JP3141628B2 - 化合物半導体素子及びその製造方法 - Google Patents
化合物半導体素子及びその製造方法Info
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Description
晶層(但しy≦1)〔即ち、ドナー不純物を高濃度にド
ープしたInGaAs結晶層又はInAs結晶層〕を素子構
成層の一部として有する化合物半導体素子及びその製造
方法に関するものである。
タ(図1)、高電子移動度トランジスタ(図2)、ヘテ
ロ接合電界効果型トランジスタ(図3)、ドープチャネ
ル型電界効果型トランジスタ(図4)など、結晶基板上
に所望組成の複数の化合物半導体結晶層をエピタキシャ
ル成長させることによって構成する化合物半導体素子で
は、図1〜図4に示す如く、動作領域(コレクタ、ベー
ス、エミッタなど)を構成する素子本体2上に更にN+
型InyGa1-yAs結晶層3を気相成長させ、当該結晶層
をノンアロイ抵抗接触領域として使用するほか、図4に
示す如く、素子本体2の一部を同様の結晶層をもって構
成し、当該結晶層をチャネル領域として使用することが
行われている。N+型InyGa1-yAs結晶層3,4の形成
は、有機金属気相成長方法(MOCVD)によって行な
い、その場合のドーパント原料としては、ジシラン(S
i2H6)又はモノシラン(SiH4)を使用するのが普通
である。
ンアロイ抵抗接触領域やチャネル領域として使用する場
合は、インジウム組成比yを少なくとも0.5以上とす
るのが普通であるが、このような組成のInGaAs結晶
層を気相成長させるのに適した温度は400〜500℃
であって、GaAs結晶層やAlGaAs結晶層を気相成長
させる場合の600〜800℃に比較してかなり低い。
一方、ドーパント原料であるジシランやモノシランのド
ーピング効率は、図5に示す如く、GaAs結晶層やAl
GaAs層の気相成長に適した600〜800℃の温度範
囲では良好であるが、それ以下の温度、即ち、InGaA
s結晶層の気相成長に適した温度では著しく低下する。
ジシランやモノシランを熱分解して得られるシリコン
は、IV族元素であるため、低温度領域での活性化率が
特に悪く、ドナー不純物としてもアクセプタ不純物とし
ても機能するからである。
ント原料として使用し、ノンアロイ抵抗接触層やチャネ
ル層の形成に必要な5×1019cm-3程度の高濃度ドー
ピングをInGaAs結晶の気相成長に適した400〜5
00℃の温度で行なうためには、GaAs結晶やAlGaA
s結晶を気相成長させる場合の10〜100倍の濃度で
原料ガスを成長炉に流し込む必要がある。しかし、この
ような高い濃度で原料ガスを供給した場合は、ドーパン
ト原料そのものや同原料の熱分解で生じたシリコンによ
って成長炉が汚染され、高純度の結晶成長を行なうこと
が困難である。
結晶層又はInAs結晶層の気相成長に適した温度におい
て高いドーピング効率を有するドーパント材料を使用す
ることにより、化合物半導体素子の性能を改善し、か
つ、同素子製造の際の成長炉汚染を防止することを目的
とする。
ーパント(ドナー不純物)としてセレンを使用すること
によって解決することが出来る。VI族元素であるセレ
ンは、InGaAs結晶層又はInAs結晶層の気相成長に
適した比較的低い温度でも常に安定なドナー不純物とし
て機能し、その活性化率が低下することがないからであ
る。
原料としては、例えばセレン化水素を使用することが出
来る。セレン化水素は、300℃程度の温度で完全に熱
分解し、しかも、300〜600℃の温度範囲では、温
度が低ければ低い程、InGaAs結晶又はInAs結晶中
に取り込まれるセレンの量が多くなる。セレンとアンチ
モンは、相互に競合吸着の関係にあるため、アンチモン
の原料であるアルシン〔AsH3〕の分解効率が低温で低
下する分、結晶中へのセレンの吸着率が高まるからであ
る。
て各種の材料を吟味した結果、有機セレン化合物である
ジエチルセレナイド〔(C2H5)2Se〕、ジイソプロピ
ルセレナイド〔(C3H9)2Se〕、ジアリルセレナイド
〔(C3H5)2Se〕、エチルセレニウムハイドライド
〔C2H5SeH〕、ターシャルブチルセレニウムハイド
ライド〔(t-C4H9)SeH〕なども、セレン化水素と
同様、ドーパント原料として使用することが充分に可能
であることを確認した。これらの有機セレン化合物は、
その1種又は2種以上を適宜選択し、当該有機セレン化
合物単独で又は必要に応じてセレン化水素と共に使用す
ることにより、セレン化水素の場合と同等又はそれ以上
のドーピング効率を実現することが出来る。
説明する。
する有機金属気相成長炉(MOCVD)のグラファイト
製サセプタ上に[100]GaAs結晶基板を載置し、当
該基板上に従来方法と同様の方法で所望組成の複数の化
合物半導体結晶層をエピタキシャル成長させることによ
り、図1に示した素子本体2と同じような多層構造の素
子本体を形成した。各結晶層を形成するための原料とし
ては、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、
アルシン及びジシランを適宜選択して使用し、かつ、結
晶成長温度は、400〜700℃の範囲で適宜調整し
た。
に保持し、高純度水素をキャリアガスとしてトリメチル
ガリウム、トリメチルインジウム、アルシン及びセレン
化水素を成長炉に供給し、素子本体の上にセレンドープ
N+型In0.5Ga0.5As結晶層を0.1μmの厚さで気相
成長させた。成長炉の内部におけるトリメチルガリウ
ム、トリメチルインジウム、アルシン及びセレン化水素
の気相濃度は、それぞれ1.5×10-4、3×10-5、
5×10-3及び2×10-8とした(単位はモル分率)。
層の表面を微分干渉式光学顕微鏡を用いて観察し、別
途、同じ組成のGaAs基板上に600〜800℃の温度
で気相成長させることによって得たGaAs結晶層の表面
と比較した結果、どちらも同程度の良好な鏡面を有する
ことを確認した。また、セレンドープ結晶層のドーピン
グ活性化率を2次イオン質量分析器(SIMS)による
セレン元素濃度測定及びホール効果による自由電子濃度
測定によって計測した結果、90%の良好な活性化率を
有することを確認した。この場合の自由電子濃度は、3
×1018cm-3であり、電子移動度は、650cm2/V・sで
あった。
相濃度及び結晶成長温度を実施例1と同じ値に設定し、
成長炉内へ供給するセレン化水素の流量をマスフローコ
ントローラを用いて制御することによってセレン化水素
の気相濃度を変えた。同様の実験をジシランをドーパン
ト原料として行い、得られたシリコンドープ結晶層のド
ーピング特性を前記方法によって得たセレンドープ結晶
層のドーピング特性と比較した(結晶層のインジウム組
成比yはいずれも0.5)。なお、セレン化水素は、高純
度水素によって濃度10ppm に希釈したものを供給源と
し、ジシランは、同じく高純度水素によって1000pp
m に希釈したものを供給源とした。
同図から明らかなように、450℃の温度でセレンをド
ーピングした場合は、500℃及び600℃の温度でシ
リコンをドーピングした場合に比較して2桁近くドーピ
ング効率が良好である。
に実施例2と同様の条件でInAs結晶を気相成長させて
セレンドープN+型InAs結晶層を形成し、そのドーピ
ング特性を調べた。その結果、図7に示すように、In
Asの場合でもInGaAsの場合と同程度の高いドーピン
グ効率を得ることが出来ることを確認した。
のエピタキシャル結晶層からなる素子本体を気相成長さ
せた後、基板温度を400〜500℃の範囲に保持し、
トリメチルガリウム及びトリメチルインジウムの流量を
連続的に変えることにより、図8に示す傾斜組成のセレ
ンドープN+型InyGa1-yAs結晶層3(但しy=0→
0.5)を成長させた(アルシン及びセレン化水素の流
量は一定)。得られた結晶層3の表面は、実施例1〜実
施例3によるセレンドープInGaAs結晶層又はInAs
結晶層の表面と比較し、鏡面性状が更に良好であった。
ドーピング効率は、同程度であった。
ある。 ドーパントとしてセレンを使用しているた
め、シリコンをドーパントする場合のように、ドーパン
トがアクセプタ不純物として機能することがない。この
ため、InGaAs結晶層又はInAs結晶層の気相成
長に適した比較的低い温度でのドーパントの活性化率が
高く、1×1019cm-3以上の電子濃度を有する結晶層を
容易に得ることが出来る。 InGaAs結晶層又は
InAs結晶層の気相成長に適した400〜500℃の
低い温度を採用することが出来るため、得られた結晶層
の鏡面性状が極めて良好である。 ドーパント原料と
して、活性化率の高いセレン化水素又は有機セレン化合
物を使用しているため、ジシランやモノシランをドーパ
ント原料として使用する場合に比較して、原料ガスの濃
度を格段に低くすることが可能となり、ドーパント不純
物による成長炉の汚染を著しく減少させることが出来
る。
接触層を備えたヘテロ接合バイポーラトランジスタの概
略構造を示す断面図。
る抵抗接触層を備えた高電子移動度トランジスタの概略
構造を示す断面図。
る抵抗接触層を備えたヘテロ接合電界効果型トランジス
タの概略構造を示す断面図。
接触層を備え、かつ、素子本体内に同様の結晶層からな
るチャネル層を備えたドープチャネル型電界効果型トラ
ンジスタの概略構造を示す断面図。
てN+InGaAs結晶層を形成する場合のドーパント効率
の温度依存性を説明するため特性曲線図。
aAs結晶層を形成する場合のドーパント効率を説明する
ため特性曲線図。
aAs結晶層を形成する場合のドーパント効率を説明する
ため特性曲線図。
らなる抵抗接触層を備えたヘテロ接合バイポーラトラン
ジスタの概略構造を示す断面図。
Claims (3)
- 【請求項1】素子構成層の一部としてN+ 型Iny Ga
1-y AS結晶層(但しy≦1)を有する化合物半導体素
子を製造するための方法であって、当該結晶層を形成す
る際のドーパント原料としてセレン化水素を用い、当該
セレン化水素をInGaAs結晶層又はInAs結晶層
の気相成長に適した400〜500℃の温度でドーピン
グすることを特徴とする化合物半導体素子の製造方法。 - 【請求項2】素子構成層の一部としてN+ 型Iny Ga
1-y AS結晶層(但しy≦1)を有する化合物半導体素
子を製造するための方法であって、当該結晶層を形成す
る際のドーパント原料として有機セレン化合物を用い、
当該有機セレン化合物をInGaAs結晶層又はInA
s結晶層の気相成長に適した400〜500℃の温度で
ドーピングすることを特徴とする化合物半導体素子の製
造方法。 - 【請求項3】前記ドーパント原料がジエチルセレナイ
ド、ジイソプロピルセレナイド、ジアリルセレナイド、
エチルセレニウムハイドライド及びターシャルブチルセ
レニウムハイドライドからなる群から選んだ少なくとも
1種の有機セレン化合物であることを特徴とする請求項
2に記載の化合物半導体素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05146650A JP3141628B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 化合物半導体素子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05146650A JP3141628B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 化合物半導体素子及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0722327A JPH0722327A (ja) | 1995-01-24 |
JP3141628B2 true JP3141628B2 (ja) | 2001-03-05 |
Family
ID=15412533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05146650A Expired - Lifetime JP3141628B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 化合物半導体素子及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3141628B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9691928B2 (en) * | 2013-10-02 | 2017-06-27 | SolAreo Technologies Corp. | Inverted metamorphic multijunction solar cells with doped alpha layer |
JP2017011264A (ja) | 2015-06-22 | 2017-01-12 | 住友化学株式会社 | 半導体基板、半導体基板の製造方法およびヘテロ接合バイポーラトランジスタ |
-
1993
- 1993-06-18 JP JP05146650A patent/JP3141628B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0722327A (ja) | 1995-01-24 |
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