JP2661349B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2661349B2
JP2661349B2 JP2244287A JP24428790A JP2661349B2 JP 2661349 B2 JP2661349 B2 JP 2661349B2 JP 2244287 A JP2244287 A JP 2244287A JP 24428790 A JP24428790 A JP 24428790A JP 2661349 B2 JP2661349 B2 JP 2661349B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 この発明は、検出された調性に基づいて楽音の周波数
を修正し、特に和音を協和させる電子楽器に関する。
(b)従来の技術 現在実用化されている電子楽器の殆どは平均律に調律
されている。これは平均律は全音程が均等であるため、
転調や移調が自由だからである。しかし、平均律は全音
程を均等にするため、オクターブを対数的に分割してお
り、微妙に不協和である。このため、和音を発音した場
合にうなりが生じる等、響きが美しくない欠点がある。
そこで、電子楽器には純正律などの響きの美しい音律
に調律することができるものが提案されている(特開昭
60−41094号等)。
(c)発明が解決しようとする課題 しかし、上記電子楽器では、演奏者が調性を選択して
指定する操作が必要であるため、面倒であるうえ、演奏
途中の調性を変更することができないため、途中で転調
する曲などは演奏することができない欠点があった。
この発明は、このような欠点に鑑み、発音を指定され
た複数の音高から調性を検出してピッチ修正を行うこと
により調性指定の操作を無くした電子楽器を提供するこ
とを目的とする。
(d)課題を解決するための手段 この発明は、発音する楽音の音高を指定する音高指定
操作子と、該音高指定操作子で指定された音高の楽音を
形成する楽音形成手段と、該音高指定操作子が操作され
る毎にそのとき指定されている1または複数の音高に基
づいて和音を検出する和音検出手段と、該和音検出手段
が和音を検出する毎に今回検出された和音および前回検
出された和音に基づき演奏の調性を判定する調性判定手
段と、前記楽音形成手段で形成される楽音の音高を前記
楽音形成手段で形成される楽音の音高を、現在設定され
ている周波数から前記調性判定手段が判定した調性の音
律の周波数に徐々に修正する周波数修正手段と、を設け
たことを特徴とする。
(e)作用 この発明の電子楽器では、前回検出された和音と今回
検出された和音に基づき演奏の調性を判定する(調性判
定手段)。判定された調性の特定の音律の周波数に各楽
音の周波数を徐々に修正する。(周波数修正手段)。修
正された周波数で各楽音の音高を発音する。これによ
り、曲の途中で転調して調性が変わった場合でも、これ
を検出して楽音の周波数を変更することができるととも
に、周波数を徐々に変えるようにしたことにより、周波
数変更時の不自然さを無くすことができる。
(f)実施例 図面を参照してこの発明の実施例である電子楽器を説
明する。この電子楽器はキーボードを備えた電子鍵盤楽
器である。キーボードは5オクターブ程度のキー(61キ
ー)を備えている。複数のキーを同時にオンすることに
よって複数の楽音を同時に発音させることができる。す
なわち、オンされた複数のキーの組み合わせにより、和
音を発音することができる。
さらに、キーオンにより和音が発音される場合、その
和音および直前に発音された和音に基づいてその演奏の
調性を判定する。各楽音を判定された調性の純正律に調
律する。調性の検出は、属7和音を検出したとき、この
和音をドミナント(属和音)とする調の調性であると判
断するようにしている。
さらに、ピッチ修正によるピッチ変動が急激にならな
いように、ピッチ修正は0.1秒〜1秒かけて徐々に行う
ようにし、また、ピッチ修正によるピッチ変動が過大に
ならないように、平均律から完全な純正律まで修正せ
ず、ある程度(2〜10セント)の誤差(オフセット)を
残すようにしている。
第1図は同電子楽器のブロック図である。この電子楽
器はCPU10がその全体の動作を制御している。CPU10には
バス11を介してROM12,RAM13,キーボード14,スイッチ群1
5,トーンジェネレータ16およびクロックジェネレータ17
が接続されている。ROM12には動作プログラムや音色デ
ータなどが記憶されている。RAM13にはキーイベントに
関するデータ等を記憶するレジスタが設定される。スイ
ッチ群15には音色選択スイッチなどが含まれている。ト
ーンジェネレータ16は同時に複数の楽音を形成すること
ができる。キーボード14のキーが複数同時にオンされる
とき、このキーオンに対応する楽音を同時に形成する。
このような機能を有するものであればFM音源,波形メモ
リ音源など種々の音源を用いることができる。クロック
ジェネレータ17はCPU10に対して約10ミリセカンド毎に
割込をかける。また、トーンジェネレータ16にはサウン
ドシステム18が接続されている。このサウンドシステム
はトーンジェネレータ16から入力された楽音を増幅して
スピーカなどから出力する装置である。
第2図は前記ROM12およびRAM13に設定されるメモリエ
リアの一部を示す図である。各メモリエリアについてそ
の名称と記憶内容を説明する。
TYPE:和音タイプレジスタ:検出された和音の種類を記
憶するレジスタ ROOT:根音レジスタ:検出された和音の根音を記憶する
レジスタ KC(i):オンキーコードレジスタ:オンされているキ
ーのキーコードを記憶するレジスタ CH(i):オンチャンネルレジスタ:オンされているキ
ーが割り当てられているチャンネルを記憶するレジスタ TRGT(i):目標値レジスタ:ピッチ修正の目標値を記
憶するレジスタ PITCH(i):修正量レジスタ:現在のピッチ修正量を
記憶するレジスタ A(i):修正速度レジスタ:ピッチ修正の速度を記憶
するレジスタ B(i):初期値レジスタ:ピッチ修正の初期値を記憶
するレジスタ TM(i):タイマレジスタ:ピッチ修正の時間を計数す
るレジスタ N:キーオン数レジスタ:オンされているキーの数を記憶
するレジスタ EVKC:イベントキーコードレシスタ:キーオン/オフイ
ベントがあったキーのキーコードを記憶するレジスタ ASCH:アサインチャンネルレジスタ:キーオン/オフイ
ベントがあったキーコードが割り当てられるチャンネル
を記憶するレジスタ TONIC:主音レジスタ:検出された調の主音のコードを記
憶するレジスタ TNLTY:調性設定フラグ:調性の設定状態を記憶するフラ
グ。0:調性設定無し、1:仮調性設定、2:調性設定 OLDTYPE:旧タイプレジスタ:直前に検出された和音のタ
イプを記憶するレジスタ DP(k):ピッチずれテーブル:主音を基準として、平
均律から純正律へのピッチずれをセントで記憶したテー
ブルであり、下表のような記憶内容である。ここで、k
は主音からの半音数である。また、ピッチずれの単位は
セントである。
P(k):ピッチずれレジスタ:設定された調性におけ
る各音名のピッチずれを記憶するレジスタ i,k,m,NC:それぞれ各サブルーチンで用いられるポイン
タである。
第3図は同電子楽器の動作を示すフローチャートであ
る。
同図(A)はメインルーチンを示している。先ずn1で
初期設定を行う。初期設定とは、各種レジスタのリセッ
トやデータのプリセット等の動作である。修正量レジス
タPITCH(i)のクリアも含まれる。こののち電子楽器
は演奏可能状態となり、キーイベント動作(n2)、その
他処理動作(n3)を繰り返し実行する。
同図(B)はキーイベント動作を示している。この動
作では、キーイベントの有無(n4)および、キーイベン
トがある場合にそれがキーオンイベントかキーオフイベ
ントか(n5)を判断している。キーオンイベントの場合
にはキーオンイベント動作(n6)を実行し、キーオフイ
ベントの場合にはキーオフイベント動作(n7)を実行す
る。キーイベントがない場合にはn4から直接リターンす
る。
同図(C)はキーオンイベント動作である。オンされ
たキーのキーコードをイベントキーコードレジスタEVKC
にセットする(n10)。このキーコードに対応する発音
チャンネルの割り当てを行い(n11)、割り当てられた
チャンネルナンバをアサインチャンネルレジスタASCHに
セットする(n12)。アサインチャンネルレジスタASCH
の内容からチャンネル割り当てが正常に行われたか否か
を判断する(n13)。アサインチャンネルレジスタASCH
の内容が0〜15であれば正常にチャンネルが割り当てら
れたためn14以下の動作を実行する。アサインチャンネ
ルレジスタASCHの内容がFFHであればチャンネル割り当
てができなかったためそのままリターンする。n14では
キーコードEVKC,チャンネルナンバASCHを含む必要なパ
ラメータをトーンジェネレータ16に送信してキーオン処
理(発音処理)を実行する。イベントキーコードレジス
タEVKCの内容をオンキーコードレジスタKC(N)に転送
し、アサインチャンネルレジスタ9ASCHの内容をオンチ
ャンネルレジスタ(N)に転送する(n15)。キーオン
数レジスタNに1を加算する(n16)。このキーオンに
基づく調検出動作を実行して(n17)リターンする。
同図(D)は調検出動作を示すフローチャートであ
る。この動作はそのときキーボード14においてオンされ
ているキーの組み合わせで構成される和音および直前に
オンされていたキーの組み合わせで構成される和音に基
づいて演奏されているフレーズの調を検出する動作であ
る。まず、現在のキーオンで構成される和音を検出する
(n25)。和音検出動作は従来より一般的に用いられて
いる方式を用いればよい。和音が検出された場合にはn2
6からn27に進む。和音が検出されない場合にはn26からn
36に進む。n27以下では、それまでの和音のタイプTYPE
を旧タイプレジスタOLDTYPEに転送し(n27)、検出され
た和音の種類を和音タイプレジスタTYPEに記憶し、和音
の根音を根音レジスタROOTに記憶する(n28)。和音の
種類,根音ともに対応するコードで記憶される。検出さ
れた和音の種類が属7和音(TYPE=3)であるかを判断
する(n29)。属7和音の場合には、この和音の根音ROO
Tよりも5度(半音数7)低い音高(音名)を主音レジ
スタTONICにセットし、調性設定フラグTNLTYに2をセッ
トする。2は調性設定を意味する。こののちピッチセッ
ト動作(n35)に進む。検出された和音の種類が属7和
音でない場合には、調性が設定されているか、すなわ
ち、調性設定フラグTNLTY=2であるか否かを判断する
(n30)。調性設定フラグTNLTY≠2、すなわち、調性が
設定されていない(TNLTY=0)かまたは仮調性が設定
されている(TNLTY=1)の場合には、この和音の根音R
OOTを主音TONICとしてセットし、調性設定フラグTNLTY
に1(仮調性設定を意味する)をセットする(n34)。
こののちピッチセット動作に進む(n35)。
一方、n30で調性設定フラグTNLTY=2の場合には、旧
タイプレジスタOLDTYPE=3(属7和音)であるか否か
を判断する(n31)。OLDTYPE≠3であれば、ポインタm
にN−1をセットして(n36)、ピッチ修正処理(n37)
を実行する。すなわち、今回キーオンされたキーコード
のみピッチ修正する。旧OLDTYPE=3であれば、現在設
定されている調の主音TONICと今回検出された和音の根
音ROOTが同一であるか否かを判断する(n32)。これら
が同一であれば、レジスタMにN−1をセットして(n3
6)、ピッチ修正処理(n37)を実行する。同一なければ
n34に進んで、調性の仮設定を行う。
なお、上記調検出動作における和音の検出は、上級者
の演奏に対応できるようにキーボード14全体のキーオン
状態に基づいて行ってもよく、また、検出を容易にする
ため、初心者の演奏状態に合わせて左鍵域(キーボード
の左半分)のキーオン状態に基づいて行うようにしても
よい。
同図(E)はピッチセット動作を示すフローチャート
である。まず、設定された主音TONICを基準として各音
名毎に平均律→純正律のピッチずれ量P(i)をセット
する。このセットは以下の演算式で行うことができる。
P((TONIC+k).mod.12)←DP(k)(k=0〜11) このうち、i=0〜Nまでピッチ修正動作を実行する
(n42〜n46)。
同図(F)はピッチ修正動作を示すフローチャートで
ある。この動作は和音構成音のピッチの刻々の修正量を
設定する動作である。まず、タイマレジスタTM(m)を
クリアする(n50)。音名を表すポインタNCにイベント
キーコードEVKCの音名(EVKC mod 12)をセットし(n5
1)、ピッチずれレジスタP(NC)の内容を目標値レジ
スタTRGT(m)にセットする(n52)。次に修正速度レ
ジスタA(m)に修正すべきピッチ(セント数)の1/10
0、すなわち、目標値レジスタTRGT(m)と修正量レジ
スタPITCH(m)との差の1/100をセットする。また、初
期値レジスタB(m)に修正量レジスタPITCH(m)の
内容をセットする(n53)。
同図(G)はキーオフ処理動作を示している。キーオ
フされると、オフされたキーのキーコードをイベントキ
ーコードレジスタEVKCにセットする(n60)。このキー
コードEVKCと同一のキーコードをオンキーコードレジス
タKC(i)(i=0〜N)から検索する(n61〜n64)。
同一のキーコードが発見されればそのチャンネルCH
(i)の発音を終了させるキーオフ処理を実行する(n6
5)。キーオン数レジスタNから1を減算し(n66)、オ
フされたキーのデータを記憶していたレジスタKC
(i),CH(i),PITCH(i),TRGT(i),A(i),B
(i)にそれ以後のデータ(i+1〜N+1)をシフト
する(n67)。これでキーオン数N=0になった場合に
は、調性キャンセル動作(n70)を行ったのちリターン
する。N>0であればまだキーオン中の楽音について調
検出動作を実行する(n69)。なお、オフされたキーの
キーコードEVKCと同一のキーコードがKC(i)から発見
されなかった場合にはn72の判断でリターンする。
同図(H)は調性キャンセル動作である。この動作で
は調性設定フラグTNLTYに0をセットし、和音タイプフ
ラグTYPEに0をセットする(n71)。TYPE=0は和音検
出無しを意味する。つぎに、各音名のピッチ修正量P
(k)(k=0〜11)にも0をセットする(n72)。
同図(I)は割込動作を示している。この動作はほぼ
10ms毎に実行される動作である。ポインタi=0〜Nま
で以下の動作を実行する。先ずタイマレジスタTM(i)
に1を加算する(n82)。修正量レジスタPITCH(i)の
値が目標値レジスタTRGT(i)の内容が同一であるか否
かを判断する(n83)。同一でなければ、修正量レジス
タPITCH(i)に対して修正速度レジスタA(i)×T
+B(i)の値をセットし(n84)、この修正量レジス
タPITCH(i)の内容をチャンネルナンバCH(i)とと
もにトーンジェネレータ16へ出力してピッチ修正動作を
実行させる(n85)。こののち、ポインタiに1を加算
して(n86)、n81にもどる。修正量レジスタPITCH
(i)の値が目標値レジスタTRGT(i)の内容が同一で
あればn83から直接n86に進む。ポインタi=0〜Nの全
チャンネルについてこの動作を行ったのちリターンする
(n81)。
以上の動作によって和音進行から曲の調性を検出し、
この調の主音を基準として純正律へピッチ修正動作が行
われる。ここで、和音の検出は左鍵域のキーオンのみに
基づいて行ったが全鍵域のキーオンに基づいて和音を検
出してもよく、また複数段の鍵盤を備えた電子楽器では
特定の鍵盤で検出するようにしてもよい。また、和音を
検出した鍵域のみでピッチ修正を行い、和音を検出しな
かった鍵域におけるピッチ修正は行わなくするようにす
ることもできる。また、ドミナントコードは属7和音に
限らず、これを含むコード、例えば、9th,7th−5,7th+
5,7th−9等を用いることもできる。さらに、調性の検
出方法は実施例の方法に限らず如何なる方法をも用いる
ことができる。
また、この実施例では、平均律から純正律まで完全に
ピッチ修正しているが、オフセットを設けて完全に純正
律までピッチを修正しないようにすることもできる。
(g)発明の効果 以上のようにこの発明の電子楽器によれば、演奏の調
性を検出してこの調性の音律に周波数を修正するように
したことにより、演奏者があらかじめ調性を指定しなく
ても、調性に合った調律をすることができる。また、こ
の周波数の修正を徐々に行うようにしたことにより、周
波数が修正されることによる。不自然さを無くすことが
可能になる。また、調性の判定を連続する和音(前回の
和音と今回の和音)に基づいて行うことにより、調性の
判定が確実になり、和音が変化する毎に調性が変化する
ということがなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例である電子楽器のブロック
図、第2図は同電子楽器のRAMに設定されるレジスタの
一部を示す図、第3図(A)〜(I)は同電子楽器の動
作を示すフローチャートである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発音する楽音の音高を指定する音高指定操
    作子と、 該音高指定操作子で指定された音高の楽音を形成する楽
    音形成手段と、 該音高指定操作子が操作される毎に、そのとき指定され
    ている1または複数の音高に基づいて和音を検出する和
    音検出手段と、 該和音検出手段が和音を検出する毎に、今回検出された
    和音および前回検出された和音に基づき演奏の調性を判
    定する調性判定手段と、 前記楽音形成手段で形成される楽音の音高を、現在設定
    されている周波数から前記調性判定手段が判定した調性
    の音律の周波数に徐々に修正する周波数修正手段と、 を設けたことを特徴とする電子楽器。
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