JP2646966B2 - Iii−v族化合物半導体の薄膜成長方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体の薄膜成長方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、III−V族化合物半導
体の薄膜成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】GaAs、InP等のIII−V族化合物
半導体は、電子移動度がSiより数倍早いこと、バンド
構造が直接遷移型であること、半絶縁性基板が容易に得
られることなどの物理的性質により、次世代のデバイス
材料として早くから脚光を浴びており、実際、高周波デ
バイス、低雑音デバイス、光デバイス等に応用されてい
る。また近年では、そのIC化に向けて、活発に研究開
発が行われている。こうしたデバイス開発の進展ととも
にますます高度な素子製作プロセスが必要となってきて
いる。この中で分子線エピタキシャル成長法(MBE)
や有機金属気相成長法(MOVPE)は、組成、膜厚の
制御性、均一性に優れ、しかも高品質のIII−V族化合
物半導体が得られるため、薄膜成長方法の主流となって
いる。
【0003】III−V族化合物半導体の薄膜成長方法に
おいて、ドーピング技術は、デバイス作製上重要であ
る。従来、MBE法では、ドーパントソースとして、n
型不純物ではシリコン(Si)、p型不純物ではベリリ
ウム(Be)が用いられてきた。またMOVPEにおい
ては、n型はMBEと同様にSiだが、p型不純物には
亜鉛(Zn)が一般に用いられている。p型ドーパント
として、Znは拡散係数が大きく、急峻な界面の必要な
デバイスには使用できない。またBeは、拡散係数が比
較的小さく、活性化率が高いので、p型ドーパントとし
て最適であると考えられてきたが、最近、ヘテロ接合バ
イポーラトランジスタ(HBT)において、高電流密度
動作時にベース層のBeが異常拡散し、HBTの特性変
動が起きることがわかり、問題となっている。そこで、
Beよりさらに拡散係数が小さく、通電時の特性変動が
起きないカーボン(C)が、にわかにp型ドーパントと
して注目されるようになった。
【0004】Cドーピングの方法は、Cの適当なドーパ
ントソースがないので、MOVPEやIII族原料に有機
金属を用いるMBE法即ち有機金属分子線エピタキシー
法(MOMBE)においては、成長条件を変化させるこ
とにより、V族もしくはIII族原料に用いている有機原
料からのCのオートドーピングを利用する方法が一般的
である。GaAsを例にとって、さらに具体的に説明す
ると、MOVPEの場合、V族原料にトリメチル砒素を
用い、基板温度を低温にするなど成長条件を変化させて
キャリア濃度を変えている(特開昭63−143810
号公報)。トリメチル砒素とアルシンを混入させてキャ
リア濃度を調整する方法がとられる場合もある(特開平
4−146680号公報)。また最近では、四塩化炭素
(CCl4)をドーパントソースに用いる報告もある
(B.T.Cunningham et al., Applied Physics Letter 5
4, pp1905−1907, 1989)。MOMBEにおいては、III
族原料にトリメチルガリウム(TMG)を用いると、1
×1021cm-3という高いキャリア濃度を得られること
が知られている(M.Konagai et al., Journal of Cryst
al Growth 98, pp167-173, 1989)。1020cm-3以下
の低いキャリア濃度が必要な時は、TMGにトリエチル
ガリウム(TEG)を混入する方法がとられる(M.Weye
rs et al., Journal of Electronic Materials 15, pp5
7-59, 1986)。一方、通常のMBE法においては、ドー
パントソースにグラファイトを用いて、Cドーピングが
試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来例のカ
ーボンドーピングの方法には、それぞれ次のような問題
点がある。即ち、MOCVD法やMOMBE法における
TMGやトリメチル砒素(TMAs)を用いる方法は、
それ自体が成長原料なので、ドーピング濃度を変化させ
る場合に、膜厚等も変わってしまい、ドーピング制御が
極めて困難である。基板温度やV/III比などの成長条
件を変化させることで、ドーピング濃度を変えることが
できるが、正確な制御はできない。TEGやアルシンを
混入する方法においても、同様な問題がある。ドーパン
トとしてCCl4を用いる場合は、制御性に問題はない
が、これはフロン規制物質であり、今後、使用できな
い。MBE法におけるカーボングラファイトを用いる方
法では、活性化率が低く、5×1019cm-3程度までし
か、ドーピングできない。本発明の目的はこのような従
来の問題点を解決することにあり、III−V族化合物半
導体にカーボンをドーピングする場合に、キャリア濃度
を高制御かつ高濃度にドーピングする方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、カーボンをド
ーピングしたIII−V族化合物半導体の薄膜成長方法に
おいて、カーボンソースとしてトリメチルアミンを用
い、これを高周波、マイクロ波または熱分解により解離
させ、成長原料とともに供給することを特徴とするIII
−V族化合物半導体の薄膜成長方法である。
【0007】
【作用】GaAsにおいてカーボンソースとして、有効
に働くのは、メチル基である。これは、メタンやエタン
の分解からは容易に生ずることはなく、メチル基を有す
る化合物から供給される。トリメチルアミン[N(CH
33]は、そうしたメチル基を持った化合物の一つであ
り、しかも安定に存在する。またTMGやTMAsと異
なり、トリメチルアミンは分解しても成長に寄与するこ
とはないので、膜厚等に影響しない。従って、GaAs
にカーボンをドーピングする場合に、カーボンソースと
して、トリメチルアミンを用い、さらにこれを高周波、
マイクロ波または熱分解により一部を解離させ、供給す
ることにより、高濃度にドーピングでき、またトリメチ
ルアミンの流量により、制御性良く所望のキャリア濃度
の薄膜を得ることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
2は、本発明の実施例に用いられる薄膜成長装置の一例
の構成図である。本実施例においては、MOCVD法を
用いた。基板ホルダ11にGaAs基板1をセットし、
原料ガス導入口12よりTMGとAsH3を導入し、G
aAsを成長した。基板温度は600℃である。この
時、ドーパントガス導入口13からトリメチルアミンを
導入し、ガスクラッキング装置14によりあらかじめ分
解して、基板1に供給する。クラッキング温度は100
0℃とした。図1に、キャリア濃度のトリメチルアミン
流量依存性を示す。トリメチルアミンの流量を増加させ
ると、それに比例してキャリア濃度も増加し、制御性よ
くカーボンをドーピングできることがわかる。なお本実
施例においては、熱分解によりトリメチルアミンを分解
したが、高周波あるいはマイクロ波励起により分解する
方法でも同様の結果が得られた。
【0009】
【発明の効果】以上、説明したように、GaAsにカー
ボンをドーピングする場合に、カーボンソースとしてト
リメチルアミンを用い、さらにこれを高周波、マイクロ
波または熱分解により一部解離させ、供給することによ
り、制御性良く所望のキャリア濃度の薄膜を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって得られた薄膜のキャリア
濃度とトリメチルアミン流量との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施例に用いられる薄膜形成装置の構
成図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板 11 基板ホルダ 12 原料ガス導入口 13 ドーパントガス導入口 14 ガスクラッキング装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンをドーピングしたIII−V族
    化合物半導体の薄膜成長方法において、カーボンソース
    としてトリメチルアミンを用い、これを高周波、マイク
    ロ波または熱分解により解離させ、成長原料とともに供
    給することを特徴とするIII−V族化合物半導体の薄
    膜成長方法。
  2. 【請求項2】 薄膜成長をMOCVD法(有機金属化学
    気相成長法)により行う請求項1記載のIII−V族化
    合物半導体の薄膜成長方法。
  3. 【請求項3】 III−V族化合物半導体がGaAsで
    ある請求項1または2記載のIII−V族化合物半導体
    の薄膜成長方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2739778B2 (ja) * 1991-01-08 1998-04-15 日本電気株式会社 3−5族化合物半導体の選択成長方法
JPH04368120A (ja) * 1991-06-14 1992-12-21 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 原子層結晶成長法

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