JP2660593B2 - フェロセンカルバルデヒドヒドラゾン誘導体及びこれを含有する電子写真感光体 - Google Patents

フェロセンカルバルデヒドヒドラゾン誘導体及びこれを含有する電子写真感光体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子写真感光体、更に詳細には、導電性支持
体上に、電荷発生物質と特定の電荷輸送物質を含む感光
層を設けた電子写真感光体に関する。
〔従来の技術〕
近年電子写真感光材料として広く用いられるものに、
無機系の光導電性物質としてはα−セレン、硫化カドミ
ウム、酸化亜鉛、α−シリコン等があり、また、有機系
の光導電性物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル、ポリビニルアンスラセンをはじめとする種々の光導
電性ポリマーがあるが、これらはそれぞれ、価格、性
能、毒性など少なからず問題を有している。
これらの欠点を補い、また高感度化を目的として光導
電性物質の2つの機能、即ち、電荷の発生と発生した電
荷の輸送を、それぞれ別個の物質により行わしめようと
する方式が盛んに提案されている。これらの方式におい
ては、電荷担体の発生効率の大きい物質(電荷発生物
質)と電荷輸送能力の大きい物質(電荷輸送物質)とを
組合せることにより、高感度の電位写真感光体が得られ
る可能性が予想される。しかし、電子写真感光体に要求
される諸特性、すなわち、高い表面電位と電荷保持能力
を有し、光感度が高く、残留電位が殆んどない等の特性
を同時に満足するか否かは単にこれらの組合せだけでは
予想できない。
また、低分子の有機光導電性物質を用いた場合、これ
ら自体はフィルム形成能力を持たないため、高分子結着
剤に溶解または分散させてフィルムを形成させる必要が
ある。しかし、分散させた場合は均一なフィルムを得る
ことが困難であり、溶解させた場合であっても結着剤に
対する溶解性の低いものは経時的に結晶が析出し、電子
写真性能が著しく低下してしまうという問題を有してい
る。このため、有機光導電性物質の結着剤に対する溶解
性の高さが要求される。
また、近年、小型で高出力の半導体レーザーが容易に
利用できるようになり、これを用いた電子写真方式のプ
リンターが低騒音、高速印字、高分解能という特長を生
かし、従来のインパクト方式のプリンターに代わって大
きな市場を占めつつある。このため、半導体レーザーの
安定な波長域である800nm前後の近赤外域に高い感度を
有する感光体が望まれている。
従来、電荷輸送物質としつ、複素環系、アリールアミ
ン系、ヒドラゾン系の物質等が提案されている。このう
ち、ヒドラゾン化合物としては、N−アルキルカルバゾ
ール−3−カルバルデヒドジフェニルヒドラゾン(特開
昭54−150128号公報)、N−アルキルフェノチアジン−
3−カルバルデヒドジフェニルヒドラゾン(特開昭57−
58157号公報)、P−ジアルキルアミノベンズアルデヒ
ドジフェニルヒドラゾン(特公昭55−42380号公報)、
テトラハイドロキノリンやインドリンを含むヒドラゾン
化合物(特開昭59−100444号公報)等が知られている。
しかしながら、上記ヒドラゾンを電荷輸送物質とする
電子写真感光体は、光感度において充分とはいえず、ま
た電子写真プロセスにしたがって反復使用した場合、も
との帯電特性を回復する能力が低下したり、残留電位が
上昇する等の感光体としての寿命を短くする等の実用上
の問題点を有している。
一方本発明関連のフェロセン誘導体の電子写真感光体
への応用例として感光層の保護層としてフェロセン及び
フェロセン誘導体を用いたもの(特開昭58−82251号公
報、特開昭59−82252号公報)、導電性基体と感光層と
の間の中間層成分としてフェロセンを用いたもの(特開
昭63−25661号公報)などがあるが、これらは電荷輸送
物質としてフェロセン誘導体を使用したものではない。
また、フェロセンポリマー等のメタロセンポリマーを主
成分とする光導電性材料(特開昭49−133445号公報、特
開昭50−129034号)、フェロセンあるいはデカメチルフ
ェロセンを電荷輸送物質に用いる電子写真感光体などが
提案されている(特開昭60−198548号公報参照)が、こ
れらは製膜性、光感度などに少なからず問題を有してい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、本発明は製膜性に問題のない光導電性物質を
用いた、光感度が高く、残留電位が小さく、感光体とし
ての寿命が長い電子写真感光体を提供することを目的と
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意研究を重ねた
結果、下記の新規フォロセンカルバルデヒドヒドラゾン
誘導体が、上記課題を解決する優れた電荷輸送物質であ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の一般式(I) 〔式中、R1及びR2はそれぞれ同一又は異なる低級アルキ
ル、ベンジル、置換基を有していてもよいフェニル又は
ナフチル基を示すか、あるいはR1とR2が結合して隣接す
る窒素原子と共に複素環を形成してもよい〕 で表わされるフェロセンカルバルデヒドヒドラゾン誘導
体に係る第一の発明、及び導電性支持体上に、電荷発生
物質と電荷輸送物質とを含む感光層を設けた電子写真感
光体において、電荷輸送物質としてフェロセンカルバル
デヒドヒドラゾン誘導体(I)を含有する電子写真感光
体に係る第二の発明を提供するものである。
上記一般式(I)中、R1又はR2で示される低級アルキ
ル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル
基が挙げられ、置換基を有してもよいフェニル基として
は、フェニル基、o−、m−又はp−トリル基、o−、
m−又はp−メトキシフェニル基等が挙げられ、R1とR2
が結合して形成される複素環としては、インドリン環、
テトラヒドロキノリン環、ピペリジン環、カルバゾール
環等が挙げられる。
本発明において用い得る化合物(I)の代表的な例と
して、以下のようなものが挙げられる。
これらの化合物(I)は、例えば次の反応式に従っ
て、フェロセン(II)をホルミル化してフェロセンカル
バルデヒド(III)とした後、ヒドラジン類と反応せし
めることにより製造される。
すなわち、まず、例えばP.J.Grahamらの方法〔J.Am.C
hem.Soc.,79,3416(1957)〕に準じ、フェロセン(II)
に当量又はやや過剰のヴィールスマイヤー試薬を反応さ
せてインモニウム塩を生成させた後、加水分解すること
により、フェロセンカルバルデヒド(III)を得る。本
反応は、無溶媒下又は1,2−ジクロロエタン等を溶媒と
して行なわれ、加水分解は炭酸ナトリウム水溶液、炭酸
水素ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液等を用い
て行なわれる。また、本反応に使用されるヴィールスマ
イヤー試薬は、オキシ塩化リンとN−メチルホルムアニ
リド等のN−置換ホルムアミドから調製される。
次いで、得られたフェロセンカルバルデヒド(III)
に、当量又はやや過剰のヒドラジン類又はその塩(IV)
を、縮合剤の存在下、溶媒中で、室温から溶媒の還流温
度で、数分から3時間程度反応させることにより、フェ
ロセンカルバルデヒドヒドラゾン誘導体(I)が得られ
る。ここで、縮合剤としては例えばピリジン、トリエチ
ルアミン等の3級アミン;無機酸;酢酸等の有機酸が、
溶媒としては例えばメタノール、エタノール等のアルコ
ール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類;その他N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等
が、単独で、又は2種以上を組合せて使用される。
本発明における電荷発生物質とは、一般に光を吸収し
て電荷を発生させるものである。無機材料としては、例
えばアモルファスセレン、セレン化砒素、硫化カドミウ
ム、アモルファスシリコンなどが挙げられ;有機材料と
しては、例えばアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イ
ンジゴ系顔料、ペリレン系顔料、スクアリウム系顔料、
多環キノン系顔料、ピリリウム系染料などが挙げられ
る。
導電性支持体としてはアルミニウムなどの金属板、金
属箔又は金属管、アルミニウムなどの金属を蒸着したプ
ラスチックフィルム、導電処理を施した紙などが用いら
れる。
また、結着剤としては、ポリエステル樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが用いられるが、
なかでもポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好
適である。
次に、本発明に係る電子写真感光体について代表的な
例を挙げて説明する。
第1図は、本発明に係る電子写真感光体の一例を示す
ものである。導電性支持体1の上に、電荷発生物質2を
主体とする電荷発生層3と、化合物(I)を均一に含有
する電荷輸送層4とからなる感光層5を設けてなるもの
である。
すなわち、第1図に示す感光体においては、電荷輸送
層を透過した光が、電荷発生層中に分散された電荷発生
物質に到達して電荷を発生させ、電荷輸送層は、この電
荷の注入を受けてその輸送を行なうものである。
第1図の感光体を作製するには、まず導電性支持体上
に電荷発生物質を真空蒸着する、電荷発生物質の微
粒子を必要に応じて結着剤と混合分散して得られる分散
液を塗布し、乾燥する、電荷発生物質を適当な溶剤に
分解した溶液を塗布し、乾燥する、などの手段により電
荷発生層を形成する。次にこの電荷発生層の上に、化合
物(I)と結着剤とを均一に溶解した溶液を、塗布乾燥
して電荷輸送層を形成させることによって感光体が得ら
れる。塗布は通常の手段、例えばドクターブレード、ワ
イヤーバーなどを用いて行なわれる。
電荷発生層の厚さは5μm以下、好ましくは2μm以
下である。電荷輸送層の厚さは3〜50μm、好ましくは
5〜20μmである。また、電荷輸送層中への化合物
(I)の配合割合は10〜90重量%(以下単に「%」で示
す)、好ましくは30〜70%である。
第2図及び第3図に本発明に係る電子写真感光体の他
の例を示す。すなわち第2図は、導電性支持体1の上
に、電荷発生物質の微粒子を結着剤と共に混合分散して
得られる分散液に、化合物(I)を含む電荷輸送物質を
均一に溶解させた塗液を塗布、乾燥して作られた感光層
5を設けてなるものである。この場合の感光層の厚さは
5〜50μm、好ましくは10〜25μmである。また第3図
は導電性支持体1の上に、第1図の構成とは逆に化合物
(I)を含有する電荷輸送層を形成し、その上に電荷発
生層を形成したものである。
また、必要に応じて導電性支持体1と感光層5の間に
下引き層を設けてもよい。下引き層としては、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、カゼイン、
ニトロセルロース、ゼラチンなどが用いられる。下引き
層の膜厚は0.1〜1μmが好適である。
〔実施例〕
次に合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例(1) フェロセンカルバルデヒド(III)の合
成: フェロセン(ナカライテスク株式会社製)25g(0.134
モル)及び乾燥1,2−ジクロロエタン70mlを室温で撹拌
し、オキシ塩化リン24.1g(0.157モル)を加えた。液温
を50℃に温めてN−メチルホルムアニリド18.1g(0.134
モル)を徐々に加えた後、50〜70℃で1日反応させた。
反応液を水中へ注ぎ、重曹100gを徐々に注意深く加えて
中和した。溶液を50℃で1時間撹拌後、室温に冷却し、
ジクロロエタン層を分離し、2回水洗した。ジクロロエ
タン溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧で濃縮し
た。得られた残渣をクロマト用シリカゲル(75〜230メ
ッシュ)を充填したカラム(直径6cm,長さ60cm)で溶媒
としてベンゼン:酢酸エチル=20:1(容積比)5を用
いたカラムクロマトグラフィーにより精製すると、23g
(収率80%)のフェロセンカルバルデヒド(III)が得
られた。
合成例(2) フェロセンカルバルデヒド−N,N−ジフ
ェニルヒドラゾン〔例示化合物(1),式(I)中R1
R2=C6H5〕の合成: 合成例(1)で得たフェロセンカルバルデヒド5.0g
(0.023モル)を、1,1−ジフェニルヒドラジン塩酸塩5.
3g(0.024モル)及びピリジン(1.9ml)と共に30mlのエ
タノール中で室温にて1時間反応せしめた。TLCにて反
応の完結を確認した後、反応液を濃縮し、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(カラム;直径3cm×長
さ70cm,クロマト用シリカゲル(ナカライテスク株式会
社製)150g,溶媒;ベンジン500ml)に付し、精製した。
次いで、メタノール30ml及び酢酸エチル15mlよりなる混
合溶媒にて再結晶して、融点105〜106℃の例示化合物
(1)4.98g(収率57%)を得た。このものの核磁気共
鳴スペクトル及び質量分析測定の結果は以下のとおりで
ある。
IR(KBr)cm-1;3080,1585(C=N),1490,1290,12101 H−NMR(400MHz,溶媒CDCl3);δ 4.15(s,5H),4.30(s,2H),4.58(s,2H),7.00(s,1
H),7.10〜7.20(m,6H),7.35〜7.48(m,4H) MS;380(M+),289,212(−NPh2),185,167,129,121,90,
56 合成例(3) フェロセンカルバルデヒド−N−メチル
−N−フェニルヒドラゾン〔例示化合物(2),式
(I)中R1=C6H5,R2=CH3〕の合成: 合成例(1)で得たフェロセンカルバルデヒド3g(0.
014モル)を、1−メチル−1−フェニルヒドラジン
(東京化成工業株式会社製)1.8g(0.0147モル)及び酢
酸(2滴)と共に20mlのエタノール中で室温にて15分間
反応せしめた。その後、反応液を濃縮し、残渣を合成例
(1)と同様のシリカゲルクロマトグラフィーに付し、
精製した。次いでメタノール20ml及び酢酸エチル5mlよ
りなる混合溶媒にて再結晶して、融点118〜119℃の結晶
を2.6g(収率58%)を得た。このものの核磁気共鳴スペ
クトル及び質量分析測定結果は次のとおりである。
IR(KBr)cm-1;3100,1590(C=N),1500,11201 H−NMR(400MHz,CDCl3);δ 3.35(s,3H),4.18(s,5H),4.30(s,2H),4.62(s,2
H),6.85〜6.95(m,1H),7.28〜7.35(m,5H) MS;318(M+),212(−N(Me)Ph),185,129 合成例(4) N−フェロセニルメチレン−1−アミノ
−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン〔例示合成例
(5), (1)で得たフェロセンカルバルデヒド2.1gと1−ア
ミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン1.5gを合成例
(3)と同様に処理して、融点155〜156℃の結晶を1.6g
(収率46.5%)得た。このものの核磁気共鳴スペクトル
及び質量分析の結果は以下のとおりである。
IR(KBr)cm-1;3100,2920,2830,1600(C=N),1570,1
480,1385,12751 H−NMR(400MHz,CDCl3);δ 2.1〜2.2(m,2H),2.77(t,J=6Hz,2H),3.6〜3.75(br
s,2H),4.15(s,5H),4.32(s,2H),4.65(s,2H),6.74
(t,J=6.5Hz,1H),7.00(d,J=6.8Hz,1H),7.18(t,J
=6.5Hz,1H),7.35(s,1H),7.65(d,J=7.6Hz,1H) MS;344(M+),252,212, 185,129 合成例(5) N−フェロセニルメチレン−1−アミノ
インドリン〔例示化合物(6), (1)で得たフェロセンカルバルデヒド2.1gと1−ア
ミノインドリン塩酸塩1.7gを合成例(2)と同様に処理
して、融点166〜167℃の結晶を1.7g(収率51%)得た。
このものの核磁気共鳴スペクトル及び質量分析結果は次
のとおりである。
IR(KBr)cm-1;3100,3070,1600(C=N),1480,1390,1
2651 H−NMR(400MHz,C6D6);δ 2.65(t,J=8.5Hz,2H),3.12(t,J=8.5Hz,2H),4.05
(s,5H),4.15(s,2H),4.65(s,2H),6.80(t,J=6.3H
z,1H),6.95〜7.00(m,2H),7.10〜7.20(m,1H),7.50
(d,J=7.8Hz,1H) MS;330(M+), 173,129,117 合成例(6) フェロセンカルバルデヒド−N−ベンジ
ル−N−フェニルヒドラゾン〔例示化合物(9),式
(I)中R1=C6H5,R2=CH2C6H5〕の合成: フェロセンカルバルデヒド3.0gと1−ベンジル−1−
フェニルヒドラジン塩酸塩(東洋化成工業株式会社製)
3.3gを合成例(2)と同様に処理して、融点128〜129℃
の結晶を2.8g(収率51%)得た。このものの核磁気共鳴
スペクトル及び質量分析の結晶は以下のとおりである。
IR(KBr)cm-1;3100,3050,3000,1590(C=N),1500,1
450,1400,11401 H−NMR(400MHz,CDCl3);δ 4.00(s,5H),4.27(s,2H),4.55(s,2H),5.12(s,2
H),6.87〜6.94(m,1H),7.15〜7.40(m,10H) MS;394(M+),303,276,237,211(−N(Bz)Ph),185,1
56,121,91,77 合成例(7) N−フェロセニルメチレン−9H−カルバ
ゾール−9−アミン〔例示化合物(12), (1)で得たフェロセンカルバルデヒド2.1gと9−ア
ミノカルバゾール1.9gを合成例(3)と同様に処理し
て、融点115〜116℃の結晶を1.3g(収率34%)得た。こ
の化合物の核磁気共鳴スペクトル及び質量分析の結果は
以下のとおりである。
IR(KBr)cm-1;3070,3050,1610,1590(C=N),1490,1
440,1320,12901 H−NMR(400MHz,CDCl3);δ 4.30(s,5H),4.55(s,2H),4.85(s,2H),7.26(t,J=
6Hz,2H),7.50(t,J=6Hz,2H),7.75(d,J=8Hz,2H),
8.10(d,J=7Hz,2H),8.90(s,1H) MS;378(M+),287, 185,167,121 実施例1 (i)ポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム
薄膜上に、チタニウムフタロシアニンを10-6Torrで約0.
8μmの厚さに真空蒸着し、電荷発生層を形成した。10
%ポリカーボネート樹脂を含有するジクロロエタン溶液
2gに、例示化合物(1)0.2gを溶解させてなる電荷輸送
層形成液を、電荷発生層の上にドクターブレードを用い
て乾燥時膜厚20μmになるように塗布し、80℃、3時間
乾燥して感光体を作製した。
(ii)この感光体について静電複写試験装置「SP−428
型」(川口電機製作所製)を用いてスタティック方式に
より電子写真特性を測定した。すなわち、前記感光体
を、−6KVのコロナ放電を5秒間行なって帯電させ、表
面電位VO(−ボルト)を測定し、これを暗所で5秒間保
持した後、タングステンランプにより照度5ルックスの
光を照射し、表面電位を1/2及び1/6に減衰させるに必要
な露光量E1/2(ルックス・秒)及びE1/6(ルックス・
秒)、更に照度5ルックスの光を10秒間照射した後の表
面電位VR(−ボルト)を測定した。その結果を第1表に
示す。
実施例2及び3 例示化合物(2)及び(9)を用いて実施例1と同様
に感光体を作製し、感光体としての性能を調べた。その
結果を第1表に示す。
比較例1 下記の比較化合物(1)(特公昭54−59143号公報に
開示)0.2gを、10%ポリカーボネート樹脂を含有するジ
クロロエタン溶液2gに溶解させて電荷輸送層形成液をつ
くり、これを実施例1において作製した電荷発生層上に
ドクターブレードを用いて、乾燥時膜厚約20μmとなる
ように塗布、乾燥して比較感光体を作製した。この感光
体について実施例1の(ii)と同様にして電子写真特性
を測定した。結果を第1表に示す。
第1表から、本発明感光体は比較例1の感光体に比較
して高感度(E1/2が小さい)であって、残留電位
(VR)も小さいことがわかる。
比較例2 下記の比較化合物(2)(フェロセン、特開昭60−19
8548号公報に開示)0.2gを10%ポリカーボネート樹脂を
含有するジクロロエタン溶液2gに溶解させて電荷輸送層
形成液をつくり、これを実施例1において作製した電荷
発生層上にドクターブレードを用いて塗布し、80℃、3
時間乾燥させたところフェロセンの結晶が析出し、電子
写真特性の測定が不可能であった。
実施例4、5及び6並びに比較例3及び4 τ型−無金属フタロシアニン(東洋インク製造株式会
社製)0.4gを、ブチラール樹脂(積水化学工業株式会社
製「BL−1」)を2.4%含有するテトラハイドロフラン
溶液14.6gに混ぜ、ガラスビーズと共に振動ミルを用い
て平均粒径1μm以下に粉砕して電荷発生顔料の分散液
を作り、これをアルミニウムを蒸着したポリエステルフ
ィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、45℃で乾燥し
て、約0.5ミクロン厚さに電荷発生層を作った。以下は
実施例1と同様にして例示化合物(1)、(9)及び
(12)、比較化合物(1)並びに下記比較化合物(3)
(特開昭59−100444号公報に開示)を用いて感光体を作
製し、感光体としての特性を調べた。その結果を第2表
に示す。
第2表から、本発明感光体は比較例3、4の感光体に
比較して高感度(E1/2が小さい)であることが分か
る。
実施例7及び8並びに比較例5 実施例4においてτ型−無金属フタロシアニンに代え
てX型−無金属フタロシアニン(山陽色素株式会社製)
を用いた以外は、実施例4と同様に電荷発生層を作っ
た。以下は実施例1と同様にして例示化合物(1)及び
(9)並びに比較化合物(1)を用いて、感光体を作製
し、感光体としての特性を調べた。その結果を第3表に
示す。
第3表より、本発明化合物は比較例5の感光体に比較
して高感度(E1/2が小さい)であって、残留電位
(VR)も小さいことが分かる。
実施例9〜12 実施例4においてτ型−無金属フタロシアニンに代え
てチタニウムフタロシアニン(結晶)を用いた以外は、
実施例4と同様に電荷発生層を作った。以下は実施例1
と同様にして例示化合物(1)、(2)、(9)及び
(12)を用いて感光体を作製し、感光体としての特性を
調べた。その結果を第4表に示す。
実施例13〜15 電荷発生物質にτ型−無金属フタロシアニン、電荷輸
送物質に例示化合物(1)、(2)及び(9)を用いて
実施例4と同様にして感光体を作製し、波長800nm光パ
ワー1μWの単色光を照射してE1/2(μJ/cm2)を求め
た。その結果を第5表に示す。
実施例16 実施例1で得られた感光体について、更に1万ルック
ス・秒の光を3秒間照射して残留電位を除電し、このも
のを再び−6KVのコロナ放電を5秒間行なって帯電せし
め、表面電位VOを測定し、これを暗所で5秒間保持した
後、タングステンランプにより照度5ルックスの光を照
射し、半減露光量(E1/2)及び残留電位(VR)を求め
た。このサイクルを繰り返した結果の成績を第4図に示
す。
〔発明の効果〕
本発明は、新規なフェロセンカルバルデヒドヒドラゾ
ン誘導体(I)を電荷輸送物質として含有する電子写真
感光体を提供するものである。当該化合物(I)は、高
分子結着剤との相溶性が良好であり、これを電荷輸送物
質として含有する電子写真感光体は高感度にして残留電
位が少なく、繰り返し使用しても光疲労が少なく、耐久
性に優れている等、電子写真プロセスの分野で最も要求
されている特性を具備し、工業的に有利なものである。
【図面の簡単な説明】 第1〜3図は、本発明に係る電子写真感光体の一例を示
す断面説明図である。 1……導電性支持体,2……電荷発生物質, 3……電荷発生層,4……電荷輸送層, 5……感光層 第4図は、本発明の電子写真感光体の耐久性試験結果を
示す図面である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式(I) 〔式中、R1及びR2はそれぞれ同一又は異なる低級アルキ
    ル、ベンゼン、置換基を有していてもよいフェニル又は
    ナフチル基を示すか、あるいはR1とR2が結合して隣接す
    る窒素原子と共に複素環を形成してもよい〕 で表わされるフェロセンカルバルデヒドヒドラゾン誘導
    体。
  2. 【請求項2】導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸
    送物質とを含む感光層を設けた電子写真感光体におい
    て、電荷輸送物質として請求項1記載のフェロセンカル
    バルデヒドヒドラゾン誘導体を含有することを特徴とす
    る電子写真感光体。
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