシルス・ズブチ
    リス、バシルス・スリンジエンシス、バシルス・リケニ
    ホルミスおよびバシルス・アミロリケファシエンスから
    成る群から選択される細菌である請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 糖基質およびポリフェノール受容体を、
    請求項1〜5いずれかに記載の酵素の存在下で反応させ
    ることを特徴とするポリフェノール配糖体の製造方法。
  9. 【請求項9】 糖基質が澱粉、アミロペクチンまたはマ
    ルトオリゴ糖(G3〜G7)である請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 ポリフェノール受容体がカテキン、カ
    フェー酸、コウジ酸、ハイドロキノン、カテコール、レ
    ゾルシノール、プロトカテキュー酸、α−レゾルシル
    酸、フロログルシノールまたは没食子酸である請求項8
    記載の方法。
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