JP2611984B2 - ピストンリング用線材 - Google Patents

ピストンリング用線材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、内燃機関において重要な役割をはたすピス
トンリング用線材の材質に関するものである。
〔従来の技術〕
自動車のエンジン等の内燃機関において、ピストンリ
ングは気密性の保持を目的として装着され、その性能い
かんにより、エネルギー効率を左右する重要な役割を担
っている。このようなピストンリングは、従来主に鋳鉄
が用いられてきたが、近年のエンジンの効率化、高負荷
化さらに軽量化指向にともない、スチール製ピストンリ
ングの適用が拡大しつつある。これは、平線をリング加
工することによって製造されるため、大幅な工程の短縮
化と、リング自体の軽量化が実現できるためである。
ピストンリングは、エンジン稼働中において、シリン
ダーと摺動するため、シリンダーとの摩耗や焼付の問題
が生じ、したがって耐摩耗性、耐焼付性の高い材質が求
められる。またエンジン稼働中においては、装着される
ピストン溝内において、複雑な動きをするため、疲労強
度や高い靱性が求められる。エンジンの高速化にともな
い、このような要求特性は高くなる一方にある。
現在、スチール製ピストンリング材として、主に用い
られている材質としては、バネ用鋼であるSi−Cr鋼(JI
S SWOSC−V)およびマルテンサイト系ステンレス鋼が
ある。マルテンサイト系ステンレス鋼は、主にディーゼ
ルエンジンなど高負荷の用途に用いられており、一般の
乗用車には、Si−Cr鋼が用いられている。
Si−Cr鋼は、重量%でC 0.50〜0.60%、Si 1.20〜
1.60%、Mn 0.50〜0.80%、Cr 0.50〜0.80%を含有
し、残部Feよりなるため、リング加工性は優れている
が、材質自体の耐摩耗性や耐焼付性は期待できない。こ
のため、ピストンリング材としては、シリンダーと摺動
する部分に硬質Crメッキ処理を行ない、これに対処して
いる。またマルテンサイト系ステンレス鋼においては、
窒化処理を行なうことにより、硬質の窒化層を形成し用
いられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、一般乗用車に用いられているSi−Cr鋼に代
る材質に関するものであり、高性能のピストンリング用
線材を提供するものである。
先に述べたように、Si−Cr鋼は、耐摩耗性、耐焼付性
を付与するため、Crメッキ処理が施されているが、Crメ
ッキはそのメッキ層内に微細なクラックを含んでおり、
ピストンリングの機械的強度、特に疲労強度低下をまね
く原因となる。また、製造工程においても、ベーキング
処理が不十分である場合、水素脆性の問題が生じる。一
方窒化処理は、表面に硬質の窒化層が形成され、耐摩耗
性、耐焼付性、さらに疲労強度を向上させる方法とし
て、広く工具材料に適用されているのは、周知のとおり
である。したがって、Si−Cr鋼においてもこの処理方法
の適用が考えられるが、Si−Cr鋼は、組成的に窒素と結
び付いて、硬い窒化層を形成するCr量が少なく、十分な
硬さを確保することができない。
以上の点から、本発明は窒化処理をすることにより、
硬い窒化層を有し、耐摩耗性、耐焼付性はもとより、機
械的強度の点においても優れたピストンリングを提供す
るために行なったものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記に述べたように、窒化処理することによ
り表面層に硬質の窒化層を形成するように、材質の化学
成分を勘案することによってなされたものであり、次の
特徴を持つピストンリング用線材である。
本発明は、重量%でC 0.4〜1.1%、Si 0.2〜1.0
%、Mn≦1.0%、Cr 1.0%以上4.5%未満、およびMo≦
3%、Ni≦3%、V≦3%、W≦3%、Nb≦3%の1種
以上を含み(2種以上の場合は、合計で5%以下)、ま
たは同成分にAl 0.3〜2.0%を含み、残部Feおよび不純
物よりなることを特徴とするピストンリング用線材であ
る。
次に成分の限定理由について述べる。
Cは鉄中に固溶し、強度に寄与する元素であり、また
炭化物を形成し、耐摩耗性に寄与する重要な元素である
ため、少なくとも0.4%以上必要である。しかし、Cは
Nと同様鉄中において侵入型固溶元素であるため、多量
の添加は窒化時の窒素の拡散を阻害し、十分な窒化層を
得ることができなくなると共に、リング成形時の加工性
も害するため、上限を1.1%とした。
Siは鋼塊製造時に脱酸剤として添加される元素であ
り、脱酸剤の他に合金元素として弾性限を上昇させる効
果があるため、下限を0.2%とし、また1.0を越える添加
は、冷間における加工性を低下させるためこれを上限と
した。
MnはSiと同様、鋼塊製造時に脱酸剤として添加される
元素であり、1%を越えると熱間加工性を害するためこ
れを上限とした。
Crは、炭化物形成元素であり、耐摩耗性付与のため重
要である。また、同時に窒化層の硬さを高める元素でも
ある。特に窒素との親和性が高く、硬質の窒化物を形成
するため、窒化処理を行なう材質には必須の元素であ
る。この効果を十分に得るためには、少なくとも1%以
上の添加が必要である。しかし、多量の添加は多くの炭
化物を形成し、材質の靱性を低下させるだけでなく、窒
化層においても十分な窒化深さを得にくくするため4.5
%未満とした。
Mo、V、W、Nbは、いずれも炭化物形成元素であり、
耐摩耗性付与のため重要である。また、Crの次に窒化層
の硬さを増す元素であり、一部基地に固溶し、材質の強
度を改善する効果があるが、Crと同様に過度の添加は、
炭化物の量を増し、靱性を低下させる。またNiは基地中
に固溶し、靱性を付与すると同時に、窒化層においても
窒素と結合することなく、靱性を高める元素である。し
かし、鋼塊より線材までの加工過程において、焼なまし
硬さが低下し難くなる。従って、各元素3%を上限と
し、2種以上の場合は、合計で5%を上限とした。
Alは、窒素との親和性が最も高い元素であり、窒化処
理材には非常に有効な元素である。この効果を得るため
には、少なくとも0.3%以上必要であるが、窒素と同様
酸素との親和性も高いので酸化物を形成しやすく、過度
の添加は、鋼塊製造時において、アルミナ系介在物を形
成し、材質の疲労強度低下の原因となるため2.0%を上
限とした。
〔実施例〕
次に実施例として本発明鋼およびSi−Cr鋼を溶製し、
所定の熱処理を行なって各種の試験を行なった結果を示
す。
表1に示す供試材を20kg溶製し、φ25に鍛伸した後、
焼なまし処理を行ない、各試験のための試験片を加工し
た。次に所定の焼入れ、焼もどしを行ない、硬さHRC43
〜45に調質、さらにA〜Hについては、540℃×20hrの
ガス窒化処理、またIについては硬質Crメッキをメッキ
厚100μmを施した。
試験は、窒化またはCrメッキした場合の疲労強度を見
るために、回転曲げ疲労試験により、疲労限(107回)
応力を求めた。また、静的な靱性を調べるため、直径5m
mの試験材について、スパン50mmとし、抗折応力および
たわみを求めた。この結果を表2に示す。
本発明鋼は窒化処理を行なった場合、硬い窒化層が得
られるばかりでなく、動的な機械的性質である疲労強度
において高い値を示していることがわかる。
また静的な機械的強度である抗折試験結果において
も、比較材H、Iに比し高い値を示すことがわかる。比
較材Hは、窒素との親和性の高いCr量が少ないため、窒
化層自体の硬さが十分得られないばかりでなく、窒化層
の深さが深くなりすぎ、表面にクラックが入った場合、
クラック進展が母材まで進みやすくなるため、静的およ
び動的な強度において低下をまねいている。また、Crメ
ッキした比較材Iはクラックを内蔵した高硬度の表面層
のため、切欠き感受性が高く、機械的強度を低下させる
原因となっている。
〔発明の効果〕
本発明は、現在用いられているSi−Cr鋼に硬質Crメッ
キ処理したピストンリングの機械的性質における欠点を
解決するためになされたものであり、窒化処理を行なう
ことにより、耐摩耗性および耐焼付性を確保するととも
に、動的および静的強度を向上させるべく、これに適す
る材質を提供したものである。これにより、リング製造
工数の簡略化だけでなく、性能的にも優れたピストンリ
ングの製造を可能とするものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC 0.4〜1.1%、Si 0.2〜1.0
    %、Mn≦1.0%、Cr 1.0%以上4.5%未満、およびMo≦
    3%、Ni≦3%、V≦3%、W≦3%、Nb≦3%の1種
    以上を含み(2種以上の場合は、合計で5%以下)、残
    部Feおよび不純物よりなることを特徴とするピストンリ
    ング用線材。
  2. 【請求項2】重量%でC 0.4〜1.1%、Si 0.2〜1.0
    %、Mn≦1.0%、Cr 1.0%以上4.5%未満、Al 0.3〜2.
    0%、およびMo≦3%、Ni≦3%、V≦3%、W≦3
    %、Nb≦3%の1種以上を含み(2種以上の場合は、合
    計で5%以下)、残部Feおよび不純物よりなることを特
    徴とするピストンリング用線材。
JP62056278A 1987-03-11 1987-03-11 ピストンリング用線材 Expired - Lifetime JP2611984B2 (ja)

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JPS63223147A JPS63223147A (ja) 1988-09-16
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