JP2625467B2 - 新規メチン化合物 - Google Patents

新規メチン化合物

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JP2625467B2 JP63026527A JP2652788A JP2625467B2 JP 2625467 B2 JP2625467 B2 JP 2625467B2 JP 63026527 A JP63026527 A JP 63026527A JP 2652788 A JP2652788 A JP 2652788A JP 2625467 B2 JP2625467 B2 JP 2625467B2
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道弘 辻本
摩利男 青木
真 浅野
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三井東圧化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は情報記録材料として知られる感圧記録材料も
しくは感熱記録材料に関する。さらに詳しくは単独で極
めて黒色に近い色を示す色素前駆体として有用なメチン
系化合物に関する。
〔従来の技術とその問題点〕
従来、感圧もしくは感熱記録材として、この分野で種
々の方式が提案されている。たとえば、ジアゾカップラ
ー及びジアゾニウム化合物を支持体上に塗工し、加熱に
よりカップリング発色を行うジアゾ感熱記録材等であ
る。しかしながら、感圧もしくは感熱記録材として現在
最も多く使用されている方式は、ロイコ染料と通称され
る電子供与性の無色ないし淡色の色素前駆体と、顕色剤
と通称される電子受容性化合物との間の一種の酸塩基反
応に基づく発色を利用したNCR方式である。
この方式による、例えば感圧記録紙は、ロイコ染料を
不揮発性の油に溶解しこの溶液をマイクロカプセルに封
入し、該カプセルを紙に塗工した上用紙と、該ロイコ染
料の顕色剤を適当な結合剤及び顔料と共に紙上に塗工し
た下用紙よりなる。
上用紙と下用紙の塗工面を対向し加圧する時、上用紙
のマイクロカプセルが破壊され内容が流出し、下用紙の
顕色剤と接触しここにロイコ染料と顕色剤との反応によ
り発色し像を生じる。
NCR方式は取扱簡便で素材の保存性も良好であるため
一般に広く使用されている方式ではあるが、発色反応は
一種の酸塩基反応に基づく造塩呈色であるから発色像の
安定性に重大な欠点を有する。すなわち、発色像は単な
る保存により退色する傾向がある。また体脂、動植物油
脂あるいは可塑剤のごとき極性油と接触すると系の平衡
が極性油に移り脱色を起こす。また、感熱記録材のよう
な発色剤と顕色剤とが同一層中に存在する記録材では、
アセトンやアルコールのような揮発性溶剤と接触すると
他の全面発色が起こり像が読めなくなる。このような現
象は表面に耐油性のコーティングを施す事によりある程
度防止されうるが完全ではなく、何れは時間と共に、あ
るいは切断面からの油の浸透により像が影響を受ける。
この欠点は油脂と接触する可能性の高い分野にNCR方式
を適用する場合最も問題となるものである。
本発明者等は既に従来の発色方式によらない新規な発
色方式を開発した(特開昭57−107882号)。この方式
は、メチン系化合物と酸化性有機化合物を用いた酸化還
元系発色を利用したものであり、発色像の安定性は酸塩
基系発色の像に比べ格段にすぐれた油脂類や可塑剤によ
る脱色をも示さないものである。
しかしながら、これまでのメチン系化合物では他の色
素との配合で黒色とするのに有利な赤味暗色を呈する化
合物あるいは単独で黒色に近い発色を呈する化合物を見
出す事が困難であった。
〔問題点を解決するための手段〕
発明者等は、単独で極めて黒色に近い色を呈する化合
物を求めて鋭意探索の結果、 一般式(I) (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2およびR3は水素
原子、低級アルキル基もしくはベンジル基を示し、他に
分子内に置換基として、塩素原子、低級アルキル基、低
級アルコキシ基もしくはシクロヘキシル基を有してもよ
く、R2とR3は同時に水素原子ではない。)で表される新
規メチン化合物がこのような性質を有している事を知
り、検討の結果本発明を完成した。
本発明の一般式(I)の化合物の例としては次の如き
ものがあげられる。
4−メトキシ−4′−アミノ−4″−ジメチルアミノ
トリフェニルメタン、4−メトキシ−4′−アミノ−
4″−ジエチルアミノトリフェニルメタン、4−メトキ
シ−4′−アミノ−3″−メチル4″−メチルアミノト
リフェニルメタン、4−メトキシ−4′−アミノ−3″
−メチル−4″−エチルアミノトリフェニルメタン、3
−メチル−4−メトキシ−4′−アミノ−4″−ジメチ
ルアミノトリフェニルメタン、3−メチル−4−エトキ
シ−4′−アミノ−4″−ジエチルアミノトリフェニル
メタン、3−t・ブチル−4−メトキシ−4′−アミノ
−4″−ジメチルアミノトリフェニルメタン、3−シク
ロヘキシル−4−メトキシ−4′−アミノ−4″−ジメ
チルアミノトリフェニルメタン、3,3″−ジメチル−4
−メトキシ−4′−アミノ−4″−メチルアミノトリフ
ェニルメタン、3,3″−ジメチル−4−エトキシ−4′
−アミノ−4″−メチルアミノトリフェニルメタン、3,
5,3″−トリメチル−4−メトキシ−4′−アミノ−
4″−メチルアミノトリフェニルメタン、3−t・ブチ
ル−4−メトキシ−4′−アミノ−3″−メチル−4″
−メチルアミノトリフェニルメタン、3−クロロ−4−
メトキシ−4′−アミノ−4″−ジメチルアミノトリフ
ェニルメタン、3−クロロ−4−メトキシ−4′−アミ
ノ−3″−メチル−4″−メチルアミノトリフェニルメ
タン、4−メトキシ−4′−アミノ−4″−メチルベン
ジルアミノトリフェニルメタン、4−メトキシ−4′−
アミノ−3″−メチル4″−ベンジルアミノトリフェニ
ルメタン等があげられるが、これらの例には限定されな
い。
一般式(I)のメチン化合物は、一般式(II)で示さ
れるベンズヒドロール化合物と、一般式(III)で表さ
れる化合物を下式に従って、たとえば塩酸を2モル比以
上用い、水溶液中24時間煮沸し縮合させて得られる。
(R1〜R3は一般式(I)と同じ意味を有する。) 本発明に用いられる一般式(II)の化合物としては、
例えば、4−アミノ−4′−メトキシベンズヒドロー
ル、4−アミノ−3′−メチル−4′−メトキシベンズ
ヒドロール、4−アミノ−3′−t・ブチル−4′−メ
トキシベンズヒドロール、4−アミノ3′−シクロヘキ
シル−4′−メトキシベンズヒドロール、4−アミノ−
3′−クロロ−4′−メトキシベンズヒドロール、4−
アミノ−4′−エトキシベンズヒドロール、4−アミノ
−4′−ブトキシベンズヒドロール、4−アミノ−
3′,5′−ジメチル−4′−メトキシベンズヒドロー
ル、4−アミノ−3′−メチル−4′−エトキシベンズ
ヒドロールあるいは4−アミノ−3′−t・ブチル−
4′−エトキシベンズヒドロールなどが挙げられる。
また、一般式(III)に属する化合物としては、アニ
リン、モノメチルアニリン、ジメチルアニリン、N−メ
チル−o−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、
ジメチル−m−トルイジン、メチルベンジルアニリン、
エチルベンジルアニリン等が挙げられる。
実施例に先立ち本発明のメチン化合物の構造確認及び
発色例について説明する。
本発明のメチン化合物の構造は、例えば3,3″−ジメ
チル−4−エトキシ−4′−アミノ−4″−メチルアミ
ノトリフェニルメタン(IV)について、次のようにして
確認した。
化合物の分子式:C24H28N2O 化合物の分子量:360.504 化合物の構造(第1表 化合物番号−1): 元素分析値:(%) C H N 測定値 79.58 7.77 7.62 計算値 79.96 7.83 7.77 核磁気共鳴スペクトルによる水素原子の同定(100MC
機、パークロロエチレン中測定) 水素原子記号 位置(PPM) Hα ……5.16(1個分) Hβ ……2.85(3個分) Hγ ……2.05(3個分) Hδ ……2.16(3個分) Hε ……3.8 〜4.02(4重線,2個分) Hζ ……1.37〜1.48(3重線,3個分) ベンゼン核水素 ……6.30〜6.86(多重線,10個分) 以上の結果から本発明の化合物の構造は記載どうりで
あることが確認された。
本発明の化合物の特徴がその発色物の色相にある事は
次の例により示される。すなわち本発明の第1表記載の
メチン化合物−1〜4と既存の類似化合物(V)(本発
明者等、特開昭58−96046号)とを選び次の試験を行っ
た(感圧紙向き)。
本発明の第1表記載のメチン化合物−1〜4及び既存
の類似化合物(V)夫々をフェニルキシリルエタン(日
本石油化学社製 SAS296)に濃度3重量%に溶解し、得
た溶液をエチレン無水マレイン酸共重合体の如きメラミ
ン重合体カプセルの製造に好適な分散剤を含むpH4.5の
水溶液中、高速で分散させ、メチロールメラミン樹脂を
加え60℃に2時間保ってカプセル化を行い、次いでpH8.
0に中和して第1表記載のメチン化合物−1〜4及び類
似化合物(V)夫々の3%油溶液を内臓するマイクロカ
プセル分散液(平均粒径約5μ)を得、該分散液を澱粉
糊水溶液及びスチルト(澱粉粒)と混合し次の組成の分
散液とする。
マイクロカプセル 20 (重量%) 酸化澱粉(糊) 2.5(重量%) スチルト 8 (重量%) これを、上質紙に乾燥塗工量4g/m2となるように塗工
し上用紙とする。
一方、次の組成の顕色剤水分散液を作る。
カオリン 20 (重量%) 顕色剤 0.8(重量%) 酸化澱粉(糊) 1.5(重量%) 50%SBRラテックス 3.0(重量%) (顕色剤は2,5−ジシクロヘキシルオキシカルボニル−
3−ベンジルスルホニル−1,4−キノンを用いる。) この顕色剤分散液を上質紙に乾燥塗工量6g/m2となる
ように塗工し下用紙を作る。
上用紙および下用紙の塗工面を会わせIBM社製タイプ
ライター(IBM−65)でX文字を連続印字し発色させ、
発色像を日本電色社製Σ80機にて測色し第1表に示す結
果を得た。
a値、b値とも、数値0のとき無彩色となり数値が代
であればあるほど彩度大である。L値は明度をあらわ
す。第1表の結果から、(IV)の発色像は(V)の発色
像と比較すると像の濃度は近似しているが非常に無彩色
に近い、つまり黒色に近い事を知る。
同様にして、本発明の各種化合物に対し発色試験を行
い、同様な黒色ないし暗色の発色を呈することが確かめ
られた。
〔実施例〕
以下実施例によって本発明の詳細を説明する。文中、
部とあるは重量部を意味する。
実施例−1 (1)中間体:4−アミノ−3′−メチル−4′−エト
キシベンズヒドロールの合成 パナニトロ塩化ベンゾイル18.5部およびオルソグレゾ
ールエチルエーテル15部(少過剰)をテトラクロロエタ
ン50部に溶解し、水浴中冷却しつつ砕いた無水塩化アル
ミニウム14部(少過剰)を少しずつ加える。加え終えて
後徐々に昇温して40℃に1時間保った後氷水で分解し、
水蒸気蒸溜にてテトラクロロエタンと未反応物を追い出
し4−ニトロ−3′−メチル−4′−エトキシベンゾフ
ェノンの粗製品をほぼ定量的に得た。
鉄粉(60メッシュ篩を通した物)40部を濃塩酸1.5倍
および水15部と混合し2時間加熱下かきまぜ腐食し、キ
シレン70部および上記粗製4−ニトロ−3′−メチル−
4′−エトキシベンゾフェノン25部を加え8時間還流下
にかきまぜ加熱した。次いで40%カセイソーダ水溶液を
熱時加えアルカリ性とし、熱時セライトを引いた口紙上
にロ過し、鉄残さを2回少量の熱キシレンで洗った。ロ
液と洗液を合し一夜冷蔵庫中に保存すると、4−アミノ
−3′−メチル−4′−エトキシベンゾフェノンが結晶
に析出した。これをこし取り少量の例キシレンで洗い70
℃で乾燥機中乾燥し17部の結晶を得た。キシレン母液よ
り2部回収し計19部で粗収率84.9%であった。この粗生
成物15部をカセイソーダ7部、亜鉛末7部および95%エ
タノール50部と混合し6時間還流下にかきまぜ加熱し
た。次いで熱時亜鉛末をこし分け、メタノール少量で洗
いロ液と合せ溶液よりエタノールを追い出し多量の水を
加えて冷蔵庫中一夜保存した。生成した個体をこし分け
水洗、乾燥し粗製の目的物14.5部(対アミノケトン粗収
率96.3%)を得た。
(2)メチン化合物−1:3,3″−ジメチル−4−エト
キシ−4′−アミノ−4″−メチルアミノトリフェニル
メタンの合成 (1)で得た4−アミノ−3′−メチル−4′−エト
キシベンズヒドロール5部を、N−メチルオルソトルイ
ジン2.5部(過剰)および濃塩酸4部と水15部の混合物
と共に24時間還流下に加熱し、カセイソーダでアルカリ
性とし、少量のハイドロサルファイトを加え水蒸気蒸溜
して、未反応物を回収した。
生成した飴様物質を冷却すると固化する。これをリグ
ロインで加熱抽出し、リグロイン溶液を冷蔵庫中長時間
保存すると白色結晶を析出した。かきまぜ全体を結晶化
させ、母液を分ち、リグロインより再結晶し白色結晶を
約70%収率(粗ベンズヒドロールより計算)にて得た。
融点124〜126℃、元素分析値は次の通りであった。(化
合物の分子式は、C24H28N2Oである。) 元素分析値(%) C H N 実測値 79.58 7.77 7.62 計算値 79.96 7.83 7.77 実施例−2〜11 実施例−1の(1)に準じて各種の置換4′−アルコ
キシベンズヒドロール類を合成し、合成例−1の(2)
に準じて各種メチン化合物を合成した。
得られたメチン化合物を纏めて第2表にしめす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09B 11/00 B41M 5/18 103

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2およびR3は水素
    原子、低級アルキル基もしくはベンジル基を示し、他に
    分子内に置換基として、塩素原子、低級アルキル基、低
    級アルコキシ基もしくはシクロヘキシル基を有してもよ
    く、R2とR3は同時に水素原子ではない。)で表される新
    規メチン化合物。
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