JP2699078B2 - ムシン分解酵素及びその製造法 - Google Patents

ムシン分解酵素及びその製造法

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JP2699078B2 JP62326548A JP32654887A JP2699078B2 JP 2699078 B2 JP2699078 B2 JP 2699078B2 JP 62326548 A JP62326548 A JP 62326548A JP 32654887 A JP32654887 A JP 32654887A JP 2699078 B2 JP2699078 B2 JP 2699078B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、胃粘膜などを構成する糖蛋白質であるムシ
ンを分解する酵素に関するものであり、更に詳しくは、
ストレプトミセス属に属する菌が生産する新規なムシン
分解酵素及びその製造法に関するものである。 〔従来の技術及びその問題点〕 消化管の内腔においては、粘液産生細胞から合成され
るムシン(mucin)が分泌されている。ムシンは粘液糖
蛋白質(mucus glycoprotein)であり、ヒト、ブタ、ラ
ツトの胃においては、蛋白質含量が10〜20%、糖鎖部分
が80〜90%を占め、糖鎖部分の構成糖としてN−アセチ
ルガラクトサミン(GalNAc)、N−アセチルグルコサミ
ン(GlcNAc)、ガラクトース(Gal)、フコース(Fu
c)、シアル酸(SA)を含む巨大分子構造(推定分子量
約2×106ダルトン)を有している。蛋白部分の全アミ
ノ酸の約50%がセリンとスレオニンからなり、このアミ
ノ酸の水酸基に長短さまざまの糖鎖が還元末端であるGa
lNAcを介してO−グリコシド結合し、特有の粘液性を呈
している。この粘液糖蛋白質の生体機能は、必ずしも生
化学的に充分解明されたとは言い難いが、抗ペプシン作
用〔Takagaki & Hotta,Biochim.Biophys.Acta,584巻,2
88頁,1979年〕を有すること等からして、粘膜深部の細
胞をペプシンから保護するなどの粘膜防御因子の一種と
して働いていると信じられている。 一方、ムシンを分解する酵素、すなわちムシンを基質
としグリコシダーゼ活性を持つ酵素を微生物源に限つて
求めてみると、免疫グロブリンGに作用するDiplococcu
s pneumoniaeのエンド−β−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼ〔Muramatsu,J.Biol.Chem.,246巻,5535頁,1971
年〕の発見と前後して次々と種々の酵素が知られるよう
になつた。すなわち、Clostridium perfringensのα−
L−フコシダーゼ〔Aminoff & Furukawa,J.Biol.Che
m.,245巻,1659頁,1970年〕、Vibrio cholerae〔Ada等,
J.Gen.Microbiol.,24巻,409頁,1961年〕やC.perfringen
s〔Cassidy等,J.Biol.Chem.,240巻,3501頁,1965年〕の
ノイラミニダーゼ、C.perfringensのα−N−アセチル
ガラクトサミニダーゼ〔Mc Guire等,Methods in Enzymo
l.,28巻,755頁,1972年〕等がその例として挙げられる。
また、HuangとAminoffはC.perfringensの培養液中に糖
鎖と蛋白質のO−グリコシド結合を切断するエンド型の
α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ活性を認めてい
る〔J.Biol.Chem.,247巻,6737頁,1972年〕。最近では、
Ruminococcus属やBifidobacterium属細菌でβ−N−ア
セチルグルコサミニダーゼやβ−ガラクトシダーゼ活性
が報告されている〔Hoskins等,J.Clinic.Invest.,75巻,
944頁,1985年〕。 以上の如く、細菌が生産するムシン分解酵素の例は多
数報告され、動植物起源でも種々の報告例があるが、か
つて放線菌における知見はなかつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、高力価のムシン分解酵素生産株を自然
界の放線菌に求め、鋭意検索を行つた結果、ストレプト
ミセス(Streptomyces)属にムシン資化能を有し、かつ
著量のエキソ−α−N−ガラクトサミニダーゼ、エキソ
−α−L−フコシダーゼもしくはエンド−α−N−アセ
チルガラクトサミニダーゼを生産する菌株を見い出し、
本発明を完成した。 すなわち、本発明は、ストレプトマイセス属に属する
菌により生産され、下記の酵素学的性質を有するムシン
分解酵素Ez.I、Ez.II及びEz.IIIを提供するものであ
る。 Ez.I: (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェ
ニル−α−L−フコシドに作用し、L−フコースを遊離
する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最
大活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 60分反応での至適作用温度範囲は35〜45℃である。 (5) 温度安定性 40℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定
分子量は約33,500である。 Ez.II: (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェ
ニル−α−N−アセチルガラクトサミニドに作用し、N
−アセチルガラクトサミンを遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最
大活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 30分反応での至適作用温度範囲は40〜50℃であり、35
〜55℃においても最大活性の50%以上の活性を保持して
いる。 (5) 温度安定性 50℃より低温で安定であり、特に45℃以下で安定であ
る。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定
分子量は約39,000である。 Ez.III: (1) 作用 ムシンに作用し、還元末端にN−アセチルガラクトサ
ミンを有する3糖以上のオリゴ糖を遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5〜6で最も安定である。 (4) 至適作用温度 2時間反応での至適作用温度範囲は35〜40℃である。 (5) 温度安定性 45℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法において、
明確なピークが得られないが、分子量20,000〜120,000
に相当する画分に活性が認められる。 また、本発明は、ストレプトミセス属に属するムシン
分解酵素生産菌を培養し、該培養物よりムシン分解酵素
を採取することを特徴とする上記ムシン分解酵素の製造
法を提供するものである。 本発明のムシン分解酵素を生産する菌としては、例え
ば本発明者らによつて静岡県城ケ崎の土壌から新たに分
離されたストレプトミセス・エスピーOH−11242(微工
研菌寄第9243号(FERM P−9243))が挙げられる。 本菌株の菌学的性質を示すと次のとうりである。 (I) 形態的性質 栄養菌糸は各種寒天培地上でよく発達し、分断は観察
されない。気菌糸はグリセロール・アスパラギン寒天や
スターチ・無機塩寒天等で豊富に着生し、灰色系の色調
を呈する。顕微鏡下の観察では、気菌糸は直線状を呈
し、20個以上の胞子の連鎖が認められる。胞子の大きさ
は0.8μm×0.7μmで円柱状である。胞子の表面は平滑
である。菌核、胞子のうおよび遊走子は見出されない。 (II) 各種培地上での性状 イー・ビー・シヤーリング(E.B.Shirling)とデー・
ゴツトリーブ(D.Gottlieb)の方法(インターナシヨナ
ル・ジヤーナル・オブ・システイマテイツク・バクテリ
オロジー,16巻,313頁,1966年)によつて調べた本生産菌
の培養性状を第1表に示す。色調は標準色として、カラ
ー・ハーモニー・マニユアル第4版(コンテナー・コー
ポレーシヨン・オブ・アメリカ・シカゴ,1958年)を用
いて決定し、色票名とともに括弧内にそのコードを併せ
て記した。以下は特記しない限り、27℃,2週間目の各培
地における観察の結果である。 (III) 生理学的諸性質 (1) メラミン色素の生成 (イ) チロシン寒天 生産しない (ロ) ペプトン・イースト鉄寒天 生産しない (ハ) グルコース・ペプトン・ ゼラチン培地(21〜23℃) 生産しない (2) チロシナーゼ反応 陰性 (3) 硫化水素の生産 陰性 (4) 硝酸塩の還元 陽性 (5) ゼラチンの液化(21〜23℃) (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) 陽性 (6) スターチの加水分解 陰性 (7) 脱脂乳の凝固(37℃) 陰性 (8) 脱脂乳のペプトン化(37℃) 陽性 (9) 生育温度範囲 15℃〜36.5℃ (10) 炭素源の利用性 (プリーダム・ゴトリーブ寒天培地) D−グルコース、D−マンノース、ラフイノース、D
−フルクトース、L−アラビノース、メリビオース、D
−キシロース、ラムノース、イノシトールを利用する。 (11) セルロースの分解 陰性 (IV) ムシンの資化性 陽性 (V) 細胞壁組成 細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型である。 以上、本菌の菌学的性状を要約すると次のとおりであ
る。細胞壁中のジアミノピメリン酸はLL型である。気菌
糸の形態は直線状で、長い胞子鎖を形成する。胞子の表
面は平滑である。培養状の諸性質としては、栄養菌糸は
ブラウン系の色調を呈し、気菌糸は灰色系の色調を呈す
る。黄色系の可溶性色素を生産する。 これらの結果から、本菌株はストレプトミセス属に属
する菌種であり、ブリドハムとトレスナーの分類(バー
ジーズ・マニユアル・オブ・デターミネーテイブ・バク
テリオロジー,第8版,748〜829頁,1974年)によるグレ
イシリーズに属する菌種であると考えられる。 なお、本菌株はストレプトミセス・エスピーOH−1124
2(Streptomyces sp.OH−11242)として、工業技術院微
生物研究所に寄託されている(微工研菌寄第9243号)。 本発明のムシン分解酵素は、例えば上述した菌を栄養
培地中で培養し、該培養物から酵素を分離することによ
つて得られる。 培養にあたつては通常の微生物の培養方法が用いら
れ、用いる培地、pH、温度、培養時間などについては、
上記菌株が生育すれば、何れの条件でもよい。 培地としては、炭素源、窒素源、無機物、必要に応じ
てその他の栄養物を程よく含有する合成培地または天然
培地を使用することができる。 培地に使用される炭素源、窒素源は使用菌株の利用可
能なものならいずれの種類でも良い。すなわち炭素源と
しては、たとえばグルコース、グリセロール、フラクト
ース、マルトース、マンニツト、キシロース、ガラクト
ース、ラクトース、リボース、澱粉、ムシンまたはその
加水分解物等の種々の炭水化物が使用できる。その濃度
は通常、培地に対して0.1%〜5%(グルコース換算)
が好ましい。またグルコン酸、ピルビン酸、乳酸、酢酸
等の各種有機酸、グリシン、グルタミン酸、アラニン等
の各種アミン酸、さらにはメタノール、エタノール等の
アルコール類やノルマルパラフイン等の各種の非芳香族
系炭化水素、あるいは植物性もしくは動物性の各種油脂
等も使用可能である。 窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、燐
酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム
等の各種の無機酸あるいは有機酸のアンモニウム塩類、
尿素、ペプトン、NZ−アミン、肉エキス、酵母エキス、
乾燥酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、フイツシユミールあるいはその消化物、大豆粉
あるいはその消化物、脱脂大豆あるいはその消化物、蛹
加水分解物等の含窒素有機物質、さらにはグリシン、グ
ルタミン酸、アラニン等の各種アミノ酸が使用可能であ
る。 無機物としては各種燐酸塩、硫酸マグネシウム、食塩
等、さらに微量の重金属塩が使用される。 また栄養要求性を示す変異株を用いる場合には、当然
その栄養要求を満足させる物質を培地に加えなければな
らないが、この種の栄養素は天然物を含む培地を使用す
る場合にはとくに添加を必要としない場合がある。 また使用菌株としては、前記OH−11242株の他ムシン
分解酵素生産能を有するストレプトミセスに属する菌株
から公知の変異処理法により誘導されるα−メチルグル
コシド耐性株や2−デオキシグルコース耐性株などの変
異株も用い得る。 醗酵は振盪培養、または通気撹拌深部培養等の好気的
条件下で行なう。培養温度は通常20〜40℃である。培養
期間は通常1〜8日で、菌体内外に著量のムシン分解酵
素が生成蓄積する。培養終了後に培養物より、ムシン分
解酵素をたとえば次の方法で採取する。培養物を遠心分
離により液と沈澱に分離する。液から硫安、ポリエ
チレングリコール、有機溶媒等を用いる沈澱法により本
発明のムシン分解酵素を取得する。沈澱物からは、超音
波処理、その他の方法により、菌体を破砕して酵素を溶
出させた後、常法により本発明の酵素を取得する。さら
に、通常用いられる公知の方法、例えばイオン交換、分
子篩、吸着、分配等の各種クロマトグラフイー法、塩析
法、透析法、濃縮法などを適宜組み合わせることにより
精製することができる。 上記のようにして得られた本発明のムシン分解酵素に
は、ムシン及びα−グリコシド結合を持つp−ニトロ
フエニル−α−L−フコシドに作用し、L−フコースを
遊離する酵素、ムシン及びα−グリコシド結合を持つ
p−ニトロフエニル−α−N−アセチルガラクトサミニ
ドに作用し、N−アセチルガラクトサミンを遊離する酵
素、及びムシンに作用し、還元末端にN−アセチルガ
ラクトサミンを有する3糖以上のオリゴ糖を遊離する酵
素の3種類が存在する。以下、これらの酵素をそれぞれ
Ez.I、Ez.II、Ez.IIIと略記する。 Ez.I、II及びIIIの酵素学的性質は以下のとうりであ
る。 <Ez.Iの酵素学的性質> (1) 作用 ムシンおよびα−グリコシド結合を持つp−ニトロフ
エニル−α−L−フコシドに作用し、L−フコースを遊
離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最
大活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 60分反応での至適作用温度範囲は35〜45℃である。 (5) 温度安定性 40℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セフアクリル(Sephacryl)S−200を用いるゲル過
法により分子量は約33,500と推定される。 (7) 金属イオン等の影響 Ca2+、Mg2+、Mn2+は活性をほとんど阻害しない。Cu2+
によつて活性が若干阻害される。エチレンジアミン四酢
酸(EDTA)による活性阻害は認められない。パラクロル
マーキユリ安息香酸(PCMB)による活性阻害が認められ
る。 <Ez.IIの酵素学的性質> (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合を持つp−ニトロフエ
ニル−α−N−アセチルガラクトサミニドに作用し、N
−アセチルガラクトサミンを遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最
大活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 30分反応での至適作用温度範囲は40〜50℃であり、35
〜55℃においても最大活性の50%以上の活性を保持して
いる。 (5) 温度安定性 50℃より低温で安定であり、特に45℃以下で安定であ
る。 (6) 分子量 セフアクリル(Sephacryl)S−200を用いるゲル過
法により分子量は約39,000と推定される。 (7) 金属イオン等の影響 Ca2+、Mg2+、Mn2+は活性をほとんど阻害しない。Cu2+
によつて活性が阻害される。 EDTAによる活性阻害は認められない。 PCMBによる活性阻害が認められる。 <Ez.IIIの酵素学的性質> (1) 作用 ムシンに作用し、還元末端にN−アセチルガラクトサ
ミンを有する3糖以上のオリゴ糖を遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは、5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5〜6で最も安定である。 (4) 至適作用温度 2時間反応での至適作用温度範囲は、35〜40℃であ
る。 (5) 温度安定性 45℃より低温で、最も安定である。 (6) 分子量 セフアクリル(Sephacryl)S−200を用いるゲル過
法において、明確なピークが得られないが、分子量20,0
00から120,000に相当する画分に活性が認められる。 (7) 金属イオン等の影響 Ca2+、Mg2+、Mn2+は活性をほとんど阻害しない。EDTA
は活性をほとんど阻害しない。 以上のように、本発明のムシン分解酵素Ez.Iは、例え
ばC.pefringens(Aminoff & Furukawa,J.Biol.Chem.,2
45巻,1659頁,1970年)や、Aspergillus niger(Bahl,J.
Biol.Chem.,245巻,299頁,1970年)が生産する酵素とは
明らかに異なる性質を有し、また、Ez.II、Ez.IIIもそ
れぞれ、例えばAspergillus niger(Bahl,J.Biol.Che
m.,245巻,299頁,1970年)とDiplococcus pneumoniae(H
ughes & Jeanloz,Biochemistry,3巻,1543,1964年),C.
perfringens(Cassidy等,J.Biol.Chem.,240巻,3501頁,1
915年)等の酵素と明らかに酵素学的性質を異にする。
従つて、本発明の酵素はいずれも文献未記載の新規酵素
である。 〔発明の効果〕 本発明の酵素は粘液糖蛋白質であるムシンを分解する
ことから、去痰剤等の医薬として、あるいは診断薬とし
て、さらには糖蛋白質の構造と機能の解明等を目的とす
る分析手段に利用できる。 〔実施例〕 次に実施例を挙げて本発明を説明する。 実施例1 (1) 種培地として次の組成のものを用いた。 グルコース 2 % ペプトン 0.5% 乾燥酵母 0.3% 肉エキス 0.5% NaCl 0.5% CaCO3 0.3% 水道水 pH7.0 (2) ムシン分解酵素生産培地として次の組成の培地
を用いた。 豚胃由来精製ムシン 0.5 % グルコース 0.1 % (NH42SO4 0.26% KH2PO4 0.24% K2HPO4 0.43% MgSO4・7H2O 0.1 % 微量金属溶液 0.1 %(v/v) 水道水 pH7.0 ただし微量金属溶液は100ml中に次のものを含む。 CuSO4・5H2O 0.64g FeSO4・7H2O 0.11g MnCl2・4H2O 0.79g ZnSO4・7H2O 0.15g (3) ストレプトミセス・エスピーOH11242(微工研
菌寄第9243号)を種培地100mlを含む500ml容坂口フラス
コに接種し、27℃で2日間培養し、種培養液を得た。 ムシン分解酵素生産培地100mlを含む500ml容坂口フラ
スコに上記の通り得た種培養液2mlを移植し、27℃で3
日間振盪培養した。培養終了後、上清液中に産生された
ムシン分解酵素量を公知の方法により次の通り測定し
た。 基質0.02モル溶液0.2ml、0.2モル酢酸緩衝液(pH5.
0)0.2ml、および上記培養上清液0.4mlを混合し、37℃
で1時間反応させ、次に0.2モル炭酸ナトリウム溶液10m
lを添加して反応を停止し、さらに水15ml加えて希釈し
た溶液のパラニトロフエノールにもとずく400nmでの吸
光度を測定した。その結果、パラニトロフエニルα−L
−フコシドもしくはパラニトロフエニルα−D−N−ア
セチルガラクトサミニドを基質に用いた場合の吸光度は
それぞれ0.12,0.53であった。 実施例2 実施例1のようにして得た培養上清液1に固型硫安
を80%飽和になるように加え得られた沈澱物を50mlの水
に懸濁し、0.01モルのβ−メルカプトエタノールを含む
0.01モルクエン酸緩衝液(pH5.0)500mlに対して2回透
析し、酵素液を得た。 酵素液5ml、ブタ胃由来精製ムシン200mg、0.05モルク
エン酸緩衝液(pH4.5)2mlを混合し、37℃で一昼夜反応
させ、100℃で10分間加熱して反応を停止させた。 反応液を200mlの水に対して2回透析し、透析外液を
濃縮した。 バイオゲルP−4(400メツシユ)のカラム(1.6cm×
90cm,180ml)を用いるゲル過法にて反応生成物を分析
したところ単糖、2糖、3糖、4糖とそれより分子量の
大きいオリゴ糖が検出された。 次に6糖及びこれより分子量の大きいオリゴ糖の溶出
された画分を集め濃縮乾固した。 濃縮残渣中のオリゴ糖の環元末端の糖を調べる為、公
知の方法(続生化学実験講座第4章,第145頁,丸善)
によりオリゴ糖の還元末端をピリジルアミノ化し、6規
定塩酸中100℃で4時間加水分解した後ピリジルアミノ
化糖を高速液体クロマトグラフイーにより分析した。カ
ラムは、ベツクマンウルトラスフエアODS(4.6×250c
m)を用い、0.01モルクエン酸緩衝液(pH4.0)に1%ア
セトニトリルを混合した溶液で溶出した。その結果約98
%がピリジルアミノ化ガラクトサミンであつた。 比較の為、デイプロコツカス(Diplococcus)属細菌
由来のO−グルカナーゼ(生化学工業製)をムシンと反
応させ、同様に分析したところ2糖からなるオリゴ糖の
みが検出された。 実施例3 実施例1のように実施し、たゞし、培養2日目で培養
を終了して、培養液5を得た、この上清液に固型硫安
を80%飽和になるよう加え、得られた沈澱物を0.01モル
β−メルカプトエタノールを含む0.01モルクエン酸緩衝
液(pH5)50mlに溶解した。これを同一組成の緩衝液1
に対して3回透析し、不溶物を別した後凍結乾燥し
て粗酵素粉末2.4gを得た。 上記の緩衝液で予め平衡に達せしめたバイオゲルp−
60のカラム(2cm×90cm,280ml)の上端に粗酵素(2g)
を負荷し、0.1モルKClを含む上記緩衝液1で溶出し分
画した。分画容量約3〜5ml,溶出速度は25〜30ml/時で
あつた。 各画分のムシン分解酵素活性を実施例1で用いた方法
により測定したところ、第75番目の画分前後にパラニト
ロフエニルα−フコシドを分解する活性のピークが、ま
た第62番目の画分前後にパラニトロフエニルα−N−ア
セチルガラクトサミニドを分解する活性のピークを認め
た。第30〜55番目、第56〜70番目、第71〜80番目の画分
を集めて濃縮し、それぞれ試料A,B,Cを得た。 実施例4 実施例3で得た試料Aの溶液1mlを使用した。0.01モ
ルクエン酸緩衝液で予め平衡に達せしめたバイオゲルp
−60のカラム(1.6cm×50cm,100ml)の上端に試料を負
荷し、同一緩衝液で溶出分画した。分画容量0.5〜1ml,
流速は7〜10ml/時とした。第46〜85番目の画分を集め
て3mlまで濃縮し、水、次に上記緩衝液100mlに対して透
析し、酵素液を得た。酵素液0.2ml、ブタ胃由来の精製
ムシン80mg、0.02モル酢酸緩衝液(pH5.0)2mlからなる
反応液を37℃ 25時間保温した。9mlエタノールを加え
て反応を停止し、生じた沈澱を別し、液を濃縮乾固
した。残渣を少量の水に溶解し、シリカゲル薄層(メル
ク社製第5748番)にスポツトし、ブタノール−酢酸−水
(3:1:1)からなる溶媒系で展開後、ジフエニルアミン
で発色させた。その結果、ムシン分解生成物として、3
糖、4糖とそれ以上の分子量のオリゴ糖が検出された。
かくして得られた酵素は前記Ez.IIIと同一の性質を示し
た。 実施例5 実施例3で得た試料Bの溶液1mlを使用した。水に懸
濁したセフアロースCL−4Bのカラム(1.6×42cm,85ml)
に試料を負荷し、水で溶出、分画した。分画容量0.5〜
0.8ml、溶出速度7〜11ml/時であつた。第77−85番目の
画分を集めて1mlにまで濃縮した。 あらかじめ0.01モルリン酸緩衝液(pH7)で平衝に達
せしめたDEAEトヨパールのカラム(1.6×42cm,85ml)の
上端に上記の濃縮液1mlを負荷し、0.01モルリン酸緩衝
液中NaClのの濃度勾配により溶出分画した。分画容量0.
5〜1ml、溶出液の流速は8〜10ml/時であつた。0.15モ
ル付近のNaClで溶出される第27−32番目の画分を集めて
濃縮し、酵素液を得た。本酵素は前記Ez.IIと同一の性
質を示した。 実施例6 実施例3で得た試料Cの溶液2.5mlを使用した。0.01
モルβ−メルカプトエタノールを含む0.01モルクエン酸
緩衝液(pH5.0)で予め平衡に達せしめたDEAEトヨパー
ルのカラム(1.6cm×90cm,180ml)に試料を負荷し、上
記と同一の緩衝液中NaClの濃度勾配により溶出分画し
た。分画容量1.5〜2.5ml、溶出液の流速は20−30ml/時
であつた。約0.2モルのNaClで溶出される部分の第70−7
5番目の画分を集めて濃縮し、酵素試料を得た。本酵素
の性質は、前記Ez.Iと同一であつた。 参考例〔菌の分離方法〕 静岡県城ケ崎海岸で採取した土壌0.5gを使用した。土
壌試料を滅菌水50mlに懸濁し、懸濁液の0.3mlを50℃に
保温した分離用寒天培地10ml中に加え、撹拌後、シヤー
レに流し放冷固化させた。分離用培地は次の組成のもの
を用いた。 澱 粉 1 % グリセロール 1 % (NH42SO4 0.2% CaCO3 0.2% K2HPO4 0.1% MgSO4 0.1% NaCl 0.1% 寒 天 1.0% pH7.0 シヤーレを27℃で保温し、2日目から10日目までの間
に出現する菌集落を順次釣菌し、同一組成のスラントに
移植し、27℃で生育させることにより、150株を得た。 上記のようにして得た菌株のムシン分解酵素生産能を
次の通り調べた。 ムシン分解酵素生産用培地(実施例1)10mlを含む50
ml容試験管(2×20cm)に各スラントの供試菌を植菌
し、27℃で5日間振盪培養した。培養終了後、培養液を
遠心分離し、上清液中のムシン分解酵素活性を実施例1
記載のパラニトロフエニルα−D−N−アセチルガラク
トサミニドを基質として用いる方法で測定し、最も活性
の高い菌株を検索し、ストレプトミセス属に属する株菌
を得た。 本菌株は、工業技術院微生物工業技術研究所にストレ
プトミセス・エスピーOH−11242(微工研菌寄第9243号
(FERM P−9243))として寄託されている。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ストレプトマイセス属に属する菌により生産され、
    下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵素。 (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェニ
    ル−α−L−フコシドに作用し、L−フコースを遊離す
    る。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最大
    活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 60分反応での至適作用温度範囲は35〜45℃である。 (5) 温度安定性 40℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定分
    子量は約33,500である。 2.ストレプトマイセス属に属する菌により生産され、
    下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵素。 (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェニ
    ル−α−N−アセチルガラクトサミニドに作用し、N−
    アセチルガラクトサミンを遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最大
    活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 30分反応での至適作用温度範囲は40〜50℃であり、35〜
    55℃においても最大活性の50%以上の活性を保持する。 (5) 温度安定性 50℃より低温で安定であり、特に45℃以下で安定であ
    る。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定分
    子量は約39,000である。 3.ストレプトマイセス属に属する菌により生産され、
    下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵素。 (1) 作用 ムシンに作用し、還元末端にN−アセチルガラクトサミ
    ンを有する3糖以上のオリゴ糖を遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5〜6で最も安定である。 (4) 至適作用温度 2時間反応での至適作用温度範囲は35〜40℃である。 (5) 温度安定性 45℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法において、明
    確なピークが得られないが、分子量20,000〜120,000に
    相当する画分に活性が認められる。 4.ストレプトミセス属に属するムシン分解酵素生産菌
    を培養し、該培養物よりムシン分解酵素を採取すること
    を特徴とする下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵
    素の製造法。 (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェニ
    ル−α−L−フコシドに作用し、L−フコースを遊離す
    る。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最大
    活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 60分反応での至適作用温度範囲は35〜45℃である。 (5) 温度安定性 40℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定分
    子量は約33,500である。 5.ストレプトミセス属に属するムシン分解酵素生産菌
    を培養し、該培養物よりムシン分解酵素を採取すること
    を特徴とする下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵
    素の製造法。 (1) 作用 ムシン及びα−グリコシド結合をもつp−ニトロフェニ
    ル−α−N−アセチルガラクトサミニドに作用し、N−
    アセチルガラクトサミンを遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5.5付近で最も安定であり、pH4.5〜8.0の範囲で最大
    活性の50%以上の活性を有する。 (4) 至適作用温度 30分反応での至適作用温度範囲は40〜50℃であり、35〜
    55℃においても最大活性の50%以上の活性を保持する。 (5) 温度安定性 50℃より低温で安定であり、特に45℃以下で安定であ
    る。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法による推定分
    子量は約39,000である。 6.ストレプトミセス属に属するムシン分解酵素生産菌
    を培養し、該培養物よりムシン分解酵素を採取すること
    を特徴とする下記の酵素学的性質を有するムシン分解酵
    素の製造法。 (1) 作用 ムシンに作用し、還元末端にN−アセチルガラクトサミ
    ンを有する3糖以上のオリゴ糖を遊離する。 (2) 至適pH 37℃における至適pHは5〜6付近である。 (3) pH安定性 pH5〜6で最も安定である。 (4) 至適作用温度 2時間反応での至適作用温度範囲は35〜40℃である。 (5) 温度安定性 45℃より低温で安定である。 (6) 分子量 セファクリルS−200を用いるゲル濾過法において、明
    確なピークが得られないが、分子量20,000〜120,000に
    相当する画分に活性が認められる。
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