JP6853872B2 - アルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス - Google Patents

アルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス Download PDF

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本発明は、アルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスに関する。
近年、ワイヤハーネスなどの電線の導電線として、銅線の代わりにアルミニウム合金導電線が用いられるようになってきている。
このようなアルミニウム合金導電線として、例えば下記特許文献1には、Mgを0.03質量%以上1.5質量%以下、Siを0.02質量%以上2.0質量%以下、Cu、Fe、Cr、Mn及びZrから選択される少なくとも一種の元素を合計で0.1質量%以上1.0質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不純物からなり、導電率が40%IACS以上、引張強度が150MPa以上、伸びが5%以上、線径が0.5mm以下、かつ、最大結晶粒径が50μm以下であるアルミニウム合金導電線が開示されている。
一方、電線には、その組み立て時や実使用時において電線中の導電線のサイズにかかわらず、その端部に一定の耐荷重があることが必要とされる。
このため、アルミニウム合金導電線には、導電線のサイズに応じて、異なる引張強度及び伸びを有することが必要とされる。例えば導電線の断面積が0.7mm以上である場合には、引張強度110MPa以上、伸び10%以上、導電率58%IACS以上の特性を有することが必要とされ、導電線の断面積が0.7mm未満で且つ0.35mmより大きい場合には、引張強度150MPa以上、伸び5%以上、導電率40%IACS以上の特性を有することが必要とされ、導電線の断面積が0.35mm以下である場合には、引張強度220MPa以上、伸び2%以上、導電率30%IACS以上の特性を有することが必要とされる。
従来、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を得るために、組成の異なる複数種類の荒引線が形成され、この荒引線に対して伸線及び熱処理が行われていた。
特開2012−229485号公報
しかし、上記のように異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を得る場合、組成の異なる複数種類の荒引線を形成する必要があるため、引張強度及び伸びの異なるアルミニウム合金導電線の製造に非常に手間がかかっていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を簡便に製造できるアルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、以下の発明によって上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.3質量%以上0.55質量%以下、Ti及びVを合計で0.015質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成される1種類の荒引線を形成する荒引線形成ステップと、前記荒引線に対し、下記処理工程A又は下記処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことにより、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を得る処理ステップとを含む、アルミニウム合金導電線の製造方法である。
(処理工程A)伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれかの熱処理工程において溶体化処理を行う処理工程
(処理工程B)伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれの熱処理工程においても溶体化処理を行わない処理工程
本発明のアルミニウム合金導電線の製造方法によれば、アルミニウム合金で構成される1種類の荒引線に対し、2種類の処理工程のうちのいずれかの処理工程によって処理することで、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線が製造される。このため、本発明によれば、複数種類の荒引線を形成する手間を省くことができ、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を簡便に製造できる。
なお、本発明者は、本発明のアルミニウム合金導電線の製造方法によって上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
すなわち、アルミニウム合金からなる1種類の荒引線を用いる場合でも、処理工程の熱処理工程における溶体化処理の有無といった熱履歴によって、アルミニウム合金導電線中での添加元素の存在形態が変化するため、様々な引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線が実現できるのではないかと本発明者は推察している。
上記製造方法においては、前記処理工程Aにおいて、前記溶体化処理を、前記処理工程Aにおける最後の伸線工程の直前の熱処理工程において行うことが好ましい。
この場合、高い引張強度及び伸びが得られる。
また本発明は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.3質量%以上0.55質量%以下、Ti及びVを合計で0.015質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されるアルミニウム合金導電線である。
このアルミニウム合金導電線によれば、高い引張強度及び伸びが得られる。
上記アルミニウム合金導電線は下記(1)〜(3)のいずれかの特性を有することが好ましい。
(1)引張強度110MPa以上、伸び10%以上、導電率58%IACS以上
(2)引張強度150MPa以上、伸び5%以上、導電率40%IACS以上
(3)引張強度220MPa以上、伸び2%以上、導電率30%IACS以上
このアルミニウム合金導電線は、導電線の断面積が0.7mm以上であるアルミニウム合金導電線、導電線の断面積が0.7mm未満で且つ0.35mmより大きいアルミニウム合金導電線、又は導電線の断面積が0.35mm以下であるアルミニウム合金導電線に好適に使用できる。
また本発明は、上記アルミニウム合金導電線を含む電線である。
この電線によれば、高い引張強度及び伸びが得られる。
さらに本発明は、上記電線を複数本備えるワイヤハーネスであって、複数本の前記電線の前記アルミニウム合金導電線が同一の組成を有するアルミニウム合金で構成され且つ互いに異なる引張強度及び伸びを有する、ワイヤハーネスである。
このワイヤハーネスによれば、複数本の電線のアルミニウム合金導電線が互いに異なる引張強度及び伸びを有するため、複数本の電線のアルミニウム合金導電線の線径が互いに異なっても、ワイヤハーネスの組立て時や実使用時において、端部に加わる荷重に耐えることが可能となる。
なお本発明において、引張強度及び伸びは、JIS C3002に準拠して測定した値を言う。
また本発明において、「同一の組成」とは、Si、Fe、Cu、Mg、Ti及びVの各含有率が互いに同一であることを言う。
本発明によれば、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を簡便に製造できるアルミニウム合金導電線の製造方法、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスが提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[アルミニウム合金導電線の製造方法]
本発明のアルミニウム合金導電線の製造方法は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.3質量%以上0.55質量%以下、Ti及びVを合計で0.015質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成される1種類の荒引線を形成する荒引線形成ステップと、荒引線に対し、下記処理工程A又は下記処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得る処理ステップとを含む。
(処理工程A)伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれかの熱処理工程において溶体化処理を行う処理工程
(処理工程B)伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれの熱処理工程においても溶体化処理を行わない処理工程。
ここで、Si、Fe、Cu及びMgの含有率、並びにTi及びVの合計含有率は、アルミニウム合金導電線の質量を基準(100質量%)としたものである。
上記アルミニウム合金導電線の製造方法によれば、アルミニウム合金で構成される1種類の荒引線に対し、2種類の処理工程のうちのいずれかの処理工程によって処理することで、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線が製造される。このため、本発明によれば、複数種類の荒引線を形成する手間を省くことができ、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を簡便に製造できる。
次に、上述した荒引線形成ステップ及び処理ステップについて詳細に説明する。
<荒引線形成ステップ>
荒引線形成ステップは、アルミニウム合金で構成される1種類の荒引線を形成する工程である。
(アルミニウム合金)
上記アルミニウム合金中のSiの含有率は0.15質量%以上0.25質量%以下である。Siの含有率を0.15質量%以上0.25質量%以下とするのは、Siの含有率が0.15質量%未満である場合と比べて、引張強度と伸びとを両立でき、Siの含有率が0.25質量%より多い場合と比べて、導電性に優れているからである。Siの含有率は好ましくは0.18質量%以上0.22質量%以下である。
上記アルミニウム合金中のFeの含有率は0.6質量%以上0.9質量%以下である。Feの含有率を0.6質量%以上0.9質量%以下とするのは、Feの含有率が0.6質量%未満である場合と比べて、引張強度と伸びとを両立でき、Feの含有率が0.9質量%より多い場合と比べて、導電性に優れているからである。Feの含有率は好ましくは0.7質量%以上0.8質量%以下である。
上記アルミニウム合金中のCuの含有率は0.05質量%以上0.15質量%以下である。Cuの含有率を0.05質量%以上0.15質量%以下とするのは、Cuの含有率が0.05質量%未満である場合と比べて、引張強度と伸びとを両立でき、Cuの含有率が0.15質量%より多い場合と比べて、導電性に優れているからである。Cuの含有率は好ましくは0.06質量%以上0.12質量%以下である。
上記アルミニウム合金中のMgの含有率は0.3質量%以上0.55質量%以下である。Mgの含有率を0.3質量%以上0.55質量%以下とするのは、Mgの含有率が0.3質量%未満である場合と比べて、引張強度と伸びとを両立でき、Mgの含有率が0.55質量%より多い場合と比べて、導電性に優れているからである。Mgの含有率は好ましくは0.4質量%以上0.5質量%以下である。
上記アルミニウム合金中のTi及びVの合計含有率は0.015質量%以下である。Ti及びVの合計含有率を0.015質量%以下とするのは、導電性に優れるからである。Ti及びVの合計含有率は好ましくは0.012質量%以下である。但し、引張強度と伸びを両立するという理由からTi及びVの合計含有率は0.003質量%以上であることが好ましい。なお、Ti及びVの合計含有率は0.015質量%以下であればよく、0質量%であってもよい。すなわち、Ti及びVの含有率がいずれも0質量%であってもよい。またTi及びVのうちTiの含有率のみが0質量%であってもよく、Vの含有率のみが0質量%であってもよい。
(荒引線)
荒引線は、例えば上述したアルミニウム合金からなる溶湯に対し、連続鋳造圧延やビレット鋳造後の熱間押出し等を行うことにより得ることができる。
<処理ステップ>
処理ステップは、荒引線に対し、上記処理工程A又は上記処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得るステップである。
(処理工程A)
上記処理工程Aは、伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれかの熱処理工程において溶体化処理を行う処理工程である。
処理工程Aは、伸線工程及び熱処理工程を含んでいればよく、処理工程Aの手順の具体的な態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
伸線工程→熱処理工程
伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
但し、処理工程Aの手順は、上記の態様に限定されるものではない。例えば上記の具体的な態様の各々において、伸線工程をさらに行ってもよい。この場合、伸線工程の後に熱処理工程を行う必要がある。
伸線工程は、荒引線、荒引線を伸線して得られる伸線材、又は伸線材をさらに伸線して得られる伸線材(以下、「線材」と呼ぶ)などの径を低減させる工程である。伸線工程は、熱間伸線であっても冷間伸線であってもよいが、通常は冷間伸線である。
熱処理工程は、線材を熱処理する工程である。特に、伸線工程の後に行われる熱処理工程は、伸線工程で線材中に発生した歪を除去するために行われるものである。
熱処理工程における熱処理温度は特に制限されるものではないが、通常は100〜400℃であり、好ましくは200〜400℃である。
また熱処理工程における熱処理時間は、熱処理温度にも依存するので一概には言えないが、通常は1〜20時間である。
特に熱処理工程のうち最後に行われる熱処理工程(以下、「最終熱処理工程」と呼ぶ)では、線材を300℃以下で熱処理することが好ましい。この場合、熱処理温度が300℃を超える場合に比べて、得られるアルミニウム合金導電線の引張強度及び伸びがより向上する。但し、線材の熱処理温度は、溶体化させた元素を微細な結晶として析出させるという理由から、120℃以上であることが好ましい。
最終熱処理工程における熱処理時間は3時間以上であることが好ましい。この場合、伸線材の熱処理を3時間未満行う場合に比べて、伸び及び導電性がより向上する。但し、熱処理時間は18時間以下であることが好ましい。
溶体化処理は、線材を構成するアルミニウム合金中に溶け込んでいないSi、Fe、Cu、Mg、Ti又はVなどの添加元素をアルミニウム合金に溶け込ませ均質化させる熱処理を行った後、線材を液体に入れて急冷する処理である。線材を急冷するのは、自然冷却する場合と比べて、溶け込んだ添加元素が冷却中に析出することを抑制するためである。
溶体化処理における熱処理温度はアルミニウム合金中に溶け込んでいない添加元素をアルミニウム合金中に溶け込ませることができる温度であれば特に制限されるものではないが、450℃以上であることが好ましい。この場合、熱処理温度が450℃未満である場合と比べて、添加元素がより十分に均質化する。但し、熱処理温度は550℃以下であることが好ましい。この場合、熱処理温度が550℃より高い場合と比べて、線材が部分的に溶解することをより十分に抑制できる。
溶体化処理における熱処理時間は、特に制限されるものではないが、アルミニウム合金中に溶け込んでいない添加元素をアルミニウム合金中に十分に溶け込ませる観点からは、2時間以上であることが好ましい。但し、熱処理時間は、2時間以上処理してもあまり効果が変わらないため、生産効率を向上させるという理由から、4時間以下であることが好ましい。
急冷のために用いる液体としては、水、液体窒素などを用いることができる。
溶体化処理は、上記具体的な態様の熱処理工程のうち、いずれかの熱処理工程において行われればよい。溶体化処理を行うと、得られるアルミニウム合金導電線の引張強度を大きくし、伸びを小さくすることができる。
但し、溶体化処理を、処理工程Aにおける最後の伸線工程の直前の熱処理工程において行うことが好ましい。この場合、高い引張強度及び伸びが得られる。
(処理工程B)
処理工程Bは、上述したように、伸線工程及び熱処理工程を含み、いずれの熱処理工程においても溶体化処理を行わない処理工程である。
伸線工程、熱処理工程及び溶体化処理については、処理工程Aの説明で述べた通りである。
[アルミニウム合金導電線]
本発明のアルミニウム合金導電線は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.3質量%以上0.55質量%以下、Ti及びVを合計で0.015質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されるアルミニウム合金導電線である。
このアルミニウム合金導電線によれば、高い引張強度及び伸びが得られる。
上記アルミニウム合金導電線は、下記(1)〜(3)のいずれかの特性を有することが好ましい。但し、本発明のアルミニウム合金導電線は、下記(1)〜(3)のいずれかの特性を有しないものであってもよい。
(1)引張強度110MPa以上、伸び10%以上、導電率58%IACS以上
(2)引張強度150MPa以上、伸び5%以上、導電率40%IACS以上
(3)引張強度220MPa以上、伸び2%以上、導電率30%IACS以上
このアルミニウム合金導電線は、導電線の断面積が0.7mm以上であるアルミニウム合金導電線、導電線の断面積が0.7mm未満で且つ0.35mmより大きいアルミニウム合金導電線、又は導電線の断面積が0.35mm以下であるアルミニウム合金導電線に好適に使用できる。
[電線]
本発明の電線は、上述したアルミニウム合金導電線を有するものである。
本発明の電線によれば、高い引張強度及び伸びが得られる。
本発明の電線は通常、上記アルミニウム合金導電線を被覆する被覆層をさらに有する。被覆層は、例えばポリ塩化ビニル樹脂や、ポリオレフィン樹脂に難燃剤等を添加してなる難燃性樹脂組成物などで構成される。
[ワイヤハーネス]
本発明のワイヤハーネスは、アルミニウム合金導電線を有する複数本の電線を備えるワイヤハーネスであって、複数本の電線のアルミニウム合金導電線が同一の組成を有するアルミニウム合金で構成され且つ互いに異なる引張強度及び伸びを有する。
上記ワイヤハーネスによれば、複数本の電線のアルミニウム合金導電線が互いに異なる引張強度及び伸びを有するため、複数本の電線のアルミニウム合金導電線の線径が互いに異なっても、ワイヤハーネスの組立て時や実使用時において、端部に加わる荷重に耐えることが可能となる。
以下、本発明の内容を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12)
Si、Fe、Cu、Mg、Ti及びVを表1に示す含有率となるようにAlとともに溶解し、プロペルチ法によって連続鋳造圧延することによって線径9.5mmの1種類の荒引線を得た。その後、下記の処理工程A又は処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得た。
(処理工程A)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径1.25mmまで伸線→530℃×3時間で溶体化処理→線径0.33mmまで伸線→表1に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(処理工程B)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径0.33mmまで伸線→表1に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(実施例13〜21)
Si、Fe、Cu、Mg、Ti及びVを表2に示す含有率となるようにAlとともに溶解し、プロペルチ法によって連続鋳造圧延することによって線径9.5mmの1種類の荒引線を得た。
その後、下記の処理工程A又は処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得た。
(処理工程A)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径1.25mmまで伸線→530℃×3時間で溶体化処理→線径0.33mmまで伸線→表2に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(処理工程B)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径0.33mmまで伸線→表2に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(実施例22〜30)
Si、Fe、Cu、Mg、Ti及びVを表3に示す含有率となるようにAlとともに溶解し、プロペルチ法によって連続鋳造圧延することによって線径9.5mmの1種類の荒引線を得た。その後、下記の処理工程A又は処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得た。

(処理工程A)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径1.25mmまで伸線→530℃×3時間で溶体化処理→線径0.33mmまで伸線→表3に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(処理工程B)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径0.33mmまで伸線→表3に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(実施例31〜39)
Si、Fe、Cu、Mg、Ti及びVを表4に示す含有率となるようにAlとともに溶解し、プロペルチ法によって連続鋳造圧延することによって線径9.5mmの1種類の荒引線を得た。その後、下記の処理工程A又は処理工程Bのいずれか一方の処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得た。

(処理工程A)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径1.25mmまで伸線→530℃×3時間で溶体化処理→線径0.33mmまで伸線→表4に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
(処理工程B)270℃×8時間で熱処理→線径3.2mmまで伸線→270℃×8時間で熱処理→線径0.33mmまで伸線→表4に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
[特性評価]
(引張強度及び伸び)
実施例1〜39のアルミニウム合金導電線について、JIS C3002に準拠した引張試験による引張強度及び伸びを測定した。結果を表1〜4に示す。
(導電率)
実施例1〜39のアルミニウム合金導電線について、JIS C3002に準拠して導電率の測定を行った。結果を表1〜4に示す。
なお、表1〜4において、分類の欄における1〜4は、下記の基準に基づくものである。

1:引張強度110MPa以上、伸び10%以上、導電率58%IACS以上
2:引張強度150MPa以上、伸び5%以上、導電率40%IACS以上
3:引張強度220MPa以上、伸び2%以上、導電率30%IACS以上
4:引張強度、伸び又は導電率が上記1〜3を満たさない


Figure 0006853872
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Figure 0006853872
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表1〜4に示す結果より、アルミニウム合金で構成される1種類の荒引線を用いて、異なる種類の引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を得ることができることが分かった。
以上より、本発明によれば、異なる引張強度及び伸びを有するアルミニウム合金導電線を簡便に製造できることが確認された。

Claims (3)

  1. Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.3質量%以上0.55質量%以下、Ti及びVを合計で0.015質量%以下含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなり、Ti及びVのいずれも含有するアルミニウム合金で構成されるアルミニウム合金導電線であって、
    下記(1)〜(2)のいずれかの特性を有する、アルミニウム合金導電線。
    (1)引張強度110MPa以上、伸び10%以上、導電率58%IACS以上
    (2)引張強度150MPa以上、伸び5%以上、導電率40%IACS以上
  2. 請求項に記載のアルミニウム合金導電線を有する電線。
  3. 請求項に記載の電線を複数本備えるワイヤハーネスであって、
    複数本の前記電線の前記アルミニウム合金導電線が同一の組成を有するアルミニウム合金で構成され且つ互いに異なる引張強度及び伸びを有する、ワイヤハーネス。
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