JP2989217B2 - エキソ‐β‐1,4‐ガラクタナーゼ及びその利用 - Google Patents
エキソ‐β‐1,4‐ガラクタナーゼ及びその利用Info
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- JP2989217B2 JP2989217B2 JP2124187A JP12418790A JP2989217B2 JP 2989217 B2 JP2989217 B2 JP 2989217B2 JP 2124187 A JP2124187 A JP 2124187A JP 12418790 A JP12418790 A JP 12418790A JP 2989217 B2 JP2989217 B2 JP 2989217B2
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- enzyme
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規酵素に関するものであり、更に詳細には
従来未知のエキソ(exo)型のβ−1,4−ガラクタナー
ゼ、その生産菌及びその利用に関するものである。
従来未知のエキソ(exo)型のβ−1,4−ガラクタナー
ゼ、その生産菌及びその利用に関するものである。
(従来の技術) 柑橘類、バレイショ、大豆等に含まれるアラビノガラ
クタンやガラクタンのようにβ−1,4−ガラクトシド結
合を有する主鎖を含む多糖を加水分解する酵素としてβ
−1,4−ガラクタナーゼ(ガラクタナーゼ)が知られて
いる。
クタンやガラクタンのようにβ−1,4−ガラクトシド結
合を有する主鎖を含む多糖を加水分解する酵素としてβ
−1,4−ガラクタナーゼ(ガラクタナーゼ)が知られて
いる。
しかしながら、これらガラクタナーゼとしては、Peni
cillium citrinum(以下P.citrinum)やBacillus subti
lis(以下B.subtilis)起源のエンド−1,4−β−D−ガ
ラクタナーゼ(EC 3.2.1.89)が知られているにすぎ
ず、いずれもこれらは作用様式がエンド型であってエキ
ソ型ではない。
cillium citrinum(以下P.citrinum)やBacillus subti
lis(以下B.subtilis)起源のエンド−1,4−β−D−ガ
ラクタナーゼ(EC 3.2.1.89)が知られているにすぎ
ず、いずれもこれらは作用様式がエンド型であってエキ
ソ型ではない。
本発明は、基質をエキソ型の様式で分解する性質を有
するβ−1,4−ガラクタナーゼを新たに分離精製するこ
とに成功したものであるが、このようなことは従来全く
知られておらず新規である。
するβ−1,4−ガラクタナーゼを新たに分離精製するこ
とに成功したものであるが、このようなことは従来全く
知られておらず新規である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記した技術の現状に鑑みてなされたもので
あって、従来既知のエンド型ではない全く新規なタイプ
のガラクタナーゼを開発する目的でなされたものであ
る。
あって、従来既知のエンド型ではない全く新規なタイプ
のガラクタナーゼを開発する目的でなされたものであ
る。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するために微生物のスクリーニングを
広範に実施したところ、B.subtilisの一株がβ−1,4−
ガラクタナーゼを産生すること、そしてこの酵素の作用
様式がエキソ型であることをつきとめた。そして更に検
討した結果、その反応様式は従来報告されているいずれ
のβ−1,4−ガラクタナーゼとも異なる新規なものであ
るとの知見を得た。
広範に実施したところ、B.subtilisの一株がβ−1,4−
ガラクタナーゼを産生すること、そしてこの酵素の作用
様式がエキソ型であることをつきとめた。そして更に検
討した結果、その反応様式は従来報告されているいずれ
のβ−1,4−ガラクタナーゼとも異なる新規なものであ
るとの知見を得た。
本発明はこの新知見、つまり新規エキソ型β−1,4−
ガラクタナーゼの発見に基づき更に検討の結果、完成さ
れたものである。
ガラクタナーゼの発見に基づき更に検討の結果、完成さ
れたものである。
本酵素の採取源としては、例えばB.subtilis K401株
を用いる。本菌株は、小豆より分離した細菌であって、
グラム陽性の好気性桿菌であり、大きさは1〜1.2×2.5
〜3.0μm、胞子の大きさは1.0〜1.2×1.5〜1.7μmで
ある。現在本菌株は、大阪市立工業研究所生物化学課に
おいて肉汁寒天(日水製薬社製)の斜面培地上で継代維
持されており、微工研において微工研菌寄第11373号と
して受託されている。
を用いる。本菌株は、小豆より分離した細菌であって、
グラム陽性の好気性桿菌であり、大きさは1〜1.2×2.5
〜3.0μm、胞子の大きさは1.0〜1.2×1.5〜1.7μmで
ある。現在本菌株は、大阪市立工業研究所生物化学課に
おいて肉汁寒天(日水製薬社製)の斜面培地上で継代維
持されており、微工研において微工研菌寄第11373号と
して受託されている。
本酵素は本菌の培養物から得られるのであるが、本菌
の培養は常法によって行えばよい。培養条件としては、
細菌の培養条件が適宜利用され、通気攪拌培養等が行わ
れるが、培養をβ−1,4−ガラクタンの存在下で行うと
収率の大幅向上が認められ好適である。β−1,4−ガラ
クタンとしては精製品、粗製品のいずれもが使用できる
し、その含有物も有利に使用できる。含有物の例として
は、大豆粉、脱脂大豆粉、豆腐粕(オカラ)といった大
豆関連物質や、柑橘類由来のポリペクチンナトリウム等
が挙げられる。大豆由来のアラビノガラクタン(soybea
n arabinogalactan;以下SAG)(Agric.Biol.Chem.,35,1
891(1971))も使用可能である。
の培養は常法によって行えばよい。培養条件としては、
細菌の培養条件が適宜利用され、通気攪拌培養等が行わ
れるが、培養をβ−1,4−ガラクタンの存在下で行うと
収率の大幅向上が認められ好適である。β−1,4−ガラ
クタンとしては精製品、粗製品のいずれもが使用できる
し、その含有物も有利に使用できる。含有物の例として
は、大豆粉、脱脂大豆粉、豆腐粕(オカラ)といった大
豆関連物質や、柑橘類由来のポリペクチンナトリウム等
が挙げられる。大豆由来のアラビノガラクタン(soybea
n arabinogalactan;以下SAG)(Agric.Biol.Chem.,35,1
891(1971))も使用可能である。
本酵素は培養菌体内及び培養液に蓄積されるが、前者
においては常法どおり菌体を破壊した後に酵素を抽出
し、後者においては培養液を濾過した濾液から抽出す
る。本菌は後者の方により多量にガラクタナーゼを分泌
することが認められている。
においては常法どおり菌体を破壊した後に酵素を抽出
し、後者においては培養液を濾過した濾液から抽出す
る。本菌は後者の方により多量にガラクタナーゼを分泌
することが認められている。
このようにして培養濾液は、抽出し精製処理を行っ
て、目的とするガラクタナーゼを得る。抽出精製処理
は、常法によって行い、例えば、塩析、カラムクロマト
グラフィー、ゲル濾過、電気泳動、高速液体クロマトグ
ラフィー等を適宜単用ないし併用する。
て、目的とするガラクタナーゼを得る。抽出精製処理
は、常法によって行い、例えば、塩析、カラムクロマト
グラフィー、ゲル濾過、電気泳動、高速液体クロマトグ
ラフィー等を適宜単用ないし併用する。
得られた精製エキソ−β−1,4−ガラクタナーゼの諸
性質の詳細は後記のとおりであるが、ガラクトオリゴ糖
を基質とする加水分解物の分析結果からして、基質より
ガラクトビオース(Ga2)残基を遊離させる新規エキ
ソ型のガラクタナーゼである点で、特に特徴的である。
性質の詳細は後記のとおりであるが、ガラクトオリゴ糖
を基質とする加水分解物の分析結果からして、基質より
ガラクトビオース(Ga2)残基を遊離させる新規エキ
ソ型のガラクタナーゼである点で、特に特徴的である。
本発明に係るガラクタナーゼが有する上記した新しい
性質を利用することによって、β−1,4−ガラクトシド
結合を有する各種原料に応じてそれぞれ各種のガラクト
オリゴ糖を製造することができる。例えば、SAGを酵素
処理すれば、ガラクトビオース(Ga2)及びガラクト
テトラオース(Ga4)等のガラクトオリゴ糖を得るこ
とができるし、また、ガラクトテトラオース(Ga4)
及びガラクトトリオース(Ga3)といったガラクトオ
リゴ糖を酵素処理することによって、前者からはGa2
を製造することができるし、後者からはGa2とGaを
製造することができる。
性質を利用することによって、β−1,4−ガラクトシド
結合を有する各種原料に応じてそれぞれ各種のガラクト
オリゴ糖を製造することができる。例えば、SAGを酵素
処理すれば、ガラクトビオース(Ga2)及びガラクト
テトラオース(Ga4)等のガラクトオリゴ糖を得るこ
とができるし、また、ガラクトテトラオース(Ga4)
及びガラクトトリオース(Ga3)といったガラクトオ
リゴ糖を酵素処理することによって、前者からはGa2
を製造することができるし、後者からはGa2とGaを
製造することができる。
そのうえ、本発明に係る酵素は、上記のようなβ−1,
4−ガラクタン、ガラクトオリゴ糖といった原料を加水
分解する作用のほかに、Ga2を他に転移させる作用も
有する。例えばSAGにGaを添加した原料及びSAGにGa
2を添加した原料を酵素処理することによって、Ga2
転移反応を生せじめてGa3及びGa4をそれぞれ著量
蓄積せしめることができ、これらの転移反応を利用する
ことによっても各種のガラクトオリゴ糖を製造すること
ができる。
4−ガラクタン、ガラクトオリゴ糖といった原料を加水
分解する作用のほかに、Ga2を他に転移させる作用も
有する。例えばSAGにGaを添加した原料及びSAGにGa
2を添加した原料を酵素処理することによって、Ga2
転移反応を生せじめてGa3及びGa4をそれぞれ著量
蓄積せしめることができ、これらの転移反応を利用する
ことによっても各種のガラクトオリゴ糖を製造すること
ができる。
本発明においてガラクタナーゼを利用する場合には、
精製した酵素はもとより、粗製酵素から精製酵素へ至る
各種精製段階における酵素、粗製酵素も利用することが
できる。また、酵素源として微生物自体(B.subtilis)
を用いることもでき、その場合は単離した微生物菌体の
ほか、菌体を単離することのない培養物、培養液、及び
これらの濃縮物、乾燥物、ペースト、破壊物といった各
種の処理物も広く利用することができる。
精製した酵素はもとより、粗製酵素から精製酵素へ至る
各種精製段階における酵素、粗製酵素も利用することが
できる。また、酵素源として微生物自体(B.subtilis)
を用いることもでき、その場合は単離した微生物菌体の
ほか、菌体を単離することのない培養物、培養液、及び
これらの濃縮物、乾燥物、ペースト、破壊物といった各
種の処理物も広く利用することができる。
実施例1 微生物の培養 B.subtilis K401(FERM P−11373)を培地で培養し
た。
た。
培養培地の組成は、30gの脱脂大豆粉、10gの(NH4)2
HPO4、0.2gのNaCl及び0.2gのMgSO4・7H2Oを1の精製
水に懸濁溶解したものである。培地のpHは滅菌前に7.2
に調整した。培養は、上記の培地75mを入れた500m
の培養フラスコ中、27℃で、ロータリーシェーカーにて
回転振盪培養した。48時間の培養後、ガラクタナーゼの
産生量は最大に達したので水不溶性物質と細胞とを遠心
分離により除去した。
HPO4、0.2gのNaCl及び0.2gのMgSO4・7H2Oを1の精製
水に懸濁溶解したものである。培地のpHは滅菌前に7.2
に調整した。培養は、上記の培地75mを入れた500m
の培養フラスコ中、27℃で、ロータリーシェーカーにて
回転振盪培養した。48時間の培養後、ガラクタナーゼの
産生量は最大に達したので水不溶性物質と細胞とを遠心
分離により除去した。
実施例2 酵素の精製 ステップ1:硫安塩析 実施例1で得た培養濾液に固形硫安を55%飽和となる
まで加え、16時間経過してから沈澱物を遠心分離により
採取した。次いで、この沈澱物を20mM酢酸緩衝液(pH6.
0)に溶かし、同緩衝液に対して透析を行った。
まで加え、16時間経過してから沈澱物を遠心分離により
採取した。次いで、この沈澱物を20mM酢酸緩衝液(pH6.
0)に溶かし、同緩衝液に対して透析を行った。
ステップ2:S−セファロースカラムクロマトグラフィー 20mM酢酸緩衝液(pH6.0)で予め平衡化しておいたS
−セファロース(ファルマシア社製)カラム(φ3×長
さ30cm)に、ステップ1で得られた透析内液をかけた。
次いで、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1と、0.5MのNaCl
を加えた20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1とにより調製し
た。直線形NaCl濃度勾配により酵素を溶出した(流速は
30m/時間)。溶出液は10mづつ分画し、活性画分を
合わせて限外濾過で濃縮した。
−セファロース(ファルマシア社製)カラム(φ3×長
さ30cm)に、ステップ1で得られた透析内液をかけた。
次いで、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1と、0.5MのNaCl
を加えた20mM酢酸緩衝液(pH6.0)1とにより調製し
た。直線形NaCl濃度勾配により酵素を溶出した(流速は
30m/時間)。溶出液は10mづつ分画し、活性画分を
合わせて限外濾過で濃縮した。
ステップ3:ウルトロゲルAcA 44によるゲル濾過 100mM NaClを含む25mM燐酸緩衝液(pH7.0)で予め平
衡化しておいたウルトロゲル(Ultrogel)AcA 44(LKB
社製)カラム(φ1.5×長さ97cm)に、ステップ2で得
られた限外濾過濃縮液をかけ、上記緩衝液により流速9.
0m/時間の割合で溶出した。溶出液は2.0mづつ分画
し、活性画分を合わせ、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対
して透析した。得られた透析内液を精製酵素の標品とし
て用いた。
衡化しておいたウルトロゲル(Ultrogel)AcA 44(LKB
社製)カラム(φ1.5×長さ97cm)に、ステップ2で得
られた限外濾過濃縮液をかけ、上記緩衝液により流速9.
0m/時間の割合で溶出した。溶出液は2.0mづつ分画
し、活性画分を合わせ、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対
して透析した。得られた透析内液を精製酵素の標品とし
て用いた。
ガラクタナーゼの精製の概略を表1に示す。最終的に
酵素は1,400倍に精製され、収率は約20%であった。最
終精製標品はポリアクリルアミドゲル電気泳動及びSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動上でシングルバンド
を示した(第1図)。
酵素は1,400倍に精製され、収率は約20%であった。最
終精製標品はポリアクリルアミドゲル電気泳動及びSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動上でシングルバンド
を示した(第1図)。
なお、酵素活性の測定及び電気泳動は次のようにして
行った。
行った。
(酵素活性の測定方法) 50mM燐酸緩衝液(pH6.5)に0.625%の割合で溶解させ
たSAG溶液0.4mと、同上の燐酸緩衝液に溶解させた酵
素溶液0.1mとからなる反応混合液を、40℃で10分間反
応させた。反応は1.0mのSomogyi試薬により停止させ
た。反応により遊離された還元糖の量は、ガラクトース
を標準として、Somogyi−Nelsonの方法に従って測定し
た。上記反応条件において、1分間当たり1μmoleの還
元糖を遊離する酵素活性を1ユニットと定義した。
たSAG溶液0.4mと、同上の燐酸緩衝液に溶解させた酵
素溶液0.1mとからなる反応混合液を、40℃で10分間反
応させた。反応は1.0mのSomogyi試薬により停止させ
た。反応により遊離された還元糖の量は、ガラクトース
を標準として、Somogyi−Nelsonの方法に従って測定し
た。上記反応条件において、1分間当たり1μmoleの還
元糖を遊離する酵素活性を1ユニットと定義した。
(電気泳動) ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、Davisの方法に
より、ポリアクリルアミドゲル濃度を7.5%とし、pHを
4に保った緩衝系を含むカラムにて行った。SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動は、WeberとOsbornの方法
に従って行った。用いた標準蛋白質は、α2−マクログ
ロブリン(分子量170,000)、ホスホリラーゼb(同97,
400)、グルタミン酸デヒ ドロゲナーゼ(同55,40
0)、乳酸デヒドロゲナーゼ(同36,500)及びトリプシ
ン・インヒビター(同20,100)である。
より、ポリアクリルアミドゲル濃度を7.5%とし、pHを
4に保った緩衝系を含むカラムにて行った。SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動は、WeberとOsbornの方法
に従って行った。用いた標準蛋白質は、α2−マクログ
ロブリン(分子量170,000)、ホスホリラーゼb(同97,
400)、グルタミン酸デヒ ドロゲナーゼ(同55,40
0)、乳酸デヒドロゲナーゼ(同36,500)及びトリプシ
ン・インヒビター(同20,100)である。
実施例3 本酵素の性質 (1)精製及び均質性 ガラクタナーゼは実施例2で述べたように、培養濾液
から1400倍に精製され、最終精製標品は電気泳動にてシ
ングルバンドを示した(第1図)。
から1400倍に精製され、最終精製標品は電気泳動にてシ
ングルバンドを示した(第1図)。
(2)分子量及び等電点 SDS−PAGEによれば、本酵素の分子量は36,000であっ
た。
た。
本酵素の等電点は、等電点電気泳動法によれば、pH7.
88であった。なお、等電点電気泳動は次のようにして行
った。
88であった。なお、等電点電気泳動は次のようにして行
った。
等電点電気泳動は、VesterbergとSvenssonの方法に従
い、pH範囲が3.5〜10のAmpholyte(LKB社製)を入れた
カラム(110m)で行った。4℃に保ったカラムに定電
圧400Vを48時間かけた。その後試料を2mづつ分画し、
各々の画分について酵素活性とpHを測定した。
い、pH範囲が3.5〜10のAmpholyte(LKB社製)を入れた
カラム(110m)で行った。4℃に保ったカラムに定電
圧400Vを48時間かけた。その後試料を2mづつ分画し、
各々の画分について酵素活性とpHを測定した。
(3)pH及び温度の影響 本酵素のpHに対する安定性を調べるに当たっては、温
度15℃に保った、種々のpHのBritton−Robinsonユニバ
ーサル緩衝液中に、酵素を24時間置いた。この条件で
は、本酵素はpH6〜10の間で安定であった(第2図A○
−○)。
度15℃に保った、種々のpHのBritton−Robinsonユニバ
ーサル緩衝液中に、酵素を24時間置いた。この条件で
は、本酵素はpH6〜10の間で安定であった(第2図A○
−○)。
一方、温度安定性を見るために、pH7.5で種々の温度
に10分間さらしたところ、55℃以下で安定であった(第
2図B○−○)。
に10分間さらしたところ、55℃以下で安定であった(第
2図B○−○)。
至適pHを見るために種々のpHの50mM燐酸緩衝液中で、
40℃における本酵素の活性を測定したところ、pH6.5〜
7.0において最も活性が高かった(第2図A●…●)。
40℃における本酵素の活性を測定したところ、pH6.5〜
7.0において最も活性が高かった(第2図A●…●)。
pH6.5で種々の温度に10分間さらしたところ、酵素活
性が最大値となったのは、温度が60℃のときであった
(第2図B●…●)。
性が最大値となったのは、温度が60℃のときであった
(第2図B●…●)。
これらの結果から明らかなように、本酵素の至適pHは
6〜7(温度40℃)であり、至適温度は50〜60℃(pH6.
5)であった。
6〜7(温度40℃)であり、至適温度は50〜60℃(pH6.
5)であった。
(4)種々の試薬及び金属イオンの影響 本酵素に対する種々の試薬及び金属イオンの影響を次
のようにして調べた。すなわち、各々の試薬或いは金属
イオンの40mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.3)溶液に、酵
素を30℃で2時間インキュベートした。残存活性は上述
の測定方法に従って測定した。
のようにして調べた。すなわち、各々の試薬或いは金属
イオンの40mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.3)溶液に、酵
素を30℃で2時間インキュベートした。残存活性は上述
の測定方法に従って測定した。
その結果を表2に示した。表2の結果から明らかなよ
うに、Hg2+及びCu2+が酵素活性を阻害した。これ以外の
試薬は、Ca2+及びEDTAを含めて、酵素の活性に有意な影
響は与えなかった。
うに、Hg2+及びCu2+が酵素活性を阻害した。これ以外の
試薬は、Ca2+及びEDTAを含めて、酵素の活性に有意な影
響は与えなかった。
(5)Km値 本酵素のKm値は、種々のSAG濃度(S)と還元糖の解
離速度(v)とから、S対S/vのグラフを作成して、1.0
6mg/mという値を得た。
離速度(v)とから、S対S/vのグラフを作成して、1.0
6mg/mという値を得た。
(6)基質特異性 種々のオリゴ糖(0.5%)及び酵素(0.2ユニット/m
)を50mM燐酸緩衝液(pH6.5)に溶かした反応混合液
(1.0m)を40℃で24時間反応させた。遊離された還元
糖の量はガラクトースを標準としてSomogyi−Nelsonの
方法によって測定し、その結果を表3に示した。
)を50mM燐酸緩衝液(pH6.5)に溶かした反応混合液
(1.0m)を40℃で24時間反応させた。遊離された還元
糖の量はガラクトースを標準としてSomogyi−Nelsonの
方法によって測定し、その結果を表3に示した。
これらの結果から次のことが判明した。
本酵素は、SAGからばかりではなく、ポリペクチンナ
トリウム(柑橘果実由来;シグマ社製;β−1,4−ガラ
クタンを構成要素として有していることが知られてい
る)からも還元糖を遊離する。ポリペクチンナトリウム
から遊離されたオリゴ糖を分析したところ、SAGから遊
離されたオリゴ糖と同じであった。一方カラマツアラビ
ノガラクタン、コーヒー豆アラビノガラクタン及びアラ
ビアガム(これらの主鎖は、β−1,3−ガラクトシド結
合からなっていることが知られている)は、本酵素によ
っては分解されなかった。
トリウム(柑橘果実由来;シグマ社製;β−1,4−ガラ
クタンを構成要素として有していることが知られてい
る)からも還元糖を遊離する。ポリペクチンナトリウム
から遊離されたオリゴ糖を分析したところ、SAGから遊
離されたオリゴ糖と同じであった。一方カラマツアラビ
ノガラクタン、コーヒー豆アラビノガラクタン及びアラ
ビアガム(これらの主鎖は、β−1,3−ガラクトシド結
合からなっていることが知られている)は、本酵素によ
っては分解されなかった。
(7)本発明酵素によるSAG加水分解産物の分析 SAG 1.5gと精製酵素5ユニットとを50mM燐酸緩衝液に
溶解した反応混合液50mを40℃で8時間反応させた。
未反応のSAGは、100mのエタノールを前記反応液に添
加して沈澱させた後に、遠心分離で除去した。上清を蒸
留により濃縮し、次いで、蒸留残液10mを、5%エタ
ノールで予め平衡化しておいたバイオゲルP−2(バイ
オラッド社製)カラムにかけた。5%エタノールによ
り、流速15m/時間の割合で溶出し、5mづつ分画し
た。各々の画分の糖はフェノール−硫酸法で測定した。
Ga2に相当する画分(画分番号70〜78)及び未知のオ
リゴ糖(X)画分(同61〜65)を別々に集め、減圧濃縮
し、更に上記と同じカラムを用いて再び分画を行って精
製した。以上のようにして得られた二つの画分は、TLC
上でシングル・スポットを示した。
溶解した反応混合液50mを40℃で8時間反応させた。
未反応のSAGは、100mのエタノールを前記反応液に添
加して沈澱させた後に、遠心分離で除去した。上清を蒸
留により濃縮し、次いで、蒸留残液10mを、5%エタ
ノールで予め平衡化しておいたバイオゲルP−2(バイ
オラッド社製)カラムにかけた。5%エタノールによ
り、流速15m/時間の割合で溶出し、5mづつ分画し
た。各々の画分の糖はフェノール−硫酸法で測定した。
Ga2に相当する画分(画分番号70〜78)及び未知のオ
リゴ糖(X)画分(同61〜65)を別々に集め、減圧濃縮
し、更に上記と同じカラムを用いて再び分画を行って精
製した。以上のようにして得られた二つの画分は、TLC
上でシングル・スポットを示した。
以上から、SAGの酵素加水分解産物は、TLC分析の結
果、Ga2が主要産物であり、この他に未知のオリゴ糖
Xが痕跡量検出された。XはTLC上の移動速度はGa4
と殆ど同じであることから、Ga4であることが推定さ
れた。
果、Ga2が主要産物であり、この他に未知のオリゴ糖
Xが痕跡量検出された。XはTLC上の移動速度はGa4
と殆ど同じであることから、Ga4であることが推定さ
れた。
なお、TLC(薄層クロマトグラフィー)は次のように
して行った。
して行った。
薄層クロマトグラフィー 薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60プ
レコートプレート(蛍光指示薬不含、メルク社製)を用
い、酢酸エチル:酢酸:水=3:1:1(v/v)の溶媒系で、
多重展開上昇法(multiple ascending method)により
行った。糖の検出は、プレートにH2SO4:メタノール=1:
1(v/v)を噴霧した後、プレートを110℃に10〜20分間
保つことにより行った。
レコートプレート(蛍光指示薬不含、メルク社製)を用
い、酢酸エチル:酢酸:水=3:1:1(v/v)の溶媒系で、
多重展開上昇法(multiple ascending method)により
行った。糖の検出は、プレートにH2SO4:メタノール=1:
1(v/v)を噴霧した後、プレートを110℃に10〜20分間
保つことにより行った。
(8)本発明酵素によるガラクトオリゴ糖類の加水分解
産物の分析 本酵素(0.92ユニット/m)をGa2、Ga3又はGa
4(それぞれ5.0mM)と、pH6.5、40℃で4時間反応さ
せ、各々のオリゴ糖の加水分解産物をTLCで分析した。G
a3は完全にGaとGa2とに加水分解され、Ga4
からはGa2のみが生成された。Ga2は本酵素によっ
ては全く加水分解されなかった。
産物の分析 本酵素(0.92ユニット/m)をGa2、Ga3又はGa
4(それぞれ5.0mM)と、pH6.5、40℃で4時間反応さ
せ、各々のオリゴ糖の加水分解産物をTLCで分析した。G
a3は完全にGaとGa2とに加水分解され、Ga4
からはGa2のみが生成された。Ga2は本酵素によっ
ては全く加水分解されなかった。
又、還元末端にo−ニトロフェニル基を有するガラク
トオリゴ糖類(ONPG及びG2−ONP〜G5−ONP;Agric.Biol.
chem.,50,3005(1986))を基質として、本酵素のよる
加水分解産物を、ONPの定量及びTLCにより分析した。
トオリゴ糖類(ONPG及びG2−ONP〜G5−ONP;Agric.Biol.
chem.,50,3005(1986))を基質として、本酵素のよる
加水分解産物を、ONPの定量及びTLCにより分析した。
なおここで、ONPGはo−ニトロフェニル−β−D−ガ
ラクトサイド、ONPはo−ニトロフェノール、G2−ONP〜
G5−ONPはo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトビオ
サイド〜o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトペンタ
オサイドを、それぞれ意味する。
ラクトサイド、ONPはo−ニトロフェノール、G2−ONP〜
G5−ONPはo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトビオ
サイド〜o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトペンタ
オサイドを、それぞれ意味する。
ONPの解離の分析においては、各々の基質(1.0mM)に
ついて、本酵素(0.23ユニット/m)と40℃で反応さ
せ、o−ニトロフェニルを、0.1MのNa2CO3の溶液中で、
410nmにおける吸光度を測定することにより定量した。
基質がONPG、G3−ONP及びG5−ONPの場合では、ONPの解
離は起こらなかった。一方、G2−ONP及びG4−ONPから
は、30分間の反応で、それぞれ0.955μmole/m及び0.9
42μmole/mのONPが解離された。
ついて、本酵素(0.23ユニット/m)と40℃で反応さ
せ、o−ニトロフェニルを、0.1MのNa2CO3の溶液中で、
410nmにおける吸光度を測定することにより定量した。
基質がONPG、G3−ONP及びG5−ONPの場合では、ONPの解
離は起こらなかった。一方、G2−ONP及びG4−ONPから
は、30分間の反応で、それぞれ0.955μmole/m及び0.9
42μmole/mのONPが解離された。
ONP以外の加水分解産物については、以下のようにし
て分析した。5mMの燐酸緩衝液(pH6.5)中に、各々の基
質(1μmole/m)及び酵素(0.046ユニット/m)を
含む反応混合液(400μ)を、40℃で反応させ、定時
間隔に、2M酢酸8μを加えて反応を止めた。反応液を
凍結乾燥後、試料を80μの水に溶かし、15μをTLC
プレートにスポットして分析した。結果を第4図に示
す。図中、Mはマーカー(Ga〜Ga4)、AはONPG、
BはG2−ONP、CはG3−ONP、DはG4−ONP、EはG5−ONP
を、それぞれ表す。ONPGは全く加水分解されなかった。
G2−ONP及びG4−ONPからは、Ga2が加水分解産物とし
て検出された。G3−ONP及びG5−ONPからは、ONPG及びGa
2が最終産物として蓄積されていた。更にG4−ONP及
びG5−ONPを基質としたときは、それぞれG2−ONP及びG3
−ONPが中間産物として生成されていることが検出され
た。
て分析した。5mMの燐酸緩衝液(pH6.5)中に、各々の基
質(1μmole/m)及び酵素(0.046ユニット/m)を
含む反応混合液(400μ)を、40℃で反応させ、定時
間隔に、2M酢酸8μを加えて反応を止めた。反応液を
凍結乾燥後、試料を80μの水に溶かし、15μをTLC
プレートにスポットして分析した。結果を第4図に示
す。図中、Mはマーカー(Ga〜Ga4)、AはONPG、
BはG2−ONP、CはG3−ONP、DはG4−ONP、EはG5−ONP
を、それぞれ表す。ONPGは全く加水分解されなかった。
G2−ONP及びG4−ONPからは、Ga2が加水分解産物とし
て検出された。G3−ONP及びG5−ONPからは、ONPG及びGa
2が最終産物として蓄積されていた。更にG4−ONP及
びG5−ONPを基質としたときは、それぞれG2−ONP及びG3
−ONPが中間産物として生成されていることが検出され
た。
(9)本発明のガラクタナーゼと既知のガラクタナーゼ
によるSAGの加水分解産物の比較 本発明に係るB.subtilis由来のガラクタナーゼによる
SAG加水分解生成物(第3図B)と、P.citrinum由来の
ガラクタナーゼIによるSAG加水分解産物(第3図A)
とをHPLC分析により時系列的に比較した。反応時間は、
2.5分、15分及び120分である。SAGは0.5%(w/v)、酵
素は0.2ユニット/m、緩衝液はB.subtilis由来のガラ
クタナーゼの場合は25mM燐酸緩衝液(pH6.5)、P.citri
num由来のガラクタナーゼの場合は25mM酢酸緩衝液(pH
4.5)、温度は40℃であった。
によるSAGの加水分解産物の比較 本発明に係るB.subtilis由来のガラクタナーゼによる
SAG加水分解生成物(第3図B)と、P.citrinum由来の
ガラクタナーゼIによるSAG加水分解産物(第3図A)
とをHPLC分析により時系列的に比較した。反応時間は、
2.5分、15分及び120分である。SAGは0.5%(w/v)、酵
素は0.2ユニット/m、緩衝液はB.subtilis由来のガラ
クタナーゼの場合は25mM燐酸緩衝液(pH6.5)、P.citri
num由来のガラクタナーゼの場合は25mM酢酸緩衝液(pH
4.5)、温度は40℃であった。
P.citrinum由来の酵素はエンド型酵素であるため、ガ
ラクトース及び種々のオリゴ糖、特にSAGの部分加水分
解産物である比較的高分子のオリゴ糖を生成した。一
方、B.subtilis由来の酵素によるSAG加水分解産物中に
は、反応のいずれの段階においても、単糖類、三糖類及
び高分子の部分加水分解産物は検出されなかった。
ラクトース及び種々のオリゴ糖、特にSAGの部分加水分
解産物である比較的高分子のオリゴ糖を生成した。一
方、B.subtilis由来の酵素によるSAG加水分解産物中に
は、反応のいずれの段階においても、単糖類、三糖類及
び高分子の部分加水分解産物は検出されなかった。
(10)本発明のガラクタナーゼによるGa2の転移反応 SAGを本酵素で加水分解するに際し、Ga或いはGa
2を反応混合液に添加しておいた場合の反応産物をHPLC
で分析して本酵素による転移反応を確認した(第5図及
び第6図)。
2を反応混合液に添加しておいた場合の反応産物をHPLC
で分析して本酵素による転移反応を確認した(第5図及
び第6図)。
25mM燐酸緩衝液(pH6.5)中に、SAG(16.8mg/m)
と、種々の濃度のGa(第5図)あるいはGa2(第6
図)、及び酵素(0.46ユニット/m)を含む反応混合液
(200μm)を、40℃で1時間反応させた。反応液を
沸騰させて反応を停止させ、反応生成物をHPLCで分析し
た。
と、種々の濃度のGa(第5図)あるいはGa2(第6
図)、及び酵素(0.46ユニット/m)を含む反応混合液
(200μm)を、40℃で1時間反応させた。反応液を
沸騰させて反応を停止させ、反応生成物をHPLCで分析し
た。
第5図において、○−○はGa2を、△−△はGa3
を、●−●はGa4を、それぞれ表す。
を、●−●はGa4を、それぞれ表す。
第6図において、○−○はGa2を、●−●はGa4
を、それぞれ表す。
を、それぞれ表す。
反応混合液にGaを添加することにより、反応生成物
中のGa3が増加し、Ga2及びGa4は減少した(第
5図)。一方、反応混合液にGa2を添加しておくと、
反応生成物中のGa4が増加していた(第6図)。
中のGa3が増加し、Ga2及びGa4は減少した(第
5図)。一方、反応混合液にGa2を添加しておくと、
反応生成物中のGa4が増加していた(第6図)。
(11)作用様式 本酵素はアラビノガラクタンを基質としてこれを加水
分解させると、Ga2及び少量のGa4を生成した。そ
して通常の反応条件の下では、Ga、Ga3あるいは高
分子量の多糖部分加水分解物が生成されている証拠は全
く見あたらなかった。一連のガラクトオリゴ糖を基質と
する加水分解物の分析結果から、本酵素はGa2残基を
解離するエキソ型のガラクタナーゼであることが強く示
唆された。更に、置換オリゴ糖に対して本酵素が作用す
る様相から、本酵素による加水分解は、基質の非還元末
端から二番目のガラクトシド結合に起こることが推定さ
れた(第7図)。なお、図中、↓は加水分解される結合
箇所を、○はGa残基を、●はONPをそれぞれ表す。こ
のような様式で作用するガラクタナーゼは、カビ由来の
ものを含めても、これまで報告がなく新規である。
分解させると、Ga2及び少量のGa4を生成した。そ
して通常の反応条件の下では、Ga、Ga3あるいは高
分子量の多糖部分加水分解物が生成されている証拠は全
く見あたらなかった。一連のガラクトオリゴ糖を基質と
する加水分解物の分析結果から、本酵素はGa2残基を
解離するエキソ型のガラクタナーゼであることが強く示
唆された。更に、置換オリゴ糖に対して本酵素が作用す
る様相から、本酵素による加水分解は、基質の非還元末
端から二番目のガラクトシド結合に起こることが推定さ
れた(第7図)。なお、図中、↓は加水分解される結合
箇所を、○はGa残基を、●はONPをそれぞれ表す。こ
のような様式で作用するガラクタナーゼは、カビ由来の
ものを含めても、これまで報告がなく新規である。
実施例4 ガラクトオリゴ糖の製造(1) SAG 1.5gと実施例2で得た精製酵素5ユニットとを50
mM燐酸緩衝液に溶解した反応混合液50mを40℃で8時
間反応させた。未反応のオリゴ糖は、100mのエタノー
ルを前記反応液に添加して沈澱させた後に、遠心分離で
除去した。上清を蒸留により濃縮し、次いで、蒸留残液
10mを、5%エタノールで予め平衡化しておいたバイ
オゲルP−2(バイオラッド社製)カラムにかけた。5
%エタノールにより、流速15m/時間の割合で溶出
し、5mづつ分画した。各々の画分の糖はフェノール−
硫酸法で測定し、画分番号70〜78にGa2を得、画分番
号61〜65にGa4を得た。
mM燐酸緩衝液に溶解した反応混合液50mを40℃で8時
間反応させた。未反応のオリゴ糖は、100mのエタノー
ルを前記反応液に添加して沈澱させた後に、遠心分離で
除去した。上清を蒸留により濃縮し、次いで、蒸留残液
10mを、5%エタノールで予め平衡化しておいたバイ
オゲルP−2(バイオラッド社製)カラムにかけた。5
%エタノールにより、流速15m/時間の割合で溶出
し、5mづつ分画した。各々の画分の糖はフェノール−
硫酸法で測定し、画分番号70〜78にGa2を得、画分番
号61〜65にGa4を得た。
実施例5 ガラクトオリゴ糖の製造(2) 本酵素を用いてガラクトオリゴ糖を加水分解すること
により他のガラクトオリゴ糖を製造した。
により他のガラクトオリゴ糖を製造した。
つまり、本酵素(0.92ユニット/m)を、ガラクトト
リオース(Ga3)又はガラクトテトラオース(Ga
4)(それぞれ5.0mM)と、pH6.5、40℃で4時間反応
させ、Ga3からはGaとGa2とを得、Ga4からは
Ga2をそれぞれ得た。
リオース(Ga3)又はガラクトテトラオース(Ga
4)(それぞれ5.0mM)と、pH6.5、40℃で4時間反応
させ、Ga3からはGaとGa2とを得、Ga4からは
Ga2をそれぞれ得た。
(発明の効果) 本発明によってガラクタナーゼが提供されるが、この
酵素はエキソ型β−1,4−ガラクタナーゼであって従来
未知の全く新しいタイプのものである。
酵素はエキソ型β−1,4−ガラクタナーゼであって従来
未知の全く新しいタイプのものである。
本酵素によれば各種のガラクトオリゴ糖が製造でき、
しかも本酵素の工業的製法も本発明によって確立したの
で、各種のガラクトオリゴ糖を工業生産することがはじ
めて可能となった。
しかも本酵素の工業的製法も本発明によって確立したの
で、各種のガラクトオリゴ糖を工業生産することがはじ
めて可能となった。
したがって本発明は、飲食品、栄養品、医薬品等の各
技術分野において重要な役割を果すものである。
技術分野において重要な役割を果すものである。
第1図:精製ガラクタナーゼの電気泳動図 AはPAGE、BはSDS−PAGE。ゲルはクーマシー・プリリ
アント・ブルー(Coomassie Brilliant Blue)R−250
で染色した。 第2図:ガラクタナーゼの活性及び安定性に対するpHと
温度の関係を示したグラフ Aは、pHの酵素活性(●…●)及び酵素安定性(○−
○)に対する影響を示す。Bは、温度の酵素活性(●…
●)及び酵素安定性(○−○)に対する影響を示す。 第3図:B.subtilis由来のガラクタナーゼとP.citrinum
由来のガラクタナーゼによる、SAGの加水分解生成物の
比較図 BはB.subtilis由来のガラクタナーゼによるSAGの加水
分解生成物を、AはP.citrinum由来のガラクタナーゼに
よるSAGの加水分解生成物を、HPLCで分析したものであ
る。 第4図:ONP置換ガラクトオリゴ糖の加水分解生成物の薄
層クロマトグラム 図中、Mはマーカー(Ga〜Ga4)、AはONPG、Bは
G2−ONP、CはG3−ONP、DはG4−ONP、EはG5−ONPを表
す。 第5図:ガラクタナーゼとSAGとからなる反応混合液へ
のGa添加の影響を示すグラフ 図中、○−○はGa2を、△−△はGa3を、●−●は
Ga4を、それぞれ表す。 第6図:ガラクタナーゼとSAGとからなる反応混合液へ
のGa2添加の影響を示すグラフ 図中、○−○はGa2を、●−●はGa4を、それぞれ
表す。 第7図:ONP置換ガラクトオリゴ糖に対するガラクタナー
ゼの推定反応様式模式図 図中、↓は加水分解される結合箇所を、○はGa残基
を、●はONPをそれぞれ表す。
アント・ブルー(Coomassie Brilliant Blue)R−250
で染色した。 第2図:ガラクタナーゼの活性及び安定性に対するpHと
温度の関係を示したグラフ Aは、pHの酵素活性(●…●)及び酵素安定性(○−
○)に対する影響を示す。Bは、温度の酵素活性(●…
●)及び酵素安定性(○−○)に対する影響を示す。 第3図:B.subtilis由来のガラクタナーゼとP.citrinum
由来のガラクタナーゼによる、SAGの加水分解生成物の
比較図 BはB.subtilis由来のガラクタナーゼによるSAGの加水
分解生成物を、AはP.citrinum由来のガラクタナーゼに
よるSAGの加水分解生成物を、HPLCで分析したものであ
る。 第4図:ONP置換ガラクトオリゴ糖の加水分解生成物の薄
層クロマトグラム 図中、Mはマーカー(Ga〜Ga4)、AはONPG、Bは
G2−ONP、CはG3−ONP、DはG4−ONP、EはG5−ONPを表
す。 第5図:ガラクタナーゼとSAGとからなる反応混合液へ
のGa添加の影響を示すグラフ 図中、○−○はGa2を、△−△はGa3を、●−●は
Ga4を、それぞれ表す。 第6図:ガラクタナーゼとSAGとからなる反応混合液へ
のGa2添加の影響を示すグラフ 図中、○−○はGa2を、●−●はGa4を、それぞれ
表す。 第7図:ONP置換ガラクトオリゴ糖に対するガラクタナー
ゼの推定反応様式模式図 図中、↓は加水分解される結合箇所を、○はGa残基
を、●はONPをそれぞれ表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:125) (72)発明者 鰺坂 勝美 神奈川県小田原市成田540番地 明治乳 業ヘルスサイエンス研究所内 (72)発明者 藤本 浩 神奈川県小田原市成田540番地 明治乳 業ヘルスサイエンス研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (7)
- 【請求項1】次の性質を有することを特徴とするエキソ
−β−1,4−ガラクタナーゼ; (A)作用 基質の非還元末端から2番目のガラクトシド結合を加水
分解する。 (B)基質特許性 大豆アラビノガラクタン及び柑橘果実ガラクタンは分解
するが、カラマツアラビノガラクタン及びコーヒー豆ア
ラビノガラクタンはほとんど分解せず、アラビアガムは
全く分解しない。 (C)分子量 36,000(SDS−PAGE法) (D)等電点 pH7.88(等電点電気泳動法) (E)至適pH pH6〜7(60℃) (F)至的温度 50〜60℃(pH6.5) (G)活性阻害 Hg2+、Cu2+は酵素活性を阻害する。 - 【請求項2】バチルス属に属するエキソβ−1,4−ガラ
クタナーゼ生産菌を培地で培養することを特徴とする請
求項1に記載のエキソ−β−1,4−ガラクタナーゼの製
造方法。 - 【請求項3】β−1,4−ガラクタンの存在下で培養を行
うことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。 - 【請求項4】エキソ−β−1,4−ガラクタナーゼ生産
菌、バチルス・ズブチリス(K401(Bacillus subtilis
K401)(FERM P−11373)。 - 【請求項5】請求項1に記載のエキソ−β−1,4−ガラ
クタナーゼを使用することを特徴とするガラクトオリゴ
糖の製造方法。 - 【請求項6】請求項1に記載のエキソ−β−1,4−ガラ
クタナーゼを使用することを特徴とするガラクトビオー
スの転移方法。 - 【請求項7】請求項1に記載のエキソ−β−1,4−ガラ
クタナーゼが、精製酵素若しくは粗製酵素、又は該酵素
生成菌体、菌体含有物若しくはその処理物であることを
特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2124187A JP2989217B2 (ja) | 1990-05-16 | 1990-05-16 | エキソ‐β‐1,4‐ガラクタナーゼ及びその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2124187A JP2989217B2 (ja) | 1990-05-16 | 1990-05-16 | エキソ‐β‐1,4‐ガラクタナーゼ及びその利用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0423984A JPH0423984A (ja) | 1992-01-28 |
JP2989217B2 true JP2989217B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=14879140
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2124187A Expired - Fee Related JP2989217B2 (ja) | 1990-05-16 | 1990-05-16 | エキソ‐β‐1,4‐ガラクタナーゼ及びその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2989217B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006211938A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-17 | Okumoto Seifun Kk | アラビノガラクタン分解酵素及びその製造方法並びに当該酵素によるガラクトビオースの製造方法 |
-
1990
- 1990-05-16 JP JP2124187A patent/JP2989217B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0423984A (ja) | 1992-01-28 |
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |