JPH11350093A - 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 - Google Patents
導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法Info
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- JPH11350093A JPH11350093A JP15565498A JP15565498A JPH11350093A JP H11350093 A JPH11350093 A JP H11350093A JP 15565498 A JP15565498 A JP 15565498A JP 15565498 A JP15565498 A JP 15565498A JP H11350093 A JPH11350093 A JP H11350093A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウム
合金線を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る
方法を提供すること。 【解決手段】 Zr0.25〜0.55重量%、Si0.03〜0.3 重量
%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025 重量%、残部
Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引線とし、荒引
線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱処理し、該熱
処理の前および/または後に荒引線の表面に存在する疵
を除去するように荒引線の表面層を除去し、ついで断面
積減少率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導
電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法。 【効果】 60%以上の高導電率で280 ℃前後の短時間許
容高温度を有する耐熱性に優れた高品質のアルミニウム
合金線を高歩留りでしかも簡単な工程にて製造すること
ができる。
合金線を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る
方法を提供すること。 【解決手段】 Zr0.25〜0.55重量%、Si0.03〜0.3 重量
%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025 重量%、残部
Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引線とし、荒引
線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱処理し、該熱
処理の前および/または後に荒引線の表面に存在する疵
を除去するように荒引線の表面層を除去し、ついで断面
積減少率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導
電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法。 【効果】 60%以上の高導電率で280 ℃前後の短時間許
容高温度を有する耐熱性に優れた高品質のアルミニウム
合金線を高歩留りでしかも簡単な工程にて製造すること
ができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性並びに耐熱
性に優れ、而して電力ケーブルの導電体として好適なア
ルミニウム合金線の製造方法に関する。
性に優れ、而して電力ケーブルの導電体として好適なア
ルミニウム合金線の製造方法に関する。
【0002】耐熱アルミニウム合金として、従来より60
TAl (60%導電率耐熱性アルミニウム合金) やUTAl( 耐熱
性アルミニウム合金) などが実用化されてきている。し
かし60TAl は短時間許容温度が180 ℃と低い問題があ
り、一方、UTAlは短時間許容温度は 230℃と充分高いも
のの導電率が 58%と低い問題がある。
TAl (60%導電率耐熱性アルミニウム合金) やUTAl( 耐熱
性アルミニウム合金) などが実用化されてきている。し
かし60TAl は短時間許容温度が180 ℃と低い問題があ
り、一方、UTAlは短時間許容温度は 230℃と充分高いも
のの導電率が 58%と低い問題がある。
【0003】これに対して、近年の電力需要の増大に伴
ってケーブル送電容量アップの必要性が高まってきてお
り、このために送電許容温度が高く且つ導電率の高いア
ルミニウム合金線が求められている。
ってケーブル送電容量アップの必要性が高まってきてお
り、このために送電許容温度が高く且つ導電率の高いア
ルミニウム合金線が求められている。
【0004】耐熱アルミニウム合金としては Al-Zr系合
金が一般的である。しかし従来の60TAl や UTAl 等の合
金においては、Zrの添加量を多くすればZrの固溶によっ
て耐熱性が高くなる反面、導電率の低下をも伴う。従っ
て実際的にはZrは0.1 重量%程度しか添加できず、ため
に耐熱性の向上にも限界があった。
金が一般的である。しかし従来の60TAl や UTAl 等の合
金においては、Zrの添加量を多くすればZrの固溶によっ
て耐熱性が高くなる反面、導電率の低下をも伴う。従っ
て実際的にはZrは0.1 重量%程度しか添加できず、ため
に耐熱性の向上にも限界があった。
【0005】導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウ
ム合金線を製造する方法として、特公昭60-7702 号公
報、特開平4-311549号公報などに記載の方法が提案され
ている。このうち特公昭60-7702 号公報では、Zr0.22〜
0.35重量%、Si0.06〜0.15重量%、残部が通常の不純物
を含むアルミニウム合金を順次、連続鋳造、温間圧延、
熱処理、および冷間加工を行う方法が提案されている。
しかしこの提案で得られる荒引線は、概してその表面に
多数の疵が生じ易く、疵のある荒引線は線引が困難であ
るために、アルミニウム合金線の製造の歩留りが悪い問
題がある。
ム合金線を製造する方法として、特公昭60-7702 号公
報、特開平4-311549号公報などに記載の方法が提案され
ている。このうち特公昭60-7702 号公報では、Zr0.22〜
0.35重量%、Si0.06〜0.15重量%、残部が通常の不純物
を含むアルミニウム合金を順次、連続鋳造、温間圧延、
熱処理、および冷間加工を行う方法が提案されている。
しかしこの提案で得られる荒引線は、概してその表面に
多数の疵が生じ易く、疵のある荒引線は線引が困難であ
るために、アルミニウム合金線の製造の歩留りが悪い問
題がある。
【0006】一方、特開平4-311549号公報では、Zr0.25
〜0.45重量%、Si0.03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量
%、Ti0.01〜0.05重量%、残部Alからなる合金を順次、
連続鋳造、第1 回目の熱処理、冷間加工、および第2 回
目の熱処理を行う方法が提案されている。この提案で
は、第1 回目の熱処理は導電率と引張強さを向上させる
ために行われ、第2 回目の熱処理は冷間加工での伸線に
より低下した導電率を回復するために行われる。しかし
この提案は、熱処理を二回行う必要があって、このため
に工程が複雑、コスト高、あるいはアルミニウム合金線
の製造に長時間を要するなど問題がある。
〜0.45重量%、Si0.03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量
%、Ti0.01〜0.05重量%、残部Alからなる合金を順次、
連続鋳造、第1 回目の熱処理、冷間加工、および第2 回
目の熱処理を行う方法が提案されている。この提案で
は、第1 回目の熱処理は導電率と引張強さを向上させる
ために行われ、第2 回目の熱処理は冷間加工での伸線に
より低下した導電率を回復するために行われる。しかし
この提案は、熱処理を二回行う必要があって、このため
に工程が複雑、コスト高、あるいはアルミニウム合金線
の製造に長時間を要するなど問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
て、導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウム合金線
を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る方法を
提供することを課題とする。
て、導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウム合金線
を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る方法を
提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定のアルミ
ニウム合金を用い、且つ当該合金から連続鋳造を経て得
た荒引線に皮剥ぎを施すことにより、上記の課題を解決
し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
に、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定のアルミ
ニウム合金を用い、且つ当該合金から連続鋳造を経て得
た荒引線に皮剥ぎを施すことにより、上記の課題を解決
し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】即ち本発明は、Zr0.25〜0.55重量%、Si0.
03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025
重量%、残部Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引
線とし、荒引線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱
処理し、該熱処理の前および/または後に荒引線の表面
に存在する疵を除去するように荒引線の表面層を除去
し、ついで断面積減少率65%以上の冷間加工を施すこと
を特徴とする導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法
である。
03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025
重量%、残部Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引
線とし、荒引線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱
処理し、該熱処理の前および/または後に荒引線の表面
に存在する疵を除去するように荒引線の表面層を除去
し、ついで断面積減少率65%以上の冷間加工を施すこと
を特徴とする導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法
である。
【0010】
【作用】アルミニウム合金の導電率を低下せしめ易いTi
の含有量を0.01〜0.025 重量%と特開平4-311549号公報
の場合より少なく且つ特定の範囲とすることにより高導
電率が確保でき、しかして該公報の技術で必須であった
導電率回復のための第2回目の熱処理が省略できる。ま
たTiの上記量の含有により表面状態の良好な荒引線が得
易くなり、しかも加えて荒引線の表面層の除去により荒
引線の表面に存在する疵を除去するのでその後の冷間加
工の際の伸線が容易となってアルミニウム合金線製造の
歩留りが向上する。
の含有量を0.01〜0.025 重量%と特開平4-311549号公報
の場合より少なく且つ特定の範囲とすることにより高導
電率が確保でき、しかして該公報の技術で必須であった
導電率回復のための第2回目の熱処理が省略できる。ま
たTiの上記量の含有により表面状態の良好な荒引線が得
易くなり、しかも加えて荒引線の表面層の除去により荒
引線の表面に存在する疵を除去するのでその後の冷間加
工の際の伸線が容易となってアルミニウム合金線製造の
歩留りが向上する。
【0011】本発明においては、Zr0.25〜0.55%(重量
%、以下同様)、Si0.03〜0.3 %、Fe 0.1〜0.3 %、Ti
0.01〜0.025 %、および残部Alからなるアルミニウム合
金を用いる。かかるアルミニウム合金は、アルミニウム
地金に添加成分、即ちZr、Si、Fe、およびTi、を所定量
添加して調製することができる。アルミニウム地金は、
一般に各種の不純物を含有しており、用いたアルミニウ
ム地金が不純物として上記の添加成分の少なくとも一種
を含有している場合には、本発明においては添加成分の
添加量と不純物としての含有量との合計量が上記した各
添加成分毎の量範囲に入ればよい。例えば、使用したア
ルミニウム地金が不純物としてSiを0.01%含有している
場合、0.03%分に相当する量のSiを添加すると、Siの含
有量は0.04%とする。他の添加成分、即ちZr、Fe、およ
びTiについても同様である。
%、以下同様)、Si0.03〜0.3 %、Fe 0.1〜0.3 %、Ti
0.01〜0.025 %、および残部Alからなるアルミニウム合
金を用いる。かかるアルミニウム合金は、アルミニウム
地金に添加成分、即ちZr、Si、Fe、およびTi、を所定量
添加して調製することができる。アルミニウム地金は、
一般に各種の不純物を含有しており、用いたアルミニウ
ム地金が不純物として上記の添加成分の少なくとも一種
を含有している場合には、本発明においては添加成分の
添加量と不純物としての含有量との合計量が上記した各
添加成分毎の量範囲に入ればよい。例えば、使用したア
ルミニウム地金が不純物としてSiを0.01%含有している
場合、0.03%分に相当する量のSiを添加すると、Siの含
有量は0.04%とする。他の添加成分、即ちZr、Fe、およ
びTiについても同様である。
【0012】アルミニウム地金としては、電気用アルミ
ニウム地金(例えば、JIS H 2110)などを用いることが
できる。なお、アルミニウム地金に通常含まれる各種不
純物を通常のレベルで含むことは許容し得るが、V のよ
うにZrと結合して有効Zr量を低下せしめる元素の含有量
が可及的に少ない地金を用いることが望ましい。
ニウム地金(例えば、JIS H 2110)などを用いることが
できる。なお、アルミニウム地金に通常含まれる各種不
純物を通常のレベルで含むことは許容し得るが、V のよ
うにZrと結合して有効Zr量を低下せしめる元素の含有量
が可及的に少ない地金を用いることが望ましい。
【0013】本発明においてZrを0.25〜0.55%としたの
は、0.25%未満では導電率を60%以上に向上させた際に
強度が不足し、一方、0.55%より多い場合では導電率を
向上せしめるための熱処理に長時間を要するためであ
る。而してZrの好ましい添加量は、0.30〜0.40%であ
る。
は、0.25%未満では導電率を60%以上に向上させた際に
強度が不足し、一方、0.55%より多い場合では導電率を
向上せしめるための熱処理に長時間を要するためであ
る。而してZrの好ましい添加量は、0.30〜0.40%であ
る。
【0014】Siを0.03〜0.3 %としたのは、Siの添加に
よるAl3 Zrの析出促進の効果が0.03%未満では充分でな
く、一方 0.3%より多い場合では連続鋳造圧延において
鋳造欠陥を生じて荒引線の製造が困難となる。したがっ
て、Siの好ましい添加量は、0.05〜0.20%である。
よるAl3 Zrの析出促進の効果が0.03%未満では充分でな
く、一方 0.3%より多い場合では連続鋳造圧延において
鋳造欠陥を生じて荒引線の製造が困難となる。したがっ
て、Siの好ましい添加量は、0.05〜0.20%である。
【0015】Feを 0.1〜 0.3%としたのは、Fe添加によ
る強度向上の効果が 0.1%未満では不充分であり、一方
0.3%より多い場合では耐熱性と導電率が低下する傾向
がある。而してFeの好ましい添加量は、 0.1〜0.25%で
ある。
る強度向上の効果が 0.1%未満では不充分であり、一方
0.3%より多い場合では耐熱性と導電率が低下する傾向
がある。而してFeの好ましい添加量は、 0.1〜0.25%で
ある。
【0016】Tiの含有量が上記の適正範囲内であって
も、荒引線の表面には軽度ではあるがある程度の疵が生
じるが、かかる軽度の疵は後記する表面層の除去処理に
て除去することができる。しかしTiの含有量が過少であ
ると、表面層の除去処理にては除去し得ない大きな疵が
生じ、あるいは鋳造割れが生じる。しかしてTiを0.01〜
0.025 %としたのは、0.01%未満では上記の表面層の除
去処理にては除去し得ない大きな疵が生じたり鋳造割れ
が生じて、アルミニウム合金線の製造歩留りの低下を来
す。一方、0.025 %より多い場合は導電率が低下する。
而してTiの好ましい添加量は、0.01〜0.02%である。
も、荒引線の表面には軽度ではあるがある程度の疵が生
じるが、かかる軽度の疵は後記する表面層の除去処理に
て除去することができる。しかしTiの含有量が過少であ
ると、表面層の除去処理にては除去し得ない大きな疵が
生じ、あるいは鋳造割れが生じる。しかしてTiを0.01〜
0.025 %としたのは、0.01%未満では上記の表面層の除
去処理にては除去し得ない大きな疵が生じたり鋳造割れ
が生じて、アルミニウム合金線の製造歩留りの低下を来
す。一方、0.025 %より多い場合は導電率が低下する。
而してTiの好ましい添加量は、0.01〜0.02%である。
【0017】本発明においては、上記したアルミニウム
合金につき連続鋳造圧延を経て荒引線を得る。連続鋳造
圧延法としては、プロペルチ法、ヘズレー法、SCR 法な
どの周知の方法であってよい。例えば連続鋳造圧延法に
おいて、鋳造開始時の溶湯温度を750 〜850 ℃として例
えば断面積が 500mm2 〜1000mm2 程度の鋳造バーを得、
ついで得られた鋳造バーが 200℃以下の温度になる間に
減面率80%以上で圧延して荒引線を得る。
合金につき連続鋳造圧延を経て荒引線を得る。連続鋳造
圧延法としては、プロペルチ法、ヘズレー法、SCR 法な
どの周知の方法であってよい。例えば連続鋳造圧延法に
おいて、鋳造開始時の溶湯温度を750 〜850 ℃として例
えば断面積が 500mm2 〜1000mm2 程度の鋳造バーを得、
ついで得られた鋳造バーが 200℃以下の温度になる間に
減面率80%以上で圧延して荒引線を得る。
【0018】以上のようにして得た荒引線は、次いで 3
50〜500 ℃の温度で20〜100 時間の熱処理が施される。
この処理により、鋳造時に強制固溶したZrを微細なAl3
Zr粒子として析出させることができる。この結果、熱処
理された荒引線は加工硬化して良好な強度を持つに到
り、また析出粒子はさらに微細に粉砕される。なお、35
0 ℃未満の熱処理温度では、Al3 Zr粒子の析出速度が遅
く、一方 500℃より高い温度では析出粒子の粗大化のた
めに耐熱性が低下する。また処理時間が20時間未満では
Zrの析出が充分でなく、一方100 時間より長いと工業的
に意味を持たなくなる。而して、400 〜450 ℃の温度で
30〜60時間の熱処理が好ましい。
50〜500 ℃の温度で20〜100 時間の熱処理が施される。
この処理により、鋳造時に強制固溶したZrを微細なAl3
Zr粒子として析出させることができる。この結果、熱処
理された荒引線は加工硬化して良好な強度を持つに到
り、また析出粒子はさらに微細に粉砕される。なお、35
0 ℃未満の熱処理温度では、Al3 Zr粒子の析出速度が遅
く、一方 500℃より高い温度では析出粒子の粗大化のた
めに耐熱性が低下する。また処理時間が20時間未満では
Zrの析出が充分でなく、一方100 時間より長いと工業的
に意味を持たなくなる。而して、400 〜450 ℃の温度で
30〜60時間の熱処理が好ましい。
【0019】熱処理された荒引線は、次いで荒引線の表
面に存在する疵を除去するように表面層の除去処理が施
される。この除去処理においては、荒引線を周知の皮剥
ぎダイスを通過せしめて荒引線の表面層を疵ごと除去す
る。除去される表面層の厚みは、除去処理前の荒引線の
表面に存在する個々の疵の深さより少なくとも150μ
m、特に200〜300μm程度深く(厚く)すること
が好ましい。なお個々の疵は、その各深さが多くの場
合、300μm程度以下である。一方、工業的には一定
条長の荒引線に対して一個の皮剥ぎダイスを用いるの
で、該一定条長の荒引線に存在する最深の疵が除去でき
るように厚目の除去を行う。例えば、最深の疵の深さが
300μmであった場合には、荒引線の全長を500μ
m厚みの除去を行うとよい。本発明において上記の表面
層の除去処理は、熱処理の前および/または後に行って
もよい。
面に存在する疵を除去するように表面層の除去処理が施
される。この除去処理においては、荒引線を周知の皮剥
ぎダイスを通過せしめて荒引線の表面層を疵ごと除去す
る。除去される表面層の厚みは、除去処理前の荒引線の
表面に存在する個々の疵の深さより少なくとも150μ
m、特に200〜300μm程度深く(厚く)すること
が好ましい。なお個々の疵は、その各深さが多くの場
合、300μm程度以下である。一方、工業的には一定
条長の荒引線に対して一個の皮剥ぎダイスを用いるの
で、該一定条長の荒引線に存在する最深の疵が除去でき
るように厚目の除去を行う。例えば、最深の疵の深さが
300μmであった場合には、荒引線の全長を500μ
m厚みの除去を行うとよい。本発明において上記の表面
層の除去処理は、熱処理の前および/または後に行って
もよい。
【0020】なお表面層が除去処理される荒引線の断面
形状が円形からかなり変形している場合には除去処理に
先立って、荒引線を伸線ダイスを通過せしめて可及的に
円形に矯正することが好ましく、かかる場合には皮剥ぎ
ダイスの上手に伸線ダイスを設置して荒引線を両ダイス
を順次通過せしめるとよい。
形状が円形からかなり変形している場合には除去処理に
先立って、荒引線を伸線ダイスを通過せしめて可及的に
円形に矯正することが好ましく、かかる場合には皮剥ぎ
ダイスの上手に伸線ダイスを設置して荒引線を両ダイス
を順次通過せしめるとよい。
【0021】表面層が除去処理された荒引線は、次いで
断面積減少率が65%以上となる冷間加工に付される。こ
の際の断面積減少率が65%未満では、加工硬化が充分で
ない。一方、過度の冷間加工は導電率の低下、耐熱性の
低下等の問題が生じる傾向があるので、本発明において
は断面積減少率が70〜95%の範囲となる冷間加工を施す
ことが好ましい。
断面積減少率が65%以上となる冷間加工に付される。こ
の際の断面積減少率が65%未満では、加工硬化が充分で
ない。一方、過度の冷間加工は導電率の低下、耐熱性の
低下等の問題が生じる傾向があるので、本発明において
は断面積減少率が70〜95%の範囲となる冷間加工を施す
ことが好ましい。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を一層
詳細に説明する。 実施例1〜10、比較例1〜15 表1(実施例1〜10)および表2(比較例1〜15)
に示す組成(残部はアルミニウム)のアルミニウム合金
をプロペルチ法により連続鋳造圧延して平均外径12.5mm
の荒引線を得、該荒引線につき熱処理を施した。かくし
て得た荒引線を内径10 mm の伸線ダイスと内径9.7mm の
皮剥ぎダイスとを順次通過せしめて平均厚150 μmの表
面層の除去処理を施して表面が平滑となった平均外径9.
7 mmの荒引線を得、ついで断面積減少率78.5%の冷間加
工を加えて外径 4.5mmのアルミニウム合金線を得た。但
し、Tiの含有量が過少である比較例1〜4、比較例6、
比較例12、および比較例15のうち、比較例1〜4で
は荒引線に深さ1〜4 mm程度の大きな疵が多数生じて
いたので、一方、比較例6、比較例12、および比較例
15については鋳割れが生じたので、たとえ表面層の除
去処理を数回くり返して疵が除去できたとしても荒引線
が過度に細径化して加工率を大きくとれず、十分に加工
硬化したアルミニウム合金線が得られないので、それら
の比較例についてはアルミニウム合金線の製造を断念し
た。
詳細に説明する。 実施例1〜10、比較例1〜15 表1(実施例1〜10)および表2(比較例1〜15)
に示す組成(残部はアルミニウム)のアルミニウム合金
をプロペルチ法により連続鋳造圧延して平均外径12.5mm
の荒引線を得、該荒引線につき熱処理を施した。かくし
て得た荒引線を内径10 mm の伸線ダイスと内径9.7mm の
皮剥ぎダイスとを順次通過せしめて平均厚150 μmの表
面層の除去処理を施して表面が平滑となった平均外径9.
7 mmの荒引線を得、ついで断面積減少率78.5%の冷間加
工を加えて外径 4.5mmのアルミニウム合金線を得た。但
し、Tiの含有量が過少である比較例1〜4、比較例6、
比較例12、および比較例15のうち、比較例1〜4で
は荒引線に深さ1〜4 mm程度の大きな疵が多数生じて
いたので、一方、比較例6、比較例12、および比較例
15については鋳割れが生じたので、たとえ表面層の除
去処理を数回くり返して疵が除去できたとしても荒引線
が過度に細径化して加工率を大きくとれず、十分に加工
硬化したアルミニウム合金線が得られないので、それら
の比較例についてはアルミニウム合金線の製造を断念し
た。
【0023】各実施例並びに比較例(但し比較例1〜
4、比較例6、比較例12、および比較例15を除く)
で得た各アルミニウム合金線につき、導電率、引張り強
さ、および耐熱性を評価した。耐熱性は、280℃で1
時間加熱した後の引張り強さの初期引張り強さに対する
低下残率(%)で示した。表1には各実施例についての
アルミニウム合金組成とアルミニウム合金線の特性を示
し、表2には各比較例についてのアルミニウム合金組成
とアルミニウム合金線の特性を示す。また表3には各実
施例についての連続鋳造圧延工程における注湯温度、荒
引線を得るための圧延時における圧延開始及び終了温
度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示し、表4
には各比較例についての連続鋳造圧延工程における注湯
温度、荒引線を得るための圧延時における圧延開始及び
終了温度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示
す。
4、比較例6、比較例12、および比較例15を除く)
で得た各アルミニウム合金線につき、導電率、引張り強
さ、および耐熱性を評価した。耐熱性は、280℃で1
時間加熱した後の引張り強さの初期引張り強さに対する
低下残率(%)で示した。表1には各実施例についての
アルミニウム合金組成とアルミニウム合金線の特性を示
し、表2には各比較例についてのアルミニウム合金組成
とアルミニウム合金線の特性を示す。また表3には各実
施例についての連続鋳造圧延工程における注湯温度、荒
引線を得るための圧延時における圧延開始及び終了温
度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示し、表4
には各比較例についての連続鋳造圧延工程における注湯
温度、荒引線を得るための圧延時における圧延開始及び
終了温度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示
す。
【0024】表1から、各実施例とも導電率、引張り強
さ、および耐熱性に優れていることがわかる。これに対
して表2から、アルミニウム合金線の製造を断念した比
較例1〜4、比較例6、比較例12、および比較例15
は論外として、それ以外の比較例は、いずれも導電率に
劣ることがわかる。
さ、および耐熱性に優れていることがわかる。これに対
して表2から、アルミニウム合金線の製造を断念した比
較例1〜4、比較例6、比較例12、および比較例15
は論外として、それ以外の比較例は、いずれも導電率に
劣ることがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、60%以上の導電率でし
かも高機械的強度を有し、更に280 ℃前後の短時間許容
高温度を有する、換言すると、導電性と耐熱性の両面に
優れた高品質のアルミニウム合金線を高歩留りでしかも
簡単な工程にて製造することができる。
かも高機械的強度を有し、更に280 ℃前後の短時間許容
高温度を有する、換言すると、導電性と耐熱性の両面に
優れた高品質のアルミニウム合金線を高歩留りでしかも
簡単な工程にて製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 661 C22F 1/00 661A 684 684C 685 685Z 691 691B 691C 694 694A
Claims (1)
- 【請求項1】 Zr0.25〜0.55重量%、Si0.03〜0.3 重量
%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025 重量%、残部
Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引線とし、荒引
線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱処理し、該熱
処理の前および/または後に荒引線の表面に存在する疵
を除去するように荒引線の表面層を除去し、ついで断面
積減少率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導
電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15565498A JPH11350093A (ja) | 1998-06-04 | 1998-06-04 | 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15565498A JPH11350093A (ja) | 1998-06-04 | 1998-06-04 | 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11350093A true JPH11350093A (ja) | 1999-12-21 |
Family
ID=15610700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15565498A Pending JPH11350093A (ja) | 1998-06-04 | 1998-06-04 | 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11350093A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013119660A (ja) * | 2011-12-08 | 2013-06-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | アルミニウム合金線及びその製造方法、並びにコイル |
CN104561669A (zh) * | 2014-12-27 | 2015-04-29 | 北京工业大学 | 一种Al-Er-Zr-Si合金的形变热处理工艺 |
CN104588432A (zh) * | 2014-12-12 | 2015-05-06 | 西南铝业(集团)有限责任公司 | 铝合金导轨型材的制备工艺 |
CN105369073A (zh) * | 2015-10-15 | 2016-03-02 | 远东电缆有限公司 | 智能电网用高强耐热铝合金单线、导线及其加工工艺 |
CN105838929A (zh) * | 2016-03-31 | 2016-08-10 | 广东省材料与加工研究所 | 一种稀土铝合金导线及其制造方法 |
-
1998
- 1998-06-04 JP JP15565498A patent/JPH11350093A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013119660A (ja) * | 2011-12-08 | 2013-06-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | アルミニウム合金線及びその製造方法、並びにコイル |
CN104588432A (zh) * | 2014-12-12 | 2015-05-06 | 西南铝业(集团)有限责任公司 | 铝合金导轨型材的制备工艺 |
CN104561669A (zh) * | 2014-12-27 | 2015-04-29 | 北京工业大学 | 一种Al-Er-Zr-Si合金的形变热处理工艺 |
CN105369073A (zh) * | 2015-10-15 | 2016-03-02 | 远东电缆有限公司 | 智能电网用高强耐热铝合金单线、导线及其加工工艺 |
CN105838929A (zh) * | 2016-03-31 | 2016-08-10 | 广东省材料与加工研究所 | 一种稀土铝合金导线及其制造方法 |
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