JP4380441B2 - トロリー線の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パンタグラフ等を介して電車に給電を行う電車線用銅合金導体(トロリー線)の製造方法に関するものである。
電車線用銅合金導体(トロリー線)、或いは機器などに用いられるケーブル用銅合金導体には、導電率が高い硬銅線又は耐摩耗性、耐熱性を有する銅合金材(銅合金線)が使用されている。銅合金材としては、銅母材にSnを0.25〜0.35質量%含有させたものが知られており(特許文献1参照)、新幹線、在来線のトロリー線として架線されている。
近年、電車の更なる高速化が進められている。この高速化に対応すべく、トロリー線の架線張力を高めることが求められており、電車線の架線張力は、1.5tから2.0t以上に高められる傾向にある。また、電車通過密度(単位長さ当たりの線路を走行する電車の数)が高い線路では、トロリー線の大電流容量化が求められている。
また、機器用ケーブルでは、使用環境を考慮すると、耐屈曲性が良好な導体、つまり、導体の高強度化が求められている。また、機器用ケーブルでは、軽量化、小型化の要求を満足するために、導体の高導電化が求められている。
そこで、これらの要求を満足する導体として、高強度、かつ、高導電性の銅合金導体が求められてきている。
高強度の銅合金導体としては、主に、固溶強化型合金及び析出強化型合金の2つが挙げられる。固溶強化型合金としては、Cu-Ag合金(高濃度銀)、Cu-Sn合金、Cu-Sn-In合金、Cu-Mg合金、Cu-Sn-Mg合金などが挙げられる。また、析出強化型合金としては、Cu-Zr合金、Cu-Cr合金、Cu-Cr-Zr合金などが挙げられる。
特公昭59−43332号公報
固溶強化型合金は、いずれも酸素含有量が10質量ppm(0.001質量%)以下であり、強度と共に伸び特性に優れていることから、トロリー線の母材となる銅合金荒引線を、連続鋳造圧延により、銅合金溶湯から直接製造することができる。
固溶強化型合金を使用した従来のトロリー線の製造方法としては、例えば、Snを0.4〜0.7質量%含有する銅合金の鋳造材を、700℃以上の温度で熱間圧延して圧延材とする。この圧延材を再度500℃以下の温度で仕上げ圧延し、加熱して荒引線とし、この荒引線を伸線加工してトロリー線を製造する方法がある(特開平6−240426号公報参照)。
また、他の連続鋳造圧延可能な銅合金として、Cu-O-Sn合金がある。この合金は、マトリックス内部にSnが2〜3μm以上の晶出物(SnO2)として存在しており、強度と伸び特性は、酸素含有量が10質量ppm以下のCu-Sn合金と同等であることが知られている。この合金も、析出強化作用や分散強化作用よりも、固溶強化作用の方が強い合金である。
ところで、固溶強化型合金は、固溶強化元素の含有量を多くするほど強度向上を図ることができる。しかし、それに伴って極端に導電率が低下してしまうので電流容量を大きくすることができず、電車線として適さなくなってしまう。例えば、特開平6−240426号公報記載の製造方法は、Snの含有量が0.4〜0.7質量%と多いので、導電率が低くなってしまう。よって、現状のCu-Sn系合金では、高張力架線として必要な強度を有し、かつ、良好な導電率を有する銅合金導体を製造することは困難である。
ここで、高強度かつ高導電率の電車線を得るためには、Snと共にさらに別の元素を添加することが考えられる。この場合、仕上げ圧延(最終圧延)の温度が低すぎると、圧延時に圧延材の割れが多くなるので、荒引線の外観品質が極端に低下してしまい、延いては電車線の強度が極端に低下するという問題があった。
一方、析出強化型合金は、硬度及び引張強度は非常に高いものの、硬度が高い分、連続鋳造圧延時において、圧延ロールに過大な負荷がかかってしまい、連続鋳造圧延による製造ができない。このため、押出しなどの方法によるバッチ式でしか製造できない。加えて、析出強化型合金は、中間工程において析出強化物を析出させるための熱処理が必要である。よって、析出強化型合金は、連続鋳造圧延で製造可能な固溶強化型合金と比較して、生産性が低く、製造コストが高くなるという問題があった。
つまり、高強度かつ高導電率の銅合金導体を、生産性に優れた連続鋳造圧延法を用いて製造するには、制約と限界があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、高強度、かつ、高導電率の銅合金材を用いたトロリー線を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るトロリー線の製造方法は、銅合金溶湯を用いて連続鋳造圧延を行って圧延材を形成し、その圧延材に冷間加工を施してトロリー線を製造する方法において、酸素を0.001〜0.1質量%(10〜1000質量ppm)含む銅母材に、Inを0.1〜0.7質量%の割合で添加して溶解を行い、銅合金溶湯を形成し、その銅合金溶湯を用いて連続鋳造を行うと共に、鋳造材の温度を銅合金溶湯の融点より少なくとも15℃以上低い温度まで急速冷却し、その鋳造材の温度を900℃以下に調整した状態で、鋳造材に、最終圧延温度が500〜600℃となるように調整した複数段の熱間圧延加工を施して圧延材を形成し、上記圧延材に−193〜100℃の温度で、加工度50%以上の冷間加工を施すことにより、得られる線材の結晶組織を構成する結晶粒の平均粒径が100μm以下、かつ、結晶組織のマトリックスに、酸化物の80%以上が平均粒径1μm以下の微小酸化物として分散させてなるものである。
ここで、Inの他に、上記銅合金溶湯に、P又はBを0.01質量%(100質量ppm)以下の割合で含有させてもよい。
また、Inの他に、上記銅合金溶湯に、P及びBを合計0.02質量%(200質量ppm)以下の割合で含有させてもよい。
また、上記冷間加工を、加工装置を冷却して線材温度が100℃以下となるように調整すると好ましい。
また、上記線材温度を25℃以下であるとすると好ましい。
本発明によれば、高強度、かつ、高導電率の銅合金導体を、良好な生産性で得ることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の好適一実施の形態に係る銅合金導体の製造工程を示すフローチャートを図1に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る銅合金導体18の製造方法は、銅母材11にIn12を添加して溶解し、銅合金溶湯14を形成する溶解工程(F1)と、その銅合金溶湯14を鋳造して鋳造材15を形成する鋳造工程(F2)と、その鋳造材15に複数段(多段)の熱間圧延加工を施して圧延材16を形成する熱間圧延工程(F3)と、その圧延材16を洗浄し、巻取って荒引線17とする洗浄・巻取り工程(F4)と、その巻取った荒引線17を送り出し、その荒引線17に冷間加工を施して銅合金導体18を形成する冷間(伸線)加工工程(F5)とを、含むものである。
銅合金導体18は、その後用途に応じた所望形状の線材、条材(板材)などに加工される。溶解工程(F1)から洗浄・巻取り工程(F4)までは、既存又は慣用の連続鋳造圧延設備(SCR連続鋳造機)を適用することができる。また、冷間加工工程(F5)は、既存又は慣用の冷間加工装置を適用することができる。
銅合金導体18の製造方法をより詳細に説明すると、先ず、溶解工程(F1)において、酸素を0.001〜0.1質量%(10〜1000質量ppm)含む銅母材11に、In12を0.1〜0.7質量%、好ましくは0.2〜0.6質量%、より好ましくは0.3〜0.5質量%の割合で添加して溶解を行うことで、銅合金溶湯14が形成される。In12は酸化され、最終的に得られる銅合金導体18の結晶組織内にIn酸化物(In23)として生成、分散される。In酸化物の大半(80%以上)は、平均粒径が1μm以下の微小酸化物である。銅母材11は、不可避的不純物を含んでいてもよい。
ここで、In12の含有量が0.1質量%未満では、本実施の形態に係る製造方法を適用しても、銅合金導体18の強度向上効果は認められない。また、In12の含有量が0.7質量%を超えると、鋳造材15の硬度が高くなり、圧延加工時の変形抵抗が高くなるので、圧延ロールに対する負荷が極端に大きくなってしまい、製品化が困難となってしまう。さらに、In12の含有量が0.1〜0.7質量%の範囲において、Inの含有量が多くなるに従って、導電率は徐々に低下する。
したがって、本実施の形態では、In12の含有量を0.1〜0.7質量%の範囲で適切に調整することにより、[実施例]において後述するように、銅合金導体18の引張強度を420MPa以上に向上させると共に導電率を60〜95%IACS、好ましくは75〜95%IACS、より好ましくは83〜95%IACSの範囲で自在に調整することが可能である。
In12の含有量が多くなると、熱間圧延工程(F3)における熱間圧延加工時に圧延材16の表面傷が多くなる傾向にある。よって、In12の含有量が多い場合(例えば0.5質量%以上の場合)には、圧延材16の表面傷を減少させるべく、銅母材11に、In12と共に、さらにPを添加してもよい。Pは0.01質量%(100質量ppm)以下の割合で含有させる。Pの含有量が2質量ppm未満だと、銅線表面傷を低減させる効果はあまり認められず、Pの含有量が100質量ppmを超えると、銅合金導体18の導電率が低下してしまう。
また、In12の含有量が多くなると、鋳造工程(F2)後における鋳造材15の結晶粒がやや大きくなる傾向(延いては銅合金導体18の強度がやや低下する傾向)にある。よって、In12の含有量が多い場合(例えば0.5質量%以上の場合)には、鋳造材15の結晶粒を微細にするべく、銅母材11に、In12と共に、さらにBを添加してもよい。Bは0.01質量%(100質量ppm)以下の割合で含有させる。Bの含有量が2質量ppm未満だと、結晶粒を微細にする効果(延いては銅合金導体18の強度向上効果)はあまり認められず、Bの含有量が100質量ppmを超えると、銅合金導体18の導電率が低下してしまう。
さらに、P及びBの両方を、合計0.02質量%(200質量ppm)以下の割合で含ませてもよい。
また、銅母材11の酸素含有量が0.001〜0.1質量%(10〜1000質量ppm)の範囲において、酸素含有量が多くなるに従って、引張強度、導電率共に徐々に向上する。
次に、鋳造工程(F2)において、前工程で得られた銅合金溶湯14は、SCR方式の連続鋳造圧延に供される。具体的には、SCR連続鋳造の通常の鋳造温度(1120〜1200℃)よりも低い温度(1100〜1150℃)で鋳造を行うと共に、鋳型(銅鋳型)を強制水冷する。これにより、鋳造材15が、銅合金溶湯14の凝固温度より少なくとも15℃以上低い温度まで急速冷却される。
これらの鋳造処理及び急冷処理によって、鋳造材15中に晶出(又は析出)する酸化物のサイズ、及び鋳造材15の結晶粒サイズが、通常の鋳造温度で鋳造を行う場合又は鋳造材15を[銅合金溶湯14の凝固温度−15℃]を超える温度までしか冷却しない場合と比較して、それぞれ小さくなる。
次に、熱間圧延工程(F3)において、連続鋳造圧延における通常の熱間圧延温度よりも50〜100℃低い温度、すなわち鋳造材15の温度を900℃以下、好ましくは750〜900℃に調整した状態で、鋳造材15に、熱間圧延が多段に施される。最終圧延時において、500〜600℃の圧延温度で熱間圧延加工を施し、圧延材16が形成される。最終圧延温度が、500℃未満だと、圧延加工時に表面傷が多く発生してしまい、表面品質の低下を招き、また、600℃を超えると、結晶組織が従来と同レベルの粗大組織となってしまう。ここで、最終圧延温度が500〜600℃の範囲において、最終圧延温度が高くなるに従って、引張強度は徐々に低下するが、導電率は徐々に向上する。
この熱間圧延により、前工程で晶出(又は析出)した比較的小サイズの酸化物が分断され、酸化物のサイズが更に小さくなる。また、本実施の形態に係る製造方法における熱間圧延は、通常の熱間圧延よりも低温で行うものであるため、圧延時に導入された転位が再配列し、結晶粒内に微小な亜粒界が形成される。亜粒界は、結晶粒内に存在する方位が少し異なる複数の結晶間の境界である。
次に、洗浄・巻取り工程(F4)において、圧延材16を洗浄し、巻取りを行い、荒引線17とされる。巻取った荒引線17の線径は、例えば、8〜40mm、好ましくは30mm以下とされる。例えば、トロリー線における荒引線17の線径は、22〜30mmとされる。
最後に、冷間加工工程(F5)において、巻取った荒引線17を送り出し、その荒引線17に、−193℃(液体窒素温度)〜100℃、好ましくは−193〜25℃以下の温度で冷間加工(伸線加工)を行う。これによって、銅合金導体18が形成される。ここで、連続伸線時の加工熱が銅合金導体18に及ぼす影響(強度低下など)を少なくするため、引抜きダイスなどの冷間加工装置の冷却を行い、線材温度が100℃以下、好ましくは25℃以下となるように調整を行う。また、銅合金導体18の強度を向上させるためには、熱間圧延加工における加工度を高めて圧延材16、つまり荒引線17の強度を十分に向上させておくことが必要である他に、冷間加工における加工度を50%以上とすることが必要である。ここで、加工度が50%未満だと420MPaを超える引張強度が得られない。
得られた銅合金導体18は、その後用途に応じた所望形状、例えば、電車線(トロリー線)に形成される。電車線の断面積は、例えば、110〜170mm2とされる。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
従来の銅合金導体は、結晶組織が粗大であった。また、Snなどの酸化物は、平均粒径(又は長さ)が1μmを超える粗大酸化物であった。これらの結果、従来の銅合金導体は、引張強度があまり十分ではなかった。
これに対して、本実施の形態に係る銅合金導体18の製造方法においては、銅母材11に、In12を0.1〜0.7質量%の割合で添加して銅合金溶湯14を形成し、その銅合金溶湯14を用い、低温で連続鋳造(鋳造温度が1100〜1150℃)、低温圧延加工(最終圧延温度が500〜600℃)、及び加工熱が作用しないように100℃以下に温度調節した冷間加工を行い、銅合金導体18を製造している。
これらによって、本実施の形態に係る銅合金導体18は、従来の銅合金導体と比較して結晶組織が微細となる。つまり、銅合金導体18の結晶粒の平均粒径は、従来の銅合金導体の結晶粒の平均粒径と比較して小さくなり、100μm以下となる。また、銅合金導体18のマトリックスには、In12の酸化物が分散しており、その酸化物の80%以上は平均粒径が1μm以下の微小酸化物である。
このマトリックスに分散した微小酸化物によって、鋳造材15が有する熱(顕熱)により、結晶や結晶粒界が移動するのが抑制される。その結果、熱間圧延時における各結晶粒の成長が抑制されるため、圧延材16の結晶組織が微細となる。
以上より、本実施の形態に係る銅合金導体18の強化は、結晶粒の微細化による銅合金導体マトリックスの強度向上と、マトリックスに微小酸化物を分散させたことによる分散強化とによるものであり、特開平6-240426号公報などに記載されたSnの固溶強化だけによる強化と比較して、導電率低下の割合も低く抑えることができる。よって、本実施の形態に係る製造方法によれば、導電率の大幅な低下を招くことなく、高い引張強度を有する銅合金導体18を得ることができる。つまり、後述の[実施例]で述べるように、75%IACS以上の高い導電率を有し、かつ、高張力架線で必要とされる420MPa以上の高い強度(引張強度)を有する銅合金導体18(トロリー線)を得ることができる。
また、本実施の形態に係る製造方法は、既存あるいは慣用の連続鋳造圧延設備や冷間加工装置を使用することができるので、新規の設備投資を必要とせず、高導電率、高強度の銅合金導体18を低コストで製造することができる。
また、本実施の形態に係る製造方法により得られた銅合金導体18を用いて、単線材又は撚線材を形成し、その単線材又は撚線材の周りに、絶縁層を設けることで、高導電率、高強度の機器用ケーブル(配線材、給電材)を得ることができる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
銅母材に添加する添加元素の種類及び量、熱間圧延加工の最終圧延温度などを変え、直径φが23mmの銅合金導体(電車線用銅合金荒引線)を作製した。銅合金導体は、本発明に係る銅合金導体の製造方法を用いて製造した。
(実施例1〜3)
酸素を10質量ppm含む各銅母材に、Inをそれぞれ0.3,0.4,0.6質量%の割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度はいずれも560℃とした。
(実施例4〜6)
酸素の含有量が350質量ppmである以外は、実施例1〜3と同様にして銅合金導体を作製した。最終圧延温度はいずれも560℃とした。
(実施例7〜9)
酸素の含有量が500質量ppmである以外は、実施例1〜3と同様にして銅合金導体を作製した。最終圧延温度はいずれも560℃とした。
(実施例10)
酸素を350質量ppm含む銅母材に、Inを0.6質量%、かつ、Pを0.0050質量%の割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度は560℃とした。
(実施例11)
酸素を350質量ppm含む銅母材に、Inを0.6質量%、かつ、Bを0.0050質量%の割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度は560℃とした。
(従来例1〜3)
酸素を350質量ppm含む各銅母材に、Snを0.3質量%ずつの割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度は、それぞれ650℃,600℃,560℃とした。
(従来例4)
酸素を10質量ppm含む銅母材に、Snを0.3質量%の割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度は560℃とした。
(従来例5)
酸素を500質量ppm含む銅母材に、Snを0.3質量%の割合で含有させた銅合金材を用い、銅合金導体を作製した。最終圧延温度は560℃とした。
実施例1〜11及び従来例1〜5の銅合金導体の製造条件(酸素含有量、添加元素の種類及び含有量、最終圧延温度)を表1に示す。
Figure 0004380441
次に、実施例1〜11及び従来例1〜5の銅合金導体を用い、断面積が170mm2のトロリー線をそれぞれ作製した。各トロリー線の引張強度(MPa)、導電率(%IACS)、酸化物の割合、結晶粒サイズ、表面品質、及び熱間圧延性を表2に示す。
ここで、酸化物の割合については、平均粒径が1μm以下の酸化物の割合が80%以上のものを○、80%未満のものを×とした。
結晶粒サイズについては、従来例1の銅合金導体を用いたトロリー線における結晶粒の平均粒径を1.0とした時、結晶粒のサイズが0.5未満のものを○、0.5〜1.0のものを×とした。
表面品質については、熱間圧延後の表面傷が、少ないものを○、多いものを×とした。
熱間圧延性については、熱間圧延性が良好なものを○、悪いものを×とした。
Figure 0004380441
表2に示すように、実施例1〜11の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線は、いずれも420MPa以上の引張強度、及び60%IACS以上の導電率を有していた。また、各トロリー線は、平均粒径1μm以下の酸化物の割合がいずれも80%以上であり、結晶粒内には亜粒界が観察され、結晶粒のサイズは0.5未満であった。さらに、各トロリー線は、いずれも、表面傷が少なく、表面品質は良好であり、熱間圧延性も良好であった。
また、実施例1〜5,7〜9の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線を比較した結果、Inの含有量が多くなるに従って、引張強度は向上するが、導電率は低下することがわかった。実施例6,10の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線を比較した結果、Pを添加した実施例10の方が、表面品質がより良好であった。実施例6,11の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線を比較した結果、Bを添加した実施例11の方が、若干ではあるが引張強度が高くなった。
これに対して、従来例1〜5の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線は、銅母材に添加した元素がInではなくSnであるため、微小酸化物の割合が少なく、かつ、大きな結晶粒しか得られなかった。また、導電率はいずれも75%IACS以上であり、良好であるものの、引張強度はいずれも420MPa未満であった。
また、従来例1〜3の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線を比較した結果、最終圧延温度が低くなるに従って、引張強度は向上するが、導電率は低下することがわかった。従来例4,3,5の各銅合金導体を用いて作製した各トロリー線を比較した結果、酸素の含有量が多くなるに従って、引張強度、導電率共に向上することがわかった。
本発明の好適一実施の形態に係る銅合金導体の製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
11 銅母材
12 In
14 銅合金溶湯
15 鋳造材
16 圧延材
18 銅合金導体
F1 溶解工程
F2 鋳造工程
F3 熱間圧延工程

Claims (5)

  1. 銅合金溶湯を用いて連続鋳造圧延を行って圧延材を形成し、その圧延材に冷間加工を施してトロリー線を製造する方法において、
    酸素を0.001〜0.1質量%(10〜1000質量ppm)含む銅母材に、Inを0.1〜0.7質量%の割合で添加して溶解を行い、銅合金溶湯を形成し、
    その銅合金溶湯を用いて連続鋳造を行うと共に、鋳造材の温度を銅合金溶湯の融点より少なくとも15℃以上低い温度まで急速冷却し、
    その鋳造材の温度を900℃以下に調整した状態で、鋳造材に、最終圧延温度が500〜600℃となるように調整した複数段の熱間圧延加工を施して圧延材を形成し、
    上記圧延材に−193〜100℃の温度で、加工度50%以上の冷間加工を施すことにより、得られる線材の結晶組織を構成する結晶粒の平均粒径が100μm以下、かつ、結晶組織のマトリックスに、酸化物の80%以上が平均粒径1μm以下の微小酸化物として分散させてなることを特徴とするトロリー線の製造方法。
  2. 上記銅合金溶湯に、P又はBを0.01質量%(100質量ppm)以下の割合で含有させる請求項1記載のトロリー線の製造方法。
  3. 上記銅合金溶湯に、P及びBを合計0.02質量%(200質量ppm)以下の割合で含有させる請求項1記載のトロリー線の製造方法。
  4. 上記冷間加工は、加工装置を冷却して線材温度が100℃以下となるように調整を行う請求項1記載のトロリー線の製造方法。
  5. 上記線材温度が25℃以下である請求項4記載のトロリー線の製造方法
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