JP4078169B2 - 電界効果トランジスター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単結晶砒化ガリウム(以下、GaAsということがある)基板上にエピタキシャル気相成長方法により形成される化合物半導体のエピタキシャル基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体を用いた各種電子素子は近年、飛躍的な発達を遂げ、今後も着実な進展が予想される産業分野である。その基盤材料である半導体は、現在、シリコンが主に用いられているが、近年では発光特性あるいは高速性に優れるGaAsを中心とする化合物半導体も着実な進展をみせつつある。
【0003】
通常、単結晶基板に、イオン注入法、拡散法、さらにはエピタキシャル成長法などの各種手法により必要な特性を有する結晶層を付与することにより所望の性能を有する各種半導体素子を得ることができる。中でもエピタキシャル成長法は不純物量の制御のみならず、結晶の組成や膜厚などをきわめて広い範囲で、かつ精密に制御可能であるため、広く用いられるようになっている。
【0004】
この時用いるエピタキシャル成長方法としては液相法、気相法および真空蒸着法の一種である分子線エピタキシャル成長法(以下MBE法ということがある)などが知られている。中でも気相法は大量の基板を制御性よく処理可能なため工業的に広く用いられている方法である。特に、エピタキシャル層を構成する原子種の有機金属化合物または水素化物を原料として用い、基板上で熱分解させ結晶成長を行う有機金属熱分解法(Metalorganic Chemical
Vapor Deposition法、以下MOCVD法ということがある)は、適用可能な物質の範囲が広く、また結晶の組成、膜厚の精密な制御に適しているために近年広く用いられるようになっている。
【0005】
例えば、最近、マイクロ波通信において低雑音の増幅器の構成部品として重要な高電子移動度トランジスタ−(HEMT(High Electron Mobility Transistor)またはMODFET(Modulation Doped Transistor)またはHJFET(Hetero−Junction Field Effect Transistor)などとも呼ばれる。以下、HEMTということがある。)は、電界効果トランジスタ−の一種である。それに用いられる結晶は上記のような気相成長法により、必要な電子的特性を有するGaAs、AlGaAs結晶を必要な構造でGaAs基板上に積層成長させることにより作製することができる。
【0006】
また、発光素子として代表的な半導体レ−ザ−用の結晶についても、概略上記のような手順により、所要の電気特性と組成、膜厚を付与されたGaAs、AlGaAs層を積層成長させることにより必要なエピタキシャル基板を得ることができる。
【0007】
また、これらの素子作製に用いる材料としてはGaAs、AlGaAs系がその任意の組成で格子定数を一致させることができ、良好な結晶性を保ちつつ各種ヘテロ接合が可能なため広く用いられているが、格子定数をGaAsに一致させるような適当な組成範囲を選ぶことにより、AlX (Iny Ga(1-y)(1-X) P (ただし0<x<1、0<y<1)、Inx Ga(1-X) Asy(1-y) (ただし0<x<1、0<y<1)等の結晶層も積層可能である。
【0008】
さて、上記の電界効果トランジスタ−や半導体レ−ザ−など各種電子素子に用いる基板は、その面方位が{100}面またはそれに等価な面であるものが一般に広く使用されている。しかし、上記に例を示したようなMOCVD法による気相成長法においては、正確な{100}面ではなく、その面に対する法線が<100>方向からわずかに傾いた面を有する、いわゆるオフ基板が一般的に用いられている。
【0009】
その理由はいくつかあるが、例えば、内田ら(特開平4−65037号公報)は{100}面に対し、該{100}面に含まれる1つの<100>方向に1゜〜6゜傾けることにより、結晶層の表面欠陥密度および均一性を改善できるとしている。また前田ら(特開平3−283427号公報)はHEMT用結晶の作製において、やはり{100}面からいずれかの方向に3゜〜9゜傾けることにより電子移動度を改善できるとしている。
【0010】
このようにその効果は表面状態の改善から均一性、結晶性の向上まで多岐にわたっている。そのメカニズムについては、そのような微少な傾きを導入することにより結晶表面には{100}面をテラスとする周期的なステップ構造が形成され、結晶成長に際しては各ステップが秩序正しく前進する、いわゆるステップフロ−モ−ドで成長が進行するため,結晶性に好ましい効果を及ぼしているものと考えられている。
【0011】
いずれにしても気相成長法におけるオフ基板の使用は、上記のようにメリットが多く、従来の基本的な技術の一つと考えられており、このような1〜9゜程度の範囲で<100>方位から傾けた面方位を有するエピタキシャル基板は工業的に広く用いられてきた。
【0012】
上記のように、エピタキシャル成長層は一般に使用する基板に対し、格子定数が基板のそれに一致するように、いわゆる格子整合条件下で行われてきた。このためGaAs基板を用いる場合は、AlGaAsの他、特定の組成を有したAlX (Iny Ga(1-y)(1-X) P (ただし0<x<1、0<y<1)、Inx Ga(1-X) Asy(1-y) (ただし0<x<1、0<y<1)などが主たる構成材料として用いられてきた。
【0013】
さて、Inx Ga(1-X) As(ただし0<x<1)は電子輸送特性に優れ、また組成に応じ、エネルギ−ギャップを大幅に変えることが可能であるためヘテロ接合材料として非常に優れた素質を有しているが、GaAsに対しては格子整合が不可能なため、従来はInx Ga(1-X) Asを用いて、十分な物性を有する半導体エピタキシャル基板を得ることはできなかった。これまではx=0.49付近でInx Ga(1-X) Asに格子整合可能なInP基板の使用も検討されてきた。
【0014】
しかし近年、技術の進展により、格子不整合の系であっても弾性変形の限界内であれば転位の発生など不都合な結晶性の低下を招くことなく、信頼性あるヘテロ接合が可能であることが明らかになってきた。このような限界値は組成、膜厚の関数として与えられ、例えばGaAsに対するInGaAsのそれは、Mathewsら(J.Crystal Growth,27(1974)p.118及び32(1974)p.265)の式が理論的に知られており、実験的にも概ね正しいことが近年わかってきた。
【0015】
このような特定の組成、膜厚の範囲内の歪層の利用により、GaAs基板を用いるエピタキシャル基板においてもInGaAs層をその一部に有する基板の製造が可能になっている。例えば、通常の結晶成長条件下ではx=0.15、膜厚15nm程度のInx Ga(1-X) As層が結晶性の低下をきたすことなく作製可能であるが、このようなInx Ga(1-X) As層をGaAsバッファ−層とn型AlGaAs電子供給層との間に挿入した構造のエピタキシャル基板を利用することにより、従来に比べ、雑音特性の優れたHEMTが作製されている。また、やはりそのようなInx Ga(1-X) Asの薄層を活性層として利用することにより従来GaAs基板上では不可能であった900〜1000nm帯の発光波長を有する半導体レ−ザ−が可能になっている。
【0016】
以上述べてきたGaAsを基板とし、InGaAsの歪層を一部に用いるエピタキシャル基板のエピタキシャル成長には数10nmオ−ダ−での精密な結晶成長制御が要求される。したがって、研究方法としてはもっぱら制御性に優れる分子線エピタキシャル法(以下MBE法ということがある)かMOCVD法が用いられてきた。特に、MOCVD法は、従来の通常のGaAs格子整合系でも用いられてきたように、InGaAsを含む系に対しても生産性に優れた成長法として今後の立ち上がりが期待されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上述べてきたようにGaAsを基板とし、InGaAsの歪層をその一部に含むエピタキシャル基板は、MBE法またはMOCVD法により作製されてきたが、それを用いた素子の工業的な生産については問題があった。
【0018】
すなわちMBE法は非常に薄膜制御性に優れるエピタキシャル成長法であるが、MBE法による結晶は表面欠陥が多く、素子歩留まりの上で問題があり、また結晶成長速度が遅いことや超高真空を有することから生産性の点でも問題があった。一方、表面状態に優れ、生産性に優れるMOCVD法ではあるが、それにより製造されたエピタキシャル基板を用いた素子は、同様の設計でMBE法により製作されたエピタキシャル基板を用いて製作された素子に比べ、その特性が必ずしも良好ではないという問題があった。
【0019】
例えば、15nmのInx Ga(1-X) As(x=0.15)をチャネル層とするHEMTをMOCVD法により作製されたエピタキシャル基板を利用して作製し,高周波特性を計測した結果、12GHzにおける雑音指数は0.8〜0.9dBであり、これは同一設計で、MBE法によるエピタキシャル基板を用いたものに比べおよそ0.1〜0.2dB大きい値であった。パラメ−タ−解析の結果、その主たる原因はHEMTの相互コンダクタンスにあり、MOCVD法による結晶基板を用いたHEMTでは,MBE品を用いたそれに比べ相互コンダクタンスが5〜15%程度低いことがわかった。
【0020】
このようにMOCVD法によるものでは素子特性が劣る一方、MBE法によるものでは先述のように表面状態およびエピタキシャル基板の生産性に問題があるところから、特性的にも優れ、かつ良好な表面状態で素子歩留まりも良好で工業的に安定供給可能なエピタキシャル基板が強く望まれていた。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するため鋭意検討を行ってきた結果、基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の結晶学的面方位から傾いており、その傾きの大きさが1°以下である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長させた基板は、前記の課題を解決しうることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0022】
すなわち、本発明は次に示す発明からなる。
(1)基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の結晶学的面方位から傾いており、その傾ける方位については<0−11>方向またはこれに結晶学的に等価な方位であり、その傾きの大きさが0.4°である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長により結晶が形成されており、エピタキシャル結晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結晶(ただし0<x<1)であり、前記In X Ga (1-X) As層(ただし0<x<1)がチャネル層であり、かつエピタキシャル成長が熱分解気相成長方法によって行われた半導体エピタキシャル基板を用いてなることを特徴とする電界効果トランジスター。
(2)前記InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1)の組成および膜厚が、該InX Ga(1-X) As(ただし0<X<1)層の弾性変形限界内の範囲であることを特徴とする(1)項記載の電界効果トランジスター。
【0023】
以下、さらに詳細に本発明について説明する。下記の結晶の各層の組成および膜厚はおよその範囲であって、実際には要求される素子特性に応じて色々な範囲で選択される。
初めに、高抵抗の半絶縁性GaAs単結晶基板の表面を脱脂洗浄、エッチング、水洗、乾燥した後、結晶成長炉の加熱台上に載置する。炉内を十分高純度水素で置換した後、加熱を開始し、適当な温度に安定したところで炉内に砒素原料を導入し、続いてガリウム原料を導入する。所要の時間をかけて高純度のGaAsを0.1〜2μm成長させた後、インジウム原料を加え、ノンドープInX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1、好ましくは0.1<x<0.3)を5〜25nm成長させる。次に、インジウム原料の供給を停止し、アルミニウム原料を加え、ノンド−プの高純度AlX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1、好ましくは0.1<x<0.3)を1〜2nm成長させる。この層は省略されることもある。
【0024】
続いてn型ドーパントを添加してキャリア濃度が1〜3×1018/cm3 のn型AlX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1、好ましくは0.1<x<0.3)を30〜50nm成長させ、次にアルミニウム原料の供給を停止し、キャリヤ濃度が2〜10×1018/cm3 のn型GaAsを30〜200nm成長させる。最後に、ガリウム原料続いて砒素原料の供給を停止して結晶成長を停止し、冷却後以上のようにして積層したエピタキシャル基板を炉内から取り出して結晶成長を完了する。結晶成長時の基板温度は、通常およそ600℃から800℃の範囲である。
【0025】
本発明におけるエピタキシャル成長は、原料として有機金属および/または水素化物を用いることが好ましい。
砒素原料としては一般に3水素化砒素(アルシン)が用いられるが、アルシンの1個の水素を炭素数が1〜4のアルキル基で置換したモノアルキルアルシンも使用することができる。
ガリウム、インジウムおよびアルミニウムの原料としては、各金属原子に炭素数が1〜3のアルキル基もしくは水素が結合したトリアルキル化物もしくは3水素化物、またはそれらにさらに炭素数が1〜4のアルキル基と窒素、燐および砒素からなる群から選択される元素からなるトリアルキル化合物を配位させた化合物が一般に用いられる。
【0026】
n型ド−パントとしてはシリコン、ゲルマニウム、スズ、硫黄、セレンなどの水素化物または炭素数が1 〜3 のアルキル基を有するアルキル化物を用いることができる。
【0027】
さてここで、エピタキシャル層にInGaAs層を有さない、通常型のHEMT用のエピタキシャル基板において、高分解能を有する透過型電子顕微鏡(TEM)により結晶断面を観察した結果、エピタキシャル結晶表面に一方向に配列した波状の凹凸が認められたが、その周期は30〜40nm、またその凹凸の高さも1nm前後であった。
【0028】
しかしながら、エピタキシャル層にInGaAs層を有する場合には、通常使用されている、たとえば<100>方向から<110>方向に2゜だけ傾いた方位を有する基板を用いると、前記と同様の方法で観察した結果、GaAsバッファ−層上に形成した厚さ15nm(設計値)のInX Ga(1-X) As(x=0.15)の膜厚が、およそ200〜400nmの周期で、凹凸の高さが2nmから最大5nm程度変動していることがわかった。
【0029】
さらに、上記HEMT用結晶を作製したのと同様の手順、条件で結晶成長を行い、InX Ga(1-X) As(x=0.15)層を成長させた後、5nmのGaAs層キャップ層を積層後、結晶成長を停止した試料を作製し、その表面を原子間力顕微鏡で観察したところ、上記TEM観察結果に対応する周期、高さを有する波状の凹凸が<110>方向に対して直交する方向に走っていることがわかった。
【0030】
本発明の半導体エピタキシャル基板は、基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の結晶学的面方位から傾いており、その傾きの大きさが1゜以下である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長により結晶が形成されていることを特徴としている。傾きの大きさは好ましくは0.05°以上0.6°以下、より好ましくは0.1°以上0.5°以下である。
【0031】
すなわち、エピタキシャル結晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結晶(0<x<1)であり、かつエピタキシャル成長が熱分解気相成長方法によって行われる半導体エピタキシャル基板において、前記の条件のエピタキシャル基板は、InX Ga(1-X) As層の表面の凹凸が小さい。具体的には、エピタキシャル層にInGaAs層を有さない、通常型のHEMT用のエピタキシャル基板におけると同様であって、凹凸の高さは約1nm以下であった。したがって、後で説明する相互コンダクタンスおよびピンチオフ特性が改良される。
【0032】
このような結晶表面における周期的な凹凸の原因については必ずしも明確ではないが、概略は以下のように考えられる。すなわち、従来MOCVD法で用いられる、{100}面から傾けた面方位を有する基板では、その表面には傾けた方位に対して直交する方向に原子ステップが存在する。傾き角が2゜の場合のステップ高さは、GaAsの場合0.283nm、ステップの平均間隔は8.1nmと計算される。したがって、この程度の周期的な凹凸は本来結晶表面に存在するものと考えられる。さらに、このようなステップは条件によってはステップ同士が集合し、いわゆるマクロステップを形成する場合があることが知られている。
【0033】
前記のことから、通常型のHEMT用途の結晶では3〜4個、InGaAs層を含む結晶ではさらに巨大なマクロステップが生じていることを示している。
主たる面方位が{100}面であり、その方位からの傾き角が大きくなるほど、InGaAs層表面の凹凸は大きくなる。従来、MOCVD法を始めとする気相成長法で広く用いられてきた<100>から通常2゜以上傾いた結晶面方位はこの系に関しては不適当である。傾き角を1゜以下とすることにより表面の凹凸を通常のInGaAsを含まない層と同程度の1nm前後に抑制可能である。
【0034】
なお、以下、たとえば
【数1】
Figure 0004078169
をそれぞれ<0−10>方向、<0−1−1>方向と示すこととする。
【0035】
主たる面方位が{100}面であり、その方位から傾ける方位については<0−11>方向またはこれに結晶学的に等価な方位に近い方が望ましく、これと直交する<0−1−1>方向またはこれに結晶学的に等価な方位に近い方位では結晶面の凹凸はさらに拡大する。また、これらの両方向の中間に位置する、従来用いられてきた<110>またはこれに結晶学的に等価な方位は最良の方位ではない。
【0036】
このような微視的なInGaAs層の凹凸とデバイス特性との相関について、次に述べる。
すなわち、凹凸の周期がゲ−ト長に比べて同程度か、または大きい場合、ゲ−ト下の膜厚が部分的に厚い部位と薄い部位が発生する。電界効果トランジスタにおいては,一般にゲ−ト下膜厚の差はしきい値電圧の差となって現われる。従って、上記のように凹凸上に形成された電界効果トランジスタは、同一トランジスタ内にしきい値の異なる部分が混在することとなり、その結果、相互コンダクタンスおよびピンチオフ特性が悪化する。
【0037】
図1は、凹凸の高さの標準偏差をパラメ−タとして,得られるトランジスタの相互コンダクタンスのゲート電圧依存性をシミュレ−ションしたものを示したものである。これから、3nm程度の凹凸の存在により、最大相互コンダクタンスが30%近く低下し、またピンチオフ特性も悪化することがわかる。これは現在のInGaAs層を用い、MOCVD法により作製されたHEMTにおいて実際に観測された結果とよく対応している。
【0038】
このようにして、本発明のエピタキシャル基板においては,InGaAs膜厚の変動が抑制される。さらに、InX Ga(1-X) As層(0<x<1)の組成および膜厚が,該InX Ga(1-X) As層(0<x<1)の弾性変形限界内の範囲である場合、その膜厚変動はさらに抑制されるので好ましい。
【0039】
このInX Ga(1-X) As(0<x<1)層がチャネル層である電界効果トランジスタ用のエピタキシャル基板を用いた場合、チャネル層の凹凸による特性低下のない、優れた性能を有するHEMTが作製可能である。また、InX Ga(1-X) As(0<x<1)層が活性層である半導体レ−ザ−用としても発振波長のばらつきの無い良好な発振特性が実現可能である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明に関する実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
原子間力顕微鏡は、TOPOMETRIX社製の原子間力顕微鏡TMX−2000を用いた。
有機金属熱分解法の原料としてはトリメチルガリウム3.6〜4.7×10-5mol/min、トリメチルアルミニウム0.2〜1.5×10-5mol/min、トリメチルインジウムを0.2〜1.1×10-5mol/minおよびアルシン4.7〜24×10-4mol/minを用い,またド−パントとしてはジシラン8.9×10-10 mol/minを用い、9l/minのパラジウム膜透過精製した水素をキャリアガスとした。0.1atm、650℃に加熱された半絶縁性のGaAs基板上で熱分解を行い、成長速度3〜1μm/hrでエピタキシャルGaAsまたはAlGaAsまたはInGaAs層を得た。
【0041】
具体的な組成、膜厚は以下の通りである。基板上にノンド−プのGaAsまたはAlX Ga(1-X) As(x=0.04〜0.2)層をバッファ−層として0.3〜1μm積層の後、50nmのノンド−プGaAsバッファ−層、15nmのIn0.15Ga0.85As層を積層した。
【0042】
通常HEMT用はさらにこの上に2nmのノンド−プAl0.25Ga0.75Asスペ−サ−層35nmのシリコンド−プAl0.25Ga0.75As電子供給層および500〜1500Aのシリコンド−プGaAsコンタクト層を順次積層するが,ここではInGaAs層表面観察のため,InGaAs層の上に保護層として5nmのGaAs層をつけたのみのものも併せて作製した。この時用いた基板は(100)面から<0−11>方向に0.4゜傾けたものを用いた。
得られた結晶の表面を原子間力顕微鏡で観察した結果,<0−11>方向に直角に高さおよそ1nmのステップ状の段差が形成されているのが認められた。
次に通常のHEMT用として、n型AlGaAs電子供給層の上に1000Åのシリコンドープn型GaAs層(n=3×1018/cm3 )を積層した結晶を用い、ゲート長1μm、リセスゲート型のFETを作製し、DCでの3端子伝達特性の測定を行ったところ、デバイス性能の目安であるK値として350〜380mS/Vmmと良好な値を得た。
【0043】
比較例1
基板として(100)面から<110>方向へ2゜傾けたものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成長と評価を行なったところ<110>方向と直交する方向に多数の段差が周期およそ300−400nm,凹凸の高さおよそ4nmの表面形状が観察された。
次に通常のHEMT用として、n型AlGaAs電子供給層の上に1000Åのシリコンドープn型GaAs層(n=3×1018/cm3 )を積層した結晶を用い、実施例1と同一プロセスでゲート長1μm、リセスゲート型のFETを作製し、DCでの3端子伝達特性の測定を行ったところ、デバイス性能の目安であるK値として270〜310mS/Vmmの値を得、実施例1の場合に比べ、伝達特性において劣っていることが判明した。
【0044】
比較例2
基板として(100)面から<0−11>方向へ5゜傾けたものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成長と評価を行なったところ<0−11>方向と直交する方向に多数の段差が周期およそ400nm,凹凸の高さおよそ5nmの表面形状が観察された。
【0045】
比較例3
基板として(100)面から<0−1−1>方向へ5゜傾けたものを用いた以外は実施例1と同様にして結晶成長と評価を行なったところ<011>方向と直交する方向に多数の段差が不規則な周期で,凹凸の高さおよそ11nmの表面形状が観察された。
【0046】
比較例4
試料として、InGaAs層の上に2nmのAl0.3 Ga0.7 Asスペーサー層、35nmのシリコンドープAl0.3 Ga0.7 As電子供給層および5nmのSiドープGaAs層を積層し、基板として、(100)面から〈110〉方向へ2°傾けたものを用いた以外は、実施例1と同様にして結晶成長と評価を行なった。
その結果、〈110〉方向と直交する方向に、段差が周期およそ60〜80nm、凹凸高およそ3nmの表面形状が観察された。なお、この時の77Kにおける電子移動度はHall測定により評価したところ14400cm2 /vsecであった。
【0047】
比較例5
基板として(100)面から〈0−1−1〉方向へ2°傾けたものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶成長と評価を行なった。その結果、〈0−1−1〉方向と直交する方向に周期およそ70〜90nm、凹凸高およそ3nmの表面形状が観察された。
【0048】
比較例6
基板として(100)面から〈0−11〉方向へ2°傾けたものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶成長と評価を行なった。その結果、〈0−11〉方向と直交する方向に、周期約50nmで凹凸高およそ2nmの表面形状が観察された。
【0049】
比較例7
基板として(100)面から〈110〉方向へ5°傾けたものを用いた以外は、比較例4と同様にして結晶成長と評価を行なった。その結果、〈110〉方向と直交する方向に、周期200〜400nm、凹凸高およそ5nmの表面形状が観察された。
なお、この時の77Kにおける電子移動度は2900cm2 /vsecであった。
【0050】
【発明の効果】
GaAs基板に形成され、InGaAs層を用いる各種電子素子において、本発明のエピタキシャル基板を用いることにより、良好な特性を有する素子を安価に大量に製造可能であり、その工業的な意義はきわめて大きい。
InX Ga(1-X) As層(0<x<1)がチャネル層である電界効果トランジスタ用に本発明のエピタキシャル基板を用いた場合、チャネル層の凹凸による特性低下のない、優れた性能を有するHEMTが作製可能である。また、InX Ga(1-X) As(0<x<1)層が活性層である半導体レ−ザ−用に本発明のエピタキシャル基板を用いた場合も、発振波長のばらつきの無い良好な発振特性が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HEMTのゲート電圧と相互コンダクタンスの相関図(凹凸の高さの標準偏差をパラメーターとする。)。
【符号の簡単な説明】
δ・・・凹凸の高さの標準偏差(nm)

Claims (2)

  1. 基板の結晶学的面方位が、1つの{100}面の結晶学的面方位から傾いており、その傾ける方位については<0−11>方向またはこれに結晶学的に等価な方位であり、その傾きの大きさが0.4°である単結晶砒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長により結晶が形成されており、エピタキシャル結晶の少なくとも一部がInX Ga(1-X) As結晶(ただし0<x<1)であり、前記In X Ga (1-X) As層(ただし0<x<1)がチャネル層であり、かつエピタキシャル成長が熱分解気相成長方法によって行われた半導体エピタキシャル基板を用いてなることを特徴とする電界効果トランジスター。
  2. 前記InX Ga(1-X) As層(ただし0<x<1)の組成および膜厚が、該InX Ga(1-X) As(ただし0<X<1)層の弾性変形限界内の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスター。
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