JP2637709B2 - ホスホリパーゼ阻害蛋白の発現ベクター - Google Patents

ホスホリパーゼ阻害蛋白の発現ベクター

Info

Publication number
JP2637709B2
JP2637709B2 JP7146639A JP14663995A JP2637709B2 JP 2637709 B2 JP2637709 B2 JP 2637709B2 JP 7146639 A JP7146639 A JP 7146639A JP 14663995 A JP14663995 A JP 14663995A JP 2637709 B2 JP2637709 B2 JP 2637709B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sequence
pip
hpip
amino acid
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7146639A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08187087A (ja
Inventor
エフ. ジョンソン ローリン
ピー. ロンジェネッカー ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BAIOTEKUNOROJII RISAACHI PAATONAAZU Ltd
Original Assignee
BAIOTEKUNOROJII RISAACHI PAATONAAZU Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BAIOTEKUNOROJII RISAACHI PAATONAAZU Ltd filed Critical BAIOTEKUNOROJII RISAACHI PAATONAAZU Ltd
Publication of JPH08187087A publication Critical patent/JPH08187087A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2637709B2 publication Critical patent/JP2637709B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4721Lipocortins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/70Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
    • C12N15/71Expression systems using regulatory sequences derived from the trp-operon
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ヒトならびに動物にお
ける炎症を処理する分野に関係する。さらに詳細に言え
ば,炎症を制御するのに効果的であるホスホリパーゼ阻
害蛋白の純粋な試料に関する。
【0002】
【従来の技術】創傷もしくは感染部位における炎症の生
理学的現象については,何世紀もの間認識されてきてい
る。また,この現象が,そのような刺激に反応して正の
値を示す間,ヒトもしくは動物の安全を確保するため
に,この反応の程度をたびたび調節しなければならない
ことも十分に理解されている。さらに,炎症は,例えば
慢性関節リウマチもしくは全身性エリテマトーデスの様
な慢性炎症性疾患として発現することもある。この様な
状態は,本人を衰弱させ,さらに生命にかかわったり,
急性のエピソードの結果にもなりかねない。他のこの様
な疾患,喘息を伴う炎症も,気管支の狭窄のためによる
死を招くこともある。
【0003】過去数十年の間に,炎症を伴う生化学的事
象に関するより詳細な情況が集積されてきた。この情況
は複雑なものである。開始過程の部分は,組織破壊のカ
リクレインプロテアーゼによって遊離されるブラジキニ
ンの様なペプチドキニンによって媒介されるものであ
る。このキニンもしくは,他のペプチドメッセンジャー
は,アラキドネートカスケードを開始すべく,ホスホリ
パーゼ酵素A2および/もしくはCを活性化するため
に,炎症部位の特異的細胞受容体に作用するものであ
る。
【0004】この“アラキドネートカスケード”は,炎
症反応を維持する上で,驚くべき重要性を示す。第1図
に示した複雑な反応の中で,アラキドン酸は,対象症例
の膜リン肥質より遊離され,集合してエイコサノイドと
して知られる種々の生成物へ変換される。このエイコサ
ノイドには,ロイコトリエンおよびプロスタグランジン
が含まれており,これらは,炎症部位に対する直接的な
効果を発揮するために細胞外へ放出される。これらは,
比較的短い半減期を示す。しかしながら,その生理学的
効果は多岐に渡り,かつ驚くべきものであり,血管拡張
(例えば,プロスタシリンおよびロイコトリエンLTC4な
らびにLTD4),血管収縮(例えば,トロンボキサンおよ
びLTB4)さらにヒスタミン放出を含む。
【0005】抗炎症薬学における最近の役割はほとんど
が,アラキドネートカスケードに向けられている。この
観点からみれば,第1図に示されている様に,カスケー
ドの有意な特徴は,次の通りである。すなわち,全生成
物の生成は,細胞リン肥質からのアラキドン酸の遊離
(ホスホリパーゼによって媒介される)と共に始まり,
その後反応経路は,数種の反応系へと分かれるというこ
とである。この反応系のうち,シクロオキシゲナーゼ経
路は,プロスタグランジンを生成し,リポオキシゲナー
ゼ経路は,ロイコトリエンを生成する。
【0006】アスピリンおよびインドメタシンの様な繁
用されている非ステロイド系抗炎症薬剤は,シクロオキ
シゲナーゼを抑制し,従って,アラキドン酸が最終生成
物へ変換される経路のいくつかのみを抑制するものであ
る。アラキドネートカスケードの他の経路については,
影響はみられない。一方,ステロイド,グルココルチコ
イド,ホルモンは,一般的に,リン脂質膜からのアラキ
ドン酸の生成に対して効果を発揮するものであり,すな
わち,全カスケードに対する直接的な効果を示す。Hon
g, S., et al, Proc Natl Acad Sci (USA) (1976) 73
:1730-1734 。しかし,ステロイド療法の欠点について
は,十分知られている。水分停留,高グリシン血症,高
脂血症,骨粗しょう症,緑内障ならびに冠状および大血
管のアテローム硬化症の危険性の増加の様な副作用が,
この様な治療に伴う好ましくない反応である。
【0007】近年,次の事実が証明されている。すなわ
ち,ステロイドの抗炎症効果は,少なくともその一部
は,結合する蛋白の分泌を誘発する能力,さらに,アラ
キドン酸放出の原因であるホスホリパーゼ酵素を抑制す
る能力によるものであるということである。Hirata,
F., J Biol Chem (1981) 256 : 7730-7733。この抑制因
子は,マクロコルチンと呼ばれている(Black-well, R.
J., et al, Nature (1980)287 : 147-149):また,レ
ノコルチン(Russo-Marie, F., et al, Biochim Biophy
s Acta (1982) 712 : 177-185 ):もしくは,リポモジ
ュリン(Hirata, F.,et al, Proc Natl Acad Sci (USA)
(1980)77 : 2533-2536 )とも呼ばれている。この蛋白
は,一部ラットやウサギの細胞から精製されており,免
疫学的に交叉−反応性であると思われる(Hirata, F.,
et al, Biochem Biophys Res Comm (1982) 109 : 223-2
30 ; Rothhut, B., et al, ibid (1983) 117 : 878-88
4)。
【0008】最近,リポコルチンと名付けられたヒトの
抑制因子が,ヒト繊維芽細胞において確認されている
(Errasfa, M., et al, Biochim Biophys Acta (1985)
847 :247-254 。さらに,Wallner, B.P., et al, Natur
e (1986) 320 : 77-81ならびにPepinsky, R.B., et al,
J Biol Chem (1986) 261 : 4239-4261 ,もラットリポ
コルチンの単離およびその結果,ならびにヒトの類似体
のクローニング,in vitroでは PA2抑制因子である,に
ついて報告している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】グルココルチコイドよ
りはむしろアラキドン酸生成を抑制する蛋白を直接投与
すること(これは,これらの蛋白の生成を刺激すること
になる)は,対象例を,付随する副作用の危険性にさら
すことなく,炎症のステロイド調整ができるという結果
となると考えられる。しかし,ヒトにおけるこの蛋白
は,精製された状態ではない。言うまでもなく,望まし
くない炎症反応を直接治療できるために,十分に精製さ
れた十分な量の純粋なヒトホスホリパーゼ阻害蛋白(PI
P)の開発が望まれているところである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は,精製ヒトホス
ホリパーゼ阻害蛋白(hPIP)ならびに,組換え技術によ
るその生成において有用な物質を提供するものである。
SDS-PAGEに対する単一40kd結合を有するヒト腹膜透析液
から明らかな均質物へ精製された物質は,かなりの量の
アポリポ蛋白(apoAIV)と有意な PIP活性を含有してい
る。この40kd結合から溶出した蛋白を用いたウサギの免
疫処置は,apoAIVおよび PIPの両方と反応できる抗血清
を増加させる。従って,これらの抗体は,スクリーニン
グ組換え型ならびにhPIP生成のための他の細胞に充当す
るものである。
【0011】これに関連して,他の蛋白から遊離してい
るヒト PIPは,次の2つの方法によって得られる。すな
わち,膜腔透析液からの直接的精製によって,ならび
に,組換え型宿主を用いた生成によっての2方法であ
る。従って,ある面では,この発明は,実質上純粋な型
でのヒト PIPに関するものである。他の面では,この発
明は,第13図に示したアミノ酸配列から成るヒト PIP活
性を有する蛋白に関するものである。さらに他の面にお
いては,この発明は,腹膜透析液からの精製hPIPの調整
のための過程およびこの過程の生成物に関するものであ
る。精製過程の生成物は,それぞれ非グリコシレートも
しくは,グリコシレート化型の36kdもしくは40kdの分子
量によって特徴付けられ,さらに PIP活性によって特徴
付けられる。純粋hPIPも,組換え方法を用いて生成され
ると考えられる。従って,本発明の他の面は,組換えに
よって生成されたhPIP(非グリコシレートならびにグリ
コシレート型両方において)に,組換え型宿主におい
て,この蛋白の生成をもたらす発現システムに,この発
現システムを含むベクターに,このシステムにより変換
される宿主に,さらに,組換え型宿主細胞を培養するこ
とによってhPIPを生成する方法に関連する。
【0012】さらに他の面においては,本発明は,apoA
IVおよび PIPの40kd混合物,ならびに発明自体の PIP蛋
白の投与に反応して生成された抗体に, PIPを含む薬学
的組成に,さらに,この様な成分もしくは精製 PIPを用
いて,ヒトならびに家畜における炎症を改善する方法に
関する。 PIPはapoAIVの存在によって安定化され,apoA
IVとの混合物において PIPを含んだ成分は,薬剤として
特に有用であると考えられる。
【0013】A. PIP蛋白の性質 本発明の蛋白は,出発物質として,透析症例から得たヒ
ト腹膜透析液を用いて調製した。ここに示した精製方法
によって,均等質の蛋白であってかつそのままの状態で
みられるような蛋白に伴う不純物を含まない蛋白が得ら
れる。この精製方法によって,それ自体を治療に用いら
れるほど十分に純粋な蛋白を得ることに成功したが,こ
の精製物質の効力も,選択可能な調製方法の開発におい
て重要なステップである。hPIPのための組換え技術につ
いてここで述べる。従って,本発明の PIPは,ここで述
べた様に調製されたhPIPのみならず,選択可能な方法を
用いて得られた実質的に同様な構造の蛋白を含む。“実
質的に同じ”によって,ホスホリパーゼA2の抑制にお
ける蛋白の活性( PA2抑制検定)(下記に述べるinvitr
o の酵素検定方法において述べたように)は,保持され
るということを意味している。第13図に示したアミノ酸
配列は,この活性を示すことが知られている。
【0014】アミノ酸配列は,種々の方法において改変
されても,その基本的な活性を保持するということは十
分に認識されている。第1に,ペプチド配列のある部分
は,活性に関して欠くことのできないものでなく,全く
純粋に生成された蛋白の分画のみが必要とされると考え
られる。従って,第13図に示されたアミノ酸配列の部分
は,活性が保持されるならば定義内に含まれるものであ
る。第2に,配列中の特別な,もしくは,わずかに特別
なアミノ酸の付加欠失または置換は,機能に関しては
重要でない改変をもたらすと考えられる。第3に,蛋白
は,イオン化水素を含んでいるため,中性もしくは塩の
ような蛋白のイオン化状態は,周囲の培地のpHに依存す
るものであり,蛋白が液体の形で存在するならば,液体
のpHに依存するものである。このことより,蛋白は,固
体の形で調製される。さらに,配列中のアミノ酸は,そ
の側鎖において,それほど重要でない改変を被るもので
ある。例えば,スルフヒドリル群の酸化のようなもので
ある。置換も,活性を破壊する点において無効であると
思われる。最後に,蛋白は,非蛋白残留分(例えば,リ
ン酸,アセチル群もしくは炭水化物のような)を伴い,
本来の状態で見出されることがある。本発明の精製され
たもしくは組換え型 PIPは,機能的に定義されている
が,すべての実施態様は,第13図において例示したhPIP
と相同な広範な配列を保持することが期待される。相同
性のレベルは,第13図のヌクレオチド490-852 によって
コード化されている興味ある部分における保存的な改変
ならびに正確な相同性の両方を考慮して,40%を超える
ことが期待される。付加的な変化は,蛋白の他の部分に
おいて受け入れられる。前述の置換はすべて,in vitr
oにおけるホスホリパーゼA2(PA2)抑制検定において
示された活性が破壊されない限り,定義内にあると言え
る。
【0015】“活性 PIP断片”は, PIPに関しては,前
述の第13図のヌクレオチド490-852によってコード化さ
れた配列のみから成るペプチドを意味する。この断片の
み用いるならば,Chou-Fasmanもしくは Kyte-Doolittle
の標準アルゴリズムの適用によって定めたように,第
2の構造が十分に類似する場合には,最初の構造におい
て,40%より幾分少ない相同性が必要である。特に,Wa
llner 等によって報告されたリポコルチンにおける31-3
81と付されたヌクレオチドによってコード化されたペプ
チドは,最初のアミノ酸配列が,この部分において,40
%以下の相同性を明らかに示しているにもかかわらず,
この要求を満たす第2の構造を備えている。従って,hP
IP配列よりひき出されたものと同様に,この特別な断片
もまたクレームされる。
【0016】“動作可能な結合”は,成分が,その通常
の機能を実行するために立体配置されている近位を意味
するものである。従って,コード化配列に動作可能に結
合した対照配列は,コード化配列の表現をもたらせるこ
とができる。
【0017】“対照配列(control sequence)”は, D
NA配列,もしくは所望のコード化配列に適切につながれ
たとき,このような配列と調和できる宿主において表現
をもたらさせることができる配列を意味する。このよう
な対照配列は,原核生物および真核生物宿主の両方にお
いてプロモータを含み,そして原核生物においても,配
列に結合するリボソーム,さらに,真核細胞において,
終末シグナルを含む。表現を生じさせるのに必要もしく
はその助けとなる付加因子についても,結果的に確認さ
れ得る。ここで用いた様に,“対照配列”は用いられた
特別な宿主において表現をもたらせるのにどんな DNA配
列でも必要であり得るということを単に意味している。
【0018】“細胞”もしくは“組換え型宿主細胞”ま
たは“宿主細胞”は,文脈より明らかな様に交互にとり
替えのきく言葉である。これらの言葉は,直接対象細
胞,さらに言うまでもなくその結果(子孫)も含むもの
である。突然変異や環境の違いのため,すべての子孫が
親の細胞と精密に同じであるというわけにはいかないこ
とは理解されていることである。しかし,この様な変化
した子孫は,前記の言葉が用いられる場合に含まれるも
のである。
【0019】B.透析液からの PIPの精製 一般的に,本発明のhPIPの精製は,第2図に示した様に
実した。言うまでもなく,別の方法も可能であるが,こ
こに記載された方法により均質性の活性試料が得られ
る。第2図に示した特異的な方法に関して要約されたア
プローチは,簡単に言えば,次の通りである。
【0020】約2Lの液体を得るために充分な透析液
は,連続的な腹膜透析を受けている症例の一バッチから
都合よく入手できる。その後,所望量の純粋生成物を得
るために,2Lのバッチについて,下記の方法を実施す
る。その液体はまず,濃度が増加する硫酸アンモニウム
にさらされる。約40%〜60%の硫酸アンモニウム飽和に
おいて沈澱した画分は,活性を含んでおり,さらに精製
を受ける。40%以下の硫酸アンモニウムにおいては不溶
である蛋白を,前もって沈澱させることは有用なことで
ある。この沈澱物を遠心分離によって取り出し,さらに
精製を実施する。塩濃度を低下させるために,硫酸アン
モニウム含有画分を,およそpH8の適当な緩衝液中に溶
解した後,低温において,同じもしくは匹敵する緩衝液
に対して透析を実施する。
【0021】その後,透析物は,アルブミン成分を取り
除く処置に供される。このアルブミン成分は最も多量の
不純物である。同じ緩衝液においてこれまで平衡であっ
た親和力支持Affi−ゲルブルーに対するクロマトグラフ
ィーは,この目的に適合する。所望の PIP含有画分は,
これらの条件下でカラムに結合せず,流出容量中に現れ
る。しかし,溶液中の不純蛋白は,カラムによって保持
され,高塩濃度下で溶出される。
【0022】PIPの画分は,例えばコンカナバリン−A
セファロース,レンチルレクチン−セファロース,もし
くは,ピーナッツアグルチニン−セファロース,pH8緩
衝液と平衡しているコンカナバリン−Aセファロースの
様なレクチン支持(support)により処理される。再び,
所望の活性は,これらの条件下にてカラムに付着しな
い。
【0023】PIP含有流出画分を,陰イオン交換クロマ
トグラフィーによって,例えばおよそpH8において,同
様な緩衝液中に平衡状態であるDEAEセルロース, QAE−
セルロースもしくはSP−セルロース,DEAEセルロースを
用いて,さらに精製する。hPIPはカラムへ吸収させ,画
分は塩分勾配を用いて溶出させる。溶出物画分のPA2抑
制活性が測定され所望の PIP画分を確認する。
【0024】活性画分を,SDS-PAGEにかけたとき,SDS-
PAGEは,不活性蛋白の18kD結合,ならびに活性40kD結合
をもたらす。洗浄剤を用いずに,この40kD結合を溶出さ
せ,再形成させて所望の活性を示す蛋白を得た。この調
製方法は基本的にはLaemli,U.K., Nature (1970) 23:6
80-685 の方法に従ったものである。そして約3mm 12.5
%ゲルが,10mgの総蛋白を含む混合物を精製するため
に適切である。
【0025】前述の様にして得られた40kd結合は,下記
のD章で述べる様に,数多くのin vitroおよびin vivo
効力検定において証明されているように高い PIP活性を
有する。しかし,PIPに加えて,apoAIVならびに,同様
な分子量を示す他の蛋白(複数)も含んでいる。この精
製過程を通った PIPに続いてみられるapoAIVは,PIPに
対する安定性をもたらすこと,さらに,PIPはapoAIV複
合物として,本来の場所にみられるであろうことが信じ
られている。下記のようにapoAIVから一旦分離される
と,PIPは比較的不安定になりやすい。従って,この複合
物の形で,薬学的組成の PIPを調製することが得策であ
ると考えられる。
【0026】PIP活性と40kd蛋白との関連性は,コンカ
ナバリンA−セファロース処置による結果の活性画分に
対して分析的RP-HPLC を実施することによって,さらに
確認された。このRP-HPLCにより分離がなされ,そこで
は多数の蛋白(溶出ピークを含む)のうちひとつのみに
活性が存在する。この活性ピークは,SDS-PAGEにかけた
場合,単一40kd結合をもたらした。
【0027】さらに,下記に述べる様に,この40kd結合
は,ウサギに注射した場合,PA2抑制活性を結合するた
めに,さらに,ホスホリパーゼAとの複合物を生成でき
る蛋白を結合するために,免疫反応が可能な多クローン
性抗血清をひきおこした。従って,この免疫抗原もapoA
IVを含有しているが,誘発された抗体は, PIPとの反応
を示す。
【0028】しかしながら,第2図に示した様に,上述
の陰イオン交換クロマトグラフィーからの活性溶出液を
pH5.5 のクエン酸ナトリウム緩衝液を用いる等電性の沈
澱反応に供することによって,付随した蛋白からヒト P
IPを単離することも可能である。この緩衝液に対して活
性画分を透析することによって,apoAIVを含む非− PIP
不純物の沈澱という結果をもたらす。この上澄液は,ヒ
ト PIPを含んでおり,これは,上述の様に,電気泳動に
よって,純粋な40kd結合として取り出される。 C.有用性および投与 本発明の PIP蛋白はin vitroにおいて,ホスホリパーゼ
抑制因子としての活性を示すが,細胞培養においてPGE2
の生成を抑制することができ,いくつかのinvivoモデル
において,有効な抗炎症作用を示すものである。従っ
て,本発明の蛋白は,ヒトならびに家畜における望まし
くない炎症徴候を改善,治療もしくは減少させるのに有
用である。本発明の蛋白は,次の点において有用であ
る。すなわち,感染や創傷のような外部の刺激に反応し
て生成された過剰の炎症反応を調整する点,さらに,慢
性関節リウマチ,喘息,浮腫,皮膚炎,関節炎,結膜
炎,アレルギーならびにエリテマト−デスのような炎症
性疾患を治療する点の両方である。
【0029】本発明の蛋白の投与は,一般的に0.1-100
μg/Kgの用量範囲であり,宿主の体重あたり0.1-10μg
/Kgがより望ましい。言うまでもなく,投与量は,対象
症例の性質,治療すべき症状の重篤度および投与の方法
に依存する。例えば,静脈内注射は一般的に他の選択可
能な経路より少量で済む。所望の効果が得られるまで,
数回にわたって PIP蛋白を,一回投与,もしくは,長期
にわたって一定の注入により投与する。
【0030】この蛋白は,望まれる投与方法に依存し
て,水溶液もしくは,製剤的賦形剤の存在下で投与され
得る。蛋白製剤については,望ましくは,皮下,静脈
内,もしくは筋肉内注射のような注射によって,または
膜を通過する非経口投与により投与される。エロゾルも
しくは経口投与も,安定化成分の存在下で可能である。
apoAIVとの複合体は,注射用の製剤と同様に,これらの
成分中の PIPに対し安定しているものである。
【0031】注入可能物質は,注射の前の再形成に適し
ている,液体,もしくは懸濁液,固体としてもしくは,
PIPまたはそのapoAIV複合体の乳濁液として調製され
る。適切な賦形剤としては,例えば,水,食塩水,デキ
ストロース他があげられる。緩衝剤,乳化剤他の様な少
量の補助物質も含まれ得る。
【0032】坐剤投与にはポリアルキレングリコールお
よびトリグリセライドのような結合剤や担体が付加的に
用いられ得る。エロゾル投与は,気管支疾患の緩解に特
に適しており,それには一般的に PIP蛋白もしくはその
複合体を(界面活性剤およびプロペラントと共に微細に
分離された形で)利用する。代表的な界面活性剤は,脂
肪酸エステルを含む。代表的なプロペラントは,フレオ
ンの様な,低アルカンもしくはフッ化アルカンである。
ローション剤もしくは軟膏剤のような局所的投与も実用
的であり,局所的治療の場合に好まれる。
【0033】PIPおよびapoAIVの両方を含有する40kd SD
S-PAGE 溶出液と,本発明の精製蛋白は双方共,診断や
治療のモニターに有用な免疫検定のための抗血清もしく
は単クローン抗体を調製するために有用である。免疫検
定の方法は,当該分野において良く理解されており,多
くの変更が可能である。拮抗的な抗原もしくは抗体のど
ちらかは,放射性物質,蛍光物質もしくは酵素を用いて
標識化できる。この検定は,抗原−抗体複合体の直接的
検出として,免疫複合のための拮抗検定として,もしく
は,複合体が,追加抗体によってさらに免疫活性化され
るサンドイッチ検定として実施され得る。この検定で
は,標準の方法を用いる。本発明の貢献は,適切な抗原
の提供であると言える。すなわちこのような検定の実施
のための標準,もしくは拮抗的抗原として,および,適
切な抗血清の調製のための物質をひき出す抗体としての
直接的使用のための抗原である。
【0034】D.実施例 以下に,hPIPの精製のための例証となる方法を記述す
る。これに限定するつもりはない。活性かつ純粋な蛋白
質を得るためには,付加的な修正が明らかに必要だから
である。しかしながら,この特別な方法によれば,実
際,hPIP活性を有する40kd蛋白が均質に(SDS-PAGEに対
する)調製され,かつ結合蛋白から遊離したヒト PIPが
調製される。
【0035】D.1 透析液からのhPIPの精製 ヒトPIPを,精製についての検査を行うために,ホスホ
リパーゼ(PA2)抑制検定を用いて透析液から単離した。
約2Lのヒト腹腔洗浄液(これは,連続的に外来腹腔透
析を受けている患者から得た)を,粗い薄地の綿布を通
して濾過することによって清澄にした後,硫酸アンモニ
ウム分画にかけた。40%の飽和液を得るのに十分な固体
硫酸アンモニウムを供給し,得られた沈澱物を20分間,
10,000×g で遠心分離にかけて,上澄液を回収した。十
分な量の固体硫酸アンモニウムを,60%の飽和液を得る
ためにこの上澄液に添加し,さらに遠心分離を繰り返し
た。この沈澱物(これは, PA2抑制活性を含んでいた)
を,20mMの重炭酸アンモニウム,1mMのフェニルメチル
スルホニルフルオライド(PMSF)を含有するpH 7.8の緩
衝液(緩衝液A)およびアプロチニンに50μg /mlで溶
解した。この再構成した溶液を,全塩濃度を低下させる
ために,4℃において緩衝液Aに対して透析を実施し,
インビトロ中における PA2抑制検定(下記)において活
性であることが示された。
【0036】50mgの蛋白を含有するこの透析物の一部
は,緩衝液Aにおいてあらかじめ平衡状態にした 2.5cm
×12cmのAffi-ゲルブルー(BioRad Laboratories, Rich
mond,California)カラムに適用した。0.3ml/分の流速
で,2mlの画分を集めた。このカラムは,0〜 0.5M Na
Clの濃度勾配のNaClを用いて溶出させた。この画分につ
いて, PA2抑制活性に関する検定を実施し,全活性は,
第3A図に示すように,容積による流量で示された。
(第3A−3C図において,実線は PIP活性を指示してい
る)。
【0037】この活性画分をプールし,凍結乾燥させた
後,再構成し,緩衝液A中で,あらかじめ平衡状態にし
た 2.5cm×12cmのコンカナバリン−Aセファロースカラ
ムに適用した。流速0.2 ml/分で溶出したところ,第3
B図に示される溶出プロフィールが得られた。再度,全
活性は,インビトロ中の PA2抑制検定によって検定した
ように,容積による流量で見出された。この活性画分を
プールし,凍結乾燥した。活性画分プールの少量部分を
RP-HPLC分析のために取っておいた。
【0038】次いで,この凍結乾燥した画分を緩衝液A
中に再構成し,緩衝液A中であらかじめ平衡状態にした
DEAE-52の2.5cm×12cmカラムに適用した。さらに0−
0.2Mの直線的なNaCl勾配を用いて溶出を実施した。第3
C図は,この溶出のプロフィール,および約 0.125M NaC
lにおいて溶出した画分中の活性の存在を示す。
【0039】この活性DEAE溶出物の画分をプールし,濃
縮し,脱塩した後,約10mgの蛋白を,電気泳動分離のた
めの3mm 12.5%ポリアクリルアミドゲルに負荷した。
この電気泳動分離は,ジスルフィド結合が,分画前に,
β−メルカプトエタノールで還元されないこと以外は,
Laemli(前出)の方法に従う。蛋白のバンドについて
は,50%トリクロロ酢酸における 0.1%クマシーブルー
を用いた3分間の染色過程,およびそれに続く5%の酢
酸溶液中における5分間の脱染色によって検出された。
結果として,2つの主な蛋白のバンドのみが得られた。
1つは,18KDにおけるバンドであり,もう1つは40KDに
おけるバンドである。これらのバンドをゲルより切り離
し,9mm3 の立方体へ切りきざみ,この蛋白を4℃にお
いて一昼夜,緩衝液Aで溶出した。
【0040】この溶出物を処理してグリシン, SDSおよ
び染料を数段階で除去した。第一に,この溶出物を24時
間にわたって緩衝液Aに対して透析し,次いでこの透析
物を凍結乾燥によって濃縮した。この凍結乾燥した物質
を緩衝液A中において再構成し,2容量の水飽和ブタノ
ールを用いて3回抽出を行った。界面を含んだ水層を窒
素下で乾燥して,残りのブタノールを除去した。次い
で,蛋白のレフォールディングを完成させるために,少
なくとも24時間にわたって,1mg蛋白/mlの状態で,4
℃において放置した。インビトロ検定における PA2抑制
に関する検定では,この40KDバンドは,活性を示した
が,この18KDバンドは,活性を示さなかった。 第4図
は,最初の抽出物,精製の各段階における調製物,およ
び精製した蛋白について実施した SDS-PAGE の比較結果
を示す。このバンドは,2回の連続した酸化操作ならび
に染色操作(製造者の指令に従って)による銀染色(Bi
oRad Labs,Richmond, CA)を用いて展開された。1列は
分子量マーカーを含む。2列は硫酸アンモニウム処置前
の透析液である。3列は40−60%硫酸アンモニウム沈澱
物。4列は,Affi−ゲルブルークロマトグラフィーから
のプールした活性分画を含む。
【0041】5列は,コンカナバリン−Aセファロース
クロマトグラフィーからのプールした活性分画を含む。
7列および8列は,予備的なゲル電気泳動から得られた
それぞれ1μg および50ngの40kDバンドを含む。この全
操作により,第5図に例示された結果にみられるように
約 500倍の精製が得られる。50%抑制に必要なμg 蛋白
の比較を用いれば,この粗抽出物の特異的活性は,精製
された40kDバンドの活性の約 0.2%となる。
【0042】上述したコンカナバリン−Aセファロース
処理から得られる活性分画の一部分をC8 カラムを用い
て RP-HPLCに供し,0.1 %のトリフルオロ酢酸中のアセ
トニトリルの勾配を用いて溶出した。第6図は,このカ
ラムの溶出プロフィールを示す。多数の蛋白分画が得ら
れ,ただひとつの分画のみが活性を含有している。次い
で,この活性分画を12.5%ゲルを用いて分析的 SDS-PAG
E に供し,この展開したゲルをクマシーブルー G-250も
しくは銀試薬を用いて染色した。各場合において,40kd
バンドのみが観察された。
【0043】純粋なヒトPIPを得るために,このプール
した活性溶出物(陰イオン交換レジンからの)を,pH
5.5のクエン酸ナトリウム緩衝液に対して透析した。沈
澱した蛋白を遠心分離によって取り除き,この上澄液中
蛋白を SDS-PAGE に供した。次いで,上述のように,こ
の40kdバンドを回収した。必要に応じて,この上澄液を
pH 7.5とし,Parente, L., et al, Life Sci (1985)36
: 1225-1231に記述されているようにPLA2−セファロー
スのカラムを通過させ得る。このカラムを 150mMのNaCl
を用いて洗浄した後,この結合したhPIPを,1.0M NaCl
もしくは 0.1M 酢酸のいずれかを用いて純粋な形で溶出
させる。
【0044】D.2.抗−PIP 抗体の調製 この上記40kdバンドは,続いて,hPIPおよびアポリポ蛋
白AIV (apoAIV)を含む蛋白混合物であることが示され
た。(下記にさらに詳しく述べる)。しかしながら,こ
の混合物は,hPIPと特異的に反応する抗体を増加させる
ことが可能であった。抗−hPIPを得るために,ニューイ
ングランド白ウサギに,完全フロイントアジュバントに
含まれている溶出40kdバンド分画の 200μg を,皮下も
しくは筋肉内に注射した。次いで3週間の間隔で同じワ
クチンをこのウサギに接種した。次いで,この接種後7
−10日間に,このウサギの耳の静脈から採血し,得られ
た血清について,対照として非−免疫血清を用いて,そ
の40kd溶出物(前述)を結合する能力を試験した。
【0045】この結合検定について,40kd蛋白を含む精
製hPIPの 500ngを,ポリスチレンプレートの個々の穴に
固定し,様々な稀釈度の抗血清をこの穴に加えた。特異
的に結合した抗体の量については,125−標識化蛋白(A
mersham, Inc.)を用いて定量した。下記の表1に示さ
れているように,1:400 の血清稀釈は,著しい量の抗
体を示している。
【0046】
【表1】
【0047】これらの結果から,40kd蛋白を含む遊離hP
IP,精製hPIPを用いた競合した置換によって確認され
た。この1:100 の血清稀釈は,精製された40kd蛋白の
量を変化させるのと同時に,被覆されたポリスチレンプ
レートに適用した。この量の変化については,その結果
を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】このウエスタンブロットによる精製の過程
を示すために,さらに,この抗血清の免疫反応性を用い
た。この抗血清に対して試験すべき標本を,2×SDS を
用いて1:1に稀釈した。標本緩衝液(Laemli, 前出)
および10−25μg の蛋白を,1.5 の厚い SDS−ポリアク
リルアミドゲル上で分画した(12.5%アクリルアミ
ド)。この分画された蛋白を,ニトロセルロースシート
上へ電気移送した。非特異的部位をブロックするため
に,5% BSA,5%オバルブミンおよび5%無脂肪乾燥
牛乳を含有する溶液を用いて,免疫反応性40kd蛋白は,
抗−hPIP抗体および 125I−蛋白Aと共に検出される。
対照は,非免疫ウサギ血清と並行して走らせた。
【0050】第7図は,第4図に示された同じ分画(様
々な精製段階で得られた)について実施したウエスタン
ブロットの結果を示す。1列は,43kd125I−オバルブ
ミン,2列は透析液,3−5列は,それぞれ,Affi−ゲ
ルブルー,Con-A セファロースおよびDEAEカラムからの
活性分画であり,6列は,SDS−PAGE調製後に得られた
物質である。この40kdバンドは,精製を通して特異的に
検出される。
【0051】この抗血清のhPIPと特異的に反応する能力
は,40kd混合物と反応して増加されるが,第8図に示さ
れているように,ホスホリパーゼA2(PA2)と特異的に結
合する蛋白(PIP)を検出する能力によって示される。PA
2 (150pmol)を,ポリスチレン穴に固定し,過剰の部位
をヒト血清アルブミンを用いてふさいだ。次いで,増量
した40kd蛋白を,1500pmolの遊離PA2 の有無にかかわら
ず添加し,22℃において30分間結合を維持した。洗浄
後,抗−PIP 抗体および 125I−蛋白−Aを用いて,こ
の結合した PIPを検出した。HSA だけを含有する穴もネ
ガティブな対照として含めた。
【0052】第8図の結果は,40kd混合物を含む PIPを
添加する量を増加した場合,穴に対する抗体結合も増加
することを示している。しかし,1500pmol PA2を40kd混
合物を含む PIPとあらかじめインキュベートした場合,
この結合は,HSA で被覆した穴の非特異的結合レベルに
減少され得る。それゆえ,この抗体は,それ自体がPA2
に結合する蛋白に結合する。このことは,PIP の特質で
あるが,この40kd混合物の他の成分の特質ではない。
【0053】また,1:100 の稀釈率において,10μg
の40kd混合物との抗血清のプレインキュベーションは,
PA2 を固定する蛋白結合を検出する能力を中和させた。
【0054】D.3.cDNA生成のためのmRNA供給源の確
認 精製40kd蛋白に対して増加した多クローン性抗血清を,
cDNAライブラリーを得るために有益なmRNAのための供給
源を確認するため,hPIPの生成のための種々のヒト細胞
供給源を評価するべく用いた。適当なスクリーニング操
作において, SDS−ポリアクリルアミドゲルにおける分
画後に,溶解した細胞蛋白について,hPIP免疫反応に関
し検定した。
【0055】スクリーニングについて考えられるもの
に,単核−マクロファージ細胞系U937およびHL60のよう
な培養されたヒト炎症細胞;多形核細胞(PMN)のような
単離されたヒト血液細胞だけでなく20%までのマクロフ
ァージを含むことが知られている肺組織などが包含され
る。この細胞を,デキサメサゾン(0.1μM )の有無に
かかわらず適切な培地(血清を含むもしくは含まない)
において一昼夜インキュベートした。細胞上澄液もしく
は,この細胞自体について,抗−hPIPとの蛋白免疫反応
性に関し検定した。
【0056】細胞溶解産物のために,細胞を洗浄して,
血清蛋白を取り除き,4℃において,5mM MgCl2, 0.1
% NP-40, 0.1mM PMSF,50μg/mlアプロチニンを含有す
るリン酸塩緩衝食塩水を添加することによって溶解し
た。培養皿に付着した細胞については,直接皿上で溶解
させ,一方,懸濁細胞については,遠心分離によって収
集し,上記の緩衝剤に再懸濁させた。3−5分後,この
溶解産物をこの培養皿から集め,遠心分離(1000×g,
5分)によって核を取り除いた。
【0057】抗血清に対してテストされるべき標本(上
澄液もしくは溶解産物)を,2×SDS を用いて1:1へ
稀釈した。標本緩衝剤(Laemmli, U.K.,前出)および50
−100μg の蛋白を,1.5mmの厚いSDS−ポリアクリルア
ミドゲル(12.5%アクリルアミド)上で分画した。この
ゲルは,この抗体の非特異的結合のための対照として,
精製された40kd蛋白50μg とプレインキュベートした抗
−hPIP抗血清の使用を加えることによって,展開され
た。ニトロセルロースを,X−線フィルムにさらした
後,様々な細胞タイプにおけるhPIP免疫反応性は,オー
トラジオグラムの濃度走査によって定量できる。
【0058】ある細胞タイプにおいて,hPIPは,培養培
地へ分泌される。このような培養培地からの部分的に精
製されたhPIPについて,上記のような検定を行う。(数
例において,馴化培地を,硫酸アンモニウム分画,Affi
−ゲルブルークロマトグラフィーおよび Con-Aセファロ
ースのクロマトグラフィーに供し得る。Con-A セファロ
ースカラムに結合しない画分は,凍結乾燥され,上述の
ウエスタンゲルに対するhPIP免疫反応性について分析さ
れる)。
【0059】第9図は,U937細胞によって48時間培養さ
れた血清含有培地および血清を含有しない培地の両方か
ら得られた結果を示す。
【0060】この PIP蛋白は,血清を含まない培養細胞
からの培地において,37kd結合として現れる。〜40,000
ダルトンにおける免疫反応性バンドはほとんどが apoAI
V である。この結合は,血清中,および血清含有U937で
馴化培地に存在するが,血清を含まないU937馴化培地に
は存在しないからである。同様に,〜68,000ダルトンに
おいてみられる免疫反応性バンドは,血清中に含まれて
いるアルブミンを表している。この50,000ダルトンのバ
ンドは,IgG重鎖であり血清含有培地においてのみみら
れる。また,これは,非免疫抗血清を用いた場合にも検
出される。このIgG重鎖は,このウエスタンを調べるた
めに用いられる抗体とは無関係の 125I−蛋白Aと結合
し得る。
【0061】これらの結果は,培養されたマウスの線維
肉腫細胞における PGE2 生成の抑制によって示されるよ
うに(下記を参照),PA2 抑制活性について,血清を含
まないU937馴化培地由来の同じ標本を検定することによ
って確認された。従って,U937細胞は,ひき続いた抗体
スクリーニングのためのcDNA発現ライブラリーを調製す
るために選択された。
【0062】D.4.選択された細胞からのhPIPcDNA構
築物のcDNAライブラリーの調製 cDNAライブラリーは,最初はU937細胞から調製された。
しかし,PMN および肺細胞の調製物も用いられた。
【0063】全細胞RNA は,標準方法によって,選択細
胞から調製された(Chirgwin, J.M., et al. Biochemi
stry (1979) 18 : 5294-5299)。ポリ A+ RNA は,オリ
ゴ−dTセルロースカラムを通るこのRNA の2つの連続経
路によって単離された。
【0064】hPIPをコード化するcDNAクローンを得る最
大限の可能性を提供するために,2つの分離したcDNAラ
イブラリーが構成され得る。そのうちのひとつは,無作
為のプリマー(P.L.Bio-chemicals)を使用し,もう1つ
は,オリゴ−dTプリマーを使用した。両方の場合におい
て,最初の鎖の合成は,この適当なプリマーとともに15
μg のポリ A+ RNA を使用し,標準反応状態を用いた逆
のトランスクリプターゼ(Avian Myeloblastosis Viru
s)により合成した。
【0065】各cDNA調製物の第2鎖は,この RNAを DNA
−RNA ハイブリッドから加水分解するために RNAse H
(Gubber, U., et al,Gene (1983) 25 : 263-269)を用
いて合成され,続いて,得られた単一鎖領域を満たすた
めに DNAポリメラーゼ(Klenow断片)を用いて合成され
た。それゆえ,二重鎖で平滑末端のcDNAs が生成する。
内部の EcoRI限定部位については,製造者の指示に従っ
て, EcoRIメチラーゼ(New England Biolabs)を用いて
メチル化することによって保護される。さらに EcoRI部
位(P.L. Biochemicals)を含む合成オリゴヌクレオチド
リンカーを,その後,T4リガーゼを用いて,平滑末端cD
NAs へ結合する。ポリマー性リンカーは,その後の Eco
RIによる消化によって単量体へ還元され,その断片は,
低融点アガロース(1.5 %アガロース)を通した電気泳
動によって特定の大きさに分類するべくスクリーニング
され得る。さらに必要であれば取り出すこともできる。
【0066】得られた二重鎖cDNAは,バクテリオファー
ジの唯一のEcoRI部位(Young, R.A.および Davis, R.
W., Science (1983) 222 :778-782 によって示されてい
るような発現ベクターλgtll)へ結合する。このベクタ
ーにおける EcoRI部位が,β−ガラクトシダーゼ遺伝子
のアミノ酸位1015における正しい読み枠に存在するた
め, EcoRI部位に関して,読み枠および配位も正しいcD
NAは,イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)の誘導に
よって,β−ガラクトシダーゼとの融合蛋白として表さ
れ得る。この発生率(無作為)は6回中1回である。
(2配位×3読み枠)。このように誘導されたファージ
プラークによって表される蛋白についても,この40kd蛋
白を用いて調製したhPIPに対して,多クローン性抗血清
を用いて評価を行った。
【0067】このcDNAの結合後,この組換え DNAを,市
販のパッキング抽出物(Amersham,Inc.) を用いてin v
itro においてパッケージし,組換えファージについて
は,Young, R.A., et al, (前出)によって記述のよう
に,宿主株E. coli. C600Hf1に対し力価検定を行った。
約 200,000の組換え体が得られた。
【0068】このcDNAライブラリーについては,hPIPに
対して抗体を用いて評価を行った。約5×105 の適切な
力価のファージを,E. coli Y1090とインキュベート
し,(平板培養),所望のファージ濃度を得るために,
10個の150mm板上で20時間培養した(Young, R. A. et a
l, 前出)。β−gal−融合PIP蛋白が,溶解産物中にみ
られるため,寒天上にニトロセルロースを重ね,プレー
トを37℃において一昼夜インキュベートした。次いで,
このニトロセルロースフィルターについて,組換え融合
蛋白の抗体検出を実施する。この抗体検出は,抗体がフ
ァージベクター(λgt11)のみに感染したバクテリアの
溶解産物に前吸収されること以外は,ウエスタンブロッ
トと実質的に同じである。
【0069】より詳細に言えば,このフィルターは,ま
ず,PBS, 0.1%NP-40 に溶解した57%の脱脂乾燥牛乳を
用いて非特異的結合をブロックすることにより,処理し
た。このフィルターを,PBS, 0.1% NP-40,5% BSA,
5%オバルブミン中で調製した抗血清の1:100 稀釈液
を用いて2時間インキュベートを行った後,PBS, 0.1%
NP-40中で洗浄した。結合抗体は,125I−プロテイン
A(105cpm/フィルター)および洗浄フィルターのオー
トラジオグラフを用いて検出した。
【0070】この検出方法を用いて,各プールにおける
全プラークが陽性となるまで,連続的なスクリーニング
を通してポジティブクローンを精製した。擬陽性につい
ては,次のように確認した。すなわち,これは,2cm2
のニトロセルロースディスクを重ねた100プラーク/2c
m2において,二重のスクリーニングを実施し,さらにこ
の二重のニトロセルロースディスクを,40kd蛋白を含む
10μg のhPIPによる前処置を受けた抗体,もしくは受け
なかった抗体とともにインキュベートすることによって
確認した。擬陽性クローンと結合する抗体は,hPIPによ
る前処置を受けた抗血清でも起こるはずである。
【0071】5つの最も強いポジティブクローンから調
製されたファージDNA について,cDNA挿入物の大きさお
よび配列の関連性を分析した。
【0072】5つの全cDNA挿入は約 200bpであった。そ
のうちのひとつ(λU-200 で表される)を,pU200 にす
るためにpBR329のEcoRI部位にサブクローンし,そし
て、さらに引き続いて分析を行うためにM13mp9およびM1
3mp8にサブクローンした。第10図に得られたヌクレオチ
ド配列および推定アミノ酸配列を示す。生成された融合
蛋白の長さから,正しい読み取り枠を推定することが可
能であった。これらの蛋白は,このβ−gal より,およ
そ70アミノ酸分長かった。従って,このリンカーに続い
て,挿入した配列は,おそらくこの PIP蛋白の内部の部
分から,200bp のオープンリーディングフレームを維持
していた。従って,付加的なcDNAライブラリーを調べる
ためにPU200を用いた。
【0073】付加的なライブラリー-PMN 0.15M NaCl中の6%デキストランを通して,血液を沈澱
させることによってヒト白血球を調製した。この上澄液
中の白血球細胞を遠心分離によって集め, PBS中で洗浄
し,RNA単離のために用いた。λgt10におけるcDNAライ
ブラリーは,クローン化ベクターとしてλgt10を用いる
こと以外は,上記のように調製した。このライブラリー
は,この PMNライブラリーを意味する。λgt10ライブラ
リーも上記の如く,U937細胞より調製した。
【0074】各cDNAライブラリーは,E. coli. C600Hf
1で約106ファージを培養することにより,さらに,ニ
トロセルロースフィルターにプラーク溶解産物を転移す
ることによって,スクリーニングのために調製した。こ
のフィルターについて Benton,W.E., et al, Science
(1977) 196 : 180-182 に記述のように交雑を実施し
た。プローブは,Maniatis, T., et al,Cloning Manual
に従ってニックトランスレーションによって,標識化を
行った。次いで,42℃において16時間にわたり,1mlの
ハイブリダイズ緩衝剤中107cpm PU200を用いて,各フィ
ルターを処理した。その後,このフィルターを,22℃に
おいて5分間,2×SSC , 0.1% SDS中で2回洗浄し
た。さらに,より高い温度(60℃)において, 0.2×SS
C , 0.1% SDS中で洗浄した。次いで,この交雑された
フィルターを乾燥し,オートラジオグラフィーによって
ポジティブなシグナルを検出した。
【0075】このU937λgt10ライブラリーは,数種の交
雑cDNAを生成した。そのうちで最も長いcDNAは約 500bp
であり,λU500で表されている。λU500のヌクレオチド
配列は,ジデオキシ配列決定法によって決定され,それ
は第11図に示されている。第11図を第10図と比較するこ
とによって,λU200およびλU500は,各々の5'末端の約
50bpを共有し,その後分岐していることがわかる。この
分岐は,下記のごとく,イントロンスプライシングのた
めであることが後に証明された。
【0076】このλgt10 PMNライブラリーは,その大き
さ 400-600bpの4つのハイブリダイズポジティブを生じ
た。そのうち最も長いcDNAは,PMN600で表され,ジデオ
キシ配列であった。推論したアミノ酸配列に沿って,PM
N600に対し決定された配列を第12図に示す。PMN600は,
50bp区分をλU200およびλU500と共有しているだけでな
く,λU500との相同性は,他の約 200bpにまで及ぶ。次
いで,これらの配列も分岐する。この分岐は,以下のよ
うに遺伝子における任意の3'末端エキソンの存在による
ものであることが示された。
【0077】ヒト肺のcDNAライブラリー λgtにおけるcDNAライブラリーは,上述の方法を用いて
ヒト肺組織から調製されたものである。2つのライブラ
リーが得られ,ひとつは胎児の肺組織からのものであ
り,他は成人肺からのものであった。肺組織は,重量に
して約20%のマクロファージを含有しており,モルモッ
トの肺からのPA2阻害因子の生成について報告されてい
る(Flower, R.J., et al,Nature (1979) 278 : 456-45
9 )。
【0078】胎児の肺ライブラリーについては,5'-GAA
GGTAGCCACAGCCACGG-3'の配列を有する合成オリゴヌクレ
オチドを用いて,上述の如く検索を実施した。この配列
は,PMN600の配列の塩基23-42を表している(第12
図)。陽性にハイブリダイズするcDNAは,付加的な上流
配列を含有していた。この配列は実際,以下に示すゲノ
ムクローンの上流のエキソン上にマップできた。このcD
NAを,pBR329へサブクローン化し,pSR-1と名付け, P
IPコードmRNAの大きさを測定するために,次のように用
いた。
【0079】ヒト肺ポリ-A+RNA について,ナザンブロ
ットを実施した場合(プローブとしてpSR-1を使用す
る),成熟mRNAは,長さにして約1400塩基であることが
証明された。プライマーとしてpSR-1からの 586bp Bam
HI分画を用いたプライマー伸長分析が,付加的な 500塩
基が,完全長のcDNAを得るために必要であることを証明
した。
【0080】完全長の hPIP cDNA 成人ヒト肺cDNAライブラリーについては2つのプローブ
を用いてスクリーニングを実施した。すなわち,pBR329
へクローン化したPMN600(p600),および合成オリゴヌ
クレオチド5'-ATGAGCTGTGAGAGGGGCCG-3'(これはpSR-1
の5'末端を表している)である。4つの陽性にハイブリ
ダイズするプラークを精製し,サイズを決め,1360もし
くは1340bpのどちらかを含有することがわかった。これ
らのcDNAをジデオキシ配列決定用にM13mp8およびM13mp9
へクローン化した後,そのうちのひとつは,hPIPに対す
る完全長のコード配列を含有していることが証明され
た。第13図は,完全な DNA配列およびこのクローンによ
ってコード化された推定アミノ酸配列を示したものであ
る。このクローン,pLE-1は,約36.5kdの蛋白を表す33
1アミノ酸の最初の翻訳産物に相当するものである。成
熟した蛋白は,ロイシンをコードするヌクレオチド 112
-114で始まると信じられている。
【0081】pLE-1のin vitroにおける翻訳産物は,製
造者の指示に従って RNAポリメラーゼ(SP6システム,
Amersham Corporation, Arlington, Heights, IL)を添
加して,pLE-1挿入を転写ベクターSP-6へサブクローン
化することによって,さらにその後、網状赤血球ライゼ
ートシステム(Bethesda Research Labor-atories, Bet
hesda MD)において生成(in vitroにおいて)されたmR
NAを翻訳することによって得られた翻訳産物は,予想し
た大きさの36kdを示していた。コード化された36kd蛋白
と腹腔液に関連した40kd蛋白との間の相違は,グリコシ
ル化のためであると信じられている。pLE-1の配列は,
塩基 625,595,709 および 808で開始する4つの典型
的なグリコシル化部位(Asn-X-Ser/Thr)を有する。この
ことは,SP6-pLE-1 から上述のように転写されたRNAを
Xenopus laevis卵母細胞(最初の翻訳産物をグリコシル
化できる)へ,注入し,さらに,卵母細胞の膜分画にお
ける成熟40kd産物を局在化させることによって確認し
た。
【0082】D.5.hPIPをコード化するゲノムクロー
ンの単離 hPIPをコード化する完全な DNA配列もヒトゲノムライブ
ラリーより単離した。pU200,およびp600からの塩基198
-590を含有する NcoI断片をプローブとして用いた。こ
れらには共通の配列をもたない。λCharonファージにお
けるライブラリーは,Maniatis, T.(前出)pp270 の方
法によって,Sau3AI−分解ヒトDNAから構築した。スク
リーニングのために,106ファージを増殖させ,三枚の
ニトロセルロースフィルターを用いて,上述のようにプ
ラークの釣り上げを実施する。このフィルターを,上記
のプローブを用いてハイブリダイズさせた後,このフィ
ルターを 0.2×SSC ,0.1%SDS中,60℃の厳しい条件下
で洗浄した。二重に陽性であるプラークを取り出し,溶
出させ,第2のスクリーニングを実施するため再びプレ
ートする。ファージがプラーク精製されるまで,この方
法を繰り返す。
【0083】pU200プローブに対しハイブリダイズする
プラーク精製済ファージ組換体2つ,および NcoI断片
に対してハイブリダイズする7つの陽性のクローンが得
られた。これらのクローンの各々からの精製 DNAを,Ec
oRIで制限分解し,その結果の断片を pU200または NcoI
断片でのプローブ用にニトロセルロースヘブロットし
た。組換え型ファージのひとつ,λ12−3は,両プロー
ブに陽性である断片をもたらした。λ12−3はエキソン
II,III,IVおよびVを含有していたが,エキソンIのみが
欠けていた。さらなる制限酵素マッピングは,λ12−3
が他のクローンに重なっていることを示した。エキソン
IはλCM−14に含まれているものであり,λCM−14は断
片とハイブリダイズしないが,pU200とハイブリダイズ
するゲノムクローンである。λ12−3クローンの制限分
析および配列決定,さらに他の陽性クローンを分析する
ことによって,エキソンVは,第14図に示されているよ
うに,もうひとつの型VAで供給されると考えられるとい
うことが証明された。エキソンVAは,λ12−3に存在せ
ず,λ12−1にみられるものであり,λ12−1はNcoI
断片および pU500とハイブリダイズするゲノムクローン
である。
【0084】遺伝子および得られたcDNAクローンにおけ
る配列を比較することによって,50bp後における,他の
クローンとの pU200の相違は,イントロンをスプライス
させるのに失敗したためであるということ,また,PMN6
00およびλU500間の相違(これらの 250bp相同性の下
流)は,VおよびVAエキソンのいずれかの利用性に起因
している。λU500はエキソンVAを有し、PMN600はエキソ
ンVを含有している(pLE-1のように)。
【0085】D.6.発現ベクターの構築およびhPIPの
発現 哺乳類ベクター hPIPをコード化するcDNAクローンは,様々な宿主におい
て組換え型蛋白を生成するのに通常用いられる(後述の
E.1. 参照)。しかし,宿主が自然に生産された蛋白
によって経験したのと類似の,その後の翻訳処理が可能
であるため,哺乳類系における発現が好ましい。宿主は
また,イントロンを複写することもできるため,cDNAも
しくはゲノム連鎖が用いられ得る。
【0086】hPIPをコード化する完全長のcDNAクロー
ン,pLE-1は,EcoRI断片として後述の哺乳類発現ベク
ターpHS1に挿入される。
【0087】pHS1の構築、宿主発現ベクター プラスミド pHS1は,p84Hからの 840bpのhMT-II配列を
含有する(Karin, M.,et al, Nature (1982) 299 : 297
-802)。これは,hMT-II遺伝子の-765位におけるHindII
I部位から,塩基+70におけるBamHI開裂部位にまでおよ
ぶ。プラスミドp84HをBamHIを用いて完全に分解し,末
端のヌクレオチドを取り除くため,エキソヌクレアーゼ
Bal-31を用いて処理した。そして次に,HindIIIを用い
て分解した。所望の840bp断片をpUC8に連結した(Vieir
a, J., et al, Gene (1982) 19 : 259-268)。これ
は,HindIIIおよびHincII消化で開裂したものである。
この連結混合物をAmpRのE. coli.に形質転換し、ひとつ
のプラスミド(pHS1で表される)を単離し,ジデオキ
シ配列決定法によって配列決定した。 pHS1は,適当な
制限部位を含むポリリンカーの上流に,hMT-II制御配列
を含有する。
【0088】hPIP発現ベクターの構築 hPIPをコードするEcoRI断片(上記のように調製)をEco
RI消化 pHS1に連結し,連結混合物をAmpRのE. coli. M
C 1061に形質転換した。その後の形質転換物を,制限分
析によってスクリーニングし,所望のプラスミドを含有
する株,pMT-PIPを,多量のプラスミド DNAを調製する
ために増殖した。
【0089】hPIP蛋白に対する修飾されたコード配列を
有する別の発現ベクターもまた,pLE-2およびpLE-3と
呼ばれる修飾コード配列から調製した。pLE-2には,hP
IP蛋白の2C−末端部分における配列が欠けている。この
ことは,その細胞膜への結合のためであると考えられ
る。pLE-2は,第13図に示されるpLE-1の配列を有する
M13ファージについて,TAC(チロシン残基をコード化す
る)を置換するために,塩基 951においてTAA 終止コド
ンを配置する部位特異的突然変異を行うことによって構
成されたものである。オリゴヌクレオチド5'-CACTGCGTT
ACTGGA-3' をプライマーとして使用し,変異させた配列
は,55℃、3M テトラメチルアンモニウムクロライドに
よる洗浄下において,プローブとしてリン酸化されたオ
リゴヌクレオチド5'-GCAGCCCCACTGCGTTACTGGACATCCAG-
3' を使用し,組換えファージプラークをスクリーニン
グすることによって回復させた。
【0090】突然変異は,ジデオキシ配列決定法および
一本鎖を二本鎖DNAへ変換することにより確認された。
終止コドンの正確な機能についても,EcoRI挿入物 SP6
ベクターシステムへのサブクローニング, RNAポリメラ
ーゼを用いた転写,それに続く網状赤血球溶解産物シス
テムにおける翻訳により確認した。単離生成物のSDS-PA
GEは,hPIPをコード化する完全長の配列から得られる3
6.4kd蛋白と比較すると,34kdの蛋白であることが示さ
れる。SP6mRNAもまた Xenopus卵母細胞へ注入された。
注入された細胞によって18時間にわたり馴化培地は,チ
モサン刺激マウス腹腔マクロファージからの標識化アラ
キドネートの放出によって検定したところ, PIP活性を
示した。 SP6へクローン化された LE-1配列からのmRNA
を注入された卵母細胞によって馴化培地は,この検定に
おいて活性を示さない。EcoRI挿入物は,pMT-PIP(-)を
得るためにpLE-1を構築したのと同様に,pHS-1へ形質
転換させた。連結混合物を,AmpRのE. coli. HB101へ形
質転換させ,正しい方向性および配置は,制限分析によ
って確認した。
【0091】pLE-3は,上記 pU500中に回復されたVAエ
キソンによってコード化されたもうひとつの3'−末端配
列を含んでいる。pLE-3は,pLE-1における下流の配列
を,適切な PU500からの断片で置換することにより構築
された:pLE-1は,NcoIおよびEcoRIならびに精製され
た独特の718bp断片で開裂された。pU500は,EcoRIおよ
び NcoI,ならびに精製されたcDNA挿入物の独特の419bp
下流部分で開裂された。これらの断片の連結により,11
37bp断片が得られ,この断片は,pUC8のEcoRI部位へ挿
入され,増殖およびプラスミド精製のためにE. coli. H
B101細胞へトランスフェクションされた。挿入物の正し
い方向性および配置を含むプラスミドは,pLE-3と表さ
れた。
【0092】pLE-3コード配列は,AvrII によるpLE-3の
分解,ブラント末端化,さらにhPIPコード化断片を得る
ためのEcoRIによる分解,による3'非翻訳配列に対する
ポリアデニル化シグナルの付加により修飾された。次に
独自の1037bp cDNA 挿入物を単離した。apoAIcDNA由来
のpoly-A付加部位を,NarIを用いたプラスミドpBL13A1
(Seilhamer, J., et al, DNA(1984) 3:309-317) に
よる分解,ブラント末端化,さらにEco RIによる分解,
ならびに全apoAI 3'未翻訳領域を含む独自の65bp断片の
精製により単離した。この65bp断片をhPIP cDNA 連結
し,Eco RI分解pHSIと混合し,そしてさらに,連結させ
pMT-PIP/A を生成させた。次にこの連結混合物を, Amp
R に対するE.coli MC1061 へ形質転換させた。 Amp抵抗
性のコロニーからのプラスミドについて,正確なサイズ
の挿入物を得るためにスクリーニングを実施した。
【0093】発現hPIPの充分な分泌のために,ヒト成長
ホルモン,ヒトアポリポ蛋白AI,ヒト肺界面活性物質も
しくはヒトレニンから誘導されるようなもうひとつのシ
グナル配列を採用することが,好都合であり得る。これ
は,標準的な方法により達成される。それは,例えば、
cDNAの5'末端を除去するためにSphIを用いてpLE-1, pLE
-2もしくはpLE-3 を分解し,成熟した蛋白の欠失したコ
ドンを配置し,さらに,上流にある適切なシグナル配列
を連結する方法である。成熟したhPIPの第一のアミノ酸
は,第13図の塩基112 で始まるロイシンであると予想さ
れ、SphIが、塩基124を切断すると予想されるため,Leu
-Arg-Cys-Met をコード化するオリゴヌクレオチドを用
いて最初の4個のアミノ酸を再構築することが必要であ
る。
【0094】哺乳類の組換え型によるhPIPの生成 チャイニーズハムスター卵巣(CHO)-K1細胞をF12 培地お
よびDME培地の1:1混合物および12%ウシ胎児血清よ
りを含む培地において成長させた。相当な細胞が,pMT-
PIP, PMT-PIP(−)pMT-PIP/A もしくはpAc-PIP/A およ
びpSV2:NEO と共同断片される(Southern, P., et al
,J Mol Appl Genet(1982)1:327-341)。pSV2:NEO
は,ネオマイシン類似物G418に対して抵抗性を示す機能
的遺伝子を含有する。形質転換においては,Wigler,
M., et al ,Cell(1979)16:777-785,のプロトコール
(DNAに対し4時間暴露した後15%グリセロールを用い
た2分間の“ショック”を含む)に従って,500ng のpS
V2-NEOおよび5μgのpMT-hPIPを,リン酸カルシウム-D
NA中の共沈澱した細胞を含む16mmの皿上に付与した。一
日後,この細胞を1mg/mlのG418へさらし,G418−抵抗
性コロニーを得た。
【0095】得られた形質転換物は,またPIP-コード化
プラスミドの安定した遺伝形質を有する。この形質転換
物を低濃度でプレートし,クローン単離物の精製を行な
った。MTプロモーターの制御下において, PIP配列を含
む形質転換物については,検定のためにこれらの単離物
の少量を,マルチウェルプレートにおいて生長させ,10
-4M の塩化亜鉛を用いて誘導した。hPIP生成物について
は,培養細胞中の誘導されたPA2 活性の抑制を証明する
ことによって検定した。
【0096】pSV2:NEOもしくは,pSV2:NEO/pMT-PIP1
のいずれかを用いたトランスフェクションの72時間後
に,細胞はC−14アラキドン酸により2時間にわたり標
識化された。細胞を洗浄し,10%のウシ胎児血清もしく
は10μM A23187,カルシウムイオノフォア(いずれも細
胞PA2 の活性化因子)のいずれかを用いて刺激し,そし
て細胞膜から放出された標識化アラキドン酸を測定し
た。pSV2:NEO のみで形質転換された細胞は,PMT-PIP
を用いてコトランスフェクションされたもの(第14図
参照)より,30〜90%を越える量のアラキドン酸の放
出(20分後)がみられた。PA2 抑制によって示されるよ
うに,多量の所望のhPIPを生成するクローン単離物は,
直接検定のために取り出される。
【0097】PIP生成の直接検定のために,これらの細
胞を,10%のウシ胎児血清が補足された基本培地におい
て1/10の融合において接種し, 850 の回転びん内にお
いて融合まで生長させた。次に,この細胞を洗浄し,血
清を含まない培地へ,10-4Mの塩化亜鉛および10-6のデ
キサメタゾンを添加することにより,24時間にわたり,
hPIP生成を誘発した。
【0098】培地および細胞膜の両方について, PIP活
性についての検定を行なった。培地を取り出し,Amicon
UM-100 限外濾過装置により濃縮した。膜を得るため
に,細胞を1mMのEDTAを用いて処理した,そして 100×
gで5分間遠心分離を行うことによって採取した。細胞
ペレットを,10mM Tirs,pH8,250mMショ糖,150mM NaC
l, 1mM EDTA,1mM PMSF を含む2ml溶液中に再懸濁さ
せ,そして,ガラスホモジナイザーで破壊した後,位相
差顕微鏡を用いて,細胞の破壊度について検査した。10
00×gにおいて5分間遠心分離を行うことによって核を
取り除き,上澄液ライセートについては,100,000 ×g
において1時間遠心分離を行うことによって可溶部分
と,膜分画とに分割した。核分画は, 0.1%のTween-20
を用いて抽出し,不溶物質は,遠心分離によって取り除
いた。上澄液ライセートからの膜ペレットは,均質化緩
衝剤(さらに10%のグリセロールを含む)中に再懸濁さ
せた。
【0099】次に,培地,細胞ライセート可溶分画,
膜,および核抽出物分画について,2つの異なった検定
法を用いて PIP活性に関する検定を行なった。すなわ
ち,Bonney R.J. et al,(Biochem J (1979) 176:433-44
0)に記載されている様に,チモサン刺激マウス固有の
腹膜マクロファージの細胞膜からの標識化アラキドン酸
の放出の抑制;および,Vadas P., et al,(Life Sci
(1985) 36:579-583)に記載されている様に,ブタのす
い臓PA-2を用いたin vitro検定において,E.coli膜へと
り込まれたC−14−標識化オレイン酸の放出の抑制であ
る。これらの両検定において,膜分画のみが,活性を示
している。得られた他の分画においては,活性はみられ
なかった。これらの結果を,第15図に示す。E.coli検定
において,pMT-PIP-形質転換細胞からの膜は,E.coli膜
の加水分解を,対照によって示された約50%から約30%
へ減少させた。チモサン−介在マクロファージ検定にお
いて,放出は,対照の80%のみであった。
【0100】これらの検定における同様な結果が,pMT-
PIP(−)形質転換CHO 細胞から得られた。ただし,活性
は,膜結合分画よりはむしろ培地中にみられる。
【0101】必要に応じて,自然の蛋白を精製する方法
に従って,もしくは,公知の他の標準的な方法を用い
て,培地中へ分泌されるhPIPを精製することがでかき
る。
【0102】バクテリアベクターおよび発現 pTRP-233バクテリア発現プラスミドの構築 下記の10個のオリゴデオキシヌクレオチドは,合成trp
プロモーター/オペレータを構成するために使用され
た:
【0103】
【表3】
【0104】1および10を除いて,500pmol の各オリゴ
デオキシヌクレオチドを,32P-γATP を用いて個々にキ
ナーゼ処理した。これらのオリゴの対,例えば,1+
2,3+4,5+6などを,90℃において2分間各々1
6.7pmoleをインキュベートし,室温までゆっくりと冷却
することによってアニーリルさせ,そして,フェノール
/クロロホルム抽出およびエタノール沈澱によって回収
した。この対のセットを,T4リガーゼを用いて連結し,
そして回収した連結DNAをEco RIおよびPstIを用いて分
解した。得られたDNA断片を,湿性ゲルオートラジオグ
ラフィーによって視覚化し,上記所望の二本鎖配列を決
定するために100bp 断片を溶出させ,ジデオキシ配列決
定法で確認した。この二本鎖には,trp オペロンのプロ
モーターおよびオペレーター領域,およびtrp 誘導ペプ
チドのリボゾーム結合部位が含まれている。
【0105】プラスミドpKK233-2(Amann, E. et al, ;
Gene(1985)40:183-190)をNdeIを用いて完全に分解さ
せ,ブラント末端化し,連結し,NdeI部位を欠き,相当
するプラスミド,pKK-233-2-Nde を得た。
【0106】pKK-233-2-Nde 10ngを,Eco RIおよびPstI
を用いて完全に分解し,CIP で処理し,そして,50ngの
合成Eco RI/PstI trpプロモーター/オペレーター配列
(上記)と混合した。この混合物をT4 DNA−リガーゼで
連結し,E.coli JA221 1pp-/I'lacI9へ形質転換させ
た。形質転換物について,所望の挿入物(pTRP-233 で表
される)を含有するプラスミド DNAの存在を調べた。
【0107】PIP のためのバクテリア発現ベクター 本来のシグナル配列を欠くhPIPコード化セグメントを,
SphI(これは,第13図に示されるように,ヌクレオチ
ド114 において切断する)を用いて分解し,クレノーに
よりブラント末端化し,そして,HindIII(これは,挿
入物のちょうど3'のベクター部位において切断する)を
用いて分解することにより,pLE-1,pLE-2およびpLE-
3から取り除いた。 SphI(ブラント)/HindIII断片
を,KpnI(ブラント)/HindIII分解pTRP233 へ連結
し, trpプロモーターの制御下においてコード配列を配
置し,pTRP-PIP, pTRP-PIP(−)およびpTRP-PIP/Aをそ
れぞれ得た。この連結混合物を,正確な方向性を証明す
るために,E. coli. HB101へ形質転換させ,これらの形
質転換物を,標準M9塩+ 0.5%カザミノ酸(Difco)にお
いて,増殖させた。つまり,誘導前のOD-550の値が 0.1
となるまで,そして25μg/ml IAAによる処理を行い,O
D値が 1.0となるまで増殖させた。次に,バクテリアを
採取し,French pressを用いて溶解し,もしくは超音波
破砕によって溶解した。そしてそのライセートについ
て, Vadasら(前出)のin vitro 検定を用いて,PA2
抑制に関する検定を行った。
【0108】hPIP蛋白は,非グリコシレート化型で得ら
れ,標準方法を用いて精製が可能であり,精製の後,PA
2抑制検定を実施する。40〜60%の飽和硫酸アンモニウ
ムにより生成する沈澱分画と,25mM Tris-Hcl ,pH 8.
0,2mM EDTA 中に再溶解させ,同じ緩衝剤に平衡化さ
せたDEAEセファデックスにかける。蛋白を 0.125M にお
いてNaCl勾配で溶出させ,C8HPLCカラムもしくは他の疎
水性カラムにおいて,均質になるまで精製する。このカ
ラムにおいては,活性分画が,1% TFAにおける20〜10
0%アセトニトリル勾配において,およそ50%のアセト
ニトリル時に溶出する。活性分画中の蛋白の乾燥物を20
mM Tris, pH 8.0に再溶解させ,必要に応じ,Van Scher
renbergG. M.,et al, Hoppe-Seyler's Z Physiol Chem
(1980) 361 : 571-576 の方法に従って,ジスルフィド
にまで再酸化する。
【0109】D.7.hPIPの活性断片 第17図は,第13図のhPIPのアミノ酸配列との比較,すな
わち,すい臓および C. atrox 毒物ホスホリパーゼの既
知の配列と,ヌクレオチド490 〜852 間の比較を示す。
この部分の相同性は,Viperaシステムとの類似性から,
活性のために十分であることが示唆されており,これは
また,酵素および阻害因子間の相同性も示している。
(Mancheva, I., et al, Hoppe- Seyler's Z Physiol
Chem (1984) 345 : 885-894 )。hPIPのこの領域(種々
の下流の配列を有する)は,pLE-1,pLE-2およびpLE-
3からのBstEII(ブラント)/HindIII断片として得られ
る。(BstEIIは,塩基465において切断する。)上記の
ように,その断片は, KpnI(ブラント)/HindIII分解
pTRP233 に連結され,pTRP-PIP(F) ,pTRP-PIP(F-)およ
びpTRP-PIP(F/A) がそれぞれ得られる。これらのプラス
ミドは,上述のようにE coli中に発現された。
【0110】さらに上記ベクターのいずれをも修飾して
所望の均質領域を示す所望の断片のみをコード化するこ
とができる。これは,ヌクレオチド位853 〜855 におけ
る CAAグルタミンコドンを,位置特異的変異によって,
TAA 終末コドンへ変換することにより達成できる。
【0111】pTRP-PIP(F) をHindIIIおよびEcoRIを用い
て分解し,HindIII/EcoRI消化M13mp18にクローン化し
た。一本鎖DNAを,プライマーとして,5'-GCATGTTAGCAC
ATT-3' を使用し,DNAポリメラーゼで処理する。そして
得られた二本鎖DNAを完全な細胞へトランスフェクショ
ンさせる。突然変異ファージについて,厳密な条件下で
5'-AGGTGGGCATGTTAGCACATTGATT-3' を用いて検査する。
そして,精製プラークを用い,正確な構築を確認するた
めに,配列決定する。回収した DNAは,二本鎖を再形成
させ,EcoRIおよびHindIIIを用いて分解し,EcoRI/Hin
dIIIで直線化したpTRP-PIP(F)に連絡させる。得られた
ベクター(pTRP-PIP(465〜852)で表される)は,発現の
ためにE coliに形質転換させる。次に,生成した活性 P
IP断片を精製し,上述のように還元/酸化させる。
【0112】D.8.アポ AIV配列およびhPIP配列 SDS-PAGE上の40kdバンドとしてD.1.において得られ
た蛋白は, N−末端がブロックされた形のhPIPおよび N
−末端が配列決定に利用可能なアポ AIVを含んでいた。
Applied Bio-systems 470Aガス相シークエンサーを用い
て,全分画を配列決定にかけた場合に,アポAIVN−末端
の存在が確認された。
【0113】約50μg の蛋白について, N−末端配列決
定を実施し,PTH アミノ酸を Hunkapiller, M.W.および
Hood, L.E., Meth Enzym(1983) 91 :486-492.によっ
て報告されているように,IBM CNカラムを用いて,Beck
man 334T HPLC で同定した。得られた N−末端配列は次
の通りである。
【0114】Glu-Val-Ser-Ala-Asp-Gln-Val-Ala-Thr-Va
l-Met-Trp-Asp-Tyr-Phe-Ser-Gln-Leu-Ser-Asn-Asn-Ala-
Lys-Glu-Ala-Val-Gln-Leu-Lys-Ser-Arg 。
【0115】40kd混合物の小さい2次的配列は次の通り
である。
【0116】Glu-Asn-Leu-Pro-Gln-Asn-Gly 。
【0117】おそらく,この配列は,ブロックされたhP
IP分子の内部蛋白分解性クリップから生じたものであ
り,過剰のジスルフィド結合を含んでいる。この配列
は,第13図に示されている塩基662 から始まり,塩基69
3 で終わる。
【0118】D.9.40kdバンドの活性内容 ホスホリパーゼA2阻害の検定 in vitroにおける標準の阻害検定(PA2抑制検定)を,
次のように実施した。100ngのブタのすい臓ホスホリパ
ーゼAII(Sigma Chemical Co, St. Louis, MO )およ
び試験する種々の濃度の蛋白(10μgまで)を,20mM Tr
is,pH 8.0および2mMカルシウムイオンを含む50μlの
緩衝液中に入れた。その溶液を30℃にて10分間インキュ
ベートした後,前述の緩衝液中,20μg のヒト血清アル
ブミンおよび2μCiのα−β−〔I14-C 〕−アラキドニ
ルホスファチジルコリンステアロイル(3H)(Amersha
m. Inc.)を含む 100μlの溶液(添加直前に,22℃にお
いて超音波破砕水浴中で,2分間超音波処理された溶
液)を添加した。30℃において15分後,25μlの10N 酢
酸を添加することによって,この反応を中止させた。
【0119】反応混合液の25−50μlを,クロロホル
ム,メタノール,酢酸(90:10:1)を含む増加溶媒シ
ステムにおいて分析するために,シリカG型 TLC板へ塗
布した。アラキドン酸バンドの位置付けのため,標準と
してアラキドン酸を用いた。ホスファチジルコリンバン
ドはもとの位置にとどまる。スポットは,ヨウ素蒸気で
染色することによって視覚化し,そして,標準化された
アラキドン酸塩およびホスファチジルコリンスポットを
板より削り取り,トルエン−オムニフルオア(New Engl
and Nuclear)においてシンチレーション計数を用いて放
射能を測定した。加水分解の%は,分画 100×cpm アラ
キドン酸/(cpm アラキドン酸+cpm ホスファチジルコ
リン)で算出した。
【0120】PGE2生成抑制による検定 hPIPは,培養線維肉腫細胞によるPGE2の生成を抑制する
ことができることも証明された。この検定において,AT
CC(ATCC#CCL 148)から得たマウスの線維肉腫細胞の融
合性培養物を,150μl HAMMs F10培地(Gibco)中で検定
すべき様々な濃度の蛋白および25μlリン酸緩衝食塩水
と,37℃において15分間前培養した。2%の胎児牛血清
を含む 100μlのF10培地を添加し,その細胞を,5% C
O2/95%空気で湿らせた培養器を用いて,37℃において
さらに1時間培養した。対照として用いるデキサメタゾ
ン(DEX)を誘導16時間前に,細胞に加えた。培地を取
り,市販の放射免疫検定キット(Seragen, Inc.,Bosto
n, MA)を用いて,PGE2について検定した。
【0121】第18図は,精製された(SDS-PAGEによっ
て) PIPによる,また DEXによるPGE2産生の抑制を示し
ている。ゲルからの18KDバンドを,対照として用いた
(白丸)。黒丸は,Con-A セファロースカラムからの活
性分画を用いた結果である。四角は,40KDバンドからの
蛋白の結果であり,三角形は, DEXを使用した結果であ
る。反応は,活性蛋白および DEXに関しては用量依存で
ある。細胞に 100μg のアラキドン酸を添加(PIPが適
用されるのと同時に添加)することによって, PIPおよ
び DEXの両方による阻害を取り消すことができた。
【0122】In Vivo 検定 PIPの活性を証明するために、3種のin vivoモデルを
用いた。ラット胸膜炎モデル,ラット足浮腫モデルおよ
びアジュバント誘導関節炎である。
【0123】ラット胸膜炎モデルにおいて、3群のラッ
トの胸膜腔に、食塩水中0.5%カラゲーニンの0.1mlを注
入することによって炎症を誘発し、試験物質がこの炎症
を制御する能力を調べた。PIP蛋白の活性検出のため、1
0μgのPIPをカラゲーニンとともに注入した。200μg
のDEXを含むカラゲーニン注入を、陽性の対照として用
いた。5時間後、胸膜腔を開け、1mlの食塩水で洗浄
し、液体容量を記録した。さらに、液体中の蛋白濃度に
ついても、Bradford,et al, Anal Biochem (1976)72:
248-254. の方法によって測定した。抑制活性は、滲出
容量および滲出蛋白の減少によって証明された。第19図
に示されているように、10μgの精製PIPは、この両パ
ラメーターを抑制するという点で200μg DEXと、同じ
効果を示した。
【0124】左のデータは、滲出した蛋白の量(mg/キ
ャビティ)を記録したものである。この量は、50μg D
EX もしくは10μg PIPのどちらかの存在において、実
質的に正常レべルヘと減少する。滲出容量の測定結果
は、右側に示す(ml)。同様に、50μg DEX もしくは1
0μg PIP のどちらかが、滲出液体容量を正常レベルヘ
減少させる。
【0125】ラット後足浮腫モデルにおいて、Sprague-
Dawleyラット(180-200g)の雄群を、エ一テル下で軽く
麻酔し、0.5%重量/容量のカラゲーニン懸濁液 0.1ml
を、右後足の足底組織へ注射することによって後肢浮腫
を誘発した(Van Arnien, C.,eet al, J Pharm Exp The
rap (1965) 150:328-334。
【0126】試験物質の抗炎症活性は、次の3方法のう
ちひとつを用いて試験物質を投与することによって調べ
た。すなわち、静脈内注射、腹腔内注射もしくはカラゲ
ーニンとの共−注射である。特別な場合を除いて、3時
間前に腹腔内へ投与したデキサメタゾンを対照として用
いた。結果は、ゼロ時(試験物質の注射の時間)に開始
する一定圧力のカリパスを用いて、その後1時間毎に後
足の厚さを測定することによって評価した。
【0127】第20図は、実験的注射には、SDS-PAGEより
単離した0−5μgの精製hPIP、対照注射には、2.5μ
gのデキサメタゾンを、共にカラゲーニンと一緒に投与
した場合の足パッドの厚さ(mm×102)の増加の結果を
示したものである。hPIPは、用量に依存して、有意に浮
種を減少させた。対照 DEXも炎症を減少させたが、第20
図に示されているように、時間依存性がPIPとわずかに
異なっている。
【0128】第21図は、試験物質の注射を、炎症誘発前
30分に腹腔内へ行った場合の結果を示したものである。
DEXと同様に、インドメタシンを対照として用いた。こ
のデータは、PIPおよびインドメタシンが、足腫脹を抑
制するという点において同等に効果的であることを示し
ているが、両者共、DEXよりは、わずかに効果が劣って
いる。従って、hPIPは循環の中へ入り、炎症部位に作用
することができることを示している。
【0129】第22図は、投与を、カラゲーニン注射2分
前に大腿静脈への注射として行った場合の結果を示した
ものである。同様に、hPIPは、容量に依存して、IV投与
後3、4もしくは5時間にわたり、炎症を抑制するのに
効果的であった。さらに、25μgのPIPは、3または4
時間後に、200μg DEX の効果と同等になった。この結
果より、PIPの生物学的半減期は、2−3時間であるこ
とがわかった。
【0130】残りのin vivo検定は、アジュバント誘発
関節炎モデルであり、これは、Colpaert, F. C., et a
l, Life Sci (1982)31 67-75の方法に従ったものであ
る。誘発後30日に、動物に、食塩水、精製hPIPもしくは
デキサメタゾンを筋注により投与した。第23図に示され
ているように、hPIPは後足および関節の腫脹(10時間ま
でに最大値に達する)をすばやく減少させることに成功
したが、この腫脹は、28時間後に、対照レベルへもどっ
た。DEXは、3時間後に腫脹の減少をもたらし、28時間
の実験期間の間十分にその効果を維持した。
【0131】E.標準法 細胞の形質転換、ベクター構築、メッセンジャー RNAの
抽出、cDNAライブラリーの調製などに使用される技法の
大部分は当業者に広範に実施されているものであり、ま
たたいていの当業者はその特別な条件と操作が記載され
ている標準的な原材料に精通している。しかし、便宜
上、次の節はガイドラインとなるであろう。
【0132】E.1.宿主と制御配列 原核生物系と真核生物系の両方がPIPコード配列の発現
に使用できる。クローニング操作には原核生物宿主が最
も好都合であることはいうまでもない。原核生物として
はE.coliの種々の菌株で示されることかほとんどである
が、他の微生物の菌株も使用できる。宿主と和合可能な
種由来の制御配列および複製部位を含有するプラスミド
ベクターを使用する。例えば、E.coliは典型的には、Bo
livar, et al, Gene (1977)2:95によるE.coli種由来の
プラスミドであるpBR322の誘導体を用いて形質転換す
る。pBR322はアンピシリンとテトラサイクリン耐性の遺
伝子を含み、従って、所望べクターの構築の際に保持さ
れるかまたは破壊されるかのいずれかが可能な付加的な
マーカーを提供する。通常使用する原核生物の制御配列
は、ここでは転写開始用プロモーター、任意にオペレー
ター、およびリボソーム結合部位配列を含むものと定義
されるが、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)やラク
トース(lac)のプロモーター系(Chang, et al. Natur
e (1997)198:1056), トリプトファン(trp) プロモー
ター系(Goeddel, et al Nucleic Acids Res (1980)8:4
057)およびλ由来のPtプロモータ一のような普通に用
いられるプロモーター、およびN−遺伝子リボソーム結
合部位(Shimatake, et al, Nature (1981)292:128)を
含んでいる。
【0133】細菌の他に、酵母のような真核微生物も宿
主として使用できる。サッカロマイセス セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)の研究室用菌株であるBak
er の酵母が最も繁用されるが、他の多くの菌株も普通
入手可能である。例えばBroach, J. R., Meth Enz (198
3)101:307の2μ複製起点、あるいは酵母と和合可能な
他の複製起点(例えばStinchcomb, et al, Nature (197
9)282:39, Tschempe, et al, Gene(1980)10:157およ
びClarke, L, et al, Meth Enz(1983)101:300を参照せ
よ)を用いたべクターが使用できる。酵母ベクターに対
する対照の配列には解糖系酵素合成用のプロモーター
(Hess, et al, J Adv Enzyme Req(1968)7:149;Hollan
d, et al, Biochemistry (1978)17:4900)が含まれる。
当業者に既知の他のプロモーターとしては、3−ホスホ
グリセレートキナーゼのプロモーター(Hitzeman, et a
l, J Biol Chem(1980)255:2073)および他の解糖系酵素
のプロモーターがある。増殖条件により転写が制御され
るという付加的な利点を有する他のプロモーターは、ア
ルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホ
スファターゼ、窒素代謝に関連した分解用酵素、および
マルトースやガラクトース利用を担う酵素のプロモータ
ー領域である。またターミネーター配列はコード配列の
3'末端にあることが望ましいと考えられる。このよう
なターミネーターは、酵母由来の遺伝子中のコード配列
に続く3'の非翻訳領域に見出される。
【0134】また、ポリペプチドをコードする遺伝子は
もちろん多細胞生物由来の真核宿主細胞培養物で発現さ
せることもできる。例えばAxel等の米国特許第4,399,21
6号を参照せよ。これらの系はさらに、イントロンをス
プライシングでき、よってゲノム断片の発現に直接使用
できるという利点を有する。有用な宿主細胞系にはVERO
やHeLa細胞、そしてチャイニーズハムスター卵巣(CH
O)細胞がある。このような細胞に対する発現ベクター
は通常、哺乳動物細胞に和合可能な制御配列およびプロ
モーター、例えば普通用いられるシミアンウイルス40(S
V40)の初期および後期プロモーター(Fiers, et al, N
ature(1978)273:113)、あるいはポリオーマ、アデノウ
イルス2、ウシ乳頭腫ウイルスまたは鳥肉腫ウイルスに
由来するような他のウイルス性プロモーターのようなも
のを含む。制御可能なプロモーターhMT-II(Karin, M.,
et al, Nature(1982)299:797-802)も使用できる。哺乳
動物細胞宿主系形質転換に関する一般的な面はAxel(前
出)に記載されている。ここでまた、発現を最適化する
には“エンハンサー”領域が重要であると考えられる。
これは一般的には、非コード DNA領域中のプロモーター
領域の上流または下流に見出される配列である。必要に
応じて、複製起点をウイルス源から得る。しかし、染色
体への組み込みが真核生物における DNA複製の共通の機
構である。
【0135】E.2.形質転換 用いる宿主細胞に従って、この細胞に適切な標準技法に
より形質転換を行う。Cohen, S.N., Proc Natl Acad Sc
i (USA)(1972)69:2110に記載のような塩化カルシウム
によるカルシウム処理、あるいはManiatis, T., et al,
Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982) Cold
Spring Harbor Press, p.254に記載のRbCl2 法を、実
質的な組胞壁の障壁を有する原核生物や他の細胞に使用
する。このような細胞壁をもたない哺乳動物細胞につい
ては、Graham and van der Eb, Virology (1978)52:54
6のリン酸カルシウム沈澱法を使用し、これはWigler,
M.,et al, Cell(1979)16:777-785に従い改変してもよ
い。酵母の形質転換はVan Solingen, P., et al, J Bac
t(1977)130:946あるいはHsiao, C.L., et al, ProcNat
l Acad Sci(USA)(1979)76:3829の方法に従って行う。
【0136】E.3.ベクターの構築 所望のコード配列と制御配列とを有する適切なベクター
の構築には、当業者に周知の標準的な連結技術および制
限技術を使用する。単離したプラスミド、DNA配列ある
いは合成オリゴヌクレオチドを切断し、手を入れ、そし
て所望の型に再連結する。
【0137】部位特異的DNA切断は、適当な制限酵素を
当業者に一般的に理解されている条件で用いて処理する
ことにより行うが、この条件の詳細はこれら市販の制限
酵素の製造者により特定されている。例えば、New Engl
and Biolabs の製品カタログを見よ。通常、約1μgの
プラスミドまたはDNA配列を、約20μlの緩衝溶液中の酵
素1単位で切断する。ここでの実施例では、典型的に
は、過剰の制限酵素を使用してDNA基質の分解を完全に
している。約37℃での約1時間から2時間のインキュベ
ート時間で作用可能であるが、変更も許される。各イン
キュベ一ションの後、フェノール/クロロホルム抽出に
より蛋白を除去し、続いてエ一テル抽出を行ってもよ
く、その後エタノール沈澱による水性画分から核酸を回
収する。必要に応じて、切断断片のサイズによる分離
を、標準的な技術を使用したポリアクリルアミドゲルま
たはアガロースゲルの電気泳動により行ってもよい。サ
イズによる分離の一般的な記述はMethods in Enzymolog
y (1980)65:499-560にある。
【0138】制限切断断片は、50mM Tris(pH7.6)、50mM
NaCl、6mM MgCl2、6mM DTTおよび5−l0μM dNTP中
で、20から25℃にて約15から25分のインキュベーション
時間で、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)
存在下、E.coli DNAポリメラーゼIの巨大断片(クレノ
ー)を用いて処理することによりブラン卜末端化する。
クレノー断片は4種のdNTPが存在しても5'の粘着末端
は埋めるが3'の突出している一本鎖は削り取る。必要
に応じて、粘着末端の性質によって決まる制限内でdNTP
を1種のみあるいは選択されたdNTPを供することにより
選択的修復を行うことができる。クレノーでの処理後、
混合液をフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノー
ル沈澱を行う。適当な条件下でのS1ヌクレアーゼまた
はBal-31による処理により、あらゆる一本鎖部分がpo水
分解される。
【0139】合成オリゴヌクレオチドはEfimov, V.A.等
の方法(Nucleic Acids Res (1982)6875-6894により調
製するが、市販の自動オリゴヌクレオチド合成機を用い
て調製できる。アニーリング前のあるいは標識するため
の一本鎖のキナーゼ処理は、過剰の例えば基質1nmolに
対して約10単位のポリヌクレオチドキナーゼを、50mMTr
is(pH7.6)、10mM MgCl2、5mMジチオスレイトール、1
−2mM ATP、1.7pmolγ32P-ATP (2.9mCi/mmol)、0.1mM
スペルミジンおよび0.1mMEDTA存在下で使用することに
より行う。
【0140】連結は15-50μl容量中で、下記の標準条件
および温度で行う:20mM Tris-Cl (pH7.5)、10mM MgC
l2、10mM DTT、33μg/ml BSA、10mM-50mM NaCl、そし
て40μM ATP、0.01-0.02 (Weiss) 単位のT4 DNAリガー
ゼを0℃にて(“粘着末端”連結用)、あるいは1mM A
TP、0.3-0.6 (Weiss) 単位のT4 DNAリガーゼを14℃にて
(“ブラント末端”連結用)を用いる。分子間の“粘着
末端”連結は通常DNA総濃度33-100μg/ml(最終総濃
度5−100nM)で行う。分子間のブラント末端連結(普
通10−30倍モル過剰のリンカーを使用する)は最終総濃
度1μMで行う。
【0141】“ベクター断片”を使用したベクターの構
築においては、一般にベクター断片を細菌アルカリ性ホ
スファターゼ(BAP)あるいはウシ腸アルカリ性ホスフ
ァターゼ(CIP)で処理することにより、5'のホスフェ
ートを除去してベクターの再連結を防ぐ。分解は約150m
M のTris中pH8にて、Na+およびMg2+存在下、ベクター
1μgあたり約1単位のBAPあるいはCIPを用いて、60℃
にて約1時間で行う。核酸断片を回収するため、この調
製液をフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈
澱する。あるいは、再連結は、さらなる制限酵素分解で
望ましくない断片を二重分解してあるベクターを使用す
ることにより防げる。
【0142】cDNAあるいはゲノムDNA由来のベクター部
分で配列の修飾を必要とする部分については、部位特異
的プライマーによる突然変異形成を使用する。これは限
られたミスマッチ以外の突然変異形成予定の一本鎖ファ
ージDNAに相補的なプライマー合成オリゴヌクレオチド
を用いて行われ、これにより所望の突然変異が生じる。
簡単に言えば、合成オリゴヌクレオチドをプライマーと
して用いてファージの相補鎖を直接合成し、得られた二
本鎖DNAを用いてファージ支持用の宿主細菌を形質転換
する。形質転換した細菌の培養物を上層寒天にまき、フ
ァージを保持する単細胞のプラーク形成を可能にする。
【0143】理論的には、新しいプラークの50%が一本
鎖として変異型を有するファージを含み、50%はもとの
配列を有するであろう。得られたプラークをキナーゼ処
理した合成プライマーとハイブリダイズさせる。このと
きの温度は正確なマッチのハイブリダイゼーションを可
能にするものとするが、この温度ではもとの鎖とのミス
マッチはハイブリダイゼーションを防ぐに充分なもので
ある。次にプローブとハイブリダイズするプラークを拾
い、培養し、DNAを回収する。
【0144】E.4.構築の確認 以下に述べる構築では、プラスミド構築のための正確な
連結は、まずM. Casabadan博士から入手した E.coli株
MC 1061 (Casabadan, M. et al, J Mol Biol(1980) 13
8: 179-207)あるいは他の適当な宿主を連結混合液で形
質転換することにより確証される。成功した形質転換体
をアンピシリン、テトラサイクリンまたは他の抗生物質
の耐性により、あるいは当業者に理解されているように
プラスミド構築の様式に従い他のマーカーを用いて、選
択する。次に形質転換体のプラスミドをClewell, D.B.,
et al, Proc Natl Acad Sci (USA) (1969) 62:1159の
方法に従って、続いて任意にクロラムフェニコール増幅
(Clewell, D.B., et al,J Bacteriol (1972) 110: 66
7)を行って調製する。単離したDNAを制限処理およ
び/もしくはSanger.F.,et al, Proc Natl Acad Sci (U
SA) (1977) 74: 5463のジデオキシ法をさらにMessing,
et al, Nucleic Acids Res (1981) 9: 309により述べら
れているように用い、または、Maxam, et al, Methods
in Enzymology (1980) 65: 499 の方法による配列決定
により分析する。
【0145】E.5.cDNAまたはゲノムライブラリ
ーの製作 ヒトゲノムライブラリーを当業者に既知のようにλファ
ージで構築する。例えば、Maniatis, T., et al, Cell
(1978) 15: 687-701を参照。cDNAライブラリーは上
述のようにλgt11ファージ内で調製でき、あるいは標
準技法により単離したmRNAから合成した二本鎖cD
NAを調製し.仔ウシ胸腺ターミナルトランスフェラー
ゼが媒介するホモポリマー性テーリング(Sutcliffe, J.
G., Nucleic Acid Res (1978) 5: 2721-2732)によりp
BR322のようなプラスミドベクターヘ挿入すること
ができる。第1鎖cDNAを鳥骨髄芽球症ウイルスのR
NA依存性DNAポリメラーゼを用いて、5μgmRN
A上オリゴ(dT)12ー18によりプライム合成す
る。次に100℃にて5分間変性させ、続いて氷上で冷
却することにより、RNA鋳型を初期DNA鎖から離
す。第2鎖DNAは、E.coliのDNAポリメラーゼIの
巨大断片を用いて、第1鎖分子の3’−末端での自己プ
ライミングにより合成し、これにより二本鎖ヘアピンD
NAが形成される。これら分子の開放終結末端をブラン
ト末端化し、またへアピンループをアスペルギラス オ
リザエ(Aspergillus oryzae)のS1ヌクレアーゼで切
り開く。二本鎖cDNAのS1ヌクレアーゼ分解は、30
0mM NaCl、30mM Na0Ac、pH4.5、3mMZnCl2中で、600
単位の酵素により、37℃、30分間で行う。cDNA
をフェノール:クロロホルムで抽出し、酢酸アンモニウ
ム存在下てエタノール沈澱を3回行って小さなオリゴヌ
クレオチドを除去する。これは次のようにして行う:1/
2容量の7.5M 酢酸アンモニウムおよび2容量のエタノー
ルを、cDNA溶液に加え、これを-70℃で沈澱させ
る。ブラント末端化した二本鎖cDNAを次に、ゲル濾
過によりカラム(0.3×14cm)セファロース4B(ファ
ルマシア ファインケミカルズ,ビスカタウェイ, NJ)
を通してサイズにより分画するか、あるいは5−20%
グリセロール勾配中て超遠心分離して勾配を分画する。
所望の長さ例えば300塩基対よりざっと大きいcDN
Aを保有し、70%エタノール沈澱により回収する。デ
オキシシトシンの短い(10一30ヌクレオチド)ポリ
マー性テールをcDNAの3’末端につける。このとき
の反応は0.2Mカコジル酸カリウム、25mM Tris(pH6.9)、
2mMジチオスレイトール、0.5mM CoCl2、200mM cDTP、40
0μg/ml BSAおよび40単位の仔ウシ胸腺ターミナル
デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを含む中で2
2℃にて5分間行う。反応液をフェノール:クロロホル
ムで抽出し、酢酸アンモニウム存在下でエタノール沈澱
を3回行って小さなオリゴヌクレオチドを除去する。
【0146】テールのついたcDNAをpBR322の
ような宿主ベクターとアニーリングさせるが、このベク
ターは前もって例えばPstIで切断しオリゴdGのテ
ールをつけておく。1つの実施可能な実施態様では、2.
5μgのpBPR322ーdGDNAをベクター濃度5μ
g/mlでcDNAとアニーリングさせ、そしてこのハイブ
リッドを Casabadan, M., et al, Mol Biol (1980) 13
8: 179-207 に記載のCaCl2処理によりE.coli MC 1061へ
移す。
【0147】E.6. cDNAまたはゲノムライブラリ
ーのプロービング cDNAまたはゲノムライブラリーを、必要に応じてコ
ロニーまたはプラークのハイブリダイゼーション操作を
用いて、選別する。コロニーあるいはプラークを二重の
ニトロセルロースフィルター紙(S&SタイプBA‐8
5)上にレプリカし、コロニーを15μg/mlテトラサイ
クリンを含むL寒天上で37℃にて14−16時間増殖
させる。コロニーを10%SDSで溶解し、500mM NaOH
/1.5M NaCl、次に0.5M Tris HCl(pH8.0)/1.5M NaCl続い
て2×標準クエン酸生理食塩水(SSC)で5分間連続
処理することにより、DNAをフィルター上に固定す
る。フィルタ一を風乾し、80℃にて2時間焼く。
【0148】ニックトランスレーションしたプローブに
ついては、二重フィルターを1フィルターあたり10m
lのDNAハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホル
ムアミド(厳重性を低下させる場合は40%ホルムアミ
ド)、5×SSC、pH7.0、5×デンハート溶液
(ポリビニルピロリドンにフィコールおよびウシ血清ア
ルブミンを加えたもの;1x=各0.02%)、50m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、0.2%S
DS、50μg/ml酵母tRNA、および50μg/mlの変
性、剪断済サケ精子DNA)で、42℃にて16−18
時間プレハイブリダイズさせる。
【0149】試料をこの同じDNAハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液5ml中に含まれるニックトランスレーション
したDNAプローブと、同種起源の場合は42℃にて1
2一36時間、異種起源の場合は37℃にてハイブリダ
イズさせる。同種のハイブリダイゼーションの場合はフ
ィルターを0.2×SSC、0.1%SDS中で各回5
0℃にて30分間、2回洗浄し、異種のハイブリダイゼ
ーションの場合はフィルターを3×SSC、0.1%S
DS中で50℃にて洗浄する。フィルターを風乾し、−
70℃にて1−3日間オートラジオグラフィーにかけ
る。
【0150】合成(15−30マー)オリゴヌクレオチ
ドプローブについては、二重フィルターを1フィルター
あたり10mlのオリゴハイブリダイゼーション緩衝液
(6×SSC、0.1%SDS、1mM EDTA、5
×デンハート溶液。0.05%リン酸ナトリウムおよび
50μg/mlの変性、剪断済サケ精子DNA)で、42℃
にて2−8時間プレハイブリダイズさせる。
【0151】試料をキナーゼ処理した15−30ヌクレ
オチドのオリゴヌクレオチドプローブと、オリゴヌクレ
オチドの組成に応じた条件下でハイブリダイズさせる。
典型的な条件としては、30−42℃の温度、24−3
6時間、プローブを含有するこの同じオリゴハイブリダ
イゼーション緩衝液5ml/フィルターを使用する。フィ
ルターを、各回6×SSC、0.1%SDSおよび50
mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で、23℃にて
15分間、2回洗浄し、次いで6×SSCおよび0.1
%SDSで算定したハィブリダイゼーション温度にて2
分間洗浄し、風乾し、−70℃にて2−3日間オートラ
ジオグラフィーにかける。
【0152】所望蛋白のアミノ酸配列あるいはそれをコ
ードするmRNA中のヌクレオチド配列がわかっている
場合は、本発明の宿主べクターヘの挿人用のDNAは合
成手段にするか,あるいはこのような配列を含むべクタ
ーが寄託されているか入手可能であれば、このようなベ
クターをクローニングすることにより、得ることができ
る。コード配列の合成では、センスとアンチセンスとが
交互に重なり合っている一本鎖オリゴヌクレオチドを調
製し、センスとアンチセンスとが交互になっている一本
鎖部分をDNAポリメラーゼとdNTPで処理して酵素
的に埋める。オリゴマーをEfimov, V.A. 等の方法(Nuc
leic Acids Res (1982) 6875-6894)により調製する
が、これは市販の自動オリゴヌクレオチド合成機を使用
して調製できる。アニーリング前のあるいは標識するた
めの一本鎖のキナーゼ処理は、過剰の例えば基質1mmol
に対し約10単位のポリヌクレオチドキナーゼを用い
て、50mM Tris (pH7.6), 10mM MgCl2, 5mM ジチオスレ
イトール, 1-2mM ATP, 1.7pmolγ3 2P-ATP(2.9 mCi/mmo
l), 0.1mM スペルミジンおよび0.1mM EDTA 存在下で行
う。 E.7. 宿主例 ここでクローニングおよび発現に使用する宿主株は以下
の通りである:クローニングおよび配列決定用に、また
たいていの細菌プロモーターの制御下での構築物の発現
用には、E.coli株MC1061を使用した。
【0153】哺乳動物発現のために使用する細胞はチャ
イニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0154】
【発明の効果】本発明により、hPIPの組換え発現システ
ムのためのベクターが提供される。このベクターは、宿
主細胞と和合可能な制御配列に動作可能に連結されたhP
IPをコードするDNA配列を含有するので、hPIPが効率
よく生産される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,反応計画のアラキドネートカスケード
ならびにエイコサノイド生成物を示す。
【図2】図2は,ここで用いた精製方法の概要を示す。
【図3】図3は,腹膜透析物の40%−60%飽和硫酸アン
モニウム分画を,Affi−ゲルブルー,コンカナバリA−
セファロースならびにDEAEセルロースクロマトグラフィ
ーにかけた場合に得られた溶出パターンを示す。
【図4】図4は,腹膜透析液の未精製ならびに精製され
た分画に対するSDS-PAGEの結果を示す。
【図5】図5は,精製計画の様々な段階における相対的
な PIP活性を示す。
【図6】図6は,コンカナバリンA−セファロースカラ
ムからの活性含有分画に対して実施された分析−反対層
高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)の結果を示
す。
【図7】図7は,精製段階において,種々の分画におけ
るhPIPを検出するために,精製hPIPに対する多クローン
性抗血清の能力を示す。
【図8】図8は,抗−40kd抗体によって, PA2へ結合し
たhPIPの検出について示す。
【図9】図9は,hPIPを生成する細胞に対するWestern
Blotの結果を示す。
【図10】図10は, pU200へ挿入するためのヌクレオ
チドならびに推定アミノ酸配列を示す。
【図11】図11は, pU500へ挿入するためのヌクレオ
チドならびに推定アミノ酸配列を示す。
【図12】図12は,p600へ挿入するためのヌクレオチ
ドならびに推定アミノ酸配列を示す。
【図13】図13は,hPIPに関する完全なコード配列を
有するpLE-1 へ挿入するためのヌクレオチドならびに推
定アミノ酸配列を示す。
【図14】図14は,種々のクローン hPIP cDNAとゲノ
ム部分との関係を示す。
【図15】図15は,hPIP−変換 CHO細胞における PA2
活性の抑制を示す。
【図16】図16は,組換え型hPIPによる PA2抑制を示
す。
【図17】図17は,hPIPならびにホスホリパーゼに関
する比較アミノ酸配列を示す。
【図18】図18は,PGE2放出を測定するin vitro 検
定における40kd蛋白の活性を示す。
【図19】図19は,hPIP活性に関するin vivoにおけ
るラット胸膜炎抑制検定の結果を示す。
【図20】図20は,in vivoにおける足−浮腫検定に
おいて,カラゲニンと同時に注射したhPIPの活性を示
す。
【図21】図21は, 100μg の精製hPIP,1mgのイン
ドメタシンならびに 200μg のデキサメサゾンを腹膜腔
内へ投与した場合,後足の浮腫を抑制する相対的な能力
を示す。
【図22】図22は,ラットの大腿静脈から投与された
場合,種々の用量の精製hPIPが後足浮腫を抑制する相対
的な能力について示す。
【図23】図23は,ラットに対して筋肉内投与された
場合,補助薬誘発関節炎を伴う関節腫脹を抑制する精製
hPIPおよびデキサメサゾン( 200μg )の相対的能力を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (73)特許権者 595085332 2450 Bayshore Parkwa y Mountain View,Ca lifornia 94043 Unite d States of Americ a (72)発明者 ジョン ピー. ロンジェネッカー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94087 サニーヴェイル,シドニー ド ライブ 1363

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトホスホリパーゼ阻害蛋白質(hPIP)の
    組換え発現システムのためのベクターであって、該ベク
    ターは、組換え宿主細胞と和合可能な制御配列に動作可
    能に連結されたhPIPをコードするDNA配列を含有し、
    該hPIPをコードするDNA配列は、以下に示す配列のア
    ミノ酸配列と同一の一次アミノ酸配列を有するタンパク
    質あるいは該アミノ酸配列中のアミノ酸の付加、欠失、
    または置換を含む改変体をコードする配列を有し、該改
    変体がhPIP活性を保持している、ベクター: 【化1】
  2. 【請求項2】前記hPIPをコードするDNA配列が、以下
    のアミノ酸配列を含有する、請求項1に記載のベクタ
    ー。 【化2】
  3. 【請求項3】活性なホスホリパーゼ阻害蛋白質(PIP)
    断片の組換え発現システムのためのベクターであって、
    該ベクターは、組換え宿主細胞と和合可能な制御配列に
    動作可能に連結された活性PIP断片をコードするDNA
    配列を含有し、該活性PIP断片のアミノ酸配列は、以下
    に示す配列のヌクレオチド490−852にコードされ
    る活性PIP断片のアミノ酸配列あるいは該アミノ酸配列
    中のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含む改変体の
    アミノ酸配列と同一であり、該改変体がPIP活性を保持
    している、ベクター 【化3】
  4. 【請求項4】hPIPをコードするDNA配列であって、以
    下に示す配列のアミノ酸配列と同一の一次アミノ酸配列
    を有するタンパク質あるいは該アミノ酸配列中のアミノ
    酸の付加、欠失、または置換を含む改変体をコードする
    配列を有し、該改変体がhPIP活性を保持している、DN
    A配列: 【化4】
  5. 【請求項5】活性PIP断片をコードするDNA配列であ
    って、以下に示す配列のヌクレオチド490−852に
    コードされる活性PIP断片のアミノ酸配列あるいは該ア
    ミノ酸配列中のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含
    む改変体をコードする配列を有し、該改変体がPIP活性
    を保持している、DNA配列: 【化5】
JP7146639A 1985-04-15 1995-06-13 ホスホリパーゼ阻害蛋白の発現ベクター Expired - Lifetime JP2637709B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US72304685A 1985-04-15 1985-04-15
US723046 1985-04-15

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61502398A Division JP2757987B2 (ja) 1985-04-15 1986-04-14 ヒト抗‐炎症ホスホリパーゼ阻害蛋白

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08187087A JPH08187087A (ja) 1996-07-23
JP2637709B2 true JP2637709B2 (ja) 1997-08-06

Family

ID=24904592

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61502398A Expired - Lifetime JP2757987B2 (ja) 1985-04-15 1986-04-14 ヒト抗‐炎症ホスホリパーゼ阻害蛋白
JP7146639A Expired - Lifetime JP2637709B2 (ja) 1985-04-15 1995-06-13 ホスホリパーゼ阻害蛋白の発現ベクター

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61502398A Expired - Lifetime JP2757987B2 (ja) 1985-04-15 1986-04-14 ヒト抗‐炎症ホスホリパーゼ阻害蛋白

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP0218696A4 (ja)
JP (2) JP2757987B2 (ja)
AU (1) AU5770786A (ja)
CA (1) CA1290267C (ja)
ES (1) ES8800691A1 (ja)
WO (1) WO1986006100A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4879224A (en) * 1985-01-10 1989-11-07 Biogen, Inc. DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing human phospholipase inhibitor polypeptides
US4874743A (en) * 1985-01-10 1989-10-17 Biogen, Inc. DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing human phospholipase inhibitor-like polypeptides
US5081019A (en) * 1985-01-10 1992-01-14 Biogen, Inc. DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing lipocortin-like polypeptides
US4950646A (en) * 1985-01-10 1990-08-21 Biogen, Inc. DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing human lipocortin-like polypeptides
DE3689977T2 (de) * 1985-01-10 1994-10-27 Biogen Inc Dns-sequenzen, rekombinante dns-moleküle und verfahren zur herstellung menschlicher lipocortinähnlicher polypeptide.
JPS6256429A (ja) * 1985-09-04 1987-03-12 Teijin Ltd フオスフオリパ−ゼa↓2阻害活性を有する蛋白
PT87083B (pt) * 1987-03-28 1992-07-31 Boehringer Ingelheim Int Processo para a preparacao de uma proteina anticoagulante vascular, de adn que codifica para esta proteina e de composicoes farmaceuticas que a contem
JPH06799B2 (ja) * 1987-04-02 1994-01-05 帝人株式会社 起炎性フオスフオリパ−ゼa▲下2▼阻害活性を有する蛋白
ATE124087T1 (de) * 1988-02-26 1995-07-15 Biogen Inc Dna-sequenzen, rekombinante dna-moleküle und verfahren zur herstellung von lipocortin iii, iv, v, und vi.
US5519120A (en) * 1989-04-07 1996-05-21 Cancerforskningsfondet Af 1989 Urokinase-type plasminogen activator receptor antibodies
WO1990012091A1 (en) * 1989-04-07 1990-10-18 Cancerforskningsfondet Af 1989 Urokinase-type plasminogen activator receptor
US5891664A (en) * 1989-04-07 1999-04-06 Cancerforskningsfondet Af 1989 Vectors and methods for recombinant production of uPA-binding fragments of the human urokinase-type plasminogen receptor (uPAR)
WO1991001999A1 (en) * 1989-08-03 1991-02-21 Teijin Limited Phospholipase a2 inhibiting protein originating in inflamed region, production thereof, and gene therefor
US5344764A (en) * 1989-08-03 1994-09-06 Teijin Limited Protein inhibitors of phospholipase A2 purified from inflammatory sites and production process
DE69029269T2 (de) * 1989-08-29 1997-05-28 Univ California Neue inhibitoren für hydrolytische enzyme und substrate und bestimmungsverfahren, selbige einschliessende verfahren und testsätze
US6248715B1 (en) 1993-06-01 2001-06-19 Chiron Corporation Method of treating a urokinase-type plasminogen activator-mediated disorder
EP0802983B1 (en) 1993-06-01 2003-05-02 Chiron Corporation Expression of urokinase plasminogen activator inhibitors
US6462170B1 (en) * 1997-03-20 2002-10-08 Fondazione Centro San Raffaele Del Monte Tabor UPAR mimicking peptide

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3689977T2 (de) * 1985-01-10 1994-10-27 Biogen Inc Dns-sequenzen, rekombinante dns-moleküle und verfahren zur herstellung menschlicher lipocortinähnlicher polypeptide.
JPS6256429A (ja) * 1985-09-04 1987-03-12 Teijin Ltd フオスフオリパ−ゼa↓2阻害活性を有する蛋白

Also Published As

Publication number Publication date
EP0218696A4 (en) 1989-08-16
CA1290267C (en) 1991-10-08
ES8800691A1 (es) 1987-11-16
AU5770786A (en) 1986-11-05
WO1986006100A1 (en) 1986-10-23
EP0218696A1 (en) 1987-04-22
JP2757987B2 (ja) 1998-05-25
JPH08187087A (ja) 1996-07-23
JPS63500561A (ja) 1988-03-03
ES553961A0 (es) 1987-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2637709B2 (ja) ホスホリパーゼ阻害蛋白の発現ベクター
JP2761513B2 (ja) 組換え繊維芽細胞成長因子
US4966849A (en) CDNA and genes for human angiogenin (angiogenesis factor) and methods of expression
AU625492B2 (en) Recombinant purified protease nexin
JP2869920B2 (ja) 組織因子タンパク質を製造するためのデオキシリボ核酸
US5019508A (en) Synovial phospholipases
JPH03504916A (ja) 組換え繊維芽細胞成長因子
JP2989853B2 (ja) ポリペプチド、その製造方法、dna塩基配列及び形質転換細胞宿主
JPH0686687A (ja) ヒトアンギオゲニン(脈管形成因子)のためのcDNA及び遺伝子及び発現方法
AU3433189A (en) Mutant human angiogenin (angiogenesis factor with superior angiogenin activity) genes therefor and methods of expression
JPH0242985A (ja) オンコスタチン‐a又はその部分をコードするdna
US5264550A (en) Human anti-inflammatory phospholipase inhibitor protein
EP0290516A1 (en) Pulmonary hydrophobic surfactant-associated proteins
JPH09327296A (ja) 第XIIIa因子及びその製造方法
JPH0866194A (ja) ヒト腫瘍壊死因子ミューテインをコードする遺伝子
JP2533869B2 (ja) Husi―i型インヒビタ―の生物学的活性を有するタンパク質をコ―ドするdna配列、前記dna配列を含む組換え体クロ―ニングベクタ―及び前記ベクタ―により形質転換された細菌
JPS6339585A (ja) 遺伝子操作による因子XIIIaの製造
JPH0787789B2 (ja) リポコルチンをコードするdna分子および形質転換宿主
JP3054092B2 (ja) 滑膜ホスホリパーゼ抗体
JP2718827B2 (ja) 分泌Mac−2結合糖タンパク質
US5286487A (en) Covalent angiogenin/RNase hybrids
US5270204A (en) Covalent angiogenin/RNase hybrids
US4950646A (en) DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing human lipocortin-like polypeptides
US5081019A (en) DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing lipocortin-like polypeptides
JPH03164179A (ja) Tnfレセプター、tnf結合たん白質およびこれらをコードするdna

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19970227

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term