JPH076957A - 半導体エピタキシャル基板 - Google Patents

半導体エピタキシャル基板

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JPH076957A
JPH076957A JP33024593A JP33024593A JPH076957A JP H076957 A JPH076957 A JP H076957A JP 33024593 A JP33024593 A JP 33024593A JP 33024593 A JP33024593 A JP 33024593A JP H076957 A JPH076957 A JP H076957A
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layer
substrate
crystal
epitaxial
epitaxial substrate
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JP33024593A
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Inventor
Masahiko Hata
雅彦 秦
Noboru Fukuhara
昇 福原
Hiroaki Takada
裕章 高田
Katsumi Inui
勝美 乾
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エピタキシャル成長面の凹凸が小さく、良好な
特性を有し、生産性に優れた半導体エピタキシャル基板
を提供する。 【構成】基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面
の結晶学的面方位から傾いており、その傾きの大きさが
1゜以下である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシ
ャル成長により結晶が形成されており、エピタキシャル
結晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結晶(た
だし0<x<1)であり、かつエピタキシャル成長が熱
分解気相成長方法によって行われることを特徴とする半
導体エピタキシャル基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単結晶砒化ガリウム
(以下、GaAsということがある)基板上にエピタキ
シャル気相成長方法により形成される化合物半導体のエ
ピタキシャル基板に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体を用いた各種電子素子は近年、飛
躍的な発達を遂げ、今後も着実な進展が予想される産業
分野である。その基盤材料である半導体は、現在、シリ
コンが主に用いられているが、近年では発光特性あるい
は高速性に優れるGaAsを中心とする化合物半導体も
着実な進展をみせつつある。
【0003】通常、単結晶基板に、イオン注入法、拡散
法、さらにはエピタキシャル成長法などの各種手法によ
り必要な特性を有する結晶層を付与することにより所望
の性能を有する各種半導体素子を得ることができる。中
でもエピタキシャル成長法は不純物量の制御のみなら
ず、結晶の組成や膜厚などをきわめて広い範囲で、かつ
精密に制御可能であるため、広く用いられるようになっ
ている。
【0004】この時用いるエピタキシャル成長方法とし
ては液相法、気相法および真空蒸着法の一種である分子
線エピタキシャル成長法(以下MBE法ということがあ
る)などが知られている。中でも気相法は大量の基板を
制御性よく処理可能なため工業的に広く用いられている
方法である。特に、エピタキシャル層を構成する原子種
の有機金属化合物または水素化物を原料として用い、基
板上で熱分解させ結晶成長を行う有機金属熱分解法(M
etalorganic ChemicalVapor
Deposition法、以下MOCVD法というこ
とがある)は、適用可能な物質の範囲が広く、また結晶
の組成、膜厚の精密な制御に適しているために近年広く
用いられるようになっている。
【0005】例えば、最近、マイクロ波通信において低
雑音の増幅器の構成部品として重要な高電子移動度トラ
ンジスタ−(HEMT(High Electron
Mobility Transistor)またはMO
DFET(Modulation Doped Tra
nsistor)またはHJFET(Hetero−J
unction Field Effect Tran
sistor)などとも呼ばれる。以下、HEMTとい
うことがある。)は、電界効果トランジスタ−の一種で
ある。それに用いられる結晶は上記のような気相成長法
により、必要な電子的特性を有するGaAs、AlGa
As結晶を必要な構造でGaAs基板上に積層成長させ
ることにより作製することができる。
【0006】また、発光素子として代表的な半導体レ−
ザ−用の結晶についても、概略上記のような手順によ
り、所要の電気特性と組成、膜厚を付与されたGaA
s、AlGaAs層を積層成長させることにより必要な
エピタキシャル基板を得ることができる。
【0007】また、これらの素子作製に用いる材料とし
てはGaAs、AlGaAs系がその任意の組成で格子
定数を一致させることができ、良好な結晶性を保ちつつ
各種ヘテロ接合が可能なため広く用いられているが、格
子定数をGaAsに一致させるような適当な組成範囲を
選ぶことにより、AlX (Iny Ga(1-y) (1-X)
(ただし0<x<1、0<y<1)、Inx Ga
(1-X) Asy (1-y) (ただし0<x<1、0<y<
1)等の結晶層も積層可能である。
【0008】さて、上記の電界効果トランジスタ−や半
導体レ−ザ−など各種電子素子に用いる基板は、その面
方位が{100}面またはそれに等価な面であるものが
一般に広く使用されている。しかし、上記に例を示した
ようなMOCVD法による気相成長法においては、正確
な{100}面ではなく、その面に対する法線が<10
0>方向からわずかに傾いた面を有する、いわゆるオフ
基板が一般的に用いられている。
【0009】その理由はいくつかあるが、例えば、内田
ら(特開平4−65037号公報)は{100}面に対
し、該{100}面に含まれる1つの<100>方向に
1゜〜6゜傾けることにより、結晶層の表面欠陥密度お
よび均一性を改善できるとしている。また前田ら(特開
平3−283427号公報)はHEMT用結晶の作製に
おいて、やはり{100}面からいずれかの方向に3゜
〜9゜傾けることにより電子移動度を改善できるとして
いる。
【0010】このようにその効果は表面状態の改善から
均一性、結晶性の向上まで多岐にわたっている。そのメ
カニズムについては、そのような微少な傾きを導入する
ことにより結晶表面には{100}面をテラスとする周
期的なステップ構造が形成され、結晶成長に際しては各
ステップが秩序正しく前進する、いわゆるステップフロ
−モ−ドで成長が進行するため,結晶性に好ましい効果
を及ぼしているものと考えられている。
【0011】いずれにしても気相成長法におけるオフ基
板の使用は、上記のようにメリットが多く、従来の基本
的な技術の一つと考えられており、このような1〜9゜
程度の範囲で<100>方位から傾けた面方位を有する
エピタキシャル基板は工業的に広く用いられてきた。
【0012】上記のように、エピタキシャル成長層は一
般に使用する基板に対し、格子定数が基板のそれに一致
するように、いわゆる格子整合条件下で行われてきた。
このためGaAs基板を用いる場合は、AlGaAsの
他、特定の組成を有したAl X (Iny Ga(1-y)
(1-X) P (ただし0<x<1、0<y<1)、Inx
Ga(1-X) Asy (1-y) (ただし0<x<1、0<
y<1)などが主たる構成材料として用いられてきた。
【0013】さて、Inx Ga(1-X) As(ただし0<
x<1)は電子輸送特性に優れ、また組成に応じ、エネ
ルギ−ギャップを大幅に変えることが可能であるためヘ
テロ接合材料として非常に優れた素質を有しているが、
GaAsに対しては格子整合が不可能なため、従来はI
x Ga(1-X) Asを用いて、十分な物性を有する半導
体エピタキシャル基板を得ることはできなかった。これ
まではx=0.49付近でInx Ga(1-X) Asに格子
整合可能なInP基板の使用も検討されてきた。
【0014】しかし近年、技術の進展により、格子不整
合の系であっても弾性変形の限界内であれば転位の発生
など不都合な結晶性の低下を招くことなく、信頼性ある
ヘテロ接合が可能であることが明らかになってきた。こ
のような限界値は組成、膜厚の関数として与えられ、例
えばGaAsに対するInGaAsのそれは、Math
ewsら(J.Crystal Growth,27
(1974)p.118及び32(1974)p.26
5)の式が理論的に知られており、実験的にも概ね正し
いことが近年わかってきた。
【0015】このような特定の組成、膜厚の範囲内の歪
層の利用により、GaAs基板を用いるエピタキシャル
基板においてもInGaAs層をその一部に有する基板
の製造が可能になっている。例えば、通常の結晶成長条
件下ではx=0.15、膜厚15nm程度のInx Ga
(1-X) As層が結晶性の低下をきたすことなく作製可能
であるが、このようなInx Ga(1-X) As層をGaA
sバッファ−層とn型AlGaAs電子供給層との間に
挿入した構造のエピタキシャル基板を利用することによ
り、従来に比べ、雑音特性の優れたHEMTが作製され
ている。また、やはりそのようなInx Ga(1-X) As
の薄層を活性層として利用することにより従来GaAs
基板上では不可能であった900〜1000nm帯の発
光波長を有する半導体レ−ザ−が可能になっている。
【0016】以上述べてきたGaAsを基板とし、In
GaAsの歪層を一部に用いるエピタキシャル基板のエ
ピタキシャル成長には数10nmオ−ダ−での精密な結
晶成長制御が要求される。したがって、研究方法として
はもっぱら制御性に優れる分子線エピタキシャル法(以
下MBE法ということがある)かMOCVD法が用いら
れてきた。特に、MOCVD法は、従来の通常のGaA
s格子整合系でも用いられてきたように、InGaAs
を含む系に対しても生産性に優れた成長法として今後の
立ち上がりが期待されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上述べてきた
ようにGaAsを基板とし、InGaAsの歪層をその
一部に含むエピタキシャル基板は、MBE法またはMO
CVD法により作製されてきたが、それを用いた素子の
工業的な生産については問題があった。
【0018】すなわちMBE法は非常に薄膜制御性に優
れるエピタキシャル成長法であるが、MBE法による結
晶は表面欠陥が多く、素子歩留まりの上で問題があり、
また結晶成長速度が遅いことや超高真空を有することか
ら生産性の点でも問題があった。一方、表面状態に優
れ、生産性に優れるMOCVD法ではあるが、それによ
り製造されたエピタキシャル基板を用いた素子は、同様
の設計でMBE法により製作されたエピタキシャル基板
を用いて製作された素子に比べ、その特性が必ずしも良
好ではないという問題があった。
【0019】例えば、15nmのInx Ga(1-X) As
(x=0.15)をチャネル層とするHEMTをMOC
VD法により作製されたエピタキシャル基板を利用して
作製し,高周波特性を計測した結果、12GHzにおけ
る雑音指数は0.8〜0.9dBであり、これは同一設
計で、MBE法によるエピタキシャル基板を用いたもの
に比べおよそ0.1〜0.2dB大きい値であった。パ
ラメ−タ−解析の結果、その主たる原因はHEMTの相
互コンダクタンスにあり、MOCVD法による結晶基板
を用いたHEMTでは,MBE品を用いたそれに比べ相
互コンダクタンスが5〜15%程度低いことがわかっ
た。
【0020】このようにMOCVD法によるものでは素
子特性が劣る一方、MBE法によるものでは先述のよう
に表面状態およびエピタキシャル基板の生産性に問題が
あるところから、特性的にも優れ、かつ良好な表面状態
で素子歩留まりも良好で工業的に安定供給可能なエピタ
キシャル基板が強く望まれていた。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決するため鋭意検討を行ってきた結果、基板の結晶学
的面方位が、1つの{100}面の結晶学的面方位から
傾いており、その傾きの大きさが1°以下である単結晶
砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長させた基板
は、前記の課題を解決しうることを見いだし、本発明に
至ったものである。
【0022】すなわち、本発明は次に示す発明からな
る。 (1)基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の
結晶学的面方位から傾いており、その傾きの大きさが1
゜以下である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャ
ル成長により結晶が形成されており、エピタキシャル結
晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結晶(ただ
し0<x<1)であり、かつエピタキシャル成長が熱分
解気相成長方法によって行われることを特徴とする半導
体エピタキシャル基板。 (2)InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1)の
組成および膜厚が、該InX Ga(1-X) As(ただし0
<X<1)層の弾性変形限界内の範囲であることを特徴
とする(1)項記載の半導体エピタキシャル基板。 (3)InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1)が
チャネル層である、電界効果トランジスタ用の、(1)
項または(2)項記載の半導体エピタキシャル基板。 (4)InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1)が
活性層である、半導体レ−ザ−用の、(1)項または
(2)項記載の半導体エピタキシャル基板。
【0023】以下、さらに詳細に本発明について説明す
る。下記の結晶の各層の組成および膜厚はおよその範囲
であって、実際には要求される素子特性に応じて色々な
範囲で選択される。初めに、高抵抗の半絶縁性GaAs
単結晶基板の表面を脱脂洗浄、エッチング、水洗、乾燥
した後、結晶成長炉の加熱台上に載置する。炉内を十分
高純度水素で置換した後、加熱を開始し、適当な温度に
安定したところで炉内に砒素原料を導入し、続いてガリ
ウム原料を導入する。所要の時間をかけて高純度のGa
Asを0.1〜2μm成長させた後、インジウム原料を
加え、ノンドープInX Ga (1-X) As層(ただし0<
x<1、好ましくは0.1<x<0.3)を5〜25n
m成長させる。次に、インジウム原料の供給を停止し、
アルミニウム原料を加え、ノンド−プの高純度AlX
(1-X) As層(ただし0<x<1、好ましくは0.1
<x<0.3)を1〜2nm成長させる。この層は省略
されることもある。
【0024】続いてn型ドーパントを添加してキャリア
濃度が1〜3×1018/cm3 のn型AlX Ga(1-X)
As層(ただし0<x<1、好ましくは0.1<x<
0.3)を30〜50nm成長させ、次にアルミニウム
原料の供給を停止し、キャリヤ濃度が2〜10×1018
/cm3 のn型GaAsを30〜200nm成長させ
る。最後に、ガリウム原料続いて砒素原料の供給を停止
して結晶成長を停止し、冷却後以上のようにして積層し
たエピタキシャル基板を炉内から取り出して結晶成長を
完了する。結晶成長時の基板温度は、通常およそ600
℃から800℃の範囲である。
【0025】本発明におけるエピタキシャル成長は、原
料として有機金属および/または水素化物を用いること
が好ましい。砒素原料としては一般に3水素化砒素(ア
ルシン)が用いられるが、アルシンの1個の水素を炭素
数が1〜4のアルキル基で置換したモノアルキルアルシ
ンも使用することができる。ガリウム、インジウムおよ
びアルミニウムの原料としては、各金属原子に炭素数が
1〜3のアルキル基もしくは水素が結合したトリアルキ
ル化物もしくは3水素化物、またはそれらにさらに炭素
数が1〜4のアルキル基と窒素、燐および砒素からなる
群から選択される元素からなるトリアルキル化合物を配
位させた化合物が一般に用いられる。
【0026】n型ド−パントとしてはシリコン、ゲルマ
ニウム、スズ、硫黄、セレンなどの水素化物または炭素
数が1 〜3 のアルキル基を有するアルキル化物を用いる
ことができる。
【0027】さてここで、エピタキシャル層にInGa
As層を有さない、通常型のHEMT用のエピタキシャ
ル基板において、高分解能を有する透過型電子顕微鏡
(TEM)により結晶断面を観察した結果、エピタキシ
ャル結晶表面に一方向に配列した波状の凹凸が認められ
たが、その周期は30〜40nm、またその凹凸の高さ
も1nm前後であった。
【0028】しかしながら、エピタキシャル層にInG
aAs層を有する場合には、通常使用されている、たと
えば<100>方向から<110>方向に2゜だけ傾い
た方位を有する基板を用いると、前記と同様の方法で観
察した結果、GaAsバッファ−層上に形成した厚さ1
5nm(設計値)のInX Ga(1-X) As(x=0.1
5)の膜厚が、およそ200〜400nmの周期で、凹
凸の高さが2nmから最大5nm程度変動していること
がわかった。
【0029】さらに、上記HEMT用結晶を作製したの
と同様の手順、条件で結晶成長を行い、InX Ga
(1-X) As(x=0.15)層を成長させた後、5nm
のGaAs層キャップ層を積層後、結晶成長を停止した
試料を作製し、その表面を原子間力顕微鏡で観察したと
ころ、上記TEM観察結果に対応する周期、高さを有す
る波状の凹凸が<110>方向に対して直交する方向に
走っていることがわかった。
【0030】本発明の半導体エピタキシャル基板は、基
板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の結晶学的
面方位から傾いており、その傾きの大きさが1゜以下で
ある単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長に
より結晶が形成されていることを特徴としている。傾き
の大きさは好ましくは0.05°以上0.6°以下、よ
り好ましくは0.1°以上0.5°以下である。
【0031】すなわち、エピタキシャル結晶の少なくと
も一部がInX Ga(1-X) As結晶(0<x<1)であ
り、かつエピタキシャル成長が熱分解気相成長方法によ
って行われる半導体エピタキシャル基板において、前記
の条件のエピタキシャル基板は、InX Ga(1-X) As
層の表面の凹凸が小さい。具体的には、エピタキシャル
層にInGaAs層を有さない、通常型のHEMT用の
エピタキシャル基板におけると同様であって、凹凸の高
さは約1nm以下であった。したがって、後で説明する
相互コンダクタンスおよびピンチオフ特性が改良され
る。
【0032】このような結晶表面における周期的な凹凸
の原因については必ずしも明確ではないが、概略は以下
のように考えられる。すなわち、従来MOCVD法で用
いられる、{100}面から傾けた面方位を有する基板
では、その表面には傾けた方位に対して直交する方向に
原子ステップが存在する。傾き角が2゜の場合のステッ
プ高さは、GaAsの場合0.283nm、ステップの
平均間隔は8.1nmと計算される。したがって、この
程度の周期的な凹凸は本来結晶表面に存在するものと考
えられる。さらに、このようなステップは条件によって
はステップ同士が集合し、いわゆるマクロステップを形
成する場合があることが知られている。
【0033】前記のことから、通常型のHEMT用途の
結晶では3〜4個、InGaAs層を含む結晶ではさら
に巨大なマクロステップが生じていることを示してい
る。主たる面方位が{100}面であり、その方位から
の傾き角が大きくなるほど、InGaAs層表面の凹凸
は大きくなる。従来、MOCVD法を始めとする気相成
長法で広く用いられてきた<100>から通常2゜以上
傾いた結晶面方位はこの系に関しては不適当である。傾
き角を1゜以下とすることにより表面の凹凸を通常のI
nGaAsを含まない層と同程度の1nm前後に抑制可
能である。
【0034】なお、以下、たとえば
【数1】 をそれぞれ<0−10>方向、<0−1−1>方向と示
すこととする。
【0035】主たる面方位が{100}面であり、その
方位から傾ける方位については<0−11>方向または
これに結晶学的に等価な方位に近い方が望ましく、これ
と直交する<0−1−1>方向またはこれに結晶学的に
等価な方位に近い方位では結晶面の凹凸はさらに拡大す
る。また、これらの両方向の中間に位置する、従来用い
られてきた<110>またはこれに結晶学的に等価な方
位は最良の方位ではない。
【0036】このような微視的なInGaAs層の凹凸
とデバイス特性との相関について、次に述べる。すなわ
ち、凹凸の周期がゲ−ト長に比べて同程度か、または大
きい場合、ゲ−ト下の膜厚が部分的に厚い部位と薄い部
位が発生する。電界効果トランジスタにおいては,一般
にゲ−ト下膜厚の差はしきい値電圧の差となって現われ
る。従って、上記のように凹凸上に形成された電界効果
トランジスタは、同一トランジスタ内にしきい値の異な
る部分が混在することとなり、その結果、相互コンダク
タンスおよびピンチオフ特性が悪化する。
【0037】図1は、凹凸の高さの標準偏差をパラメ−
タとして,得られるトランジスタの相互コンダクタンス
のゲート電圧依存性をシミュレ−ションしたものを示し
たものである。これから、3nm程度の凹凸の存在によ
り、最大相互コンダクタンスが30%近く低下し、また
ピンチオフ特性も悪化することがわかる。これは現在の
InGaAs層を用い、MOCVD法により作製された
HEMTにおいて実際に観測された結果とよく対応して
いる。
【0038】このようにして、本発明のエピタキシャル
基板においては,InGaAs膜厚の変動が抑制され
る。さらに、InX Ga(1-X) As層(0<x<1)の
組成および膜厚が,該InX Ga(1-X) As層(0<x
<1)の弾性変形限界内の範囲である場合、その膜厚変
動はさらに抑制されるので好ましい。
【0039】このInX Ga(1-X) As(0<x<1)
層がチャネル層である電界効果トランジスタ用のエピタ
キシャル基板を用いた場合、チャネル層の凹凸による特
性低下のない、優れた性能を有するHEMTが作製可能
である。また、InX Ga(1 -X) As(0<x<1)層
が活性層である半導体レ−ザ−用としても発振波長のば
らつきの無い良好な発振特性が実現可能である。
【0040】
【実施例】以下、本発明に関する実施例を示すが、本発
明はこれに限定されるものではない。原子間力顕微鏡
は、TOPOMETRIX社製の原子間力顕微鏡TMX
−2000を用いた。有機金属熱分解法の原料としては
トリメチルガリウム3.6〜4.7×10-5mol/m
in、トリメチルアルミニウム0.2〜1.5×10-5
mol/min、トリメチルインジウムを0.2〜1.
1×10-5mol/minおよびアルシン4.7〜24
×10-4mol/minを用い,またド−パントとして
はジシラン8.9×10-10 mol/minを用い、9
l/minのパラジウム膜透過精製した水素をキャリア
ガスとした。0.1atm、650℃に加熱された半絶
縁性のGaAs基板上で熱分解を行い、成長速度3〜1
μm/hrでエピタキシャルGaAsまたはAlGaA
sまたはInGaAs層を得た。
【0041】具体的な組成、膜厚は以下の通りである。
基板上にノンド−プのGaAsまたはAlX Ga(1-X)
As(x=0.04〜0.2)層をバッファ−層として
0.3〜1μm積層の後、50nmのノンド−プGaA
sバッファ−層、15nmのIn0.15Ga0.85As層を
積層した。
【0042】通常HEMT用はさらにこの上に2nmの
ノンド−プAl0.25Ga0.75Asスペ−サ−層35nm
のシリコンド−プAl0.25Ga0.75As電子供給層およ
び500〜1500Aのシリコンド−プGaAsコンタ
クト層を順次積層するが,ここではInGaAs層表面
観察のため,InGaAs層の上に保護層として5nm
のGaAs層をつけたのみのものも併せて作製した。こ
の時用いた基板は(100)面から<0−11>方向に
0.4゜傾けたものを用いた。得られた結晶の表面を原
子間力顕微鏡で観察した結果,<0−11>方向に直角
に高さおよそ1nmのステップ状の段差が形成されてい
るのが認められた。次に通常のHEMT用として、n型
AlGaAs電子供給層の上に1000Åのシリコンド
ープn型GaAs層(n=3×1018/cm3 )を積層
した結晶を用い、ゲート長1μm、リセスゲート型のF
ETを作製し、DCでの3端子伝達特性の測定を行った
ところ、デバイス性能の目安であるK値として350〜
380mS/Vmmと良好な値を得た。
【0043】比較例1 基板として(100)面から<110>方向へ2゜傾け
たものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成長と
評価を行なったところ<110>方向と直交する方向に
多数の段差が周期およそ300−400nm,凹凸の高
さおよそ4nmの表面形状が観察された。次に通常のH
EMT用として、n型AlGaAs電子供給層の上に1
000Åのシリコンドープn型GaAs層(n=3×1
18/cm3 )を積層した結晶を用い、実施例1と同一
プロセスでゲート長1μm、リセスゲート型のFETを
作製し、DCでの3端子伝達特性の測定を行ったとこ
ろ、デバイス性能の目安であるK値として270〜31
0mS/Vmmの値を得、実施例1の場合に比べ、伝達
特性において劣っていることが判明した。
【0044】比較例2 基板として(100)面から<0−11>方向へ5゜傾
けたものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成長
と評価を行なったところ<0−11>方向と直交する方
向に多数の段差が周期およそ400nm,凹凸の高さお
よそ5nmの表面形状が観察された。
【0045】比較例3 基板として(100)面から<0−1−1>方向へ5゜
傾けたものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成
長と評価を行なったところ<011>方向と直交する方
向に多数の段差が不規則な周期で,凹凸の高さおよそ1
1nmの表面形状が観察された。
【0046】比較例4 試料として、InGaAs層の上に2nmのAl0.3
0.7 Asスペーサー層、35nmのシリコンドープA
0.3 Ga0.7 As電子供給層および5nmのSiドー
プGaAs層を積層し、基板として、(100)面から
〈110〉方向へ2°傾けたものを用いた以外は、実施
例1と同様にして結晶成長と評価を行なった。その結
果、〈110〉方向と直交する方向に、段差が周期およ
そ60〜80nm、凹凸高およそ3nmの表面形状が観
察された。なお、この時の77Kにおける電子移動度は
Hall測定により評価したところ14400cm2
vsecであった。
【0047】比較例5 基板として(100)面から〈0−1−1〉方向へ2°
傾けたものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶
成長と評価を行なった。その結果、〈0−1−1〉方向
と直交する方向に周期およそ70〜90nm、凹凸高お
よそ3nmの表面形状が観察された。
【0048】比較例6 基板として(100)面から〈0−11〉方向へ2°傾
けたものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶成
長と評価を行なった。その結果、〈0−11〉方向と直
交する方向に、周期約50nmで凹凸高およそ2nmの
表面形状が観察された。
【0049】比較例7 基板として(100)面から〈110〉方向へ5°傾け
たものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶成長
と評価を行なった。その結果、〈110〉方向と直交す
る方向に、周期200〜400nm、凹凸高およそ5n
mの表面形状が観察された。なお、この時の77Kにお
ける電子移動度は2900cm2 /vsecであった。
【0050】
【発明の効果】GaAs基板に形成され、InGaAs
層を用いる各種電子素子において、本発明のエピタキシ
ャル基板を用いることにより、良好な特性を有する素子
を安価に大量に製造可能であり、その工業的な意義はき
わめて大きい。InX Ga(1-X) As層(0<x<1)
がチャネル層である電界効果トランジスタ用に本発明の
エピタキシャル基板を用いた場合、チャネル層の凹凸に
よる特性低下のない、優れた性能を有するHEMTが作
製可能である。また、InX Ga(1-X) As(0<x<
1)層が活性層である半導体レ−ザ−用に本発明のエピ
タキシャル基板を用いた場合も、発振波長のばらつきの
無い良好な発振特性が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HEMTのゲート電圧と相互コンダクタンスの
相関図(凹凸の高さの標準偏差をパラメーターとす
る。)。
【符号の簡単な説明】δ・・・凹凸の高さの標準偏差
(nm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01S 3/18 (72)発明者 乾 勝美 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の結晶学的面方位が、1つの{10
    0}面の結晶学的面方位から傾いており、その傾きの大
    きさが1゜以下である単結晶砒化ガリウム基板上にエピ
    タキシャル成長により結晶が形成されており、エピタキ
    シャル結晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結
    晶(ただし0<x<1)であり、かつエピタキシャル成
    長が熱分解気相成長方法によって行われることを特徴と
    する半導体エピタキシャル基板。
  2. 【請求項2】InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<
    1)の組成および膜厚が、該InX Ga(1-X) As(た
    だし0<X<1)層の弾性変形限界内の範囲であること
    を特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャル基
    板。
  3. 【請求項3】InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<
    1)がチャネル層である、電界効果トランジスタ用の、
    請求項1または2記載の半導体エピタキシャル基板。
  4. 【請求項4】InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<
    1)が活性層である、半導体レ−ザ−用の、請求項1ま
    たは2記載の半導体エピタキシャル基板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005347499A (ja) * 2004-06-03 2005-12-15 Hitachi Cable Ltd 電界効果トランジスタ用エピタキシャルウェハ及び高電子移動度トランジスタ用エピタキシャルウェハ
WO2007088958A1 (ja) * 2006-02-02 2007-08-09 Nippon Mining & Metals Co., Ltd. 化合物半導体成長用基板およびエピタキシャル成長方法

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