JP2646430B2 - 高導電率高耐熱性銅合金及びその製造方法 - Google Patents

高導電率高耐熱性銅合金及びその製造方法

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JP2646430B2
JP2646430B2 JP1081614A JP8161489A JP2646430B2 JP 2646430 B2 JP2646430 B2 JP 2646430B2 JP 1081614 A JP1081614 A JP 1081614A JP 8161489 A JP8161489 A JP 8161489A JP 2646430 B2 JP2646430 B2 JP 2646430B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高導電率高耐熱性を有する銅合金に関するも
のであり,電子ワイヤー等に適している。
従来の技術 従来,高導電率高耐熱性の要求される電子ワイヤー,
リードフレーム等の材料としてはZr銅が使用されてき
た。Zr銅は導電率,耐熱性を大巾に向上させるが,Zrの
添加により酸化物を生成しこれを巻き込むことにより鋳
肌の荒れ,歩留低下,難加工性という欠点があった。ま
た,最近においては,10〜80μmという極細線の要求が
高く,これらを断線なく効率的に製造できる銅合金及び
その製造方法が望まれている。
又,極細線では通電による発熱が線の強度低下や変形
に大きな影響を与えるので,高温における耐熱性の一層
の向上が望まれている。
発明が解決しようとする問題点 本発明は上記の欠点を解決したもので,本目的はZr添
加による酸化物生成を減少し,Zr銅の特性を十分に活か
すことにある。
発明の構成 本発明は上記欠点を解消するものであって,Zr0.005〜
0.02wt.%,B0.0003wt.%以上から0.001wt.%未満含有
し,かつ重量%でB/Zr比率が0.1より小さく残部銅及び
不可避不純物からなる組成を有する高導電率高耐熱性銅
合金と前記合金を製造するに当たり真空溶解することを
特徴とするその高導電率高耐熱性銅合金の製造方法に関
するものである。
発明の具体的説明 原料は市販の電気銅(4N)好ましくは6N純度のものを
使用すればよい。添加元素のZrは予め0.1〜2.0wt.%の
母合金にして添加する。この時,Zr添加前にB0.001〜0.1
wt.%を添加すると酸化物の少ない母金を得ることがで
きる。Bは0.1〜1.0wt.%の母合金として添加する。
溶解の黒鉛るつぼを使用し,高周波真空誘導溶解炉に
て行う。溶解時の圧力は1×10-3〜1×10-5Torr,好ま
しくは5×10-4〜1×10-5Torrに保つ。
まず,電気銅の溶解後B母合金を添加する。Bは脱酸
剤として働き,次に添加するZr母合金による酸化物生成
を減少させる。さらに,Zr母合金添加後5〜60分間保持
する。本合金のかかる真空溶解においてはZr母合金添加
により酸化物を生成し溶湯の表面に浮遊するが,真空溶
解することによりBが還元剤となり酸化物を還元し,5〜
60分の保持でその浮遊物は減少していく。即ち,3ZrO2
4B⇒3Zr+2B2O3(↑)の反応により生成したB2O3は系外
に除去され,さらに時間を長くすることにより反応が右
へ進行する為極めて有効である。この効果により酸化物
生成とその巻き込みによる鋳肌の荒れ,歩留低下は大き
く改善される。この効果は,例えば不活性ガス雰囲気下
の溶解では認められず真空溶解の採用は必須である。
Zr含有量は0.005wt.%未満では優れた耐熱性を示さ
ず,0.02wt.%を超えると耐熱性は大きくあがらず導電率
が低下する為好ましくない。
B添加量0.0003wt.%未満では殆ど改善の効果がな
く,かつ脱酸後の残留B量の制御が困難となる。B量の
制御はB添加の効果の再現上必要であり,この点から原
料の電気銅中酸素量も少ない方が好ましい。また,10〜8
0μmの極細線に加工する時には介在物等による断線の
少なさから6N以上の高純度銅を用いるのが好ましい。本
発明に供した6N電気銅中酸素量は0.001wt.%未満であ
る。
また,B含有量が0.001wt.%以上では浮遊酸化物の消失
傾向は強くなるが 耐熱性は大きく低下する。さらに,B/Zr比率が0.1以上
になると耐熱性は大きく低下する為,0.1より小さくする
必要がある。
溶解,保持後鋳造し通常の工程で線等に加工する。
実施例 市販の6N電気銅を使用し下表のNo.1〜6の組成の合金
を1×10-4〜1×10-5の圧力下で溶解鋳造後,温間鍛
造,スウェージ加工にて2mmφの線を製造しその特性を
調べた。なお耐熱性は線材を高温に加熱して、高温硬度
が室温硬度の半分になる温度(半軟化温度)で調べた。
この結果、以下の表のごとく好ましい値を得た。また,N
o.7〜14を比較の為同様に調べた結果,本発明の実施例
が優れていることを確認した。
即ち,B/Zr比率が0.1以上になると半軟化温度が350℃
より低く,Zrが高すぎると導電率が96.0%IACS以上とな
らず,Bが低いと酸化物を生成し鋳肌が悪いことを確認し
た。
発明の効果 以上説明したように,Zr銅にB/Zr比率の範囲を限定し
た上でBを所定量添加し真空溶解を行うことによりZr銅
の高耐熱性と高導電率を維持したままZr銅の鋳肌の悪
さ,歩留の低さを改善しうる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Zr0.005〜0.02wt.%,B0.0003wt.%以上か
    ら0.001wt.%未満含有し,かつ重量%でB/Zr比率が0.1
    より小さく残部銅及び不可避不純物からなる組成を有す
    ることを特徴とする高導電率高耐熱性銅合金。
  2. 【請求項2】真空溶解することを特徴とする請求項1記
    載の高導電率高耐熱性銅合金の製造方法。
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