JP2662667B2 - アミラーゼx−23およびその製造法 - Google Patents

アミラーゼx−23およびその製造法

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JP2662667B2 JP10970693A JP10970693A JP2662667B2 JP 2662667 B2 JP2662667 B2 JP 2662667B2 JP 10970693 A JP10970693 A JP 10970693A JP 10970693 A JP10970693 A JP 10970693A JP 2662667 B2 JP2662667 B2 JP 2662667B2
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茂孝 岡田
績 神原
俊 米谷
秀典 谷本
隆久 西村
寛 滝井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハイドロキノン等のフェ
ノール性OH基を有する化合物等に糖転移を行なうアミ
ラーゼX−23(以下、本酵素という)及びその製造法
に関する。ハイドロキノン等の糖転移化合物は食品、化
粧品及び医薬品等の分野で利用できる。
【0002】
【従来の技術】糖及びアルコール性OH基に糖転移を行
なうアミラーゼに関する研究は古くから行なわれてい
る。例えば、アミラーゼシンポジウムVol.10 1
975第81頁〜89頁に糖質に糖転移を行なう酵素の
報告がされている。しかし、長年糖転移を行なう酵素の
研究がされてきたにもかかわらず、化合物中のフェノー
ル性OH基及びフラボノイド類縁化合物中のOH基に糖
転移を行なう酵素に関する研究はない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本酵素は次の理化学的性
質を有する。 1.作用 フェノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化合物等の
受容体が存在しなければ、マルトオリゴ糖、アミロー
ス、アミロペクチン、各種スターチ等のα−1,4結合
を持つグルカンを分解(加水分解)する。しかし、フェ
ノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化合物及びマル
トオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン各種スターチ
等のα−1,4結合を持つグルカンが同時に存在すれ
ば、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、各
種スターチ等のα−1,4結合を持つグルカンを分解す
ると共にフェノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化
合物中のOH基に、α結合で糖転移を行なう。
【0004】2.受容体特異性 ハイドロキノン又はジメトキシフェノール等フェノール
類縁化合物中のフェノール性OH基もしくはフラボン、
イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノノ
ール、カテキン、オーロン、アントシアニジン、カルコ
ン又はジヒドロカルコン等のフラボノイド類縁化合物中
のOH基に、α結合で糖転移を行なう。
【0005】3.至適pHおよび安定pH 可溶性デンプンを加水分解した場合、至適pHはpH6
〜7であり、安定pHはpH5〜8である(図1)。ハ
イドロキノンに糖転移を行なう場合、至適pHはpH5
〜8であり、安定pHはpH4〜13である(図2)。
【0006】4.力価測定法 (α−アミラーゼ活性測定法)アミラーゼ活性は、次の
ようにして測定される。40℃にインキュベーションし
た酵素液50μlに40℃にインキュベーションした
1.5%可溶性デンプン(40mM酢酸−Na緩衝溶液
によりpH5.5に調製する)200μlを添加し、4
0℃で10分間反応させる。この反応液に、0.5N酢
酸と0.5N塩酸とを5:1に混合した液2ml添加し
て撹拌することにより反応を停止させる。この溶液0.
1mlを採取し、0.005%ヨウ素及び0.05%ヨ
ウ化カリウムを含有する溶液5mlを添加して撹拌し、
室温にて20分間放置する。この溶液の660nmにお
ける吸光度を測定し、この吸光度をcとする。別にブラ
ンクとして上記酵素液の代わりに精製水を用いた溶液を
調整し同様の操作を行なって得られた吸光度をBとす
る。このようにして得られたc及びBからアミラーゼ活
性Aが次式によって得られる。 A=(B−C)/B ×10 ただし、アミラーゼ活性の1単位はB値の10%である
とする。
【0007】(糖転移率の測定法)糖転移率は次のよう
にして測定される。可溶性デンプン又はマルトペンタオ
ース等の供与体10%及びハイドロキノン又はカテキン
等のフェノール性OH基を有する化合物の受容体2%を
含む溶液並びに酵素液を1:1で混合し、40℃にて1
6〜24時間反応させる。反応液を15倍希釈し、HP
LC(MERCK社製のODSカラムRP−18を使
う。pH2.5に調整した10%メタノールの溶離液を
用いる)にて分析を行なう。検出は280nmにおける
吸光度により行なう。またコントロールとして酵素液の
代わりに精製水を用いた溶液を調製し上記と同様の操作
を行なう。糖転移率は、次式により算出される。 糖転移率=配糖体のピーク面積/コントロールの受容体
のピーク面積×100
【0008】5.作用適温の範囲 pH5.5において30℃から70℃まで安定して糖転
移を行なう(図3)。
【0009】6.阻害剤 銅イオン及び亜鉛イオンに阻害されるが、EDTA、カ
ルシウムイオン、マンガンイオン、バリウムイオン、マ
グネシウムイオン及びコバルトイオンの阻害をほとんど
受けない(図4)。
【0010】7.失活の条件 100℃において15分間処理すると完全に失活する。
【0011】8.精製方法 培養液から菌体を除去した後、硫安(80%飽和)によ
る塩析を行ない得られた沈殿を溶かし透析を行なう。こ
れをQ−セファロースカラムクロマトグラフィー(pH
5.5の0〜0.5MNaCl濃度勾配を用いる)にか
けた後、透析を行なう。ついでフェニルセファロースカ
ラムクロマト(0.8M〜OM硫安濃度勾配を用いる)
にかけた後、透析を行なう。透析内液をスーパーロース
12によるゲルろ過を行ない凍結乾燥後、精製標品を得
る。このような方法で精製した本酵素は、SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドを示す。
【0012】9.分子量 約65000である(SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動による)。
【0013】10.紫外線吸収スペクトル 極大吸収は267nmであり、極小吸収は252nmで
ある(図5)。
【0014】11.アミノ酸分析 アミノ酸組成は、図6のとおりである。
【0015】本酵素は、例えばバチルス サブチリス
(Bacillus subtilis)X−23(生
工研菌寄託第P−13560号)(以下、本菌株とい
う)の培養物から採取し、精製する。本菌株は、発明者
らにより土壌から分離された新菌株である。本菌株の菌
学的性質を以下に示す。尚、培養温度は特に記載の無い
限り30℃である。
【0016】(菌学的性質) 1.形態学的性質(肉汁寒天培地) 1)細胞の形及び大きさ (0.6〜0.7)×(1.5〜3)μmの桿菌であ
る。連鎖性は無い。 2)胞子を有する。 3)グラム染色は陽性である。
【0017】2.生育状態 1)肉汁寒天平板培地では生育良好である。表面は白色
でしわが有る。 2)肉汁寒天斜面培地では生育良好である。表面は白色
から褐色でしわが有る。 3)肉汁液体培地では生育良好である。液は混濁する。 4)食塩肉汁液体培地では7%の食塩濃度で生育でき
る。
【0018】3.生理学的性質 1)硝酸塩の還元は陽性である。 2)デンプンの資化性は陽性である。 3)カタラーゼの生成は陽性である。 4)オキシダーゼの生成は陽性である。 5)生育温度の範囲は50℃までである。 6)グルコース、キシロース、マンニトールから酸を形
成する。ただしガス発生を伴わない。 7)アセチルメチルカルビノールの生成は陽性である。 8)嫌気的条件下で生育できない。
【0019】以上の結果をバージーのマニュアル第2巻
(Bergey’s Manualof System
atic Bacteriology vol.2 1
986)と照合して、本菌はバチルス サブチリスと同
定した
【0020】(培養条件)本菌株の培地は格別である必
要はなく、通常の培地が用いられる。炭素源としては、
デンプン、グリセリン,グルコース,セロビオース,シ
ュクロース及びラクトース等が用いられる。窒素源とし
てはポリペプトン、肉エキス、大豆タンパク及び総合ア
ミノ酸が用いられる。無機塩類としてはNaCl、リン
酸1カリウム、リン酸2カリウム及び硫酸マグネシウム
等が用いられる。その他必要に応じてビタミン類等微量
栄養素が加えられる。たとえば、可溶性デンプン 1.
0%、ポリペプトン 0.5%、肉エキス 0.5%及
びNaCl 0.3%から成り、pHが6.8の培地が
好適に用いられる。pH6〜8好ましくはpH7.0、
温度は25℃〜35℃で、約1〜5日間好ましくは約3
日間好気的に撹拌又は振とうしながら培養を行なう。本
酵素は菌体外に分泌されるため培地中から回収される。
【0021】(本酵素の採取方法)上記培養液から本酵
素を採取、精製するために、既知の精製方法が単独もし
くは併用して用いられる。例えば、上記培養液をろ過又
は遠心分離にかけて菌体を除去しろ液又は上清液を得
る。このろ液又は上清液を必要に応じて濃縮し、限外ろ
過または透析を行なう。更に、硫安などにより塩析した
後、透析し、ついで陰イオンセファロース等による陰イ
オン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー
など各種クロマトグラフィー(例えば、QAE−セファ
ロース、DEAE−セルロース、フェニルトヨパールな
ど)及びゲルろ過を単独又は、組み合せて用いることに
より精製を行なう。
【0022】(配糖体の製造方法)ハイドロキノン又は
ジメトキシフェノール等のフェノール性OH基を持つ化
合物若しくはフラボン、イソフラボン、フラボノール、
フラバノン、フラバノノール、カテキン、オーロン、ア
ントシアニジン、カルコン又はジヒドロカルコン等のフ
ラボノイド類縁化合物1〜20%、好ましくは1〜5%
と、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、各
種スターチ等のα−1,4結合を持つグルカン1〜20
%、好ましくは5〜10%とを含む溶液に、本酵素を添
加し、40℃において約16時間反応させる。各種溶媒
による分配及び各種クロマトグラフィーによる精製によ
り、この反応液から配糖体の精製標品を得ることができ
る。
【0023】
【実施例】
(実施例1)0.5%可溶性デンプン、0.5%肉エキ
ス、0.5%ポリペプトン及び0.3%Naclを含有
する培地(pH6.8に調製する)500mlを、20
00ml容の坂口フラスコにいれ、本菌株を接種し、3
0℃で3日間振とう培養した。この培養液を遠心分離
し、菌体を取り除いた上清液について硫安塩析を行なっ
た。まず硫安粉末を80%飽和となるまで添加し、析出
した沈殿を遠心分離によって回収した。沈殿を5mM酢
酸緩衝液(pH5.5に調製する)に溶解し、同緩衝液
に対して一晩透析をおこない、脱塩を行なった。得られ
た透析内液を、同緩衝液により平衡化したQ−セファロ
ースカラム(2.8×10cm、Pharmacia社
製)にかけて酵素を吸着させた。ついで酢酸緩衝液中の
食塩濃度を0〜0.5Mに直線的に増加させる事により
グラジエント溶出を行なった。アミラーゼ活性を示す画
分(NaCl濃度が0.05〜0.2Mのところに相当
する)を回収し、5mM酢酸緩衝液(pH5.5に調製
する)に対し一晩透析を行なった。この透析内液に1.
7Mになるまで硫安を加え、1.7M硫安を含む5mM
酢酸緩衝液(pH5.5に調製する)で平衡化したフェ
ニルトヨパールカラム(3.0×10cm、Pharm
acia社製)にかけて酵素を吸着させたのち酢酸緩衝
液中の硫安濃度を1.7〜0Mに直線的に減少させる事
によりグラジエント溶出をおこなった。アミラーゼ活性
を示す画分(硫安濃度が0.4〜0.08Mのところに
相当する)を回収し、10mM酢酸緩衝液(pH5.5
に調製する)に対し一晩透析を行なった。透析内液を膜
濃縮し、0.2M NaClを含む10mM酢酸緩衝液
により平衡化したスーパーロース12カラム(1×30
cm、Pharmacia社製)によりゲルろ過をおこ
なった。これにより得られた活性画分と280nmにお
ける吸収(タンパクによる吸収)の関係を図7に示す。
アミラーゼ活性は280nmの吸収と同一面分の一つの
ピークとして現れた。この画分を精製水に対して充分透
析を行なった後、凍結乾燥し本酵素の精製標品約5mg
を得た。この精製標品は、ポリアクリルアミドゲル電気
泳動及びSDS−ボリアクリルアミドゲル電気泳動を行
なうと単一のバンドとなり、電気泳動的に単一の物質で
あることが示された。
【0024】(実施例2)ハイドロキノン10%及びマ
ルトペンタオース20%を20mM酢酸緩衝液(pH
5.5に調製する)に溶解した。この溶液10mlにア
ミラーゼ活性60単位を有する本酵素液10mlを添加
した。上記溶液を40℃において16時間反応させた
後、3倍量の酢酸エチルを加え激しく振とうした。室温
において30分間静置した後、水相画分を回収した。こ
の操作を3回行ない、未反応のハイドロキノンを完全に
取り除いた後、減圧乾燥を行った。試料を精製水に溶か
し精製水で平衡化した活性炭カラムに配糖体を吸着させ
た。次いで20%メタノールで活性炭カラムに吸着して
いる未反応の糖を溶出した後、100%メタノールによ
り配糖体を溶出した。100%メタノール画分を減圧乾
燥した後、再び精製水に溶解し凍結乾燥を行った。以上
の操作によりハイドロキノンの配糖体を約200mg得
ることができた。この精製標品をについて、α−グルコ
シダーゼ(TOYOBO社製)による処理を行ない上記
配糖化率の測定方法で示したHPLc分析を行なったと
ころ、ハイドロキノンの配糖体(以下、グルコシルハイ
ドロキノンという)のピークが完全に消滅し、ハイドロ
キノンのピークが新たに出現した。このことより、グル
コシルハイドロキノンはハイドロキノンにグルコースが
α結合した配糖体であることがわかった。更に、グルコ
シルハイドロキノンの構造をNMR(JNM−GX27
0、JEOL社製)により確認したところ、上記と同様
の結果が確認された。またNMR分析の結果を図8に示
した。尚、この作用による糖転移率は、約27%であっ
た。また、上記反応液に、反応開始6〜15時間後に、
新たに供与体となるマルトペンタオース等を加えること
により更に糖転移率をあげることができた。反応開始6
時間後にマルトペンタオースを5%となるように添加し
た場合の糖転移率は、約40%であった。
【0025】(実施例3)カテキン2%及びマルトペン
タオース10%を20mM酢酸緩衝液(pH5.5に調
製する)に溶解した。この溶液1mlに、6単位のアミ
ラーゼ活性を有する本酵素液1mlを添加し40℃にお
いて16時間反応を行なった。この反応液をHPLCに
より分析(ODSカラムRP−18を用い、アセトニト
リルと酢酸エチルと0.05%リン酸とが12部2部8
6部から成る溶液により溶出し280nmにより検出し
た)したところ、未反応のカテキン以外に新たにカテキ
ンの配糖体のピークを確認した。さらに、この反応液に
ついてα−グルコシダーゼ(TOYOBO社製)による
処理を行ない同様のHPLC分析を行なったところ、カ
テキンの配糖体のピークが消滅し未反応のカテキンのピ
ークが増加した。このことよりカテキンの配糖体は、カ
テキンにグルコースがα結合した化合物であることを確
認した。尚、本反応における糖転移率は、約25%であ
った。
【0026】(実施例4)エピガロカテキン2%及びマ
ルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝液(pH
5.5に調製する)に溶解した。この溶液1mlに、6
単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1mlを添加し
40℃において16時間反応を行なった。この反応液を
HPLCにより分析(ODSカラムRP−18を用い、
アセトニトリルと酢酸エチルと0.05%リン酸とが1
2部2部86部から成る溶液により溶出し、で280n
mにより検出した)したところ、未反応のエピガロカテ
キン以外に新たにエピガロカテキンの配糖体のピークを
確認した。さらに、この反応液についてα−グルコシダ
ーゼ(TOYOBO社製)による処理を行ない同様のH
PLC分析を行なったところ、エピガロカテキンの配糖
体のピークが消滅し未反応のエピガロカテキンのピーク
が増加した。このことよりエピガロカテキンの配糖体
は、エピガロカテキンにグルコースがα結合した化合物
であることを確認した。尚、本反応における糖転移率
は、約28%であった。
【0027】(実施例5)エピカテキンガレート2%及
びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝液(p
H5.5に調製する)に溶解した。この溶液1mlに、
6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1mlを添加
し40℃において16時間反応を行なった。HPLCに
より分析(ODSカラムRP−18を用い、アセトニト
リルと酢酸エチルと0・05%リン酸とが12部2部8
6部から成る溶液により溶出し280nmにより検出し
た)したところ、未反応のエピカテキンガレート以外に
新たにエピカテキンガレートの配糖体のピークを確認し
た。さらに、この反応液についてα−グルコシダーゼ
(TOYOBO社製)による処理を行ない同様のHPL
C分析を行なったところ、エピカテキンガレートの配糖
体のピークが消滅し未反応のエピカテキンガレートのピ
ークが増加した。このことよりエピカテキンガレートの
配糖体は、エピカテキンガレートにグルコースがα結合
した化合物であることを確認した。尚、本反応における
糖転移率は、約13%であった。
【0028】(実施例6)エピガロカテキンガレート2
%及びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝液
(pH5.5に調製する)に溶解した。この溶液1ml
に、6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1mlを
添加し40℃において16時間反応を行なった。この反
応液をHPLCにより分析(ODSカラムRP−18を
用い、アセトニトリルと酢酸エチルと0.05%リン酸
とが12部2部86部から成る溶液により溶出し280
nmにより検出した)したところ、未反応のエピガロカ
テキンガレート以外に新たにエピガロカテキンガレート
の配糖体のピークを確認した。さらに、この反応液につ
いてα−グルコシダーゼ(TOYOBO社製)による処
理を行ない同様のHPLC分析を行なったところ、エピ
ガロカテキンガレートの配糖体のピークが消滅し未反応
のエピガロカテキンガレートのピークが増加した。この
ことよりエピガロカテキンガレートの配糖体は、エピガ
ロカテキンガレートにグルコースがα結合した化合物で
あることを確認した。尚、本反応における糖転移率は、
約12%であった。
【0029】(実施例7)エピカテキン2%及びマルト
ペンタオース10%を20mM酢酸緩衝液(pH5.5
に調製する)に溶解した。この溶液1mlに、6単位の
アミラーゼ活性を有する本酵素液1mlを添加し40℃
において16時間反応を行なった。この反応液をHPL
Cにより分析(ODSカラムでRP−18を用い、アセ
トニトリルと酢酸エチルと0.05%リン酸ちが12部
2部86部から成る溶媒により溶出し280nmにより
検出した)したところ、未反応のエピカテキン以外に新
たにエピカテキンの配糖体のピークを確認した。さら
に、この反応液についてα−グルコシダーゼ(TOYO
B0社製)による処理を行ない同様のHPLC分析を行
なったところ、エピカテキンの配糖体のピークが消滅し
未反応のエピカテキンのピークが増加した。このことよ
りエピカテキンの配糖体は、エピカテキンにグルコース
がα結合した化合物であることを確認した。尚、本反応
における糖転移率は、約23%であった。
【0030】(実施例8)3,4ジメトキシフェノール
2%及びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝
液(pH5.5に調製する)に溶解した。この溶液1m
lに、6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1ml
を添加し40℃において16時間反応を行なった。この
反応液をHPLCにより分析(ODSカラムRP−18
を用い、25%メタノールで溶出し、280nmにより
検出した)したところ、未反応の3,4ジメトキシフェ
ノール以外に新たに3,4ジメトキシフェノールの配糖
体のピークを確認した。さらに、この反応液についてα
−グルコシダーゼ(TOYOBO社製)による処理を行
ない同様のHPLC分析を行なったところ、3,4ジメ
トキシフェノールの配糖体のピークが消滅し未反応の
3,4ジメトキシフェノールのピークが増加した。この
ことより3,4ジメトキシフェノールの配糖体は、3,
4ジメトキシフェノールにグルコースがα結合した化合
物であることを確認した。
【0031】(実施例9)3,5ジメトキシフェノール
2%及びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝
液(pH5.5に調製する)に溶解した。この溶液1m
lに、6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1ml
を添加し40℃において16時間反応を行なった。この
反応液をHPLCにより分析(ODSカラムRP−18
を用い、25%メタノールで溶出し、280nmにより
検出した)したところ、未反応の3,5ジメトキシフェ
ノール以外に新たに3,5ジメトキシフェノールの配糖
体のピークを確認した。さらに、この反応液についてα
−グルコシダーゼ(TOYOBO社製)による処理を行
ない同様のHPLC分析を行なったところ、3,5ジメ
トキシフェノールの配糖体のピークが消滅し未反応の
3,5ジメトキシフェノールのピークが増加した。この
ことより3,5ジメトキシフェノールの配糖体は、3,
5ジメトキシフェノールにグルコースがα結合した化合
物であることを確認した。
【0032】(実施例10)2,3ジメトキシフェノー
ル2%及びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩
衝液(pH5.5に調製する)に溶解した。この溶液1
mlに、6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1m
lを添加し40℃において16時間反応を行なった。こ
の反応液をHPLCにより分析(ODSカラムRP−1
8を用い、25%メタノールで溶出し、280nmによ
り検出した)したところ、未反応の2,3ジメトキシフ
ェノール以外に新たに2,3ジメトキシフェノールの配
糖体のピークを確認した。さらに、この反応液について
α−グルコシダーゼ(TOYOBO社製)による処理を
行ない同様のHPLC分析を行なったところ、2,3ジ
メトキシフェノールの配糖体のピークが消滅し未反応の
2,3ジメトキシフェノールのピークが増加した。この
ことより2,3ジメトキシフェノールの配糖体は、2,
3ジメトキシフェノールにグルコースがα結合した化合
物であることを確認した。
【0033】(実施例11)アセトアミノフェノン2%
及びマルトペンタオース10%を20mM酢酸緩衝液
(pH5.5に調製する)に溶解した。この溶液1ml
に、6単位のアミラーゼ活性を有する本酵素液1mlを
添加し40℃において16時間反応を行なった。この反
応液をHPLCにより分析(ODSカラムRP−18を
用い、25%メタノールで溶出し、280nmにより検
出した)したところ、未反応のアセトアミノフェノン以
外に新たにアセトアミノフェノンの配糖体のピークを確
認した。さらに、この反応液についてα−グルコシダー
ゼ(TOYOBO社製)による処理を行ない同様のHP
LC分析を行なったところ、アセトアミノフェノンの配
糖体のピークが消滅し未反応のアセトアミノフェノンの
ピークが増加した。このことよりアセトアミノフェノン
の配糖体は、アセトアミノフェノンにグルコースがα結
合した化合物であることを確認した。
【0034】
【発明の効果】本発明により、新規のアミラーゼX−2
3が提供された。本酵素はハイドロキノン、カテキン及
びエピガロカテキンに25%以上の糖転移率でα結合に
よる糖転移を行なう。また、ハイドロキノン、カテキン
及びエピガロカテキン以外のフェノール性OH基及びフ
ラボノイド類縁化合物中のOH基に、マルトオリゴ糖、
アミロース、アミロペクチン及び各種スターチ等のα−
1,4結合を持つグルカンからα結合による糖転移を行
なう。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は可溶性デンプンを基質とした場合の本酵
素による加水分解の至適pH及び安定pHを示す。縦軸
は、pH7における本酵素の加水分解活性を100にし
たときの、相対活性を示す。横軸は、反応pHを示す。
【図2】図2は可溶性デンプンを供与体、ハイドロキノ
ンを受容体とした場合の、本酵素が糖転移を行なう至適
pH及び安定pHを示す。縦軸は、pH5における本酵
素による糖転移率を100とした相対活性を示す。横軸
は、反応pHを示す。
【図3】図3は本酵素のpH5.5における至適温度、
及び熱安定性を示す。縦軸は50℃における糖転移率を
100とした相対活性を示す。横軸は反応温度を示す。
【図4】図4は本酵素の各種阻害剤に対する影響を示
す。本酵素8単位を含有する溶液(pHは5.5に調製
する)に下記に示す化合物を100mM存在させ、40
℃で1時間処理した後、アミラーゼ活性測定法に準じて
残存活性の測定を行なった。
【図5】図5は本酵素の紫外線吸収スペクトルを示す。
縦軸は吸光度を示す。横軸は波長を示す。
【図6】図6は本酵素のアミノ酸組成を示す。
【図7】図7は本酵素のスーパーロース12カラムクロ
マトグラフィーによる溶出曲線を示す。縦軸は280n
mの吸光度及び酵素活性を示す。横軸はフラクション番
号を示す。
【図8】図8は本酵素の作用により得られたハイドロキ
ノングルコサイドのプロトンNMR分析を示す。
フロントページの続き (72)発明者 滝井 寛 大阪府大阪市西淀川区野里1丁目30−4 (72)発明者 寺田 喜信 大阪府大阪市西淀川区野里1丁目30−4 審査官 村上 騎見高

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有することを特徴と
    するアミラーゼX−23 記 1.作用 フェノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化台物等の
    受容体が存在しなければ、マルトオリゴ糖、アミロー
    ス、アミロペクチン、各種スターチ等のα−1,4結合
    を持つグルカンを分解(加水分解)する。しかし、フェ
    ノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化合物及びマル
    トオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、各種スター
    チ等のα−1,4結合を持つグルカンが同時に存在すれ
    ば、マルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、各
    種スターチ等のα−1,4結合を持つグルカンを分解す
    ると共にフェノール類縁化合物又はフラボノイド類縁化
    合物中のOH基に、α結合で糖転移を行なう。 2.受容体特異性 ハイドロキノン又はジメトキシフェノール等フェノール
    類縁化合物中のフェノール性OH基もしくはフラボン、
    イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノノ
    ール、カテキン、オーロン、アントシアニジン、カルコ
    ン又はジヒドロカルコン等のフラボノイド類縁化合物中
    のOH基に、α結合で糖転移を行なう。 3.至適pHおよび安定pH 可溶性デンプンを加水分解した場合、至適pHはpH6
    〜7であり、安定pHはpH5〜8である(図1)。ハ
    イドロキノンに糖転移を行なう場合、至適pHはpH5
    〜8であり、安定pHはpH4〜13である(図2)。 4.力価測定法 (α−アミラーゼ活性測定法) アミラーゼ活性は、次のようにして測定される。40℃
    にインキュベーションした酵素液50μlに40℃にイ
    ンキュベーションした1.5%可溶性デンプン(40m
    M酢酸−Na緩衝溶液によりpH5.5に調製する)2
    00μlを添加し、40℃で10分間反応させる。この
    反応液に、0.5N酢酸と0.5N塩酸とを5:1に混
    合した液2ml添加して撹拌することにより反応を停止
    させる。この溶液0.1mlを採取し、0.005%ヨ
    ウ素及び0.05%ヨウ化カリウムを含有する溶液5m
    lを添加して撹拌し、室温にて20分間放置する。この
    溶液の660nmにおける吸光度を測定し、この吸光度
    をCとする。別にブランクとして上記酵素液の代わりに
    精製水を用いた溶液を調整し同様の操作を行なって得ら
    れた吸光度をBとする。このようにして得られたC及び
    Bからアミラーゼ活性Aが次式によって得られる。 A=(B−C)/B ×10 ただし、アミラーゼ活性の1単位はB値の10%である
    とする。 5.作用適温の範囲 pH5.5において30℃から70℃まで安定して糖転
    移を行なう(図3)。 6.阻害剤 銅イオン及び亜鉛イオンに阻害されるが、EDTA、カ
    ルシウムイオン、マンガンイオン、バリウムイオン、マ
    グネシウムイオン及びコバルトイオンの阻害をほとんど
    受けない(図4)。 7.失活の条件 100℃において15分間処理すると完全に失活する。 8.精製方法 培養液から菌体を除去した後、硫安(80%飽和)によ
    る塩析を行ない得られた沈殿を溶かし透析を行なう。こ
    れをQ−セファロースカラムクロマトグラフィー(pH
    5.5の0〜0.5MNaCl濃度勾配を用いる)にか
    けた後、透析を行なう。ついでフェニルセファロースカ
    ラムクロマト(0.8M〜0M硫安濃度勾配を用いる)
    にかけた後、透析を行なう。透析内液をスーパーロース
    12によるゲルろ過を行ない凍結乾燥後、精製標品を得
    る。このような方法で精製した本酵素は、SDS−ポリ
    アクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドを示す。 9.分子量 約65000である(SDS−ポリアクリルアミドゲル
    電気泳動による)。 10.紫外線吸収スペクトル 極大吸収は267nmであり、極小吸収は252nmで
    ある(図5)。 11.アミノ酸分析 アミノ酸組成は、図6のとおりである。
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