JP2008264823A - 銅荒引線の製造方法及び銅線 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造設備の変更を要さず、軟化温度を低下させた銅荒引線の製造方法及び銅荒引線に冷間加工と熱処理を施し、最終導体の導電率が高い銅線を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る銅荒引線の製造方法は、不純物元素を含む銅の溶湯に鋳造処理を施して銅鋳塊にし、その銅鋳塊に熱間圧延加工を多段に施して銅荒引線を製造する方法において、上記鋳造処理を1100℃以上1200℃以下の鋳造温度で行い、上記熱間圧延加工の最終圧延を500℃以上600℃以下の圧延温度で行うものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る銅荒引線の製造方法は、不純物元素を含む銅の溶湯に鋳造処理を施して銅鋳塊にし、その銅鋳塊に熱間圧延加工を多段に施して銅荒引線を製造する方法において、上記鋳造処理を1100℃以上1200℃以下の鋳造温度で行い、上記熱間圧延加工の最終圧延を500℃以上600℃以下の圧延温度で行うものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、連続鋳造圧延による銅荒引線の製造方法及びそれによって製造された銅荒引線を冷間加工及び熱処理して得られる銅線に関するものである。
各種用途の導電材料として広く用いられる銅線は、一般的には銅荒引線を冷間伸線加工(引抜加工)して所望のサイズに加工されることが多い。従来、この銅荒引線の製造方法としては、生産性、歩留等の点から連続鋳造圧延法が主流となっており、例えば、Contirod法、SCR法、Properzi法等の方法が周知となっている。
連続鋳造圧延設備の一例として、図2に示されるようなContirod式の横型(水平)連続鋳造圧延設備21がある。この設備21は、銅母材である電解銅板22を溶湯23にするシャフト炉24と、溶湯23を下流に導く鋳造樋25と、鋳造樋25の途中に設けられ、溶湯23の温度を保持する保持炉26と、鋳造樋25内の溶湯23を下方に導くノズル27と、ノズル27からの溶湯23を下流に導くタンディシュ28と、タンディシュ28からの溶湯23を連続鋳造して銅鋳塊29にする横型のツインベルト式鋳造機30と、銅鋳塊29を圧延ロール31,32で多段に圧延して銅熱間圧延材33にし、その圧延材33を最下流の圧延ロール34で最終圧延して銅荒引線35にする熱間圧延加工装置36とを備えている。
この設備21では、まず、電解銅板22がシャフト炉24で溶解されて溶湯23になり、その溶湯23が鋳造樋25および保持炉26を経てノズル27からタンディシュ28に送られる。そして、溶湯23は鋳造機30に連続的に注湯され、鋳造機30で銅鋳塊29になる。銅鋳塊29は、装置36の圧延ロール31,32により、段階的に熱間圧延加工されて圧延材33になる。この圧延材33を圧延ロール34で最終圧延すると、所望径の銅荒引線35が得られる。銅荒引線35に冷間伸線加工を施すと、各種用途の導電用線材である銅線も得られる。
冷間伸線加工においては、銅の軟化特性、すなわち銅の軟化温度は工業的に見て極めて重要な特性として挙げられる。例えば、銅荒引線35から軟銅線を製造しようとする場合には、その柔軟性の点からできるだけ軟化しやすいことが要求される。また、銅荒引線35から硬銅線を製造する場合においても、その中間段階の焼鈍工程にて加工材を十分に軟化させることが不可欠となる。
銅の軟化特性は、その純度(含有不純物元素あるいは不可避不純物の種類・量)、製法、加工履歴等により大きく異なる。そこで近年、より軟化しやすい銅荒引線および銅線を得るために、軟化温度に及ぼす含有不純物元素、加工履歴の影響に関して精力的に研究されている。銅は、含有不純物元素の固溶量が少ないほど、また、冷間加工の加工度を大きくするほど軟化しやすいことが知られている。
また、近年HEV車が普及し、それに用いられるモータにはより高効率の性能が求められる。よって、モータ用エナメル線の導体には、より高導電性の性能が要求されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
しかしながら、軟化温度の低下を目的として、上述した連続鋳造圧延設備21で溶湯23中に固溶している微量の不純物元素を除去することは非常に難しい。
また、冷間加工度を増大して軟化温度を低下させようとする場合には、銅荒引線のサイズアップを図る必要がある。この場合、設備21の改造が不可欠となり、それに伴う労力、作業工数、改造費が発生し、結果として製品のコストアップが余儀なくされるという問題がある。
なお、特許文献1に記載された高強度銅合金トロリー線の製造方法は、Snを0.4乃至0.7重量%含有した銅合金の圧延材を、500℃以下の温度で仕上げ圧延して荒引線を得る方法である。ここでは、(i)仕上げ圧延温度が500℃を超えると強度が不十分になる点と、(ii)低温で仕上げ圧延するとSnによる導電率の低下が抑えられる点とを考慮して、仕上げ圧延温度を500℃以下としている。したがって、荒引線およびトロリー線の軟化温度を低下させることは考慮されていない。
そこで、本発明の目的は、製造設備の変更を要さず、軟化温度を低下させた銅荒引線の製造方法及び銅荒引線に冷間加工と熱処理を施し、最終導体の導電率が高い銅線を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、不純物元素を含む銅の溶湯に鋳造処理を施して銅鋳塊にし、その銅鋳塊に熱間圧延加工を多段に施して銅荒引線を製造する方法において、上記鋳造処理を1100℃以上1200℃以下の鋳造温度で行い、上記熱間圧延加工の最終圧延を500℃以上600℃以下の圧延温度で行う銅荒引線の製造方法である。
請求項2の発明は、上記溶湯は、酸素含有量が600mass ppm以下で、かつ不純物元素が3mass ppm以上200mass ppm以下含まれている溶銅である請求項1記載の銅荒引線の製造方法である。
ここでいう不純物元素とは、硫黄、鉛、ビスマス、セレン、テルルのうち一種以上の元素を含んだものである。
請求項3の発明は、上記銅鋳塊に、上記銅荒引線の線径が8〜30mmとなるように熱間圧延加工を多段に施した請求項1または2記載の銅荒引線の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項3の銅荒引線の製造方法において、前記熱間圧延加工の1段あたりの加工率は30%以上であることを特徴とする銅荒引線の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれかに記載された製造方法を用いて作製した銅荒引線に、冷間加工を施して作製した銅線である。
請求項6の発明は、請求項1〜4に記載の銅荒引線の製造方法を用いて作製した銅荒引線に冷間加工と熱処理を1回以上施して、最終熱処理後の導体の導電率が101%IACS以上であることを特徴とする銅線である。
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
(1)不純物元素を含む銅の溶湯から1100〜1200℃の高い鋳造温度で銅鋳塊を製造し、これを多段に圧延し、500〜600℃の低い最終圧延温度で銅荒引線を製造し、さらにこれを冷間伸線して銅線を製造しているので、銅荒引線および銅線の軟化温度を低下させることができる。また、熱処理をした導体の導電率を高くすることができる。
(2)銅荒引線および銅線の製造設備の改造を必要としないことから、この種の線材製品のコストを維持しつつ、性能向上を図ることが可能となる。
(3)銅母材に不純物元素が比較的多く含まれる場合においても、最終圧延を不純物元素の銅への固溶限が小さくなる温度で行っているので、軟化温度が低い銅荒引線および銅線を製造できる。また、熱処理をした導体の導電率を高くすることができる。
(4)銅基材料のリサイクル技術も向上させることができ、環境問題に対しても非常に大きく貢献できる。
以下、本発明の好適実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の好適実施の形態である銅荒引線の製造方法の工程を示すフローチャートである。
図1に示すように本発明に係る銅荒引線の製造方法は、銅母材を溶解して不純物元素を含んだ銅の溶湯(溶銅)にする溶解工程(F1)と、その銅の溶湯を鋳造して銅鋳塊にする鋳造工程(F2)と、その銅鋳塊に熱間圧延加工を多段に施して圧延材にする熱間圧延工程(F3)と、その圧延材を洗浄し巻取って銅荒引線にする洗浄・巻取り工程(F4)とを有している。さらに、次工程(F5)は、巻き取った銅荒引線を送り出し、その銅荒引線に冷間加工を施して各種用途の導電用線材である銅線にする冷間(伸線)加工工程である。
溶解工程(F1)から洗浄・巻取り工程(F4)までは、既存または慣用の連続鋳造圧延設備、例えば、図2で説明したContirod式の横型(水平)連続鋳造圧延設備21を用いて行う。また、冷間加工工程(F5)は、既存または慣用の冷間加工装置を用いて行う。
図1を図2に対応させれば、溶解工程(F1)は図2のシャフト炉24における工程に、鋳造工程(F2)は図2の鋳造機30における工程に、熱間圧延工程(F3)は図2の熱間圧延加工装置36における工程に、洗浄・巻取り工程(F4)は図2の圧延ロール34と銅荒引線35間における工程にそれぞれ相当する。
各工程をより詳細に説明する。溶解工程(F1)は、銅を溶解して溶銅にする工程であり、その溶銅中には酸素含有量が600mass ppm以下で、かつ硫黄(S)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、セレン(Se)、テルル(Te)のうち一種以上の元素を含んだ不純物元素が合計(総含有量)で3〜200mass ppm含まれている。
銅中の酸素は、主としてCu2O(亜酸化銅)の形で存在する。タフピッチ銅線(酸素含有量200〜500mass ppm)の冷間伸線時にはその長手方向に張力が加わり、亜酸化銅自身が割れるか、亜酸化銅と銅マトリックスとの境界が離れる結果、ボイド(空隙)が形成されるとされている(例えば、田中浩、吉田一也,「タフピッチ銅の材料特性とカッピング欠陥」,日本塑性加工学会誌,1982年,第24巻,p.470参照。)。そして、このボイドは伸線加工が進むにつれて合体・進展することから、銅中の酸素濃度が高い場合(Cu2O量が多い場合)には、断線に至りやすいとされている。
したがって、溶銅中の酸素含有量は600mass ppm以下、より好ましくは実施例で後述するように、200〜400mass ppmとなるようにしている。
S,Pb,Bi,Se,Teは、銅中に比較的多く含まれる不純物元素、あるいは不可避不純物でもあり、銅に固溶するといずれも極微量で銅の軟化温度を著しく上昇させるものである(例えば、鈴木寿、菅野幹宏、前田貴雄、山崎伸介,「純銅加工材の軟化特性と導電性に及ぼす微量のb族および遷移金属元素添加の影響」,伸銅技術研究会誌,1984年,第23巻,p.25−35、および青山正義、菅野幹宏,「純銅加工材の軟化特性に及ぼすPb、S、及びO添加の影響」,伸銅技術研究会誌,1996年,第35巻,p.110−117参照。)。
ただし、これら五種の元素は銅への固溶限が極めて小さい特徴がある(例えば、R.P.Elliott:Constitution of Binary Alloys,First Supplement(1985),p.381、およびM.Hansen,K.Anderuko:Constitution of Binary Alloys,(1958),p.308−309,609−612,628−629,638−641参照。)。
本実施の形態では、後述するように、最終圧延を500℃以上600℃以下の低い圧延温度で行っているので、熱間圧延加工中にこれら元素の銅への固溶限がさらに小さくなり、元素の析出(固溶量の減少)がより促進されて進行することになる。したがって、銅荒引線および銅線の軟化温度を低下させることができる。
さらに、その他の効果として、これら五種の元素と、その他の微量元素との共存による化合物の形成促進、析出促進なども期待される。
S,Pb,Bi,Se,Teのうち一種以上の元素を含んだ不純物元素の総含有量を3mass ppm未満に調整することは非常に困難である。また、3mass ppm未満では、従来の製造条件でも銅荒引線および銅線の導電率の低下や表面品質の低下などの問題は認められず、銅荒引線および銅線の軟化温度に及ぼす影響が少ない。一方、S,Pb,Bi,Se,Teのうち一種以上の元素を含んだ不純物元素の総含有量が200mass ppmを超えると、製造条件を変えても銅荒引線および銅線の軟化温度が過剰に上昇してしまうばかりでなく、銅荒引線および銅線の導電率の低下や表面品質の低下が引き起こされてしまう。
したがって、溶銅中のS,Pb,Bi,Se,Teのうち一種以上の元素を含んだ不純物元素の総含有量は、3〜200mass ppm、好ましくは3〜100mass ppm、より好ましくは3〜50mass ppm、特に好ましくは3〜25mass ppmとなるようにしている。
鋳造工程(F2)は、銅の溶湯を1100〜1200℃の鋳造温度で鋳造して銅鋳塊にする工程である。
溶湯の温度が低いとその流動性が低下し、操業が困難となる場合がある。また、溶湯の温度が高くなると、水素ガスの吸収量の増加、銅鋳塊中の空隙(ブローホール、ピンホール)量の増大により、銅荒引線および銅線の表面品質が低下する傾向にある。したがって、鋳造温度は1100〜1200℃にしている。
熱間圧延工程(F3)は、銅鋳塊に、圧延初期は600〜900℃の圧延温度で熱間圧延加工を施し、最終圧延は500〜600℃の圧延温度で熱間加工を施して圧延材にする工程である。
銅荒引線および銅線の軟化温度を低下させるためには、上述した五種の元素の固容量を減少させる必要がある。そのためには、最終圧延温度の上限を五つの元素の固溶限が小さくなる温度、すなわち600℃以下にしている。一方、圧延温度が低くなると銅の熱間加工性が低下するので、最終圧延温度が500℃未満においてはその加工が難しくなる。したがって、最終圧延温度は500〜600℃にしている。
また、圧延温度の調整は、図2で説明した熱間圧延加工装置36において冷却水の温度、冷却水の量を調整したり、図2で説明した鋳造機30において鋳造速度等を調整することで行う。
洗浄・巻取り工程(F4)は、圧延材を洗浄し巻き取って荒引線にする工程である。巻き取った荒引線の線径φは、例えば、8〜30mmとなるようにしている。
銅荒引線の線径φが8mmより小さくなると、最終製品である銅線までの冷間加工度が小さくなり、十分な強度が得られない場合がある。また、線径φが30mmより大きくなると、銅荒引線の巻取りが難しくなる場合がある。したがって、銅荒引線の線径φが8〜30mmとなるように熱間圧延加工を多段に施すようにしている。
不純物元素の析出を促進させるため、熱間圧延加工の1段あたりの加工率は30%以上にしている。これは加工率を高くすることにより、導体の転位密度を増加させ、不純物の析出を促進し軟化温度が低下する。さらに不純物元素の析出により、銅中の不純物の固溶量が減少し、導電率も増加する。
冷間加工工程(F5)は、巻き取った銅荒引線を送り出し、その銅荒引線に、常温下にて任意の加工度で冷間加工を施して、用途に応じた銅線にする工程である。
以上説明した本発明に係る銅荒引線の製造方法を用いれば、軟化温度を低下させた(低温で軟化しやすい、あるいは軟化特性に優れた)銅荒引線および銅線を製造できる。特に、後述する実施例で明らかになるように、半軟化温度が170℃以下の銅線を製造できる。さらに、熱処理後の導電率が101%IACS以上の導体を得ることができる。
このように、本発明に係る銅荒引線の製造方法は、不純物元素を含んだ銅の溶湯を高温で鋳造(鋳造温度が1100〜1200℃)し、その銅鋳塊に低温圧延加工(最終圧延温度が500〜600℃)を施しているので、熱間圧延加工中に不純物元素の銅への固溶限がさらに小さくなり、不純物元素の析出(固溶量の減少)がより促進されて進行することになる。これにより、軟化温度を低下させた銅荒引線が製造できる。さらに、その銅荒引線に冷間加工を施すと、軟化温度を低下させた銅線も製造できる。
また、本発明に係る製造方法は、既存あるいは慣用の製造コストが低い連続鋳造圧延設備や冷間加工装置を改造することなくそのまま使用できるので、軟化温度を低下させた銅荒引線および導電率の高い銅線を低コストで製造できる。
銅母材に不純物元素(S,Pb,Bi,Se,Te)が比較的多く含有している場合においても、最終圧延を不純物元素の銅への固溶限が小さくなる温度で行っているので、軟化温度が低い銅荒引線および銅線を製造できる。
本発明の効果を検証するために、図2で説明した連続鋳造圧延設備21と冷間加工装置を用いて、銅母材の酸素含有量と、不純物元素の含有量と、最終圧延温度とを様々に変えて銅荒引線および銅線を作製し、銅線の半軟化温度を求めた。また、冷間加工と熱処理を行い、導体の導電率を測定した。
いずれの試料についても、銅母材の酸素含有量を200〜400mass ppmとし、その銅母材が含有するS,Pb,Biの総含有量を5〜20mass ppmとし、鋳造温度を1150±10℃とし、銅荒引線の線径を8mmとし、銅線の線径を2.6mmとした。各銅線試料には、油浴および塩浴中にて常温〜400℃の種々の温度でそれぞれ1時間加熱した後、引張試験を行い、それぞれの引張強度を測定した。この引張強度から各銅線試料の等時軟化曲線を得た。各銅線試料の軟化特性の評価は、等時軟化曲線から求めた半軟化温度(「常温の引張強度」と「完全軟化時の引張強度」の中間の引張強度を示す加熱温度)により行った。各銅線試料の引張試験自体は従来と同じ要領で実施したため、詳細な説明は省略する。導電率は400℃で熱処理した導体を用いて、四端子法により測定した。
(実施例1〜10)
実施例1〜10は、最終圧延を500〜600℃の圧延温度で行って銅荒引線および銅線を製造したものである。
実施例1〜10は、最終圧延を500〜600℃の圧延温度で行って銅荒引線および銅線を製造したものである。
(比較例1〜10)
比較例1〜10は、最終圧延を600℃よりも高い圧延温度で行って銅荒引線および銅線を製造したものである。
比較例1〜10は、最終圧延を600℃よりも高い圧延温度で行って銅荒引線および銅線を製造したものである。
これら実施例1〜10および比較例1〜10について、各銅線試料の軟化特性の評価結果を表1に示す。表1中のSn,Fe,Niは不可避不純物である。
表1に示すように、実施例1〜10は、銅荒引線製造時の最終圧延温度が500〜600℃なので、加熱処理時の軟化がより促進され、銅線の半軟化温度が170℃以下と低くなっていることがわかる。
これに対して比較例1〜10は、銅荒引線製造時の最終圧延温度が600℃よりも高いので、最終圧延温度が高くなるにつれて銅線の半軟化温度が高くなる傾向にあり、いずれも銅線の半軟化温度が170℃よりも高くなっている。
特に、実施例1〜10の銅線の半軟化温度は、組成のほぼ等しい比較例1〜10の銅線の軟化温度よりも低いことがわかる。(例えば、実施例1(151℃)と比較例1(171℃)、実施例5(150℃)と比較例4(182℃)など)。よって実施例1〜10は、比較例1〜10に比べて銅線の軟化温度が低下し、軟化しやすいことが明らかとなった。
したがって、銅母材の不純物元素の含有量を所定範囲に調整した銅の溶湯から1100〜1200℃の高い鋳造温度で銅鋳塊を製造し、これを多段に圧延し、500〜600℃の低い最終圧延温度で銅荒引線を製造し、さらにこれを冷間伸線して銅線を製造すれば、銅荒引線および銅線の軟化温度を低下できることがわかる。また、実施例の導体の導電率はすべて101%IACS以上を有しており、良好な性能を示した。
上記実施例では、銅母材にS,Pb,Biが含有している例で説明したが、銅母材に、S,Pb,Biの他にSe,Teを含めた五種の元素のうち一種以上を含有していても同様の効果が得られる。
また、本発明は銅に関するものであるが、例えば、アルミニウム合金、鉄合金などの他金属に応用することも可能である。
Claims (6)
- 不純物元素を含む銅の溶湯に鋳造処理を施して銅鋳塊にし、その銅鋳塊に熱間圧延加工を多段に施して銅荒引線を製造する方法において、上記鋳造処理を1100℃以上1200℃以下の鋳造温度で行い、上記熱間圧延加工の最終圧延を500℃以上600℃以下の圧延温度で行うことを特徴とする銅荒引線の製造方法。
- 上記溶湯は、酸素含有量が600mass ppm以下で、かつ不純物元素が3mass ppm以上200mass ppm以下含まれている溶銅である請求項1記載の銅荒引線の製造方法。
- 上記銅鋳塊に、上記銅荒引線の線径が8〜30mmとなるように熱間圧延加工を多段に施した請求項1または2記載の銅荒引線の製造方法。
- 請求項3の銅荒引線の製造方法において、前記熱間圧延加工の1段あたりの加工率は30%以上であることを特徴とする銅荒引線の製造方法。
- 請求項1〜4いずれかに記載された製造方法を用いて作製した銅荒引線に、冷間加工を施して作製した銅線。
- 請求項1〜4に記載の銅荒引線の製造方法を用いて作製した銅荒引線に冷間加工と熱処理を1回以上施して、最終熱処理後の導体の導電率が101%IACS以上であることを特徴とする銅線。
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