JP2013119660A - アルミニウム合金線及びその製造方法、並びにコイル - Google Patents

アルミニウム合金線及びその製造方法、並びにコイル Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、コイルの素材に適したアルミニウム合金線、及びその製造方法、並びにコイルを提供する。
【解決手段】Zr:0.01質量%〜0.5質量%含有し、残部がAl及び不純物からなるアルミニウム合金(Al合金)から構成されたAl合金線である。Al合金は、更に、Fe,Si,アルカリ土類金属元素を特定の範囲で含有することができる。このAl合金線は、Zrを特定の範囲で含むことで、耐熱性に優れてクリープ変形し難い。また、このAl合金線は、特定の組成のAl合金から構成されることで、導電率が高い上に、強度にも優れるため、断線し難い。更に、このAl合金線は、伸線材に軟化処理を施すことで製造されることで靭性にも優れ、コイルを形成し易い。このAl合金線によって構成されるコイルは、耐熱性に優れる上に、導電率も高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、マグネットコイルなどの種々のコイルの素材に利用されるアルミニウム合金線及びその製造方法、並びに上記アルミニウム合金線から構成されるコイルに関するものである。特に、耐熱性に優れるアルミニウム合金線に関するものである。
従来より、一般家庭用電気機器や自動車、その他各種の機器の構成要素に、線材(巻線)を巻回してなるコイルが汎用されている。コイルを構成する素材:線材は、従来、導電性に優れた純銅や銅合金といった銅系材料から構成されたものが主流である。
一方、特許文献1に記載されるように、コイルの素材にアルミニウム合金線を利用することで、コイルの軽量化を図ることができる。
特開2011-162826号公報
しかし、アルミニウムやその合金は、銅系材料に比較して、耐熱性(耐クリープ性)に劣ることから、コイルの素材に用いるアルミニウム合金線に対して、耐熱性を向上することが望まれる。
コイルを形成する線材の端部には、通常、端子金具が取り付けられて、この端子金具を介してコイルと電源などの外部装置とが接続される。上記線材の端部と端子金具との接続形態には、種々の形態があるが、ボルトなどの締付部材による締め付けや、圧着といった、当該線材と端子金具とを機械的に接触させた接続形態がある。この形態では、経時的に線材が変形すると、接触抵抗が増大して、発熱損失が生じたり、当該コイルを具える機器の動作不良を招いたりする。
コイルの使用環境が高温である場合や、コイルへの通電時にジュール熱によってコイルが高温になる場合、当該コイルを形成する線材がクリープ変形し易いと、上述のように接触抵抗の増大による不具合が生じる。従って、コイルの素材に用いられるアルミニウム合金線には、コイルの使用時の温度が高い場合でも、長期に亘り変形し難いこと、即ち、耐熱性に優れることが望まれる。
また、コイルの素材に用いられるアルミニウム合金線は、導電率ができるだけ高いことが望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、耐熱性に優れ、コイルの素材に適したアルミニウム合金線を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記本発明アルミニウム合金線の製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記アルミニウム合金線によって構成されて、耐熱性に優れるコイルを提供することにある。
本発明者らは、コイルの導体素材に用いられる線材の材質として、純アルミニウムよりも高強度であるアルミニウム合金を対象として、耐熱性に優れるものを検討した。その結果、特定の元素を特定の範囲で含有することで、耐熱性に優れる上に、導電率が高いアルミニウム合金線とすることができる、との知見を得た。また、特定の組成のアルミニウム合金とすると共に、伸線後(直後でなくてもよい)に軟化処理を施した軟材とすることで、耐熱性に優れると共に、高導電率であり、コイルの形成性にも優れるアルミニウム合金線が得られる、との知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明のアルミニウム合金線は、コイルに利用される線材であって、Zrを0.01質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不純物からなるアルミニウム合金から構成される。
本発明アルミニウム合金線の一形態として、当該アルミニウム合金線の外周に絶縁被覆層を具える形態が挙げられる。
本発明のコイルとして、上記本発明アルミニウム合金線を巻回してなるものが挙げられる。
本発明アルミニウム合金線は、例えば、以下の本発明のアルミニウム合金線の製造方法によって製造することができる。本発明のアルミニウム合金線の製造方法は、コイルに利用されるアルミニウム合金線を製造する方法に係るものであり、以下の鋳造工程、圧延工程、伸線工程、軟化工程を具える。
1. 鋳造工程:Zrを0.01質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAlからなるアルミニウム合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する工程。
2. 圧延工程:上記鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する工程。
3. 伸線工程:上記圧延材に伸線加工を施して伸線材を形成する工程。
4. 軟化工程:上記伸線材に軟化処理を施して軟材を形成する工程。
上述の絶縁被覆層を具えるアルミニウム合金線を製造する場合、更に、5. 被覆工程:上記軟材の外周に絶縁被覆層を形成する工程を具える製造方法を利用するとよい。
本発明アルミニウム合金線(以下、Al合金線と呼ぶ)は、Zrを特定の範囲で含有することで、耐熱性に優れ、高温(例えば、150℃程度)に維持されても、クリープ変形し難い。そのため、本発明Al合金線から構成される本発明コイルは、使用温度が高い(例えば、150℃程度)場合でも、経時的にクリープ変形し難く、端子金具との接続抵抗が低い状態を維持することができる。従って、本発明コイルは、長期に亘り、端子金具との接触を十分に維持でき、接続抵抗の増大に伴う不具合が生じ難い。
また、本発明Al合金線は、Zrを特定の範囲で含有すると共に、軟化処理が施された軟材であることでZrを含有する析出物が適度に析出しており、耐熱性に優れると共に、添加元素の過剰固溶による導電率の低下を低減でき、導電率が高い。更に、本発明Al合金線は、Al合金で構成されることで、純アルミニウムからなる線材よりも高強度である上に、軟材であることで靭性にも優れる。本発明Al合金線は、高強度であることでコイル形成のための巻回時や端子金具の取付時などで過剰に潰れたり断線したりし難く、高靭性であることでコイルの形成性にも優れる上に、スプリングバックによるコイルの形状の崩れも生じ難い。従って、本発明Al合金線は、マグネットコイルといったコイル、特に使用時に高温になるような用途のコイルの素材に好適に利用することができる。
耐熱性に優れる上に、高導電率・高強度・高靭性な本発明Al合金線からなるコイル(本発明コイル)は、耐熱性に優れる上に、導電性にも優れる。また、このコイルは、寸法精度・形状精度に優れる上に、その寸法・形状を十分に維持でき、磁心などの組付作業時の作業性にも優れる。更に、本発明Al合金線は銅や銅合金からなる線材よりも軽量であるため、本発明コイルは軽量であり、本発明コイルを銅や銅合金からなるコイルの代替とする場合、軽量化を図ることができる。本発明Al合金線が絶縁被覆層を具える場合には、電気絶縁性に優れるコイルとすることができる。
本発明Al合金線の製造方法は、上述の耐熱性に優れる上に、高導電率・高強度・高靭性な本発明Al合金線を生産性よく製造することができる。
本発明の一形態として、上記アルミニウム合金がFeを0.01質量%以上0.5質量%以下、及びSiを0.01質量%以上0.5質量%以下の少なくとも一方を含有する形態が挙げられる。
上記形態は、Feを特定の範囲で含有することで強度を高められ、Siを特定の範囲で含有することで、Zrを含む析出物の析出を促進して、耐熱性の向上に寄与することができる。また、上記形態は、Fe及びSiが特定の範囲であることから、過剰添加による導電率の低下を抑制でき、導電率も高い。
本発明の一形態として、アルミニウム合金が少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を0.003質量%以上0.10質量%以下含有する形態が挙げられる。
上記形態は、アルカリ土類金属元素を特定の範囲で含有することで、鋳造組織の微細化を促進する効果があり、微細組織による高強度化が期待できることから、軟化しても高い強度を有することができる。
本発明の一形態として、上記アルミニウム合金が、更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有し、質量割合で、Tiの含有量が10ppm以上500ppm以下、Bの含有量が10ppm以上100ppm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、TiやBによって鋳造組織を微細にすることができ、微細組織による高強度化が期待できる。
本発明Al合金線の一形態として、クリープ伸びが1%以下である形態が挙げられる。但し、上記クリープ伸びは、保持温度を170℃とし、応力:20MPaの引張荷重を100時間加え続けた後の伸びとする。
上記形態は、170℃といった高温に100時間保持された後でもクリープ変形が小さく、使用時に高温になるコイルの素材に好適に利用することができる。また、このAl合金線からなるコイルは、耐熱性に優れる。
本発明Al合金線の一形態として、伸びが10%以上である形態が挙げられる。
上記形態は、耐熱性に優れる上に、伸びが十分に高く、コイルの形成性に優れることから、コイルの素材に好適に利用することができる。
本発明Al合金線の一形態として、引張強さが90MPa以上、0.2%耐力が30MPa以上、伸びが10%以上、導電率が57%IACS以上である形態が挙げられる。
上記形態は、耐熱性に優れる上に、高強度・高靭性・高導電率であり、コイルの形成性に優れたり、高導電率なコイルが得られることから、コイルの素材に好適に利用することができる。また、得られたコイルは、高導電率である上に、端子金具との接続時などで断線し難く、かつクリープ変形もし難いことから、長期に亘り、低抵抗な接続構造を維持できる。
本発明の製造方法の一形態として、上記軟化処理は、上記伸線材の加熱温度を250℃以上とする形態が挙げられる。
上記形態は、伸びを高められ、例えば、伸びが10%以上であるAl合金線が得られる上に、別途時効処理を行わなくても、Zrを含有する析出物の析出を促進して、耐熱性に優れるAl合金線が得られる。
本発明の製造方法の一形態として、上記鋳造工程は、連続鋳造とし、かつ当該鋳造工程と上記圧延工程とを連続的に行って連続鋳造圧延材を形成する形態が挙げられる。
上記形態は、連続鋳造を行うことで微細な結晶組織を有する鋳造材が得られ、かつ連続鋳造に続いて圧延を行うことで、当該鋳造材が有する熱を有効活用して圧延を行えることから、微細な結晶組織を有する伸線用素材:連続鋳造圧延材を生産性よく製造できる。
本発明Al合金線、及び本発明コイルは、耐熱性に優れる。本発明製造方法は、耐熱性に優れる本発明Al合金線を生産性よく製造できる。
以下、本発明をより詳細に説明する。なお、元素の含有量は、質量割合(%又はppm)を示す。
[Al合金線]
《組成》
本発明Al合金線は、Alを主成分とし、添加元素として少なくともZrを0.01%以上0.5%以下含有し、残部が不純物であるAl-Zr系合金により構成される。
Zrを0.01%以上含有することで、固溶したZr、並びにZrを含む析出物の存在によってクリープ変形し難くすることができ、耐熱性を高められる。Zrが多いほど、耐熱性を高められるが、多過ぎると、導電率の低下を招くことから、Zrの含有量は、0.5%以下とする。Zrのより好ましい範囲は、0.02%以上0.45%以下である。導電率を高める場合、Zrのより好ましい範囲は、0.02%以上0.3%以下である。
Al-Zrの二元合金の他、Zrに加えて、Feを0.01%以上0.5%以下、Siを0.01%以上0.5%以下、及び1種以上のアルカリ土類金属元素(Ca,Sr,Ba)を0.003%以上0.10%以下、からなる群から選択される1種以上の元素を含有するAl合金とすることができる。
Feを0.01%以上含有することで、Al合金線の強度(引張強さ、0.2%耐力)を向上できる。Feの含有量が多いほどAl合金線の強度を高められるが、導電率が低下したり、相対的に靭性が低下して硬くなり、(1)伸線時やコイル形成のための巻回時などで断線が生じ易い、(2)巻回し難い、(3)コイル形成後のスプリングバックが大きく、コイルの形状が崩れ易い、といった不具合が生じ得ることから、Feの含有量は、1.5%以下とする。導電率、線材の巻回性、コイルの形状の維持を考慮すると、Feの含有量は、0.05%以上が好ましく、0.1%以上0.3%以下がより好ましい。
Siは、Zrを含有する析出物の析出を促進する効果があり、Siを0.01%以上含有することで、この促進効果を十分に得られる。Siが多過ぎると、析出の促進効果が飽和する上に、導電率の低下を招くことから、Siの含有量は、0.5%以下とする。導電率を考慮すると、Siの含有量は、0.03%以上0.3%以下がより好ましい。
アルカリ土類金属元素(Ca,Sr,Ba)は、鋳造時、Al合金の結晶の微細化を促進でき、結晶組織の微細化によって強度が高められる。本発明Al合金線は、軟化することで強度が低下し得るが、微細組織によって強度の低下を低減でき、軟化後においても高い強度を有することができる。Ca,Sr,Baの少なくとも1種の元素を0.003%以上含有することで(複数の元素を含有する場合、合計含有量とする。以下、アルカリ土類金属元素の含有量について同じ。)、上記促進効果が十分に得られる。アルカリ土類金属元素が多過ぎると、圧延や伸線などの加工性が低下することから、アルカリ土類金属元素の含有量は0.10%以下とする。加工性を考慮すると、アルカリ土類金属元素の含有量は0.005%以上0.05%以下が好ましい。Ca,Sr,Baはいずれも、Feの存在下で上述の微細化の促進効果が得られ易いことから、Feと共に含有することが好ましい。
更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有するAl合金であると、強度を向上できる。TiやBは、Al合金の鋳造組織を微細にする効果があり、結晶組織の微細化によって強度が高められる。B単独の含有でもよいが、Ti単独、又はTiとBとの双方を含有すると、結晶組織の微細化効果を得易い。この微細化効果を十分に得るには、Tiの含有量は、10ppm以上500ppm以下(0.001%以上0.05%以下)、Bの含有量は、10ppm以上100ppm以下(0.001%以上0.01%以下)が好ましい。上記微細化効果は、Tiの含有量が500ppm程度、Bの含有量が100ppm程度で飽和し、それ以上の含有は導電率の低下を招く。Tiの含有量は、100ppm以上300ppm以下(0.01%以上0.03%以下)、Bの含有量は、10ppm以上50ppm以下がより好ましい。上述のアルカリ土類金属元素と共にTiを含有する場合、Tiの含有量を低減できる(例えば、10ppm〜100ppm程度(0.001%〜0.01%程度))。
《組織》
代表的には軟化処理が施された軟材であることから、本発明Al合金線や本発明コイルを構成する線材は、再結晶組織を有する。好ましくは平均結晶粒が30μm〜100μm程度である微細な再結晶組織を有する。また、代表的には、この再結晶組織中にZrを含有する析出物が分散して存在する組織を有する。
《特性》
本発明Al合金線は、耐熱性に優れ、クリープ変形し難いことから、上述の条件で測定したクリープ伸びが小さく、例えば、1%以下を満たす。クリープ伸びが小さいほど、耐熱性に優れ、0.1%以下であると、耐熱性により優れる。
本発明Al合金線は、代表的には軟化処理が施された軟材であることから靭性に優れ、伸び(室温)が高く、例えば、10%以上を満たす。伸びが高いほど、コイルの形成性や形状の保持性に優れ、20%以上、更に30%以上、特に35%以上であると、靭性により優れる。
本発明Al合金線は、上述のように添加元素の含有量が特定の範囲であることで、導電率が高く、例えば、57%IACS以上を満たす。導電率が高いほど、高導電率のコイルとすることができ、58%IACS以上、更に60%IACS以上、特に62%IACS以上であると、導電性により優れる。
本発明Al合金線は、上述のように高靭性でありながら、強度にも優れ、例えば、引張強さ(室温)が90MPa以上、0.2%耐力(室温)が30MPa以上を満たす。強度が高いほど、端子金具の取付時の変形・断線を防止して、低抵抗な接続構造を構築できる。引張強さが100MPa以上、更に110MPa以上、0.2%耐力が50MPa以上、更に70MPa以上であると、強度により優れる。但し、強度が高過ぎると、相対的に靭性が低下する傾向にあることから、引張強さは、150MPa以下が好ましく、0.2%耐力は、130MPa以下が好ましい。引張強さが同じ線材を比較すると、0.2%耐力が高い線材の方が端子金具との固着力を高められる傾向にある。従って、0.2%耐力が高い本発明Al合金線は、端子金具が取り付けられるコイルの素材に好適に利用することができる。
添加元素(種類や含有量)、製造条件(軟化条件など)を適宜調整することで、クリープ伸び、導電率、伸び(室温)、引張強さ(室温)、0.2%耐力(室温)が上記特定の範囲を満たすAl合金線が得られる。例えば、Zrを多くしたり、軟化処理時の加熱温度を高くした後に降温速度を遅くすると、クリープ伸びが低くなる傾向にある。FeやSi、アルカリ土類金属元素を少なくしたり、軟化処理時の加熱温度を高くした後に降温速度を遅くすると、導電率及び靭性が高くなる傾向にあり、FeやSi、アルカリ土類金属元素を多くしたり、軟化処理時の加熱温度を低くすると、強度や0.2%耐力が高くなる傾向にある。
《形状》
本発明Al合金線は、伸線時の加工度(断面減少率)を適宜調整することで、種々の線径(直径)を有することができる。例えば、一般家庭電気製品に内蔵されるモータのマグネットコイルに利用する場合、線径は0.2mm以上1.5mm以下、特に、0.7mm〜1.1mmが挙げられる。
本発明Al合金線は、伸線に用いるダイス形状によって種々の断面形状を有する形態とすることができる。断面円形状の丸線、断面長方形状の平角線が代表的であり、その他、断面形状が楕円形状、六角形などの多角形状などの異形線が挙げられる。断面形状は適宜選択することができる。
[絶縁被覆層を具えるAl合金線]
本発明Al合金線は、コイルの素材として、このまま裸線として使用することができるが、当該Al合金線の外周に絶縁被覆層を具える被覆線とすると、絶縁性に優れるコイルが得られる。絶縁被覆層を構成する絶縁材料は、導体が銅や銅合金からなるコイル用線材に汎用されているポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルスルホン、及びその混合物といったエナメルが挙げられる。絶縁被覆層の厚さは、所望の絶縁強度を考慮して適宜選択することができ、例えば、20μm〜100μm程度が挙げられる。
[コイル]
本発明コイルは、本発明Al合金線(上述の裸線、又は被覆線)を螺旋状に巻回して形成される。このコイルは、各種のモータのマグネットコイルなどに好適に利用できる。コイルの巻き径、巻き数などは適宜選択することができる。本発明コイルは、耐熱性に優れ、高導電率・高靭性・高強度な本発明Al合金線によって構成されることで、当該Al合金線と同等の特性を有する。また、本発明コイルは、上述のように靭性に優れる本発明Al合金線を素材とすることで巻き易く、製造性に優れる上に、形状が崩れ難く、寸法精度にも優れる。
[製造方法]
《鋳造工程》
本発明製造方法は、まず、上述の特定の組成(Zr,適宜Fe,Si,アルカリ土類金属元素,Ti,Bなどを含み、残部Al及び不純物)のAl合金からなる鋳造材を形成する。本発明Al合金線は、コイルの素材に利用されることから連続した長尺な線材であることが望まれる。そのため、鋳造は、箱状の固定鋳型を用いる金型鋳造(ビレット鋳造)よりも、可動鋳型又は枠状の固定鋳型を用いる連続鋳造を利用することが好ましい。連続鋳造は、長尺材を容易に製造できる上に、溶湯を急冷凝固できるため、微細な結晶組織を有する鋳造材が得られる。また、急冷凝固により、晶析出物を微細にできる上に、この微細な晶析出物が均一的に分散した組織を有する鋳造材とすると、最終的に微細な結晶組織を有するAl合金線を製造し易く、微細な晶析出物の分散による耐熱性の向上や靭性の向上、結晶の微細化による強度の向上を図ることができる。冷却速度は、適宜選択でき、1℃/sec以上、特に4℃/sec以上が好ましい。また、溶湯の固液共存温度域である600℃〜700℃において冷却速度は20℃/sec以上が好ましい。上述のような冷却速度による急冷凝固には、例えば、水冷銅鋳型や強制水冷機構などを有する連続鋳造機を用いることが挙げられる。
TiやBを添加する場合、溶湯を鋳型に注湯する直前に添加すると、Tiなどが局所的に沈降することを抑制して、Tiなどが均等に混合された鋳造材を製造できる。
《圧延工程》
上記鋳造材に(熱間)圧延を施し、圧延材を形成する。特に、上記鋳造工程と当該圧延工程とを連続的に行うと、鋳造材に蓄積される熱を利用して熱間圧延を容易に行えてエネルギー効率がよい上に、鋳造工程と圧延工程とを独立した工程とする場合と比較して、伸線用素材(鋳造圧延材)を効率よく製造できる。また、鋳造材を連続鋳造とし、更に圧延を連続して行うことで、伸線用素材として、微細な結晶組織を有する連続鋳造圧延材を製造することができる。
《伸線工程》
上記圧延材又は連続鋳造圧延材に(冷間)伸線加工を施し、伸線材を形成する。伸線加工度は、所望の線径に応じて適宜選択することができる。
《軟化工程》
上記伸線材に軟化処理を施す。軟化処理における上記伸線材の加熱温度は、250℃以上が好ましく、軟化処理後の線材が靭性及び強度の双方に優れるように(例えば、伸び10%以上及び引張強さ90MPa以上を満たす)条件を調整する。この軟化処理は、結晶組織を微細な再結晶組織として、靭性の向上を図るために行う。加熱温度を250℃以上とすることで、この軟化処理は、Zrを含有する析出物の時効処理としても機能することができる。従って、本発明Al合金線の製造にあたり、時効処理を省略することができる。製造工程の適宜なとき(例えば、伸線前や伸線途中)に時効処理を別途施しても勿論よい。
軟化処理の雰囲気は、大気雰囲気、その他、酸素含有量がより少ない雰囲気、例えば、非酸化性雰囲気が挙げられる。非酸化性雰囲気は、軟化処理中の熱による線材表面の酸化を抑制できる。非酸化性雰囲気は、例えば、真空雰囲気(減圧雰囲気)、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気、水素含有ガス(例えば、水素(H2)のみ、N2,Ar,ヘリウム(He)といった不活性ガスと水素(H2)との混合ガスなど)や炭酸ガス含有ガス(例えば、一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)との混合ガスなど)といった還元ガス雰囲気が挙げられる。
軟化処理には、連続処理及びバッチ処理のいずれも利用できる。連続処理は、連続した長尺な線材に対して効率よく熱処理を行え、バッチ処理は、温度制御を行い易く、精度よく熱処理を行える。
バッチ処理(光輝軟化処理)では、加熱用容器(雰囲気炉、例えば、箱型炉)内に加熱対象を封入して加熱する。加熱対象が所望の加熱温度となるように加熱用容器内の温度(少なくとも加熱対象の加熱温度を超える温度)を調整する。加熱温度は、上述のように250℃以上が好ましく、高いほど、析出物の析出、靭性の向上を図ることができる。例えば、加熱温度は、300℃以上、更に350℃以上、特に450℃以上とすることができる。保持時間は0.5時間以上6時間以下が挙げられる。加熱温度を500℃以下、保持時間を6時間以下とすると、軟化後の線材の強度の低下を抑制でき、例えば、軟化後の線材の引張強さを90MPa以上、0.2%耐力を30MPa以上とすることができる。バッチ処理では、加熱温度からの冷却を徐冷(降温速度を50℃/sec以下)とすると、非常に微細な析出物を比較的多く析出し易い。
連続処理では、加熱用容器内に加熱対象を連続的に供給して、加熱対象を連続的に加熱する。具体的な形態は、加熱用容器(例えば、パイプ炉)内に加熱対象を導入して熱伝導により加熱する炉式、加熱対象に通電し、抵抗加熱により加熱する直接通電方式、加熱対象を高周波数の電磁誘導により加熱する間接通電方式などが挙げられる。特に、炉式は、加熱用容器内の雰囲気の温度調節が容易であり、利用し易い。加熱用容器内には、例えば、高温の水蒸気を充填して使用する。
連続処理を利用する場合には、特許文献1に記載されるように、線材における伸びなどの特性と、この特性に関与し得る制御パラメータとの相関データを予め作成すると、加熱対象を所望の温度で熱処理するための条件を容易に選択することができる。
上記軟化処理は、伸線直後に施してもよいし、後述する絶縁被覆層の形成工程を具える場合、伸線後絶縁被覆層を形成するまでの適宜な時期に施すことができる。例えば、伸線後に伸線材を所定の形状に加工する工程(例えば、断面円形状を断面矩形状に加工するなど)を含む場合、上記軟化処理は、伸線直後に行ってもよいし、伸線後上述の形状加工後に軟化処理を行ってもよい。
その他、軟化条件は、Zrの含有量によって調整することができる。例えば、Zrの含有量が上述の特定の範囲内で多い場合、加熱温度を500℃以下の範囲で高めると十分に析出物を析出させることができ、Zrの含有量が上述の特定の範囲内で少ない場合、加熱温度を250℃以上の範囲で低めにしても析出物を析出できる。
《被覆工程》
上記軟材の外周に絶縁被覆層を形成することで、絶縁被覆層を具えるAl合金線(被覆線)を製造できる。絶縁被覆層は、代表的には、絶縁材料(例えば、エナメル)の塗布→乾燥→焼付け(加熱)により形成することができる。被覆絶縁層の形成は、導体が銅系材料からなるコイル用線材に利用されている公知の手法を適宜利用することができる。塗布前に線材表面を洗浄する工程を具えて、伸線時の潤滑剤や線材表面の酸化膜を除去すると、絶縁材料の密着性を高められる。焼付けには、ヒータや熱風、高周波誘導加熱などの種々の手法を利用できる。特に、焼付けには、線材に張力が加わらないように線材を保持した状態で、熱風を循環して線材を加熱する熱風循環機構を利用すると、線材が断線し難く好ましい。
《コイル形成工程》
上述の被覆線を含む本発明Al合金線を螺旋状に巻回することで、本発明コイルを形成することができる。
[試験例]
鋳造→圧延→伸線→軟化→絶縁被覆層の形成という手順で、絶縁被覆層を具えるAl合金線を作製し、得られた被覆Al合金線の特性を調べた。この試験では、Al合金の組成が異なる複数のAl合金線を作製した。
ベースとして純アルミニウム(99.7質量%以上Al)を用意して溶解し、得られた溶湯(溶融アルミニウム)に、表1に示す添加元素:Zr,Fe,Si,Ba,Sr,Caを表1に示す含有量となるように投入して、Al合金の溶湯を作製する。成分調整を行ったAl合金の溶湯は、適宜、水素ガス除去処理や、異物除去処理を行うことが望ましい。Ti及びBは、鋳造直前に表1に示す含有量となるように、Al合金溶湯にTiBワイヤを供給することで添加する。
Figure 2013119660
ベルト-ホイール式の連続鋳造圧延機を用いて、用意したAl合金の溶湯に鋳造及び熱間圧延を連続的に施し、φ9.5mmのワイヤーロッド(連続鋳造圧延材)を作製する(鋳造時の冷却速度:4.5℃/sec)。
上記ワイヤーロッドに冷間伸線加工を施して、線径φ1.0mmの伸線材を作製する。得られた伸線材に、表1に示す温度で軟化処理を施して軟材(Al合金線)を作製する。軟化処理は、バッチ処理とし、軟材の温度が表1に示す温度(いずれも250℃以上)となるように箱型炉内の温度を調整した。伸線材の温度は、例えば、非接触赤外温度計を利用して測定できる。軟化処理の保持時間は、いずれも3時間とした。
得られた線径φ1.0mmの軟材に以下のようにして絶縁被覆層を形成し、絶縁被覆層を有するAl合金線(被覆線)を作製した。上記軟材(導体)の表面を洗浄した後、ペースト状の樹脂(ここではポリアミドイミド)を塗布し、この軟材を専用の加熱炉(例えば、熱風循環炉)で加熱し(450℃)、上記樹脂を熱硬化させた(焼付けた)。いずれの試料も、厚さが40μmとなるように絶縁被覆層を形成した。いずれの試料も断線することなく絶縁被覆層を形成することができた。
得られた各被覆線について、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、伸び(%)、導電率(%IACS)を測定した。その結果を表2に示す。
引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、及び伸び(%、破断伸び)は、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法、1998)に準拠して、汎用の引張試験機を用いて室温で測定した。導電率(%IACS)は、ブリッジ法により測定した。
また、以下のようにしてクリープ伸びを測定した。表1に示す各試料No.1〜6,100の組成のAl合金からなり、φ9.5mmのワイヤーロッドを上述のように作製し、得られたワイヤーロッドに伸線加工を施して、線径φ8.3mmの伸線材を作製する。得られた伸線材からJIS Z 2271(2010)に規定される「つば付き円形断面試験片」を切り出した。試験片における平行部の直径を3.0mm、標点距離(つば間の間隔)L0を15mmとした。切り出した試験片にそれぞれ、表1に示す各試料No.1〜6,100の温度(℃)×3時間の条件で熱処理(軟化処理)を実施した。恒温槽(大気雰囲気、170℃)内において、各試験片に一定の引張荷重(応力:20MPa)を負荷した状態で100時間保持する。100時間経過後、恒温槽から各試験片を取り出し、つば間の距離:Lafterを測定する。そして、各試料No.1〜6,100の組成の試験片について、{(Lafter−L0)/L0)}×100(%)をクリープ伸びとする。その結果を表2に示す。
なお、ここでは、クリープ伸びの測定用試験片として、上述のように伸線途中の線材(ここでは、φ8.3mmの線材)を利用した。最終線径まで伸線した線材(ここではφ1.0mmの線材)に軟化処理を施した後、上述のように絶縁被覆層を焼き付けた線材についてもクリープ伸びを測定でき、上述の伸線途中の線材の場合と同等の値を得ることができる。また、この場合、上述の切り出しなどを行わず、そのまま試験片とすることができる。
Figure 2013119660
表2に示すように、特定の範囲でZrを含有するAl合金からなる試料No.1〜6は、クリープ伸びが1%以下と小さく、Zrを含有していない試料No.100に比較して、耐熱性に優れることが分かる。特に、Zrが多い試料No.1,2,3,6は、耐熱性により優れることが分かる。また、Zrが比較的少ない試料No.4,5でも、Zrを含有していない試料No.100に比較して、クリープ伸びが十分に小さかった。従って、Zrを0.01%以上、好ましくは0.02%以上含有することで、耐熱性の向上に効果があることが確認された。
また、Zrが比較的少ない場合(例えば、試料No.4,5)でも、Siを含有することで析出物の析出を促進でき、耐熱性を向上できると期待される。Zrの含有量が同じ程度である場合(例えば、試料No.1,2,6)、Siを含有することで析出物の析出を促進でき、耐熱性をより向上できると期待される。
更に、添加元素を特定の範囲で含有するAl合金からなる試料No.1〜6は、高導電率である上に、高強度であり、かつ軟化していることで高靭性であることが分かる。具体的には、試料No.1〜6はいずれも、導電率:57%IACS以上、引張強さ:90MPa以上、0.2%耐力:30MPa以上、伸び:10%以上を有する。
得られた試料No.1〜6の被覆線を用いて、一般的なモータのマグネットコイルを形成したところ(巻きサイズ:40mm×20mm(四角形状コイル)、巻き数:50巻き、巻回速度:300r.p.m)、断線することなく形成でき、目視による確認では、形状の崩れも無かった。
上述のように特定の組成のAl合金からなるAl合金線は、耐熱性に優れる。また、このAl合金線は、高導電率・高靭性・高強度を有する。従って、このAl合金線は、例えば、150℃程度といった高温となり得るコイルの素材に好適に利用できる。更に、このAl合金線の製造にあたり、伸線後、軟化を施すことで、耐熱性に優れる上に、高導電率・高靭性・高強度なAl合金線が得られる。加えて、このAl合金線によって構成されるコイルは、耐熱性に優れる上に高導電率であり、使用時の温度が上述のような高温になる場合にも、長期に亘り良好に使用できる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することができる。例えば、Zr,Fe,Si,アルカリ土類金属元素の含有量を特定の範囲で変化させたり、Al合金線の大きさ(線径)や形状、絶縁被覆層の材質や厚さを変更させたりすることができる。
本発明コイルは、種々のコイル、例えば、冷蔵庫、エアコンなどの家庭用電気機器に内蔵される種々のモータ、車載用発電機やパワーステアリングなどに内蔵されるモータといった各種のモータのマグネットコイルなどに好適に利用することができる。本発明アルミニウム合金線は、上記本発明コイルの素材に好適に利用することができる。本発明アルミニウム合金線の製造方法は、上記本発明アルミニウム合金線の製造に好適に利用することができる。

Claims (16)

  1. コイルに利用されるアルミニウム合金線であって、
    Zrを0.01質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不純物からなるアルミニウム合金から構成されていることを特徴とするアルミニウム合金線。
  2. 前記アルミニウム合金は、更に、Feを0.01質量%以上0.5質量%以下、及びSiを0.01質量%以上0.5質量%以下の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金線。
  3. 前記アルミニウム合金は、更に、少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を0.003質量%以上0.10質量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金線。
  4. 保持温度を170℃とし、応力:20MPaの引張荷重を100時間加え続けた後のクリープ伸びが1%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  5. 伸びが10%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  6. 引張強さが90MPa以上、
    0.2%耐力が30MPa以上、
    伸びが10%以上、
    導電率が57%IACS以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  7. 前記アルミニウム合金は、更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有し、
    質量割合で、Tiの含有量は、10ppm以上500ppm以下、Bの含有量は、10ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  8. 更に、当該アルミニウム合金線の外周に絶縁被覆層を具えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線を巻回してなることを特徴とするコイル。
  10. コイルに利用されるアルミニウム合金線の製造方法であって、
    Zrを0.01質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAlからなるアルミニウム合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する工程と、
    前記鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する工程と、
    前記圧延材に伸線加工を施して伸線材を形成する工程と、
    前記伸線材に軟化処理を施して軟材を形成する工程とを具えることを特徴とするアルミニウム合金線の製造方法。
  11. 前記アルミニウム合金は、更に、Feを0.01質量%以上0.5質量%以下、及びSiを0.01質量%以上0.5質量%以下の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項10に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
  12. 前記アルミニウム合金は、更に、アルカリ土類金属元素から選択される少なくとも1種の金属元素を0.003質量%以上0.10質量%以下含有することを特徴とする請求項10又は11に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
  13. 前記アルミニウム合金は、更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有し、
    質量割合で、Tiの含有量は、10ppm以上500ppm以下、Bの含有量は、10ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
  14. 前記軟化処理は、前記伸線材の加熱温度を250℃以上とすることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
  15. 前記鋳造工程は、連続鋳造とし、かつ当該鋳造工程と前記圧延工程とを連続的に行って、連続鋳造圧延材を形成することを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
  16. 更に、前記軟材の外周に絶縁被覆層を形成する工程を具えることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線の製造方法。
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