JP3000169B2 - エンド―β―N―アセチルグルコサミニダーゼおよびその製造方法 - Google Patents

エンド―β―N―アセチルグルコサミニダーゼおよびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なエンド−β−N−アセチルグルコサミ
ニダーゼ(以下、endo−β−GlcNAcaseと略する。)お
よびその微生物による製造方法に関するものである。さ
らに詳しくは、糖タンパク質のアスパラギン結合型糖鎖
の高マンノース型や混合型のみならず、複合型糖鎖に対
しても作用する広い基質特異性を有する、endo−β−Gl
cNAcaseおよびその微生物による製造法に関するもので
ある。
糖タンパク質は動物の諸臓器や植物の組織、微生物の
細胞膜・細胞壁などに広く分布している。近年、糖タン
パク質の糖鎖が、細胞の分化や細胞間認識など、生体内
の分子識別現象に重要な役割を果たしていることが明ら
かにされつつある。これらの役割の解明には、その糖鎖
の構造と機能の究明が重要な課題となっている。このよ
うな糖鎖の構造や機能を明らかにするための手段とし
て、微生物の生産するさまざまな特異性の高いグリコシ
ダーゼが注目されるようになり、この酵素法を用いた研
究が広く行われている。しかしながら、糖タンパク質の
糖鎖は、通常、複雑な構造を有しているので、エキソ型
のグリコシダーゼのみによる分析はきわめて困難であ
る。そこで、糖タンパク質から糖部分をオリゴ糖として
切り離す、エンド型のグリコシダーゼが非常に重要な酵
素になると考えられてきた。
Endo−β−GlcNAcaseは、糖タンパク質に存在するア
スパラギン結合型の糖鎖に作用して、以下の様に糖鎖と
タンパクとの結合部に存するN,N′−ジアセチルキトビ
オース部分を切断し、糖鎖を遊離する。
本酵素は、糖タンパク質の糖鎖部分をタンパク部分よ
り遊離することができるために、糖タンパク質糖鎖の構
造および機能の解析に、非常に重要な酵素である。
〔従来の技術・発明が解決しようとする課題〕
従来、endo−β−GlcNAcaseは、肺炎双球菌(Diploco
ccus pneumoniae)の生産するEndo−D、Clostridium p
erfringensの生産するEndo−C IおよびC II、Streptomy
ces plicatusの生産するEndo−Hなどが知られており、
糖タンパクの糖鎖の研究に用いられているが、これらの
酵素はいずれも特定の糖鎖に対してのみ作用する。
即ち、アスパラギン結合型糖鎖の構成としては、以下
に示すような高マンノース型、混合型、複合型に分けら
れる。
上記の従来知られているendo−β−GlcNAcaseは、高
マンノース型と混合型の糖鎖には作用するが、シアル酸
を初めとして様々な糖より構成される複雑な構造の複合
型糖鎖には作用しない。最近見出されたFlavobacterium
meningosepticumのendo−β−GlcNAcase(Endo−F)
は高マンノース型と複合型の糖鎖に作用するが、複合型
糖鎖には高濃度の2−メルカプトエタノールとノニデッ
ト(nonidet)−P40などのタンパク質の変性剤の存在下
でなければ作用しない。
一方、本発明者らが先に出願した(特開平1−309685
号)ムコール属の一菌株が培養液中に生産するendo−β
−GlcNAcaseは、高マンノース型や混合型の糖鎖のみな
らず、シアル酸が結合した複合型糖鎖にも作用し、しか
も活性の発現に2−メルカプトエタノールや界面活性剤
のようなタンパク質変性剤を必要としない、新規なendo
−β−GlcNAcaseである。しかしながら、ムコール属由
来の該酵素は精製が容易でなく、混在する蛋白分解酵素
の活性が強いため酵素利用の観点からは欠点を有してい
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、糖タンパク質のアスパラギン結合型糖
鎖の高マンノース型や混合型のみならず、シアル酸の結
合した複合型の糖鎖にも作用するという広い基質特異性
を有するとともに、天然に存在する糖タンパク質を変性
することなく、その糖鎖に直接作用しうるendo−β−Gl
cNAcaseを生産する菌を検索した結果、京都市左京区の
土壌より分離された細菌の培養液中に特異的な本酵素活
性を見出した。このような微生物の培養液より単一タン
パクとしてendo−β−GlcNAcaseを得ることに成功し、
本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は高マンノース型、混合型、複合型のい
ずれのアスパラギン結合型糖鎖にも作用し、かつ天然の
糖タンパク質糖鎖にintactの状態のままに作用する特徴
を有する新規な、アシネトバクター・スピィシーズ(Ac
inetobacter species)B−43(FERM P−11699)より取
得可能なendo−β−GlcNAcaseを提供するものである。
さらに、本発明は、アシネトバクター属に属し前記のen
do−β−GlcNAcaseを生産能を有する微生物を培養し
て、培養液よりendo−β−GlcNAcaseを採取することを
特徴とするendo−β−GlcNAcaseの製造方法をも提供す
るものである。
本発明の酵素は、糖タンパク質に存在する複合型を含
めたほとんどのアスパラギン結合型糖鎖を遊離すること
ができると共に、タンパク質変性剤などを添加してタン
パク質を変性処理する必要がなく、糖タンパク質から糖
鎖を遊離することができる極めて優れた性質を有してい
る。それ故に、糖タンパク質の糖鎖およびタンパクの機
能的、生理的役割を研究する上で、本発明の酵素をその
糖タンパク質に作用させることにより明らかにすること
ができる。即ち、本発明の酵素を糖タンパクに作用させ
ることにより、複合型を含めたほとんど全てのアスパラ
ギン結合型糖鎖が除去されたタンパク質を得ることがで
き、その生理活性を調べることが可能である。また、最
近、癌細胞のアスパラギン結合型糖鎖の構造が、通常の
細胞のそれと異なる構造に変化するという報告が多く発
表され、糖タンパクの糖鎖の構造が注目されている。こ
のような状況の中で糖鎖をタンパク質部分から遊離する
ことができる本発明の酵素は、糖鎖の構造解析にも有用
な酵素として利用されることが期待される。また、本発
明の酵素は、通常の安価な培地で菌体を培養することに
より、菌体外に分泌されるので、容易にかつ多量の酵素
タンパクを得ることができ、しかも比較的簡単な操作で
精製酵素を得ることができるので研究用試薬として大量
かつ安価な供給が可能である。
以下に本発明を更に詳細に説明する。後に示す実施例
の方法で得られたendo−β−GlcNAcaseの酵素化学的お
よび物理化学的性質は、下記のとおりである。
(1)作用 本発明の酵素は、糖タンパク質のアスパラギン結合型
糖鎖のタンパクとの結合近傍にあるN,N′−ジアセチル
キトビオース部分を加水分解する作用を有する。
(2)基質特異性 本発明の酵素は、卵白アルブミンから調製した糖ペプ
チドに含まれている異なった種類の全ての糖鎖、すなわ
ち、高マンノース型、混合型のいずれのタイプの糖鎖を
も分解する。また、ヒト血漿中のトランスフェリンや子
牛血漿中のフェツインから調製した糖ペプチドに含まれ
る複合型の糖鎖も分解する。複合型糖鎖については、シ
アル酸が結合したものであっても加水分解することがで
きる。さらに本発明の酵素は、トランスフェリンそのも
のを基質とした場合でも、糖鎖を遊離することが認めら
れることから、天然の糖タンパク質に対しても作用し得
るし、シアル酸の有無にかかわらず作用することができ
る。
(3)力価の測定方法 本酵素の活性の測定は、ヒト血漿トランスフェリンを
徹底プロナーゼ処理後、シアリダーゼによってシアル酸
を除去して得られる糖ペプチド(アシアロ糖ペプチド)
のダンシル化合物を基質として行った。pH6.0のリン酸
カリウム緩衝液中、37℃で反応を行い、40%トリクロル
酢酸を加えて(終濃度5%)反応を停止させた後、分解
生成物をn−ブタノール−アセトン−水(3:1:1)を展
開剤とするペーパークロマトグラフィによって分離し、
水で抽出した後、蛍光法にて定量する方法により行っ
た。37℃における反応で、1分間に1μmolの基質を分
解する酵素量を1単位(Unit:本明細書において「U」
と略称する)とする。
(4)至適pHおよび安定pH 至適pHは、pH4.0〜5.0であり(第1図)、安定pHは4
℃で5日間処理した場合、pH6.0〜8.0であった(第2
図)。
(5)至適温度および安定温度 至適温度は50〜55℃であった(第3図)。また、pH7.
0において各温度で10分間保持した後、残存する酵素活
性を測定した。その結果、45℃まで安定であり、55℃で
約50%が失活した(第4図)。
(6)阻害、活性化および安定化 本発明の酵素に対する、種々の添加物質の影響につい
て検討した結果、著しく活性化する添加物質は存在しな
かった。金属塩の中では、HgCl2により阻害が認められ
たが、その他のものについては著しい影響は見られなか
った。
本発明の酵素の安定化剤はまだ見出されていない。
(7)Km値 ダンシルアシアロトランスフェリン グリコペプチド
を基質とした場合のKm値は、6.8×10-4M、ダンシルオボ
アルブミン グリコペプチドを基質とした場合のKm値
は、3.8×10-4Mである。
(8)精製方法 本発明の酵素の精製は、既知の精製法が単独もしくは
併用して利用され得る。例えば、培養液を濾過または遠
心分離にかけ菌体を除去し、次いで塩析法、各種のクロ
マトグラフ法などを適宜に組合わせて行うことができ
る。精製法の一例を次に示す。
(a工程) 培養液から遠心分離により菌体を除去した後、培養上
清液を硫安(50%飽和)で塩析を行なう。生成した沈澱
を遠心分離で除去した後、その上清をさらに硫安(80%
飽和)で塩析を行なう。
(b工程) 生成した沈澱を遠心分離で集め10mMリン酸カリウム緩
衝液(pH7.0)に溶解し、同緩衝液で一夜透析した透析
内液を同緩衝液であらかじめ平衡化したDEAE−セルロー
スカラムに通し、同緩衝液を用いて溶出する。
(c工程) 非吸着画分に含まれる酵素活性画分を集めて硫安(80
%飽和)で塩析を行なう。4℃にて一夜放置し、生成し
た沈澱を、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解
し、同緩衝液で一夜透析した後、透析内液を同緩衝液で
平衡化したハイドロキシルアパタイトカラムに通し、同
緩衝液で溶出する。
(d工程) 非吸着の酵素活性画分を集めて硫安(80%飽和)で塩
析を行なう。生成した沈澱を10mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.0)に溶解し、あらかじめ同緩衝液で平衡化した
セファデックスG−150カラムを用いてゲル濾過を行
う。
(e工程) 活性画分を集めて硫安(80%飽和)で塩析を行なう。
生成した沈澱を集めこれを10mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.0)であらかじめ平衡化した同じセファデックス
G−150のカラムを用いて再度ゲル濾過を行う。活性画
分を集めて硫安(80%飽和)で塩析を行ない濃縮し、精
製酵素標品を得る。
(9)分子量 本発明の酵素の分子量は、セファデックスG−150に
よるゲル濾過法およびSDS−電気泳動法により約35,000
と算出された。
次に、本発明の酵素を微生物の培養によって製造する
方法を具体的に示す。
本発明の酵素の製造に使用される微生物は、アシネト
バクター(Acinetobacter)属に属し、本発明の酵素を
生産する能力を有する微生物であればいかなるものでも
よい。このような微生物の具体例としては、本発明者ら
により土壌より分離されたアシネトバクター・スピィシ
ーズB−43株が挙げられる。この細菌の菌学的性質を以
下に記載する。
(1)形態学的性質 形 : 短桿 大きさ :0.8〜1.0×1.2〜1.5μm 運動性 : なし 鞭 毛 : なし 胞 子 : なし グラム染色: 陰性 (2)生育の状態 (イ)肉汁寒天平板培養 形 状 : 正円形(粒状) 隆 起 : 凸円状 周 縁 : 全縁 表 面 : 潤滑、粘性 (ロ)肉汁寒天斜面培養 発育の良否: 適度 表 面 : 潤滑 生育形状 : 正円 色 調 : 橙色がかった黄色 光 沢 : あり 透明度 : 半透明 (ハ)肉汁液体培養 表面の生育: なし 濁 度 : 適度 沈 殿 : 適度 (ハ)肉汁ゼラチン穿刺培養 生育の状態: 表面のみ生育 ゼラチンの液化: 陽性 (3)生理学的性質 硝酸塩の還元: − 脱窒反応 : − MRテスト : − VPテスト : − インドールの生成 : − 色素の生成 : +(非水溶性) オキシダーゼ: − カタラーゼ : + 生育pH : 5.0〜7.5 生育至適温度: 15〜25℃ 酸素に対する態度: 通性好気性 O−Fテスト: Oxidative 糖類から酸及びガスの生成 糖 類 酸 ガス D−グルコース + − D−マンノース + − D−フラクトース ± − D−ガラクトース + − マルトース + − シュークロース − − ラクトース + − アラビノース + − 以上のような菌学的性質を有する菌について、バージ
ェーズ・マニュアル・オブ・システィマティック・バク
テリオロジー第1巻(1984年)の分類に従って同定した
ところ、本菌株をアシネトバクター属の一菌株と同定
し、アシネトバクター・スピィシーズB−43(Acinetob
acter speciesB−43)と命名した。本菌株は微生物工業
技術研究所に微工研菌寄第11699号として寄託されてい
る。
前記使用微生物の培養に用いる培地組成は、通常の微
生物の培養に用いられるようなものであればどのような
ものでもよい。炭素源としては、例えば、グルコース、
ガラクトース、ラクトース、シュクロース、可溶性デン
プン、糖蜜、デキストリンなどの糖質、窒素源としては
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸、コーン
スティープリカー、各種アンモニウム塩、各種硝酸塩、
尿素などが挙げられる。無機塩としては、各種のナトリ
ウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マンガン塩、マグ
ネシウム塩、リン酸塩、硝酸塩などの塩類が用いられ、
場合によってはビタミン類などを、菌の生育を促進する
目的で添加してもよい。
培養は、培地を通常の方法で滅菌し、本発明の菌株を
接種し、20〜30℃、pH6.5〜7.0で3日間振とうまたは、
通気撹拌により、好気的に行う。
〔実施例〕
本発明の酵素は、以下の実施例により採取することが
できる。以下の実施例は、本発明の範囲を何ら限定する
ものではない。
実施例1 グルコース0.5%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.5%
を含む培地500mlを、容量2の振とうフラスコに分注
し、120℃、15分間加圧滅菌した後、同じ組成の培地で
前培養したアシネトバクター・スピィシーズB−43の菌
株を5ml接種し、28℃、3日間振とう培養した。培養終
了後、遠心分離により菌体を除き、得られた培養上清液
に硫安を50%飽和になるように添加して、4℃で一夜放
置した。生成した沈澱を遠心分離で除去した後、その上
清にさらに硫安を80%飽和になるように添加した(a工
程)。
生成した沈澱を遠心分離して集め10mMリン酸カリウム
緩衝液(pH7.0)に溶解し、同緩衝液で一夜透析した。
この透析内液を同緩衝液であらかじめ平衡化したDEAE−
セルロースカラム(2.6×41cm)に通し、同緩衝液を用
いて溶出した(b工程)。
非吸着画分に含まれる酵素活性画分を集めて硫安を80
%飽和になるように加え、4℃にて一夜放置した。生成
した沈澱を、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶
解し、同緩衝液で一夜透析した後、この透析内液を同緩
衝液で平衡化したハイドロキシルアパタイトカラム(2.
3×10cm)に通し、同緩衝液で溶出した(c工程)。
非吸着の酵素活性画分を集めて硫安を80%飽和になる
ように添加し、生成した沈澱を10mMリン酸カリウム緩衝
液(pH7.0)に溶解した。この溶液を、あらかじめ同緩
衝液で平衡化したセファデックスG−150カラム(1.2×
120cm)を用いてゲル濾過を行った(d工程)。
活性画分を集めて硫安を80%飽和になるように添加
し、生成した沈澱を集めこれを10mMリン酸カリウム緩衝
液(pH7.0)であらかじめ平衡化した同じセファデック
スG−150のカラム(1.2×120cm)に通した。活性画分
を集めて硫安を80%飽和になるように加えて濃縮し、精
製酵素標品を得た(e工程)。
このような工程により精製したときの各工程における
酵素の純化の度合いを表1に示す。
実施例2 高マンノース型と混合型の糖鎖を有するオボアルブミ
ン、二本鎖の複合型糖鎖を有するトランスフェリン及び
シアル酸を除いたアシアロトランスフェリンから得た糖
ペプチドのダンシル化物に本発明の酵素を作用させてそ
の反応液について薄層クロマトグラフィーを行い、本発
明の酵素の糖タンパク糖鎖に対する特異性を調べた結果
を第5図に示す。
図中、レーン1は本発明の酵素を各基質に作用させた
結果を、レーン2は本発明者らが先に示したムコール属
由来のendo−β−GlcNAcaseを用いた場合の結果を、レ
ーン3は無処理の基質を示す。図から明らかなように、
本発明の酵素は、高マンノース型、混合型のみならず、
複合型糖鎖にも作用することができ、更にシアル酸が結
合した複合型糖鎖をも分解することができる。
実施例3 天然の糖タンパク質に対する本発明の酵素の作用につ
いてアシアロトランスフェリンに対する作用を検討し
た。10mgのアシアロトランスフェリンに対し、本発明の
酵素3mUを37℃で46時間作用させ、その反応液につい
て、セファデックスG−100によりゲル濾過クロマトグ
ラフィーを行なった結果を第6図に示した。図から46時
間酵素を作用させた反応液ではアシアロトランスフェリ
ンの溶出位置よりも低分子側に糖のピークが見出され、
酵素反応により糖鎖が遊離することが示された。従っ
て、本発明の酵素は、天然の糖タンパク質にも作用し得
ることが明らかである。
〔発明の効果〕
従来知られているendo−β−GlcNAcaseは、アスパラ
ギン結合型糖鎖の高マンノース型と混合型には作用する
が複合型糖鎖には作用しないもの(例えば、特開昭61−
265088)、高マンノース型と複合型糖鎖に作用するが、
複合型糖鎖には変性剤の存在下でなければ作用しないも
の等であった。
本発明のendo−β−GlcNAcaseは、高マンノース型や
混合型の糖鎖のみならず、複合型糖鎖にも作用し、しか
も活性の発現に、2−メルカプトエタノールや界面活性
剤のようなタンパク質変性剤を必要としない。この点に
おいては、本発明者らが先に見出した前記のムコール属
由来の酵素と共通の性質を有する。
しかしながら、本発明のendo−β−GlcNAcaseは、ム
コール属由来の酵素に比較し簡便かつ容易に精製するこ
とができるため、蛋白分解酵素が混在しない精製酵素を
得ることができる特色を有している。
かかる方法によって得られた本発明の酵素は、癌細胞
表面の糖鎖の構造解析を含め、生体内の分子識別現象解
明のための有力な手段として、利用されることが大いに
期待される。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の酵素の至適pHを示す図である。 第2図は、本発明の酵素の安定pHを示す図である。 第3図は、本発明の酵素の至適温度を示す図である。 第4図は、本発明の酵素の安定温度を示す図である。 第5図は、本発明の酵素の糖タンパク糖鎖に対する特異
性を薄層クロマトグラフィーにより調べた結果を示す図
である。 第6図は、本発明の酵素の天然の糖タンパク質に対する
作用について、アシアロトランスフェリンを基質として
酵素反応を行なったときの糖鎖の遊離を示すゲル濾過ク
ロマトグラフィーを示す図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有することを特徴と
    する、アシネトバクター・スピィシーズ(Acinetobacte
    r species)B−43(FERM P−11699)より取得可能なエ
    ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ: (イ)作用と基質特異性 糖タンパク質のアスパラギン残基に結合する糖鎖に作用
    して、糖鎖のN,N′−ジアセチルキトビオース部分を加
    水分解し、オリゴ糖を遊離する活性を有し、該糖鎖が高
    マンノース型、混合型のみならず、複合型である場合に
    も作用する、 (ロ)至適pH 本酵素が作用する至適pHはpH4.0〜5.0である、 (ハ)安定pH 4℃、5日間の保持条件において、本酵素の安定pH範囲
    は6.0〜8.0である、 (ニ)安定温度 pH7.0、10分間の保持条件において、本酵素の安定温度
    範囲は45℃までである。
  2. 【請求項2】アスパラギン残基に結合する糖鎖がシアル
    酸を含む複合型である請求項(1)記載のエンド−β−
    N−アセチルグルコサミニダーゼ。
  3. 【請求項3】アスパラギン残基に結合する糖鎖が、ペプ
    チド、アミノ酸または天然の高分子タンパク質に結合し
    た形である請求項(1)または(2)記載のエンド−β
    −N−アセチルグルコサミニダーゼ。
  4. 【請求項4】アシネトバクター(Acinetobacter)属に
    属し、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを
    生産する能力を有する微生物を該微生物が生育しうる培
    地に培養し、培養物より目的物を採取することを特徴と
    する請求項(1)〜(3)いずれか記載のエンド−β−
    N−アセチルグルコサミニダーゼの製造方法。
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