JP2630957B2 - 耐γ線性塩化ビニル系樹脂材料 - Google Patents

耐γ線性塩化ビニル系樹脂材料

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JP2630957B2
JP2630957B2 JP62253051A JP25305187A JP2630957B2 JP 2630957 B2 JP2630957 B2 JP 2630957B2 JP 62253051 A JP62253051 A JP 62253051A JP 25305187 A JP25305187 A JP 25305187A JP 2630957 B2 JP2630957 B2 JP 2630957B2
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千秋 吉田
武史 清水
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は耐γ線性塩化ビニル系樹脂材料に関し、特に
γ線照射に対して変色しにくく、透明性も良好な改質塩
化ビニル系樹脂材料に関するものである。
「従来技術と問題点」 従来、医療用具等の滅菌方法として、エチレンオキサ
イドガスによる滅菌や、γ線照射による滅菌が行われて
いる。しかし乍ら、エチレンオキサイドガスによる滅菌
の場合、ガスの残留の問題や作業性が悪い等の欠点があ
る。またγ線滅菌の場合は、塩化ビニル樹脂製品を変色
させるという欠点がある。このため変色の少ないポリエ
チレン、ポリプロピレン等を医療用材料として使用する
場合もあるが、塩化ビニル樹脂のような柔軟性や透明性
が得られないという問題を残している。かくして、γ線
による変色の少ない塩化ビニル系樹脂材料が求められて
いる。
塩化ビニル樹脂の耐γ線性を改良する方法としては、
各種安定剤を添加する方法(特公昭57−3653、62−1053
5等)や、塩化ビニル樹脂とジチオカルバミン酸塩の高
分子反応生成物(特開昭50−63092)、塩化ビニルと との共重合体(特開昭55−34282、55−34283)等の方法
が提案されているが、安定剤添加では十分な耐γ線性の
改良は期待できず、また溶出等の問題もある。上記高分
子反応生成物や と塩化ビニルの共重合体は、工業的な生産が難しいとい
う問題がある。
「問題点を解決するための手段」 本発明者らはかかる実情に鑑み、上記の欠点を改良す
べく研究を重ねた結果、メタクリル酸エステル単量体を
塩化ビニル樹脂にあらかじめ含浸した後重合させた改質
塩化ビニル樹脂を含有する材料が耐γ線性が良好で、且
つ透明性も優れていることを見出し、本発明を完成し
た。
即ち、本発明はメタクリル酸エステル単量体、または
メタクリル酸エステル単量体を50重量%以上含む、メタ
クリル酸エステル単量体と共重合可能な単量体との混合
物を、塩化ビニル樹脂100重量部に対して2〜10重量部
含浸して重合させた改質塩化ビニル樹脂100重量部、可
塑剤5〜80重量部および安定剤2〜15重量部からなるγ
線照射滅菌用材料を内容とするものである。
本発明に用いられるメタクリル酸エステル単量体とし
ては、メチルメタクリレート(以下、MMAと略記)エチ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート等があげられ
るが、透明性の点ではMMAが良い。メタクリル酸エステ
ル単量体に、アクリル酸エステル単量体、ビニル芳香族
単量体等の、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能
な単量体を添加する事も可能であるが、メタクリル酸エ
ステル単量体の割合は、耐γ線性及び透明性の点から全
単量体の50重量%以上である。
本発明に用いられる塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単
独重合体からなる。
メタクリル酸エステル単量体またはメタクリル酸エス
テル単量体を50重量%以上含む単量体混合物の使用量
は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して2〜10重量部が
好ましい。2重量部未満では耐γ線性の改良効果が小さ
く、10重量部を越えると柔軟性が失われる。メタクリル
酸エステル単量体またはこれを含む単量体混合物に架橋
性単量体を添加すると、塩化ビニル樹脂とメタクリル酸
エステル系重合体との相溶性が増すので望ましい。架橋
性単量体としては、ビスフェノールA変性ジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ジメタクリル酸ブチ
レングリコール、ジアリルフタレート等があげられる
が、特に限定されない。架橋性単量体の使用量は全単量
体の0.1〜5重量%が望ましい。0.1重量%未満では架橋
効果が少ない上に、強度が十分でなく、5重量%を超え
るとゲル化しにくい粒子が出来る。
本発明において使用される可塑剤としては、ジオクチ
ルフタレート(DOP)、ジオクチルアジペート(DOA)等
があげられるが、特に限定されない。可塑剤の使用量
は、改質塩化ビニル樹脂100重量部に対して5〜80重量
部である。安定剤としてはエポキシ化大豆油やステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等が
あげられるが、その他、抗酸化剤、滑剤、紫外線吸収剤
等を添加しても良く、特に限定されない。安定剤の使用
量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜1
5重量部である。2重量部未満では熱安定性が悪く、15
重量部を超えると、安定剤の溶出やコストアップ等の問
題が生じる。
本発明に使用する改質塩化ビニル樹脂の製造方法とし
ては、塩化ビニル樹脂にメタクリル酸エステル単量体ま
たはメタクリル酸エステルを含む単量体混合物と重合開
始剤をあらかじめ均一に含浸せしめてから重合させるこ
とが必要で、スラリー状の塩化ビニル樹脂または乾燥し
た塩化ビニル樹脂に上記単量体または単量体混合物を重
合開始剤を15分以上、工業的には15分〜1時間含浸せし
めてから重合させる方法が望ましい。
重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパ
ーオキシジカーボネート等の過酸化物系開始剤や、2,
2′−アソビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤及びレ
ドックス系開始剤等があげられる。また、重合時に抗酸
化剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤等を添加しても良い。
「実施例」 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜2 懸濁重合法で得られた重合体1300の塩化ビニル樹脂20
00gに、第1表に示すメタクリル酸エステル単量体又は
これを含む単量体混合物と、重合開始剤としてジオクチ
ルパーオキシジカーボネートを全単量体に対して0.2重
量部、ベンゾイルパーオキサイドを全単量体に対して0.
2重量部添加したものを30分含浸させた後、撹拌機つき
の10オートクレーブでイオン交換水5000gとともに60
℃で5時間重合させ、更に100℃で3時間熱処理して残
存単量体を重合させた。
得られた改質塩化ビニル樹脂100重量部に対し、DOP55
重量部、エポキシ化大豆油(アデカアーガス化学製)5
重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部、ステアリン酸カ
ルシウム0.2重量部、ステアリン酸0.1重量部を添加して
ブレンドし組成物を得た。この組成物を150℃でロール
加工し、厚さ2mmで10cm×10cmのシートをプレス成形に
より作製し、2.5Mradのγ線を照射して色差計(日本電
色工業(株)製Σ80 Color Measuring System)のb値
のγ線照射前後の変化により着色性を評価した。
比較例3 実施例1〜6及び比較例1〜2で用いた塩化ビニル樹
脂を用いて同様にして組成物を得、サンプルシートを作
製し、着色性及び透明性を評価した。
実施例7、8 実施例6において、ジメタクリル酸ブチレングリコー
ルの代わりに、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、ビスフェノールA変性ジアクリレートを用いた他は
同様の操作を行った。これらの場合も、同様の結果が得
られた。
第1表から明らかなように、本発明による改質塩化ビ
ニル樹脂を用いたγ線照射滅菌用材料は、γ線照射後の
着色は殆どなく、且つ透明性は塩化ビニル樹脂と同等か
それ以上である。
「作用・効果」 本発明の組成物により耐γ線性が改良される理由は明
確でないが、メタクリル酸エステル単量体又はこれを含
む単量体混合物を塩化ビニル樹脂に均一に分散せしめて
から重合すると、塩化ビニル樹脂内への酸素の透過性が
高くなり、γ線照射により生じたポリエンラジカルがパ
ーオキサイドとなって安定化されるためと考えられる。
叙上の通り、本発明による改質塩化ビニル樹脂を用い
たγ線照射滅菌用材料はγ線照射に対して安定で、透明
性も良いという特徴を有する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタクリル酸エステル単量体、またはメタ
    クリル酸エステル単量体を50重量%以上含む、メタクリ
    ル酸エステル単量体と共重合可能な単量体との混合物
    を、塩化ビニル単独重合体からなる塩化ビニル樹脂100
    重量部に対して2〜10重量部含浸して重合させた改質塩
    化ビニル樹脂100重量部、可塑剤5〜80重量部および安
    定剤2〜15重量部からなるγ線照射滅菌用材料。
  2. 【請求項2】メタクリル酸エステルとして、メチルメタ
    クリレートを用いる特許請求の範囲第1項記載のγ線照
    射滅菌用材料。
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