JP3120298B2 - 内燃機関用タペット - Google Patents
内燃機関用タペットInfo
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Description
いられるタペット(バルブリフタ)に関する。
えば本体を鋼又は鋳鉄とし浸炭焼入れなどを施したもの
が知られている。また近年においては、実開昭63-17450
8号公報に開示されているように、軽合金に被覆したも
の、実開昭62-138803号公報に開示されているように、
NiP合金メッキを施したもの、特開平1-315607号公報に
開示されているように、Fe-Cを溶射したものなどがあ
る。
うな従来の鋼又は鋳鉄製のものや表面処理を施した軽合
金製タペットにあっては、質量の増加を招くもの(鋼、
鋳鉄製など)や、コストの上昇を招くもの(実開昭63-174
508号公報、及び実開昭62-138803号公報に開示されてい
るもの)、形成された溶射層の靭性低下を招くもの(特開
平1-315607号公報に開示されているもの)などの何らか
の問題点があり、それらの問題点をすべて解決したもの
はなかったのが現状である。
してなされたもので、低コストで、溶射層が耐摩耗性が
あり、かつ靭性の高い軽量の内燃機関用タペットを提供
することを目的としている。
め、本発明は、往復動式内燃機関に用いられるタペット
であって、母材がアルミニウムを基材とする軽合金であ
るものにおいて、少なくともシリンダヘッドと摺動する
面に、重量比で炭素0%を含まず0.1%以下、マンガン0.
6〜2.0%を有し、残部が鉄よりなる溶射層を有すること
を特徴としている。
れているものと関連が強いので、これと対比して、本発
明の作用を説明する。
特許請求の範囲の記載では、「炭素含有量が0.1%以上
であってかつ硬度がHv300以上であるFe−C溶射層」
とされている。しかし、鉄と炭素のみからなる溶射層
で、炭素含有量が0.1%(重量比、以下同様)程度で、Hv
300以上の硬度を得ることはきわめてまれであり、実際
には、Hv300以上の硬度を得るには、少なくとも0.2%
程度以上の炭素含有量が必要であると考えられる。
は、硬度を高めるためには有効であるが、反面、割れの
危険性を有するものである。
までの高温にさらされ、かつ衝撃的な荷重を長時間にわ
たって受けつづける。一方、材料の割れ感受性は炭素の
含有量増加とともに増大する。(「溶接便覧」第889頁、昭
和52年3月31日丸善株式会社発行)
その表面に溶射層を形成した場合、前述したようにタペ
ットは約140℃まで昇温した状態で使用されるため、母
材部と外周部はともに熱により膨張する。この時母材は
アルミニウムを基材としているため、外周の溶射層より
も大きく膨張する。結果として溶射層は大きな円周方向
の引張力を受けることなる。
た溶射層をその外周に形成したタペットの溶射層は、耐
摩耗性を有するように高硬度でなければならず、また前
述の引張力に耐えるため高い引張強度を有し、さらに衝
撃的な荷重に耐えるため高い靭性を持たなければならな
い。
炭素の添加によってのみ達成しようとしている。しかし
ながら、前述のように炭素と鉄のみの合金では硬さ、す
なわち強度と靭性を両立させることはできない。
ることが考えられる。一般に鉄合金においては、他の合
金元素を添加することにより、硬さや強度を同一にしつ
つ炭素の含有量を低減することができる。表1には、そ
の例として合金元素0.1%増加当りの降伏点変化を示す
(出典:「溶接便覧」第884頁、昭和52年3月31日丸善株式
会社発行)。
しては有効であり、次にVやMoが有効であることが理
解できる。
あり、これの添加はコスト上昇に直接つながる。またV
やMoは後述するように靭性を悪化させる。従ってMnの
添加はコスト的にも有効であり、その添加量は炭素低減
量の3倍で略同等の強度となる。
とができる。溶接材の割れ感受性指数をPwとするとP
wは次式で与えられる(「溶接便覧」第889頁、昭和52年3
月31日丸善株式会社発行)。
1/20Cr+1/15Mo+1/10V+5B
Cの1/20であることを示している。これに対しMoやV
はMnよりかなり大きい。
上させるためには、炭素量を低減させると同時にマンガ
ン(Mn)をその量に見合う量だけ添加するのがよいこと
がわかる。またその量は炭素低減量の略3倍とするのが
よい。この量は、炭素の減少量による効果の3/20しか靭
性を悪化させない。
減しMnを添加すれば強度と靭性を両立できるのであ
る。
率を0.1%以下(0%を含まない)に抑えて、マンガンを0.
6%以上含有させたことにより、硬度に関しては、炭素
を0.2%以上付加したのと同等の硬度を維持することが
でき、しかも靭性に与える悪影響を、炭素を0.2%以上
付加した場合のものより3/20まで低減することができ
る。さらに高価な材料を一切用いないので、コスト的に
も有利である。なお、マンガンを最大でどの程度まで含
有させるか、すなわちマンガンの含有量の上限は、上記
のように、炭素を0.2%以上付加したのと同等の硬度を
得るためにどの程度必要かによって導き出されるもので
あり、後述する実験例からも2.0%程度とするのが好ま
しい。
(Si)を添加するのがよい。シリコン(Si)を添加すると、
溶融金属の流動性を増加させ緻密な溶射層を容易に形成
でき、しかも前に示したように悪影響はきわめて少な
い。その量は前に説明した表や、式及び溶融金属の流動
性を考慮してほぼ0.5%とするのが望ましい。
報に開示された技術とは異なり前記技術の欠点を補い一
層の技術的進歩を実現させるものである。
して説明する。
いられる直動型の動弁機構に適用した実施例を略示する
もので、(1)はエンジンバルブ、(2)は、エンジンバル
ブ(1)の軸端部に形成した環状溝に嵌着された1対のコ
ッタ、(3)は、コッタ(2)に外嵌されたスプリングリテ
ーナ、(4)は、シリンダヘッド(5)の下方部分(図示せ
ず)とスプリングリテーナ(3)との間に縮設されたバル
ブスプリングである。
タペット(6)が配設されている。このタペット(6)は、
上面が閉塞された円筒形のタペット本体(7)を備え、そ
の頂部(7a)の下面中央に設けた耐摩耗性金属材料よりな
るチップ(8)がエンジンバルブ(1)の軸端と当接するよ
うにして、エンジンバルブ(1)の上端部に上方より外嵌
されている。
315607号公報に開示されているものと同様の母材がアル
ミニウムを基材とするAl−Si系アルミニュウム合金に
より形成する。
(9)の内面に沿って摺動するタペット本体(7)の外側面
には、炭素0.1%以下(0%を含まない)、マンガン0.6%
以上を有し、残部が鉄よりなる所要厚さ(例えば0.1〜0.
3mm)の溶射層(10)を形成してある。この溶射層(10)を形
成するのにあたっては、例えば0.5%以上、好ましくは
0.5〜1.0%のシリコン(Si)を添加するのがよい。このよ
うにシリコン(Si)を添加すると、溶融金属の表面張力が
小となり、流動性を増加させ、緻密な溶射層(10)を容易
に形成することができる。
された有底の円皿状の凹所(11)には、耐摩耗性金属材料
よりなるバルブクリアランス調整用のシム(12)が着脱可
能に嵌合されている。
することにより、タペット本体(7)が押し下げられ、か
つタペット本体(7)及びチップ(8)を介して、エンジン
バルブ(1)が押し下げられることにより、開弁させられ
る。
平1-315607号公報に開示されているのと同様にして製造
することができる。
金(Si:11.6%、Cu:4.1%、Mg:0.8
%、残部がAlと不可避的不純物)から冷間鍛造により
タペット本体(7)を成形し、所定寸法に機械加工し、
熱処理を施し、炭素鋼製の耐摩耗性チップ(8)をタペ
ット本体(7)の頂部の下面に押圧して、その周囲のタ
ペット本体(7)部分をかしめ、その後、タペット本体
(7)の外周面に、溶射によって、厚さ100〜200
μmのFe系溶射層(10)を形成する。その溶射層
(10)を研磨加工した後、別途作成しておいたシム
(12)を、タペット本体(7)の凹所(11)内に嵌
合する。
次のように異ならせたサンプルを作成し、そのそれぞれ
について、硬度と摩耗量とを測定したところ、次のよう
な結果を得た。
摩耗量との関係を図2に示す。なお、図2に示す摩耗量
は、各サンプルを実際のエンジンに組込んで、回転数64
00rpmで200時間作動させた後の摩耗量を測定したもので
ある。
量が0.3%増加するのと炭素含有量が0.1%増加するのと
がほぼ同等であること、マンガン含有量が0.6%以上に
なると硬度がHv300以上となること、及び硬度が増すと
摩耗量が減ることがわかる。
と、摩耗量はほとんど一定となり、安定すること、及び
炭素が0.3%以上になった場合にも、ほぼ同様の値で安
定することがわかる。
験は行なっていないが、例えば、図3、図4及び図5に
示す公知のデータから、溶射層の炭素含有量を0.1%以
下に抑え、その代りにマンガン含有量を0.6%以上とす
ることにより、炭素含有量を0.2%以上に増加させた場
合より靭性が向上することがわかる。
覧」第87頁(昭和37年4月5日、日本鉄鋼協会編、丸善株式
会社発行)に記載されているものと同一のものであり、
図3からは、炭素を増加するとシャルピー値が下がるこ
とが、また図4からは、炭素をマンガンで置き換えるこ
とにより、等強度(引張強さ)が得られることがわかる。
o.1第19頁(平成4年1月15日、電気製鋼研究会編、竹田印
刷株式会社発行)に記載されているものと同一のもので
あり、この図からは、炭素量が同一ならば、マンガンを
増加するとシャルピー値が上がることがわかる。
ンガン含有量を0.6%以上とすることにより、硬度に関
しては、炭素含有量を0.2%以上とした場合と同様の硬
度を得ることができる。
抑え、その代りにマンガン含有量を0.6%以上としたこ
とにより、靭性に与える悪影響を、炭素を0.2%以上付
加した場合のものより3/20まで低減することができる。
スト的にも有利である。
スト、高硬度、高靭性という3つの効果をすべて兼ね備
えた内燃機関用タペットを提供することができる。
動弁機構を示す縦断正面図である。
量との関係を示す図である。
である。
す図である。
を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 往復動式内燃機関に用いられるタペット
であって、母材がアルミニウムを基材とする軽合金であ
るものにおいて、少なくともシリンダヘッドと摺動する
面に、重量比で炭素0%を含まず0.1%以下、マンガン0.
6〜2.0%を有し、残部が鉄よりなる溶射層を有すること
を特徴とする内燃機関用タペット。 - 【請求項2】 溶射層を形成する材料中に0.5%以上の
シリコンを含有することを特徴とする請求項1記載の内
燃機関用タペット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04072119A JP3120298B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 内燃機関用タペット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04072119A JP3120298B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 内燃機関用タペット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05231109A JPH05231109A (ja) | 1993-09-07 |
JP3120298B2 true JP3120298B2 (ja) | 2000-12-25 |
Family
ID=13480149
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04072119A Expired - Fee Related JP3120298B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 内燃機関用タペット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3120298B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-24 JP JP04072119A patent/JP3120298B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05231109A (ja) | 1993-09-07 |
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