JP2639057B2 - アルミニウム合金製バルブリフタ - Google Patents
アルミニウム合金製バルブリフタInfo
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、内燃機関の動弁機構、より詳しくは、エン
ジンの弁を駆動するための動弁カムと接触しているバル
ブリフタに関する。
ジンの弁を駆動するための動弁カムと接触しているバル
ブリフタに関する。
自動車などのエンジンに用いられるバルブリフタは、
鉄鋼製に代って燃費向上を目的として軽量化が図られて
アルミニウム合金などの軽合金製が提案されている。軽
合金製リフタにすると、動弁カムに対する耐摩耗性やバ
ルブ軸(弁棒)端部との当接に対する耐摩耗性が問題と
なってくる。
鉄鋼製に代って燃費向上を目的として軽量化が図られて
アルミニウム合金などの軽合金製が提案されている。軽
合金製リフタにすると、動弁カムに対する耐摩耗性やバ
ルブ軸(弁棒)端部との当接に対する耐摩耗性が問題と
なってくる。
動弁カムおよびバルブ軸に接する耐摩耗性金属部材を
アルミニウム合金で鋳包みかつ外周部をFe−Pメッキし
たバルブリフタが特開昭62−63105号公報に開示されて
いる。アルミニウムなどの軽合金でもって硬質材料の突
部をその項部内面に鋳包んでリフタ本体として、頂面に
取り換可能な鋼製アウターパッド(アジャスティングシ
ム)が嵌められているバルブリフタが特開昭58−165508
号公報に開示されている。また、アルミニウムなどの軽
合金の鋳造でバルブリフタを形成し、カムと接する頂面
およびバルブ軸(弁棒)の当接する裏面に硬質材料を溶
射することも提案されている(特開昭58−214609号公報
参照)。アルミニウム製のバルブリフタ本体(タペット
本体)でのカム当り面の耐摩耗性物の溶射充填を剥離、
脱落しないように付着することも提案されている(特公
昭47−50885号公報参照)。さらに軽量化のためにチタ
ン合金でバルブリフタ本体を作り、耐久性のために表面
全体に窒化処理を施すことも提案されている(発明協会
公開技報85−15251号参照)。
アルミニウム合金で鋳包みかつ外周部をFe−Pメッキし
たバルブリフタが特開昭62−63105号公報に開示されて
いる。アルミニウムなどの軽合金でもって硬質材料の突
部をその項部内面に鋳包んでリフタ本体として、頂面に
取り換可能な鋼製アウターパッド(アジャスティングシ
ム)が嵌められているバルブリフタが特開昭58−165508
号公報に開示されている。また、アルミニウムなどの軽
合金の鋳造でバルブリフタを形成し、カムと接する頂面
およびバルブ軸(弁棒)の当接する裏面に硬質材料を溶
射することも提案されている(特開昭58−214609号公報
参照)。アルミニウム製のバルブリフタ本体(タペット
本体)でのカム当り面の耐摩耗性物の溶射充填を剥離、
脱落しないように付着することも提案されている(特公
昭47−50885号公報参照)。さらに軽量化のためにチタ
ン合金でバルブリフタ本体を作り、耐久性のために表面
全体に窒化処理を施すことも提案されている(発明協会
公開技報85−15251号参照)。
上述のように軽合金製バルブリフタ各種が提案されて
いるが、これらの場合には次のような短所がある。特開
昭62−63105号公報でのバルブリフタは、その耐摩耗性
金属部材がインナシムとアジャスティングシムとの一体
型であるためにアジャスティングシムの交換ができずメ
ンテナンス性が良くない。特開昭58−165508号および58
−214609号公報および特公昭47−50885号公報でバルブ
リフタでは、シリンダヘッドなどに設けられたガイド孔
と摺動するバルブリフタ外周面の耐摩耗性が不十分であ
る。特開昭58−165508号公報ではアジャスティングシム
を担持する頂面の耐摩耗性が不十分であり、特開昭58−
214609号公報ではバルブ軸と当接するバルブリフタの端
枝部裏面に硬質材料溶射層を精度良く形成することがむ
ずかしく、また特公昭47−50885号公報では、頂面の溶
射前にテーパ状食い込み部形成の複雑な加工を必要と
し、この部分に健全な溶射層を形成することはむずかし
い。さらに、バルブリフタ材料にチタン合金を用いるこ
とはコスト高を招く。
いるが、これらの場合には次のような短所がある。特開
昭62−63105号公報でのバルブリフタは、その耐摩耗性
金属部材がインナシムとアジャスティングシムとの一体
型であるためにアジャスティングシムの交換ができずメ
ンテナンス性が良くない。特開昭58−165508号および58
−214609号公報および特公昭47−50885号公報でバルブ
リフタでは、シリンダヘッドなどに設けられたガイド孔
と摺動するバルブリフタ外周面の耐摩耗性が不十分であ
る。特開昭58−165508号公報ではアジャスティングシム
を担持する頂面の耐摩耗性が不十分であり、特開昭58−
214609号公報ではバルブ軸と当接するバルブリフタの端
枝部裏面に硬質材料溶射層を精度良く形成することがむ
ずかしく、また特公昭47−50885号公報では、頂面の溶
射前にテーパ状食い込み部形成の複雑な加工を必要と
し、この部分に健全な溶射層を形成することはむずかし
い。さらに、バルブリフタ材料にチタン合金を用いるこ
とはコスト高を招く。
本発明の目的は、軽合金にアルミニウム合金を用いつ
つ、メンテナンス性の向上、耐摩耗性の向上および低コ
スト化の図れるバルブリフタを提供することである。
つ、メンテナンス性の向上、耐摩耗性の向上および低コ
スト化の図れるバルブリフタを提供することである。
上述の目的が、5〜20%(重量%)のシリコン、強度
向上添加元素および残部がアルミニウムと不可避的不純
物からなりかつ基地中に平均粒径が2μm〜40μmのシ
リコン粒子を有するアルミニウム合金のバルブリフタ本
体と、;バルブリフタ本体のバルブ軸端部当接部分に付
設された耐摩耗性チップと;バルブリフタ本体のカム接
触部分に取付けられたアジャスティングシムと;からな
るアルミニウムシリンダヘッドと組み合わせて用いら
れ、冷間鋳造で成形されるアルミニウム合金製バルブリ
フタによって達成される。
向上添加元素および残部がアルミニウムと不可避的不純
物からなりかつ基地中に平均粒径が2μm〜40μmのシ
リコン粒子を有するアルミニウム合金のバルブリフタ本
体と、;バルブリフタ本体のバルブ軸端部当接部分に付
設された耐摩耗性チップと;バルブリフタ本体のカム接
触部分に取付けられたアジャスティングシムと;からな
るアルミニウムシリンダヘッドと組み合わせて用いら
れ、冷間鋳造で成形されるアルミニウム合金製バルブリ
フタによって達成される。
また、上記の目的が、5〜20%(重量%)のシリコ
ン、強度向上添加元素および残部がアルミニウムと不可
避的不純物からなりかつ基地中に平均粒径が2μm〜40
μmのシリコン粒子を有するアルミニウム合金のバルブ
リフタ本体と、バルブリフタ本体の摺動外周面上に形成
され、炭素含有量が0.1%以上であってかつ硬度がHv300
以上であるFe−C系溶射層と;バルブリフタ本体のバル
ブ軸端部当接部分に付設された耐摩耗性チップと;バル
ブリフタ本体のカム接触部分に取付けられたアジャステ
ィングシムと;からなるアルミシリンダヘッドと組み合
わせて用いられ、冷間鍛造成形されるアルミニウム合金
製バルブリフタによっても達成される。
ン、強度向上添加元素および残部がアルミニウムと不可
避的不純物からなりかつ基地中に平均粒径が2μm〜40
μmのシリコン粒子を有するアルミニウム合金のバルブ
リフタ本体と、バルブリフタ本体の摺動外周面上に形成
され、炭素含有量が0.1%以上であってかつ硬度がHv300
以上であるFe−C系溶射層と;バルブリフタ本体のバル
ブ軸端部当接部分に付設された耐摩耗性チップと;バル
ブリフタ本体のカム接触部分に取付けられたアジャステ
ィングシムと;からなるアルミシリンダヘッドと組み合
わせて用いられ、冷間鍛造成形されるアルミニウム合金
製バルブリフタによっても達成される。
バルブリフタ本体のアルミニウム合金はシリコン(S
i)を多く含有したAl−Si系であって、良好な冷間鋳造
性を有しており、本発明に係るバルブリフタ本体は冷間
鋳造によって成形される。また、本発明に係るバルブリ
フタ本体の頂面でアジャスティングシムとの当たり面は
その耐摩耗性がアルミニウム合金自体で十分であり、特
別な表面処理あるいは溶射層形成は不要である。アルミ
ニウム合金のシリコン含有量は5%以下では、耐摩耗性
に寄与するシリコン粒子の量(面積率)が少なく、耐摩
耗性が低く、一方20%以上ではシリコン粒子が粗大化
し、材料特性および冷間鋳造性が著しく低くなる。な
お、アルミニウム合金はシリコンのみでは機械的特性
(強度など)が低く、Mg,Cu,Niなどの添加元素を適量含
有して機械的特性が改善されて、特に、CuおよびMgによ
る析出硬化によって高強度が得られる。シリコン含有量
が高いのでシリコンは初晶シリコン又は共晶シリコンと
して基地中に存在し、これらシリコン結晶は硬いので耐
摩耗性を高め、シリコン粒子の平均粒径が2μm以下で
あると耐摩耗性は不十分であり、一方、40μm以上であ
ると伸び、疲れ強さ等の材料特性が低下する。
i)を多く含有したAl−Si系であって、良好な冷間鋳造
性を有しており、本発明に係るバルブリフタ本体は冷間
鋳造によって成形される。また、本発明に係るバルブリ
フタ本体の頂面でアジャスティングシムとの当たり面は
その耐摩耗性がアルミニウム合金自体で十分であり、特
別な表面処理あるいは溶射層形成は不要である。アルミ
ニウム合金のシリコン含有量は5%以下では、耐摩耗性
に寄与するシリコン粒子の量(面積率)が少なく、耐摩
耗性が低く、一方20%以上ではシリコン粒子が粗大化
し、材料特性および冷間鋳造性が著しく低くなる。な
お、アルミニウム合金はシリコンのみでは機械的特性
(強度など)が低く、Mg,Cu,Niなどの添加元素を適量含
有して機械的特性が改善されて、特に、CuおよびMgによ
る析出硬化によって高強度が得られる。シリコン含有量
が高いのでシリコンは初晶シリコン又は共晶シリコンと
して基地中に存在し、これらシリコン結晶は硬いので耐
摩耗性を高め、シリコン粒子の平均粒径が2μm以下で
あると耐摩耗性は不十分であり、一方、40μm以上であ
ると伸び、疲れ強さ等の材料特性が低下する。
バルブリフタはアルミニウムに設けられたガイド孔内
で往復運動する(バルブリフタの外周面がガイド孔に沿
ってアルミシリンダに対して摺動する)ので、アルミニ
ウム合金同志の凝着摩耗が問題となる。そこでバルブリ
フタの外周面上にFe−C系の溶射層を形成して凝着摩耗
を防止することができる。このFe−C系溶射層は炭素量
が0.1%以下であると溶射層の耐摩耗性が低くなりかつ
その硬度がHv300以下であると耐摩耗性が低くなる。
で往復運動する(バルブリフタの外周面がガイド孔に沿
ってアルミシリンダに対して摺動する)ので、アルミニ
ウム合金同志の凝着摩耗が問題となる。そこでバルブリ
フタの外周面上にFe−C系の溶射層を形成して凝着摩耗
を防止することができる。このFe−C系溶射層は炭素量
が0.1%以下であると溶射層の耐摩耗性が低くなりかつ
その硬度がHv300以下であると耐摩耗性が低くなる。
バルブ軸端部がバルブリフタに当接するときにはその
当接部分は衝撃的な荷重を受け、摩耗も多いので、炭素
鋼、ステンレス鋼などの硬質金属あるいはセラミックの
硬質材料でできた耐摩耗性チップがバルブリフタ本体の
頂部内側に付設してある。
当接部分は衝撃的な荷重を受け、摩耗も多いので、炭素
鋼、ステンレス鋼などの硬質金属あるいはセラミックの
硬質材料でできた耐摩耗性チップがバルブリフタ本体の
頂部内側に付設してある。
また、カムシャフトのカムが接触する部分は大きな荷
重をカム摺動面から受けるので、炭素鋼、ステンレス鋼
などの硬質金属でできたアジャスティングシムがバルブ
リフタ本体の頂部上面に取付けられている。このアジャ
スティングシムはバルブクリアランス調節が必要になっ
たときに取り換えられる。
重をカム摺動面から受けるので、炭素鋼、ステンレス鋼
などの硬質金属でできたアジャスティングシムがバルブ
リフタ本体の頂部上面に取付けられている。このアジャ
スティングシムはバルブクリアランス調節が必要になっ
たときに取り換えられる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施態様例によっ
て本発明を詳細に説明する。
て本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明に係るアルミニウム合金製バルブリフ
タの断面図である。第1図に示したように、バルブリフ
タは例間鋳造で成形されたAl−Si系のバルブリフタ本体
1と、その外周面に形成されたFe−C溶射層2と、バル
ブリフタ本体1の頂部3の内側に付設されてバルブ軸端
部(図示せず)が当接することになる耐摩耗性チップ4
と、頂部3の上側に取付けられてカム(図示せず)と接
触することになるアジャスティングシム5とからなる。
リフタ本体1にはアジャスティングシム5を取り巻く環
状肩部6が形成されている。
タの断面図である。第1図に示したように、バルブリフ
タは例間鋳造で成形されたAl−Si系のバルブリフタ本体
1と、その外周面に形成されたFe−C溶射層2と、バル
ブリフタ本体1の頂部3の内側に付設されてバルブ軸端
部(図示せず)が当接することになる耐摩耗性チップ4
と、頂部3の上側に取付けられてカム(図示せず)と接
触することになるアジャスティングシム5とからなる。
リフタ本体1にはアジャスティングシム5を取り巻く環
状肩部6が形成されている。
本発明に係るアルミニウム合金製バルブリフタは、例
えば、次のようにして製作される。
えば、次のようにして製作される。
まず、Ai−Si系アルミニウム合金(Sill.6%,Cu4.1
%,Mg0.8%、残部がAlと不可避的不純物)から冷間鋳造
によってバルブリフタ本体1を成形し、所定寸法に機械
加工し、熱処理を施こす。炭素鋼製の耐摩耗性チップ4
をバルブリフタ本体の頂部3の内側に収納し、周囲のア
ルミ合金部材をかしめることによって固定する。バルブ
リフタ本体1の外周面上に溶射によってFe−C(C0.8
%、残部Fe)層2を厚さ100〜200μm(mm)ほどで形成
する。その溶射層2を所定径に研磨によって加工する。
そして、別途に作っておいた炭素鋼製アジャスティング
シム5を第1図のようにバルブリフタ本体の頂部3の上
面に取付けることによってバルブリフタが製造できる。
%,Mg0.8%、残部がAlと不可避的不純物)から冷間鋳造
によってバルブリフタ本体1を成形し、所定寸法に機械
加工し、熱処理を施こす。炭素鋼製の耐摩耗性チップ4
をバルブリフタ本体の頂部3の内側に収納し、周囲のア
ルミ合金部材をかしめることによって固定する。バルブ
リフタ本体1の外周面上に溶射によってFe−C(C0.8
%、残部Fe)層2を厚さ100〜200μm(mm)ほどで形成
する。その溶射層2を所定径に研磨によって加工する。
そして、別途に作っておいた炭素鋼製アジャスティング
シム5を第1図のようにバルブリフタ本体の頂部3の上
面に取付けることによってバルブリフタが製造できる。
例 A 下記のような条件にてシリコン含有量を変えたアルミ
ニウム合金でもってバルブリフタ本体を冷間鋳造で成形
し、熱処理を施こし、所定寸法に機械加工した。バルブ
リフタ本体の外周面にFe−C溶射層を形成しないで、耐
摩耗性チップを固定し、アジャスティングシムを取付け
てから、直打式バルブリフタとしてエンジンに組込み、
アルミシリンダヘッドのガイド孔で往復運動させた。
ニウム合金でもってバルブリフタ本体を冷間鋳造で成形
し、熱処理を施こし、所定寸法に機械加工した。バルブ
リフタ本体の外周面にFe−C溶射層を形成しないで、耐
摩耗性チップを固定し、アジャスティングシムを取付け
てから、直打式バルブリフタとしてエンジンに組込み、
アルミシリンダヘッドのガイド孔で往復運動させた。
(ア)アルミニウム合金の組成(重量%) Si:0,3,5,12,18,37 Cu:4(一定) Mg:0.8(一定) Mn,Fe,Cr,Zr,Ti:不純物(一定) Al:残部 (イ)熱処理条件: (ウ)エンジンの運転条件: 回転数:6000rpm 運転時間:180時間 実機テスト後にバルブリフタ本体の外周面における摩
耗量を測定し、これら測定結果をシリコン含有量および
基地中のシリコン粒子の粒径との関係でグラフにしたの
が第2図および第3図である。第2図からわかるよう
に、シリコン含有量が少ないほど摩耗量が大きくなり、
5%以下では一段と大きくなった。シリコン含有量の上
限20%はシリコン粒子の粗大化により伸び、疲れ強さが
著しく低下することから規定した。また、バルブリフタ
本体の組織を顕微鏡で調べて、基本的にはシリコン含有
量が多くなるほどシリコン粒子も大きくなるが、第3図
からわかるように、平均粒径2μm以下では摩耗量が一
段と増大し、一方、40μm以上では摩耗量に大きな変化
は認められなかった。
耗量を測定し、これら測定結果をシリコン含有量および
基地中のシリコン粒子の粒径との関係でグラフにしたの
が第2図および第3図である。第2図からわかるよう
に、シリコン含有量が少ないほど摩耗量が大きくなり、
5%以下では一段と大きくなった。シリコン含有量の上
限20%はシリコン粒子の粗大化により伸び、疲れ強さが
著しく低下することから規定した。また、バルブリフタ
本体の組織を顕微鏡で調べて、基本的にはシリコン含有
量が多くなるほどシリコン粒子も大きくなるが、第3図
からわかるように、平均粒径2μm以下では摩耗量が一
段と増大し、一方、40μm以上では摩耗量に大きな変化
は認められなかった。
さらに、上述したように製作したバルブリフタ本体1
のアジャスティングシム5を取り巻く環状肩部6(第1
図)に外側へ(横方向)へ静的荷重を万能試験機でかけ
て、破断荷重を測定した。破断荷重の測定値とバルブリ
フタ本体のシリコン平均粒径との関係を調べて、第4図
を得た。第4図からわかるように、シリコン平均粒径が
大きくなるほど、破断荷重は小さくなり、40μmを越え
ると、一層小さくなり、好ましくない。実際には、カム
からのアジャスティングシム5への負荷は環状肩部へも
かかり、エンジンの高速運転時に生じる環状肩部6への
負荷が100kgf程度になっても耐えることを考慮して、2
〜10μmのSi平均粒径が好ましい。さらに、4〜6μm
のSi平均粒径が摩耗量、破断荷重などを総合的に見て特
に、好ましい。
のアジャスティングシム5を取り巻く環状肩部6(第1
図)に外側へ(横方向)へ静的荷重を万能試験機でかけ
て、破断荷重を測定した。破断荷重の測定値とバルブリ
フタ本体のシリコン平均粒径との関係を調べて、第4図
を得た。第4図からわかるように、シリコン平均粒径が
大きくなるほど、破断荷重は小さくなり、40μmを越え
ると、一層小さくなり、好ましくない。実際には、カム
からのアジャスティングシム5への負荷は環状肩部へも
かかり、エンジンの高速運転時に生じる環状肩部6への
負荷が100kgf程度になっても耐えることを考慮して、2
〜10μmのSi平均粒径が好ましい。さらに、4〜6μm
のSi平均粒径が摩耗量、破断荷重などを総合的に見て特
に、好ましい。
例 B 例1ではFe−C溶射層を形成しなかったが、下記のよ
うな条件にて炭素含有量を変えて溶射層を形成するよう
にして例Aでのようにバルブリフタを製作し、エンジン
に組込んで往復運動による摩耗試験を行なった。
うな条件にて炭素含有量を変えて溶射層を形成するよう
にして例Aでのようにバルブリフタを製作し、エンジン
に組込んで往復運動による摩耗試験を行なった。
(ア)アルミニウム合金の組成(重量%)…一定 Si:11.6% Cu:4.1% Mg:0.8% Al:残部 (イ)Fe−C溶射層 炭素含有量(重量%):0.01,0.07,0.11,15,0.2,0.3 厚さ:50μm(一定) 実機テスト後にバルブリフタ外周面上に形成したFe−
C溶射層の摩耗量を測定し、これら測定結果を炭素含有
量および溶射層硬度との関係でグラフにしたのが第5図
および第6図である。第5図からわかるように、炭素含
有量が多くなるほど摩耗量は小さくなるが、0.1%以下
では、摩耗量が一段と大きくなった。また、Fe−C溶射
層の硬さをビッカース硬度計で測定して、当然ではある
が硬度が上がるほど摩耗量は減少するが、第6図からわ
かるように、Hv300以下では一段と大きくなった。
C溶射層の摩耗量を測定し、これら測定結果を炭素含有
量および溶射層硬度との関係でグラフにしたのが第5図
および第6図である。第5図からわかるように、炭素含
有量が多くなるほど摩耗量は小さくなるが、0.1%以下
では、摩耗量が一段と大きくなった。また、Fe−C溶射
層の硬さをビッカース硬度計で測定して、当然ではある
が硬度が上がるほど摩耗量は減少するが、第6図からわ
かるように、Hv300以下では一段と大きくなった。
本発明によれば、冷間鋳造で量産性良くシリコン含有
アルミニウム合金製バルブリフタが成形できて、その耐
摩耗性もアジャスティングシムを担持するに十分であっ
て特別な表面硬化をする必要がない。取り換え可能なア
ジャスティングシムの使用はメンテナンスに都合良い。
バルブリフタの外周面上に容易に形成できるFe−C溶射
層があるので、アルミシリンダヘッドに装着しても十分
な耐摩耗性が確保できる。また、アルミニウム合金製バ
ルブリフタであるので従来の場合と同様に軽量化が図れ
てバルブリフタの運動エネルギの低減にしたがって慣性
質量低減による衝撃力の低減となる。このことも動弁系
の低騒音化に寄与する(1000Hz以上で−2〜3dBの効果
がある)。
アルミニウム合金製バルブリフタが成形できて、その耐
摩耗性もアジャスティングシムを担持するに十分であっ
て特別な表面硬化をする必要がない。取り換え可能なア
ジャスティングシムの使用はメンテナンスに都合良い。
バルブリフタの外周面上に容易に形成できるFe−C溶射
層があるので、アルミシリンダヘッドに装着しても十分
な耐摩耗性が確保できる。また、アルミニウム合金製バ
ルブリフタであるので従来の場合と同様に軽量化が図れ
てバルブリフタの運動エネルギの低減にしたがって慣性
質量低減による衝撃力の低減となる。このことも動弁系
の低騒音化に寄与する(1000Hz以上で−2〜3dBの効果
がある)。
第1図は本発明に係るアルミニウム合金製バルブリフタ
の断面図であり、 第2図はアルミニウム合金リフタの摩耗量とシリコン含
有量との関係を示すグラフであり、 第3図は摩耗量とシリコン粒径との関係を示すグラフで
あり、 第4図はバルブリフタ本体の破断荷重とシリコン含有量
との関係を示すグラフであり、 第5図はFe−C溶射層の摩耗量と炭素含有量との関係を
示すグラフであり、 第6図は摩耗量と硬さとの関係を示すグラフである。 1……バルブリフタ本体、 2……Fe−C溶射層、 3……頂部、4……耐摩耗性チップ、 5……アジャスティングシム、 6……環状肩部。
の断面図であり、 第2図はアルミニウム合金リフタの摩耗量とシリコン含
有量との関係を示すグラフであり、 第3図は摩耗量とシリコン粒径との関係を示すグラフで
あり、 第4図はバルブリフタ本体の破断荷重とシリコン含有量
との関係を示すグラフであり、 第5図はFe−C溶射層の摩耗量と炭素含有量との関係を
示すグラフであり、 第6図は摩耗量と硬さとの関係を示すグラフである。 1……バルブリフタ本体、 2……Fe−C溶射層、 3……頂部、4……耐摩耗性チップ、 5……アジャスティングシム、 6……環状肩部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 仁士 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 下田 健二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 白谷 茂樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 加藤 善一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 江崎 修一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−9604(JP,A) 特開 昭57−177953(JP,A) 特開 昭62−263951(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】5〜20重量%のシリコン、強度向上添加元
素および残部がアルミニウムと不可避的不純物からなり
かつ基地中に平均粒径が2μm〜40μmのシリコン粒子
を有するアルミニウム合金のバルブリフタ本体と; 前記バルブリフタ本体のバルブ軸端部当接部分に付設さ
れた耐摩耗性チップと; 前記バルブリフタ本体のカム接触部分に取付けられたア
ジャスティングシムと; からなるアルミシリンダヘッドと組み合わせて用いら
れ、冷間鍛造で成形されるアルミニウム合金製バルブリ
フタ。 - 【請求項2】5〜20重量%のシリコン、強度向上添加元
素および残部がアルミニウムと不可避的不純物からなり
かつ基地中に平均粒径が2μm〜40μmのシリコン粒子
を有するアルミニウム合金のバルブリフタ本体と; 前記バルブリフタ本体の摺動外周面上に形成され、炭素
含有量が0.1%以上であってかつ硬度がHv300以上である
Fe−C系溶射層と; 前記バルブリフタ本体のバルブ軸端部当接部分に付設さ
れた耐摩耗性チップと: 前記バルブリフタ本体のカム接触部分に取付けられたア
ジャスティングシムと; からなるアルミシリンダヘッドと組み合わせて用いら
れ、冷間鍛造で成形されるアルミニウム合金製バルブリ
フタ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP1046604A JP2639057B2 (ja) | 1988-03-01 | 1989-03-01 | アルミニウム合金製バルブリフタ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63-45909 | 1988-03-01 | ||
JP4590988 | 1988-03-01 | ||
JP1046604A JP2639057B2 (ja) | 1988-03-01 | 1989-03-01 | アルミニウム合金製バルブリフタ |
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JP2639057B2 true JP2639057B2 (ja) | 1997-08-06 |
Family
ID=26386008
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1046604A Expired - Lifetime JP2639057B2 (ja) | 1988-03-01 | 1989-03-01 | アルミニウム合金製バルブリフタ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2639057B2 (ja) |
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-
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- 1989-03-01 JP JP1046604A patent/JP2639057B2/ja not_active Expired - Lifetime
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