JP2000239766A - 耐摩耗性トロリー線の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性トロリー線の製造方法

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JP2000239766A
JP2000239766A JP11041150A JP4115099A JP2000239766A JP 2000239766 A JP2000239766 A JP 2000239766A JP 11041150 A JP11041150 A JP 11041150A JP 4115099 A JP4115099 A JP 4115099A JP 2000239766 A JP2000239766 A JP 2000239766A
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JP11041150A
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Yukifumi Chiba
幸文 千葉
Takeshi Miyazaki
健史 宮崎
Kiyotaka Utsunomiya
清高 宇都宮
Goji Oku
剛司 奥
Takao Katayama
敬生 片山
Atsushi Sugawara
淳 菅原
Tadashi Kohida
正 小比田
Hiroki Nagasawa
廣樹 長澤
Shinichi Katayama
信一 片山
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Railway Technical Research Institute
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Railway Technical Research Institute
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電率や耐熱性を低下させずに耐摩耗性に優
れたトロリー線を提供する。 【解決手段】 トロリー線1の製造方法は、ニッケルの
含有量が1.0重量%以上4.0重量%以下であり、シ
リコンの含有量が0.3重量%以上1.0重量%以下で
あり、銀の含有量が0.2重量%以上1.5重量%以下
であり、残部が銅と不可避的不純物である溶湯を準備す
る工程と、8℃/秒以上の冷却速度で溶湯を鋳型内で冷
却して鋳造材を得る工程と、鋳造材に加工度50%以上
の冷間圧延加工または冷間スエージング加工を施して線
材を得る工程と、冷間圧延加工または冷間スエージング
加工を施して得た線材に温度400℃以上550℃以下
で0.5時間以上60時間以下熱処理を施す工程と、熱
処理を施した線材に加工度20%以上の冷間加工を施す
工程とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐摩耗性に優れ
たトロリー線の製造方法に関し、特に、銅を主成分と
し、ニッケルとシリコンと銀を含む合金からなる耐摩耗
性トロリー線の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電車のパンタグラフと接触し電車
に電力を供給するためのトロリー線を構成する材料とし
て、純銅または錫を0.3重量%含む銅合金が用いられ
てきた。
【0003】しかし、近年、電車が高速化し、パンタグ
ラフとトロリー線との摺動速度が大きくなり、パンタグ
ラフとトロリー線との間でアークが発生しやすくなって
いる。このアークにより、トロリー線の摩耗速度が増大
するという問題が発生している。また、トロリー線の保
守の簡素化や張換え頻度を低減させるためにも、耐摩耗
性に優れるトロリー線が必要となってきている。
【0004】このような事情に鑑み、特開平5−125
469号公報には、耐摩耗性に優れた銅合金トロリー線
が開示されている。
【0005】この公報に記載されたトロリー線は、銅を
主成分とし、ニッケル、シリコン、銀などを添加元素と
して含む。これらの添加元素の作用により、導電性を低
下させずに強度や耐摩耗性を向上させている。
【0006】次に、この合金の製造方法について説明す
る。まず、るつぼ内で純銅を溶解した後にニッケルやシ
リコンなどを添加し所望の組成の溶湯を準備する。溶湯
を冷却して鋳塊を得る。鋳塊を温度900℃に加熱し
0.5時間保持した後、熱間水冷押出しを行なう。これ
により、金属の結晶粒径をほぼ一定にし、さらに、偏析
をなくして均質な荒引線を得る。
【0007】次に、荒引線に表面研削および冷間伸線を
施して線材とする。この線材に高温下で溶体化焼鈍を施
し、さらに、溶体化焼鈍よりも低い温度で時効焼鈍を施
してトロリー線を得る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のような製造工程
においては、熱間水冷押出しにより、金属組織を均一化
している。しかし、その後の溶体化焼鈍において、金属
を高温に保つため、一旦均一となった組織がさらに加熱
されて、その後冷却されることになる。したがって、こ
の加熱、冷却条件にばらつきがあると金属組織が均一で
なくなる場合がある。その結果、結晶粒径が特に大きい
部分や偏析部分が生じ、これらの部分において耐摩耗性
が低下するという問題がある。
【0009】そこで、この発明は、上述のような問題を
解決するためになされたものであり、この発明の目的
は、耐摩耗性に優れたトロリー線の製造方法を提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に従った耐摩耗
性トロリー線の製造方法は、以下の工程を備える。
【0011】(1) ニッケルの含有量が1.0重量%
以上4.0重量%以下であり、シリコンの含有量が0.
3重量%以上1.0重量%以下であり、銀の含有量が
0.2重量%以上1.5重量%以下であり、残部が銅と
不可避的不純物である溶湯を準備する工程。
【0012】(2) 8℃/秒以上の冷却速度で溶湯を
鋳型内で冷却して鋳造材を得る工程。
【0013】ここで、冷却速度は以下の式で規定され
る。
【0014】
【数1】
【0015】(3) 鋳造材に加工度50%以上の冷間
圧延加工または冷間スエージング加工を施して線材を得
る工程。
【0016】ここで、加工(冷間圧延加工、冷間スエー
ジング加工)前の線材(鋳造材)の断面積をS1 とし、
加工後の線材の断面積をS2 とすると、加工度は以下の
式で表わされる。
【0017】
【数2】
【0018】なお、この明細書中で「加工度」とは、冷
間加工における加工度(冷間加工度)をいう。
【0019】(4) 冷間圧延加工または冷間スエージ
ング加工を施して得た線材に温度400℃以上550℃
以下で0.5時間以上60時間以下熱処理を施す工程。
【0020】(5) 熱処理を施した線材に加工度20
%以上の冷間加工を施す工程。 このような工程により構成された耐摩耗性トロリー線の
製造方法では、(2)で示す工程において、溶湯の冷却
速度を規定することにより溶体化処理を行ない鋳造材内
に過飽和固溶体を形成する。この鋳造材を(3)で示す
工程において加工度50%以上の冷間圧延加工または冷
間スエージング加工を施すことで、熱処理工程を経た後
での結晶粒径を均一にし、さらに、偏析を防止すること
で金属組織を均一にする。その後は、高温工程である溶
体化処理を金属に施すことはない。そのため、金属組織
を均質化した後に溶体化工程を施す従来の方法に比べて
熱を加えないため、結晶粒径分布、偏析といったばらつ
きが抑制できる。その結果、均質な銅合金を得ることが
でき、トロリー線の耐摩耗性を向上させることができ
る。
【0021】また、圧延加工またはスエージング加工を
冷間で行ない加熱が不要なため、熱間押出し工程に比
べ、製造装置を小型化でき、製造コストを低減すること
ができる。
【0022】次に、上述の(1)〜(5)で示す工程の
作用について詳細に説明する。 (1) 溶湯を準備する工程 本発明者らは、トロリー線の耐摩耗性を向上させるため
のさまざまな実験を行なったところ、トロリー線の耐摩
耗性とトロリー線の強度(引張り強さ)との間に正の相
関関係があることがわかった。すなわち、トロリー線の
引張り強さを上昇させれば耐摩耗性も向上し、トロリー
線の引張り強さが650N/mm2 を超えれば所望の耐
摩耗性を得ることができることがわかった。
【0023】この強度を得るためには、銅中にニッケル
とシリコンを添加することが有効である。ニッケルの含
有量が1.0重量%未満またはシリコンの含有量が0.
3重量%未満であれば、上述の強度を得ることができな
い。また、ニッケルの含有量が4.0重量%を超える場
合またはシリコンの含有量が1.0重量%を超える場合
には、強度は飽和に達する一方で導電率が低下する。そ
のため、ニッケルの含有量は1.0重量%以上4.0重
量%以下とし、シリコンの含有量は0.3重量%以上
1.0重量%以下とする必要がある。
【0024】また、本発明者らは、銅中に銀を添加する
と銅合金の強度が向上し、さらに、パンタグラフとトロ
リー線との間のアークによって熱が発生しても銅合金が
軟化せず、耐熱性が向上することがわかった。
【0025】ここで、銀の含有量が0.2重量%未満で
あれば、強度や耐熱性の上昇が望めない。また、銀は、
金属形態として存在する場合には銅よりも高い導電率を
有するが、銅合金中に銀が固溶すると銅合金の導電率は
低下する。そのため、この導電率の低下を防止するため
に銀の含有量は1.5重量%以下とする必要がある。そ
のため、銀の含有量は0.2重量%以上1.5重量%以
下である必要がある。
【0026】(2) 鋳造材を得る工程 この工程においては、冷却速度を8℃/秒以上としてい
る。このような冷却速度とすることにより、健全な(均
質な)過飽和固溶体を鋳造材中に作ることができる。そ
の結果、トロリー線の耐摩耗性を向上させることができ
る。冷却速度が8℃/秒未満であれば、健全な過飽和固
溶体を得ることができない。さらに、冷却速度が8℃/
秒未満では、鋳造材の部位による凝固速度のばらつきが
大きくなり健全な鋳塊も得られない。なお、8℃/秒以
上の冷却速度を得るためには、たとえば、水冷により鋳
造材は製造される。
【0027】(3) 線材を得る工程 この工程では、加工度50%以上の冷間圧延加工または
冷間スエージング加工を鋳造材に施すことにより、鋳造
材の結晶粒を破壊することで熱処理後の結晶粒を均一化
し、さらに、偏析をなくすことができる。その結果、鋳
造粒界や偏析部位を起点とする金属の破断を防止できる
ため、次の(4)の加熱工程での線材の脆化を抑制でき
る。これにより、線材の耐摩耗性が向上する。
【0028】また、冷間圧延加工または冷間スエージン
グ加工は、線材に圧縮応力を与えるため、後の(4)の
加熱工程において線材の時効硬化を促進する。そのため
線材の耐摩耗性が向上する。
【0029】加工度が50%未満であれば、鋳造材の結
晶粒界の破壊が不十分となるため、後の熱処理工程で線
材の脆化が顕著になる。
【0030】また、加工度が50%未満であれば、線材
に与えられる圧縮応力の大きさが小さいため、後の加熱
工程において時効硬化を促進できず耐摩耗性が向上しな
い。
【0031】(4) 線材に温度400℃以上550℃
以下で0.5時間以上60時間以下熱処理を施す工程
(加熱工程) この工程では、線材を所定温度で所定時間加熱して時効
硬化により線材の強度を上昇させ耐摩耗性を向上させ
る。加熱温度が400℃未満では時効硬化が十分進行せ
ず、550℃を超えれば過時効となり強度が低下する。
また同様に、加熱時間が0.5時間未満でも、強度を向
上させることができない。また、加熱時間が60時間を
超えると時効が進行し過ぎて耐摩耗性が低下するととも
に製造コストが上昇する。そのため、加熱温度は400
℃以上550℃以下とし、加熱時間は0.5時間以上6
0時間以下とする必要がある。
【0032】(5) 線材に加工度20%以上の冷間加
工を施す工程 この工程では冷間加工と皮剥を行なう。冷間加工により
耐摩耗性と成形性を向上させることができ、皮剥を行な
うことで表面傷や熱処理時に生成した酸化膜を除去でき
る。さらに表面に残留した潤滑油により酸化防止を図る
ことができる。
【0033】鋳造材を得る工程は、溶湯を、内面が円柱
状(管状)の鋳型内で冷却して連続鋳造により鋳造材を
得ることを含むことが好ましい。この場合、内面が円柱
状の鋳型を使用すれば、その後の冷間加工が容易とな
る。なお、内面が円柱状の鋳型でなく矩形、たとえば内
面が矩形状の鋳型を用いて矩形の鋳造材を製造すると、
この鋳造材に冷間スエージング加工や冷間圧延加工とい
った冷間加工を施すことになる。その場合、鋳造材の隅
部で割れが発生するおそれがある。
【0034】また、鋳造材を得る工程は、横型連続鋳造
機を用いて鋳造材を得ることを含むことが好ましい。こ
の場合、横型連続鋳造機は細径鋳造が可能なため冷却速
度を8℃/秒以上とすることが容易となる。また、横型
連続鋳造機は縦型連続鋳造機に比べ設備コストが安く経
済的である。
【0035】
【実施例】(実施例1)表1で示す合金組成を含有する
溶湯を準備した。この溶湯を8℃/秒以上の冷却速度で
連続鋳造し、溶湯と同一組成で直径φが30mmの鋳造
材を得た。この鋳造材に冷間加工度64%の冷間圧延加
工を施して線材を得た。この線材を表1で示す条件で熱
処理した後室温まで冷却した。冷却後の線材に、加工度
が58%となるように冷間伸線と表面を約0.2mm除
去する皮剥工程とを行ない、断面積が110mm2 のト
ロリー線(サンプル1〜13)を得た。
【0036】図1は、上述の工程で得られたトロリー線
の断面図である。図1で示すトロリー線1の上部1aが
吊金具により固定され、トロリー線の下部1bは、擦り
板と接する。
【0037】また、従来使用されているタフピッチ銅
(純銅)や、0.3重量%の錫を含む銅を用意し、これ
らに加工度64%の冷間加工を施し断面積が110mm
2 のトロリー線(サンプル14および15)を得た。
【0038】これらのトロリー線について、直流電圧2
00V、通電電流200Aを与え、焼結擦り板との摺動
速度を50km/hとし、焼結擦り板との接触荷重を7
kgfとした状態で焼結擦り板と1000回摺動させた
後のトロリー線の摩耗量を測定した。このとき、サンプ
ル14の摩耗量を100%としたときのそれぞれのサン
プルの摩耗量の相対値を計算した。また、これらのトロ
リー線について引張り強さと導電率を測定した。その結
果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から明らかなように、本発明の範囲内
の組成や熱処理条件を有するサンプル1〜5は、比較的
高い導電率と、従来品であるサンプル14および15よ
りもはるかに優れた耐摩耗性とを有しているといえる。
【0041】(実施例2)実施例2では、連続鋳造後の
冷間加工度が熱処理後の冷間加工に与える影響を調べ
た。
【0042】まず、ニッケルの含有量が2.0重量%、
シリコンの含有量が0.5重量%、銀の含有量が0.3
重量%、残部が銅である溶湯を準備した。この溶湯を8
℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して鋳造材を得た。こ
の鋳造材を表2で示すさまざまな冷間加工度で冷間圧延
加工して線材を得た。この線材を温度450℃で10時
間熱処理した。その後、図1で示す形状で断面積が11
0mm2 のトロリー線を得るための冷間加工を施してト
ロリー線(サンプル21〜25)を得た。この冷間加工
の際の冷間加工性を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2中「良好」とは、図1で示す形状のト
ロリー線を製造できたことを示す。「困難」とは、冷間
加工の際に断線が生じた場合、また、図1で示す形状の
トロリー線を製造することができたが、トロリー線の表
面に割れが生じたことを示す。表2より、連続鋳造後の
冷間加工度が50%未満、たとえば46%となると熱処
理後の冷間加工が困難になることがわかる。
【0045】(実施例3)実施例3では、鋳造時の冷却
速度がトロリー線の引張り強さ、導電率などに与える影
響を調べた。
【0046】まず、ニッケルの含有量が2.0重量%、
シリコンの含有量が0.4重量%、銀の含有量が0.5
重量%、残部が銅である溶湯を準備した。この溶湯を、
円管状の鋳型を使用した横型連続鋳造機を用いて表3で
示すさまざまな冷却速度で冷却して連続鋳造し、直径φ
が30mmの鋳造材を得た。この鋳造材に冷間加工度6
4%の圧延加工を施して線材を得た。この線材を温度4
50℃で10時間熱処理した後室温まで冷却した。冷却
後の線材に、冷間加工度が58%となるように冷間伸
線、皮剥工程を施して、断面積が110mm2 で図1で
示す形状のトロリー線(サンプル31〜33)を得た。
それぞれのトロリー線の引張り強さ、導電率および摩耗
量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表3
に示す。
【0047】
【表3】
【0048】表3から明らかなように、冷却速度が8℃
/秒未満、たとえば4℃/秒では、高強度で耐摩耗性に
優れたトロリー線を得ることができなかった。
【0049】(実施例4)実施例4では、熱処理後の冷
間加工度がトロリー線の引張り強さや導電率に与える影
響を調べた。
【0050】まず、ニッケルの含有量が2.0重量%、
シリコンの含有量が0.4重量%、銀の含有量が0.5
重量%、残部が銅である溶湯を準備した。この溶湯を、
円管状の鋳型を使用した横型連続鋳造機を用いて10℃
/秒以上の冷却速度で連続鋳造してさまざまな直径の鋳
造材を得た。
【0051】この鋳造材に冷間加工度64%の圧延加工
を施して線材を得た。この線材を温度450℃で10時
間熱処理した後室温まで冷却した。その後、表4で示す
さまざまな冷間加工度の冷間加工を行ない、断面積が1
10mm2 で図1で示す形状のトロリー線(サンプル4
1〜43)を得た。
【0052】これらのトロリー線について、実施例1と
同様の方法で引張り強さ、導電率および摩耗量を調べ
た。サンプル43については加工が困難であったので、
円柱形状の線材の状態で引張り強さ、導電率および摩耗
量を調べた。また、これらのトロリー線の表面性状と図
1で示す形状への成形性も評価した。その結果を表4に
示す。
【0053】
【表4】
【0054】表4中「表面性状」の欄において「良好」
とは、トロリー線の表面に亀裂や剥離が生じなかったこ
とを示す。また、「不良」とは、トロリー線の表面に亀
裂や剥離が生じたことを示す。
【0055】また、「図1形状への成形」の欄において
「容易」とは、図1で示す形状へ容易に成形できたこと
を示し、「困難」とは、成形できなかった場合または成
形はできたがトロリー線に亀裂が生じた場合を示す。
【0056】図4から明らかなように、熱処理後の冷間
加工度が20%未満の場合、たとえば熱処理後の冷間加
工度が13%では、皮剥と図1で示す形状への成形が困
難なため表面性状が悪く、耐摩耗性に優れたトロリー線
を得ることができなかった。
【0057】(実施例5)実施例5では、鋳造後熱処理
前の冷間加工の方法がトロリー線の引張り強さや導電率
などに与える影響を調べた。
【0058】まず、ニッケルの含有量が2.0重量%、
シリコンの含有量が0.4重量%、銀の含有量が0.5
重量%、残部が銅からなる溶湯を準備した。この溶湯
を、円管状の鋳型を使用した横型連続鋳造機を用いて8
℃/秒以上の冷却速度で連続鋳造して鋳造材を得た。
【0059】この鋳造材に冷間加工度が72%のさまざ
まな種類の冷間加工を施して線材を得た。この線材を温
度450℃で10時間熱処理した後室温まで冷却した。
冷却後の線材に冷間加工度が58%となるように冷間伸
線、皮剥工程を施し断面積が110mm2 で図1で示す
形状のトロリー線(サンプル51〜53)を得た。
【0060】これらのトロリー線の引張り強さ、導電率
および摩耗量を実施例1と同様の手法により調べた。そ
の結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】表5から明らかなように、冷間加工として
冷間圧延または冷間スエージングを行なうことにより、
耐摩耗性に優れたトロリー線を得ることができた。
【0063】なお、今回開示された実施例は全ての点で
例示であって、制限的なものではないと考えられるべき
である。本発明の範囲は上記した実施例ではなくて特許
請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意
味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図さ
れる。
【0064】
【発明の効果】このように本発明によれば、従来品より
も耐摩耗性に優れかつ高強度を有するトロリー線を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従ったトロリー線の断面図である。
【符号の説明】
1 トロリー線 1a 上部 1b 下部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60M 1/13 B60M 1/13 H 1/30 304 1/30 304 C22C 9/00 C22C 9/00 C22F 1/08 C22F 1/08 C P H01B 13/00 501 H01B 13/00 501D // C22F 1/00 625 C22F 1/00 625 630 630D 661 661A 681 681 685 685Z 686 686Z 691 691B 691C 692 692A 694 694A (72)発明者 宮崎 健史 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 宇都宮 清高 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 奥 剛司 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 片山 敬生 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 菅原 淳 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 小比田 正 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 長澤 廣樹 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 片山 信一 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 Fターム(参考) 4E004 BA05 KA12 MC02 MC24 MD05 NA03 NB04 NB06 NC07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルの含有量が1.0重量%以上
    4.0重量%以下であり、シリコンの含有量が0.3重
    量%以上1.0重量%以下であり、銀の含有量が0.2
    重量%以上1.5重量%以下であり、残部が銅と不可避
    的不純物である溶湯を準備する工程と、 8℃/秒以上の冷却速度で前記溶湯を鋳型内で冷却して
    鋳造材を得る工程と、 前記鋳造材に加工度50%以上の冷間圧延加工または冷
    間スエージング加工を施して線材を得る工程と、 前記冷間圧延加工または前記冷間スエージング加工を施
    して得た線材に温度400℃以上550℃以下で0.5
    時間以上60時間以下熱処理を施す工程と、 熱処理を施した前記線材に加工度20%以上の冷間加工
    を施す工程とを備えた、耐摩耗性トロリー線の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記鋳造材を得る工程は、前記溶湯を管
    状の前記鋳型内で冷却して連続鋳造により前記鋳造材を
    得ることを含む、請求項1に記載の耐摩耗性トロリー線
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記鋳造材を得る工程は、横型連続鋳造
    機を用いて前記鋳造材を得ることを含む、請求項1また
    は2に記載の耐摩耗性トロリー線の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8163110B2 (en) * 2004-05-24 2012-04-24 Hitachi Cable, Ltd. Superfine copper alloy wire and method for manufacturing same
JP2012172174A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Sumitomo Electric Ind Ltd 高導電率高強度トロリ線の製造方法および高導電率高強度トロリ線
EP2873475A1 (en) * 2013-04-05 2015-05-20 Akademia Gorniczo-Hutnicza im. Stanislawa Staszica w Krakowie Method of manufacturing wires of Cu-Ag alloys

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