JPH07114694B2 - エンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼおよびその製造方法 - Google Patents
エンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼおよびその製造方法Info
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- JPH07114694B2 JPH07114694B2 JP60106734A JP10673485A JPH07114694B2 JP H07114694 B2 JPH07114694 B2 JP H07114694B2 JP 60106734 A JP60106734 A JP 60106734A JP 10673485 A JP10673485 A JP 10673485A JP H07114694 B2 JPH07114694 B2 JP H07114694B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 本発明は、新規酵素エンド−β−N−アセチルグルコサ
ミニダーゼ(以下endo−β−GlcNAcaseと略すこともあ
る)およびその製造法に関するものである。さらに詳し
くは、高マンノース型,混合型のN−アスパラギン結合
型糖鎖に対する広い基質特異性を有すると共に、糖タン
パク質の糖鎖に直接作用しうるエンド−β−N−アセチ
ルグルコサミニダーゼおよび微生物による製造法に関す
る。
ミニダーゼ(以下endo−β−GlcNAcaseと略すこともあ
る)およびその製造法に関するものである。さらに詳し
くは、高マンノース型,混合型のN−アスパラギン結合
型糖鎖に対する広い基質特異性を有すると共に、糖タン
パク質の糖鎖に直接作用しうるエンド−β−N−アセチ
ルグルコサミニダーゼおよび微生物による製造法に関す
る。
(産業上の利用分野) 近年、生体内で複合糖質の糖鎖部分が細胞の分化・成
長、細胞間認識あるいは悪性腫瘍を含む多くの病気の発
症などに重要な役割をはたしていることが明らかにされ
てきた。これらの役割の解明には、その糖鎖構造の究明
が必要不可欠である。こうした糖鎖構造の解析には、複
合糖質の糖鎖構造に高い基質特異性を有する各種のグリ
コシダーゼが広く利用されている。
長、細胞間認識あるいは悪性腫瘍を含む多くの病気の発
症などに重要な役割をはたしていることが明らかにされ
てきた。これらの役割の解明には、その糖鎖構造の究明
が必要不可欠である。こうした糖鎖構造の解析には、複
合糖質の糖鎖構造に高い基質特異性を有する各種のグリ
コシダーゼが広く利用されている。
endo−β−GlcNAcaseは糖タンパク質に存在するN−ア
スパラギン結合型の糖鎖に作用して以下の様に糖鎖のN,
N′−ジアセチルキトビオース部分を加水分解する。
スパラギン結合型の糖鎖に作用して以下の様に糖鎖のN,
N′−ジアセチルキトビオース部分を加水分解する。
この様にendo−β−GlcNAcaseは糖タンパク質の糖鎖部
分をタンパク部分より遊離することができるため、糖タ
ンパク質糖鎖の構造解析に重要な手段を提供する酵素で
ある。
分をタンパク部分より遊離することができるため、糖タ
ンパク質糖鎖の構造解析に重要な手段を提供する酵素で
ある。
(従来の技術) (発明が解決しようとする問題点) 従来endo−β−GlcNAcaseとしては肺炎双球菌(Diploco
ccus pneumoniae)の生産するendo D(Koide,N&Murama
tsu,T.,J.Biol.Chem.249 4897−4904(1974)),Strept
omyces plicutusが生産するendo H(Tarentino,A.L.&M
aley,F,J,Biol.Chem.249 811−817(1974)),Clostrid
iumperfringensの生産するEndo−CI,CII(S.Ito,T.Mura
matsu,A.Kobata.,Arch.Biochem.Biophys.171 78(197
5)),Flavobacterium meningosepticunの生産するendo
F(Elder,J.H.&Alexander,S.,P oc.Natl,Acad.Sci.US
A 79 4540−4544(1982))などが知られている。これ
らの酵素は、糖ペプチドの高マンノース型,混合型のN
−アスパラギン結合型糖鎖のいずれか一方ないし両方に
作用するが天然の糖タンパクにはほとんど作用しないた
め、予めプロテアーゼによりグリコペプチドにしておく
必要がある。本発明酵素は両タイプの糖鎖に作用すると
ともに卵白アルブミンを含む天然の糖タンパクの糖鎖に
直接作用しうる点において従来知られている酵素とは異
なる新規な酵素である。
ccus pneumoniae)の生産するendo D(Koide,N&Murama
tsu,T.,J.Biol.Chem.249 4897−4904(1974)),Strept
omyces plicutusが生産するendo H(Tarentino,A.L.&M
aley,F,J,Biol.Chem.249 811−817(1974)),Clostrid
iumperfringensの生産するEndo−CI,CII(S.Ito,T.Mura
matsu,A.Kobata.,Arch.Biochem.Biophys.171 78(197
5)),Flavobacterium meningosepticunの生産するendo
F(Elder,J.H.&Alexander,S.,P oc.Natl,Acad.Sci.US
A 79 4540−4544(1982))などが知られている。これ
らの酵素は、糖ペプチドの高マンノース型,混合型のN
−アスパラギン結合型糖鎖のいずれか一方ないし両方に
作用するが天然の糖タンパクにはほとんど作用しないた
め、予めプロテアーゼによりグリコペプチドにしておく
必要がある。本発明酵素は両タイプの糖鎖に作用すると
ともに卵白アルブミンを含む天然の糖タンパクの糖鎖に
直接作用しうる点において従来知られている酵素とは異
なる新規な酵素である。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは糖タンパクのアスパラギン残基に結合して
いる糖鎖部分を特異的に切断し、天然の糖タンパク質糖
鎖にも作用するエンド−β−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼを生産する菌を検索した結果、土壌より分離され
た細菌の培養物中に強い酵素活性を見出し、このような
微生物の培養物より単一の酵素蛋白質としてendo−β−
GlcNAcaseを得ることに成功し、本発明を完成するに至
った。
いる糖鎖部分を特異的に切断し、天然の糖タンパク質糖
鎖にも作用するエンド−β−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼを生産する菌を検索した結果、土壌より分離され
た細菌の培養物中に強い酵素活性を見出し、このような
微生物の培養物より単一の酵素蛋白質としてendo−β−
GlcNAcaseを得ることに成功し、本発明を完成するに至
った。
すなわち本発明は、高マンノース型,混合型,いずれの
N−アスパラギン結合型糖鎖にも作用し、かつ天然の糖
タンパク質糖鎖にintactの状態のまま作用する特徴を有
するendo−β−GlcNAcaseを提供するものである。
N−アスパラギン結合型糖鎖にも作用し、かつ天然の糖
タンパク質糖鎖にintactの状態のまま作用する特徴を有
するendo−β−GlcNAcaseを提供するものである。
さらに、本発明はフラボバクテリウム属に属し、前記の
endo−β−GlcNAcase生産能を有する微生物を培養し、
培養物よりendo−β−GlcNAcaseを採取することを特徴
とするendo−β−GlcNAcaseの製造方法をも提供するも
のである。
endo−β−GlcNAcase生産能を有する微生物を培養し、
培養物よりendo−β−GlcNAcaseを採取することを特徴
とするendo−β−GlcNAcaseの製造方法をも提供するも
のである。
本発明酵素は糖タンパク質糖鎖の内、N−アスパラギン
結合型糖鎖を特異的に切断する作用を有しなおかつ、タ
イプの異なる高マンノース型,混合型,のいずれの糖鎖
にも作用する特徴を有している。また、従来のendo−β
−GlcNAcaseが、糖タンパク質を予めプロテアーゼで処
理して糖ペプチドの形にしておかないと糖鎖をほとんど
切断できないのに対し、本発明酵素は天然の糖タンパク
質にも直接作用しうるなど極めて優れた性質を有してい
る。このように本発明酵素は従来見出されているendo−
β−GlcNAcaseとは異なった新しいタイプの基質特異性
を有している酵素であり、複合糖質の糖鎖構造の解析に
極めて有用である。
結合型糖鎖を特異的に切断する作用を有しなおかつ、タ
イプの異なる高マンノース型,混合型,のいずれの糖鎖
にも作用する特徴を有している。また、従来のendo−β
−GlcNAcaseが、糖タンパク質を予めプロテアーゼで処
理して糖ペプチドの形にしておかないと糖鎖をほとんど
切断できないのに対し、本発明酵素は天然の糖タンパク
質にも直接作用しうるなど極めて優れた性質を有してい
る。このように本発明酵素は従来見出されているendo−
β−GlcNAcaseとは異なった新しいタイプの基質特異性
を有している酵素であり、複合糖質の糖鎖構造の解析に
極めて有用である。
また、本発明酵素は菌体外に分泌される誘導酵素である
ため、容易にかつ多量の酵素蛋白を得ることができ、し
かも簡単に単一の酵素蛋白標品として精製することがで
きるため、糖鎖構造研究用の試薬として大量かつ安価な
供給が可能である。
ため、容易にかつ多量の酵素蛋白を得ることができ、し
かも簡単に単一の酵素蛋白標品として精製することがで
きるため、糖鎖構造研究用の試薬として大量かつ安価な
供給が可能である。
以下、本発明の実施態様を更に詳細に説明する。後に示
す実施例の方法で製造したendo−β−GlcNAcaseの酵素
化学的および理化学的性質は下記のとおりである。
す実施例の方法で製造したendo−β−GlcNAcaseの酵素
化学的および理化学的性質は下記のとおりである。
(作用) (1)酵素の作用 本発明酵素は、糖タンパク質のN−アスパラギン結合型
の糖鎖に作用して、以下の様に糖鎖のN,N′−ジアセチ
ルキトビオース部分を加水分解する。
の糖鎖に作用して、以下の様に糖鎖のN,N′−ジアセチ
ルキトビオース部分を加水分解する。
(2)基質特異性 本発明酵素は、卵白アルブミンに含まれている異なった
種類のすべての糖鎖、すなわち高マンノース型,混合型
いずれのタイプのグリコベプタイドをも分解する。一
方、本発明酵素は卵白アルブミンそのものを基質とした
場合でも糖質を遊離することから天然の糖タンパク質に
対しても作用する。また本酵素は卵白アルブミンの他に
リボヌクレアーゼB(牛膵臓)や酵母インベルターゼの
糖鎖も遊離することが認められた。
種類のすべての糖鎖、すなわち高マンノース型,混合型
いずれのタイプのグリコベプタイドをも分解する。一
方、本発明酵素は卵白アルブミンそのものを基質とした
場合でも糖質を遊離することから天然の糖タンパク質に
対しても作用する。また本酵素は卵白アルブミンの他に
リボヌクレアーゼB(牛膵臓)や酵母インベルターゼの
糖鎖も遊離することが認められた。
(3)力価の測定法 酵素活性の測定は卵白アルブミンをプロナーゼ処理して
得られるグリコベプチドをダンシル化したDNS−グリコ
ペプチドを基質とし、pH6.0のリン酸カリウム緩衡液中3
7℃で反応を行ない、40%トリクロル酢酸を加えて反応
を停止させた後、生成するDNS−アスパラギン−N−ア
セチルグルコサミン(DNS−Asn−GlcNAc)をn−ブタノ
ール:アセトン:水(3:1:1)を展開剤とするペーパー
クロマトグラフィーにおいて分離し、水で抽出した後、
蛍光法にて定量する方法により行なった。酵素活性の単
位は1分間に1μmolのDNS−Asn−GlcNAcを遊離する酵
素量を1ユニットとした。
得られるグリコベプチドをダンシル化したDNS−グリコ
ペプチドを基質とし、pH6.0のリン酸カリウム緩衡液中3
7℃で反応を行ない、40%トリクロル酢酸を加えて反応
を停止させた後、生成するDNS−アスパラギン−N−ア
セチルグルコサミン(DNS−Asn−GlcNAc)をn−ブタノ
ール:アセトン:水(3:1:1)を展開剤とするペーパー
クロマトグラフィーにおいて分離し、水で抽出した後、
蛍光法にて定量する方法により行なった。酵素活性の単
位は1分間に1μmolのDNS−Asn−GlcNAcを遊離する酵
素量を1ユニットとした。
(4)至適pHおよび安定pH範囲 至適pHは第1図に示すとおりpH5.0〜6.0であり、安定pH
は4℃,48hrの処理条件の場合、pH5.0〜7.0であった。
なお第1図において使用した (5)作用適温の範囲 本発明酵素の作用適温の範囲は25〜60℃であり、作用至
適温度は50℃付近であった。(第2図) (6)温度による失活の条件 pH7.0において20〜80℃の各温度において10分間保持し
た後、残存する酵素活性を測定した。その結果、本発明
酵素は第3図に示したように40℃まで安定であり、80℃
で約30%の残存活性を示した。
は4℃,48hrの処理条件の場合、pH5.0〜7.0であった。
なお第1図において使用した (5)作用適温の範囲 本発明酵素の作用適温の範囲は25〜60℃であり、作用至
適温度は50℃付近であった。(第2図) (6)温度による失活の条件 pH7.0において20〜80℃の各温度において10分間保持し
た後、残存する酵素活性を測定した。その結果、本発明
酵素は第3図に示したように40℃まで安定であり、80℃
で約30%の残存活性を示した。
(7)阻害,活性化及び安定化 本発明酵素に対する種々の添加物質の影響について検討
した結果を第1表に示した。本発明酵素を著しく活性化
する添加物質は存在しなかった。金属塩の中ではHgCl2
により85%の阻害が認められた。また、本発明酵素は他
のendo−β−GlcNAcaseが強く阻害を受けるマンノース
やマンナンにより何ら影響されなかった。
した結果を第1表に示した。本発明酵素を著しく活性化
する添加物質は存在しなかった。金属塩の中ではHgCl2
により85%の阻害が認められた。また、本発明酵素は他
のendo−β−GlcNAcaseが強く阻害を受けるマンノース
やマンナンにより何ら影響されなかった。
(8)精製方法 本発明酵素の精製は、塩析法,各種のクロマトグラフ法
等を適宜に組合わせて行なうことができる。精製の具体
例は実施例に示すとおりである。
等を適宜に組合わせて行なうことができる。精製の具体
例は実施例に示すとおりである。
(9)分子量 本発明酵素の分子量はセファデックスG−200を用いる
ゲル過法により約27,000,SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法によって約30,000と算出された。
ゲル過法により約27,000,SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法によって約30,000と算出された。
(10)ポリアクリルアミド電気泳動 精製された本発明酵素は、ポリアクリルアミド電気泳動
において単一のバンドを示した。
において単一のバンドを示した。
(11)等電点 アンフォラインを用いたクロマトフォーカシング法によ
り測定した結果pIは4.50であった。
り測定した結果pIは4.50であった。
(12)アミノ酸分析 精製酵素標品を6N−HCl中で110℃,24時間加水分解した
後アミノ酸自動分析機でアミノ酸組成を測定した。この
結果を第2表に示した。
後アミノ酸自動分析機でアミノ酸組成を測定した。この
結果を第2表に示した。
次に本発明酵素を微生物の培養によって製造する方法を
具体的に示す。
具体的に示す。
本発明酵素の製造に使用される微生物はフラボバクテリ
ウム(Flavobacteriun)属に属し、本発明酵素を生産す
る能力を有するものであれば如何なるものでもよい。こ
のような微生物の具体例としては、本発明者らにより土
壌から分離された1022株があげられる。以下にこの菌株
の菌学的性質を記載する。
ウム(Flavobacteriun)属に属し、本発明酵素を生産す
る能力を有するものであれば如何なるものでもよい。こ
のような微生物の具体例としては、本発明者らにより土
壌から分離された1022株があげられる。以下にこの菌株
の菌学的性質を記載する。
(1)形態学的性質 形:短桿 大きさ:0.4〜0.5×1.2〜1.5μm 運動性:なし 鞭毛:なし 胞子:なし グラム染色:陰性 (2)生育の状態 (イ)肉汁寒天平板培養 形状:小円形(粒状) 隆起:凸円状 周縁:全緑 表面:潤滑 (ロ)肉汁寒天斜面培養 発育の良否:適度 表面:潤滑 生育形状:糸状 色調:黄色 光沢:あり 透明度:半透明 (ハ)肉汁液体培養 表面の生育:なし 濁度:適度 沈殿:適度 (ニ)肉汁ゼラチン穿刺培養 生育の状態:表面のみ生育 ゼラチンの液化:陽性 (ホ)リトマス・ミルク 凝固:陰性 pH:酸性 (3)生理学的性質 硝酸塩の還元:− 脱窒反応:− MRテスト:− VPテスト:+ インドールの生成:− デンプンの加水分解:− クエン酸の利用:(Koserの培地)− :(Christensenの培地)− 無機窒素源の利用(生育) 塩化アンモニウム − 硝酸アンモニウム − 硝酸カリウム +w 色素の生成:+(非水溶性) オキシダーゼ:+ カタラーゼ:+ 生育pH:6.5〜7.5 生育至適温度:20〜30℃ 酸素に対する態度:通性好気性 O−Fテスト:Oxidative 糖類から酸及びガスの生成 糖 類 酸 ガス D−キシロース ± − D−グルコース ± − D−マンノース ± − D−フラクトース ± − D−ガラクトース ± − マルトース ± − シュークロース ± − ラクトース ± − グリセリン ± − デンプン ± − 以上のような菌学的性質を有する菌について、バージェ
ーズ・マニュアル・オブ・ディタミネーティブ・バクテ
リオロジー(第8版)の分類に従って同定したところ、
本菌株はフラボバクテリウム属に属するが、本菌株の特
徴に十分に合致する公知の種は見出せず、本菌株を新菌
株と同定し、フラボバクテリウム・エスピー1022(Flav
obacterium SP.1022)と命名した。本菌株は微生物工業
技術研究所に微工研菌寄第8201号として寄託されてい
る。
ーズ・マニュアル・オブ・ディタミネーティブ・バクテ
リオロジー(第8版)の分類に従って同定したところ、
本菌株はフラボバクテリウム属に属するが、本菌株の特
徴に十分に合致する公知の種は見出せず、本菌株を新菌
株と同定し、フラボバクテリウム・エスピー1022(Flav
obacterium SP.1022)と命名した。本菌株は微生物工業
技術研究所に微工研菌寄第8201号として寄託されてい
る。
前記使用微生物の培養に用いる培地組成は、通常の微生
物の培養に用いられるものであれば特に限定されない。
炭素源としては、例えばグルコース,シュークロース,
アラビノース,フラクトース,マンニトール,イノシト
ール,可溶性澱粉,糖蜜,デキストリンなど、窒素源と
してはペプトン,肉エキス,酵母エキス,カザミノ酸,
コーンスティープリカー,各種アンモニウム塩,各種硝
酸塩,尿素等があげられる。その他必要に応じてリン
酸,マグネシウム,カリウム,ナトリウム,カルシウ
ム,マンガン,亜鉛,銅,鉄,モリブデン酸などの無機
塩類を適当に含有する培地などが用いられる。また、活
性汚泥をアルカリおよび酸で加水分解して得られる汚泥
抽出物を培地として利用することもできる。本発明酵素
は培地に酵母エキスを添加することによる誘導効果が認
められ0.1%添加で無添加の場合の約2〜3倍、1%添
加で約9倍の活性上昇が認められた。培養は培地を通常
の方法で滅菌し、本発明の菌株を接種し、20〜30℃,3〜
4日間振とうまたは通気撹拌により好気的に行なう。
物の培養に用いられるものであれば特に限定されない。
炭素源としては、例えばグルコース,シュークロース,
アラビノース,フラクトース,マンニトール,イノシト
ール,可溶性澱粉,糖蜜,デキストリンなど、窒素源と
してはペプトン,肉エキス,酵母エキス,カザミノ酸,
コーンスティープリカー,各種アンモニウム塩,各種硝
酸塩,尿素等があげられる。その他必要に応じてリン
酸,マグネシウム,カリウム,ナトリウム,カルシウ
ム,マンガン,亜鉛,銅,鉄,モリブデン酸などの無機
塩類を適当に含有する培地などが用いられる。また、活
性汚泥をアルカリおよび酸で加水分解して得られる汚泥
抽出物を培地として利用することもできる。本発明酵素
は培地に酵母エキスを添加することによる誘導効果が認
められ0.1%添加で無添加の場合の約2〜3倍、1%添
加で約9倍の活性上昇が認められた。培養は培地を通常
の方法で滅菌し、本発明の菌株を接種し、20〜30℃,3〜
4日間振とうまたは通気撹拌により好気的に行なう。
本発明酵素は以下のようにして採取することができる。
すなわち培養終了後、遠心分離により菌体を除いた培養
上澄液に硫安等の無機塩を添加して生じる塩析物より分
離する方法、前記培養上澄液を限外過により濃縮する
方法などがある。本発明酵素は、これら塩析物あるいは
濃縮物から常法により精製される。以下、実施例により
本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明
の範囲を何ら限定するものではない。
すなわち培養終了後、遠心分離により菌体を除いた培養
上澄液に硫安等の無機塩を添加して生じる塩析物より分
離する方法、前記培養上澄液を限外過により濃縮する
方法などがある。本発明酵素は、これら塩析物あるいは
濃縮物から常法により精製される。以下、実施例により
本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明
の範囲を何ら限定するものではない。
グルコース0.5%、ペプトン0.5%、酵母エキス1.0%、
塩化ナトリウム0.5%を含む培地を容量2の振とうフ
ラスコ19本に各500ml分注し、120℃,15分間加圧滅菌し
た後、同じ組成の培地で前培養したフラボバクテリウム
・エスピー1022株を5ml接種し28℃で4日間振とう培養
した。培養終了後、遠心分離により菌体を除き培養液
を得た。この液に硫安を90%飽和になるよう添加し、
生成した沈殿を0.01Mリン酸緩衡液(pH7.0)に溶解し、
同緩衡液で一夜透析した。この透析内液を同緩衡液で予
め平衡化したDEAE−セルロースのカラム(6.0×45cm)
に通し、吸着した酵素を0.1MのNaClを含む同緩衡液を用
いて溶出した。活性画分を集め限外過法によって濃縮
し、これを0.001Mのリン酸緩衡液(pH7.0)で一夜透析
した。この透析内液を同緩衡液で平衡化したハイドロキ
シルアバタイトカラム(2.6×24cm)に通し、吸着した
酵素を0.11Mリン酸緩衡液(pH7.0)で溶出した。溶出さ
れた活性画分を集め限外過法によって濃縮し、これを
0.01Mリン酸緩衡液(pH7.0)で平衡化したセファデック
スG−150カラム(2.0×113cm)を用いてゲル過を行
なった。活性画分を集めて前記操作と同様に処理し、セ
ファデックスG−100カラム(2.0×113cm)を用いてゲ
ル過を行なった。活性画分を集めて限外過により濃
縮し、endo−β−GlcNAcaseの精製標品10.3mg(比活性1
7.2u/mg収率31.8%)を得た。
塩化ナトリウム0.5%を含む培地を容量2の振とうフ
ラスコ19本に各500ml分注し、120℃,15分間加圧滅菌し
た後、同じ組成の培地で前培養したフラボバクテリウム
・エスピー1022株を5ml接種し28℃で4日間振とう培養
した。培養終了後、遠心分離により菌体を除き培養液
を得た。この液に硫安を90%飽和になるよう添加し、
生成した沈殿を0.01Mリン酸緩衡液(pH7.0)に溶解し、
同緩衡液で一夜透析した。この透析内液を同緩衡液で予
め平衡化したDEAE−セルロースのカラム(6.0×45cm)
に通し、吸着した酵素を0.1MのNaClを含む同緩衡液を用
いて溶出した。活性画分を集め限外過法によって濃縮
し、これを0.001Mのリン酸緩衡液(pH7.0)で一夜透析
した。この透析内液を同緩衡液で平衡化したハイドロキ
シルアバタイトカラム(2.6×24cm)に通し、吸着した
酵素を0.11Mリン酸緩衡液(pH7.0)で溶出した。溶出さ
れた活性画分を集め限外過法によって濃縮し、これを
0.01Mリン酸緩衡液(pH7.0)で平衡化したセファデック
スG−150カラム(2.0×113cm)を用いてゲル過を行
なった。活性画分を集めて前記操作と同様に処理し、セ
ファデックスG−100カラム(2.0×113cm)を用いてゲ
ル過を行なった。活性画分を集めて限外過により濃
縮し、endo−β−GlcNAcaseの精製標品10.3mg(比活性1
7.2u/mg収率31.8%)を得た。
本発明の酵素を用いるとN−アスパラギン結合型糖鎖を
糖タンパクより遊離することが出来るので、糖タンパク
質糖鎖の構造解析に極めて有効である。
糖タンパクより遊離することが出来るので、糖タンパク
質糖鎖の構造解析に極めて有効である。
第1図は本発明酵素の作用至適pH範囲を示す。 第2図は本発明酵素の作用至適温度範囲を示す。 第3図は本発明酵素の安定温度範囲を示す。
Claims (7)
- 【請求項1】以下の物理化学的性質を有するエンド−β
−N−アセチルグルコサミニダーゼ。 作用および基質特異性:天然の高分子タンパク質に
結合したN−アスパラギン結合型糖鎖に作用して、糖鎖
のN,N′−ジアセチルキトビオース部分を特異的に加水
分解する 作用適温の範囲:25〜60℃ 至適pH:pH5.0〜6.0 分子量:約30,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法による測定) - 【請求項2】N−アスパラギン結合型糖鎖が高マンノー
ス型,混合型である特許請求の範囲(1)記載のエンド
−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ。 - 【請求項3】4℃,48時間の保持条件において安定pHが
5.0〜7.0である特許請求の範囲(1)記載のエンド−β
−N−アセチルグルコサミニダーゼ。 - 【請求項4】安定温度範囲がpH7.0,10分間の保持条件に
おいて40℃までである特許請求の範囲(1)記載のエン
ド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ。 - 【請求項5】マンナンおよびマンノースによって阻害さ
れない特許請求の範囲(1)記載のエンド−β−N−ア
セチルグルコサミニダーゼ。 - 【請求項6】卵白アルブミン,リボヌクレアーゼB(牛
膵臓),酵母インベルターゼの糖鎖をインタクト(inta
ct)の状態のまま切断することができる特許請求の範囲
(1)記載のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ
ーゼ。 - 【請求項7】フラボバクテリウム属に属し、エンド−β
−N−アセチルグルコサミニダーゼを生産する能力を有
する微生物を培養し、培養物より以下の物理化学的性質
を有するエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ
を採取することを特徴とするエンド−β−N−アセチル
グルコサミニダーゼの製造方法。 作用および基質特異性:天然の高分子タンパク質に
結合したN−アスパラギン結合型糖鎖に作用して、糖鎖
のN,N′−ジアセチルキトビオース部分を特異的に加水
分解する 作用適温の範囲:25〜60℃ 至適pH:pH5.0〜6.0 分子量:約30,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法による測定)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60106734A JPH07114694B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | エンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60106734A JPH07114694B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | エンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61265088A JPS61265088A (ja) | 1986-11-22 |
JPH07114694B2 true JPH07114694B2 (ja) | 1995-12-13 |
Family
ID=14441157
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60106734A Expired - Fee Related JPH07114694B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | エンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07114694B2 (ja) |
-
1985
- 1985-05-17 JP JP60106734A patent/JPH07114694B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
BIOCHIMICA ET BIOPHYSICA ACTA=1984 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61265088A (ja) | 1986-11-22 |
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