JP2012172174A - 高導電率高強度トロリ線の製造方法および高導電率高強度トロリ線 - Google Patents

高導電率高強度トロリ線の製造方法および高導電率高強度トロリ線 Download PDF

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Abstract

【課題】高い導電率と、高い引張強さを有するトロリ線の製造方法およびトロリ線を提供する。
【解決手段】Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる鋳造材を連続鋳造によって得る連続鋳造工程。鋳造材に、熱間加工開始温度800℃以上、熱間加工終了温度650℃以上で、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し、直径18mm以上の線材を得る熱間加工工程。線材に、150℃以下の温度で、50%以上の冷間加工度にて冷間加工を施し、以下の(1)又は(2)のトロリ線を得る冷間加工工程。(1)トロリ線の公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上で、導電率が87%IACS以上。(2)トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上で、導電率が87%IACS以上。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気鉄道などの給電線に利用されるトロリ線の製造方法およびトロリ線に関する。特に、高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有するトロリ線の製造方法およびトロリ線に関する。
電気鉄道の架線を構成する部材の一つに、鉄道車両のパンタグラフと直接摺動接触して鉄道車両に給電するトロリ線がある。このトロリ線には、タフピッチ銅(TPC:Tough-Pitch Copper)などからなる硬銅(硬銅トロリ線)や、耐熱性や耐摩耗性の向上を目的として、銀(Ag)や錫(Sn)を添加した銅合金(銀入り銅トロリ線、錫入り銅トロリ線)が使用されている。その他、強度と導電率の向上を目的として、銅にクロム(Cr)とジルコニウム(Zr)を添加したCu-Cr-Zr系析出強化型銅合金を適用したトロリ線も開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
トロリ線に要求される特性としては、例えば、導電率が高いこと、引張強さが高いこと、が挙げられる。導電率が高い、即ち電気抵抗が小さいことで、架線における電力損を低減できる。また、吊架線にハンガを介してトロリ線を吊り下げ支持する架線構造を採用した場合、トロリ線の導電率が高いことで、吊架線やハンガに循環電流が流れ難くなり、循環電流による電食を防止できる。
一方、引張強さが高いことで、鉄道車両の高速化に対応するため、トロリ線の架線張力を高めて波動伝搬速度を大きくして、高速で走行する鉄道車両のパンタグラフとトロリ線の離線を抑え、安定した集電性能を確保できる。
特開2006‐16650号公報 特開2005‐126790号公報
近年、鉄道車両のさらなる高速化が検討されており、それに応じて、高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有するトロリ線が望まれている。
ところで、例えば、特許文献1に記載のトロリ線は、Agを含有する銅合金(Cu‐Ag合金)を用いているが、Agの含有量が0.12〜0.3質量%と少なく、導電率は高いが、引張強さが十分ではない虞がある。また、特許文献2に記載のトロリ線は、Snを含有する銅合金(Cu‐Sn合金)を用いており、引張強さは高いが、導電率が低い。
一方、上記した析出強化型銅合金(Cu-Cr-Zr合金)を用いたトロリ線では、引張強さが非常に高いが、硬度も高いため、生産性の点で有利な連続鋳造圧延法を採用することが極めて困難である。また、析出強化型銅合金トロリ線は、製造工程の中で、添加元素を析出させるための熱処理工程が必要であり、生産性が低い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有するトロリ線の製造方法およびトロリ線を提供することにある。また、本発明の別の目的は、生産性が高く、製造コストの低減を図ることができるトロリ線の製造方法およびトロリ線を提供することにある。
本発明者らは、Agの含有量が多い銅合金を用い、主として熱間加工開始温度を高く設定することにより、優れたトロリ線を製造できることを見出した。
本発明の高導電率高強度トロリ線の製造方法は、次の工程を含むことを特徴とする。
Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる鋳造材を連続鋳造によって得る連続鋳造工程。
鋳造材に、熱間加工開始温度800℃以上、熱間加工終了温度650℃以上で、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し、直径18mm以上の線材を得る熱間加工工程。
線材に、150℃以下の温度で、50%以上の冷間加工度にて冷間加工を施し、以下の(1)又は(2)のトロリ線を得る冷間加工工程。
(1)トロリ線の公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上で、導電率が87%IACS以上
(2)トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上で、導電率が87%IACS以上
本発明の製造方法によれば、高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有するトロリ線を得ることができる。また、Agの含有量が0.4〜1.0質量%と多く、耐熱性の向上も期待できる。
本発明の製造方法では、Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる鋳造材を熱間・冷間加工してトロリ線を得る。Agの含有量が0.4質量%未満の場合は、引張強さが不足し、Agの含有量が1.0質量%超の場合は、導電率が87%IACSより低くなる。また、酸素の含有量が0.01質量%未満の場合は、熱間加工時に割れが発生し易く、酸素が0.05質量%超の場合は、冷間加工時に酸化銅を起点とした断線が発生し易い。Agの含有量は0.5質量%以上0.7質量%以下が好ましい。
連続鋳造工程では、ツインベルト式連続鋳造機を用いたコンチロッド方式、ベルト&ホイール式連続鋳造機を用いたSCR方式といった連続鋳造法により鋳造材を得る。連続鋳造法を採用することで、生産性を高め、製造コストの低減を図ることができる。また、連続鋳造法は、長尺な鋳造材を得ることができるので、接続部のない長尺なトロリ線を得ることができる。
熱間加工工程では、得られた鋳造材に、熱間加工開始温度800℃以上、熱間加工終了温度650℃以上で、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し、線材を得る。熱間加工を施すことで、合金組織の結晶粒を微細化して、線材強度を向上させることができる。熱間加工としては熱間圧延が好適である。特に、連続鋳造工程と熱間加工工程とを連続的に行う連続鋳造圧延法を採用することで、鋳造材の熱をそのまま熱間加工に利用することができ、エネルギーを有効に利用できる。
熱間加工開始温度は800℃以上、熱間加工終了温度は650℃以上とする。これにより、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を容易にすることができる。Cu‐Ag合金といった固溶強化型銅合金では、Ag(添加元素)の含有量が多くなるほど、引張強さが高くなる傾向があるが、その分硬度も高くなる。そのため、熱間加工開始温度が低いと、熱間加工装置(熱間圧延機)に過大な負荷がかかったり、加工後の線材に表面疵や割れが発生するなどの問題が起こる。本発明では、熱間加工開始温度を800℃以上としており、Agの含有量が多い銅合金の鋳造材であっても、熱間加工を施し易い。なお、ここでいう熱間加工開始温度とは、熱間加工される直前の鋳造材の温度(即ち、熱間加工装置に供給される直前の鋳造材の温度)のことである。熱間加工開始温度は、例えば830℃以上とすることが好ましく、850℃以上とすることがより好ましい。
例えば連続鋳造圧延の場合、熱間加工開始温度は、鋳造温度(溶湯温度)を制御することで、調節することができる。ここで、Cu‐Ag合金では、Agの含有量が多くなるほど融点が下がるが、本発明では、鋳造温度(溶湯温度)を高く設定し、鋳造材の温度を少なくとも800℃以上に調整することで、熱間加工開始温度を調節することが挙げられる。なお、ここでいう鋳造温度(溶湯温度)とは、鋳造機に供給する直前の溶湯の温度のことであり、鋳造材の温度とは、連続鋳造された直後の鋳造材の温度(即ち、連続鋳造機から送出された直後の鋳造材の温度)のことである。鋳造温度(溶湯温度)は、例えば1120℃以上とすることが好ましい。
一方、熱間加工終了温度についても、温度が低い場合には、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し難く、また、熱間加工開始温度と同様に、熱間加工装置(熱間圧延機)に過大な負荷がかかったり、加工後の線材に表面疵や割れが発生するなどの問題が起こる。本発明では、熱間加工終了温度を650℃以上としており、Agの含有量が多い銅合金の鋳造材であっても、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し易い。熱間加工終了温度は、熱間加工の条件(加工速度やパス数)によっても変わるが、同じ条件であれば、熱間加工開始温度によってほぼ決まる。なお、ここでいう熱間加工終了温度とは、熱間加工された直後の線材の温度(即ち、熱間加工装置から送出された直後の線材の温度)のことである。熱間加工終了温度は、例えば700℃以上とすることが好ましい。
熱間加工の加工度は80%以上とする。これにより、合金組織の結晶粒を微細化して線材強度を向上させ、延いては、トロリ線の引張強さを高めることができる。この熱間加工度は、「(加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積」の百分率で表わされる。熱間加工度は、加工前の断面積(即ち、素材となる鋳造材の径)や加工後の断面積(即ち、目標とする線材の径)に応じて、例えば85%以上、さらには90%以上としてもよい。
また、熱間加工工程で得る線材の直径は18mm以上とする。これにより、次工程(冷間加工工程)において、高い加工度の冷間加工を施すことができ、その結果、冷間加工による強度向上効果を確実に得ることができる。
冷間加工工程では、得られた線材に、150℃以下の温度で、50%以上の冷間加工度にて冷間加工を施し、トロリ線を得る。冷間加工を施すことで、線材強度をさらに向上させることができる。冷間加工としては伸線加工が好適である。冷間加工の加工温度は150℃以下とし、例えば、加熱することなく常温(25℃程度)で冷間加工を施してもよい。
冷間加工の加工度は50%以上とする。これにより、冷間加工による強度向上効果を確実に得ることができる。この冷間加工度も、「(加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積」の百分率で表わされる。冷間加工度は、加工前の断面積(即ち、素材となる線材の径)や加工後の断面積(即ち、目標とするトロリ線の径)に応じて、例えば55%以上、さらには70%以上としてもよい。特に、この冷間加工度は、強度向上効果が十分に得られるように、80%以上とすることが好ましい。トロリ線の断面積が小さい方が、より高い加工度の冷間加工を施すことができるので、トロリ線の強度向上が期待できる。
冷間加工工程で得るトロリ線は、公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上とし、公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上とする。このような高強度のトロリ線は、従来の錫入り銅トロリ線に匹敵する引張強さを有し、硬度(耐摩耗性)も高い。特に、トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが450MPa以上とすることが好ましい。
また、トロリ線は、導電率が87%IACS以上とする。トロリ線を構成する銅合金の組成を上記した組成に限定することで、87%IACS以上の高い導電率を維持することができる。トロリ線の導電率は90%IACS以上が好ましい。
一方、本発明の高導電率高強度トロリ線は、Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、以下の(1)又は(2)を満たすことを特徴とする。
(1)トロリ線の公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上で、導電率が87%IACS以上
(2)トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上で、導電率が87%IACS以上
本発明のトロリ線によれば、87%IACS以上の高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有する。トロリ線の引張強さは、公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、420MPa以上であり、公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、440MPa以上である。
本発明のトロリ線において、引張強さは、公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、450MPa以上であることが好ましい。また、導電率は90%IACS以上であることが好ましい。Agの含有量は0.5質量%以上0.7質量%以下が好ましい。
本発明の高導電率高強度トロリ線の製造方法は、高い導電率を維持しながら、高い引張強度を有するトロリ線を効率良く生産することができ、生産性が高く、製造コストの低減を図ることができる。また、本発明の高導電率高強度トロリ線は、高い導電率を維持しながら、高い引張強度を有しているので、鉄道車両の高速化に対応することができる。さらに、本発明の高導電率高強度トロリ線は、Agの含有量が多い銅合金で構成されており、従来のAgの含有量が少ないトロリ線に比較して、耐熱性の向上も期待できる。
[実施例1]
連続鋳造圧延法を用いて試料No.1-1〜1-11のトロリ線を製造した。この例では、いずれの試料も、銅合金の溶解→連続鋳造→熱間加工(熱間圧延)→冷間加工(伸線加工)の工程順で製造した。以下、製造工程を順を追って詳しく説明する。
まず、表1に示すAg含有量となるように、タフピッチ銅の溶湯にAgを添加して溶解を行い、各試料のCu‐Ag合金の溶湯を作製した。次いで、各試料について、所定温度となるように溶湯温度を制御した後、その合金溶湯をツインベルト式連続鋳造機に供給して連続鋳造を行い、断面積を適宜設定した鋳造材を得た。その後連続して、鋳造材を多段熱間圧延機に供給し、鋳造材に熱間圧延を施して線材を得た。各試料の熱間圧延における圧延開始温度、圧延終了温度および熱間加工度を表1に示す。また、各試料での熱間圧延後の線材の直径を表1に示す。
ここで、圧延開始温度は、熱間圧延機に供給される直前の鋳造材の温度を測定した値である。圧延終了温度は、熱間圧延機から送出された直後の線材の温度を測定した値である。熱間加工度は、熱間圧延前の断面積(鋳造材の断面積)から熱間圧延後の断面積(線材の断面積)を減じた値を熱間圧延前の断面積(鋳造材の断面積)で除して百分率で表した値である。この例では、連続鋳造と熱間圧延とを連続して行う連続鋳造圧延により線材を得ており、圧延開始温度は、連続鋳造機から送出された直後の鋳造材の温度と同等と考えてよい。そして、各試料における圧延開始温度は、溶湯温度を1120〜1140℃に適宜設定し、鋳造材の温度を調整することで調節した。また、圧延終了温度は、圧延条件(圧延速度やパス数)や圧延時の冷却条件を変更するなどして調節した。
さらに、この例では、ツインベルト式連続鋳造機は、溶湯が注湯される供給側より鋳造材が送出される送出側が低くなるように、供給側から送出側に向かって斜め下方に傾斜しており、送出された鋳造材が連続的に多段熱間圧延機に供給されるように構成されている。そして、鋳造材が多段熱間圧延機に移送される際に鋳造材に大きな曲げが加わらないように、ツインベルト式連続鋳造機の送出側において傾斜が緩くなっている。これにより、多段熱間圧延機に移送される際、鋳造材の温度が多少高くても、Ag含有量が多い銅合金の鋳造材に割れなどが生じることを防ぐことができる。
次に、各試料について、得られた線材を常温(25℃)まで冷却した後、線材を伸線加工機に供給し、線材に常温で伸線加工を施してトロリ線を得た。各試料の伸線加工における伸線加工温度および冷間加工度を表1に示す。また、各試料での伸線加工後のトロリ線の断面積を表1に示す。ここで、冷間加工度は、伸線加工前の断面積(線材の断面積)から伸線加工後の断面積(トロリ線の断面積)を減じた値を伸線加工前の断面積(線材の断面積)で除して百分率で表した値である。ただし、試料No.1-5,1-6は、熱間圧延後の線材に表面疵が発生していたため、伸線加工を施すことができず、トロリ線に加工することができなかった。
以上の製造工程により得られた各試料のトロリ線における引張強さ、導電率および酸素含有量を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2012172174
Figure 2012172174
表1,2の結果から、Agの含有量、酸素の含有量、並びに、熱間圧延条件および伸線加工条件を特定の範囲とした試料No.1-1〜1-4のトロリ線は、87%IACS以上の高い導電率を維持しながら、高い引張強さを有する。例えば、公称断面積が170mm2である試料No.1-2のトロリ線は、引張強さが420MPa以上であり、公称断面積が110mm2である試料No.1-1,1-3および1-4のトロリ線は、引張強さが440MPa以上である。また、試料No.1-1〜1-4のトロリ線は、連続鋳造圧延法を用いて製造しているので、生産性が高く、製造コストの低減を図ることができる。
これに対し、試料No.1-5,1-6は、トロリ線に加工することができなかった。これは、熱間圧延における圧延開始温度、或いは圧延終了温度が低かったことが原因と考えられる。試料No.1-7のトロリ線は、熱間加工度が低く、引張強さが十分でない。試料No.1-8のトロリ線は、Agの含有量が多過ぎ、引張強さが高いが導電率が低い。試料No.1-9のトロリ線は、冷間加工度が低く、引張強さが十分でない。また、試料No.1-10,1-11のトロリ線は、従来のAgの含有量が少ないトロリ線であり、導電率が高いが引張強さが十分でない。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、銅合金の組成やトロリ線の断面積を適宜変更したり、熱間加工(熱間圧延)条件および冷間加工(伸線加工)条件を適宜変更してもよい。
本発明の高導電率高強度トロリ線は、例えば電気鉄道の分野に利用することができる。特に、本発明のトロリ線は、高い導電率を維持しながら、高い引張強度を有しているので、新幹線などの鉄道車両の高速化に対応することができる。また、本発明の高導電率高強度トロリ線の製造方法は、高い導電率を維持しながら、高い引張強度を有するトロリ線を効率良く生産することができ、トロリ線の製造に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる鋳造材を連続鋳造によって得る連続鋳造工程と、
    前記鋳造材に、熱間加工開始温度800℃以上、熱間加工終了温度650℃以上で、80%以上の熱間加工度にて熱間加工を施し、直径18mm以上の線材を得る熱間加工工程と、
    前記線材に、150℃以下の温度で、50%以上の冷間加工度にて冷間加工を施し、以下の(1)又は(2)のトロリ線を得る冷間加工工程と、
    を含むことを特徴とする高導電率高強度トロリ線の製造方法。
    (1)トロリ線の公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上で、導電率が87%IACS以上
    (2)トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上で、導電率が87%IACS以上
  2. 前記熱間加工開始温度が830℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の高導電率高強度トロリ線の製造方法。
  3. 前記熱間加工終了温度が700℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高導電率高強度トロリ線の製造方法。
  4. 前記冷間加工度が55%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高導電率高強度トロリ線の製造方法。
  5. トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが450MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高導電率高強度トロリ線の製造方法。
  6. Agを0.4質量%以上1.0質量%以下、酸素を0.01質量%以上0.05質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、
    以下の(1)又は(2)を満たすことを特徴とする高導電率高強度トロリ線。
    (1)トロリ線の公称断面積が150mm2以上170mm2以下の場合、引張強さが420MPa以上で、導電率が87%IACS以上
    (2)トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが440MPa以上で、導電率が87%IACS以上
  7. トロリ線の公称断面積が80mm2以上120mm2以下の場合、引張強さが450MPa以上であることを特徴とする請求項6に記載の高導電率高強度トロリ線。
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