JP2546302B2 - スクアリリウム化合物の製造方法 - Google Patents

スクアリリウム化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、スクアリリウム化合物の改良製造法に関す
る。
従来の技術 電子写真感光体などの光導電材料として、無機及び有
機の多くの物質が報告されている。このうち、有機系の
光導電材料としては、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、シアニン類、ピリリウム類
等が知られており、又、近年ある種のスクアリリウム化
合物が優れた光導電特性を示すことが報告されている。
スクアリリウム化合物としては、四員環の左右が同一
な対称スクアリリウム化合物及び左右が異なる非対称ス
クアリリウム化合物が知られており、これ等は下記一般
式(III)で示される。
(式中、R1、R2、R5及びR6は、互いに独立したものであ
って、各々置換されてもよいアルキル基、置換されても
よいフェニル基、又は置換されてもよいベンジル基を表
わし、R3、R4、R7及びR8はそれぞれ、水素原子、置換さ
れてもよいアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボ
キシル基、アルキル基又はフェニル基置換カルボンアミ
ド基、又はアルキル基又はフェニル基置換スルホンアミ
ド基を表わす) 一般に対称スクアリリウム化合物は、スクアリック酸
と相当するアニリン誘導体とをアルコール中で反応させ
ることによって合成される。
一方非対称スクアリリウム化合物は、下記に示す反応
によって合成される。即ち、スクアリック酸を塩化チオ
ニル等の塩素化剤により塩素化し、次にこれをアニリン
誘導体と反応させ、クロロシクロブテンジオン誘導体と
し、次いでこの誘導体を加水分解してヒドロキシシクロ
ブテン誘導体とし、これに先に示したものと異なるアニ
リン誘導体を反応させて非対称スクアリリウム化合物を
合成する。
又、スクアリリウム化合物の改良合成法としては、ス
クアリック酸と芳香族アニリン、フェノール類、フェノ
ールスクアリリウム類からなる群より選ばれた化合物を
反応させる方法(特開昭60−174750号公報)、スクアリ
ック酸の半エステルを酸触媒の存在下、アニリン誘導体
と反応させる方法(特開昭60−202849号公報)、脂肪族
アミンの存在下、スクアリック酸と芳香族アニリンとを
反応させる方法(特開昭60−208361号公報)、又、スク
アリック酸と芳香族アニリン及びフルオロアニリンを反
応させる方法(特開昭61−87647号公報)等が知られて
いる。
発明が解決しようとする問題点 ところで、これ等の改良合成法は、不純物を減らすよ
うな反応条件を設定するか、或いは逆に、種々の不純物
を合成時に混在させて反応させるものであって、得られ
たスクアリリウム化合物を電子写真感光体の光導電材料
として用いた場合における電子写真特性の改善を目的と
したものである。しかしながら、これ等の改良合成法に
については、生成するスクアリリウム化合物の電子写真
特性に影響を及ぼしている要因が不明であり、又、合成
条件のわずかな変化により、得られたスクアリリウム化
合物を電子写真感光体の光導電材料として用いた場合、
その電子写真特性が変化するという事情があり、良好な
電子写真特性を示す電子写真感光体を得るのに使用でき
るスクアリリウム化合物を常に安定して製造することが
困難であった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもの
である。
本発明の目的は、高感度で、しかも帯電性がよく、暗
減衰が小さく、残留電位が小さく、繰り返し使用に対す
る安定性に優れた電子写真感光体を製造するのに適した
スクアリリウム化合物を提供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、スクアリリウ
ム化合物の合成反応において、反応の中間段階で生成す
るヒドロキシシクロブテン誘導体が、スクアリリウム化
合物に不純物として混在し、これを用いて電子写真感光
体を製造した場合、この不純物がその電子写真感光体の
帯電性、暗減衰、繰り返し安定性等に影響を与えること
が分かった。特に、非対称スクアリリウム化合物の合成
においては、出発物質がヒドロキシブテン誘導体とな
り、この誘導体は、反応溶媒系への溶解度が低く、その
ため合成時に生成物の結晶中に混入してくることが液体
クロマトグラフィー分析により確認された。
本発明のスクアリリウム化合物の改良合成法は、下記
一般式(I)で示されるヒドロキシシクロブテンジオン
誘導体 (式中、R1及びR2は、互いに独立したものであって、各
々置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェ
ニル基、又は置換されてもよいベンジル基を表わし、R3
及びR4はそれぞれ、水素原子、置換されてもよいアルキ
ル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキ
ル基又はフェニル基置換カルボンアミド基、又はアルキ
ル基又はフェニル基置換スルホンアミド基を表わす) をジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミドに溶
解させ、得られた溶液を下記一般式(II)で示されるア
ニリン誘導体 (式中、R5及びR6は互いに独立したものであって、各々
置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよ
いフェニル基、又は置換されていてもよいベンジル基を
表わし、R7及びR8は、それぞれ水素原子、置換されてい
てもよいアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキ
シル基、アルキル又はフェニル基置換カルボンアミド
基、又はアルキル基又はフェニル基置換スルホンアミド
基を表わす) のアルコール溶液に滴下しつつ反応を行なうことを特徴
とする。
本発明において製造されるスクアリリウム化合物は、
一般式(III)で示される。
(式中、R1ないしR8は前記したと同一のものを意味す
る) 本発明によれば、高純度のスクアリリウム化合物を製
造することができ、得られたスクアリリウム化合物は、
高感度で、しかも帯電性がよく、暗減衰が小さく、残留
電位が小さく、繰り返し使用に対する安定性に優れた電
子写真感光体を製造するのに適したものである。
本発明を実施するに際して、アニリン誘導体のアルコ
ール溶液を得るために使用する溶媒としては、n−ブチ
ルアルコール、n−ヘプチルアルコール等の炭素数4〜
8の脂肪族アルコールを用いるのが好ましい。又、これ
との共沸溶媒として、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素を、上記脂肪族アルコールに加えて混合溶媒とし
て使用することもできる。
また、ヒドロキシシクロブテンジオン誘導体を、溶解
させる溶媒としては、ジメチルスルホキシド又はジメチ
ルホルムアミドを使用する。
本発明における反応は、ヒドロキシシクロブテンジオ
ン誘導体をジメチルスルホキシド又はジメチルホルムア
ミドに溶解して得られた溶液を、アニリン誘導体のアル
コール溶液中に滴下することに行うことが必要である。
反応は、反応混合物を溶剤中で加熱するのみで充分進行
するが、必要ならばディーンスタークトラップや脱水剤
の使用、或いは減圧下で加熱し、生成してくる水を除去
しながら行うのが好ましい。
反応温度は、約60℃〜約130℃が好ましく、反応時間
は、1〜50時間程度である。又、沸点が130℃以上の脂
肪族アルコールを使用する場合には、5〜200Torrの減
圧下で反応させるのが好ましい。
ヒドロキシシクロブテンジオン誘導体の滴下速度は実
用的な範囲において遅いほうが好ましく、実際には、0.
01ミリモル/分〜10ミリモル/分、より好ましくは、1
ミリモル/分以下の滴下速度で実施する。
本発明によって製造される上記一般式(III)で示さ
れるスクアリリウム化合物の具体例として、以下のもの
をあげることができる。
本発明によれば、高純度のスクアリリウム化合物を製
造することができ、得られたスクアリリウム化合物は、
電子写真感光体における光導電材料として適したもので
ある。電子写真感光体の感光層が電荷発生層と電荷輸送
層とに機能分離された積層構造の場合には、このスクア
リリウム化合物は、電荷発生剤として電荷発生層に含ま
せることができる。それにより、高感度で、しかも帯電
性がよく、暗減衰が小さく、残留電位が小さく、繰り返
し使用に対する安定性に優れた電子写真感光体が形成さ
れる。
実施例 以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1 3−ジメチルアミノフェノール1.26gをn−ブチルア
ルコール180ml中に加え、加熱撹拌し、次にこれにあら
かじめ3−ヒドロキシ−4−(4′−ジメチルアミノフ
ェニル)−3−シクロブテン−1、2−ジオン2.00gを4
0mlのジメチルスルホキシドに溶解させた溶液を、約1.5
時間で加温しながら滴下した。その後、混合物を18時間
加熱還流した。反応終了後、析出物を濾別し、メタノー
ル及びジメチルエーテルで洗浄して、前記例示化合物II
I−3 2.93gを得た。融点:317℃ (分解) 元素分析:C20H20N2O3として C(%) H(%) N(%) 計算値 71.41 5.99 8.33 実測値 71.47 5.81 8.29 液体クロマトグラフィーによる3−ヒドロキシ−4−
(4′−ジメチルアミノフェニル)−3−シクロブテン
−1、2−ジオン含有量:41ppm。
実施例2 3−ジメチルアミノフェノール4.38gをn−ブチルア
ルコール210ml中に加え、加熱撹拌し、次にこれにあら
かじめ3−ヒドロキシ−4−(4′−ジメチルアミノ−
2′−フルオロフェニル)−3−シクロブテン−1、2
−ジオン2.50gを20mlのジメチルスルホキシドに溶解さ
せた溶液を、約1.5時間で加温しながら滴下した。その
後、混合物を14時間加熱還流した。反応終了後、析出物
を濾別し、メタノール及びジメチルエーテルで洗浄し
て、前記例示化合物III−13 2.73gを得た。
融点:314℃(分解) 元素分析:C20H19N2C3Fとして C(%) H(%) N(%) 計算値 67.79 5.40 7.93 実測値 67.79 5.40 7.87 液体クロマトグラフィーによる3−ヒドロキシ−4−
(4′−ジメチルアミノ−2′−フルオロフェニル)−
3−シクロブテン−1、2−ジオン含有量:434ppm。
比較例1 3−ジメチルアミノフェノール1.26gと3−ヒドロキ
シ−4−(4′−ジメチルアミノフェニル)−3−シク
ロブテン−1、2−ジオン2.00gとをn−ブチルアルコ
ール180ml中に加え、加熱還流しながら20時間反応させ
た。反応終了後、析出物を濾別し、メタノール及びジメ
チルエーテルで洗浄して、前記例示化合物III−3 3.01g
を得た。
融点:316℃(分解) 元素分析:C20H20N2O3として C(%) H(%) N(%) 計算値 71.41 5.99 8.33 実測値 71.37 5.80 8.28 液体クロマトグラフィーによる3−ヒドロキシ−4−
(4′−ジメチルアミノフェニル)−3−シクロブテン
−1、2−ジオン含有量:13200ppm。
比較例2 3−ジメチルアミノフェノール4.38gと3−ヒドロキ
シ−4−(4′−ジメチルアミノ−2′−フルオロフェ
ニル)−3−シクロブテン−1、2−ジオン2.50gとを
n−ブチルアルコール210ml中に加え、加熱還流しなが
ら20時間反応させた。反応終了後、析出物を濾別し、メ
タノール及びジメチルエーテルで洗浄して、前記例示化
合物III−13 3.06gを得た。
融点:298℃(分解) 元素分析:C20H19N2O3Fとして C(%) H(%) N(%) 計算値 67.79 5.40 7.93 実測値 67.72 5.54 7.73 液体クロマトグラフィーによる3−ヒドロキシ−4−
(4′−ジメチルアミノ−2′−フルオロフェニル)−
3−シクロブテン−1、2−ジオン含有量:11300ppm。
応用例1 実施例1によって合成された例示化合物III−3 1重量
部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学製:BXL(登録
商標))1重量部、シクロヘキサノン40重量部を抑え、
ボールミルで、4時間粉砕、混合した。得られた分散液
をバーコータを用いてアルミニウムを蒸着したポリエス
テルフィルム(東レ製:メタルミー(登録商標))上に
塗布し、乾燥して、厚さ0.2μmの電荷発生層を形成し
た。
この電荷発生層上に、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビ
ス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]4,
4′−ジアミン1重量部、ポリカーボネート樹脂(帝人
製:パンライト(登録商標))1重量部及びテトラヒド
ロフラン10重量部からなる均一溶液を、バーコータを用
いて塗布し、乾燥して、厚さ15μmの電荷輸送層を形成
し、電子写真感光体を作成した。
次に、得られた電子写真感光体について、静電複写紙
試験装置(川口電機製:エレクロロスタティク・ペーパ
ーアナライザー、SP−428)を用いて、−6KVのコロナ放
電を施して負帯電させた後、2秒間暗所に放置し、続い
て、タングステンランプを用い、表面の照度が5ルック
スになるように感光層に光照射を施した。
帯電直後の電位をV0、2秒間暗所放置後の電位をVDD
P、表面電位がVDDPの1/2になる露光量をE 1/2、5ルッ
クスの光を10秒間照射した後の表面電位をVRPとし、同
様の測定を20回繰り返して行った。
その結果を第1表に示す。
参考例1 比較例1において合成した例示化合物III−3を用
い、応用例1と同様にして電子写真感光体を作成し、同
様にして評価した。その結果を第2表に示す。
応用例2 実施例2において合成した例示化合物III−13を用
い、応用例1と同様にして電子写真感光体を作成し、同
様にして評価した。その結果を第3表に示す。
参考例2 比較例2において合成した例示化合物III−13を用
い、応用例1と同様にして電子写真感光体を作成し、同
様にして評価した。その結果を第4表に示す。
発明の効果 本発明は、上記の構成を有するから、製造されたスク
アリリウム化合物は、電子写真感光体における光導電材
料として用いるのに優れたものとなる。即ち、このスク
アリリウム化合物を用いて形成された電子写真感光体
は、高感度で、しかも帯電性がよく、暗減衰が小さく、
残留電位が小さく、繰り返し使用に対する安定性に優れ
たものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 彰 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社竹松事業所内 (72)発明者 須藤 秀美 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社竹松事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−249949(JP,A) Chemische Bericht e,1969,102,1431−1438

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるヒドロキシシ
    クロブテンジオン誘導体 (式中、R1及びR2は、互いに独立したものであって、各
    々置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェ
    ニル基、又は置換されてもよいベンジル基を表わし、R3
    及びR4はそれぞれ、水素原子、置換されてもよいアルキ
    ル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキ
    ル基又はフェニル基置換カルボンアミド基、又はアルキ
    ル基又はフェニル基置換スルホンアミド基を表わす) をジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミドに溶
    解させ、得られた溶液を下記一般式(II)で示されるア
    ニリン誘導体 (式中、R5及びR6は互いに独立したものであって、各々
    置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよ
    いフェニル基、又は置換されていてもよいベンジル基を
    表わし、R7及びR8は、それぞれ水素原子、置換されてい
    てもよいアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキ
    シル基、アルキル基又はフェニル基置換カルボンアミド
    基、又はアルキル基又はフェニル基置換スルホンアミド
    基を表わす) のアルコール溶液に滴下しつつ反応を行なうことを特徴
    とする下記一般式(III)で示されるスクアリリウム化
    合物の製造方法。 (式中、R1ないしR8は前記したと同一のものを意味す
    る)
  2. 【請求項2】アルコール溶液における溶媒として、炭素
    数4〜10の脂肪族アルコールを用いる特許請求の範囲第
    1項に記載のスクアリリウム化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】シクロブテンジオン誘導体に対して等モル
    量以上のアニリン誘導体を用いる特許請求の範囲第1項
    に記載のスクアリリウム化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】反応を約60℃ないし約130℃の温度で行な
    う特許請求の範囲第1項に記載のスクアリリウム化合物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】脂肪族アルコールがn−ブチルアルコール
    又はn−ヘプチルアルコールである特許請求の範囲第2
    項に記載のスクアリリウム化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】脂肪族アルコールとの共沸溶媒として芳香
    族炭化水素を用いる特許請求の範囲第1項に記載のスク
    アリリウム化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】沸点が130℃以上の脂肪族アルコールを使
    用し、5〜200Torrの減圧下で反応させる特許請求の範
    囲第1項に記載のスクアリリウム化合物の製造方法。
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