JPH11350093A - 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 - Google Patents

導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法

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JPH11350093A
JPH11350093A JP15565498A JP15565498A JPH11350093A JP H11350093 A JPH11350093 A JP H11350093A JP 15565498 A JP15565498 A JP 15565498A JP 15565498 A JP15565498 A JP 15565498A JP H11350093 A JPH11350093 A JP H11350093A
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JP
Japan
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wire
aluminum alloy
rough
heat
heat treatment
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JP15565498A
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Tomohiko Muto
智彦 武藤
Takeshi Ikeda
毅 池田
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウム
合金線を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る
方法を提供すること。 【解決手段】 Zr0.25〜0.55重量%、Si0.03〜0.3 重量
%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025 重量%、残部
Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引線とし、荒引
線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱処理し、該熱
処理の前および/または後に荒引線の表面に存在する疵
を除去するように荒引線の表面層を除去し、ついで断面
積減少率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導
電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法。 【効果】 60%以上の高導電率で280 ℃前後の短時間許
容高温度を有する耐熱性に優れた高品質のアルミニウム
合金線を高歩留りでしかも簡単な工程にて製造すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性並びに耐熱
性に優れ、而して電力ケーブルの導電体として好適なア
ルミニウム合金線の製造方法に関する。
【0002】耐熱アルミニウム合金として、従来より60
TAl (60%導電率耐熱性アルミニウム合金) やUTAl( 耐熱
性アルミニウム合金) などが実用化されてきている。し
かし60TAl は短時間許容温度が180 ℃と低い問題があ
り、一方、UTAlは短時間許容温度は 230℃と充分高いも
のの導電率が 58%と低い問題がある。
【0003】これに対して、近年の電力需要の増大に伴
ってケーブル送電容量アップの必要性が高まってきてお
り、このために送電許容温度が高く且つ導電率の高いア
ルミニウム合金線が求められている。
【0004】耐熱アルミニウム合金としては Al-Zr系合
金が一般的である。しかし従来の60TAl や UTAl 等の合
金においては、Zrの添加量を多くすればZrの固溶によっ
て耐熱性が高くなる反面、導電率の低下をも伴う。従っ
て実際的にはZrは0.1 重量%程度しか添加できず、ため
に耐熱性の向上にも限界があった。
【0005】導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウ
ム合金線を製造する方法として、特公昭60-7702 号公
報、特開平4-311549号公報などに記載の方法が提案され
ている。このうち特公昭60-7702 号公報では、Zr0.22〜
0.35重量%、Si0.06〜0.15重量%、残部が通常の不純物
を含むアルミニウム合金を順次、連続鋳造、温間圧延、
熱処理、および冷間加工を行う方法が提案されている。
しかしこの提案で得られる荒引線は、概してその表面に
多数の疵が生じ易く、疵のある荒引線は線引が困難であ
るために、アルミニウム合金線の製造の歩留りが悪い問
題がある。
【0006】一方、特開平4-311549号公報では、Zr0.25
〜0.45重量%、Si0.03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量
%、Ti0.01〜0.05重量%、残部Alからなる合金を順次、
連続鋳造、第1 回目の熱処理、冷間加工、および第2 回
目の熱処理を行う方法が提案されている。この提案で
は、第1 回目の熱処理は導電率と引張強さを向上させる
ために行われ、第2 回目の熱処理は冷間加工での伸線に
より低下した導電率を回復するために行われる。しかし
この提案は、熱処理を二回行う必要があって、このため
に工程が複雑、コスト高、あるいはアルミニウム合金線
の製造に長時間を要するなど問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
て、導電性と耐熱性の両面に優れたアルミニウム合金線
を一回の熱処理にてしかも高歩留りで製造し得る方法を
提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定のアルミ
ニウム合金を用い、且つ当該合金から連続鋳造を経て得
た荒引線に皮剥ぎを施すことにより、上記の課題を解決
し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】即ち本発明は、Zr0.25〜0.55重量%、Si0.
03〜0.3 重量%、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025
重量%、残部Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引
線とし、荒引線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱
処理し、該熱処理の前および/または後に荒引線の表面
に存在する疵を除去するように荒引線の表面層を除去
し、ついで断面積減少率65%以上の冷間加工を施すこと
を特徴とする導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法
である。
【0010】
【作用】アルミニウム合金の導電率を低下せしめ易いTi
の含有量を0.01〜0.025 重量%と特開平4-311549号公報
の場合より少なく且つ特定の範囲とすることにより高導
電率が確保でき、しかして該公報の技術で必須であった
導電率回復のための第2回目の熱処理が省略できる。ま
たTiの上記量の含有により表面状態の良好な荒引線が得
易くなり、しかも加えて荒引線の表面層の除去により荒
引線の表面に存在する疵を除去するのでその後の冷間加
工の際の伸線が容易となってアルミニウム合金線製造の
歩留りが向上する。
【0011】本発明においては、Zr0.25〜0.55%(重量
%、以下同様)、Si0.03〜0.3 %、Fe 0.1〜0.3 %、Ti
0.01〜0.025 %、および残部Alからなるアルミニウム合
金を用いる。かかるアルミニウム合金は、アルミニウム
地金に添加成分、即ちZr、Si、Fe、およびTi、を所定量
添加して調製することができる。アルミニウム地金は、
一般に各種の不純物を含有しており、用いたアルミニウ
ム地金が不純物として上記の添加成分の少なくとも一種
を含有している場合には、本発明においては添加成分の
添加量と不純物としての含有量との合計量が上記した各
添加成分毎の量範囲に入ればよい。例えば、使用したア
ルミニウム地金が不純物としてSiを0.01%含有している
場合、0.03%分に相当する量のSiを添加すると、Siの含
有量は0.04%とする。他の添加成分、即ちZr、Fe、およ
びTiについても同様である。
【0012】アルミニウム地金としては、電気用アルミ
ニウム地金(例えば、JIS H 2110)などを用いることが
できる。なお、アルミニウム地金に通常含まれる各種不
純物を通常のレベルで含むことは許容し得るが、V のよ
うにZrと結合して有効Zr量を低下せしめる元素の含有量
が可及的に少ない地金を用いることが望ましい。
【0013】本発明においてZrを0.25〜0.55%としたの
は、0.25%未満では導電率を60%以上に向上させた際に
強度が不足し、一方、0.55%より多い場合では導電率を
向上せしめるための熱処理に長時間を要するためであ
る。而してZrの好ましい添加量は、0.30〜0.40%であ
る。
【0014】Siを0.03〜0.3 %としたのは、Siの添加に
よるAl3 Zrの析出促進の効果が0.03%未満では充分でな
く、一方 0.3%より多い場合では連続鋳造圧延において
鋳造欠陥を生じて荒引線の製造が困難となる。したがっ
て、Siの好ましい添加量は、0.05〜0.20%である。
【0015】Feを 0.1〜 0.3%としたのは、Fe添加によ
る強度向上の効果が 0.1%未満では不充分であり、一方
0.3%より多い場合では耐熱性と導電率が低下する傾向
がある。而してFeの好ましい添加量は、 0.1〜0.25%で
ある。
【0016】Tiの含有量が上記の適正範囲内であって
も、荒引線の表面には軽度ではあるがある程度の疵が生
じるが、かかる軽度の疵は後記する表面層の除去処理に
て除去することができる。しかしTiの含有量が過少であ
ると、表面層の除去処理にては除去し得ない大きな疵が
生じ、あるいは鋳造割れが生じる。しかしてTiを0.01〜
0.025 %としたのは、0.01%未満では上記の表面層の除
去処理にては除去し得ない大きな疵が生じたり鋳造割れ
が生じて、アルミニウム合金線の製造歩留りの低下を来
す。一方、0.025 %より多い場合は導電率が低下する。
而してTiの好ましい添加量は、0.01〜0.02%である。
【0017】本発明においては、上記したアルミニウム
合金につき連続鋳造圧延を経て荒引線を得る。連続鋳造
圧延法としては、プロペルチ法、ヘズレー法、SCR 法な
どの周知の方法であってよい。例えば連続鋳造圧延法に
おいて、鋳造開始時の溶湯温度を750 〜850 ℃として例
えば断面積が 500mm2 〜1000mm2 程度の鋳造バーを得、
ついで得られた鋳造バーが 200℃以下の温度になる間に
減面率80%以上で圧延して荒引線を得る。
【0018】以上のようにして得た荒引線は、次いで 3
50〜500 ℃の温度で20〜100 時間の熱処理が施される。
この処理により、鋳造時に強制固溶したZrを微細なAl3
Zr粒子として析出させることができる。この結果、熱処
理された荒引線は加工硬化して良好な強度を持つに到
り、また析出粒子はさらに微細に粉砕される。なお、35
0 ℃未満の熱処理温度では、Al3 Zr粒子の析出速度が遅
く、一方 500℃より高い温度では析出粒子の粗大化のた
めに耐熱性が低下する。また処理時間が20時間未満では
Zrの析出が充分でなく、一方100 時間より長いと工業的
に意味を持たなくなる。而して、400 〜450 ℃の温度で
30〜60時間の熱処理が好ましい。
【0019】熱処理された荒引線は、次いで荒引線の表
面に存在する疵を除去するように表面層の除去処理が施
される。この除去処理においては、荒引線を周知の皮剥
ぎダイスを通過せしめて荒引線の表面層を疵ごと除去す
る。除去される表面層の厚みは、除去処理前の荒引線の
表面に存在する個々の疵の深さより少なくとも150μ
m、特に200〜300μm程度深く(厚く)すること
が好ましい。なお個々の疵は、その各深さが多くの場
合、300μm程度以下である。一方、工業的には一定
条長の荒引線に対して一個の皮剥ぎダイスを用いるの
で、該一定条長の荒引線に存在する最深の疵が除去でき
るように厚目の除去を行う。例えば、最深の疵の深さが
300μmであった場合には、荒引線の全長を500μ
m厚みの除去を行うとよい。本発明において上記の表面
層の除去処理は、熱処理の前および/または後に行って
もよい。
【0020】なお表面層が除去処理される荒引線の断面
形状が円形からかなり変形している場合には除去処理に
先立って、荒引線を伸線ダイスを通過せしめて可及的に
円形に矯正することが好ましく、かかる場合には皮剥ぎ
ダイスの上手に伸線ダイスを設置して荒引線を両ダイス
を順次通過せしめるとよい。
【0021】表面層が除去処理された荒引線は、次いで
断面積減少率が65%以上となる冷間加工に付される。こ
の際の断面積減少率が65%未満では、加工硬化が充分で
ない。一方、過度の冷間加工は導電率の低下、耐熱性の
低下等の問題が生じる傾向があるので、本発明において
は断面積減少率が70〜95%の範囲となる冷間加工を施す
ことが好ましい。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を一層
詳細に説明する。 実施例1〜10、比較例1〜15 表1(実施例1〜10)および表2(比較例1〜15)
に示す組成(残部はアルミニウム)のアルミニウム合金
をプロペルチ法により連続鋳造圧延して平均外径12.5mm
の荒引線を得、該荒引線につき熱処理を施した。かくし
て得た荒引線を内径10 mm の伸線ダイスと内径9.7mm の
皮剥ぎダイスとを順次通過せしめて平均厚150 μmの表
面層の除去処理を施して表面が平滑となった平均外径9.
7 mmの荒引線を得、ついで断面積減少率78.5%の冷間加
工を加えて外径 4.5mmのアルミニウム合金線を得た。但
し、Tiの含有量が過少である比較例1〜4、比較例6、
比較例12、および比較例15のうち、比較例1〜4で
は荒引線に深さ1〜4 mm程度の大きな疵が多数生じて
いたので、一方、比較例6、比較例12、および比較例
15については鋳割れが生じたので、たとえ表面層の除
去処理を数回くり返して疵が除去できたとしても荒引線
が過度に細径化して加工率を大きくとれず、十分に加工
硬化したアルミニウム合金線が得られないので、それら
の比較例についてはアルミニウム合金線の製造を断念し
た。
【0023】各実施例並びに比較例(但し比較例1〜
4、比較例6、比較例12、および比較例15を除く)
で得た各アルミニウム合金線につき、導電率、引張り強
さ、および耐熱性を評価した。耐熱性は、280℃で1
時間加熱した後の引張り強さの初期引張り強さに対する
低下残率(%)で示した。表1には各実施例についての
アルミニウム合金組成とアルミニウム合金線の特性を示
し、表2には各比較例についてのアルミニウム合金組成
とアルミニウム合金線の特性を示す。また表3には各実
施例についての連続鋳造圧延工程における注湯温度、荒
引線を得るための圧延時における圧延開始及び終了温
度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示し、表4
には各比較例についての連続鋳造圧延工程における注湯
温度、荒引線を得るための圧延時における圧延開始及び
終了温度、および荒引線の熱処理の温度及び時間を示
す。
【0024】表1から、各実施例とも導電率、引張り強
さ、および耐熱性に優れていることがわかる。これに対
して表2から、アルミニウム合金線の製造を断念した比
較例1〜4、比較例6、比較例12、および比較例15
は論外として、それ以外の比較例は、いずれも導電率に
劣ることがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、60%以上の導電率でし
かも高機械的強度を有し、更に280 ℃前後の短時間許容
高温度を有する、換言すると、導電性と耐熱性の両面に
優れた高品質のアルミニウム合金線を高歩留りでしかも
簡単な工程にて製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 661 C22F 1/00 661A 684 684C 685 685Z 691 691B 691C 694 694A

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zr0.25〜0.55重量%、Si0.03〜0.3 重量
    %、Fe 0.1〜0.3 重量%、Ti0.01〜0.025 重量%、残部
    Alからなる合金を連続鋳造圧延を経て荒引線とし、荒引
    線を 350〜500 ℃の温度で20〜100 時間熱処理し、該熱
    処理の前および/または後に荒引線の表面に存在する疵
    を除去するように荒引線の表面層を除去し、ついで断面
    積減少率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導
    電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法。
JP15565498A 1998-06-04 1998-06-04 導電用耐熱アルミニウム合金線の製造方法 Pending JPH11350093A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013119660A (ja) * 2011-12-08 2013-06-17 Sumitomo Electric Ind Ltd アルミニウム合金線及びその製造方法、並びにコイル
CN104561669A (zh) * 2014-12-27 2015-04-29 北京工业大学 一种Al-Er-Zr-Si合金的形变热处理工艺
CN104588432A (zh) * 2014-12-12 2015-05-06 西南铝业(集团)有限责任公司 铝合金导轨型材的制备工艺
CN105369073A (zh) * 2015-10-15 2016-03-02 远东电缆有限公司 智能电网用高强耐热铝合金单线、导线及其加工工艺
CN105838929A (zh) * 2016-03-31 2016-08-10 广东省材料与加工研究所 一种稀土铝合金导线及其制造方法

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