JP2613749B2 - 熱転写型印字装置 - Google Patents

熱転写型印字装置

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JP2613749B2
JP2613749B2 JP29770294A JP29770294A JP2613749B2 JP 2613749 B2 JP2613749 B2 JP 2613749B2 JP 29770294 A JP29770294 A JP 29770294A JP 29770294 A JP29770294 A JP 29770294A JP 2613749 B2 JP2613749 B2 JP 2613749B2
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正義 原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばインスタント
ラーメンの袋に、シートの状態で製造月日、賞味期間、
ロット番号、連続番号などを印字するためなどに有利に
用いられる熱転写型印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術におけるこのような目的に用い
られる熱転写型印字装置では、1文字毎に予め準備され
た活字片を組合わせて、印字ヘッド枠に着脱自在に装着
し、この印字ヘッド枠の活字を電気ヒータによって加熱
し、熱転写用リボンを介して、袋が形成されるべき展開
された状態の合成樹脂フィルムにインキを熱転写し、溶
着して印字を行う。また、熱転写用リボンは、間欠的な
印字において、休止することなく連続的に走行されてお
り、これによって熱転写用リボンの使用後の部分が再使
用されることなく、印字を確実に行うように構成されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術で
は、印字が行われていない期間においても、熱転写用リ
ボンが連続的に供給されているので、リボンの未使用部
分が多く残存し、熱転写用リボンが無駄になり使用量が
多くなる。また活字を交換する際に、活字面は鏡像とな
っているので作業者が見誤りを生じやすく、したがって
誤印字を生じやすい。さらに活字を用いることによって
表示内容が制限されることになり、作業性が悪い。
【0004】したがって本発明の目的は、熱転写用リボ
ンの未使用部分の残存量を減少して、熱転写用リボンの
無駄をなくし、熱転写用リボンの使用量を削減し、また
誤印字を防止し、表示内容が制限されることなく作業性
の向上された熱転写型印字装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の発熱素
子が並んで配列されて構成され、それらの発熱素子に選
択的に電力が供給されて発熱するサーマルラインヘッド
と、前記サーマルラインヘッドが固定され、予め定める
軸線まわりに角変位自在に設けられるアームと、アーム
が前記角変位自在に設けられ、予め定める方向に移動自
在に設けられる移動部材と、移動部材を前記移動方向に
往復駆動する移動部材駆動手段と、移動部材の移動方向
の一方側に配置され、熱転写用リボンを供給する供給リ
ールと、移動部材の移動方向の他方側に配置され、前記
熱転写用リボンを巻取り、その熱転写用リボンを前記サ
ーマルラインヘッドの前記発熱素子に対向させて張架す
る巻取りリールと、移動部材に、熱転写用リボンに関し
てサーマルラインヘッドと反対側に配置され、サーマル
ラインヘッドと巻取りリールとの間の位置に配置される
第1掴み部材と、アームに、熱転写用リボンに関してサ
ーマルラインヘッドと同一側であってサーマルラインヘ
ッドと巻取りリールとの間の熱転写用リボンの移動経路
の途中に設けられ、サーマルラインヘッドが熱転写用リ
ボンから離間したアームの第1角度位置で、前記第1掴
み部材との間で熱転写用リボンを挟持して掴み、サーマ
ルラインヘッドの前記発熱素子が熱転写用リボンに接触
するアームの第2角度位置で、前記第1掴み部材とは熱
転写用リボンを介して離間して、前記第1掴み部材との
間で熱転写用リボンを掴まない状態とする第2掴み部材
と、供給リールに熱転写用リボン供給方向の制動力を与
えるときに、熱転写用リボンの撓みを除去するための張
力を付与する供給リール作動手段と、巻取りリールを熱
転写用リボンの巻取り方向に駆動する巻取りリール駆動
手段とを含むことを特徴とする熱転写型印字装置であ
る。また本発明は、供給リール作動手段は、供給リール
の回転軸に設けられ、回転方向の制動力を作用する制動
力発生手段と、制動力発生手段を介して前記回転軸に連
結され、熱転写用リボンの供給方向と逆方向に回転軸ま
わりのばね力を与えるばね力発生手段とを含むことを特
徴とする。また本発明は、巻取りリール駆動手段は、巻
取りリールの回転軸と固定位置との間に設けられ、巻取
りリールが熱転写用リボンを巻取る方向にのみ回転する
ことを許容する一方向クラッチと、巻取りリールの回転
軸を、巻取りリールの熱転写用リボン巻取り方向にトル
クを与えて回転駆動するモータとを含むことを特徴とす
る。また本発明は、熱転写用リボンに関して、サーマル
ラインヘッドと反対側には、移動部材の移動方向に沿っ
て、少なくとも印字時には、静置される合成樹脂フィル
ムが設けられ、サーマルラインヘッドの移動に伴って前
記合成樹脂フィルムの熱転写用リボン側の表面に熱転写
による印字を行うことを特徴とする。また本発明は、移
動部材の休止位置を検出する位置検出手段と、移動部材
の移動方向に関する移動長さを設定する設定手段とを含
み、移動部材駆動手段は、供給されるパルスに対応した
変位量だけ移動部材を移動するパルスモータと、前記パ
ルスを計数するカウンタと、前記設定手段からの出力と
カウンタからの出力とに応答し、計数値が変位量設定値
に一致した後、さらにパルスモータによって、移動部材
を予め定める変位量だけさらに変位させ、その後、パル
スモータを印字時とは逆方向に回転駆動して、前記検出
手段によって移動部材が休止位置に到達するまで移動部
材を駆動する制御手段とを含むことを特徴とする。また
本発明は、印字すべきキャラクタを入力する入力手段
と、入力手段によって入力されたキャラクタが印字され
るように移動部材駆動手段による移動部材の印字時の移
動に伴って、サーマルラインヘッドの発熱素子を選択的
に発熱させるヘッド駆動手段とを含むことを特徴とす
る。
【0006】
【作用】本発明に従えば、複数の発熱素子が、並んで配
置されるサーマルラインヘッド(以下ヘッドと略記す
る)は、予め定める方向に往復駆動される移動部材に対
し、予め定める軸線まわりに角変位自在に設けられるア
ームに固定される。熱転写用リボン(以下リボンと略記
する)は、移動部材の移動方向の一方側および他方側に
設けられる供給リールおよび巻取りリール間にわたっ
て、前記ヘッドの印字面に対向させて張架される。前記
移動部材には、リボンに関して、ヘッドと反対側に配置
される第1掴み部材が設けられ、アームには、リボンに
関してヘッドと同一側に配置される第2掴み部材が設け
られる。前記第2掴み部材は、ヘッドが、リボンから離
間したアームの第1角度位置で、第1掴み部材との間で
リボンを挟持して掴み、ヘッドの前記発熱素子がリボン
に接触するアームの第2角度位置で、第1掴み部材とは
離間し、リボンを掴まない状態となるように配置され
る。これによって、印字時には、アームを第2角度位置
に配置し、移動部材によってリボンの未使用部分にヘッ
ドの端面を臨ませるように、リボンに対しリボンの供給
方向上流側にヘッドを移動させながら印字を行い、印字
が終了するとアームを第1角度位置に配置し、リボンを
掴んだ状態で移動部材をリボンの供給方向下流側に移動
させることができる。したがって、リボンの印字時に使
用された部分のみを巻取りリールに巻取ることができ
る。また、前記複数の発熱素子は、選択的に電力が供給
されて発熱される。これによって、移動部材によってヘ
ッドを移動させながら発熱素子を選択的に発熱させるこ
とができる。したがって印字すべきキャラクタを作り出
して印字することできる。
【0007】また本発明に従えば、供給リールに制動力
を与えるときに、リボンに張力を与える供給リール作動
手段には、制動力を作用する制動力発生手段と、リボン
の供給方向逆方向に回転軸線まわりのばね力を与えるば
ね力発生手段とが備えられる。これによって、供給リー
ルがリボンの供給方向に過剰に回転し、リボンを過剰に
供給することを確実に防止することができる。したがっ
て、リボンが撓んだ状態のまま印字されることを確実に
防止することができる。
【0008】さらに本発明に従えば、巻取りリール駆動
手段には、巻取りリールがリボンの巻取り方向にのみ回
転することを許容する一方向クラッチと、巻取りリール
の回転軸をリボンの巻取り方向に回転駆動するモータと
が備えられる。これによって巻取りリールに巻取られた
リボンが、ヘッドの方向に供給されることを防止するこ
とができる。したがって、リボンの使用された部分が再
びヘッドの発熱素子に臨むように供給されて、印字に用
いられることを防止することができる。
【0009】さらに本発明に従えば、リボンに関して、
ヘッドと反対側に移動部材の移動方向に沿って少なくと
も印字時には、静置される合成樹脂フィルムが設けら
れ、ヘッドの移動に伴って前記フィルムのリボン側の表
面に熱転写によって印字を行うことができる。これによ
って、活字片を用いることなく、ヘッドの移動によって
キャラクタを印字することができる。
【0010】さらに本発明に従えば、移動部材の休止位
置が、位置検出手段によって検出され、移動部材の移動
長さが設定手段によって設定される。移動部材は、移動
部材駆動手段に備えられるパルスモータによって、供給
されるパルスに対応した変位量だけ移動され、カウンタ
によって前記パルスが計数され、設定手段から出力され
る変位量設定値にカウンタから出力される計数値が一致
した後、さらにパルスモータによって移動部材を予め定
める変位量だけ変位させて、その後パルスモータを印字
時とは逆方向に回転駆動して移動部材が検出手段によっ
て検出される休止位置に到達するまで駆動される。これ
によって、印字すべきキャラクタが、すべて印字された
後に予め定める変位量だけさらに変位させた後、移動部
材を休止位置に移動させることができる。したがって、
再び印字が開始される際に、すでに印字に使用された部
分がヘッドの発熱素子に臨むことを防止することができ
る。
【0011】さらに本発明に従えば、印字すべきキャラ
クタが入力手段によって入力され、その入力されたキャ
ラクタに対応して、移動部材の移動に伴って、発熱素子
がヘッド駆動手段によって選択的に発熱される。これに
よって、印字すべきキャラクタが制限されることなく、
入力手段によって入力されたキャラクタを印字すること
ができる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の熱転写型印字装
置1を示す正面図である。熱転写型印字装置1は、基本
的に、複数の発熱素子13を有するサーマルラインヘッ
ド2(以下ヘッドと略記する)と、ヘッド2が固定され
るアーム3と、アーム3が取付けられる移動部材4と、
移動部材4を駆動する移動部材駆動手段5(図2に図
示)と、熱転写用リボン6(以下リボンと略記する)を
供給する供給リール7と、リボン6を巻取る巻取りリー
ル8と、移動部材5に設けられる第1掴み部材9と、ア
ームに設けられる第2掴み部材10と、リボン6の撓み
を除去するための張力を付与する供給リール作動手段1
1と、巻取りリールを駆動する巻取りリール駆動手段1
2(図7に図示)とを含む。
【0013】ヘッド2には、印字されるべきたとえば合
成樹脂フィルム16に平行な(図1の紙面に垂直な)一
方向に複数の発熱素子13が1列に並んで配置される。
ヘッド2は、端面型のヘッドであり、発熱素子13は、
ヘッド本体14の端面15に臨んで設けられ、これらの
発熱素子13は、選択的に図示しない電力源からの電力
が供給されて発熱される。
【0014】アーム3は、その中央部付近において、予
め定める軸線である発熱素子13が並ぶ方向に平行な軸
線L1まわりに角変位自在に支持される。このアーム3
の一端部にヘッド2が固定される。これによってヘッド
2は、軸線L1まわりに揺動自在に設けられる。また、
アーム3には、その中央部付近に案内片18が設けられ
る。この案内片18は、発熱素子13が並ぶ方向と平行
な軸線まわりに回転自在に設けられるローラである。こ
の案内片18は、アーム3のリボン6に近い側に設けら
れており、その外周面はリボン6に当接させてリボン6
を案内する。案内片18は、アーム3が後述する第1角
度位置に配置されたとき、ヘッド2からリボン6が離間
するようにリボン6を案内する。これによって、ヘッド
2がリボン6に当接された状態で、熱転写型印字装置1
が放置されることを防止することができ、ヘッド2およ
びリボン6の損傷を防止することができる。
【0015】移動部材4は、予め定める方向である発熱
素子13の並ぶ方向に直交する方向(矢符B方向)に移
動自在に設けられる。この移動部材4にアーム3が軸線
L1まわりに角変位自在に設けられる。
【0016】供給リール7は、移動部材4の移動方向の
一方側に配置され、未使用のリボン6が巻回されてお
り、そのリボン6を供給する。巻取りリール8は、移動
部材4の移動方向の他方側に配置され、供給リール7か
ら供給されるリボン6を、ヘッド2の端面15に対向さ
せ、ヘッド2と印字されるべき静置される合成樹脂フィ
ルム16との間で張架して、使用後のリボン6を巻取
る。
【0017】リボン6は、リボン6を案内するための、
発熱素子13が配置される方向に平行な軸線まわりに回
転自在に設けられる2つの案内ローラ17を介して張架
される。各案内ローラ17は、移動部材4の移動方向と
平行な一直線上であり、軸線L1よりも合成樹脂フィル
ム16に近い位置に配置される。これによって各リール
7,8を軸線L1よりも合成樹脂フィルム16から遠い
位置に配置して、空間を有効的に利用し、またリボン6
を、合成樹脂フィルム16に対してほぼ平行に配置して
張架することができる。
【0018】第1掴み部材9は、円柱状であり、リボン
6に関してヘッド2と反対側で、かつヘッド2と巻取り
リール8との間に、さらに軸線L1に関して、ヘッド2
と反対側に配置される。第2掴み部材10は、円柱状で
あり、アーム3の他端部にリボン6に関してヘッド2と
同一側であり、ヘッド2と巻取りリール8との間のリボ
ン6の移動経路の途中に配置され設けられる。
【0019】アーム3は、たとえばばね部材などによっ
て、ヘッド2がリボン6から離反する方向に付勢されて
おり、たとえば非印字時などにはヘッド2がリボン6か
ら離間する第1角度位置19に配置される。アーム3が
第1角度位置に配置されると、第1掴み部材9と、第2
掴み部材10との間で、リボン6が挟持され掴まれる。
第1および第2掴み部材9,10は、ヘッド2よりもリ
ボン供給方向(矢符A方向)下流側に配置されており、
リボン6が挟持されることによって、たとえば傷付いた
り、変質した部分で印字されることを防止することがで
きる。また、各掴み部材9,10を、円柱状に形成する
ことによって、リボン6を挟持する際に、リボン6に傷
を付けて、リボン6が破断してしまうことを防止するこ
とができる。
【0020】移動部材4は、1サイクルの印字が終了
し、次のサイクルの印字が開始されるまでの間、リボン
の供給方向最も下流側でそのうち最も巻取りリール8に
近い側の休止位置21に配置される。熱転写型印字装置
1には、この移動部材4の休止位置21を検出する位置
検出手段20が設けられる。
【0021】図2は、合成樹脂フィルム16およびリボ
ン6を取除いた状態で、図1の上方から見て示す平面図
である。熱転写型印字装置1は、その機体の一部とし
て、偏平な板状の基台22を有し、ヘッド2、アーム
3、移動部材4、供給リール7、第1掴み部材9および
第2掴み部材10は、基台22の一方側に配置される。
基台22には、移動部材4の移動方向に平行な方向に延
びる案内部材23が固定されている。移動部材4には、
その移動方向に沿って延びる案内溝4aを有し、案内部
材23は、移動部材4の案内溝4aに嵌まり込む。移動
部材4は、案内部材23に案内されて移動方向に移動さ
れる。
【0022】熱転写型印字装置1には、移動部材4の移
動方向に関する移動長さを設定する図示しない設定手段
が備えられる。これによって、ヘッド2の移動する幅を
設定し、ヘッド2によって合成樹脂フィルム16に印字
される印字の幅を設定することができる。移動部材駆動
手段5は、図示しないパルス発信機によって供給される
パルスに対応して、回転力を出力するパルスモータ25
とパルスを計数する図示しないカウンタと、設定手段か
らの出力と、カウンタからの出力とに応答して移動部材
を駆動する制御手段であるパルスモータ制御回路26
(図8に図示)とを含む。パルスモータ25は、発熱素
子13の並ぶ方向と平行な軸線L2まわりに回転する出
力軸24を有し、その出力軸24を基台22に貫通させ
て基台22の一方側に突出させて設けられる。このパル
スモータ25は、前述のパルスに対応した角変位量だ
け、出力軸24を回動する。
【0023】また基台22の他方側には、アームを角変
位させるためのモータ27が設けられる。このモータ2
7の出力軸には、連結手段28を介してアームを押圧す
るためのアーム押圧棒29が連結される。
【0024】図3は、ヘッド2、アーム3、供給リール
7および巻取りリール8を取除いた状態で熱転写型印字
装置1を示す正面図である。パルスモータ25の出力軸
24には、駆動用プーリ30が固定されており、パルス
モータ25の出力によって回転される。また基台22に
は、駆動プーリ30の軸線すなわち出力軸24の軸線L
2に対して移動部材4の移動方向一方側であり、軸線L
2に平行な軸線L3まわりに回転自在に設けられる従動
プーリ31が備えられる。
【0025】駆動プーリ30および従動プーリ31は、
それぞれの軸線L2およびL3を結んだ一直線が、移動
部材4の移動方向と平行になるように設けられる。これ
らのプーリ30,31間にわたってベルト32が張架さ
れる。このベルト32には、取付部材33によって移動
部材4が取付けられている。ベルト32は、パルスモー
タ25の出力によって、駆動プーリ30が矢符C方向に
回転駆動され、これに伴って、矢符D方向に走行駆動さ
れる。これによって、ベルト32に取付けられた移動部
材4が矢符B方向に往復駆動される。
【0026】図1〜図3を参照して、アーム押圧棒29
は、円柱状であり、モータ27の出力によって、連結手
段28を介し、リボン6に対して近接/離反するように
揺動駆動される。このアーム押圧棒29は、アーム3の
他端部に設けられる当接ピン34のリボン6側に当接さ
れて設けられている。アーム押圧棒29が、モータ27
によって揺動駆動されることによって、アーム押圧棒2
9は、当接ピン34をリボンから離反する方向に押圧す
る。これによって、アーム3は、前述のような付勢に抗
して、ヘッド2をリボン6に近接させる方向に角変位さ
れる。このように、アーム押圧棒29によって、アーム
3が角変位されて、ヘッド2がリボンに当接するような
アーム3の第2角度位置35(図10に図示)に配置さ
れたときには、第2掴み部材10は、第1掴み部材に対
して、リボン6を介して離間している。この状態では、
第1および第2掴み部材9,10は、リボンを掴まない
状態となる。
【0027】移動部材4は、パルスモータ25の出力に
よって駆動されるので、パルスモータ25に供給される
パルスに応じて変位量だけ移動される。したがって、た
とえば駆動プーリ30および従動プーリ31の直径など
を選択することによって、移動部材4にアームを介して
取付けられたヘッド2を、ヘッド2に設けられる発熱素
子13の一列分に相当する変位量だけ変位させることが
できる。
【0028】供給リール7は、後述する軸受け手段85
によって、基台22に支持される。巻取りリール8は、
基台22に固定される後述する一方向クラッチ58に接
続されて、基台22に支持される。
【0029】図4は、供給リール作動手段11を示す断
面図である。供給リール作動手段11は、供給リール7
の回転方向の制動力を作用する制動力発生手段36と、
供給リール7にリボンの供給方向の逆方向に軸線L4ま
わりのばね力を与えるばね力発生手段37とを含む。供
給リール作動手段11は、基台22に固定される軸受手
段85によって軸線L4まわりに回転自在に支持され、
供給リール7が取付けられる供給リール軸38に連結さ
れる。
【0030】供給リール7は、円筒状の筒部40と、筒
部40の軸線方向両端部に設けられるフランジ部41,
42とを有する。筒部40の軸線方向一端部には、周方
向の一部を切欠いた凹所39が形成される。フランジ部
41,42は、筒部40に挿入される挿入部41a,4
2aと、挿入部41a,42aの厚み方向一方側で半径
方向外方に突出するフランジ41b,42bとを有す
る。これらのフランジ部41,42は、挿入部41a,
42aを筒部40に挿入して、筒部40の軸方向両側に
それぞれ装着される。筒部40の一方側に設けられるフ
ランジ部42には、挿入部42aに周方向の一部におい
て半径方向外方に突出する突起43が形成される。フラ
ンジ部42は、突起43を凹所39に嵌め込むようにし
て筒部40に装着される。これによって、フランジ部4
2に対して筒部40が角変位することを防止することが
できる。このような供給リール7は、供給リール軸38
にフランジ部41,42を固定して設けられる。
【0031】リボン6は、供給リール7の筒部40に巻
回されている。このリボン6は、たとえば発色剤が封入
され、熱によって溶解するカプセルが、たとえば合成樹
脂製のフィルムの表面に塗布され構成されている。
【0032】図5は制動力発生手段36を示す断面図で
ある。制動力発生手段36は、円筒状であり、供給リー
ル軸38に固定される内輪43と、円筒状であり、内輪
43が挿通される外輪44と、内輪43と外輪44との
間に介在される永久磁石の粉体45とを含んで構成され
る。内輪43および外輪44は、内輪43の外周面と外
輪44の内周面との間に間隔Δdを有する隙間を存在さ
せて設けられる。このような隙間に永久磁石を砕いた粉
体45が配置される。
【0033】これによって、たとえば内輪43に回転力
が作用する場合、永久磁石の粉体45によって、内輪と
外輪とが固定された状態となり外輪44は、内輪43と
ともに一体的に回転される。内輪43に回転力が作用
し、この回転力に抗して外輪44を内輪43の回転方向
と逆方向に制動力が与えられる場合、その制動力が、あ
る一定の値を超えたときには、永久磁石の粉体45が相
互にずれるように流動して、内輪43に対して外輪44
が回転する。このときに、内輪43は、外輪44に対し
て回転しながらも、永久磁石の粉体45の磁力によっ
て、外輪44に固定しようとする力を受けて、その回転
方向に対する制動力を受ける。
【0034】このように構成される制動力発生手段36
によって、供給リール7に制動力を与えることによっ
て、リボン6が過剰に供給されることを防止して、リボ
ン6の無駄を排除することができる。また、過剰に供給
されたリボン6が、熱転写型印字装置の他の部材などに
絡まったりすることを防止することができる。また、供
給リール7に過剰な制動力をかけて、リボン6に過剰な
張力を与え、リボン6が破断してしまうことを防止する
ことができる。
【0035】図6は、図4の切断面線VI−VIから見
た断面図である。図4および図6を参照して、ばね力発
生手段37は、略円筒状の回転基部47と、回転基部4
7から半径方向外方に突出する棒状の係止片48と、基
台22から、回転基部47が設けられる側に突出するよ
うに立設される2本の係止棒49,50とを含んで構成
される。
【0036】制動力発生手段36の外輪44には、その
軸線方向一方側に、環状に突出する突出部46が形成さ
れる。回転基部47には、軸線方向一方側に制動力発生
手段36の外輪44に形成される突出部46が嵌まり込
む環状の凹所51が形成される。また回転基部37の外
周部には、その軸線方向の中央部に半径方向内方に凸と
なり、その断面形状が円弧状の溝52が周方向に沿って
形成される。このような回転基部47は、その凹所51
に、制動力発生手段36の外輪44に形成される突出部
46を嵌合させて外輪44に取付けられる。これによっ
て回転基部47は、制動力発生手段36を介して供給リ
ール軸38に連結された状態となる。
【0037】係止片48は、回転基部47の溝52が形
成される回転基部47の軸方向中央部から突出するよう
に設けられる。この係止片48には、引張りコイルばね
53の一端部が連結されている。引張りコイルばね53
は、その他端部が基台22に連結されている。この引張
りコイルばね53は、係止片を介し回転基部47を、リ
ボン6が供給される際の供給リール7の回転方向矢符E
方向と反対方向(矢符F方向)に回転力を付与する。こ
れによって、リボン6が供給される際に、リボン6に適
度な張力を与えることができる。これによって、リボン
6が撓んだ状態で印字が行われ、正しい印字が行われな
いなどの印字不良が発生することを防止することができ
る。
【0038】係止棒49,50は、回転基部47の外径
よりも半径方向外方に位置し、係止片48が軸線L4ま
わりに角変位されるときの通過経路に突出して設けられ
る。これによって、回転基部47は、係止片48が引張
りコイルばね53のばね力によって当接されているよう
な角度位置と係止片48がリボン6の供給方向矢符E方
向に変位されて、角度θにわたって角変位することがで
きる。
【0039】このように回転基部47が角変位される
際、引張りコイルばね53は、回転基部47に形成され
る溝52に嵌まり込んだ状態となる。これによって、引
張りコイルばね53が回転基部47の軸線方向にずれて
しまい、そのばね力による付勢の方向が変位してしまう
ことを防止することができる。したがって、回転基部4
7をつねにリボンの供給方向、矢符E方向と反対の方
向、矢符F方向に付与することができる。回転基部47
は、前述のように制動力発生手段46を介して供給リー
ル軸38に連結されており、供給リールに巻回されてい
るリボン6に適度な張力を与えることができる。
【0040】図4〜図6に示す制動力発生手段36およ
びばね力発生手段37によって構成される供給リール作
動手段11を用いることによって、リボン6が供給され
る際、係止片48が係止棒49に当接される位置55に
配置されている回転基部47の角度位置と係止片48が
係止棒50に当接される位置50に配置される角度位置
間にわたって移動されている間は、引張りコイルばね5
3によるばね力のみが供給リール7には作用している。
【0041】係止片48が係止棒50に当接される状態
からさらにリボン6が供給され続けると、制動力発生手
段36の外輪36は、ばね力発生手段37の回転基部4
7が係止されることによって回転阻止される。この状態
で、内輪43は、永久磁石の粉体45の作用によって、
制動力を受け、その制動力が供給リール軸38を介して
供給リール7に与えられる。これによって、リボン6は
過剰に供給されることなく少しずつ供給される。したが
ってリボン6は、適度な張力を与えられた状態で必要と
される分だけ供給される。
【0042】図7は、巻取りリール駆動手段12を示す
断面図である。巻取りリール8については供給リールと
同様の構成であるので、説明は省略する。巻取りリール
駆動手段12は、巻取りリール8が固定される巻取りリ
ール軸56に連結されるトルクモータ57と巻取りリー
ル8との間に介在され、巻取りリール8がリボンを巻取
る方向にのみ回転することを許容する一方向クラッチ5
8とを含む。
【0043】一方向クラッチ58は、供給リール7の回
転軸線L4と平行な軸線L7まわりに回転自在な巻取り
リール8の回転軸である巻取りリール軸56と、固定位
置に存在する基台22との間に設けられ、基台22に固
定される。この一方向クラッチ58は、トルクモータ5
7から出力される巻取りリール8をリボン6を巻取る方
向に回転するトルクを巻取りリール8が固定される巻取
りリール軸56に伝達する。これによって、トルクモー
タ57によって、巻取りリール8をリボン6を巻取る方
向に回転駆動して、リボン6を巻取ることができる。ト
ルクモータ57は、常にリボン6を巻取る方向に供給リ
ール8にトルクを与えている。このトルクの作用と一方
向クラッチ58を用いることによって、巻取りリール8
がリボンを巻取る方向と逆方向に回転し、リボン6が逆
方向に供給されることを防止することができる。したが
って、リボン6の既に印字に使用された部分が、ヘッド
2の端面15に臨んで供給されて印字に再び使用される
ことを防止することができるので、印字不良を防止する
ことができる。
【0044】トルクモータ57は、その出力するトルク
が図4〜図6に示す供給リール作動手段11の制動力発
生手段36の制動力よりも小さく選ばれている。これに
よって、供給リール7に巻回されたリボンが、使用され
る前に巻取りリール8に巻取られることを防止すること
ができる。トルクモータ57は、たとえば同期型直流コ
アレス電動機などによって実現される。
【0045】アーム3を駆動するモータ27は、移動部
材4の移動方向と平行な軸線L5まわりに回転する出力
軸59を有する。このようなモータ27とアーム押圧棒
29とを連結する連結手段28は、モータ27の出力軸
59に固定される連結板60と、棒状であり一端部が連
結板60に連結される第1連結片61と、棒状であり一
端部が第1連結片の他端部に連結され、他端部にアーム
押圧棒29が固定される第2連結片62とを含む。
【0046】連結板60は、円板状であり、モータ27
の出力軸59の回転軸線L5から偏心した位置におい
て、連結板60に対して回転自在に、第1ピン63によ
って、第1連結片61の一端部が連結される。第2連結
片62は、その中央部付近において、移動部材の移動方
向と平行な方向、すなわちモータ27の回転軸線L5と
平行な軸線L6まわりに回転自在に支持されて設けられ
る。この第2連結片62の一端部に、第1連結片61が
相互に角変位自在に第2ピン64によって連結される。
【0047】このような連結手段28を用いることによ
って、モータ27の出力軸59が回動されて、連結板6
0が角変位されることによって、第2連結片62が軸線
L6まわりに角変位され、その他端部に固定されたアー
ム押圧棒29が、軸線L6まわりに揺動される。すなわ
ちアーム押圧棒29は、リボン6に近接/離反するよう
に軸線L6まわりに揺動される。たとえば、図7におい
て実線で示されるような位置に連結手段が配置されてい
る状態においては、アーム押圧棒29は、リボン6から
最も離反する位置に配置されることになる。また連結板
60が角変位され、第1ピン63が仮想線65で示され
るような位置に配置されると、第2ピン64は仮想線で
示される位置66に配置され、したがってアーム押圧棒
29は、仮想線67で示されるようなリボン6に最も近
接した位置に配置される。これによって、モータ27を
駆動することによって、連結手段28の作用によってア
ーム押圧棒29を変位させて、アーム3を角変位させる
ことができる。
【0048】図8は、熱転写型印字装置1の電気的構成
を示すブロック図である。熱転写型印字装置1には、印
字すべきキャラクタたとえば文字や数字あるいは記号な
どを入力するためのキーボード69およびキーインタフ
ェイス70を備える入力手段68を含む。印字すべきキ
ャラクタは、キーボードによって入力され、その入力信
号がキーインタフェイス70を介してメモリ71に与え
られて記憶される。熱転写型印字装置1の制御を総括す
るマイクロプロセッサユニット(略称MPU)72は、
メモリ71に記憶されている入力手段68によって入力
された入力信号に対応するフォントをROMメモリ73
から呼出し、それに対応させて、パルスモータ制御回路
26およびヘッド制御回路75に制御信号を与える。
【0049】たとえば、印字を開始する際、アーム駆動
制御回路76によってアーム3を角変位し、ヘッド2の
端面15をリボン6に当接し、ヘッド制御回路75によ
って図示しないヘッド駆動手段を制御し、ヘッド2に設
けられた発熱素子13を選択的に加熱し、リボン6に塗
布されている発色剤入りのカプセルを溶解し印字される
べき合成フィルム16に発色剤を熱融着する。発熱素子
13の1列分の熱融着による印字が終了すると、パルス
モータ制御回路26によって、ヘッド2の発熱素子13
の1列分に相当する変位量だけリボン6の供給方向上流
側に、移動部材4が変位されるようにパルスモータの出
力軸24を回動するようにパルス(たとえば1パルス)
がパルスモータ25に与えられる。これによって、ヘッ
ド2が発熱素子13の1列分に相当する距離だけ変位さ
れる。ヘッド2が移動された後、再びヘッド制御回路7
5によってヘッド駆動手段が制御されて発熱素子13が
選択的に発熱される。このようにヘッド駆動手段とパル
スモータ25との制御を交互に行うことによって、入力
手段68から入力された文字や記号などが合成樹脂フィ
ルム16に印字される。
【0050】このとき、リボン6は、移動しない状態に
あり、リボン6の使用後の部分を再び用いて印字するこ
とがない。したがって、印字不良を起こすことを防止す
ることができる。また、このようにヘッド2を1列に配
置された発熱素子13の1列分に相当する距離だけ移動
させながら発熱素子13を選択的に発熱し印字すること
によって、従来用いられていた活字片を用いることな
く、所望の文字や数字あるいは記号などのキャラクタを
作り出して印字することができる。
【0051】これによって、活字片をヘッド枠などに取
付ける際に誤って取付け、誤印字することを防止するこ
とができる。また、活字片の取付作業が不要で人手を必
要とせず活字片を用意する必要がないため、印字するキ
ャラクタが制限されず、印字の作業性が向上される。
【0052】モータトルク制御回路77は、巻取りリー
ル駆動手段12に備えられるトルクモータ57の出力ト
ルクを一定にするように制御される。トルクモータ57
の付加、すなわちリボンを巻取る巻取力は、リボンの巻
取量によって、変化する。この巻取量による変化に対応
して、一定の巻取力によってリボンを巻取るように制御
される。このようなトルクの制御は、トルクモータ57
に付与する電圧によって制御され、たとえばその電圧は
1V〜24Vなどに制御される。
【0053】また、熱転写型印字装置1には、たとえ
ば、パルス発信機を内蔵し、そのパルスを計数して現在
時間を求めるように構成される時計78が内蔵されてい
る。マイクロプロセッサユニット72は、入力手段68
によって与えられる入力信号の指示によって、時計78
から現在時間を読取り、ヘッド制御回路75およびパル
スモータ制御回路26に制御信号を与え、現在時間を印
字するようにすることができる。このように時計78を
内蔵することによって、たとえば製造年月日や製造時間
などを印字する際に、誤った製造年月日あるいは時刻な
どを印字することを防止することができる。
【0054】入力手段68は、前述のようにキーボード
によって印字すべき文字の印字のための信号を発生する
ための手段であってもよく、また印字した回数を計数
し、この印字回数を表す数字の信号を出力し、その連続
番号の印字のための信号を発生するための手段であって
もよい。さらに前述のように時計機能を有し、現在時ま
たは日付を表す数字などの信号を出力する手段などであ
ってもよく、また印字すべき文字の書体、たとえば明朝
体、ゴシック体、パイカ文字、エリート文字などの書体
を、前述のようにROMメモリ73から選択して、印字
できるようにしてもよい。
【0055】図9は、熱転写型印字装置1の動作を説明
するためのフローチャートである。ステップn1で印字
動作が開始される。ステップn2では、図1に示すよう
に第1および第2掴み部材9,10によってリボン6が
挟持されて掴まれる第1角度位置19にアーム3を配置
し、移動部材4を前述のように位置検出手段20によっ
て検出される休止位置21に配置する。
【0056】ステップn3で、印字指示が与えられてい
るかどうか判断する。印字指示が与えられていなければ
印字指令が与えられるまでステップn2の状態のまま待
機する。印字指令が与えられることによってステップn
4に以降し、ステップn4で、アーム3を、ヘッド2が
リボンに近接する方向に変位させてヘッドと印字される
べき合成樹脂フィルム16との間にリボン6が挟持され
る状態でヘッド2がリボンに当接し、第1および第2掴
み部材9,10によってリボン6が挟持されない図10
に示されるような第2角度位置35にアームを配置す
る。
【0057】ステップn5で、パルスモータ25にパル
スが与えられるとともに、カウンタによってそのパルス
が計数される。ステップn6で、カウンタによる計数値
と、任意に対応するように印字すべきキャラクタを表す
制御信号に応答し発熱素子13がヘッド制御回路75の
制御によってヘッド駆動手段が駆動されて発熱される。
ステップn7で、入力手段68によって入力されたキャ
ラクタを印字するために必要とされるヘッド2の移動方
向の長さを設定する設定手段からの変位量設定値と、カ
ウンタからの計数値とが一致するかどうか判断される。
計数値と変位量設定値が一致しない場合には、再びステ
ップn5の動作から繰返される。これによって、移動部
材4が移動されてヘッド2が移動部材4の印字の移動方
向矢符F方向に移動され、ヘッド2の位置に対応して発
熱素子13が選択的に発熱されリボン6に移動されてい
るカプセルが溶解され、そのカプセル内の発色剤が合成
樹脂フィルム16に熱融着され、印字すべきキャラクタ
が印字される。図10に示されるように移動部材4が、
印字開始位置79(休止位置19)からステップn5お
よびステップn6の動作が繰返されて、前述のように矢
符Fで示される方向にヘッド2が移動され、やがて、図
11に示されるように計数値と変位量設定値とが一致す
る印字終了時の位置80に移動部材が配置される。この
ように印字動作が行われている間は、第1および第2掴
み部材9,10によってリボン6は掴まれておらず、ま
た巻取りリール8によってリボン6は巻取られていない
ので、リボン6は、停止された状態にある。これによっ
て、ヘッド2が矢符F方向に移動されることによって、
発色剤が封入されているカプセルが塗布されている未使
用の部分にヘッド2の端面を臨ませることができ、これ
によってリボン6を無駄にすることなく確実に印字を行
うことができる。
【0058】またこのような印字には、第1掴み部材9
は、印字時に、リボン6を案内する働きをする。第1掴
み部材9は、印字時に、リボン6を合成樹脂フィルム1
6から離間させる方向に支持してリボン6を案内する。
これによって、図9のステップn9において、印字終了
後にヘッド2を変位させることによって、リボン6と合
成樹脂フィルム16とが融着してしまうことを防止する
働きを助けることができる。
【0059】図11に示されるように計数値と変位量設
定値とが一致するとステップn8で、ヘッド制御回路7
5によってヘッド駆動手段が休止されるように制御され
て、印字が終了される。ステップn9で、移動部材4
を、図11に示される終了位置80から図12に示され
るように予め定める距離ΔL(たとえば2mm)だけさ
らに印字時の移動方向矢符F方向に変位させる。すなわ
ち、ヘッド2を休止した状態で、ヘッド2をΔLだけ矢
符F方向に変位させる。ステップn10で、アーム3
を、前述のような第1角度位置に変位させる。ここでア
ーム3は、ヘッド2がリボン6から離反する方向に付勢
されている。すなわち第2角度位置から第1角度位置に
向かう方向に付勢されているので、アーム押圧棒29
を、リボン6に近接する方向に変位させることによっ
て、アーム3が第1角度位置に配置される。
【0060】このように、印字が終了した後、予め定め
る距離ΔLだけヘッドを変位させた後、アームを角変位
させてリボン6から離間させることによって、リボン6
と合成樹脂フィルム16とが熱融着してしまい、リボン
6が損傷したり、また合成樹脂フィルム16の表面にリ
ボンが付着し、品質が低下してしまうことを防止するこ
とができる。
【0061】ステップn11で、パルスモータ25が印
字時とは逆方向に回転駆動されて、移動部材4が印字時
の移動方向矢符Fと反対方向に移動される。このとき、
アーム3は第1角度位置にあり、第1および第2掴み部
材によってリボン6が挟持されて掴まれており、移動部
材4の移動に伴って、リボン6が図11に示すようなリ
ボンの供給方向矢符A方向に供給される。第1および第
2掴み部材9,10によって、リボンが掴まれた状態で
リボン6の供給方向下流側に移動されることによって、
巻取りリール8を駆動する巻取りリール駆動手段12に
備えられるトルクモータ57が駆動され、使用された部
分のリボン6が巻取りリール8に巻取られる。
【0062】ステップn12において、図11に示す位
置検出手段20によって、移動部材4およびヘッドの休
止位置21が検出されたかどうかが判断される。位置検
出手段20によって、移動部材4およびヘッド2の休止
位置21が検出されるまで、ステップn11の動作すな
わちパルスモータ25の逆転と、トルクモータの駆動が
継続的に行われる。位置検出手段20によって、移動部
材4およびヘッド2の休止位置が検出されると、ステッ
プn13で、パルスモータ25が停止され、トルクモー
タ57が停止される。以上のような動作を行い、ステッ
プn14で印字動作が終了される。
【0063】ステップn11で示されるようにパルスモ
ータ25を逆転して、ヘッド2を休止位置に移動させる
際に、第1および第2掴み部材9,10によってリボン
6を挟持して掴み、移動部材4の移動に伴ってリボン6
の未使用部分も、供給することによってリボン6の使用
した部分のみを巻取りリール8に巻取り、使用した分だ
け供給することができる。これによって、リボン6を無
駄にすることなく有効的に利用することができ、コスト
を低減することができる。また、ステップn9に示され
るように印字が終了した後予め定める距離ΔLだけヘッ
ド2を変位させることによって、次の1サイクルの印字
動作が開始される際に、前回の1サイクルの印字動作に
よって使用されたリボンの部分を、再び使用し、印字不
良を生じることを防止することができる。
【0064】上述の実施例において、ヘッド2には端面
型のサーマルラインヘッドが用いられたけれども、本発
明の他の実施例として、図13に示すように、印字時、
すなわちヘッド100が合成樹脂フィルム16に当接さ
れたときに、発熱素子13がリボン6を介して、合成樹
脂フィルム16に対向するヘッド100の端面101か
らややヘッド100の側面102に臨んで設けられる、
いわゆる疑似端面型のサーマルラインヘッド100を用
いるようにしてもよい。
【0065】また上述の実施例において、アーム3は、
発熱素子13が並ぶ方向と平行な軸線L1まわりに角変
位自在に支持されたけれども、本発明の他の実施例とし
て、発熱素子13が並ぶ方向と交差する軸線まわりに角
変位自在に支持されるようにしてもよく、たとえば発熱
素子13が並ぶ方向に直交する軸線まわりに角変位自在
に支持されるようにしてもよい。
【0066】このような熱転写型印字装置1がたとえば
合成樹脂フィルムを水平に配置して印字を行うように構
成される場合、ヘッド2は、非印字時から印字時に移行
する場合、合成樹脂フィルム16に対して、上方から近
接するようにしてもよく、また、下方から近接するよう
にしてもよく、さらに、水平な方向に移動して近接する
ように構成されてもよい。
【0067】また、上述の実施例において、熱転写型印
字装置1は、合成樹脂フィルム16に印字するために用
いられたけれども、本発明の他の実施例として、他の被
印字物、たとえば紙、布、金属プレートなどに印字する
ために用いるようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、サーマル
ラインヘッドには、複数の発熱素子が、このサーマルラ
インヘッドは、予め定める方向と交差する方向に駆動さ
れる移動部材に予め定める方向と平行な軸線まわりに角
変位自在に設けられるアームに固定される。熱転写用リ
ボンは、移動部材の移動方向の一方側および他方側に設
けられる供給リールおよび巻取りリール間にわたって、
サーマルラインヘッドの端面に対向させて張架される。
これによって、移動部材によって、ヘッドを移動させな
がら、発熱素子を選択的に発熱させることによって、印
字すべきキャラクタを作り出しながら、熱転写用リボン
に塗布された発色剤を印字されるべきたとえば合成樹脂
のフィルムなどに熱転写して、印字することができるの
で、活字片を用いる必要がなく、印字を行うことができ
るので、活字片の取付作業などを省略することができ、
作業性が向上される。また、活字片を取付る際に、誤っ
た活字片を取付けて、誤印字をするなどのおそれがな
く、誤印字を防止することができる。また活字片を使わ
ないことによって、印字可能なキャラクタが制限される
ことなく、作業性が向上される。また、移動部材には、
リボンに関してヘッドと反対側に配置される第1掴み部
材が設けられ、アームには、リボンに関してヘッドと同
一側に配置される第2掴み部材が設けられており、第2
掴み部材は、ヘッドが、リボンから離間したアームの第
1角度位置で、第1掴み部材との間でリボンを挟持して
掴み、サーマルラインヘッドの発熱素子がリボンに接触
するアームの第2角度位置で、第1掴み部材とは離間
し、リボンを掴まない状態となるように配置される。こ
れによって、印字時には、アームを第2角度位置に配置
しヘッドをリボン供給方向上流側に変位させて、リボン
の未使用部分にヘッドの発熱素子を臨ませるようにして
印字を行うことができ、印字が終了するとアームを第1
角度位置に配置し、リボンを掴んだ状態で移動部材をリ
ボンの供給方向下流側に移動させることができ、リボン
の使用された部分のみを巻取りリールに巻取ることがで
きるので、リボンを無駄にすることなく使用し、印字に
必要とされるコストを低減することができる。
【0069】また本発明に従えば、供給リールには、制
動力発生手段によってリボンの供給方向の制動力を作用
することができる。これによって、供給リールがリボン
の供給方向に過剰に回転し、リボンを過剰に供給するこ
とを確実に防止することができるので、リボンの無駄を
確実に排除することができる。また、供給リールには、
ばね力発生手段によって熱転写用リボンの供給方向逆方
向に回転力を与えるようにばね力が作用される。これに
よって、熱転写用リボンの撓みが除去され、リボンが撓
んだ状態のまま印字されることを確実に防止することが
できるので、リボンの印字に使用された部分が再びヘッ
ドの端面に臨んで配置されることを確実に防止すること
ができ、印字不良を確実に防止することができる。
【0070】さらに本発明によれば、巻取りリール駆動
手段には、巻取りリールがリボンの巻取方向にのみ回転
することを許容する一方向クラッチが備えられる。これ
によって、巻取りリールが、リボンの巻取方向と反対の
方向に回転されて、巻取られたリボンが、ヘッドの方向
に供給されることを防止することができる。したがっ
て、リボンの使用された部分が再びヘッドの端面に供給
されて、印字に用いられることを防止することができる
ので、印字不良を防止することができる。また巻取りリ
ール駆動手段には、巻取りリールの回転軸をリボンの巻
取方向にトルクを与えて回転駆動するモータが備えられ
る。これによって、巻取りリールに与えられるトルクを
制御することによって、供給リール7に巻回されている
リボンを、未使用のまま巻取ることを防止することがで
きるので、リボンが無駄になることを防止することがで
きる。
【0071】さらに本発明によれば、リボンに関して、
ヘッドと反対側に移動部材の移動方向に沿って少なくと
も印字時には静置される合成樹脂フィルムが設けられ、
ヘッドの移動に伴って合成樹脂フィルムに熱転写によっ
て印字が行われる。これによって、活字片を用いること
なく、ヘッドの移動によって、印字すべきキャラクタを
作り出しながら印字することができるので、活字片を交
換するなどの手間を省くことができ、また印字可能なキ
ャラクタが制限されることを防止することができ作業性
が向上される。
【0072】さらに本発明によれば、移動部材の休止位
置を検出する位置検出手段が設けられる。これによっ
て、印字が終了した後に移動部材を休止位置に確実に配
置することができ、印字を開始する際に所望する位置と
ずれた位置に印字してしまうことを防止することができ
る。また移動部材は、供給されるパルスに対応した変位
量だけパルスモータによって移動され、前記パルスがカ
ウンタによって計数され、設定手段から出力される変位
量設置値に、カウンタから出力される計数値が一致した
後、さらにパルスモータによって、移動部材を予め定め
る変位量だけ変位させて、その後、パルスモータを印字
時とは逆の方向に回転駆動して、休止位置に到達するま
で駆動するように制御手段によって制御される。これに
よって、印字すべきキャラクタがすべて印字された後予
め定める変位量だけさらに変位させた後、移動部材を休
止位置に移動させることができる。したがって、最後に
印字された部分で、熱転写用リボンと合成樹脂フィルム
とが熱の作用によって溶着することを防止することがで
きるので、熱転写用リボンが損傷したり、合成樹脂フィ
ルムに熱転写用リボンの一部が付着して、品質を低下し
たりすることを防止することができる。また、予め定め
る変位量分だけリボンの供給方向上流側に変位した位置
から、印字を開始することができるので、一度印字に使
用された部分を再び印字に用いることが確実に防止され
るので、印字不良を確実に防止することができる。
【0073】さらに本発明によれば、印字すべきキャラ
クタが入力手段によって入力され、それに対応して移動
部材の移動に伴って発熱素子を選択的に発熱させる。こ
れによって、印字すべきキャラクタが制限されることを
防止することができるので、所望のキャラクタを、入力
手段を介して入力することによって、印字することがで
きるので作業性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の熱転写型印字装置1を示す
正面図である。
【図2】合成樹脂フィルム16および熱転写用リボン6
を取除いた状態で、図1の上方から見て示す平面図であ
る。
【図3】本実施例の熱転写型印字装置1をヘッド2、ア
ーム3、供給リール7および巻取りリール8を取除いた
状態で示す正面図である。
【図4】本実施例の熱転写型印字装置1に備えられる供
給リール作動手段11を示す断面図である。
【図5】供給リール作動手段11に備えられる制動力発
生手段36を拡大して示す断面図である。
【図6】図4の切断面線VI−VIから見た断面図であ
る。
【図7】本実施例の熱転写型印字装置1に備えられる巻
取りリール駆動手段12を示す断面図である。
【図8】本実施例の熱転写型印字装置1の電気的構成を
示すブロック図である。
【図9】本実施例の熱転写型印字装置1の動作を説明す
るためのフローチャートである。
【図10】アーム3が第2角度位置に配置され、移動部
材4が印字開始位置79に配置された状態を示す正面図
である。
【図11】印字すべきキャラクタがすべて印字され、移
動部材が印字終了位置80に配置された状態を示す正面
図である。
【図12】移動部材4が、印字終了位置80に配置され
た状態からさらに予め定める変位量ΔLだけ印字時の移
動方向に移動された状態を示す正面図である。
【図13】本発明の他の実施例の熱転写型印字装置に備
えられるヘッド100付近を拡大して示す正面図であ
る。
【符号の説明】
1 熱転写型印字装置 2,100 サーマルラインヘッド 3 アーム 4 移動部材 5 移動部材駆動手段 6 熱転写用リボン 7 供給リール 8 巻取りリール 9 第1掴み部材 10 第2掴み部材 11 供給リール作動手段 12 巻取りリール駆動手段 13 発熱素子 14 ヘッド本体 15 ヘッド本体の端面 16 合成樹脂フィルム 20 位置検出手段 25 パルスモータ 36 制動力発生手段 37 ばね力発生手段 43 内輪 44 外輪 45 永久磁石の粉体 47 回転基部 48 係止片 49,50 係止棒 53 引張りコイルばね 57 トルクモータ 58 一方向クラッチ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発熱素子が並んで配列されて構成
    され、それらの発熱素子に選択的に電力が供給されて発
    熱するサーマルラインヘッドと、 前記サーマルラインヘッドが固定され、予め定める軸線
    まわりに角変位自在に設けられるアームと、 アームが前記角変位自在に設けられ、予め定める方向に
    移動自在に設けられる移動部材と、 移動部材を前記移動方向に往復駆動する移動部材駆動手
    段と、 移動部材の移動方向の一方側に配置され、熱転写用リボ
    ンを供給する供給リールと、 移動部材の移動方向の他方側に配置され、前記熱転写用
    リボンを巻取り、その熱転写用リボンを前記サーマルラ
    インヘッドの前記発熱素子に対向させて張架する巻取り
    リールと、 移動部材に、熱転写用リボンに関してサーマルラインヘ
    ッドと反対側に配置され、サーマルラインヘッドと巻取
    りリールとの間の位置に配置される第1掴み部材と、 アームに、熱転写用リボンに関してサーマルラインヘッ
    ドと同一側であってサーマルラインヘッドと巻取りリー
    ルとの間の熱転写用リボンの移動経路の途中に設けら
    れ、サーマルラインヘッドが熱転写用リボンから離間し
    たアームの第1角度位置で、前記第1掴み部材との間で
    熱転写用リボンを挟持して掴み、サーマルラインヘッド
    の前記発熱素子が熱転写用リボンに接触するアームの第
    2角度位置で、前記第1掴み部材とは熱転写用リボンを
    介して離間して、前記第1掴み部材との間で熱転写用リ
    ボンを掴まない状態とする第2掴み部材と、 供給リールに熱転写用リボン供給方向の制動力を与える
    ときに、熱転写用リボンの撓みを除去するための張力を
    付与する供給リール作動手段と、 巻取りリールを熱転写用リボンの巻取り方向に駆動する
    巻取りリール駆動手段とを含むことを特徴とする熱転写
    型印字装置。
  2. 【請求項2】 供給リール作動手段は、 供給リールの回転軸に設けられ、回転方向の制動力を作
    用する制動力発生手段と、 制動力発生手段を介して前記回転軸に連結され、熱転写
    用リボンの供給方向と逆方向に回転軸まわりのばね力を
    与えるばね力発生手段とを含むことを特徴とする請求項
    1に記載の熱転写型印字装置。
  3. 【請求項3】 巻取りリール駆動手段は、 巻取りリールの回転軸と固定位置との間に設けられ、巻
    取りリールが熱転写用リボンを巻取る方向にのみ回転す
    ることを許容する一方向クラッチと、 巻取りリールの回転軸を、巻取りリールの熱転写用リボ
    ン巻取り方向にトルクを与えて回転駆動するモータとを
    含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写型印字装
    置。
  4. 【請求項4】 熱転写用リボンに関して、サーマルライ
    ンヘッドと反対側には、移動部材の移動方向に沿って、
    少なくとも印字時には、静置される合成樹脂フィルムが
    設けられ、 サーマルラインヘッドの移動に伴って前記合成樹脂フィ
    ルムの熱転写用リボン側の表面に熱転写による印字を行
    うことを特徴とする請求項1に記載の熱転写型印字装
    置。
  5. 【請求項5】 移動部材の休止位置を検出する位置検出
    手段と、 移動部材の移動方向に関する移動長さを設定する設定手
    段とを含み、 移動部材駆動手段は、 供給されるパルスに対応した変位量だけ移動部材を移動
    するパルスモータと、前記パルスを計数するカウンタ
    と、 前記設定手段からの出力とカウンタからの出力とに応答
    し、計数値が変位量設定値に一致した後、さらにパルス
    モータによって、移動部材を予め定める変位量だけさら
    に変位させ、その後、パルスモータを印字時とは逆方向
    に回転駆動して、前記検出手段によって移動部材が休止
    位置に到達するまで移動部材を駆動する制御手段とを含
    むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写型印字装
    置。
  6. 【請求項6】 印字すべきキャラクタを入力する入力手
    段と、 入力手段によって入力されたキャラクタが印字されるよ
    うに移動部材駆動手段による移動部材の印字時の移動に
    伴って、サーマルラインヘッドの発熱素子を選択的に発
    熱させるヘッド駆動手段とを含むことを特徴とする請求
    項1に記載の熱転写型印字装置。
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